(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る遊泳体装置を模式的に示す外観図である。
【
図2】同上の遊泳体装置の遊泳体の外観を示すものであって、(a)が正面図、(b)が平面図である。
【
図3】同上の遊泳体装置の遊泳体の推進の例を模式的に示す平面図である。
【
図4】同上の遊泳体装置の遊泳体における遊泳本体部へのヒレ部の接続の他の例の外観を示すものであって、(a)が正面図、(b)が平面図である。
【
図5A】同上の遊泳体装置の遊泳体制御装置の水槽と磁場発生部の外観を示す平面図である。
【
図5B】同上の遊泳体装置の遊泳体制御装置の水槽と磁場発生部の外観を示す正面図である。
【
図5C】同上の遊泳体装置の遊泳体制御装置の水槽と磁場発生部の外観を示す右側面図である。
【
図6】同上の遊泳体装置の遊泳体制御装置の磁場発生部が発生する磁場の例を示す波形図であって、(a)がバイアスがない場合のもの、(b)が正のバイアスを有する場合のものである。
【
図7】同上の遊泳体装置の遊泳体制御装置の操作部の外観を示すものであって、(a)が平面図、(b)が正面図である。
【
図8】同上の遊泳体装置において他の遊泳体制御装置を用いた場合を模式的に示す外観図である。
【
図9A】同上の遊泳体装置の他の遊泳体制御装置の水槽と磁場発生部の外観を示す平面図である。
【
図9B】同上の遊泳体装置の他の遊泳体制御装置の水槽と磁場発生部の外観を示す正面図である。
【
図9C】同上の遊泳体装置の他の遊泳体制御装置の水槽と磁場発生部の外観を示す右側面図である。
【
図10】同上の遊泳体装置の他の遊泳体制御装置の磁場発生部が発生する磁場の例を示す波形図であって、(a)が静磁場がy軸方向で交流磁場がx軸方向の場合のもの、(b)が静磁場がx軸方向で交流磁場がy軸方向の場合のものである。
【
図11】同上の遊泳体装置の他の遊泳体制御装置の操作部の外観を示すものであって、(a)が平面図、(b)が正面図である。
【
図12】同上の遊泳体装置の他の遊泳体制御装置の操作部の他の例の外観を示すものであって、(a)が平面図、(b)が正面図である。
【
図13】同上の遊泳体装置において更に他の遊泳体制御装置を用いた場合を模式的に示す外観図である。
【
図14A】同上の遊泳体装置の更に他の遊泳体制御装置の水槽と磁場発生部の外観を示す平面図である。
【
図14B】同上の遊泳体装置の更に他の遊泳体制御装置の水槽と磁場発生部の外観を示す正面図である。
【
図14C】同上の遊遊泳体装置の更に他の遊泳体制御装置の水槽と磁場発生部の外観を示す右側面図である。
【
図15】同上の遊泳体装置の更に他の遊泳体制御装置の磁場発生部が発生する磁場の例を示す波形図であって、(a)が静磁場がy軸方向で交流磁場がz軸方向の場合のもの、(b)が静磁場がz軸方向で交流磁場がx軸方向の場合のものである。
【
図16】同上の遊泳体装置の更に他の遊泳体制御装置の操作部の外観を示すものであって、(a)が平面図、(b)が正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態に係る遊泳体装置1は、ゲーム用の装置などに好適に適用できるものである。この遊泳体装置1は、
図1に示すように、遊泳体2と遊泳体制御装置3とを備えている。なお、遊泳体2は、後述する遊泳体制御装置4、5にも用いることができる。
【0016】
遊泳体2は、
図2に示すように、遊泳本体部21とその後端部に位置するヒレ部22とを有する。ヒレ部22は、遊泳本体部21の後端部に接続される。
【0017】
遊泳本体部21は、特に形状が限定されるものではないが、ヒレ部22を接続することで、遊泳体2が自然な一体的な形態として認識される魚形状又は海獣形状又は人魚形状などとなるようにするのが好ましい。また、遊泳本体部21は、キャラクター性を有する人や動植物などの愛玩形状にすることも可能である。遊泳本体部21は、例えばゲームを行う者が好みに合ったものを選択したり、或いは、特注したりすることが可能である。遊泳本体部21は、3Dプリンターなどを用いると容易に製造が可能である。遊泳本体部21は、前後方向の長さが例えば、2cm〜4cm程度とすることができる。
