【実施例1】
【0019】
先ず、本発明の二重管式熱交換器10が適用されたヒートポンプ式熱源機2の全体構成について簡単に説明する。
図1に示すように、ヒートポンプ式熱源機2は、第1熱媒体(例えばヒートポンプ用冷媒)により第2熱媒体(例えば給湯用湯水)を加熱する為のヒートポンプ回路6と、このヒートポンプ回路6を制御する為の熱源機側制御部7と、これら器具を収納する為の外装ケース8等を備えている。
【0020】
尚、
図1に示すように、本実施例のヒートポンプ式熱源機2は、加熱後の湯水を貯湯する貯湯タンク21を有する貯湯タンクユニット3と、この貯湯タンクユニット3とヒートポンプ式熱源機2とに亙って湯水を循環させる為の循環用配管4a,4bと、これらを制御する制御ユニット5等と組み合わせることでヒートポンプ給湯装置1を構成している。
【0021】
ヒートポンプ回路6は、圧縮機9、湯水加熱用の凝縮熱交換器を構成する二重管式熱交換器10、高圧の冷媒を急膨張させて温度と圧力を下げる膨張弁11、外気熱吸収用の蒸発熱交換器12を有し、これら機器が冷媒配管13を介して接続されて構成され、冷媒配管13に封入された冷媒を利用して貯湯運転を行う。ヒートポンプ回路6の蒸発熱交換器12には、蒸発熱交換器用の送風ファン14が設けられている。
【0022】
次に、外装ケース8内に収納されている各種機器について簡単に説明する。
図1に示すように、圧縮機9は、気相状態の冷媒を断熱圧縮して温度上昇させる公知の密閉型圧縮機である。
【0023】
二重管式熱交換器10(凝縮熱交換器)は、冷媒配管13の一部となる内側流体通路37、循環用配管4a,4b間に接続された外側流体通路38とを有する二重管式熱交換器10から構成されているが、本発明の二重管式熱交換器10の具体的な構造については後述する。
【0024】
膨張弁11は、液相状態の冷媒を断熱膨張させ温度低下させる。この膨張弁11は、絞り量が可変な制御弁からなる。尚、絞り量が可変な膨張弁11の代わりに絞り量が一定の膨張弁を採用しても良い。
【0025】
蒸発熱交換器12は、冷媒配管13に含まれる蒸発器通路部12aを有し、この蒸発器通路部12aは伝熱管と複数のフィンとを有している。この蒸発熱交換器12において、蒸発器通路部12aを流れる冷媒と外気との間で熱交換され、冷媒は外気から吸熱して気化する。
【0026】
冷媒配管13は、圧縮機9の吐出側と二重管式熱交換器10の入口側とを接続する冷媒通路13a、二重管式熱交換器10の出口側と膨張弁11の入口側とを接続する冷媒通路13b、膨張弁11の出口側と蒸発熱交換器12の入口側とを接続する冷媒通路13c、蒸発熱交換器12の出口側と圧縮機9の導入側とを接続する冷媒通路13dを備えている。
【0027】
冷媒配管13には、圧縮機9の吐出側に設けられ且つ圧縮機9から吐出する冷媒温度を検知する温度センサ15a、膨張弁11の入口側に設けられ且つ膨張弁11に流入する冷媒温度を検知する温度センサ15b、膨張弁11の出口側に設けられ且つ膨張弁11から流出する冷媒温度を検知する温度センサ15c、蒸発熱交換器12の出口側に設けられ且つ蒸発熱交換器12から流出する冷媒温度を検知する温度センサ15d等が設けられている。
【0028】
次に、貯湯タンクユニット3について簡単に説明する。
図1に示すように、貯湯タンクユニット3は、貯湯タンク21、給水配管22、バイパス給水配管22a及び出湯配管23等の各種の配管類、開閉弁24や混合弁25等の各種の弁類、湯水循環ポンプ26等の各種のポンプ類、タンク側制御部27、これら器具を収納する為の外装ケース28等を備えている。貯湯タンク21は、ヒートポンプ式熱源機2で加熱された高温の湯水(例えば、65〜90℃)を貯留するものである。
【0029】
貯湯タンク21の下端部には、給水配管22と循環用配管4aとが接続され、貯湯タンク21の上端部には、循環用配管4bと出湯配管23とが接続され、循環用配管4bから戻された高温の湯水を貯湯タンク21内に貯留し、給湯時には貯湯タンク21内の高温の湯水を出湯配管23に供給することができる。
【0030】
貯湯タンク21には、複数の温度センサ29a〜29dが高さ方向所定間隔おきの位置に配置され、温度センサ29a〜29dの温度検知信号がタンク側制御部27に供給される。給水配管22、出湯配管23及び循環用配管4a,4b等の各種の配管類にも、温度センサ29e〜29iが設けられている。
【0031】
図1に示すように、このヒートポンプ給湯装置1は、熱源機側制御部7とタンク側制御部27からなる制御ユニット5によって制御される。各種の温度センサ等の検知信号が制御ユニット5に送信され、この制御ユニット5により、ヒートポンプ式熱源機2と貯湯タンクユニット3の動作、各種のポンプ類の作動・停止、各種の弁類の開閉状態の切り換え及び開度調整等を制御し、各種運転(貯湯運転、給湯運転等)を実行する。
