(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の搬送方法では、結束バンドでアングルと積載物とを緊結する際に、アングルを手で押さえて積載物の側面角部に保持しながら緊結する必要があるため、一人での作業が極めて困難であるという問題がある。
【0007】
本発明は上記事実を考慮し、手で押さえることなく積載物の側面角部に保持することのできる積載物拘束具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係る積載物拘束具は、L字型の断面を形成する2つの側板で構成されたアングル部と、前記アングル部の長手方向両端の間に設けられ、前記側板から前記アングル部の内角側に延出するとともに前記側板と交差する面内に配置される差込片と、を備え
、前記側板に係合孔が形成され、前記差込片の端部に、該端部から突出し前記係合孔に挿入される突片が設けられ、
前記係合孔は、1つの前記突片に対して複数設けられ、前記突片は、折り返し可能な形状に形成され、1つの前記係合孔に挿通された後、折り返されて他の前記係合孔に挿通される。
【0009】
上記構成によれば、積載物拘束具は2つの側板で構成されたアングル部と、アングル部に設けられた差込片とを備えている。このため、複数の積載物の側面角部をアングル部で覆うとともに、積載物と積載物との間に差込片を差し込むことにより、積載物拘束具を積載物の側面角部に保持することができる。したがって、積載物の結束作業等を行う際に積載物拘束具を手で押さえる必要がなく、一人での作業が容易となる。
また、上記構成によれば、積載物拘束具の保管時や持ち運び時等の使用時以外の時には、アングル部と差込片とを互いに分解状態としておくことができる。また、使用時には、差込片の突片を側板の係合孔に挿入することにより、容易に積載物拘束具を組み立てることができる。
更に、上記構成によれば、帯状の突片が、複数の係合孔に折り返されて挿入されるので、差込片が側板に安定的に係止される。したがって、差込片に張力が作用した場合でも、側板から突片が外れ難い。このため、積載物の対角方向に位置する差込片同士を連結して使用することも可能である。
【0010】
請求項2に係る積載物拘束具は、請求項1に記載の積載物拘束具であって、前記差込片が、2つの前記側板の内側に設けられる。
【0011】
ここで、「差込片が側板の内側に設けられる」とは、差込片が、2つの側板のL字型の2辺と、これにそれぞれ平行な2辺とからなる矩形の範囲内に設けられることを意味する。この構成によれば、差込片の張出しが少なくなるので、作業性や保管時の取扱いが容易となる。
【0012】
請求項3に係る積載物拘束具は、請求項
1に記載の積載物拘束具であって、前記差込片が、2つの前記側板の外側へ延出している。
【0013】
ここで、「差込片が側板の外側へ延出している」とは、差込片が、2つの側板のL字型の2辺と、これにそれぞれ平行な2辺とからなる矩形の範囲内から該範囲の外側まで張り出していることを意味する。この構成によれば、差込片が比較的長く形成されているので、差込片を積載物と積載物との間に差し込んだ際に、該差込片が抜けにくくなる。このため、積載物拘束具を手で押さえなくても、該積載物拘束具を積載物の側面角部に安定的に保持することができる。また、積載物を倉庫などに仮置き或は保管するような場合にあっては、結束バンドで積載物を緊結しなくても、積載物拘束具を積載物に装着するだけで、作業者が不用意に接触した程度では荷ずれや荷崩れに至らず、一定の整頓状態を保つ効果もある。
【0016】
請求項
4に係る積載物拘束具は、
請求項1〜請求項3の何れか1項に係る積載物拘束具であって、前記突片に形成され、前記突片を前記係合孔に挿入した際に前記側板に係止される係止部を備える。
【0017】
上記構成によれば、差込片の突片には、側板に係止される係止部が形成されている。このため、積載物拘束具を組み立てた際に係止部によって差込片を側板に係止することができ、積載物拘束具の使用時に差込片が側板から外れることを抑制することができる。
【0018】
請求項
5に係る積載物拘束具は、
請求項1〜請求項4の何れか1項に係る積載物拘束具であって、2つの前記側板を展開可能に連結する第1ヒンジ部を備える。
【0019】
