特許第6573093号(P6573093)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6573093診療記録要約情報生成装置、診療記録要約情報生成方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6573093
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】診療記録要約情報生成装置、診療記録要約情報生成方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/60 20180101AFI20190902BHJP
   G06F 17/27 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   G16H10/60
   G06F17/27 665
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-48413(P2019-48413)
(22)【出願日】2019年3月15日
【審査請求日】2019年3月25日
(31)【優先権主張番号】特願2018-165027(P2018-165027)
(32)【優先日】2018年9月4日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518315287
【氏名又は名称】エニシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】坂口 智洋
(72)【発明者】
【氏名】阿部 将和
(72)【発明者】
【氏名】山田 仁
(72)【発明者】
【氏名】大江 匡行
(72)【発明者】
【氏名】小東 茂夫
【審査官】 田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−252160(JP,A)
【文献】 特開2012−174080(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0322110(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 − 80/00
G06F 17/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
診療記録情報を記憶する診療記録記憶部と、
前記診療記録情報に対応する要約文章を示す要約情報を、前記診療記録情報と対応づけて記憶する要約記憶部と、
前記診療記録情報が示す診療記録文章についてテキスト解析を行うことにより得られる前記診療記録文章を構成する要素と前記診療記録文章に対応する要約文章とに基づいて生成された各要素の重要度を示す重要度情報を記憶する重要度記憶部と、
新たな診療記録情報を受け付ける診療記録受付部と、
前記診療記録受付部が受け付けた新たな診療記録情報が示す診療記録文章についてテキスト解析を行うことにより得られる前記診療記録文章を構成する要素と前記重要度情報とに基づいて、要約文章を構成する要素を推定する採用要素推定部と、
前記採用要素推定部により推定された要素を用いて要約文章を生成する要約生成部と、
前記要約文章に対するユーザによる修正内容を受け付ける修正受付部と、を備え、
前記採用要素推定部は、前記修正受付部が受け付けた修正内容に沿った修正の後の要約文章と、前記診療記録文章を構成する要素と、に基づいて、新たな重要度情報を生成し、生成した新たな重要度情報で前記重要度記憶部が記憶する重要度情報を更新する、
診療記録要約情報生成装置。
【請求項2】
医療言語を示す医療言語情報を記憶する医療言語情報記憶部と、
前記医療言語情報を参照して、前記テキスト解析を行うことにより得られる診療記録文章を構成する要素から、医療分野固有の表現に対応する要素を抽出し、意味解析を実行することにより、抽出した各要素について検査値が正常かどうかまたは検査値の変動が正常かどうかという意味を含む医学的な意味を推定する医療情報解析部と、を更に備える、
請求項1に記載の診療記録要約情報生成装置。
【請求項3】
前記要約文章における文の区切り方と、前記要約文章の構造化方法と、前記要約文章の表現形式と、のうちの少なくとも1つを特定することにより、前記診療記録文章を構成する要素を推定するテキスト解析部を更に備える、
請求項1または2に記載の診療記録要約情報生成装置。
【請求項4】
予め特定された重要な要素を示す重要要素情報を記憶する重要要素記憶部と、
前記重要要素記憶部が記憶する前記重要要素情報を出力する重要要素出力部と、を更に備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の診療記録要約情報生成装置。
【請求項5】
診療記録要約情報生成装置が行う診療記録要約情報生成方法であって、
新たな診療記録情報を受け付けるステップと、
受け付けた新たな診療記録情報が示す診療記録文章についてテキスト解析を行うことにより得られる前記診療記録文章を構成する要素と重要度記憶部が記憶する重要度情報とに基づいて、要約文章を構成する要素を推定するステップと、
推定された要素を用いて要約文章を生成するステップと、
前記要約文章に対するユーザによる修正内容を受け付けるステップと、
前記修正内容に沿った修正の後の要約文章と、新たな診療記録情報が示す診療記録文章についてテキスト解析を行うことにより得られる前記診療記録文章を構成する要素と、に基づいて、新たな重要度情報を生成し、生成した新たな重要度情報で前記重要度記憶部が記憶する重要度情報を更新するステップと、を含む、
診療記録要約情報生成方法。
【請求項6】
コンピュータを、
