(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
《本発明の実施形態の説明》
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
【0011】
(1)本発明の一態様に係る回路構成体は、回路基板と、複数のバスバと、電子部品と、フレキシブルシート部材とを備える。回路基板は、回路パターンが形成された一面を有する。複数のバスバは、電力回路を構成し、回路基板の他面に互いに間隔を開けて固定される。電子部品は、複数のバスバのうち隣り合う2つのバスバの間隔を跨ぎ、その一方のバスバに電気的に接続される第1端子と、回路基板の回路パターンに電気的に接続される第2端子とを有する。フレキシブルシート部材は、一方のバスバに固定されて、一方のバスバと第2端子とを絶縁しつつ第2端子と回路パターンとを電気的に接続する。このフレキシブルシート部材は、一方のバスバに固定される接着層と、第2端子と回路パターンとを電気的に接続する端子用導体箔と、接着層と端子用導体箔との間に介在されて、一方のバスバと端子用導体箔とを絶縁する絶縁層とを有する。
【0012】
上記の構成によれば、電子部品の回路基板への実装が容易である。フレキシブルシート部材を備えることで、第2端子を回路パターンに直接接続しなくてもよいので、回路基板の厚さ分を考慮して第2端子に曲げ加工を施して第2端子を曲げる必要がなく、曲げ加工などの作業が不要であるからである。第2端子を曲げる必要がないため、長さの短い第2端子であっても、電子部品を回路基板へ容易に実装できる。
【0013】
(2)上記回路構成体の一形態として、絶縁層は、端子用導体箔に重複する本体部と、本体部と一連に形成され、端子用導体箔に重複せず本体部から2つのバスバのうち他方のバスバ側に突出する突出部とを有することが挙げられる。
【0014】
上記の構成によれば、端子用導体箔と一方のバスバとの沿面距離を長くできるため、両者の絶縁性を高められる。
【0015】
(3)上記回路構成体の一形態として、絶縁層は、端子用導体箔に重複する本体部と、本体部と一連に形成され、端子用導体箔に重複せず本体部から第1端子側に延びる延長部とを有することが挙げられる。
【0016】
上記の構成によれば、端子用導体箔と第1端子との沿面距離とを長くできるため、端子用導体箔(第2端子)と第1端子との絶縁性を高められる。
【0017】
(4)上記回路構成体の一形態として、フレキシブルシート部材は、絶縁層上に端子用導体箔とは電気的に独立して設けられ、一方のバスバと回路基板の回路パターンとを電気的に接続するバスバ用導体箔を備えることが挙げられる。
【0018】
上記の構成によれば、第2端子と回路パターンとの電気的接続と、第1端子を電気的に接続する一方のバスバと回路パターンとの電気的接続とを1枚のフレキシブルシート部材で行える。即ち、一方のバスバと回路基板の回路パターンとを電気的に接続するために別途連結部材を用意する必要がないため、部品点数を低減できる。
【0019】
(5)上記回路構成体の一形態として、一方のバスバは、一方のバスバにおける第2端子との重複領域に形成され、一方のバスバと接着層との間にクリアランスを形成するバスバ切欠部を有することが挙げられる。
【0020】
上記の構成によれば、第1端子を一方のバスバに接続する接続部材(例えばハンダ)と、フレキシブルシート部材との熱膨張率の相違に伴う熱伸縮分をバスバ切欠部により吸収できる。それにより、第1端子と一方のバスバとの電気的接続を長期に亘って維持し易い。詳しくは、後述の実施形態2で説明する。
【0021】
(6)上記回路構成体の一形態として、接着層は、接着層における第2端子との重複領域に形成され、絶縁層と一方のバスバとの間にクリアランスを形成する接着層切欠部を有することが挙げられる。
【0022】
上記の構成によれば、上述のバスバ切欠部を備える場合と同様、接着層切欠部の存在により、第1端子と一方のバスバとの電気的接続を長期に亘って維持し易い。
【0023】
《本発明の実施形態の詳細》
