【実施例】
【0053】
以下、本発明を製造例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されない。
【0054】
実施例1
材料および方法
<珪藻培養>
C.gracilisをthe University of Texas Culture Collectionから入手し、海塩(Sigma、セントルイス、MO、USA)および0.2mM Na
2SiO
3を補充したダイゴIMK培養培地(日本製薬(株)、大阪、日本)で培養した。人工気象インキュベーター中、20℃で増殖させた。白色蛍光灯で、連続光条件下、30μmol光子m
−2s
−1の放射照度を提供した。特に記載する場合には、当該珪藻細胞を、唯一の窒素源として0.88mM NH
4Cl(アンモニウム培地)または0.88mM NaNO
3(硝酸培地)を含有するf/2培地(非特許文献6)で培養した。
【0055】
ノウルセオトリシン耐性プラスミドの構築
ノウルセオトリシン耐性遺伝子nat(配列番号13)をpYL16プラスミド(WERNER BioAgents、Jena、Germany)から切除し、pUC118(タカラバイオ)のBamHI−PstI部位へサブクローンした。ついで、下記表Aに記載されるプライマーを用いて、フコキサンチンクロロフィルa/c結合タンパク質(fcp)遺伝子CgLhcr14のターミネーター領域:CgLhcr14ter(110bp、配列番号11)をゲノムPCRで増殖し、In-Fusion
(商標)反応(Clontech、Palo Alto、CA、USA)によって下流のHindIII部位に挿入した。最後に、
C.gracilisのプロモーター領域をゲノムPCRで増幅し、pUC118の上流のEcoRI−BamHI部位にサブクローンした。増幅したプロモーター配列の長さおよびGenBank/EMBL/DDBJデータベースでの受託番号を下記表Bに示す。ゲノムPCRで使用したプライマーセットは下記表Aに示される。
【0056】
【表13】
【0057】
【表14-1】
【表14-2】
【0058】
【表15】
【0059】
<pCgLhcr5pベクター(登録番号AB981621)およびpCgNRpベクター(登録番号AB981622)の構築>
(登録番号はDNA DATA BANK of JAPAN(DDBJ)の登録番号)
構成的遺伝子発現用プラスミドpCgLhcr5pをいくつかのステップで構築した。 下記の構築工程で使用したPCRプライマーは上記表Aに記載される。第1の発現カセットを作成するために、fcp CgLhcr5のプロモーター領域(811bp)を、CgLhcr14のターミネーター配列がHindIII部位に挿入されたpUC118のEcoRI−BamHI部位に挿入した。得られたプラスミドは、短いクローニング部位(BamHI、XbaI、SalI、PstI)を有し、これにより所望の遺伝子を挿入することが可能である。
抗生物質選択用の第2の発現カセットを構築するために、アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼ(ACAT)遺伝子のプロモーター領域(626bp)およびCgLhcr14のターミネーター配列を含有するpUC118ベクターを同様に構築した。ついで、5’−末端および3’−末端にBglIIおよびNsiI部位を有するnat遺伝子フラグメントをpYL16からPCRで増幅し、第2の発現カセットのBamHI−PstI部位に挿入した。これにより第2の発現カセットにおけるBamHI−PstI部位が破壊される(BamHI/BglIIおよびPstI/NsiIペアは、共通の相補末端を生み出す)。最後に、2つの発現カセットを組み合わせて(第1の発現カセットの完全なプロモーター−ターミネータカセットをPCRで増幅し、第2の発現カセットを含有するpUC118ベクターのEcoRI部位にIn-Fusion
(商標)反応によって挿入した)、pCgLhcr5pベクターを得た。いずれかの発現カセットの置き換えを容易にするためにMfeI部位を2つのカセットの間に導入した。