診療記録情報を記憶する診療記録記憶部、
前記診療記録情報に対応する要約文章を示す要約情報を、前記診療記録情報と対応づけて記憶する要約記憶部、
前記診療記録情報が示す診療記録文章についてテキスト解析を行うことにより得られる前記診療記録文章を構成する要素と前記診療記録文章に対応する要約文章とに基づいて生成された各要素の重要度を示す重要度情報を記憶する重要度記憶部、
新たな診療記録情報を受け付ける診療記録受付部、
前記診療記録受付部が受け付けた新たな診療記録情報が示す診療記録文章についてテキスト解析を行うことにより得られる前記診療記録文章を構成する要素と前記重要度情報とに基づいて、要約文章を構成する要素を推定する採用要素推定部、
前記採用要素推定部により推定された要素を用いて要約文章を生成する要約生成部、
前記要約文章に対するユーザによる修正内容を受け付ける修正受付部、として機能させ、
前記採用要素推定部は、前記修正受付部が受け付けた修正内容に沿った修正の後の要約文章と、前記診療記録文章を構成する要素と、に基づいて、新たな重要度情報を生成し、生成した新たな重要度情報で前記重要度記憶部が記憶する重要度情報を更新する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診療記録要約情報生成装置、診療記録要約情報生成方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者の診療履歴を含む電子カルテ情報を取得し、取得した電子カルテ情報から病名を抽出し、抽出した病名に対応する病気の種別を特定し、特定した病気の種別に基づいて、電子カルテ情報の要約を作成する要約作成装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。ここで、電子カルテ情報は、診断の結果得られる病気の名称が日付と患者名とに対応づける形で整理された情報である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−157539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電子カルテ情報は、必ずしもその後の病名等の抽出を考慮して構造化された形式で記述されているものばかりではなく、文章などの構造化されていない形式で記述されたものも多数存在する。そこで、文章などの形式で記述された電子カルテ情報から適切な要約情報を生成することが要請されている。要約を作成することにより、医師が診療経過を一覧し、効率的に診療の内容を把握することができたり、他の医師への診療の引継ぎが容易になったりする利点がある。また、要約を作成することにより、診療情報提供書や退院時サマリ、診断書等の文書作成が容易になるという利点もある。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、診療記録情報から適切な要約情報を生成することができる診療記録要約情報生成装置、診療記録要約情報生成方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る診療記録要約情報生成装置は、
診療記録情報を記憶する診療記録記憶部と、
前記診療記録情報に対応する要約文章を示す要約情報を、前記診療記録情報と対応づけて記憶する要約記憶部と、
前記診療記録情報が示す診療記録文章についてテキスト解析を行うことにより得られる前記診療記録文章を構成する要素と前記診療記録文章に対応する要約文章とに基づいて生成された各要素の重要度を示す重要度情報を記憶する重要度記憶部と、
新たな診療記録情報を受け付ける診療記録受付部と、
前記診療記録受付部が受け付けた新たな診療記録情報が示す診療記録文章についてテキスト解析を行うことにより得られる前記診療記録文章を構成する要素と前記重要度情報とに基づいて、要約文章を構成する要素を推定する採用要素推定部と、
前記採用要素推定部により推定された要素を用いて要約文章を生成する要約生成部と、
前記要約文章に対するユーザによる修正内容を受け付ける修正受付部と、を備え、
前記採用要素推定部は、前記修正受付部が受け付けた修正内容に沿った修正の後の要約文章と、前記診療記録文章を構成する要素と、に基づいて、新たな重要度情報を生成し、生成した新たな重要度情報で前記重要度記憶部が記憶する重要度情報を更新する。ここで、「ユーザ」とは、医師、その他医療従事者等に相当する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、採用要素推定部が、修正受付部が受け付けた修正内容に沿った修正の後の要約文章と、新たな診療記録情報が示す診療記録文章についてテキスト解析を行うことにより得られる新たな診療記録文章を構成する要素と、に基づいて、新たな重要度情報を生成する。そして、採用要素推定部は、生成した新たな重要度情報で重要度記憶部が記憶する重要度情報を更新する。これにより、重要度情報がユーザ(医師、その他医療従事者等)の経験に基づいてより適切な情報へと更新されていくので、作成される要約情報の妥当性が向上するという利点がある。つまり、診療記録情報から適切な要約情報を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係る診療記録要約情報生成装置の構成を示すブロック図である。
図2】(A)は実施の形態に係る診療記録データベースの内容を示す図であり、(B)は実施の形態に係る要約データベースの内容を示す図である。
図3】(A)は実施の形態に係るパラメータデータベースの内容を示す図であり、(B)は実施の形態に係る許容範囲データベースの内容を示す図である。
