(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記書き込み回路が前記第1の強磁性導電層に磁気情報を記録する際に、前記第1の強磁性導電層の該磁気情報の書き込みが行われる領域を加熱する、熱アシスト手段をさらに有する、
請求項1〜5のいずれかに記載の電界記録型磁気メモリ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来提案されているレーストラックメモリにおいては、磁性ナノワイヤに情報を書き込むにあたり、従来のHDDと同様に、電流によって発生させた磁界(電流磁界)が用いられる。電流磁界による磁気記録はエネルギーロスが大きいため、装置の消費電力を低減する上で妨げとなる。
【0006】
本発明は、従来提案されているレーストラックメモリよりもさらに消費電力を低減することが可能な磁気メモリを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の磁気メモリは、次の[1]〜[10]の形態を包含する。
[1]
1次元的に延在する第1の強磁性導電層、および、該第1の強磁性導電層の一方の面の少なくとも一部に積層された強磁性強誘電層を含む、記録媒体と、
強磁性強誘電層に電場を印加する、1対の書き込み用電極と、
記録媒体の長手方向に離隔して、第1の強磁性導電層に接して配設された、1対のビット移動用電極と、
第1の強磁性導電層の表面の一部に隣接して配設された非磁性層と、
該非磁性層の表面に配設され、該非磁性層を挟んで第1の強磁性導電層と向かい合う、第2の強磁性導電層と、
1対の書き込み用電極を介して強磁性強誘電層に電場を印加することにより、該電場の方向に対応して定まる方向の磁化を強磁性強誘電層に生じさせ、該強磁性強誘電層に生じた磁化によって第1の強磁性導電層に磁気情報を記録する、書き込み回路と、
1対のビット移動用電極を介して第1の強磁性導電層に電流を流すことにより、該第1の強磁性導電層中の磁壁を移動させる、ビット移動回路と、
第1の強磁性導電層と第2の強磁性導電層との間の電気抵抗に応じた信号を得る、読み取り回路とを有することを特徴とする、電界記録型磁気メモリ。
【0008】
本発明において、第1の強磁性導電層が「1次元的に延在する」とは、第1の強磁性導電層がその長さ方向に延在し、且つ、第1の強磁性導電層が延在する方向が、当該長さ方向に沿って視点を移動するに従って変化してもよいことを意味する。例えば、第1の強磁性導電層は、直線状に延在していてもよく、曲線状に延在していてもよく、三次元的に折り畳まれた形状を有していてもよい。
本発明において、「1対の書き込み用電極」の一方の電極は、「1対のビット移動用電極」の一方の電極と共通であってもよい。
【0009】
[2]
第1の強磁性導電層が、L2
1型強磁性合金層、L1
0型強磁性合金層、およびD0
3型強磁性合金層からなる群から選ばれる1又は2以上の組み合わせである、[1]に記載の電界記録型磁気メモリ。
【0010】
本明細書において、「L2
1型強磁性合金」とは、L2
1型規則構造を有する強磁性合金を意味し、「L1
0型強磁性合金」とは、L1
0型規則構造を有する強磁性合金を意味し、「D0
3型強磁性合金」とは、D0
3型規則構造を有する強磁性合金を意味する。
【0011】
[3]
非磁性層が絶縁層である、[1]又は[2]に記載の電界記録型磁気メモリ。
【0012】
本明細書において、「絶縁層」とは電気絶縁層を意味する。
【0013】
[4]
第2の強磁性導電層が、ルチル型導電性強磁性酸化物層、L1
0型強磁性合金層、およびL2
1型強磁性合金層からなる群から選ばれる1又は2以上の組み合わせである、[1]〜[3]のいずれかに記載の電界記録型磁気メモリ。
【0014】
[5]
第2の強磁性導電層の表面に、固定磁性導電層が配設されており、
第2の強磁性導電層は、固定磁性導電層と非磁性層との間に挟まれており、
固定磁性導電層は、反強磁性導電層、もしくはL1
0型強磁性合金層、またはこれらの組み合わせである、[1]〜[4]のいずれかに記載の電界記録型磁気メモリ。
【0015】
[6]
書き込み回路が第1の強磁性導電層に磁気情報を記録する際に、第1の強磁性導電層の該磁気情報の書き込みが行われる領域を加熱する、熱アシスト手段をさらに有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の電界記録型磁気メモリ。
【0016】
[7]
1対の書き込み用電極が、強磁性強誘電層および第1の強磁性導電層を、その積層方向に挟むように配置されている、[1]〜[6]のいずれかに記載の電界記録型磁気メモリ。
【0017】
[8]
第1の強磁性導電層が、下記組成式(1)で表されるL2
1型強磁性合金の層、下記組成式(2)で表されるL1
0型強磁性合金の層、および、下記組成式(3)で表されるD0
3型強磁性合金の層からなる群から選ばれる1又は2以上の組み合わせである、[1]〜[7]のいずれかに記載の電界記録型磁気メモリ。
X
2YZ (1)
(式(1)中、XはFe、Co、及びNiから選ばれる1種以上の元素であり;YはMn、Cr、V、及びTiから選ばれる1種以上の元素であり;ZはGe、Ga、Si、及びAlから選ばれる1種以上の元素である。)