【0018】
ヒレ部22は、遊泳体2の前後方向に磁化方向を有している磁石23が搭載されている。磁石23は、磁化方向に長い棒状のものである。本実施形態では、磁石23は、その後端側がS極、前端側がN極としている。なお、
図2(a)、(b)においては、磁石23は透視して模式的に描いている。また、本願の説明において、遊泳本体部21、ヒレ部22、磁石23についての前後方向は、遊泳本2の前後方向と同じである。
【0019】
ヒレ部22は、シリコン樹脂製などのような柔軟な部材(基材)で形成されており、その磁石搭載部分22aの内部に磁石23を搭載している。ヒレ部22は、例えば、成形の型の中に磁石23を据えそのまわりにシリコン樹脂などを注入して固めて製造することができる。ヒレ部22は、魚(又は海獣)などの尾ビレのように幅広の側面22bを有している。ヒレ部22は、前後方向の長さが例えば、1cm〜2.5cm程度、厚さ(幅広の側面22bと直交する方向の長さ)が0.1cm〜0.5cm程度とすることができる。
【0020】
ヒレ部22は、サック部分22cを有しているのが好ましい。サック部分22cは、遊泳本体部21の後端部近傍が挿入されてその周囲に弾性変形により密着し、それにより遊泳本体部21に接続されるものである。従って、サック部分22cは、有底の中空部を有し弾性変形が容易なもの(例えば、シリコン樹脂製など)である。サック部分22cは、ヒレ部22の他の部分と一体的に形成すればよいが、ヒレ部22の他の部分に接着剤により接着してもよい。このようなサック部22cは、ヒレ部22を容易に遊泳本体部21に接続することができる。なお、ヒレ部22は、場合によっては、サック部分22cを有さず、接着剤等で遊泳本体部21に固定し接続することも可能である。
【0021】
ヒレ部22に搭載された磁石23は、後述する水槽31(又は41又は51)内において後述する交流磁場を受けると変位する。より詳細には、磁石23は、その後端と前端では働く力が逆方向なので、交流磁場を受けると、回動するように変位する。そして、ヒレ部22は、
図3に示すように、磁石23の変位に応じて弾性変形して振動し、周囲の水を後方に押し出すことにより遊泳体2の推進力を生じさせる。
【0022】
なお、ヒレ部22は、幅広の側面22bが水槽内において鉛直方向になるように遊泳本体部21に接続することができる(
図2(a)、(b)参照)。また、後述する
図13に示すように、遊泳体制御装置5の水槽51内で遊泳体2を用いる場合は、後述するように、遊泳体制御装置5は3次元の磁場を発生することができるので、ヒレ部22は、
図4(a)、(b)に示すように、幅広の側面22bが水平方向になるように遊泳本体部21に接続することも可能である。
【0023】
また、遊泳本体部21は、浮力が調整される。遊泳体制御装置3の水槽31内又は後述する
図8に示すような遊泳体制御装置4の水槽41内で遊泳体2を用いる場合は、後述するように、遊泳体制御装置3は1次元の磁場を発生し、遊泳体制御装置4は2次元の磁場を発生するので、遊泳体2は、水槽31(又は41)の底に沈むようにするか(
図1及び
図8参照)又は水面に浮かぶように浮力を調整する。
図13に示すような遊泳体制御装置5の水槽51内で遊泳体2を用いる場合は、後述するように、遊泳体制御装置5は3次元の磁場を発生することができるので、遊泳体2は、水槽31の水中の深度にかかわらず遊泳できるように浮力を調整する。
【0024】
次に、遊泳体制御装置3について説明する。遊泳体制御装置3は、水槽31と磁場発生部32と磁場制御部33と操作部34とを有している(
図1参照)。
【0025】