図4】実施の形態に係る診療記録要約情報生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5】実施の形態に係るテキスト解析処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】実施の形態に係る要素重要度設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7】実施の形態に係る採用要素推定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8】変形例に係る診療記録要約情報生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】変形例に係る診療記録文章構成要素特定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図10】変形例に係る診療記録要約情報生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態に係る診療記録要約情報生成装置について図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態に係る診療記録要約情報生成装置は、診療記録情報を記憶する診療記録記憶部と、診療記録に対応する要約を示す要約情報を、診療記録情報と対応づけて記憶する要約記憶部と、重要度記憶部と、を備える。重要度記憶部は、診療記録情報が示す診療記録文章についてテキスト解析を行うことにより得られる診療記録文章を構成する要素と診療記録文章に対応する要約文章とに基づいて生成された各要素の重要度を示す重要度情報を記憶する。ここで、テキスト解析とは、形態素解析、構文解析、文脈解析、時間情報解析、事実性解析、固有表現抽出および意味解析を含む。なお、「重要度」は、複数の要素の組合せに対しても決まり得るものである。また、診療記録要約情報生成装置は、新たな診療記録情報を受け付ける診療記録受付部と、要約文章を構成する要素を推定する採用要素推定部と、要約情報を生成する要約生成部と、要約情報が示す要約文章に対するユーザによる修正を受け付ける修正受付部と、医療情報解析部と、を備える。ここで、採用要素推定部は、診療記録受付部が受け付けた新たな診療記録情報が示す診療記録文章についてテキスト解析を行うことにより得られる新たな診療記録文章を構成する要素と重要度情報とに基づいて、要約文章を構成する要素を推定する。ここで、「要素」とは、形態素、単語、句、文節、節、文のうちの少なくとも1つに相当する。そして、要約生成部は、採用要素推定部により推定された要素を用いて要約文章を示す要約情報を生成する。また、採用要素推定部は、修正受付部が受け付けた修正内容に沿った修正の後の要約文章と、新たな診療記録情報が示す診療記録文章についてテキスト解析を行うことにより得られる新たな診療記録文章を構成する要素と、に基づいて、新たな重要度情報を生成し、生成した新たな重要度情報で重要度記憶部が記憶する重要度情報を更新する。
【0010】
例えば図1に示すように、本実施の形態に係る診療記録要約情報生成装置1は、CPU(Central Processing Unit)11と主記憶部12と補助記憶部13と入力部15と表示部16と各部を接続するバス19とを備える。主記憶部12は、RAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリから構成され、CPU11の作業領域として使用される。補助記憶部13は、磁気ディスク、半導体メモリ等の不揮発性メモリから構成され、診療記録要約情報生成装置1の各種機能を実現するためのプログラムを記憶する。入力部15は、例えばキーボードであり、ユーザが入力する各種操作情報を受け付けて、受け付けた操作情報をCPU11へ出力する。表示部16は、例えば液晶ディスプレイであり、CPU11から入力された各種情報を表示する。
【0011】
診療記録要約情報生成装置1では、CPU11が、補助記憶部13が記憶するプログラムを主記憶部12に読み込んで実行することにより、テキスト解析部111、医療情報解析部112、診療記録受付部113、採用要素推定部114、要約生成部115、要約出力部116、および修正受付部117として機能する。また、補助記憶部13は、診療記録データベース(以下、「DB」と称する。)131と、要約DB132と、パラメータDB133と、医療言語DB134と、許容範囲DB136と、テンプレートDB137と、を有する。診療記録DB131は、例えば図2(A)に示すように、患者毎に、過去の診療記録文章を示す診療記録情報を時系列で記憶する。ここで、診療記録DB131は、診療記録情報を、診療記録識別情報、診療日情報および診療の進行状況を示す進行状況識別情報と対応づけて記憶する。また、一の患者についての少なくとも1つの診療記録情報の群には、その一の患者を識別する患者識別情報に対応づけられている。
【0012】
要約DB132は、例えば図2(B)に示すように、患者毎に、過去の要約文章を示す要約情報を時系列で記憶する。ここで、要約DB132は、要約情報を、その要約情報に対応する診療記録情報についての診療記録識別情報および診療日情報と対応づけて記憶する。また、一の患者についての少なくとも1つの要約情報の群には、その一の患者を識別する患者識別情報に対応づけられている。
【0013】
パラメータDB133は、例えば図3(A)に示すように、各要素の重要度を示す重要度情報を記憶する重要度記憶部である。ここで、重要度情報は、要素を要約文章に優先的に含めるべき度合を示す情報である。重要度情報は、診療記録情報が示す診療記録文章についてテキスト解析を行うことにより得られる診療記録文章を構成する要素と診療記録文章に対応する要約文章とに基づいて生成される。
【0014】