Mn
50Ge
xGa
yAl
50−x−y (2)
(式(2)中、xは0〜50の実数であり;yは0〜50の実数であり;x及びyはx+y≦50を満たす。)
X
3Y (3)
(式(3)中、XはMn及びVから選ばれる1種以上の元素であり;YはGe、Ga、Si、及びAlから選ばれる1種以上の元素である。)
【0018】
[9]
前記強磁性強誘電層が、下記組成式(5)で表される強磁性強誘電材料を含む、[1]〜[8]のいずれかに記載の電界記録型磁気メモリ。
(Bi
1−aX
a)(Fe
1−bM
b)O
3 (5)
(式(5)中、XはBa及びLaから選ばれる1種以上の元素であり;MはMn及びTiから選ばれる1種以上の元素であり;a及びbは、0≦a≦0.8、且つ0≦b≦0.5を満たす実数である。)
【0019】
[10]
第2の強磁性導電層が、組成式CrO
2で表されるルチル型導電性強磁性酸化物の層、下記組成式(6)で表されるL1
0型強磁性合金の層、及び下記組成式(7)で表されるL2
1型強磁性合金の層からなる群から選ばれる1又は2以上の組み合わせである、[1]〜[9]のいずれかに記載の電界記録型磁気メモリ。
XY (6)
(式(6)中、XはFe及びCoから選ばれる1種以上の元素であり;YはPt、Pd、及びNiから選ばれる1種以上の元素である。)
X
2YZ (7)
(式(7)中、XはFe、Co、及びNiから選ばれる1種以上の元素であり;YはMn、Cr、V、及びTiから選ばれる1種以上の元素であり;ZはGe、Ga、Si、及びAlから選ばれる1種以上の元素である。)
【発明の効果】
【0020】
本発明の電界記録型磁気メモリによれば、電流磁界を用いることなく、電場によって記録媒体に情報を書き込むので、従来提案されているレーストラックメモリよりも更に消費電力を低減することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。図面は、必ずしも正確な寸法を反映したものではない。図では、符号を一部省略することがある。本明細書において、数値A及びBについて「A〜B」は、特に別途規定されない限り、「A以上B以下」を意味する。該表記において数値Aの単位を省略する場合には、数値Bに付された単位が数値Aの単位として適用されるものとする。なお、以下に示す形態は本発明の例示であり、本発明がこれらの形態に限定されるものではない。
【0023】
<電界記録型磁気メモリ(1)>
図1は、本発明の一の実施形態に係る電界記録型磁気メモリ100の構成を模式的に説明する図である。電界記録型磁気メモリ100は、1次元的に延在する第1の強磁性導電層11、および、第1の強磁性導電層11の一方の面に積層された強磁性強誘電層12を含む、記録媒体10と;強磁性強誘電層12に電場を印加する、1対の書き込み用電極21、22と;記録媒体10の長手方向に離隔して、第1の強磁性導電層11に接して配設された、1対のビット移動用電極31、32と;第1の強磁性導電層11の表面の一部に隣接して配設された非磁性層41と;非磁性層41の表面に配設され、非磁性層41を挟んで第1の強磁性導電層11と向かい合う、第2の強磁性導電層42と;1対の書き込み用電極21、22を介して強磁性強誘電層12に電場を印加することにより、該電場の方向に対応して定まる方向の磁化M
0を強磁性強誘電層12に生じさせ、強磁性強誘電層12に生じた磁化M
0によって第1の強磁性導電層11にM
1の磁気情報を記録する、書き込み回路50と;1対のビット移動用電極31、32を介して第1の強磁性導電層11に電流を流すことにより、第1の強磁性導電層11中の磁壁13、13、…を移動させる、ビット移動回路60と;第1の強磁性導電層11と第2の強磁性導電層42との間の電気抵抗に応じた信号を得る、読み取り回路70とを有している。電界記録型磁気メモリ100において、1対の書き込み用電極21、22は、強磁性強誘電層12および第1の強磁性導電層11を、その積層方向(
図1における紙面上下方向)に挟むように配置されている。
【0024】
図1においては、第1の強磁性導電層11、強磁性強誘電層12、書き込み用電極21、22、ビット移動用電極31、32、非磁性層41、及び第2の強磁性導電層42を断面図で記載しており、書き込み回路50、ビット移動回路60、及び読み取り回路70をブロック図で記載している。
図1の紙面左右方向が第1の強磁性導電層11の延在方向(長手方向)である。
図1の紙面上下方向が、第1の強磁性導電層11、強磁性強誘電層12、書き込み用電極21、22、ビット移動用電極31、32、非磁性層41、及び第2の強磁性導電層42の厚さ方向である。また
図1の紙面に垂直な方向が、第1の強磁性導電層11、強磁性強誘電層12、書き込み用電極21、22、ビット移動用電極31、32、非磁性層41、及び第2の強磁性導電層42の幅方向である。
【0025】
(第1の強磁性導電層11)
第1の強磁性導電層11は、導電性を有する強磁性体の層であり、磁気情報が記録される層である。第1の強磁性導電層11は垂直磁気異方性を有しており、磁気情報は第1の強磁性導電層11の面に垂直な方向の磁化、すなわち
