特許第6573328号(P6573328)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6573328
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】無線通信システム及び無線通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 56/00 20090101AFI20190902BHJP
   H04W 64/00 20090101ALI20190902BHJP
   G01S 13/91 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   H04W56/00 130
   H04W64/00
   G01S13/91 200
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-77524(P2017-77524)
(22)【出願日】2017年4月10日
(65)【公開番号】特開2018-182479(P2018-182479A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2018年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 成樹
(72)【発明者】
【氏名】竹内 健司
(72)【発明者】
【氏名】白石 豊
(72)【発明者】
【氏名】今西 信明
【審査官】 大濱 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−253736(JP,A)
【文献】 特開2010−021870(JP,A)
【文献】 特開2013−074340(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0077509(US,A1)
【文献】 特開2004−037323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動物体の位置を測定し、前記移動物体の位置情報及び測定時刻情報を送信側無線通信装置から受信側無線通信装置に送信する無線通信システムにおいて、
前記送信側無線通信装置は、
所定の時間間隔のパルス信号である基準信号を無線で受信し、
前記基準信号より短い間隔で時刻をカウントする時刻情報を、前記基準信号に同期させ、
移動物体の位置及び時刻情報を含むパケットデータに、同期させた前記時刻情報に基づいて、パケットデータを送信する時刻である送信時刻情報を付加して、無線で送信し、
前記受信側無線通信装置は、
前記基準信号を無線で受信し、
前記基準信号より短い間隔で時刻をカウントする時刻情報を、前記基準信号に同期させ、
前記パケットデータを無線で受信し、
前記パケットデータに、同期させた前記時刻情報に基づいて、パケットデータを受信した時刻である受信時刻情報を付加し、
前記受信時刻情報から前記送信時刻情報を減算して通信遅延時間を算出し、
所定の最大遅延時間から前記通信遅延時間を減算して補間時間を算出し、前記パケットデータを前記補間時間で遅延させることにより、一定間隔でパケットデータを送信する
無線通信システム。
【請求項2】
前記パケットデータに前記通信遅延時間の情報を付加して出力する請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
所定の間隔のパルス信号である基準信号を無線で受信する基準信号受信器と、
前記基準信号より短い間隔で、時刻をカウントし、時刻情報を出力するカウンタと、
前記カウンタの時刻情報を、前記基準信号に同期させる時刻補間器と、
動物体の位置及び時刻情報に、時刻情報に基づく送信時刻情報を付加したパケットデータを無線で受信する無線受信器と、
同期させた前記時刻情報に基づいて、前記パケットデータを受信した時刻である受信時刻情報を前記パケットデータに付加する受信側タイムスタンパと、
前記パケットデータ内の前記受信時刻情報から前記送信時刻情報との時間差に基づいて、通信遅延時間を算出する演算器と、
前記通信遅延時間に基づいて、前記移動物体の位置及び前記時刻情報を一定間隔で送信するジッタ補正器とを備え、