【0032】
タンク側制御部27は、ユーザーが操作可能な操作リモコン17との間でデータ通信可能であり、操作リモコン17のスイッチ操作により目標給湯温度が設定されると、その目標給湯温度データが操作リモコン17からタンク側制御部27に送信される。熱源機側制御部7は、タンク側制御部27との間でデータ通信可能であり、タンク側制御部27からの指令に従ってヒートポンプ回路6の各種機器(圧縮機9、膨張弁11、送風ファン14の送風モータ14a等)の駆動制御を行う。
【0033】
次に、本発明の二重管式熱交換器10の具体的な構造について説明する。
図2に示すように、二重管式熱交換器10は、複数の屈曲部34を有し且つ全体が矩形形状の渦巻状に構成されている。即ち、二重管式熱交換器10は、平面視にて略矩形形状の複数のループ管31を有する。複数のループ管31は、上下方向に2層に且つ各層が複数巻(三重巻)になるように配置されている。各層に配置された3つのループ管31は、内側から外側に向かって徐々に大型化するようなサイズに構成されている。
【0034】
図2、
図3に示すように、各ループ管31は、横方向に延び且つ互いに平行に配置された1対の横直管部32と、この1対の横直管部32と直交する縦方向に延び且つ互いに平行に配置された1対の縦直管部33と、横直管部32の端部と縦直管部33の端部とを接続する円弧状の複数の屈曲部34とを夫々備えている。複数の屈曲部34は、全て同じ曲率半径になるように設定されている。
【0035】
図3〜
図5に示すように、二重管式熱交換器10は、内管35と、この内管35を内部に収納した外管36とから構成され、内管35の内部(内側流体通路37)を流れる第1熱媒体(ヒートポンプ用冷媒)と内管35と外管36との間の隙間(外側流体通路38)を流れる第2熱媒体(給湯用湯水)との間で熱交換を行うように構成されている。二重管式熱交換器10は、発泡ポリプロピレン、発泡ポリスチレン等の樹脂を発泡成形した上下に2分割された保温材(図示略)で覆われている。
【0036】
内管35と外管36は、例えば、リン脱酸銅製の円形断面の水道用銅管又はこれと同等品からなる所定の長さの素材管を用いて製作される。素材管の管壁の厚さは例えば0.6〜1.0mmで、二重管式熱交換器10の外径は例えば16〜20mmである。但し、これらの数値は例示でありこれらに限定されるものではない。
【0037】
図4,
図5に示すように、内管35は、管壁が周方向に山部35aと谷部35bとが繰り返す波形形状をなす断面視にて多葉形状に形成された多葉管である。即ち、内管35は、4つの山部35aと4つの谷部35bとを有し、山部35aは円弧の両端部に湾曲部を付けた形状であり、谷部35bは円弧的な形状である。外管36は、管壁が内管35の管壁より大径の円筒の形状に構成された円筒管である。
【0038】
4つの谷部35bは、中心部の断面略正方形の流体通路37aの回りに周方向に90°間隔に配置され、各谷部35bの先端近傍部は周方向に隣接する谷部35bと接触している。内管35の多葉管の軸心直交断面の断面形状は、山部35aと谷部35bとを接続する直線部35cを有している。内管35の各山部35
aは外管36の内面に面接触状に密着している。
【0039】
この内管35は、所定のリード角をもって螺旋状に捩じった形状に構成されている。前記所定のリード角は、軸心方向に例えば300〜500mm移行する毎に1回転するような角度である。但し、上記の捩じりは必須のものではなく省略しても良い。
【0040】
内管35の内部には、4つの谷部35bで囲まれた流体通路37aと4つの山部35aの内側の流体通路37bとからなる内側流体通路37が形成され、内管35と外管36との間には4つのほぼ三角形断面の流体通路38aからなる外側流体通路38が形成され、内管35の内部(内側流体通路37)を流れる第1熱媒体と、内管35と外管36との間の隙間(外側流体通路38)を流れる第2熱媒体との間で熱交換可能に構成してある。
【0041】
即ち、内側流体通路37の上流端は、冷媒通路13aの下流端に接続され、内側流体通路37の下流端は、冷媒通路13bの上流端に接続されている。外側流体通路38の上流端は、循環用配管4aの下流端に接続され、外側流体通路38の下流端は、循環用配管4bの上流端に接続されている。
【0042】
次に、二重管式熱交換器10の屈曲部34の構造について説明する。
図2〜