水槽31は、遊泳体2が中で遊泳するための水を溜め得るものである。また、水槽31は、通路31aaを有する構造物31aが設けられている。通路31aaを有する構造物31aは、種々のものが可能であり、通路31aaの孔が形成されたものであってもよいし、窪んだり直立したりなどして単に通路31aaを画定するものであってもよい。本実施形態の構造物31aは、
図5A、
図5B、
図5Cに示すように、矩形の薄板がx軸方向に直交して2枚、y軸方向に直交して2枚、底板上に設けられて互いに交差しており、合計9個の小空間を形成しており、それらの小空間の下部の各方向の隔壁にドーム形状の通路31aaが設けられたものである。x軸方向とy軸方向は、ともに水平方向であり、かつ、互いに直交する方向である。複数個の通路31aaのうちの幾つかを設けないようにして迷路にすることも可能である。また、スタート地点やゴール地点を明示することも可能である。使用者は、後述する操作部34を操作することにより、遊泳体2をいろいろな通路31aaを通過させて楽しむことができる。構造物31aは、その他、矩形の薄板に通路31aaが設けられた円筒を組み合わせるようにしたり電動のゲートを付加したりすることなどが可能である。また、通路31aaの形状は様々なものが可能である。
【0026】
磁場発生部32は、水槽31を挟んで対向する一対のコイルを1組有している(
図5A〜
図5C参照)。すなわち、磁場発生部32は、一対のコイルであるx軸方向の磁場を生成する一対のx軸コイル32x、32x’を有している。
【0027】
磁場制御部33は、磁場発生部32を制御する。磁場制御部33は、操作部34からの制御信号に基づいて、x軸磁場制御部33xにおいて磁場発生部32の一対のx軸コイル32x、32x’に、交流電流を流して交流磁場を発生させる。よって、交流磁場は、1次元方向が発生可能である。交流磁場は、所定の周波数及び振幅で時間的に変化するものであり、かつ、バイアス(直流成分)を有するものとすることができる。
図6(a)に示す交流磁場は、バイアスがない場合のもの、
図6(b)に示す交流磁場は、正のバイアスを有する場合のものである。交流磁場は、遊泳体2を推進させるのに用いられるとともに、進行方向を制御するのにも用いられる。
【0028】
なお、
図1、
図5A〜
図5C(及び後述する
図8、
図9A〜
図9C、
図13、
図14A〜
図14C)においては、透視により必要な各部材(水槽、構造物、コイルなど)を示している。また、
図1(及び
図5B)においては、一対のx軸コイル32x、32x’のうちの一方のコイル32xは、他方のコイル32x’に重なって隠れている。また、
図1においては、符号33xa、33xbは一対のx軸コイル32x、32x’のうちの一方のコイル32xの両端部に接続される電気配線、符号33xa’、33xb’は一対のx軸コイル32x、32x’のうちの他方のコイル32x’の両端部に接続される電気配線、をそれぞれ示している。
【0029】
遊泳体2の磁石23は、その前後方向(N極−S極方向)が交流磁場の方向に完全に一致しているのでなければ、交流磁場に従って変位し、それによりヒレ部22が振動し、その推進力により遊泳体2が進行する。交流磁場のバイアスがない場合、遊泳体2の磁石23は、その前後方向の軸に対して対称的に変位するので、ヒレ部22は対称的に振動し遊泳体2は直進する(
図3参照)。交流磁場がバイアスを有する場合、遊泳体2の磁石23は、その前後方向に対して非対称的に変位し、ヒレ部22は非対称的に振動し遊泳体2が進行方向を変えるようになる。例えば、本実施形態のように磁石23の後端側がS極で前端側がN極であり、コイル32x’からコイル32xに向かう磁場が正方向であると、正のバイアスを有する交流磁場は正方向の磁場が負方向の磁場よりも大きいので、遊泳体2は右回りに徐々に向きを変えることにより進行方向を変える。これに対し、負のバイアスを有する交流磁場は、負方向の磁場が正方向の磁場よりも大きいので遊泳体2が左回りに徐々に向きを変えることにより進行方向を変える。
【0030】
このように、一対のコイル32x、32x’により1次元方向に交流磁場が発生可能であり、遊泳体2を2次元の任意方向に進行させたり進行方向を変えたりすることができる。