前記ジッタ補正器は、所定の最大遅延時間から前記通信遅延時間を減算して補間時間を算出し、前記移動物体の位置及び前記時刻情報を前記補間時間で遅延させることにより、一定間隔で送信する無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信システム及び無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電波、音波、赤外線などのセンサを複数使用し、物体の位置やその移動を探知する技術が検討されている。例えば、特許文献1には、レーダやセンサによる観測情報を、通信ネットワークを介して共有するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−174108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなシステムにおいて、通信ネットワークを無線通信で実現することが考えられている。しかしながら、無線通信では、伝搬環境の変化により通信の遅延及び伝搬時間の揺らぎが発生するので、飛翔体等の高速で移動する移動体の測位結果を、所定の時間間隔で無線通信にて伝送しようとしても、測位結果の受信間隔がばらついてしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態の無線通信システムは、移動物体の位置を測定し、前記移動物体の位置情報及び測定時刻情報を送信側無線通信装置から受信側無線通信装置に送信する無線通信システムにおいて、
前記送信側無線通信装置は、
所定の時間間隔のパルス信号である基準信号を無線で受信し、
前記基準信号より短い間隔で時刻をカウントする時刻情報を、前記基準信号に同期させ、
移動物体の位置及び時刻情報を含むパケットデータに、同期させた前記時刻情報に基づいて、パケットデータを送信する時刻である送信時刻情報を付加して、無線で送信し、
前記受信側無線通信装置は、
前記基準信号を無線で受信し、
前記基準信号より短い間隔で時刻をカウントする時刻情報を、前記基準信号に同期させ、
前記パケットデータを無線で受信し、
前記パケットデータに、同期させた前記時刻情報に基づいて、パケットデータを受信した時刻である受信時刻情報を付加し、
前記受信時刻情報から前記送信時刻情報を減算して通信遅延時間を算出するようにした。
【0006】
一実施形態の無線通信装置は、所定の間隔のパルス信号である基準信号を無線で受信する基準信号受信器と、
前記基準信号より短い間隔で、時刻をカウントし、時刻情報を出力するカウンタと、
前記カウンタの時刻情報を、前記基準信号に同期させる時刻補間器と、
前記移動物体の位置及び時刻情報に、時刻情報に基づく送信時刻情報を付加したパケットデータを無線で受信する無線受信器と、
同期させた前記時刻情報に基づいて、前記パケットデータを受信した時刻である受信時刻情報を前記パケットデータに付加する受信側タイムスタンパと、を備えるようにした。
【0007】
一実施形態の無線通信装置は、所定の間隔のパルス信号である基準信号を無線で受信する基準信号受信器と、
前記基準信号より短い間隔で、時刻をカウントし、時刻情報を出力するカウンタと、
前記カウンタの時刻情報を、前記基準信号に同期させる時刻補間器と、
前記移動物体の位置及び時刻情報に、時刻情報に基づく送信時刻情報を付加したパケットデータを無線で受信する無線受信器と、
同期させた前記時刻情報に基づいて、前記パケットデータを受信した時刻である受信時刻情報を前記パケットデータに付加する受信側タイムスタンパと、を備える無線通信装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明の無線通信システム及び無線通信装置によれば、伝搬環境の変化により無線通信の遅延及び伝搬時間の揺らぎが発生し、測位結果の受信間隔がばらついてしまう場合でも、測位結果を所定の間隔で出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態にかかる無線通信システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】本実施の形態にかかる無線通信システムの動作の一例を示すチャムチャート図である。
図3】本実施の形態にかかる無線通信システムのタイムスタンパの概略構成を示すブロック図である。
図4】本実施の形態にかかる無線通信システムのパケット構造の一例を示す概略図である。
図5】本実施の形態にかかる無線通信システムのタイムスタンパの概略構成を示すブロック図である。
図6】本実施の形態にかかる無線通信システムのパケット構造の一例を示す概略図である。
図7】本実施の形態にかかる無線通信システムのジッタ補正器の概略構成を示すブロック図である。
図8】本実施の形態にかかる無線通信システムのパケット構造の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本実施の形態)
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる無線通信システムの概略構成を示す図である。図1において、無線通信システム10は、無線通信装置100と、無線通信装置200とを備える。また、通信衛星300は、無線通信装置100と、無線通信装置200との無線通信を中継する。
【0012】
無線通信装置100は、飛翔体監視レーダ101と、監視レーダ処理器102と、処理器103と、GNSSアンテナ105と、GNSS受信器106と、タイムスタンパ107と、無線通信器108と、を備える。
【0013】