図1の紙面上下方向の磁化として記録される。第1の強磁性導電層11のその磁化の向きが変わる位置には、磁壁13、13、…が形成されている。後述するように、ビット移動回路60が第1の強磁性導電層11に流す電流を制御することにより、磁壁13、13、…を所望の距離だけ移動させることができる。電界記録型磁気メモリ100において、第1の強磁性導電層11中の磁壁13、13、…を移動させることは、第1の強磁性導電層11中の記録ビットを移動させることと等価である。
【0026】
高速な書き込み及び読み出しを実現するためには、第1の強磁性導電層11における磁壁13、13、…の移動速度が高いことが好ましい。強磁性導電材料中の磁壁の移動速度は、材料のスピン分極率Pに比例し、飽和磁化M
s及び磁気飽和定数αに反比例する。したがって第1の強磁性導電層11には、飽和磁化M
s及び磁気飽和定数αが小さく、スピン分極率Pが大きい材料を用いることが好ましい。
また、第1の強磁性導電層11に記録された磁気情報を、第1の強磁性導電層11と第2の強磁性導電層42との間のトンネル磁気抵抗効果(TMR効果)または巨大磁気抵抗効果(GMR効果)を利用して読み出すにあたって、読み出しエラーを低減するためには、トンネル磁気抵抗比(TMR比)または巨大磁気抵抗効果(GMR効果)が大きいことが好ましい。第1の強磁性導電層11および第2の強磁性導電層42のスピン分極率が大きいほど、第1の強磁性導電層11と第2の強磁性導電層42との間のTMR比またはGMR比は大となる。よってこの点からも、第1の強磁性導電層11には、スピン分極率Pが大きい材料を用いることが好ましい。
これらの観点から、第1の強磁性導電層11は、L2
1型強磁性合金層、L1
0型強磁性合金層、およびD0
3型強磁性合金層からなる群から選ばれる1又は2以上の組み合わせであることが好ましい。より具体的には、第1の強磁性導電層11は、下記組成式(1)で表されるL2
1型強磁性合金の層、下記組成式(2)で表されるL1
0型強磁性合金の層、および、下記組成式(3)で表されるD0
3型強磁性合金の層からなる群から選ばれる1又は2以上の組み合わせであることが好ましい。
X
2YZ (1)
(式(1)中、XはFe、Co、及びNiから選ばれる1種以上の元素であり;YはMn、Cr、V、及びTiから選ばれる1種以上の元素であり;ZはGe、Ga、Si、及びAlから選ばれる1種以上の元素である。)
Mn
50Ge
xGa
yAl
50−x−y (2)
(式(2)中、xは0〜50の実数であり;yは0〜50の実数であり;x及びyはx+y≦50を満たす。)
X
3Y (3)
(式(3)中、XはMn及びVから選ばれる1種以上の元素であり;YはGe、Ga、Si、及びAlから選ばれる1種以上の元素である。)
第1の強磁性導電層11のスピン分極率Pをより大きくする観点からは、第1の強磁性導電層11はL2
1型強磁性合金層を含むことがより好ましく、より具体的には上記組成式(1)で表されるL2
1型強磁性合金の層を含むことが好ましい。
【0027】
第1の強磁性導電層11の厚さは特に制限されるものではないが、1〜200nmであることが好ましく、5〜50nmであることがより好ましい。
【0028】
(強磁性強誘電層12)
強磁性強誘電層12は、外部電場によって分極が誘起され、分極によって磁化が誘起される性質を有する強磁性強誘電性材料の層である。一対の書き込み用電極21、22を介して強磁性強誘電層12に電場が印加されると、強磁性強誘電層12には電場に沿った分極(
図1中の白抜き矢印P
0)が誘起されると同時に、電場の方向に対応して定まる方向の磁化(
図1中の矢印M
0)が誘起される。第1の強磁性導電層11は強磁性強誘電層12と磁気的に結合しているので、強磁性強誘電層12に生じた磁化M
0により、該磁化M
0に対応する向きの磁化M
1が第1の強磁性導電層11に磁気情報として記録される。
【0029】
強磁性強誘電層12には、例えば下記の一般式(4)で表される強磁性強誘電性材料を採用できる。
(A
xB
1−x)
l(M
yN
1−y)
mO
n (4)
(式(4)式中、A及びBは、それぞれ独立に、Bi、La、Tb、Pb、Y、Cr、Co、Ba、Lu、Yb又はEuを表し;M及びNは、それぞれ独立に、Fe、Mn、Ni、Ti、Cr、Co又はVを表し;xは0〜1の実数を表し;yは0〜1の実数を表し;lは1〜3の整数を表し;mは1〜3の整数を表し;nは3〜6の整数を表す。)
一般式(4)で表さ
れ強磁性強誘電性
を示し得る材料としては、例え
ばTbMnO
3、TbMn
2O
5、YMnO
3、EuTiO
3、CoCr
2O
4、Cr
2O
3、BiMn
0.5Ni
0.5O
3、BiFe
0.5Cr
0.5O
3、La
0.1Bi
0.9MnO
3、La
1−xBi
xNi
0.5Mn
0.5O
3、Bi
1−xBa
xFeO
3等を挙げることができる。
【0030】
強磁性強誘電層12は、下記組成式(5)で表される強磁性強誘電材料を含むことが好ましい。
(Bi
1−aX
a)(Fe
1−bM
b)O
3 (5)