上記構成によれば、積載物拘束具の保管時や持ち運び時等の使用時以外の時には、アングル部を展開状態としておくことができる。また、使用時には、第1ヒンジ部を折り曲げてL字型のアングル部を形成するとともに、差込片の突片を側板の係合孔に挿入することにより、容易に積載物拘束具を組み立てることができる。
【0020】
請求項
6に係る積載物拘束具は、請求項
5に記載の積載物拘束具であって、前記差込片を前記側板に連結する第2ヒンジ部を有する。
【0021】
上記構成によれば、使用時には、第1ヒンジ部を折り曲げてL字型のアングル部を形成するとともに、第2ヒンジ部を折り曲げて差込片の突片を側板の係合孔に挿入することにより、容易に積載物拘束具を組み立てることができる。また、差込片が第2ヒンジ部によって側板に連結されているため、不使用時に積載物拘束具を分解した際に差込片が側板から分離することを防止することができる。
【0024】
請求項
8に係る積載物拘束具は、請求項1〜請求項
6の何れか1項に記載の積載物拘束具であって、前記側板の板面に設けられ、結束バンドが挿通される結束バンド挿通部を備える。
【0025】
上記構成では、側板の板面に結束バンド挿通部が設けられている。このため、積載物拘束具とともに積載物を結束バンドで結束する際に、結束バンド挿通部に結束バンドを挿通することで、結束バンドが積載物拘束具からずれることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、手で押さえることなく積載物の側面角部に保持することのできる積載物拘束具を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る積載物拘束具10について、図面を用いて説明する。
【0029】
図1に示すように、積載物拘束具10は、パレット12の積載面に積載された複数の積載物14を拘束するために用いられる。ここで、積載物14は、日用雑貨品や台所用品等の搬送しようとする製品を内部に収容した段ボール箱であり、本実施形態ではパレット12に5個ずつ3段に積載されている。
【0030】
積載物拘束具10は、L字型の断面を形成する2つの互いに直交する側板16A、16Bを有するアングル部16と、アングル部16の側板16A、16Bの内側かつ側板16A、16Bの長手方向中央部分に設けられた差込片18と、を備えている。なお、差込片18は矩形板状であり、アングル部16の側板16A、16Bと直交する面内に配置されている。「差込片18が側板16A、16Bの内側に設けられる」とは、差込片18が、2つの側板16A、16BのL字型の2辺と、これにそれぞれ平行な2辺とからなる矩形の範囲(図示せず)内に設けられることを意味する。この構成によれば、差込片18の張出しが少なくなるので、作業性や保管時の取扱いが容易となる。
【0031】
積載物拘束具10を構成するアングル部16及び差込片18は、ともにポリプロピレン樹脂から構成されている。積載物拘束具10の材質としては、弾力性、耐久性、及び機械的強度等に優れた樹脂であることが好ましく、ポリエチレン樹脂等から構成されていてもよい。なお、積載物拘束具10は、アルミニウムや鉄等の金属から構成されていてもよい。
【0032】
本実施形態では、アングル部16の側板16A、16Bが一様な厚さの板部材とされているが、側板16A、16Bは厚さが部分的に薄くされていてもよく、また、等間隔で隙間が形成された格子形状又は網目形状とされていてもよい。さらに、差込片18は、三角形状や網目形状等とされていてもよく、積載物14の間に差し込まれることによって積載物拘束具10を暫定的に積載物14の側面角部に保持できる形状であれば、任意の形状とすることができる。
【0033】
積載物拘束具10は、パレット12に積載された上下の積載物14の間に差込片18を差し込むことによって積載物14の側面角部に保持されており、アングル部16によって積載物14の側面角部の一部を覆っている。また、積載物拘束具10は、積載物14とともに結束バンド20によって結束されている。結束バンド20の一端は結束具22に固定されており、他端はアングル部16の側板16A、16Bの外側面及び積載物14の側面に巻き付けられた後、結束具22に締結されている。
【0034】
積載物拘束具10は展開及び組み立てが自在とされており、積載物拘束具10の保管時や持ち運び時等の使用時以外の時には、