飛翔体監視レーダ101は、飛翔体等の移動する検出対象物に向けて電波を発射し、その反射波を測定することにより、検出対象物までの距離及び方向を測る。そして、飛翔体監視レーダ101は、測定結果を監視レーダ処理器102に出力する。たとえば、飛翔体監視レーダ101は、所定の時間間隔で検出対象物までの距離及び方向を測定し、所定の時間間隔で測定結果を監視レーダ処理器102に出力する。
【0014】
監視レーダ処理器102は、飛翔体監視レーダ101の測定結果及び無線通信装置100(飛翔体監視レーダ101)の位置に基づいて、検出対象物の位置を算出する。そして、監視レーダ処理器102は、検出対象物の位置情報に測定時刻情報を付加して処理器103に出力する。
【0015】
処理器103は、監視レーダ処理器102から出力された検出対象物の位置情報及び測定時刻情報を所定の通信フォーマットに整え、タイムスタンパ107に出力する。
【0016】
GNSSアンテナ105は、図示しないGNSS(Global Navigation Satellite System)衛星から送信された航法信号を受信する。受信する航法信号には、PPS(Precise 1 Pulse per Second)信号が含まれる。
【0017】
GNSS受信器106は、航法信号からPPS信号を抽出し、タイムスタンパ107に出力する。
【0018】
タイムスタンパ107は、基準信号より短い間隔で、時刻をカウントする。そして、タイムスタンパ107は、カウントする時刻をPPS信号に同期させる。そして、タイムスタンパ107は、同期させた時刻情報で、検出対象物の位置情報及び測定時刻情報を有するパケットに送信時刻情報を付加する。この送信時刻情報は、無線通信装置100が検出対象物の位置情報及び測定時刻情報を有するパケットを送信する時刻の情報である。
【0019】
無線通信器108は、送信時刻情報を付加されたパケットを、無線信号として送信する。例えば、無線通信器108は、誤り訂正符号化処理器、変調回路、周波数変換回路、アンプ及びアンテナを有する。
【0020】
また、これらの構成について、監視レーダ処理器102、処理器103、パケット監視器104およびタイムスタンパ107は、CPU(Central Processing Unit)及びメモリを含むプロセッサ、あるいはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で構成してもよい。
【0021】
無線通信装置200は、無線通信器201と、GNSSアンテナ202と、GNSS受信器203と、タイムスタンパ204と、ジッタ補正器205と、処理器206と、飛翔体処理サーバ207とを備える。
【0022】
無線通信器201は、無線通信装置100から送信された無線信号(送信時刻情報を付加された、検出対象物の位置情報及び測定時刻情報を有するパケットの無線信号)を受信する。そして、無線通信器201は、受信した無線信号からパケットを復調する。例えば、無線通信器201は、アンテナ、アンプ、周波数変換回路、復調回路及び誤り訂正復号回路を有する。
【0023】
GNSSアンテナ202は、図示しないGNSS(Global Navigation Satellite System)衛星から送信された航法信号を受信する。受信する航法信号には、PPS信号が含まれる。
【0024】
GNSS受信器203は、航法信号からPPS信号を抽出し、タイムスタンパ204に出力する。
【0025】
タイムスタンパ204は、基準信号より短い間隔で、時刻をカウントする。そして、タイムスタンパ204は、カウントする時刻をPPS信号に同期させる。そして、タイムスタンパ204は、同期させた時刻情報で、検出対象物の位置情報及び測定時刻情報を有するパケットに受信時刻情報を付加する。この受信時刻情報は、無線通信装置200が検出対象物の位置情報及び測定時刻情報を有するパケットを受信した時刻の情報である。そして、タイムスタンパ204は、送信時刻情報に加えて、受信時刻情報を付加されたパケットをジッタ補正器205に出力する。
【0026】
ジッタ補正器205は、パケットに含まれる送信時刻情報及び受信時刻情報に基づいて、無線通信装置100から無線通信装置200に送信されたパケットの遅延時間を算出する。そして、ジッタ補正器205は、所定の最大遅延時間(固定値)から遅延時間を減算して補間時間を得る。そして、パケットを補間時間遅延させた後に、処理器206に出力する。
【0027】
処理器206は、パケットを所定の通信フォーマットに変換する等、通信に必要な処理を施し、飛翔体処理サーバ207にパケットを出力する。
【0028】
飛翔体処理サーバ207は、パケットを受信し、パケット内の検出対象物の位置情報及び測定時刻情報を収集、蓄積および分析処理を行う。
【0029】
以上の構成により、無線通信システム10は、異動する検出対象物の位置情報及び測定時刻情報を所定の間隔を保って伝達する。
【0030】