図1に戻って、医療言語DB134は、診療ガイドラインまたはその他診療関係の文書において一般的に使用されている複数種類の医療言語を予め記憶している医療言語情報記憶部である。
【0015】
許容範囲DB136は、例えば図3(B)に示すように、例えば診療ガイドライン等で規定された検査項目について要約文章へ含めなくてもよい検査値の許容範囲を示す許容範囲情報を、その検査項目を示す医療言語情報と対応づけて記憶する許容範囲記憶部である。例えば図3(B)で示す例では、検査項目「○△△」に対応する検査値の許容範囲が0%〜5%であることを示している。
【0016】
テンプレートDB137は、採用要素を用いて要約文章を生成する際に、適切な要約文章表現にするための要約テンプレート情報を記憶する。
【0017】
図1に戻って、テキスト解析部111は、診療記録情報が示す診療記録文章についてテキスト解析を実行する。ここで、テキスト解析部111は、まず診療記録情報が示す診療記録文章を文に分割する。このとき、テキスト解析部111は、診療記録文章に含まれる句点等に基づいて、診療記録文章を文に分割する。次に、テキスト解析部111は、診療記録文章を文に分割して得られる各文について形態素解析を実行することにより、その文を要素に分割する。そして、テキスト解析部111は、要素に分割された文について構文解析を実行することにより、文の構造を推定する。続いて、テキスト解析部111は、推定した文の構造に基づいて、語句間の照応関係、文節の間の談話関係等を推定する。また、テキスト解析部111は、要素に分割された文について時間情報解析を実行することにより、文章中に含まれる出来事を示す要素の起こる日付や前後関係を推定し、出来事を示す要素を時間軸上で並べる。更に、テキスト解析部111は、要素に分割された文について事実性解析を実行することにより、文章中に含まれる出来事が実際に起こったか否かを特定する。
【0018】
医療情報解析部112は、医療言語DB134が記憶する医療言語情報を参照して、診療記録情報についてテキスト解析を行うことにより得られる診療記録文章を構成する要素から、医療分野固有の表現に対応する要素を抽出する。具体的には、医療情報解析部112は、診療記録情報に含まれる要素に分割された文から医療分野固有の表現に対応する要素を抽出し、意味解析を実行することにより、抽出した各要素の医学的な意味を推定する。ここで、医療情報解析部112は、医療表現に対応する各要素について、その要素の上位概念または下位概念を推定したり、同義語または多義語であるか否かを推定したりする。また、医療情報解析部112は、診療記録情報が示す診療記録文章に含まれる検査値が、許容範囲DB136が記憶するその検査値に対応する許容範囲情報が示す許容範囲内か否かを判定する。
【0019】
診療記録受付部113は、ユーザが入力部15を介して入力する新たな診療記録情報を受け付ける。
【0020】
採用要素推定部114は、診療記録受付部113が受け付けた新たな診療記録情報が示す診療記録文章についてテキスト解析を行うことにより得られる診療記録文章を構成する要素と、パラメータDB133が記憶する重要度情報と、に基づいて、要約文章を構成する要素を推定する。具体的には、採用要素推定部114は、パラメータDB133が記憶する各要素の重要度を示す重要度情報に基づいて、診療記録受付部113が受け付けた新たな診療記録情報が示す診療記録文章についてテキスト解析を行うことにより得られる新たな診療記録文章を構成する各要素の重要度情報を決定する。そして、採用要素推定部114は、重要度情報が予め設定された基準値以上である要素を採用要素として推定する。
【0021】
また、採用要素推定部114は、修正受付部117が受け付けた修正内容に沿った修正の後の要約文章と、新たな診療記録文章についてテキスト解析を行うことにより得られる新たな診療記録文章を構成する要素と、に基づいて、新たな重要度情報を生成する。そして、採用要素推定部114は、生成した新たな重要度情報でパラメータDB133が記憶する重要度情報を更新する。その後、採用要素推定部114は、新たに生成された重要度情報を用いて採用要素を推定する。このようにして、採用要素推定部114は、修正後の要約文章と新たな診療記録情報とに基づいて、機械学習を用いて重要度情報を更新する機能を有する。
【0022】
要約生成部115は、テンプレートDB137が記憶する要約テンプレート情報に基づいて、採用要素推定部114が推定した採用要素を用いて要約文章を示す要約情報を生成する。
【0023】
要約出力部116は、要約生成部115が生成した要約情報を、表示部16へ出力する。このとき、表示部16は、要約出力部116から入力される要約情報が示す要約文章を表示する。これにより、ユーザは、表示部16に表示された要約文章を参照しながら、入力部15を介して要約文章の修正を行うことができる。
【0024】
修正受付部117は、要約出力部116により要約文章が表示部16に表示された状態で、ユーザが入力部15を介して要約文章を修正する操作を行った場合、その要約文章の修正内容を受け付ける。
【0025】
次に、本実施の形態に係る診療記録要約情報生成装置1が実行する診療記録要約情報生成処理について図4乃至図7を参照しながら説明する。この診療記録要約情報生成処理は、ユーザが診療記録要約情報生成装置1へ電源を投入した後、入力部15を介して診療記録要約情報生成処理を実行するための操作を行ったことを契機として開始される。
【0026】
まず、テキスト解析部111および医療情報解析部112は、図4に示すように、診療記録DB131および要約DB132から、過去の診療記録情報およびそれに対する要約情報を取得する(ステップS101)。
【0027】