(式(5)中、XはBa及びLaから選ばれる1種以上の元素であり;MはMn及びTiから選ばれる1種以上の元素であり;a及びbは、0≦a≦0.8、且つ0≦b≦0.5を満たす実数である。
ただしa及びbの少なくとも一方は0でない。)
式(5)において、a及びbは、0<a≦0.8、且つ0<b≦0.5を満たすことが好ましく、0<a≦0.8、0<b≦0.5、且つ0.01≦a+b≦1.3を満たすことがより好ましい。
誘電性材料として知られているBiFeO
3中のBiの一部を上記所定の元素Xで、Feの一部を上記所定の元素Mで置換することにより、好ましい強磁性および誘電性が発現する。このとき置換率a及びbが上記範囲内であることにより、電界記録型磁気メモリ100の動作に特に適した強磁性および強誘電性が同時に発現する。
このような材料としては、例えば、Bi(FeMn)O系の材料、(BiBa)FeO系の材料、(BiBaLa)(FeMn)O系の材料、(BiBaLa)(FeMnTi)O系の材料、(BiLa)FeO系の材料等を挙げることができる。より具体的には、Bi(Fe
0.95Mn
0.05)O
3、(Bi
0.8Ba
0.2)FeO
3、(Bi
0.5Ba
0.3La
0.2)FeO
3、(Bi
0.7La
0.3)(Fe
0.7Mn
0.3)O
3、(Bi
0.5Ba
0.3La
0.2)(Fe
0.7Mn
0.1Ti
0.2)O
3等を挙げることができる。
【0031】
強磁性強誘電層12の厚さは特に制限されるものではないが、5〜200nmであることが好ましく、10〜50nmであることがより好ましい。書き込み回路50が一対の書き込み用電極21、22に電圧を印加した際に一対の書き込み用電極21、22の間により強力な電場を生成できる観点から、200nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。また、第1の強磁性導電層11に書き込まれる磁化M
1を大きくできる点で、5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましい。
【0032】
(非磁性層41)
非磁性層41は、常磁性体または反磁性体の層である。磁気抵抗変化率を高める観点から、非磁性層41は電気絶縁層であることが好ましい。非磁性層41を構成する材料としては、例えば、MgO、Al
2O
3、SiO
2、TiO
2、AlN、Si
3N
4、Cr
2O
3等を好ましく挙げることができる。尚、Cu、Ag、Cr等の導電性材料でもよい。
【0033】
非磁性層41の厚さは、0.5〜5nmであることが好ましく、1〜3nmであることがより好ましい。トンネル磁気抵抗効果を発現させる観点から、非磁性層41の厚さは5nm以下であることが好ましく、3nm以下であることがより好ましい。また、製造の容易性の観点からは、0.5nm以上であることが好ましく、1nm以上であることがより好ましい。
【0034】
(第2の強磁性導電層42)
第2の強磁性導電層42は、固定された磁化(
図1中の矢印M
2)を有する強磁性導電層であり、第1の強磁性導電層11とともにトンネル又は巨大磁気抵抗素子の強磁性電極対を構成する。第2の強磁性導電層42は、該トンネル又は巨大磁気抵抗素子における固定磁性層として作用する。第2の強磁性導電層42が有する磁化は、第1の強磁性導電層11に記録される磁化の向きと平行または反平行な成分を有している。
【0035】
第2の強磁性導電層42を構成する材料としては、磁気抵抗変化率を高める観点からスピン分極率Pの大きな材料が好ましい。また、磁化反転を防ぐ観点から、磁気異方性の高い材料が好ましい。このような観点から、第2の強磁性導電層42は、ルチル型導電性強磁性酸化物層、L1
0型強磁性合金層、およびL2
1型強磁性合金層からなる群から選ばれる1又は2以上の組み合わせであることが好ましく、より具体的には、組成式CrO
2で表されるルチル型導電性強磁性酸化物の層、下記組成式(6)で表されるL1
0型強磁性合金の層、及び下記組成式(7)で表されるL2
1型強磁性合金の層からなる群から選ばれる1又は2以上の組み合わせであることが好ましい。
XY (6)
(式(6)中、XはFe及びCoから選ばれる1種以上の元素であり;YはPt、Pd、及びNiから選ばれる1種以上の元素である。)
X
2YZ (7)
(式(7)中、XはFe、Co、及びNiから選ばれる1種以上の元素であり;YはMn、Cr、V、及びTiから選ばれる1種以上の元素であり;ZはGe、Ga、Si、及びAlから選ばれる1種以上の元素である。)
これらの中でも、1層でスピン分極率と磁気異方性とを同時に大きくすることが可能である点で、組成式CrO
2で表されるルチル型導電性強磁性酸化物の層を第2の強磁性導電層42として特に好ましく採用できる。
【0036】
第2の強磁性導電層42の厚さは特に制限されるものではないが、1〜200nmであることが好ましく、5〜50nmであることがより好ましい。
【0037】
(書き込み用電極21、22、ビット移動用電極31、32)
1対の書き込み用電極21、22及び1対のビット移動用電極31、32を構成する材料としては、電極材料として公知の導電性材料を特に制限なく用いることができる。ただし非磁性の導電性材料であることが好ましい。