次に、無線通信システム10の動作について説明する。図2は、本実施の形態にかかる無線通信システムの動作の一例を示すチャムチャート図である。
【0031】
図2において、無線通信装置100は、GNSS衛星から送信されたPSS信号を受信する。このPSS信号は、例えば1秒間隔のパルス信号である。また、このPSS信号は、タイミングの精度が高い(例えば1μ秒以内の誤差)信号である。
【0032】
無線通信装置100は、タイムスタンパ107内のカウンタで時刻をしているが、このカウントするタイミングをPSS信号に同期させる。たとえば、タイムスタンパ107のカウンタが、PSS信号に同期させて1μ秒毎に時刻をカウントすることにより、タイムスタンパ107のカウンタも、精度を高く時刻をカウントすることができる。
【0033】
そして、PSS信号に同期させた精度の高い時刻で、パケットに送信時刻を付加する。
【0034】
このパケットは、例えば、無線通信装置100から通信衛星300を中継して無線通信装置200に伝達される。無線通信装置100から通信衛星300を中継して無線通信装置200までの距離は非常に遠いので、パケットが無線通信装置100から無線通信装置200に届くまでに遅延が発生する。例えば、通信衛星300が高度1万5千kmにある場合、往復3万kmを電波が伝達する間に少なくとも0.1秒の遅延が生じる。
【0035】
そして、地球環境(大気、電離層、遮蔽物の有無等)の変化により伝搬環境も変化する。現在の無線通信においては、これらの伝搬環境に応じて、通信効率が最大になるように、誤り訂正符号化のビット数、変調方式等を変化させる。したがって、伝搬環境が悪化して伝送レートが半減した場合、パケット全体が届くのに要する時間は、伝搬環境が悪化する前の2倍になってしまう。
【0036】
このように、通信の遅延及び伝搬時間の揺らぎが発生するので、飛翔体監視レーダ101が検出対象物の測定結果を出力する間隔が一定であっても、無線通信装置200が測定結果を受信する間隔は、不規則にならざるを得ない。すなわち、図2に示す遅延時間は、パケット毎に異なる。
【0037】
本実施の形態の無線通信装置200は、この遅延時間の変化を考慮して、パケットを受信する間隔が不規則であっても、所定の間隔で規則正しくパケットを出力できるようにする。
【0038】
具体的には、図2に示すように、無線通信装置200は、タイムスタンパ204内で時刻をカウントするタイミングを、PSS信号に同期させる。そして、PSS信号に同期させた精度の高い時刻で、パケットに受信時刻を付加する。
【0039】
この受信時刻と、前述の送信時刻との時間差が遅延時間に対応する。無線通信装置200のジッタ補正器205は、受信時刻から送信時刻を減算して、遅延時間を算出する。
【0040】
そして、ジッタ補正器205は、パケット毎に、固定遅延時間から遅延時間を減算して、補間時間を算出する。ジッタ補正器205は、パケットをこの補間時間分、遅延させて出力する。
【0041】
遅延時間が大きいほど補間時間は小さく、遅延時間が小さいほど補間時間は大きいので、ジッタ補正器205において、パケット毎に補間時間分でパケットを遅延させることにより、パケットの出力間隔を一定にすることができる。すなわち、図2に示すように、パケットが無線通信装置200に到達するまでの遅延時間がそれぞれ異なっていても、パケットが無線通信装置200から出力するタイミングは、所定の間隔から固定遅延時間後となり、揺らぎがなくなる。
【0042】
次に、タイムスタンパ107の詳細構成について説明する。図3は、本実施の形態にかかる無線通信システムのタイムスタンパの概略構成を示すブロック図である。図3において、タイムスタンパ107は、対象パケット選別器171と、時刻補間器172と、送信時刻情報付加器173と、スイッチ174とを備える。
【0043】
対象パケット選別器171は、処理器103及びその他の装置から送信されるパケットの中に、検出対象物の位置情報及び測定時刻情報を有するパケットがあるか否か監視する。そして、対象パケット選別器171は、検出対象物の位置情報及び測定時刻情報を有するパケットを検出した場合、このパケットを送信時刻情報付加器173に出力する。
【0044】
時刻補間器172は、GNSS衛星から受信する基準信号より短い間隔で、時刻をカウントする。そして、時刻補間器172は、カウントする時刻をPPS信号に同期させる。そして、時刻補間器172は、PPS信号に同期させた時刻の情報を送信時刻情報付加器173に出力する。例えば、時刻補間器172は、1μ秒単位で時刻をカウントし、1秒間隔の正確なPPS信号に時刻を同期させる。
【0045】
送信時刻情報付加器173は、時刻補間器172がPPS信号に同期させた時刻で、検出対象物の位置情報及び測定時刻情報を有するパケットに送信時刻情報を付加する。
【0046】
