【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明による撮像レンズは、固体撮像素子上に被写体の像を結像させる撮像レンズであって、物体側から像側に向かって順に、物体側に凸面を向けた正の屈折力を有する第1レンズと、像側に凹面を向けたメニスカス形状で負の屈折力を有する第2レンズと、像側に凹面を向けた第3レンズと、第4レンズと、像側に凸面を向けた正の屈折力を有する第5レンズと、物体側および像側に凹面を向けた負の屈折力を有する第6レンズとから構成される。
【0016】
本発明の撮像レンズは、物体側から順に、第1レンズと第2レンズと第3レンズとから構成される合成屈折力が正のレンズ群と、第4レンズと第5レンズと第6レンズとから構成される合成屈折力が負のレンズ群とを配置した、いわゆるテレフォトタイプになっている。
【0017】
上記構成において、第1レンズと第2レンズと第3レンズとから構成される正レンズ群は、撮像レンズの低背化、広角化、及び諸収差の良好な補正を担う。第1レンズは物体側に凸面を向けた正の屈折力を有するレンズとし、強い正の屈折力によって撮像レンズの低背化と広角化を図る。第2レンズは像側に凹面を向けたメニスカス形状の負の屈折力を有するレンズとし、第1レンズで発生する球面収差および色収差を良好に補正する。第3レンズは像側に凹面を向けたレンズとし、軸上色収差及び高次の球面収差やコマ収差、像面湾曲を補正する。
【0018】
第4レンズと第5レンズと第6レンズとから構成される負レンズ群は、撮像レンズの低背化、広角化、および諸収差の良好な補正を担う。第4レンズは軸上色収差及び高次の球面収差やコマ収差、像面湾曲を補正し、第5レンズは像側に凸面を向けた強い正の屈折力を有するレンズとし、強い正の屈折力を第1レンズと適切にバランスさせることで撮像レンズの低背化と広角化を図りながら、非点収差および像面湾曲を良好に補正する。第6レンズは物体側及び像側に凹面を向けた負の屈折力を有するレンズとし、第5レンズで発生する球面収差の補正と、像面湾曲の補正を行う。
【0019】
また、本発明の撮像レンズにおいて、開口絞りは第1レンズの物体側に配置することが望ましい。
【0020】
開口絞りは、第1レンズの物体側に配置することによって、入射瞳位置を像面から遠ざけ、テレセントリック性の制御を容易にする。
【0021】
また、本発明の撮像レンズにおいて、以下の条件式(1)を満足することが望ましい。
(1)0.18<AG16/Σd<0.3
ただし、AG16は第1レンズから第6レンズまでの光軸上における空気間隔の和、Σdは第1レンズの物体側の面から第6レンズの像側の面までの光軸上の距離である。
【0022】
条件式(1)は、第1レンズの物体側の面から第6レンズの像側の面までの光軸上の距離に対する第1レンズから第6レンズまでの光軸上における空気間隔の和を規定するものであり、光学全長の短縮化を図るための条件である。条件式(1)の上限値を上回る場合、撮像レンズ系において空気間隔の占める割合が大きくなり、光学全長の短縮が困難となる。一方、条件式(1)の下限値を下回る場合、撮像レンズの低背化には有利となるが、レンズ間の空気間隔が狭くなり過ぎ、組み立ての際にレンズ同士が接触する危険性が高まるため好ましくない。
【0023】
また、本発明の撮像レンズにおいて、以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
(2)20<νd3−νd4<40
ただし、νd3は第3レンズのd線に対するアッベ数、νd4は第4レンズのd線に対するアッベ数である。
【0024】
条件式(2)は、第3レンズおよび第4レンズのd線に対するアッベ数の範囲を規定するものであり、色収差を良好に補正するための条件である。条件式(2)の範囲を満足する材料を採用することで、色収差を良好に補正できる。
【0025】
また、本発明の撮像レンズにおいて、第5レンズの物体側の面は、光軸上以外の位置に変極点を有する非球面が形成されていることが望ましい。
【0026】