図2(A)に示すように、平面状に展開された状態とされている。アングル部16の側板16A、16Bは、略長方形形状とされており、第1ヒンジ部24によって短手方向一端が互いに連結されている。また、アングル部16の側板16A、16Bの長手方向中央部分には、係合孔26がそれぞれ2つずつ形成されている。係合孔26は、側板16A、16Bをそれぞれ貫通しているが、貫通しない構成(凹状の係合穴)であってもよい。
【0035】
側板16Bの長手方向中央部分には第2ヒンジ部28の一端が連結されており、第2ヒンジ部28の他端は差込片18に連結されている。差込片18は、略正方形形状とされており、2つの辺から突片30がそれぞれ2つずつ突設されている。なお、第2ヒンジ部28及び差込片18は、アングル部16の側板16A、16Bと一体形成されている。
【0036】
展開された積載物拘束具10を組み立てる場合には、第1ヒンジ部24を折り曲げることにより、
図2(B)に示すように、側板16A、16Bを互いに直交させてアングル部16の断面をL字型とする。そして、側板16A、16Bの係合孔26にそれぞれ差込片18の突片30を挿入することにより、差込片18を側板16A、16Bの内側かつ長手方向中央部分に配置する。
【0037】
上述した工程によって、積載物拘束具10を組み立てることができる。なお、組み立てられた積載物拘束具10を展開する場合には、上述した工程とは逆の工程を行うことにより、容易に積載物拘束具10を展開することができる。
【0038】
本実施形態の積載物拘束具10によると、差込片18を積載物14の間に差し込むことにより、積載物14の側面角部に積載物拘束具10を保持することができる。このため、結束バンド20での結束時に積載物拘束具10のアングル部16を手で押さえておく必要がなく、一人での作業が容易となる。
【0039】
また、上下の積載物14の間にそれぞれ積載物拘束具10を固定することで、積載物14の積載段数が増えた場合であっても、全ての段の積載物14について搬送中の横方向のずれを防止することができる。さらに、積載物拘束具10は、全体がポリプロピレン樹脂で構成されているため、側方からの衝撃から積載物14を保護することができる。
【0040】
また、積載物拘束具10は展開及び組み立てが自在とされているため、使用時以外の時に積載物拘束具10を展開された状態としておくことができ、場所をとらず持ち運びが容易となる。
【0041】
さらに、使用時には積載物拘束具10を容易に組み立てることができ、結束バンド20及び結束具22とともに繰り返し使用することができる。また、差込片18が第2ヒンジ部28によって側板16Bに連結されているため、不使用時に積載物拘束具10を分解した際に差込片18が側板16Bから分離することを防止することができる。
【0042】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る積載物拘束具40について、図面を用いて説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0043】
図3に示すように、積載物拘束具40は、第1実施形態の積載物拘束具10と同様に、2つの側板42A、42Bを有するアングル部42と、アングル部42の側板42A、42Bの内側かつ側板42A、42Bの長手方向中央部分に設けられた差込片44と、を備えている。なお、使用時以外の時には、
図3(A)に示すように、積載物拘束具40は平面状に展開された状態とされている。
【0044】
アングル部42の側板42A、42Bは、略長方形形状とされており、第1ヒンジ部46によって短手方向一端が互いに連結されている。また、アングル部42の側板42A、42Bの長手方向中央部分には、係合孔50、及び側板42A、42Bの外側面方向(
図3(A)における奥方向)に突出するよう設けられた結束バンド挿通部48が、それぞれ1つずつ形成されている。
【0045】
側板42Bの長手方向中央部分には第2ヒンジ部52の一端が連結されており、第2ヒンジ部52の他端は差込片44に連結されている。差込片44は、略正方形形状とされており、2つの辺から突片54がそれぞれ1つずつ突設されている。また、突片54には、鉤状の係止部54Aが形成されている。
【0046】