スイッチ174は、パケットの宛先情報に基づいてパケットを転送する中継器である。。例えば、パケットの宛先情報が無線通信装置200である場合、スイッチ174は、パケットを無線通信器108に出力する。具体的には、送信時刻情報が付加されたパケットは、パケットの宛先情報が無線通信装置200であるので、スイッチ174は、パケットを無線通信器108に出力する。スイッチ174は、例えばL2スイッチで構成されてもよい。
【0047】
このように、タイムスタンパ107は、検出対象物の位置情報及び測定時刻情報を有するパケットに、PPS信号より細かい時間間隔の送信時刻情報を付加する。次に送信時刻情報を付加したパケットの例について説明する。図4は、本実施の形態にかかる無線通信システムのパケット構造の一例を示す概略図である。図4に示すパケット400は、データフィールド401と、送信時刻情報フィールド402とを備える。データフィールドには、飛翔体監視レーダ101が測定した検出対象物の位置情報および測定時刻情報が含まれている。また、送信時刻情報フィールド402には、図2における送信時刻Xの情報が含まれている。なお、送信時刻情報フィールド402が付加される位置は、パケット400の任意の位置でよい。
【0048】
この送信時刻情報フィールド402が付加されたパケット402は、無線通信装置100から無線信号として送信され、無線通信装置200に受信され、さらに受信時刻の情報がパケットに付加される。
【0049】
次に、タイムスタンパ204の詳細構成について説明する。図5は、本実施の形態にかかる無線通信システムのタイムスタンパの概略構成を示すブロック図である。図5において、タイムスタンパ204は、対象パケット選別器241と、時刻補間器242と、受信時刻情報付加器243と、スイッチ244とを備える。
【0050】
対象パケット選別器241は、無線通信器201及びその他の装置から出力されるパケットの中に、検出対象物の位置情報及び測定時刻情報を有するパケットがあるか否か監視する。そして、対象パケット選別器241は、検出対象物の位置情報及び測定時刻情報を有するパケットを検出した場合、このパケットを時刻補間器242に出力する。
【0051】
時刻補間器242は、GNSS衛星から受信する基準信号より短い間隔で、時刻をカウントする。そして、時刻補間器242は、カウントする時刻をPPS信号に同期させる。そして、時刻補間器242は、PPS信号に同期させた時刻の情報を受信時刻情報付加器243に出力する。例えば、時刻補間器242は、時刻補間器172と同様に、1μ秒単位で時刻をカウントし、1秒間隔の正確なPPS信号に時刻を同期させる。
【0052】
受信時刻情報付加器243は、時刻補間器242がPPS信号に同期させた時刻で、検出対象物の位置情報及び測定時刻情報を有するパケットに受信時刻情報を付加する。
【0053】
スイッチ244は、パケットの宛先情報に基づいてパケットを転送する中継器である。例えば、パケットの宛先情報が飛翔体処理サーバ207である場合、スイッチ244は、パケットを、飛翔体処理サーバ207への経路にあるジッタ補正器205に出力する。具体的には、送信時刻情報が付加されたパケットは、パケットの宛先情報が飛翔体処理サーバ207であるので、スイッチ244は、ジッタ補正器205に出力する。スイッチ244は、例えばL2スイッチで構成されてもよい。
【0054】
このように、タイムスタンパ204は、検出対象物の位置情報及び測定時刻情報を有するパケットに、PPS信号より細かい時間間隔の受信時刻情報を付加する。次に受信時刻情報を付加したパケットの例について説明する。
【0055】
図6は、本実施の形態にかかる無線通信システムのパケット構造の一例を示す概略図である。図6に示すパケット600は、データフィールド401と、送信時刻情報フィールド402と、受信時刻情報フィールド601を備える。受信時刻情報フィールド602には、図2における受信時刻Yの情報が含まれている。なお、受信時刻情報フィールド601が付加される位置は、パケット600の任意の位置でよい。また、送信時刻情報フィールド402と、受信時刻情報フィールド601とは、連続していても、連続していなくてもよい。
【0056】
そして、上述のタイムスタンパ107及びタイムスタンパ204によりパケット付加された送信時刻情報と受信時刻情報に基づいて、遅延時間を算出する。図7は、本実施の形態にかかる無線通信システムのジッタ補正器の概略構成を示すブロック図である。図7において、ジッタ補正器205は、対象パケット選別器251と、ジッタ時間計算器252と、ジッタ補正回路253と、スイッチ254とを備える。
【0057】
対象パケット選別器251は、タイムスタンパ204及びその他の構成装置から出力されたパケットのうち、検出対象物の位置情報および測定時刻情報が含まれているパケットを選別する。そして、対象パケット選別器251は、検出対象物の位置情報及び測定時刻情報を有するパケットを検出した場合、このパケットをジッタ補正回路253に出力する。
【0058】
ジッタ時間計算器252は、パケット内の送信時刻情報と受信時刻情報に基づいて、遅延時間を算出する。具体的には、ジッタ時間計算器252は、受信時刻から送信時刻を減算して通信遅延時間を算出する。そして、ジッタ時間計算器252は、通信遅延時間の情報をジッタ補正回路253に出力する。