第5レンズの物体側の面に、光軸上以外の位置に変極点を形成することにより、像面湾曲および歪曲収差の補正をより効果的に行うことができる。
【0027】
また、本発明の撮像レンズにおいて、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
(3)0.2<Ph51/ih<0.9
ただし、Ph51は第5レンズの物体側の面の変極点位置の光軸から垂直な高さ、ihは最大像高である。
【0028】
条件式(3)は、イメージサイズに対する第5レンズの物体側の面の変極点位置の光軸から垂直な高さを規定するものである。条件式(3)の範囲を満足することで、撮像レンズの低背化と広角化に伴って増大する軸外の非点収差および像面湾曲を好適に補正する。
【0029】
また、本発明の撮像レンズにおいて、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
(4)(f5+|f6|)/f<1.3
ただし、fは撮像レンズ全系の焦点距離、f5は第5レンズの焦点距離、f6は第6レンズの焦点距離である。
【0030】
条件式(4)は、撮像レンズ全系の焦点距離に対する第5レンズの焦点距離と第6レンズの焦点距離の和を適切な範囲に規定するものである。条件式(4)の範囲を満足することで、より好適に光学全長の短縮を図ることができる。
【0031】
また、本発明の撮像レンズにおいて、以下の条件式(5)を満足することが望ましい。
(5)0.5<f1/f<1.5
ただし、fは撮像レンズ全系の焦点距離、f1は第1レンズの焦点距離である。
【0032】
条件式(5)は、撮像レンズ全系の焦点距離に対する第1レンズの焦点距離を適切な範囲に規定するものであり、球面収差の発生を抑制しながら低背化と広角化を図るための条件である。条件式(5)の上限値を上回る場合、第1レンズの正の屈折力が弱くなりすぎ、球面収差の発生量を抑えるには有効だが、撮像レンズの低背化および広角化が困難になる。一方、条件式(5)の下限値を下回る場合、第1レンズの正の屈折力が強くなりすぎ、撮像レンズの低背化および広角化には有利だが、球面収差が増大する。
【0033】
また、本発明の撮像レンズにおいて、以下の条件式(6)を満足することが望ましい。
(6)1.5<(r3+r4)/(r3−r4)<4.5
ただし、r3は第2レンズの物体側の面の曲率半径、r4は第2レンズの像側の面の曲率半径である。
【0034】
条件式(6)は、近軸における第2レンズの形状を適切に規定するものであり、諸収差を良好に補正するための条件である。条件式(6)の範囲内で第2レンズの像側の面の屈折力を強くすることで、第1レンズで発生する色収差を補正しながら、コマ収差、像面湾曲、非点収差を良好に補正する。
【0035】
また、本発明の撮像レンズにおいて、第3レンズは正の屈折力を有し、第4レンズは物体側に凹面を向けた負の屈折力を有することが望ましい。
【0036】
第3レンズは正の屈折力を持つことにより撮像レンズの低背化に寄与しつつ、軸上色収差及び高次の球面収差やコマ収差、像面湾曲を補正する。また、第4レンズは物体側の面を凹面に形成した負の屈折力を有するレンズにすることによって、当該面への光線の入射角を抑制し、第3レンズで発生するコマ収差や高次の球面収差を良好に抑制する。
【0037】
また、本発明の撮像レンズにおいて、第2レンズ、第4レンズ、第6レンズは、以下の条件式(7)を満足することが望ましい。
(7)P4<P2<P6
ただし、P2は第2レンズの屈折力、P4は第4レンズの屈折力、P6は第6レンズの屈折力であり、それぞれのレンズの焦点距離の逆数で定義されるものである。
【0038】
条件式(7)は、負の屈折力を有する第2レンズ、第4レンズ、第6レンズのそれぞれの屈折力の大小関係を規定するものである。撮像レンズの中央付近に配される第4レンズは、最も弱い屈折力を有し、主に色収差及び、高次の球面収差やコマ収差、および像面湾曲の補正を担う。次に、撮像レンズの物体側付近に配置される第2レンズは、第4レンズよりも強い屈折力を有し、第1レンズで発生する球面収差および色収差の補正を担う。最も像側に配置される第6レンズは、最も強い屈折力を有し、球面収差および像面湾曲の補正を担う。条件式(7)を満足することで、光学全長を短く抑えながら、収差補正を好適に行う事が出来る。