図3(B)に示すように、側板42A、42Bの外側面における係合孔50の長手方向両側には、周囲より厚さが厚くされた肉厚部56が形成されている。肉厚部56の厚さは、差込片44の突片54が係合孔50に挿入された際の突片54の側板42A、42Bの外側面からの突出幅より厚くされており、また、結束バンド挿通部48の側板42A、42Bの外側面からの突出幅より薄くされている。
【0047】
展開された積載物拘束具40を組み立てる場合には、第1ヒンジ部46を折り曲げることにより、側板42A、42Bを互いに直交させてアングル部42の断面をL字型とする。そして、側板42A、42Bの係合孔50にそれぞれ差込片44の突片54を挿入し、突片54の係止部54Aを側板42A、42Bに係止させることにより、差込片44を側板42A、42Bの内側かつ長手方向中央部分に配置する。
【0048】
また、
図1に示す積載物14とともに積載物拘束具40を結束バンド20で結束する場合には、上下の積載物14の間に差込片44を差し込むことによって積載物14の側面角部に積載物拘束具40を保持する。その後、積載物拘束具40の結束バンド挿通部48に結束バンド20を挿通し、アングル部42の側板42A、42Bの外側面及び積載物14の側面に結束バンド20を巻き付ける。このとき、結束バンド20は、側板42A、42Bの肉厚部56の外側面に巻き付けられる。
【0049】
本実施形態の積載物拘束具40によると、差込片44の突片54に係止部54Aが形成されている。このため、積載物拘束具40を組み立てた際に、係止部54Aによって差込片44が側板42A、42Bに係止され、積載物拘束具40の使用時に差込片44が側板42A、42Bからずれたり外れたりすることを抑制することができる。
【0050】
また、側板42A、42Bの外側面に結束バンド挿通部48が形成されている。このため、積載物拘束具40とともに積載物14を結束バンドで結束する際に、結束バンド挿通部48に結束バンド20を挿通することで、結束バンド20が積載物拘束具40からずれることを抑制することができる。
【0051】
また、結束バンド挿通部48に結束バンド20を挿通した際に、結束バンド20は側板42A、42Bの肉厚部56の外側面に巻き付けられる。このため、結束バンド20が差込片44の突片54に引っ掛かることを抑制することができる。
【0052】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る積載物拘束具130について、図面を用いて説明する。なお、第1実施形態又は第2実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0053】
図4、
図5(A)において、本発明の第3実施形態に係る積載物拘束具130では、アングル部58と差込片60とが別体に構成されている。アングル部58及び差込片60の材質は、第1実施形態と同様である。アングル部58の側板58A、58Bは、長手方向に例えば500mm程度の長さを有する略長方形形状とされており、第1ヒンジ部46によって短手方向一端が互いに連結されている。第1ヒンジ部46については、第2実施形態と同様である。
【0054】
側板58Aには、例えば3箇所の結束バンド挿通部48が、該側板58Aの外側面方向に突出するように一体的に形成されている。結束バンド挿通部48は、上方側が開いた片持ち状に形成されている。また、側板58Bには、例えば5箇所の係合孔50が形成されている。なお、側板58A、58Bは、リブ(図示せず)により補強されていてもよい。
【0055】
図5(B)、(C)において、差込片60は、アングル部58の長手方向両端の間における、係合孔50の位置に設けられ、側板58A、58Bからアングル部58の内角側に延出するとともに側板58A、58Bと交差する面内に配置される。差込片60は、2つの側板58A、58Bの内側に設けられるだけでなく、2つの側板58A、58Bの外側へ延出している。「差込片60が側板の外側へ延出している」とは、差込片60が、2つの側板58A、58BのL字型の2辺と、これにそれぞれ平行な2辺とからなる矩形の範囲内だけでなく、該範囲の外側まで張り出していることを意味する。つまり、差込片60は、第1実施形態の差込片18(
図2(B))や、第2実施形態の差込片44(