本発明の実施形態の詳細を、以下に図面を参照しつつ説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。
【0024】
《実施形態1》
〔回路構成体〕
図1〜3を参照して、実施形態1に係る回路構成体1Aを説明する。回路構成体1Aは、回路パターン21a,21bを有する回路基板2と、回路基板2に固定される複数のバスバ3と、回路基板2とバスバ3の両方に実装される電子部品4とを備える。この回路構成体1Aの主たる特徴とするところは、特定の積層構造で構成されて、電子部品4の一部の端子を回路パターン21aに電気的に接続するフレキシブルシート部材5を備える点にある。以下、詳細を説明する。以下の説明では、回路構成体1Aにおける回路基板2側を上、バスバ3側を下として説明する。
【0025】
[回路基板]
回路基板2は、電子部品4を実装させる。回路基板2は、絶縁基板20と、絶縁基板20の一面(上面)に形成されて電子部品4が電気的に接続される回路パターン21a、21bとを備える。この回路パターン21a、21bは、銅箔で形成されている。この回路基板2は、プリント基板を用いることができる。絶縁基板20の他面(下面)には、バスバ3が固定されている。絶縁基板20には、電子部品4をバスバ3に実装する実装用貫通孔22と、電子部品4と回路パターン21a、21bとを電気的に接続するための連結用貫通孔23a、23bとが形成されている。各貫通孔22,23a,23bの形状は、矩形状としている。この両貫通孔22,23a,23b同士の間にはそれぞれ、絶縁基板20の一部で構成され、両貫通孔22,23a,23bを仕切る仕切部24a,24bが形成されている。
【0026】
[バスバ]
バスバ3は、電力回路を構成する。バスバ3は、電源や電気的負荷に接続される。バスバ3の数は複数であり、この複数のバスバ3(31,32)は、回路基板2の他面(下面)に互いに間隔を開けて固定されている。バスバ3の形状は、板状である。バスバ3の材質は、導電性の金属が挙げられ、具体的には銅や銅合金などが挙げられる。複数のバスバ3と回路基板2との固定には、これらの間に介在させる接着シート90(
図2)を用いることができる。接着シート90の構成材料は、電気絶縁性と電子部品4を実装する際のハンダリフロー温度に対する耐熱性とを有する樹脂が挙げられる。接着シート90の構成材料は、例えば、エポキシ樹脂などの絶縁性接着剤などが挙げられる。
【0027】
[電子部品]
電子部品4は、回路基板2とバスバ3との両方に実装される。電子部品4は、複数のバスバ3のうち隣り合う2つのバスバ31,32の間隔を跨ぐ本体部40を有する。この本体部40は、一方のバスバ31に電気的かつ機械的に接続される第1端子41と、回路基板2の回路パターン21aに電気的に接続される第2端子42と、他方のバスバ32に電気的かつ機械的に接続される第3端子43とを有する。これら電気的かつ機械的な接続には、接続金属材料、代表的にはハンダ91(
図2)を用いることができる。
【0028】
第1端子41及び第2端子42と第3端子43とは、本体部40を挟んで互いに反対側で本体部40に一体に設けられている。即ち、第1端子41と第2端子42とは、本体部40の同一側(一方のバスバ31側)で並列している。第1端子41は、一方のバスバ31に電気的に接続されることで回路基板2の回路パターン21bに電気的に接続されている。具体的には、一方のバスバ31が連結用貫通孔23bにて後述する連結部材6bと電気的かつ機械的に接続され、この連結部材6bが回路パターン21bに電気的かつ機械的に接続されている。第2端子42と回路パターン21aとの電気的接続は、後述のフレキシブルシート部材5を介して行う。
【0029】
第1端子41〜第3端子43の数は、電子部品4の種類などに応じて、単数としたり複数としたりすることが挙げられる。電子部品4の種類は、例えば、リレーやFET(Field effect transistor)といったスイッチング素子が挙げられる。
【0030】