【0059】
ジッタ補正回路253は、所定の最大遅延時間(図2の固定遅延時間)から通信遅延時間を減算して補間時間を算出する。そして、ジッタ補正回路253は、パケットを補間時間で遅延させた後に飛翔体処理サーバ207に出力する。また、ジッタ補正回路253は、通信遅延時間が所定の最大遅延時間より長い場合、所定の最大遅延時間を通信遅延時間と同じく設定する。その後、通信遅延時間が所定の最大遅延時間より短い状態に戻った場合、ジッタ補正回路253は、所定の最大遅延時間を初期の設定値に戻す。
【0060】
スイッチ254は、パケットの宛先情報に基づいてパケットを転送する中継器である。例えば、パケットの宛先情報が飛翔体処理サーバ207である場合、スイッチ254は、パケットを、飛翔体処理サーバ207への経路にある処理器206に出力する。具体的には、送信時刻情報が付加されたパケットは、パケットの宛先情報が飛翔体処理サーバ207であるので、スイッチ254は、処理器206に出力する。スイッチ254は、例えばL2スイッチで構成されてもよい。
【0061】
上記ジッタ補正回路253はジッタ時間計算器252と同じ構成内に備えてもよいし、別の構成に備えてもよい。ジッタ補正回路253をジッタ時間計算器252と別の構成に備える場合、ジッタ時間計算器252は、遅延時間の情報をパケットに付加して出力し、ジッタ補正回路253において、パケットに付加された遅延時間の情報に基づいて遅延処理を行っても良い。
【0062】
図8は、本実施の形態にかかる無線通信システムのパケット構造の一例を示す概略図である。図8に示すパケット800は、データフィールド401と、遅延時間情報フィールド801とを備える。遅延時間情報フィールド801には、図2における遅延時間Dの情報が含まれている。なお、遅延時間情報フィールド801が付加される位置は、パケット800の任意の位置でよい。
【0063】
このように、本実施形態の無線通信システムおよび無線通信装置によれば、時刻基準信号に同期させた時刻に基づいて、パケットの送信時刻の情報をパケットに付加して送信し、受信側で、送信側と同じ時刻基準信号に同期させた時刻に基づいて、パケットの受信時刻の情報をパケットに更に付加し、受信時刻と送信時刻との差から遅延時間を算出し、遅延時間に基づいてパケット毎に送信タイミングを調整して出力することにより、パケットの受信間隔がばらついてしまう場合でも、パケットを所定の間隔で出力することができる。
【0064】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上記実施の形態では、パケット通信の例について説明しているが、所定の間隔で、データと時刻情報とを一つの信号として送信する無線通信であれば、いずれも適用できる。
【0065】
また、上記実施の形態では、通信衛星で中継する無線通信の例について説明しているが、通信衛星が中継しない無線通信に適用しても良い。また中継する局が通信衛星以外でも適用できる。すなわち、伝搬環境の変化により、遅延または到達時間の揺らぎが発生する無線通信であれば、いずれも適用できる。
【0066】
また、上記実施の形態の無線通信装置は、固定した装置として用いることが好適であるが、移動する装置に適用してもよい。
【0067】
また、上記実施の形態では、飛翔体処理サーバ207が無線通信装置200内に配置されている例について説明しているが、飛翔体処理サーバ207と無線通信装置200とを別体とし、飛翔体処理サーバ207と無線通信装置200を通信ネットワークで接続してもよい。
【0068】
また、上記実施の形態では、飛翔体監視レーダ101が飛翔体の位置を観測しているが、観測対象は、飛翔体以外でもよく、移動体または移動する可能性のある物体であれば、いずれも適用できる。
【0069】
また、上記実施の形態では、無線通信システム10内に無線通信装置100が1つである例について説明しているが、無線通信装置100が複数あってもよい。同様に無線通信システム10内に無線通信装置200が複数あってもよい。さらに同様に通信衛星300が複数あってもよい。
【符号の説明】
【0070】
10 無線通信システム
100、200 無線通信装置
101 飛翔体監視レーダ
102 監視レーダ処理器
103、206 処理器
104 パケット監視器
105、202 GNSSアンテナ
106、203 受信器
107、204 タイムスタンパ
108、201 無線通信器
171、241、251 対象パケット選別器
172、242 時刻補間器
173 送信時刻情報付加器
174、244、254 スイッチ
205 ジッタ補正器
207 飛翔体処理サーバ
243 受信時刻情報付加器
252 ジッタ時間計算器
253 ジッタ補正回路
300 通信衛星
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8