図3(B))よりも長く形成されている。
【0056】
差込片60の端部60A、60Bは山型に形成されており、L字型のアングル部58の内角側に沿うように、互いに略直角に交わっている。差込片60の長手方向は、L字型のアングル部58における内角の二等分線の方向に概ね一致している。
【0057】
差込片60の端部60Aに設けられた突片64は、側板58Bの係合孔50に挿入される部位である。突片64は、平面視で例えば矩形に形成され、一般部64Aと肉厚部64Bとを有している。一般部64Aは、側板58Bの厚さ(係合孔50の奥行き)と同等の突出長を有し、係合孔50の高さに比して若干薄い厚さを有し、係合孔50の横幅に比して若干狭い横幅を有している。肉厚部64Bは、一般部64Aの先端に沿って形成され、最大厚さが、係合孔50の高さよりも若干大きく設定されている。突片64を係合孔50に挿入する際には、肉厚部64Bが係合孔50を押し広げて通過する必要があり、この際係合孔50の周囲が弾性変形するようになっている。突片64の係合孔50への挿通が完了すると、
図5(B)、(C)に示されるように、差込片60が側板58Bに係止された状態となる。
【0058】
なお、突片64の形状はこれに限られない。例えば、
図6(A)に示される例では、突片66は、折り返し可能な形状、例えば可撓性を有する帯状に形成され、先端が先細りの山型に形成されている。
図6(B)に示されるように、アングル部58の係合孔50は、1つの差込片60に対して複数設けられている。突片66は、1つの係合孔50に挿通された後、矢印A方向に折り返されて隣り合う他の係合孔50に挿通されるようになっている。突片60の先端を先細りの山型に形成することにより、該突片60を係合孔50に挿通し易くなっている。なお、係合孔50は、1つの差込片60に対して、2つで一組に限られず、3つ以上で一組であってもよい。また、折り返し可能な形状は、可撓性を有する帯状に限られず、例えば、折り返し部分のみを曲がり易い例えば紐状としたり、折り返し部分にヒンジ部を設けたりしてもよい。
【0059】
差込片60と積載物14との間の摩擦を増加させて差込んだ差込片を抜けにくくするために、差込片60の表面をゴム等により被覆してもよい。また、積載物拘束具130の使用時に、差込片60と積載物14との間にゴムシート等の滑り止め部材(図示せず)を挟んでもよい。また、差込片60の表面に凹凸を設けてもよい。さらに、差込片60の周縁に複数の張出し部を設けて、積載物14との接触面積を増やしてもよい。
【0060】
図7において、本実施形態に係る積載物拘束具130は、差込片60を積載物14の間に矢印B方向に差し込むことにより、積載物14の側面角部に積載物拘束具130を保持することができる。特に、差込片60が比較的長く形成されているので、該差込片60を積載物14の間に差し込んだ際に、該差込片60が抜けにくくなる。このため、積載物拘束具130を手で押さえなくても、該積載物拘束具130を積載物14の側面角部に安定的に保持することができる。またこれによって、
図8に示されるように、結束バンド20を結束バンド挿通部48に挿通して結束する際に、一人での作業が容易となる。更に、積載物14を倉庫などに仮置き或は保管するような場合にあっては、結束バンド20で積載物14を緊結しなくても、積載物拘束具130を積載物14に装着するだけで、作業者が不用意に接触した程度では荷ずれや荷崩れに至らず、一定の整頓状態を保つ効果もある。
【0061】
積載物14の側面角部に積載物拘束具130を装着しただけで未だ結束バンド20で縛っていない状態で、該積載物14が角方向から誤って押される場合には、積載物拘束具130が装着された側面角部は該積載物拘束具130でガードされているため、当然に荷崩れなどは防がれる。一方、積載物14が、積載物拘束具130で覆われていない側面から押された場合には、差込片60の上側の積載物14は押されれば横にずれようとする。この時に、下に敷かれている長めの差込片60と積載物14の境目の摩擦によって、回転方向の力が働き、積載物結束具130を縦軸の回りに回転させようとするが、この動きは差込片60と連結されているアングル部58が積載物14の側面角部で押えられてストッパーの役目を果たすので、積載物14の横ずれを防ぐ効果が生じる。
【0062】