ここでは、電子部品4はFETを用いており、第1端子41はソース端子、第2端子42はゲート端子、第3端子43はドレイン端子でそれぞれ構成している。第1端子41(ソース端子)及び第3端子43(ドレイン端子)の数は複数とすることができるが、説明の便宜上、図面では1つで示している。
【0031】
[フレキシブルシート部材]
フレキシブルシート部材5は、一方のバスバ31と第2端子42とを絶縁しつつ第2端子42と回路パターン21aとを電気的に接続する。フレキシブルシート部材5は、一方のバスバ31の上面に固定されている。フレキシブルシート部材5は、一方のバスバ31の上面に沿ってフラットに構成されている。
【0032】
フレキシブルシート部材5の厚さは回路基板2の厚さよりも十分に薄く、フレキシブルシート部材5は可撓性を有する。フレキシブルシート部材5が十分に薄いことで、第1端子41と第2端子42とでその上下方向に沿った段差を小さくできる。この段差は、実質的に無くすこともできる。この段差を設けない場合には、第2端子42に曲げ加工などを施さなくてもよいため、電子部品4の回路基板2への実装が容易である。特に、端子の長さが短くても、電子部品4の回路基板2への実装が容易である。
【0033】
フレキシブルシート部材5の厚さは、回路基板2とバスバ3の間の接着に影響しないため、回路基板2とバスバ3との間の接着シート90より薄くする。フレキシブルシート部材5の厚さは、例えば、150μm以下程度が好ましい。フレキシブルシート部材5の厚さが150μm以下であれば、フレキシブルシート部材5が過度に厚すぎず、接着シート90よりも薄くし易い。また、第1端子41と第2端子42とで上下方向に沿った段差を設けなくてもよく、第2端子42に曲げ加工などを施さなくてもよい。例えば、接着シート90の厚さが85μmであれば、フレキシブルシート部材5の厚さは75μm以下が好ましい。フレキシブルシート部材5の厚さは、例えば、55μm以上が挙げられる。フレキシブルシート部材5の厚さが55μm以上であれば、後述する
端子用導体箔51と絶縁層52と接着層53とをそれぞれ所定の厚さにし易く、それぞれ電気接続、電気絶縁、及び接着の機能を確保し易い。
【0034】
フレキシブルシート部材5は、FPC(Flexible Printed Circuits)を用いることができる。フレキシブルシート部材5は、端子用導体箔51と絶縁層52と接着層53とを有する(
図2)。これら端子用導体箔51と絶縁層52と接着層53とは一体化されている。なお、フレキシブルシート部材5の接着層53は、端子用導体箔51及び絶縁層52と一体化せず、バスバ31上に別途形成することもできる。この場合、端子用導体箔51及び絶縁層52の合計厚さは24μm以上が好ましい。
【0035】
(端子用導体箔)
端子用導体箔51は、第2端子42と回路パターン21aとを電気的に接続する。端子用導体箔51の一端側は、第2端子42と電気的かつ機械的に接続されている。端子用導体箔51の他端側は、連結用貫通孔23aにて後述する連結部材6aと電気的かつ機械的に接続されている。この端子用導体箔51は、連結部材6aを介して回路パターン21aと電気的に接続される。端子用導体箔51は、銅箔で構成することが挙げられる。これら電気的かつ機械的な接続には、ハンダ(図示略)を用いることができる。
【0036】
端子用導体箔51の形状は、矩形状である。端子用導体箔51の幅は、第2端子42の幅よりも大きいことが好ましい。そうすれば、第2端子42を端子用導体箔51に接続し易い。ここでいう幅とは、第1端子41と第2端子42の並列方向を言う。端子用導体箔51の両バスバ31,32の並列方向に沿った長さは、一方のバスバ31における他方のバスバ32側の縁(以下、対向側縁)から連結用貫通孔23aに亘る長さとしている。即ち、端子用導体箔51の他端側は、連結用貫通孔23aから露出している。端子用導体箔51の厚さは、10μm以上が好ましい。端子用導体箔51の厚さを10μm以上とすれば、第2端子42及び回路パターン21aに対する電気接続を確保し易い。端子用導体箔51の厚さは、70μm以下が好ましい。端子用導体箔51の厚さは、更に12μm以上35μm以下が好ましい。