【0038】
(書き込み回路50)
書き込み回路50は、1対の書き込み用電極21、22に接続されており、1対の書き込み用電極21、22を介して強磁性強誘電層12に電場を印加する。強磁性強誘電層12には、印加された電場の方向に対応して定まる方向(
図1においては電場と平行な方向)の磁化が生じる。強磁性強誘電層12に生じた磁化によって第1の強磁性導電層11に磁気情報が記録される。強磁性強誘電層12に生じる磁化の方向は強磁性強誘電層12に印加される電場の極性によって定まる。書き込み回路50は、所望の方向の磁化が第1の強磁性導電層11に記録されるように、1対の書き込み用電極21、22に印加する電位差の極性を制御する。
【0039】
(ビット移動回路60)
ビット移動回路60は、1対のビット移動用電極31、32に接続されている。ビット移動回路60は、1対のビット移動用電極31、32を介して第1の強磁性導電層11に電流を流すことにより、スピン注入磁化反転によって第1の強磁性導電層11中の磁壁13、13、…を移動させる。ビット移動回路60が第1の強磁性導電層11に流す電流は、第1の強磁性導電層11中の電流密度が、第1の強磁性導電層11においてスピン注入磁化反転が起きる臨界電流密度を超えるように制御される。磁壁13、13…が移動する距離は、第1の強磁性導電層11中を流れた電荷の量に比例する。ビット移動回路60は、移動させるべきビット数に対応する距離を第1の強磁性導電層11中の磁壁13、13、…が移動するように、第1の強磁性導電層11に注入する電荷の量を制御する。
【0040】
(読み取り回路70)
読み取り回路70は、第1の強磁性導電層11と第2の強磁性導電層42との間の電気抵抗に応じた信号を得る回路である。読み取り回路70は、第2の強磁性導電層42と、第1の強磁性導電層11に接して配設された他の電極(ここでは書き込み用電極21)とに接続されている。トンネル又は巨大磁気抵抗効果により、第1の強磁性導電層11と第2の強磁性導電層42との間の電気抵抗は、第1の強磁性導電層11のうち第2の強磁性導電層42が非磁性層41を介して向かい合う磁区の磁化M
rの向きと、第2の強磁性導電層42の磁化M
2の向きとの関係に依存して変化する。すなわち、第1の強磁性導電層11と第2の強磁性導電層42との間の電気抵抗は、磁化M
rと磁化M
2とが平行であるときに最小となり、磁化M
rが磁化M
2と反平行であるときに最大となる。第2の強磁性導電層42の磁化M
2は、第1の強磁性導電層11に記録される磁化と平行または反平行な成分を必ず有しているので、第1の強磁性導電層11と第2の強磁性導電層42との間の電気抵抗は、磁化M
rの方向に依存して変化することになる。したがって第1の強磁性導電層11と第2の強磁性導電層42との間の電気抵抗に応じた信号を得ることにより、第1の強磁性導電層11のうち第2の強磁性導電層42が非磁性層41を挟んで向かい合う磁区に磁化M
rとして記録された情報を読み出すことができる。読み取り回路70が第1の強磁性導電層11と第2の強磁性導電層42との間の電気抵抗に応じた信号を得るために第2の強磁性導電層42と他の電極(書き込み用電極21)との間に流す電流(センス電流)は、第1の強磁性導電層11中の電流密度が、第1の強磁性導電層11においてスピン注入磁化反転が起きる臨界電流密度未満となるように制御される。
【0041】
<電界記録型磁気メモリ(2)>
本発明に関する上記説明では、非磁性層41および第2の強磁性導電層42を有する形態の電界記録型磁気メモリ100を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。非磁性層および第2の強磁性導電層に加えて、第2の強磁性導電層の表面に配設された固定磁性導電層をさらに有する形態の電界記録型磁気メモリとすることも可能である。
図2は、そのような他の一の実施形態に係る電界記録型磁気メモリ1100を模式的に説明する図であって、
図1に対応する図である。
図2において、
図1に既に表れた要素と同一の要素には
図1における符号と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0042】
(固定磁性導電層43)
電界記録型磁気メモリ1100は、非磁性層41および第2の強磁性導電層42に加えて固定磁性導電層43をさらに有する点において、電界記録型磁気メモリ100と異なっている。固定磁性導電層43は、第2の強磁性導電層42の表面に配設されており、第2の強磁性導電層42を挟んで非磁性層41と向かい合っている。電界記録型磁気メモリ1100において、読み取り回路70は、固定磁性導電層43と、第1の強磁性導電層11に接して配設された他の電極(ここでは書き込み用電極21)とに接続されている。
【0043】
固定磁性導電層43は、反強磁性導電層、もしくはL1
0型強磁性合金層、またはこれらの組み合わせであり、第2の強磁性導電層42と磁気的に結合している。固定磁性導電層43により第2の強磁性導電層42の見かけの磁気異方性が高められるので、第2の強磁性導電層42に磁気異方性の低い材料を採用した場合であっても、第2の強磁性導電層42の磁化反転を抑制することが容易になる。したがって固定磁性導電層43を有する形態の電界記録型磁気メモリ1100においては、第2の強磁性導電層42にスピン分極率は大であるが磁気異方性はあまり高くない材料、例えばL2