このような差込片60の上側の積載物14を横ずれし難くする効果は、この積載物拘束具130を単に積載物14を輸送する状態に結束バンド20で結束するための補助具の位置づけから、貨物を整理整頓して保管する際の保管用具としての位置づけに格上げすることになる。この拘束具を用いて積載貨物を整頓して一時保管した状態から結束バンド20で結束するだけでスムーズに輸送できる状態に移行でき、到着した後には結束バンド20を解くだけで、拘束具を装着した状態で散乱させずに整理された状態で倉庫などに保管できることを可能にする。
【0063】
なお、
図9に示されるように、積載物14の側面角部の対角方向に位置する差込片60同士を、ロープ等の連結部材68によりそれぞれ連結してもよい。これにより、積載物14の拘束状態をより安定させることができる。
【0064】
(結束バンド挿通部の変形例1)
結束バンド挿通部48については、
図10に示される変形例1のような構造とすることも可能である。この変形例1では、結束バンド挿通部48が、ジョイント部材76に設けられている。具体的には、
図10(A)に示されるように、ジョイント部材76は、4個の開口78と、短孔80A及び長孔80Bと、2個の結束バンド挿通部48と、4個のアングル部係止部74と、を備えている。
【0065】
開口78は、ジョイント部材76の高さ方向両端部(
図10(A)における短手方向両端部)に形成されている。短孔80A及び長孔80Bは、ジョイント部材76の幅方向両端部(
図10(A)における長手方向両端部)に形成されている。結束バンド挿通部48は、ジョイント部材76の外側の面(
図10(A)における裏面)に突出するよう形成されている。そして、アングル部係止部74は、ジョイント部材76の内側の面(
図10(A)における表面)に突出するよう形成されている。さらに、ジョイント部材76の幅方向中央部分には、ヒンジ部82が形成されている。
【0066】
積載物拘束具130を組み立てるには、ジョイント部材76をヒンジ部82で折り曲げ、ジョイント部材76のアングル部係止部74に、アングル部16の側板16A、16Bの端縁をそれぞれ嵌合させる。ジョイント部材76は、アングル部16の長手方向にスライド可能であり、結束バンド挿通部48の位置を任意に変更することができる。なお、結束バンド挿通部48に結束バンド20を挿通する際に、更に短孔80A又は長孔80Bに結束バンド20を挿通してもよい。結束バンド20が太い場合には長孔80Bに挿通し、結束バンド20が細い場合には短孔80Aに挿通することができる。
【0067】
また、積載物拘束具130を、アングル部16とジョイント部材76とに分解したり、また組み立てたりすることができるため、保管する際に場所をとらず、持ち運びが容易となる。
【0068】
(結束バンド挿通部の変形例2)
結束バンド挿通部48については、さらに
図11(A)に示される変形例2のような構造とすることも可能である。この変形例2では、アングル部16の例えば側板16Aに、該アングル部16とは別体の結束バンド挿通部48が、例えば接着により固定される構造となっている。この例では、アングル部16に結束バンド挿通部48のような立体構造を一体成形する必要がないので、該アングル部16を一定断面とすることができる。これにより、アングル部16を押出し成形等により容易かつ安価に成形することができる。
【0069】
(結束バンド挿通部の変形例3)
結束バンド挿通部48については、さらに
図11(B)に示される変形例3のような構造とすることも可能である。この変形例3では、結束バンド挿通部48が、アングル部16の側板16A、16Bの端縁に、各々対となるように一体成形されている。結束バンド20を任意の対の結束バンド挿通部48に挿通することができる。
【0070】
(その他の実施形態)
なお、本発明について実施形態の数例を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能である。
【0071】
例えば、上記実施形態では、積載物拘束具10、40、130は展開及び組み立てが自在とされていたが、例えばL字型のアングル部16、42、58を射出成形、押出し成形等で形成することにより積載物拘束具10、40が展開不可能とされていてもよい。また、組み立てた後に接着剤等によって接着することにより展開不可能とされてもよい。