【0037】
(絶縁層)
絶縁層52は、一方のバスバ31と端子用導体箔51とを絶縁する。絶縁層52は、端子用導体箔51と接着層53との間に介在されている。絶縁層52の構成材料は、電子部品
4を実装する際のハンダリフロー温度に対する耐熱性を有する樹脂が挙げられる。絶縁層52の構成材料は、例えば、ポリイミド樹脂などが挙げられる。絶縁層52の厚さは、10μm以上が好ましい。絶縁層52の厚さを10μm以上とすれば、一方のバスバ31と端子用導体箔51との電気絶縁性を確保し易い。絶縁層52の厚さは、50μm以下が好ましい。絶縁層52の厚さは、更に12μm以上30μm以下が好ましい。
【0038】
〈本体部〉
絶縁層52は、
図3下図に示すように、端子用導体箔51に重複する本体部521を有する。この本体部521と端子用導体箔51とは、その全域に亘って重複している。即ち、本体部521の形状は、端子用導体箔51と同一の矩形状であり、そのサイズ(幅と長さ)は、端子用導体箔51と同一である。端子用導体箔51と絶縁層52との一体化は、端子用導体箔51と本体部521とを接着剤で接着することで行える。この本体部521には、突出部522、及び延長部523の少なくとも一方が一連に形成されていることが好ましく、その両方が一連に形成されていることが特に好ましい。
【0039】
〈突出部〉
突出部522は、端子用導体箔51と一方のバスバ31との沿面距離を長くする。それにより、端子用導体箔51と一方のバスバ31との絶縁性を高められる。突出部522は、本体部521から他方のバスバ32側に突出するように形成されている。即ち、突出部522は、端子用導体箔51に重複せず端子用導体箔51から露出している。
【0040】
突出部522の突出長さLは、長いほど沿面距離を長くできる(
図3上図)。突出部522の突出長さLは、他方のバスバ32に接触しない程度とすることが挙げられる(
図2左拡大図)。
【0041】
〈延長部〉
延長部523は、第1端子41との沿面距離を長くする。それにより、端子用導体箔51と第1端子41との絶縁性とを高められる。延長部523は、本体部521から隣り合う第1端子側に延びるように形成されている。即ち、延長部523は、突出部522と同様、端子用導体箔51に重複せず端子用導体箔51から露出している。
【0042】
延長部523の長さEは、突出部522の突出長さLと同様に長いほど沿面距離を長くできる(
図3上図)。この延長部523の長さEは、第2端子42から端子用導体箔51の第1端子41側の端部までの長さFとの合計長さE+Fが、第1端子41と第2端子42との間の長さをDとするとき、例えば1/2D≦E+F<Dを満たすことが好ましい。上記合計長さE+Fが1/2D以上であることで、上記絶縁性を高め易い。上記合計長さE+FがD未満であることで、絶縁層52と第1端子41とが干渉することを抑制でき、第1端子41と一方のバスバ31とを接続できる。
【0043】
(接着層)
接着層53は、絶縁層52を一方のバスバ31に固定する(
図2)。それにより、フレキシブルシート部材5は、一方のバスバ31に固定される。接着層53と絶縁層52とは、略全域に亘って重複している。例えば、絶縁層52が突出部522を備える場合、突出部522の下面には接着層53が設けられていてもよいし、設けられていなくてもよい。接着層53の形状は、絶縁層52の形状と同一(ここでは矩形状)とすることが挙げられ、そのサイズ(幅と長さ)は、絶縁層52のサイズと実質的に同一とすることが挙げられる。接着層53の構成材料は、上述の接着シート90と同様の樹脂の他、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などの絶縁性接着剤が挙げられる。接着層53の厚さは、25μm以上が好ましい。接着層53の厚さを25μm以上とすれば、絶縁層52と一方のバスバ31と接着性を確保し易い。接着層53の厚さは、50μm以下が好ましい。
【0044】