【0031】
操作部34は、磁場制御部33を制御して遊泳体2の動作状態を変化させるものである。具体的には、操作部34は、
図7(a)、(b)に示すように、水平方向操作デバイス34aと周波数設定デバイス34bを有している。これらは、操作部本体34cに取り付けられている。操作部34は、電気配線ケーブル34Aを介して又は無線により磁場制御部33と通信を行うことにより磁場制御部33を制御する。無線の場合は、操作部34と磁場制御部33のそれぞれに無線通信機が設けられることになる。
【0032】
水平方向操作デバイス34aは、その操作により、交流磁場の振幅とバイアスを定め、それにより遊泳体2の速度と進行方向を定めるものである。水平方向操作デバイス34aは、操作者が把持する操作把持部分34aaを有する。操作把持部分34aaは、通常、操作部本体34cから突出した棒状のものである。水平方向操作デバイス34aは、その周辺部の四方が、水槽31における「前側」「後側」「左側」「右側」に対応しており、「F」「B」「L」「R」の文字或いはそれらと同等な文字又はマークを付すことができる。水平方向操作デバイス34aは、以下に述べる構造が可能である。
【0033】
水平方向操作デバイス34aは、一般的なジョイスティックのように、操作把持部分34aaを、その根元を不動点として、どの向きにも倒し得る構造にすることができる(
図7(a)、(b)参照)。そして、操作把持部分34aaを倒す向き(平面視における向き)の前後方向の成分の絶対値に対応して、交流磁場の振幅が変わるようにし、左右方向の成分に対応して交流磁場のバイアスが変わるようにすることができる。
【0034】
周波数設定デバイス34bは、磁場発生部32が発生する交流磁場の周波数(例えば、5〜20Hz)を設定するものである。周波数設定デバイス34bは、円柱形つまみの形態とすることが可能である。周波数設定デバイス34bが回されることにより、交流磁場の周波数は変更される。この周波数の変更は、遊泳体2における遊泳本体部21及びヒレ部22のサイズ又は重量により、推進力を得る最適な周波数が異なってくる場合も有るからである。なお、周波数設定デバイス34bは、つまみの他に、スライダーなどの他の形態も可能である。
【0035】
次に、遊泳体制御装置3の替わりに用いることができる遊泳体制御装置4について説明する。遊泳体制御装置4は、
図8に示すように、水槽41と磁場発生部42と磁場制御部43と操作部44とを有している。これらにおいて、水槽41(及び構造物41a、通路41aa)は、上述した水槽31(及び構造物31a、通路31aa)と同様のものである。
【0036】
磁場発生部42は、
図9A、
図9B、
図9Cに示すように、水槽41を挟んで対向する一対のコイルを2組有している。すなわち、磁場発生部42は、2組の一対のコイルであるx軸方向の磁場を生成する一対のx軸コイル42x、42x’、y軸方向の磁場を生成する一対のy軸コイル42y、42y’を有している。
【0037】
磁場制御部43は、磁場発生部42を制御する。磁場制御部43は、操作部44からの制御信号に基づいて、x軸磁場制御部43xにおいて磁場発生部42の一対のx軸コイル42x、42x’に電流(直流電流と交流電流の合成電流)を流して静磁場(時間的に変化しない磁場)のx軸成分を発生させるとともに交流磁場のx軸成分を発生させ、かつ、y軸磁場制御部43yにおいて磁場発生部42の一対のy軸コイル42y、42y’に電流を流して静磁場のy軸成分を発生させるとともに交流磁場のy軸成分を発生させる。交流磁場の方向は、静磁場の方向と直交する。交流磁場は、前述した遊泳体制御装置3の場合とは異なり、バイアスを有するものではない。静磁場と交流磁場は、2次元の任意方向が可能、つまり、2次元のどの方向にでも向かせることが可能である(
図10(a)、(b)参照)。
【0038】
なお、
図8(及び
図9B)においては、一対のx軸コイル42x、42x’のうちの一方のコイル42xは、他方のコイル42x’に重なって隠れている。また、