次に、テキスト解析部111は、テキスト解析処理を実行する(ステップS102)。このテキスト解析処理では、まず、図5に示すように、テキスト解析部111が、医療言語DB134が記憶する医療言語情報を参照して、診療記録情報が示す診療記録文章について形態素解析を実行することにより、診療記録文章および要約文章を要素に分割する(ステップS201)。次に、テキスト解析部111は、要素に分割された診療記録文章について、構文解析を実行する(ステップS202)。続いて、テキスト解析部111は、要素に分割された診療記録文章について、文脈解析を実行する(ステップS203)。その後、テキスト解析部111は、要素に分割された診療記録文章について、時間情報解析を実行する(ステップS204)。次に、テキスト解析部111は、要素に分割された診療記録文章について、事実性解析を実行する(ステップS205)。続いて、医療情報解析部112は、医療言語DB134が記憶する医療言語情報を参照して、要素に分割された文から医療分野固有の表現を抽出する(ステップS206)。そして、医療情報解析部112は、医療言語DB134が記憶する医療言語情報を参照して、抽出した各要素の医学的な意味を推定する意味解析を実行する(ステップS207)。
【0028】
図4に戻って、続いて、採用要素推定部114は、テキスト解析部111が過去の診療記録情報が示す診療記録文章についてテキスト解析を実行した結果に基づいて、要素重要度設定処理を実行する(ステップS103)。
【0029】
この要素重要度設定処理では、まず、図6に示すように、採用要素推定部114は、テキスト解析部111が診療記録情報が示す診療記録文章についてテキスト解析を実行した結果に基づいて、診療記録文章に含まれる各要素と、対応する要約文章に含まれる各要素と、を比較する(ステップS301)。
【0030】
次に、採用要素推定部114は、診療記録文章に含まれる各要素と対応する要約文章に含まれる各要素とを比較した結果に基づいて、要約文章に採用されている要素を特定する(ステップS302)。続いて、採用要素推定部114は、特定した各要素の重要度を機械学習を用いて特定する(ステップS303)。採用要素推定部114は、特定した各要素の重要度を示す重要度情報をパラメータDB133に記憶させる。
【0031】
採用要素推定部114が行う機械学習による各要素の重要度の特定(ステップS303)では、テキスト解析処理(ステップS102)で得られた各要素に含まれる言語情報や医療情報を用いて、重要度を決定する。言語情報や医療情報は、例えば、疾患名、症状、日付、処方薬、ある検査値が正常な値か否か、ある検査値の単位期間あたりの変動量などである。
【0032】
続いて、テキスト解析部111は、新たな診療記録情報を受け付けたか否かを判定する(ステップS104)。テキスト解析部111は、新たな診療記録情報を受け付けない限り(ステップS104:No)、ステップS104の処理を繰り返す。
【0033】
一方、テキスト解析部111は、新たな診療記録情報を受け付けたと判定すると(ステップS104:Yes)、その新たな診療記録情報についてテキスト解析処理を実行する(ステップS105)。そして、採用要素推定部114が、新たな診療記録情報についてテキスト解析を行うことにより得られる新たな診療記録文章を構成する要素に基づいて、採用要素推定処理を実行する(ステップS106)。この採用要素推定処理では、まず、図7に示すように、採用要素推定部114が、新たな診療記録文章を構成する要素に基づいて、新たな診療記録文章に含まれる各要素の重要度を決定する(ステップS501)。ここで、採用要素推定部114は、パラメータDB133が記憶する各要素に対応する重要度情報が示す重要度に基づいて、診療記録文章に含まれる各要素の重要度を決定する。次に、採用要素推定部114は、決定した重要度が予め設定された基準重要度以上である要素を採用要素として推定する(ステップS502)。
【0034】
図4に戻って、続いて、要約生成部115は、テンプレートDB137が記憶する要約テンプレート情報に基づいて、採用要素推定部114が推定した採用要素を用いて要約文章を生成する(ステップS107)。ここで、要約生成部115は、生成した要約情報を要約DB132に記憶させる。その後、要約出力部116は、要約生成部115が生成した要約情報を、表示部16へ出力する(ステップS108)。このとき、表示部16は、要約出力部116から入力される要約情報が示す要約文章を表示する。
【0035】
続いて、修正受付部117は、要約出力部116により要約文章が表示部16に表示された状態で、その要約文章の修正内容を受け付けたか否かを判定する(ステップS109)。ここで、修正受付部117は、要約出力部116により要約文章が表示部16に表示された状態で、ユーザが入力部15を介して表示した要約文書の内容そのままで了承するための操作を行った場合、その要約文章の修正内容を受け付けないと判定する。一方、修正受付部117は、要約出力部116により要約文章が表示部16に表示された状態で、ユーザが入力部15を介して表示した要約文書の内容を取得するための操作を行った場合、その要約文章の修正内容を受け付けたと判定する。
【0036】
修正受付部117により要約文章の修正内容を受け付けないと判定されると(ステップS109:No)、再びステップS104の処理が実行される。一方、修正受付部117は、要約文章の修正内容を受け付けたと判定すると(ステップS109:Yes)、修正内容を示す情報を要約生成部115へ通知する。そして、要約生成部115は、修正内容を示す情報に基づいて、修正後の要約文章を示す要約情報を生成する(ステップS110)。また、要約生成部115は、修正後の要約文章を示す要約情報を用いて、要約DB132が記憶する新たな診療記録情報に対応する要約情報を更新する。