[連結部材]
連結部材6a、6bは、フレキシブルシート部材5や一方のバスバ31と回路パターン21a,21bとを連結して、第2端子42、第1端子41と回路パターン21a,21bとを電気的に接続する。連結部材6a,6bは、その一端側と他端側とで、回路基板2の厚さと同程度の高さの段差が形成されるように屈曲した屈曲片で構成されている。連結部材6aの一端側は、連結用貫通孔23a内で端子用導体箔51と電気的かつ機械的に接続され、他端側は、絶縁基板20上の回路パターン21aに電気的かつ機械的に接続されている。連結部材6bの一端側は、連結用貫通孔23b内で一方のバスバ31と電気的かつ機械的に接続され、他端側は、絶縁基板20上の回路パターン21bに電気的かつ機械的に接続されている。これら電気的かつ機械的な接続には、ハンダ(図示略)を用いることができる。連結部材6a,6bの材質は、導電性の金属が挙げられ、例えば、銅や銅合金などが挙げられる。
【0045】
〔作用効果〕
実施形態1の回路構成体1Aによれば、第2端子42と一方のバスバ31上の回路基板2における回路パターン21aとを電気的に接続するフレキシブルシート部材5を備えることで、第2端子42と回路パターン21aとを電気的に接続するにあたって、第2端子42を回路パターン21aに直接接続しなくてもよい。そのため、回路基板2の厚み分を考慮して、一方のバスバ31に接続される第1端子41と第2端子42とを互いに上下方向にずらすために、第2端子42に曲げ加工などを施して第2端子42を曲げる必要がない。従って、電子部品4の回路基板2への実装が容易である。特に、第2端子42を曲げる必要がないことから、各端子41〜43の長さが短い電子部品4であっても、回路基板2への実装が容易である。
【0046】
《実施形態2》
〔回路構成体〕
図4、
図5を参照して、実施形態2に係る回路構成体1Bを説明する。回路構成体1Bは、一方のバスバ31がバスバ切欠部311を有する点が実施形態1の回路構成体1Aと相違する。回路構成体1Bのその他の点は、実施形態1の回路構成体1Aと同様である。以下、相違点を中心に説明し、同様の構成及び同様の効果については説明を省略する。この点は、以下の実施形態3〜5でも同様である。なお、
図5は、第1端子41及び第2端子42の近傍を他方のバスバ32側から見た図を示しているが、説明の便宜上、各部材にハッチングを施している。この点は、実施形態3で参照する
図7でも同様である。
【0047】
[バスバ]
(バスバ切欠部)
バスバ切欠部311は、一方のバスバ31における第2端子42との重複領域に形成されて、一方のバスバ31と接着層53との間にクリアランスを形成する。それにより、回路構成体1Bの使用時の温度変化に伴う第1端子41側と第2端子42側の変位量の差により作用する第1端子側への負荷を緩和する。そのため、第1端子41を一方のバスバ31に接続するハンダ91の割れなどの損傷を防止できる。
【0048】
第1端子41と一方のバスバ31との電気的接続には、一般にハンダ91などの接続金属材料を用いる。このハンダ91と、第2端子42と電気的に接続されるフレキシブルシート部材5とは、回路構成体
1Bの使用時の温度変化などにより膨張・収縮する。フレキシブルシート部材5(特に絶縁層52)の熱膨張率は、ハンダ91の熱膨張率よりも一般に大きいため、フレキシブルシート部材5の膨張に伴う変位量は、ハンダ91の変位量に比較して大きい。一方のバスバ31がバスバ切欠部311を有さない場合、変位量の小さい第1端子41側のハンダ91には、第1端子41と第2端子42とが共に本体部40に連結されていることから、変位量の大きいフレキシブルシート部材5の変位によって負荷がかかる。この負荷により、ハンダ91が割れるなど損傷することがある。これに対して、一方のバスバ31がバスバ切欠部311を有することで、フレキシブルシート部材5が膨張した際、バスバ切欠部311により形成されたクリアランスにフレキシブルシート部材5を逃がせられる。それにより、フレキシブルシート部材5とハンダ91との変位量の差を吸収して、フレキシブルシート部材5の変位によるハンダ91への負荷を抑制できる。