図8においては、符号43xa、43xbは一対のx軸コイル42x、42x’のうちの一方のコイル42xの両端部に接続される電気配線、符号43xa’、43xb’は一対のx軸コイル42x、42x’のうちの他方のコイル42x’の両端部に接続される電気配線、符号43ya、43ybは一対のy軸コイル42y、42y’のうちの一方のコイル42yの両端部に接続される電気配線、符号43ya’、43yb’は一対のy軸コイル42y、42y’のうちの他方のコイル42y’の両端部に接続される電気配線、をそれぞれ示している。
【0039】
静磁場は、遊泳体2の進行方向を制御するのに用いられ、その方向は、遊泳体2の目標の進行方向とされる。交流磁場は、遊泳体2を推進させるのに用いられる。遊泳体2の進行方向が目標の進行方向に一致していない場合は、遊泳体2の磁石23は静磁場の方向に平行になるように回動し、その回動に従って遊泳体2が回動して目標の進行方向に一致するように進行方向を変える。また、遊泳体2の磁石23は、その前後方向(N極−S極方向)が交流磁場の方向に完全に一致しているのでなければ、変位し、その変位に従ってヒレ部22が振動し、その推進力により遊泳体2が進行する。
【0040】
このように、2組の一対のコイルを有することにより2次元の任意方向に静磁場とそれに直交する交流磁場が発生可能であり、遊泳体2を2次元の任意方向に進行させたり進行方向を変えたりすることができる。
【0041】
操作部44は、磁場制御部43を制御して遊泳体2の動作状態を変化させるものである。具体的には、操作部44は、
図11(a)、(b)に示すように、水平方向操作デバイス44aと周波数設定デバイス44bを有している。これらは、操作部本体44cに取り付けられている。操作部44は、電気配線ケーブル44Aを介して又は無線により磁場制御部43と通信を行うことにより磁場制御部43を制御する。無線の場合は、操作部44と磁場制御部43のそれぞれに無線通信機が設けられることになる。
【0042】
水平方向操作デバイス44aは、その操作により、静磁場の水平方向の向きを定め、それにより遊泳体2の水平方向の進行方向を定めるものであり、また、交流磁場の振幅を定め、それにより遊泳体2の速度を定めるものである。水平方向操作デバイス44aは、操作者が把持する操作把持部分44aaを有する。操作把持部分44aaは、通常、操作部本体44cから突出した棒状のものである。水平方向操作デバイス44aは、その周辺部の四方が、水槽41における「前側」「後側」「左側」「右側」に対応しており、「F」「B」「L」「R」の文字或いはそれらと同等な文字又はマークを付すことができる。水平方向操作デバイス44aは、以下に述べる構造が可能である。
【0043】
水平方向操作デバイス44aは、一般的なジョイスティックのように、操作把持部分44aaを、その根元を不動点として、どの向きにも倒し得る構造にすることができる(
図11(a)、(b)参照)。そして、操作把持部分44aaを倒す向き(平面視における向き)が、磁場発生部42によって水平方向の静磁場の向きとなり、従って、遊泳体2の水平方向の進行方向となるようにすることができる。また、操作把持部分44aaを倒す角度(操作把持部分44aaが操作部本体44cとの間に成す角度)に対応して、磁場発生部42によって交流磁場の振幅が変わり、従って、遊泳体2の速度が変わるようにすることができる。
【0044】
また、水平方向操作デバイス44aは、
図12に示すように、操作把持部分44aaを、水平方向操作デバイス44aの中心44abから半径方向に移動可能であり、かつ、その中心44abのまわりを回動可能な構造にすることができる。そして、中心44abに対する操作把持部分44aaの向きが、磁場発生部42によって静磁場の向きとなり、従って、遊泳体2の水平方向の進行方向となるようにすることができる。また、中心44abからの操作把持部分44aaの距離に対応して、磁場発生部42によって交流磁場の振幅が変わり、従って、遊泳体2の速度が変わるようにすることができる。なお、