【0037】
その後、テキスト解析部111は、更新後の要約情報を用いて、再び前述のテキスト解析処理を実行する(ステップS102)。次に、再びステップS103の要素重要度設定処理が実行される。このとき、採用要素推定部114は、修正受付部117が受け付けた修正後の要約文章と新たな診療記録情報が示す診療記録文章についてテキスト解析を行うことにより得られる新たな診療記録文章を構成する要素とに基づいて、新たな重要度情報を生成する。そして、採用要素推定部114は、生成した新たな重要度情報をパラメータDB133に記憶させる。続いて、ステップS103以降の処理が実行される。このように、ステップS103からステップS110の処理が繰り返し実行されることにより、採用要素推定部114が用いる重要度情報の機械学習が行われる。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態に係る診療記録要約情報生成装置1によれば、医療情報解析部112が、修正受付部117が受け付けた修正後の要約文章と新たな診療記録情報が示す診療記録文章についてテキスト解析を行うことにより得られる新たな診療記録文章を構成する要素とに基づいて、新たな重要度情報を生成する。そして、採用要素推定部114は、生成した新たな重要度情報で重要度記憶部が記憶する重要度情報を更新する。これにより、パラメータDB133が記憶する重要度情報が、医師、その他医療従事者等の経験に基づいてより適切な情報へと更新されていくので、作成される要約情報の妥当性が向上するという利点がある。
【0039】
また、本実施の形態では、テキスト解析部111が、医療言語DB134が記憶する医療言語情報を参照して、診療記録情報が示す診療記録文章についてテキスト解析を行うことにより得られる診療記録文章を構成する要素およびそれに対応する要約文章に基づいて、診療記録文章および要約文章から医療言語を特定する。これにより、医療言語DB134が記憶する医療言語が要約文章から脱落する確率を低減できるので、例えば医療言語DB134にユーザにとって重要な医療言語を記憶させておくことによりユーザにとって適切な要約情報が生成されるという利点がある。
【0040】
また、本実施の形態では、例えば、診療記録情報に含まれる検査値情報が示す検査値が許容範囲から外れている場合に、その検査値が要約文章に含まれる可能性が高まるので、患者の疾患に起因した検査値の異常の見逃しが抑制される。
【0041】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は前述の実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、医療情報解析部112が、その患者の過去の診療記録情報と新たな診療記録情報とに含まれる検査値情報が示す検査値の履歴に基づいて、検査値情報が示す検査値の単位期間当たりの変動量の絶対値が許容範囲を外れているか否かを判定するものであってもよい。この場合、許容範囲DB136が、過去の診療記録情報と新たな診療記録情報とに含まれる検査値情報が示す検査値の単位期間当たりの変動量の絶対値に対する予め設定された許容範囲を示す許容範囲情報を記憶するようにすればよい。
【0042】
ここで、医療情報解析部112は、例えば、診療記録DB131が記憶する過去の診療記録情報と診療記録受付部113が受け付けた新たな診療記録情報が示す診療記録文章とについてテキスト解析を行うことにより得られる新たな診療記録文章を構成する要素に基づいて、過去の診療記録情報と新たな診療記録情報とのそれぞれに含まれる検査値情報を特定する。そして、医療情報解析部112は、特定した検査値情報が示す検査値の履歴に基づいて、特定した検査値情報が示す検査値の単位期間当たりの変動量の絶対値が前述の許容範囲を外れているか否かを判定する。また、要約生成部115は、医療情報解析部112により単位期間当たりの変動量の絶対値が前述の許容範囲を外れていると判定されると、検査値情報が示す検査値が要約文章に含まれるように、要約情報を生成するようにすればよい。
【0043】
本構成によれば、予め設定された検査項目の検査値の変動量が予め設定された許容範囲を外れている場合、その検査項目と検査値とが要約文章に含まれる可能性が高まる。従って、ユーザは、例えば患者の疾患に起因した検査値の変動の記載漏れを防ぐことができる。
【0044】
実施の形態において、診療記録要約情報生成装置が、例えば患者の退院時における要約文章(いわゆる退院時サマリ)を作成する際、その患者について入院期間中に作成した要約文章の全てを選出して、表示部16に表示させるものであってもよい。このように、いわゆる退院時サマリや診療情報提供書、診断書等を作成することができれば、医師等にとって文書作成を効率化できるという利点がある。
【0045】
実施の形態では、テキスト解析部111および医療情報解析部112が診療記録文章に対して実行するテキスト解析処理が、形態素解析、構文解析、文脈解析、時間情報解析、事実性解析、固有表現抽出および意味解析を含む例について説明した。但し、テキスト解析部111および医療情報解析部112が実行するテキスト解析処理は、これら以外の他の解析処理を含むものであってもよい。
【0046】
実施の形態において、重要度情報が、1つの要素の重要度を示す情報のみならず、複数の要素の組合せそれぞれについての重要度を示す情報を含むものであってもよい。
【0047】