1型強磁性合金を好ましく用いることができる。
【0044】
固定磁性導電層43における反強磁性導電層には、公知の反強磁性合金を特に制限なく採用できる。固定磁性導電層43における好ましい反強磁性合金としては、例えば、Mn系合金(例えばMn−Pt合金、Mn−Ir合金、Mn−Ni合金等。)を挙げることができる。
【0045】
固定磁性導電層43におけるL1
0型強磁性合金層には、例えば上記組成式(6)で表されるL1
0型強磁性合金を好ましく用いることができ、より具体的には例えば、組成式FePt、FePd、CoPt、CoPd、又はFeNiで表されるL1
0型強磁性合金を好ましく用いることができる。
【0046】
固定磁性導電層43の厚さは特に制限されるものではないが、1〜200nmであることが好ましく、5〜50nmであることがより好ましい。第2の強磁性導電層の磁化反転を起こしにくくする観点からは、1nm以上であることが好ましく、5nm以上であることがより好ましい。
【0047】
<電界記録型磁気メモリ(3)>
本発明に関する上記説明では、第1の強磁性導電層11の一方の面の全部に強磁性強誘電層12が積層された形態の電界記録型磁気メモリ100、1100を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。例えば、第1の強磁性導電層の一方の面の一部のみに強磁性強誘電層が積層された形態の電界記録型磁気メモリとすることも可能である。また本発明に関する上記説明では、読み取り回路70が、第2の強磁性導電層42(又は固定磁性導電層43)と、書き込み用電極21とに接続されている形態の電界記録型磁気メモリ100、1100を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。例えば、第1の強磁性導電層に接して配設された他の電極を別途有し、当該他の電極と第2の強磁性導電層(または固定磁性導電層)とに読み取り回路が接続されている形態の電界記録型磁気メモリとすることも可能である。
図3は、そのような他の一の実施形態に係る電界記録型磁気メモリ2100を模式的に説明する図であって、
図1に対応する図である。
図3において、
図1〜2に既に表れた要素と同一の要素には
図1〜2における符号と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0048】
(記録媒体2010:強磁性強誘電層12’)
電界記録型磁気メモリ2100は、記録媒体10に代えて記録媒体2010を有している。記録媒体2010は、第1の強磁性導電層11の一方の面の全部に積層された強磁性強誘電層12に代えて、第1の強磁性導電層11の一方の面の一部のみに積層された強磁性強誘電層12’を有する点において、記録媒体10と異なっている。強磁性強誘電層12’を構成する材料は、強磁性強誘電層12と同様である。電界記録型磁気メモリ2100において、1対の書き込み用電極21、22は、強磁性強誘電層12’および第1の強磁性導電層11を、その積層方向(
図3における紙面上下方向)に挟むように配置されている。
【0049】
(読み取り用カウンター電極45)
電界記録型磁気メモリ2100において、読み取り回路70は、第2の強磁性導電層42と、読み取り用カウンター電極45とに接続されている。読み取り用カウンター電極45は、第1の強磁性導電層11に接して配設されており、非磁性層41及び第1の強磁性導電層11を挟んで第2の強磁性導電層42と向かい合っている。読み取り用カウンター電極45を構成する材料としては、電極材料として公知の導電性材料を特に制限なく用いることができる。ただし非磁性の導電性材料であることが好ましい。
【0050】
本発明に関する上記説明では、第1の強磁性導電層11の一方の面の一部のみに積層された強磁性強誘電層12’と、非磁性層41及び第1の強磁性導電層11を挟んで第2の強磁性導電層42と向かい合うように第1の強磁性導電層11に接して配設された読み取り用カウンター電極45とを有し、読み取り回路70が、第2の強磁性導電層42と読み取り用カウンター電極45とに接続されている形態の電界記録型磁気メモリ2100を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。例えば、第1の強磁性導電層の一方の面の一部のみに積層された強磁性強誘電層を有し、読み取り回路と書き込み回路および/またはビット移動回路とが一の電極(例えば、第1の強磁性導電層に接して配設された書き込み用電極。)を共有している形態の電界記録型磁気メモリとすることも可能である。
【0051】
<電界記録型磁気メモリ(4)>