図5に示すように、屈曲部34における外管36の内側部には、外管36の断面積が拡大するように外側に(二重管式熱交換器10の中心部に向かって)突出した複数の半円円弧状の凸部41が長手方向に所定間隔置きに形成されている。即ち、屈曲部34における外管36の管壁の内側領域の略全長に亙って、複数の凸部41が一定間隔で並んだ形状に形成されている。各凸部41の内部には、外側流体通路38に連なる拡張空間41aが夫々形成されている。
【0043】
各拡張空間41aの縦断面の断面形状は、三日月形状に夫々形成され、各拡張空間41aの水平断面の断面形状は半円形状に夫々形成されている。即ち、屈曲部34における外管36の断面積(内管35と外管36との間の断面積)は、複数の凸部41による拡張空間41aの断面積分増加するので、屈曲部34における内管35と外管36との間の外側流体通路38の通水抵抗が低下する。
【0044】
この二重管式熱交換器10の製作段階において、先ずは、1本のストレート形状の二重管式熱交換器を製作し、1種類の曲げ型によって、屈曲部34を順次しわ(複数の凸部41)が発生する曲げ加工により形成しながら、複数回螺旋状に巻回し、複数の縦直管部33を2つのバンド部材43によって締結することで、2重の長円渦巻状の二重管式熱交換器10を製作することができる。
【0045】
次に、本発明の二重管式熱交換器10の作用及び効果について説明する。
ヒートポンプ回路6の貯湯運転時において、圧縮機9により高圧に圧縮された加熱状態の冷媒は、冷媒通路13aから二重管式熱交換器10の内側流体通路37に送られ、湯水循環ポンプ26の駆動により貯湯タンク21の下端部から循環用配管4aを経て二重管式熱交換器10の外側流体通路38に流入した水と熱交換してその水を暖め、温度低下して液化した冷媒は冷媒通路13bから膨張弁11に送られ、加熱された湯水が循環用配管4bを通って貯湯タンク21に貯留され、ヒートポンプ回路6を経由する加熱動作を繰り返すことで貯湯タンク21に高温の湯水が貯留される。
【0046】
ところで、貯湯運転時に、二重管式熱交換器10の複数の屈曲部34の各々においては、複数の凸部41によって外側流体通路38の通水抵抗は低減することで、外側流体通路38を流れる湯水の流量が増加すると共に、複数の凸部41によって外側流体通路38を流れる湯水の乱流が促進されて屈曲部34に水が滞留する時間が長くなるので、外側流体通路38を流れる湯水と内側流体通路37を流れる冷媒との間の熱交換を促進することができる。
【0047】
以上説明したように、二重管式熱交換器10は、複数の屈曲部34を有し且つ全体が渦巻状に構成され、屈曲部34における外管36の内側部には、外管36の断面積が拡大するように外側に突出した複数の凸部41が長手方向に所定間隔おきに形成されているので、二重管式熱交換器10を曲げ加工する際に、外管36の内側部に外側に突出した複数の凸部41が形成されるように意図的にしわ加工を行うことで、外管36が内管35に干渉するのを防ぎ、外管の断面円筒形状を維持するようにしわを抑制した曲げ加工した場合の屈曲部の曲率半径と比較して、小さい曲率半径の屈曲部34を容易に実現することができ、二重管式熱交換器10の小型化を図ることができる。
【0048】
また、二重管式熱交換器10を渦巻
状に製作する際に、複数の屈曲部34を同一の曲率半径に設定することで、平面視にて矩形形状に構成し易くなって二重管式熱交換器10の小型化を図ることができ、その上、複数の曲げ型を必要せずに1種類の曲げ型で製作可能となるので、二重管式熱交換器10の製作コストが低減する。
【0049】
さらに、内管35は、断面視にて多葉形状に形成された多葉管であるので、屈曲部34における外管36の内側面に対して、外管36の断面積が拡大するように複数の凸部41を形成することで、内管35(多葉管)と外管36との間の隙間の断面積が増加する。即ち、従来では、多葉形状の内管と円筒形状の外管との間の通水抵抗は、円筒形状の内管の場合と比較して高くなり、しかも、屈曲部では通水抵抗が顕著に増加していたが、屈曲部34に複数の凸部41を設けることで、内管35が多葉管であっても、屈曲部34における内管35と外管36との間の隙間の通水抵抗が低減するので、第2熱媒体の流量が増加し、二重管式熱交換器10の熱交換性能が向上する。
【0050】
さらにまた、屈曲部34における内管35と外管36との間の隙間に第2熱媒体(給湯用湯水)が流れる際に複数の凸部41に沿って流れることで、第2熱媒体に乱流が発生し易くなり、それ故、屈曲部34に第2熱媒体が滞留する時間が長くなるので、内管35内を流れる第1冷媒(ヒートポンプ用冷媒)との間で熱交換を促進することができ、二重管式熱交換器10の熱交換性能が更に向上し、結果的に、二重管式熱交換器10の更なる小型化を図ることができる。