【0039】
また、本発明の撮像レンズにおいて、第1レンズ、第3レンズ、第5レンズは正の屈折力を有し、以下の条件式(8)を満足することが望ましい。
(8)P3<P1<P5
ただし、P1は第1レンズの屈折力、P3は第3レンズの屈折力、P5は第5レンズの屈折力であり、それぞれのレンズの焦点距離の逆数で定義されるものである。
【0040】
条件式(8)は、正の屈折力を有する第1レンズ、第3レンズ、第5レンズのそれぞれの屈折力の大小関係を規定するものである。撮像レンズの中央付近に配される第3レンズは最も弱い屈折力を有し、主に色収差及び、高次の球面収差やコマ収差、像面湾曲の補正を担う。次に、撮像レンズの物体側に配置される第1レンズは、第3レンズよりも強い屈折力を有し、球面収差の発生を抑制しつつ撮像レンズの低背化と広角化を図る。そして、撮像レンズの像側付近に配置される第5レンズは、最も強い屈折力を有し、正の屈折力を第1レンズと適切にバランスさせることで撮像レンズの低背化と広角化を図りながら、非点収差および像面湾曲の補正を担う。条件式(8)を満足することで、撮像レンズの低背化と広角化、及び良好な諸収差の補正を可能とする。
【0041】
なお、条件式(7)および条件式(8)を同時に満足することにより、収差補正と全長の短縮化を好適に行う事が出来る。
【0042】
また、本発明の撮像レンズにおいて、第6レンズは像側の面は、光軸上以外の位置に変極点を有する非球面が形成されていることが望ましい。
【0043】
第6レンズの像側の面に、光軸上以外の位置に変極点を形成することにより、像面湾曲および歪曲収差の補正と、撮像素子への主光線入射角度の制御をより効果的に行うことができる。
【0044】
また、本発明の撮像レンズにおいて、以下の条件式(9)を満足することが望ましい。
(9)20<νd1−νd2<40
ただし、νd1は第1レンズのd線に対するアッベ数、νd2は第2レンズのd線に対するアッベ数である。
【0045】
条件式(9)は、第1レンズおよび第2レンズのd線に対するアッベ数の範囲を規定するものであり、色収差を良好に補正するための条件である。条件式(9)の範囲を満足する材料を採用することで、色収差を良好に補正できる。
【0046】
また、本発明の撮像レンズにおいて、以下の条件式(10)および条件式(11)を満足することが望ましい。
(10)50<νd5<70
(11)50<νd6<70
ただし、νd5は第5レンズのd線に対するアッベ数、νd6は第6レンズのd線に対するアッベ数である。
【0047】
条件式(10)は、第5レンズのd線に対するアッベ数の範囲を規定するものである。第5レンズは正の屈折力を有し、条件式(10)の範囲を満足する低分散材料を使用することにより色収差を良好に補正することができる。また、条件式(11)は第6レンズのd線に対するアッベ数の範囲を規定するものである。条件式(11)の上限値を上回る場合、軸上の色収差の補正が困難になり、条件式(11)の下限値を下回る場合、軸上の色収差の補正は容易となるが、軸外の色収差の補正が困難になる。第6レンズは条件式(11)の範囲を満足する材料を使用することにより、軸上及び軸外の色収差をバランス良く補正することができる。
【0048】
また、本発明の撮像レンズにおいて、以下の条件式(12)を満足することが望ましい。
(12)0.75<D5/D6<1.50
ただし、D5は第5レンズの光軸上の厚み、D6は第6レンズの光軸上の厚みである。
【0049】
条件式(12)は、第5レンズと第6レンズの光軸上の厚みを適切に規定するものである。像側に近い第5レンズと第6レンズは、有効径が比較的大きいレンズになるが、条件式(12)の範囲内で適度な厚みにバランスさせることで安定した成形性が確保できる。
【0050】
また、本発明の撮像レンズにおいて、以下の条件式(13)を満足することが望ましい。