本発明に関する上記説明では、書き込み回路50が第1の強磁性導電層11に書き込むべき磁化が、書き込みが行われる領域に既に存在する磁化と逆向きである場合に、電場によって強磁性強誘電層12に誘起される磁化のみによって第1の強磁性導電層11の磁化を反転させる形態の電界記録型磁気メモリ100、1100、2100を例示したが、磁化の書き込みに電流磁界を用いない限り、本発明は当該形態に限定されない。例えば、書き込み回路が第1の強磁性導電層に磁気情報を記録する際に、第1の強磁性導電層の該磁気情報の書き込みが行われる領域を加熱する、熱アシスト手段をさらに有する形態の電界記録型磁気メモリとすることも可能である。
図4は、そのような他の一の実施形態に係る電界記録型磁気メモリ3100を模式的に説明する図であって、
図1に対応する図である。
図4において、
図1〜3に既に表れた要素と同一の要素には
図1〜3における符号と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0052】
(熱アシスト手段81)
電界記録型磁気メモリ3100は、熱アシスト手段81をさらに有し、且つ、書き込み用電極21に代えて書き込み用電極21’を有する点において、電界記録型磁気メモリ100と異なっている。熱アシスト手段81は書き込み回路50に接続されており、書き込み動作に同期してレーザーを第1の強磁性導電層11の書き込みが行われる領域に照射することにより、当該領域を加熱する。書き込み用電極21’は、熱アシスト手段81から照射されるレーザーを第1の強磁性導電層11の表面に通すための貫通孔21’aが設けられている点において、書き込み用電極21と異なっている。
【0053】
図6は、第1の強磁性導電層11および強磁性強誘電層12における、飽和磁化M
sと温度Tとの関係の一例を示すグラフである。
図6のグラフにおいて、M
S,11(T)は第1の強磁性導電層11の飽和磁化を表し、M
S,12(T)は強磁性強誘電層12の飽和磁化を表す。なお保磁力H
Cと温度Tとの関係も、
図6のグラフに示した飽和磁化M
sと温度Tとの関係と同様の傾向を示す。初期温度T
0においては、M
S,11(T
0)>M
S,12(T
0)である。熱アシスト手段81から第1の強磁性導電層11にレーザーが照射されると、第1の強磁性導電層11の温度はT
1(>T
0)に上昇し、強磁性強誘電層12の温度は第1の強磁性導電層11からの熱移動によりT2(>T
0)に上昇する。第1の強磁性導電層11および強磁性強誘電層12のいずれにおいても、飽和磁化および保磁力は温度の上昇に伴って低下する。しかし強磁性強誘電層12の熱伝導率は第1の強磁性導電層11の熱伝導率より低いので、強磁性強誘電層12における温度上昇T
2−T
0は第1の強磁性導電層11における温度上昇T
1−T
0に対して十分に小さい。その結果、M
S,11(T
1)<M
S,12(T
2)となり、第1の強磁性導電層11の飽和磁化と強磁性強誘電層12の飽和磁化との大小関係が逆転する。このように第1の強磁性導電層11の飽和磁化が強磁性強誘電層12の飽和磁化よりも小さくなったときに、書き込み回路50が1対の書き込み用電極21’、22を介して強磁性強誘電層12に電場を印加すると、強磁性強誘電層12に誘起される磁化によって第1の強磁性導電層11の磁化が容易に反転する。第1の強磁性導電層11の磁化を反転させた後、熱アシスト手段81からのレーザーの照射を止めると、第1の強磁性導電層11および強磁性強誘電層12の温度は再び初期温度T
0まで低下し、第1の強磁性導電層11および強磁性強誘電層12の飽和磁化もそれぞれM
S,11(T
0)及びM
S,12(T
0)に復帰する。
【0054】
このように、熱アシスト手段81を有する電界記録型磁気メモリ3100によれば、電場によって強磁性強誘電層12に誘起される磁化のみによっては第1の強磁性導電層11の磁化を反転させることが困難であるほど第1の強磁性導電層11の保磁力が高い場合であっても、電流磁界を用いることなく第1の強磁性導電層11の磁化を反転させることが可能である。
【0055】
<電界記録型磁気メモリ(5)>
本発明に関する上記説明では、熱アシスト手段81が記録媒体10の第1の強磁性導電層11の側から第1の強磁性導電層11にレーザーを照射する形態の電界記録型磁気メモリ3100を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。例えば、熱アシスト手段81が記録媒体10の強磁性強誘電層12の側から第1の強磁性導電層11にレーザーを照射する形態の電界記録型磁気メモリとすることも可能である。
図5は、そのような他の一の実施形態に係る電界記録型磁気メモリ4100を模式的に説明する図であって、
図4に対応する図である。
図5において、
図1〜4に既に表れた要素と同一の要素には
図1〜4における符号と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0056】
電界記録型磁気メモリ4100は、書き込み用電極21’に代えて書き込み用電極21を有し、書き込み用電極22に代えて書き込み用電極22’を有し、熱アシスト手段81が記録媒体10の強磁性強誘電層12の側からレーザーを照射するように設けられている点において、電界記録型磁気メモリ3100と異なっている。書き込み用電極22’は、熱アシスト手段81から照射されるレーザーを強磁性強誘電層12の表面に通すための貫通孔22’aが設けられている点において、書き込み用電極22と異なっている。