【0049】
バスバ切欠部311の形成領域は、
図4、
図5に示すように、第2端子42の重複領域よりも広い領域としている。ここでは、両バスバ31,32の並列方向に沿った形成領域は、
図4に示すように、一方のバスバ31の上面側において、他方のバスバ32との対向側縁から第2端子42よりも仕切部24a側まで亘る領域である。即ち、バスバ切欠部311は、他方のバスバ32との対向側縁が開口している。両端子41,42の並列方向に沿った形成領域は、
図5に示すように、第2端子42の幅よりも広い領域である。
【0050】
このバスバ切欠部311は、第2端子42との重複領域の上下方向(厚み方向)の全域に亘って一方のバスバ31が切り欠かれて形成されていてもよい。即ち、第2端子42の下側には、一方のバスバ31がなくてもよい。また、バスバ切欠部311は、一方のバスバ31の上記対向側縁が開口することなく周囲が囲まれる凹部や貫通孔で構成してもよい。
【0051】
〔作用効果〕
実施形態2の回路構成体1Bによれば、使用時の温度変化などで第1端子41と一方のバスバ31とを接続するハンダ91が割れたりすることを抑制できる。そのため、第1端子41と一方のバスバ31とを長期に亘って電気的に接続できる。
【0052】
《実施形態3》
〔回路構成体〕
図6,
図7を参照して、実施形態3に係る回路構成体1Cを説明する。回路構成体1Cは、接着層53が接着層切欠部531を有する点が実施形態1の回路構成体1Aと相違する。回路構成体1Cのその他の点は、実施形態1の回路構成体1Aと同様である。
【0053】
(接着層)
〈接着層切欠部〉
接着層切欠部531は、接着層53における第2端子42との重複領域に形成されて、接着層53と一方のバスバ31との間にクリアランスを形成する。それにより、実施形態2のバスバ切欠部311と同様、回路構成体1Cの使用時の温度変化に伴う第1端子41側と第2端子42側の変位量の差により作用する第1端子41側への負荷を緩和する。そのため、実施形態2のバスバ切欠部311を備える場合と同様、第1端子41を一方のバスバ31に接続するハンダ
91の割れなどの損傷を防止できる。
【0054】
接着層切欠部531の形成領域は、
図6,
図7に示すように、第2端子42の重複領域よりも広い領域としている。ここでは、接着層切欠部531の両バスバ31,32の並列方向に沿った形成領域は、
図6に示すように、他方のバスバ32との対向側縁から第2端子42よりも仕切部24a側まで亘る領域である。即ち、接着層切欠部531は、他方のバスバ32との対向側縁が開口している。両端子41,42の並列方向に沿った形成領域は、
図7に示すように、第2端子42の幅よりも広い領域である。この接着層切欠部531は、接着層53における一方のバスバ31の上記対向側縁が開口せず、周囲が囲まれている貫通孔で構成してもよい。
【0055】
〔作用効果〕
実施形態3の回路構成体
1Cによれば、実施形態2と同様、第1端子41を一方のバスバ31に接続するハンダ91の割れなどの損傷を抑制できる。
【0056】
《実施形態4》
〔回路構成体〕
図8,
図9を参照して、実施形態4に係る回路構成体1Dを説明する。回路構成体1Dは、連結部材6a(
図1)を用いずにフレキシブルシート部材5により第2端子42と回路パターン21aとを電気的に接続する点が主として実施形態1の回路構成体1Aと相違する。ここでは、回路基板2は、
図8に示すように、上述の連結用貫通孔23a、及び仕切部24a(共に
図1参照)が形成されていない。
【0057】
[フレキシブルシート部材]
フレキシブルシート部材5は、その一端側と他端側とで回路基板2の厚み分の段差が形成されるようにS字状にその途中が屈曲している。フレキシブルシート部材5は、可撓性を有するため容易に屈曲させられる。フレキシブルシート部材5の一端側は、第2端子42と電気的かつ機械的に接続され、他端側は、絶縁基板20上の回路パターン21aと電気的かつ機械的に接続されている。これら電気的かつ機械的な接続には、ハンダ91を用いることができる。