実施の形態において、予め特定された重要な要素を示す重要要素情報を記憶する重要要素記憶部(図示せず)と、重要要素情報を表示部16へ出力する重要要素出力部(図示せず)と、を備えるものであってもよい。ここで、「予め特定された重要な要素」とは、過去の診療記録情報に含まれているか否かに関わらず本来的に要約文章に含まれるべき重要な要素を意味する。言い換えると、予め設定された重要な要素とは、診療記憶情報、即ち、いわゆる原文を作成する段階で、原文に含めるべきところだったが見落としていて、原文に現れていない可能性が高いいわゆる「補完的重要要素」を意味する。重要要素出力部は、要約出力部116が要約情報を表示部16へ出力する際、前述の重要要素情報を重要要素記憶部から取得し、取得した重要要素情報を表示部16へ出力する。具体的には、重要要素出力部は、検査名、処置名、処方名、診断名等の採用要素推定部114により推定されない可能性、言い換えると、見落とされる可能性のある重要な要素を、要約情報とともに表示部16へ出力する。この場合、表示部16は、要約出力部116から入力される要約情報が示す要約文章とともに、重要要素出力部から入力される重要要素情報が示す重要要素を表示する。本構成によれば、予め特定された重要な要素が、要約文章から抜けてしまうことを防止できるので、より適切な要約文章を生成することができる。
【0048】
実施の形態において、テキスト解析部111が、要約文章における文の区切り方と、日付、キーワード等に基づく要約文章の構造化方法と、要約文章の表現形式と、の少なくとも1つを特定することにより、診療記録文章を構成する要素を推定するものであってもよい。この場合、採用要素推定部114は、要約文章における文の区切り方と要約文章の構造化方法と要約文章の表現形式との少なくとも1つに基づいて推定された診療記録文章を構成する要素それぞれについて、重要度を設定するようにすればよい。
【0049】
ここで、本変形例に係る診療記録要約情報生成装置1が実行する診療記録要約情報生成処理について図8および図9を参照しながら説明する。なお、図8において、実施の形態と同様の処理については、それぞれ、図4と同一の符号を付している。本変形例に係る診療記録要約情報生成処理では、例えば図8に示すように、実施の形態で説明したテキスト解析処理に代えて、診療記録文章構成要素特定処理(ステップS701、S702)の処理が実行される。なお、図8におけるステップS101において、例えば過去の診療記録情報のみ存在し要約情報が存在しない場合において、例えば医師が、過去のいくつかの診療記録情報から手作業で作成した要約情報を要約DB132に記憶させてから、テキスト解析部111および医療情報解析部112は、要約DB132から要約情報を取得する場合も含まれる。診療記録文章構成要素特定処理では、例えば図9に示すように、まず、テキスト解析部111が、診療記録情報、要約情報および要約文章の修正内容を取得する(ステップS801)。なお、修正受付部117が、要約文章の修正内容を受け付けていない場合、テキスト解析部111は、診療記録情報および要約情報のみを取得する。
【0050】
次に、テキスト解析部111は、要約文章における文の区切り方、要約文章の構造化方法および要約文章の表現形式に基づいて、診療記録情報が示す診療記録文章の構成要素を特定するためのモデルを構築する(ステップS802)。ここで、要約文章には、修正受付部117が修正内容を受け付けている場合、受け付けた修正内容に沿って修正した後の要約文章も含まれる。続いて、テキスト解析部111は、診療記録文章および構築したモデルに基づいて、診療記録文章を構成する要素を特定する(ステップS803)。
【0051】
本構成によれば、例えば診療記録情報を保有する病院において、その病院独自の要約文章における文の区切り方、日付、キーワード等に基づく要約文章の構造化方法、或いは、要約文章の表現形式が反映された要約情報を提供することが可能となる。
【0052】
実施の形態において、修正受付部117が、単なる要約文章に採用される要素の取捨選択に関する修正のみならず、要約文章における文の区切り方、診療記録情報からの要約文章に含める要素の切り出し方、日付、キーワード等に基づく要約文章の構造化結果、或いは、要約文章の表現を修正することを含む修正内容を受け付けるものであってもよい。
【0053】
実施の形態では、テキスト解析部111および医療情報解析部112が、新たな診療記録情報を受け付けた後、その新たな診療記録情報から生成された要約文章の修正内容を受け付ける毎に、過去の診療記録情報およびそれに対する要約情報を用いてテキスト解析処理および要素重要度設定処理を実行する例について説明した。但し、これに限らず、例えば、テキスト解析部111および医療情報解析部112が、予め設定された要素重要度更新時期が到来するまで修正受付部117が受け付けた修正内容を蓄積し、要素重要度更新時期が到来したときに、過去の診療記録情報およびそれに対する要約情報を用いてテキスト解析処理および要素重要度設定処理を実行するものであってもよい。即ち、テキスト解析部111および医療情報解析部112が、要素重要度更新時期の間の期間において修正受付部117が受け付けた修正内容を蓄積しておき、要素重要度更新時期が到来したタイミングでそれまでに蓄積した修正内容を用いて、要素重要度を更新するといういわゆるバッチ処理を行うものであってもよい。ここで、要素重要度更新時期は、例えば1日毎、1週間毎または1月毎に到来するものであってもよい。
【0054】
ここで、本変形例に係る診療記録要約情報生成装置1が実行する診療記録要約情報生成処理について図10を参照しながら説明する。なお、図10において、実施の形態と同様の処理については、図4と同一の符号を付している。まず、ステップS101からS109までの一連の処理が実行された後、要約生成部115は、修正内容を示す情報に基づいて、修正後の要約文章を示す要約情報を生成する(ステップS110)。次に、テキスト解析部111および医療情報解析部112は、要素重要度更新時期が到来したか否かを判定する(ステップS601)。テキスト解析部111および医療情報解析部112が、要素重要度更新時期が到来していないと判定すると(ステップS601:No)、再びステップS102以降の処理が実行される。一方、テキスト解析部111および医療情報解析部112が、要素重要度更新時期が到来したと判定したとする(ステップS601:Yes)。この場合、修正受付部117は、受け付けた修正内容を補助記憶部13に設けられた修正内容記憶部(図示せず)に記憶させる(ステップS602)。その後、再びステップS104の処理が実行される。