【0057】
電界記録型磁気メモリ4100において、強磁性強誘電層12には、熱アシスト手段81から照射されるレーザーを透過する強磁性強誘電性材料が用いられている。熱アシスト手段81から照射されたレーザーは、書き込み用電極22’に設けられた貫通孔22’aを通って強磁性強誘電層12に入射した後、強磁性強誘電層12を透過して第1の強磁性導電層11に入射する。このとき、レーザーのエネルギーのほとんどは第1の強磁性導電層11において熱に変換される。そして強磁性強誘電層12の熱伝導率は第1の強磁性導電層11の熱伝導率より低いので、レーザー照射時の強磁性強誘電層12の温度上昇は第1の強磁性導電層11の温度上昇に対して十分に低く抑えられる。したがって、このような電界記録型磁気メモリ4100によっても、上記説明した電界記録型磁気メモリ3100と同様に、電場によって強磁性強誘電層12に誘起される磁化のみによっては第1の強磁性導電層11の磁化を反転させることが困難であるほど第1の強磁性導電層11の保磁力が高い場合であっても、電流磁界を用いることなく第1の強磁性導電層11の磁化を反転させることが可能である。
【0058】
本発明に関する上記説明では、レーザー照射によって第1の強磁性導電層11を加熱する熱アシスト手段81を有する形態の電界記録型磁気メモリ3100、4100を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。例えば、マイクロ波照射や表面プラズモン共鳴等の他の加熱手段によって第1の強磁性導電層を加熱する熱アシスト手段を有する形態の電界記録型磁気メモリとすることも可能である。
【0059】
本発明に関する上記説明では、強磁性強誘電層12に分極P
0と同一方向の磁化M
0が誘起される形態の電界記録型磁気メモリ100、1100、2100、3100、4100を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。本発明の電界記録型磁気メモリにおいては、例えば、分極と逆方向の磁化が誘起される強磁性強誘電材料を強磁性強誘電層に採用してもよい。また例えば、分極に対して傾いた方向の磁化が誘起される強磁性強誘電材料を強磁性強誘電層に採用してもよい。
【0060】
本発明に関する上記説明では、第1の強磁性導電層11が垂直磁気異方性を有しており、磁気情報が第1の強磁性導電層11の面に垂直な方向の磁化、すなわち
図1の紙面上下方向の磁化として記録される形態の電界記録型磁気メモリ100を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。例えば、第1の強磁性導電層が面内磁気異方性を有し、磁気情報が第1の強磁性導電層の面内方向の磁化として記録される形態の電界記録型磁気メモリとすることも可能である。
【0061】
本発明に関する上記説明では、1対の書き込み用電極21、22が、強磁性強誘電層12および第1の強磁性導電層11を、強磁性強誘電層12および第1の強磁性導電層11の積層方向に挟むように配置される形態の電界記録型磁気メモリ100を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。本発明の電界記録型磁気メモリにおいて、1対の書き込み用電極は、例えば、強磁性強誘電層を、強磁性強誘電層および第1の強磁性導電層の積層方向に対して交差する方向に挟むように配置されていてもよい。また例えば、1対の書き込み用電極は、強磁性強誘電層に面内方向の電場を印加するように、記録媒体の長手方向に離隔して、強磁性強誘電層に接して配設されていてもよい。
【0062】
本発明に関する上記説明では、書き込み回路50と、ビット移動回路60と、読み取り回路70とが、どの電極も共有していない形態の電界記録型磁気メモリ2100、並びに、書き込み回路50と読み取り回路70とが一つの電極を共有している(すなわち、読み取り回路70が、第2の強磁性導電層42(又は固定磁性導電層43)と、第1の強磁性導電層に接して配設された書き込み用電極21とに接続されている)形態の電界記録型磁気メモリ100、1100、3100、及び4100を例示したが、本発明はこれらの形態に限定されない。例えば、書き込み回路とビット移動回路とが一つの電極を共有している形態(すなわち、一対のビット移動用電極のうち一方の電極と、一対の書き込み用電極のうち一方の電極とが共通である形態)の電界記録型磁気メモリや、ビット移動回路と読み取り回路とが一つの電極を共有している形態(すなわち、読み取り回路が、第2の強磁性導電層(または固定磁性導電層)と、第1の強磁性導電層に接して配設されたビット移動用電極とに接続されている形態)の電界記録型磁気メモリ、あるいは、書き込み回路とビット移動回路と読み取り回路とが一つの電極を共有している形態(すなわち、読み取り回路が、第2の強磁性導電層(又は固定磁性導電層)と、第1の強磁性導電層に接して配設された書き込み用電極とに接続されており、且つ、一対のビット移動用電極のうち一方の電極が一対の書き込み用電極の一方と共通である形態)の電界記録型磁気メモリとすることも可能である。