図12において、符号44acで示すのは、操作把持部分44aaを半径方向にガイドするガイド溝44adが設けられた円板形状のガイド部材であり、操作把持部分44aaとともに回動することができるものである。
【0045】
周波数設定デバイス44bは、遊泳体制御装置3の前述した周波数設定デバイス34bと同様のものである。
【0046】
次に、遊泳体制御装置3又は遊泳体制御装置4のかわりに用いることができる遊泳体制御装置5について説明する。遊泳体制御装置5は、
図13に示すように、水槽51と磁場発生部52と磁場制御部53と操作部54とを有している。
【0047】
水槽51は、上述した水槽31と同様のものである。構造物51aは、上述した構造物31aと同様ものであってもよいが、本実施形態では、
図14A、
図14B、
図14Cに示すように、矩形の薄板がx軸方向に直交して2枚、y軸方向に直交して2枚、z軸方向(深さ方向(鉛直方向))に直交して2枚設けられて互いに交差しており、合計27個の小空間を形成しており、それらの小空間の各方向の隔壁に円形の通路51aaが設けられたものとしている。複数個の通路51aaのうちの幾つかを設けないようにして迷路にすることも可能である。また、スタート地点やゴール地点を明示することも可能である。使用者は、後述する操作部54を操作することにより、遊泳体2をいろいろな通路51aaを通過させて楽しむことができる。
【0048】
磁場発生部52は、水槽51を挟んで対向する一対のコイルを3組有している(
図14A〜
図14C参照)。すなわち、磁場発生部52は、3組の一対のコイルであるx軸方向の磁場を生成する一対のx軸コイル52x、52x’、y軸方向の磁場を生成する一対のy軸コイル52y、52y’、z軸方向の磁場を生成する一対のz軸コイル52z、52z’を有している。
【0049】
磁場制御部53は、磁場発生部52を制御する。磁場制御部53は、操作部54からの制御信号に基づいて、x軸磁場制御部53xにおいて磁場発生部52の一対のx軸コイル52x、52x’に電流(直流電流と交流電流の合成電流)を流して静磁場のx軸成分を発生させるとともに交流磁場のx軸成分を発生させ、かつ、y軸磁場制御部53yにおいて磁場発生部52の一対のy軸コイル52y、52y’に電流を流して静磁場のy軸成分を発生させるとともに交流磁場のy軸成分を発生させ、かつ、z軸磁場制御部53zにおいて磁場発生部52の一対のz軸コイル52z、52z’に電流を流して静磁場のz軸成分を発生させるとともに交流磁場のz軸成分を発生させる。交流磁場の方向は、静磁場の方向と直交する。交流磁場は、バイアスを有するものではない。静磁場と交流磁場は、3次元の任意方向が可能、つまり、3次元のどの方向にでも向かせることが可能である(
図15(a)、(b)参照)。
【0050】
なお、
図13(及び
図14B)においては、一対のx軸コイル52x、52x’のうちの一方のコイル52xは、他方のコイル52x’に重なって隠れている。また、
図13においては、符号53xa、53xbは一対のx軸コイル52x、52x’のうちの一方のコイル52xの両端部に接続される電気配線、符号53xa’、53xb’は一対のx軸コイル52x、52x’のうちの他方のコイル52x’の両端部に接続される電気配線、符号53ya、53ybは一対のy軸コイル52y、52y’のうちの一方のコイル52yの両端部に接続される電気配線、符号53ya’、53yb’は一対のy軸コイル52y、52y’のうちの他方のコイル52y’の両端部に接続される電気配線、符号53za、53zbは一対のz軸コイル52z、52z’のうちの一方のコイル52zの両端部に接続される電気配線、符号53za’、53zb’は一対のz軸コイル52z、52z’のうちの他方のコイル52z’の両端部に接続される電気配線、をそれぞれ示している。
【0051】