【0072】
また、側板16A、16Bの形状は任意であり、例えば、L字型を形成する側板16A、16Bが合わさる角部分に丸味を持たせ、側板16A、16Bの端部に向けて段々と薄くなるようにして、全体として断面で見た外縁が丸味を帯びた形状にしてもよい。更に、側板16A、16Bの複数箇所にヒンジ部(図示せず)を設けて、側板16A、16Bが縦方向には積載物を支える剛性を保持しながら横方向には積載物14の表面形状(例えば円筒状の積載物(図示せず)など)に沿って曲がることができる形状にしてもよい。側板42A、42B、58A、58Bについても同様である。
【0073】
第1ヒンジ部24、46は、側板16A、16B、42A、42Bの短手方向一端(長辺の一辺)全体に設けられていたが、短手方向一端(長辺の一辺)に部分的に設けられていてもよく、側板16A、42Aの一端と側板16B、42Bの一端とが少なくとも1箇所連結されていればよい。
【0074】
また、差込片18、44は、側板16A、16B、42A、42Bの長手方向中央部分に設けられていたが、長手方向両端の間であればどの位置に設けられていてもよい。
【0075】
さらに、第1実施形態において、差込片18、44は、一端が第2ヒンジ部28、52によって側板16A、42Aに連結され、他端が側板16B、42Bの係合孔26、50に挿入される片持ち棒形状とされていてもよい。なお、その場合、側板16A、42Aに差込片18、44と同形状の切り欠きを形成し、積載物拘束具10、40を展開した際に差込片18、44が側板16A、42Aの切り欠きに収容可能とされていてもよい。
【0076】
また、差込片18、44を片持ち棒形状とする場合、差込片18、44を任意の形状とすることができ、差込片18、44の他端を挿入するための係合孔26、50を側板16B、42Bに設けない構成とすることもできる。その場合、側板16B、42Bに差込片18、44が係止されていないため、積載物14の間に差込片18、44を差し込んで側板16A、42Aを積載物14の側面角部に保持した際に、側板16B、42Bが積載物14に密着されずに浮き上がる虞がある。
【0077】
しかしながら、この状態で積載物拘束具10、40を積載物14とともに結束バンド20によって結束することで、側板16B、42Bを強制的に積載物14に密着させることができ、側板16A、16B、42A、42Bが積載物14の側面角部に沿うように差込片18、44の位置が調整される。
【0078】
また、第2実施形態では、差込片44の2つの辺から突片54がそれぞれ1つずつ突設され、突片54にそれぞれ係止部54Aが形成されていたが、差込片44の2つの辺から突片54がそれぞれ2つずつ突設されていてもよく、また、係止部54Aは少なくとも1つの突片54に形成されていればよい。
【0079】
また、上記各実施形態や変形例は、適宜組み合わせることができる。例えば、第1実施形態の積載物拘束具10の差込片18の突片30に、第2実施形態のように係止部54Aを形成してもよい。また、第1実施形態の積載物拘束具10の側板16A、16Bに、第2実施形態のように結束バンド挿通部48を形成してもよい。さらに、
図4、
図10、
図11に記載の結束バンド挿通部48を、第1実施形態又は第2実施形態に適用してもよい。
【0080】
結束バンド20の結束具22は、図示のものに限られず、バックルや面ファスナ等であってもよい。
【0081】
本発明に係る積載物拘束具は、次のようなものであってもよい。
(1)L字型の断面を形成する2つの側板で構成されたアングル部と、
2つの前記側板の内側かつ前記側板の長手方向両端の間に設けられ、前記側板と直交する面内に配置された差込片と、
を備える、積載物拘束具。
(2)2つの前記側板を展開可能に連結する第1ヒンジ部と、前記差込片を前記側板に連結する第2ヒンジ部と、を備え、
前記側板に形成された係合穴に前記差込片の端部から突設された突片を挿入することにより、前記差込片が前記側板と直交する面内に配置される、(1)に記載の積載物拘束具。
(3)前記突片に形成され、前記突片を前記係合穴に挿入した際に前記側板に係止される係止部を備える、(2)に記載の積載物拘束具。
(4)前記側板の板面に形成され、結束バンドが挿通される結束バンド挿通部を備える、(1)〜(3)の何れかに記載の積載物拘束具。