(13)0.35<(T5/f)×100<3.00
ただし、T5は第5レンズの像側の面から第6レンズの物体側の面までの光軸上の距離、fは撮像レンズ全系の焦点距離である。
【0051】
条件式(13)は、第5レンズの像側の面から第6レンズの物体側の面までの光軸上の距離を適切に規定するものである。条件式(13)の上限値を上回る場合、第5レンズと第6レンズの空気間隔が広くなり過ぎ、撮像レンズの低背化が困難になるとともに、歪曲収差や像面湾曲が増大し、良好な光学性能を得ることができない。一方、条件式(13)の下限値を下回る場合、第5レンズと第6レンズの空気間隔が狭くなり過ぎ、組み立ての際にレンズが接触する危険性が高まるため好ましくない。
【0052】
また、本発明の撮像レンズにおいて、以下の条件式(14)を満足することが望ましい。
(14)0.6<|r7|/f<17.0
ただし、fは撮像レンズ全系の焦点距離、r7は第4レンズの物体側の面の曲率半径である。
【0053】
条件式(14)は、撮像レンズ全系の焦点距離に対する第4レンズの物体側の面の曲率半径を適切に規定するものである。条件式(14)の上限値を上回る場合、第4レンズの物体側の面の屈折力が弱くなりすぎ、当該面へ入射する軸外光線の入射角が大きくなり、軸外の球面収差やコマ収差、像面湾曲の補正が困難となる。一方、条件式(14)の下限値を下回る場合、第4レンズの物体側の面の屈折力が強くなりすぎ、レンズ面の周辺部の収差補正が過剰になるため、高次の球面収差やコマ収差、及び像面湾曲の補正が困難となる。
【0054】
また、本発明の撮像レンズにおいて、以下の条件式(15)を満足することが望ましい。
(15)0.45<E5/D5<1.20
ただし、E5は第5レンズの最大有効径におけるエッジ厚み、D5は第5レンズの光軸上の厚みである。
【0055】
条件式(15)は、第5レンズの光軸上の厚みと最大有効径におけるエッジ厚みを適切に規定するための条件である。レンズの射出成形において薄く小さなレンズを実現するためには、成形時流動性の観点からレンズの中心からエッジに至るまでの厚みの差を少なくすることが望ましい。条件式(15)を満足することによって、流動性の悪化による面精度への影響、ヒケの発生等を防止することができるため、成形不良率を低減させ、量産性が高まる。
【0056】
また、本発明の撮像レンズにおいて、以下の条件式(16)を満足することが望ましい。
(16)0.6<f12/f<2.0
ただし、fは撮像レンズ全系の焦点距離、f12は第1レンズと第2レンズの合成焦点距離である。
【0057】
条件式(16)は、撮像レンズ全系の焦点距離に対する第1レンズと第2レンズの合成焦点距離を適切な範囲に規定するものである。条件式(16)の上限値を上回る場合、第1レンズと第2レンズの合成焦点距離が長くなりすぎるため、光学全長の短縮化が困難となる。一方、条件式(16)の下限値を下回る場合、第1レンズと第2レンズの合成焦点距離が短くなりすぎるため、色収差が増大してしまい、良好な光学性能の確保が困難となる。
【0058】
また、本発明の撮像レンズにおいて、以下の条件式(17)を満足することが望ましい。
(17)0.80<ih/f<1.0
ただし、fは撮像レンズ全系の焦点距離、ihは最大像高である。
【0059】
条件式(17)は、撮影画角の範囲を規定するものである。条件式(17)の上限値を上回る場合、画角が広くなりすぎて収差を良好に補正できる範囲を超えることにより特に画面周辺部における諸収差の補正が困難になり、光学性能の劣化に繋がる。一方、条件式(17)の下限値を下回る場合、収差補正が容易となるため光学性能の向上には有利だが、広角化への対応が不十分となる。
【0060】
また、本発明の撮像レンズにおいて、以下の条件式(18)を満足することが望ましい。
(18)TTL/2ih<1.0
ただし、TTLは光学全長、ihは最大像高である。
【0061】
条件式(18)は全長対角比を規定するものである。条件式(18)の上限値を上回る場合、光学全長が長くなりすぎるため、低背化の要求への対応が困難となる。