図8,9では、フレキシブルシート部材5の他端側と回路パターン21aとを接続するハンダ91のみ示し、フレキシブルシート部材5の一端側と第2端子42とを接続するハンダは図示を省略している。
【0058】
〔作用効果〕
実施形態4の回路構成体1Dによれば、フレキシブルシート部材5で、第2端子42を回路パターン21
aと電気的に接続できる。そのため、フレキシブルシート部材5と回路パターン21aとを電気的に接続する実施形態1の連結部材6a(
図1参照)を不要にできる。従って、実施形態4の回路構成体1Dは、実施形態1の回路構成体1Aに比較して部品点数を低減できる。
【0059】
《実施形態5》
〔回路構成体〕
図10、
図11を参照して、実施形態5に係る回路構成体1Eを説明する。回路構成体1Eは、フレキシブルシート部材5が一方のバスバ31と回路パターン21bとを電気的に接続するバスバ用導体箔55を備える点が主として実施形態4の回路構成体1Dと相違する。ここでは、回路基板2は、
図10に示すように、上述の連結用貫通孔23a、23b及び仕切部24a、24b(共に
図1参照)が形成されていない。
【0060】
[フレキシブルシート部材]
フレキシブルシート部材5は、端子用導体箔51と絶縁層52と接着層53とに加えて、更にバスバ用導体箔55を備える。端子用導体箔51は、上述と同様である。
【0061】
(絶縁層)
〈拡張部〉
絶縁層52は、上述の本体部521
(図3参照)と突出部522と延長部523とに加えて、更に拡張部524を備える。拡張部524は、一方のバスバ31とバスバ用導体箔55との間に介在される。拡張部524は、延長部523に一連に形成され、端子用導体箔51及び第1端子41に重複せず、延長部523から本体部
521(端子用導体箔51)とは反対側に延びて、バスバ用導体箔55に重複する。拡張部524と一方のバスバ31との間には、拡張部524を一方のバスバ31に固定する接着層53が介在されている(
図11)。
【0062】
(バスバ用導体箔)
バスバ用導体箔55は、一方のバスバ31を介して第1端子41と回路パターン21bとを電気的に接続する。バスバ用導体箔55は、絶縁層52(拡張部524)上で端子用導体箔51とは電気的に独立して設けられている。バスバ用導体箔55の一端側は、一方のバスバ31と電気的かつ機械的に接続されている。バスバ用導体箔55の他端側は、回路パターン21bと電気的かつ機械的に接続されている。これらの電気的かつ機械的な接続には、ハンダ91を用いている。
【0063】
バスバ用導体箔55の形状は、一方のバスバ31と回路パターン21bまでの経路に合わせて適宜選択できるが、ここでは矩形状としている。バスバ用導体箔55の幅は、通電電流による発熱、ハンダ91による接続作業の作業性、延長部523の沿面距離などを考慮して適宜選択できる。ここでは、バスバ用導体箔55は、端子用導体箔51と同一幅を有し、回路パターン21a,21bの間隔にほぼ対応した間隔をあけて、端子用導体箔51と平行に設けられている。バスバ用導体箔55は、端子用導体箔51と同様、銅箔で構成することが挙げられる。
【0064】
〔作用効果〕
実施形態5の回路構成体1Eによれば、第2端子42と回路パターン21aとの電気的接続と、第1端子41を電気的に接続する一方のバスバ31と回路パターン21bとの電気的接続を、1枚のフレキシブルシート部材5で行える。そのため、フレキシブルシート部材5と回路パターン21aとを電気的に接続する実施形態1の連結部材6aに加えて、一方のバスバ31と回路パターン21bとを電気的に接続する実施形態1の連結部材6b(
図1参照)をも不要にできる。従って、実施形態5の回路構成体1Eは、実施形態1の回路構成体1A、更には実施形態4の回路構成体1Dに比較して部品点数を低減できる。
【0065】
本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。例えば、バスバ切欠部と接着層切欠部の両方を備える回路構成体とすることができる。