静磁場は、遊泳体2の進行方向を制御するのに用いられ、その方向は、遊泳体2の目標の進行方向とされる。交流磁場は、遊泳体2を推進させるのに用いられる。遊泳体2の進行方向が目標の進行方向に一致していない場合は、遊泳体2の磁石23は静磁場の方向に平行になるように回動し、その回動に従って遊泳体2が回動して目標の進行方向に一致するようになる。また、遊泳体2の磁石23は、その前後方向(N極−S極方向)が交流磁場の方向に完全に一致しているのでなければ、変位し、その変位に従ってヒレ部22が振動し遊泳体2が進行する。
【0052】
このように、3組の一対のコイルを有することにより3次元の任意方向に静磁場とそれに直交する交流磁場が発生可能であり、遊泳体2を3次元の任意方向に進行させたり進行方向を変えたりすることができる。
【0053】
操作部54は、磁場制御部53を制御して遊泳体2の動作状態を変化させるものである。具体的には、操作部54は、
図16(a)、(b)に示すように、水平方向操作デバイス54aと周波数設定デバイス54bと鉛直方向操作デバイス54dを有している。これらは、操作部本体54cに取り付けられている。操作部54は、電気配線ケーブル54Aを介して又は無線により磁場制御部53と通信を行うことにより磁場制御部53を制御する。無線の場合は、操作部54と磁場制御部53のそれぞれに無線通信機が設けられることになる。
【0054】
水平方向操作デバイス54aは、遊泳体制御装置4の前述した水平方向操作デバイス44aと同様のものである。周波数設定デバイス54bは、遊泳体制御装置3の前述した周波数設定デバイス34b(及び、遊泳体制御装置4の前述した周波数設定デバイス44b)と同様のものである。
【0055】
鉛直方向操作デバイス54dは、その操作により、静磁場の鉛直方向への傾き(水平方向から鉛直方向への傾き)を定め、それにより遊泳体2の水平方向から鉛直方向への進行方向の傾きを定めるものである。鉛直方向操作デバイス54dは、スライダーの形態(
図16(a)、(b)参照)とすることが可能である。この形態の鉛直方向操作デバイス54dは、操作者が把持するレバー54daを有し、レバー54daが直線的に移動させられることにより、静磁場の鉛直方向への傾きを変更することが可能である。例えば、レバー54daが中央に位置すると遊泳体2は水平に進行し、レバー54daが中央より上側に有ると遊泳体2は上方に傾いて進行し、レバー54daが中央より下側に有ると遊泳体2は下方に傾いて進行するようにすることができる。
【0056】
以上説明したように、遊泳体2は、後端部に位置するヒレ部22を磁場を用いて動くようにしており、それにより水槽31(又は41又は51)内の通路31aa(又は41aa又は51aa)を通して操作により遊泳させることができる。なお、操作は、水槽31(又は41又は51)内の遊泳体2と構造物31a(又は41a又は51a)全体を観察しながら行うのが一般的であるが、遊泳本体部21の中に無線で画像を送ることができる小型のビデオカメラを内蔵するようにし、遊泳体2から送られて来た画像を見ながら行うようにすることも可能である。
【0057】
以上、本発明の実施形態に係る遊泳体装置について説明したが、本発明は、実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内での様々な設計変更が可能である。なお、ゲーム用の装置として以外に、例えば、磁場の働きを学習したり構造物の内部を遊泳体が移動しながら内部構造を学習したりする学習用の装置に好適に適用することができ、また、水平方向操作デバイス34a、44a、54aの操作把持部分34aa、44aa、54aaを倒すとき(
図7、
図11、
図16に示した形状の場合)又は移動させるとき(
図12に示した形状の場合)、負荷がかかるようにしたり、操作部を、身体の動きをビデオカメラ等を用いて計測しその動きに対応する制御信号を磁場制御部に出力するものとしたりすることで、リハビリテーション用の装置或いは年齢による身体能力低下の防止用の装置に好適に適用することが可能である。