【0055】
このように、本変形例に係る診療記録要約情報生成装置1では、要素重要度更新時期が到来する毎に、それまでに修正受付部117が受け付けた要約文章の修正内容に基づいて、要素重要度が更新される。なお、図9および図10を用いて説明した変形例においては、要素重要度更新時期が到来する毎に、それまでに修正受付部117が受け付けた要約文章の修正内容に基づいて、診療記録文章を構成する要素を特定する方法を更新するようにしてもよい。
【0056】
本構成によれば、過去の診療記録情報およびそれに対する要約情報を全て用いたテキスト解析処理および要素重要度設定処理、或いは、診療記録文章構成要素特定処理の実行頻度を低減することができるので、処理負荷の軽減を図ることができる。
【0057】
実施の形態では、診療記録要約情報生成装置1が、診療記録情報からそれに対応する要約情報を生成する例について説明した。但し、これに限らず、診療記録要約情報生成装置1が、例えば看護記録情報または介護記録情報から、それらに対応する要約情報を生成するものであってもよい。
【0058】
実施の形態において、要約情報が、医学専門用語を含む診療記録情報から抽出された重要度の高い要素に基づいて、平易な文章に翻訳された要約文章を示すものであってもよい。ここで、「平易な文章」とは、医学専門用語の知識が無くても解読できる文章である。この場合、例えば、医療言語DB134が、各医学専門用語とともに、それらに対応する平易な表現を対応づけて記憶するようにすればよい。そして、要約生成部115は、採用要素推定部114が、医学専門用語を含む診療記録情報から推定した重要度の高い要素に基づいて、医療言語DB134が記憶する平易な表現を参照して、平易な文章に翻訳された要約文章を生成するようにすればよい。本構成によれば、要約文章に含まれる情報を、例えば医師、コメディカル、介護に携わる人および患者との間で要約情報を共有することができるという利点がある。
【0059】
また、本発明に係る診療記録要約情報生成装置1の各種機能は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、ネットワークに接続されているコンピュータに、上記動作を実行するためのプログラムを、コンピュータシステムが読み取り可能な非一時的な記録媒体(CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)等)に格納して配布し、当該プログラムをコンピュータシステムにインストールすることにより、上述の処理を実行する診療記録要約情報生成装置1を構成してもよい。
【0060】
また、コンピュータにプログラムを提供する方法は任意である。例えば、プログラムは、通信回線の掲示版(BBS(Bulletin Board System))にアップロードされ、通信回線を介してコンピュータに配信されてもよい。そして、コンピュータは、このプログラムを起動して、OS(Operating System)の制御の下、他のアプリケーションと同様に実行する。これにより、コンピュータは、上述の処理を実行する診療記録要約情報生成装置1として機能する。
【0061】
以上、本発明の各実施の形態および変形例(なお書きに記載したものを含む。以下、同
様。)について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、実施
の形態及び変形例が適宜組み合わされたもの、それに適宜変更が加えられたものを含む。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、医療現場において診療記録情報から要約情報を生成する作業に好適である。
【符号の説明】
【0063】
1:診療記録要約情報生成装置、11:CPU、12:主記憶部、13:補助記憶部、15:入力部、16:表示部、19:バス、111:テキスト解析部、112:医療情報解析部、113:診療記録受付部、114:採用要素推定部、115:要約生成部、116:要約出力部、117:修正受付部、131:診療記録DB、132:要約DB、133:パラメータDB、134:医療言語DB、136:許容範囲DB、137:テンプレートDB
【要約】
【課題】診療記録情報から適切な要約情報を生成することができる診療記録要約情報生成装置、診療記録要約情報生成方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】パラメータDB133は、診療記録情報が示す診療記録文章についてテキスト解析を行うことにより得られる診療記録文章を構成する要素と診療記録文章に対応する要約文章とに基づいて生成された各要素の重要度を示す重要度情報を記憶する。採用要素推定部114は、新たな診療記録情報が示す診療記録文章についてテキスト解析を行うことにより得られる新たな診療記録文章を構成する要素と重要度情報とに基づいて、要約文章を構成する要素を推定する。また、採用要素推定部114は、修正受付部117が受け付けた修正内容に沿った修正の後の要約文章と、新たな診療記録文章を構成する要素と、に基づいて、新たな重要度情報を生成する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10