誘導的遺伝子発現用のpCgNRpベクターを構築するために、pCgLhcr5pベクター中のCgLhcr5のプロモーター領域をEcoRI/BamHI消化で切除し、上記で構築したノウルセオトリシン耐性プラスミドから同様の制限酵素処理で切り出した硝酸レダクターゼCgNR遺伝子のプロモーター領域(631bp)で置き換えた。
上記表Aのプライマーを用いてルシフェラーゼ遺伝子(配列番号44)およびアザミグリーン遺伝子(配列番号45)をPCRで増幅し、pCgLhcr5pまたはpCgNRpのBamHI−PstI部位に挿入した。
【0060】
【表16】
【0061】
【表17】
【0062】
pCgLhcr5pベクター(登録番号AB981621)の配列(配列番号53)
【0063】
pCgNRpベクター(登録番号AB981622)の配列(配列番号55)
【0064】
<エレクトロポレーションによる
C.gracilisの形質転換>
非特許文献2に記載されるように、かつ若干修正を加えて、NEPA21装置(NEPAGENE、千葉、日本)を用いて多重パルスエレクトロポレーション行った。対数増殖期(OD
700=0.2〜0.4)の珪藻細胞を遠心分離(700×g、4分間)により収集し、洗浄し、10%(v/v)IMK培地を含む0.77Mマンニトールで再懸濁した。5.9×10
6細胞を含有する懸濁液(0.15mL)をHindIIIによって直鎖化されたプラスミド(5μg)と混合し、ついで0.2cm幅のエレクトロポレーションキュベットに移した。300Vの矩形ポアリングパルス(パルス継続時間、5ms;9パルス;インターバル50ms;10%減衰率)を印加し、続いて8Vのトランスファーパルス(パルス継続時間、50ms;各極性について40パルス;インターバル50ms;40%減衰率)を行った。エレクトロポレーションの後、細胞を4mLのIMK培地に移し、ついで非選択的培地で回復させるために、20℃、16〜20時間、30μmol光子m
−2s
−1の光強度下でインキュベートした。遠心分離(700×g、4分間以上)で細胞を収集し、IMK培地(0.2mL)に再懸濁した。形質転換した細胞を1%寒天およびノウルセオトリシン(clonNat、WERNER BioAgents)(400μg/mL)を含有するIMK寒天プレートで選択した。
【0065】
<導入DNAのゲノムへの挿入の分析>
DNeasy Plant Mini Kit(Qiagen、フェンロ、オランダ)を用いて、選択培地上で2〜3回継代培養した野生型および形質転換した細胞からゲノムDNAを単離した。単離したゲノムDNAにおける統合遺伝子のPCR検出のために、上記表Aに記載のプライマーペアをこの分析にも使用した。サザンブロッティングのために、単離したゲノムDNAをEcoRIまたはBamHIで消化し、1%アガロースゲル上で分離し、およびキャピラリートランスファー法によってHybond NX膜(GE Healthcare、ピスカタウェイ、NJ、USA)上に移した。Hybond NX膜上に移されたDNAのUV架橋結合はUVP CL−1000クロスリンカー(UVP Inc.、アップランド、CA、USA)を用いて行った。natおよびlucDNAプローブのジゴキシゲニン標識、該プローブと膜結合DNAとのハイブリダイゼーション、およびハイブリダイゼーションの検出は、DIG DNA Labeling and Detection Kit(Roche、インディアナポリス、IN、USA)を用い使用説明書に従って行った。
【0066】
<形質転換した細胞における、導入DNAの発現の分析>
RNeasy Plant Mini Kit(Qiagen)を用いて、野生型および形質転換した細胞から総RNAを単離した。PrimeScript
(商標)RT reagent with gDNA Eraser(タカラバイオ、大津、日本)で、ゲノムPCR分析で使用した同一プライマーを用いて、逆転写(RT)−PCRを行った。形質転換した珪藻細胞中の単量体アザミグリーンタンパク質(mAG)の緑色蛍光を、BZ−9000蛍光顕微鏡(キーエンス、大阪、日本)で分析した。細胞が含まれる範囲を480nmで活性化し、蛍光放射を510nmで検出した。ルシフェラーゼアッセイキット(Promega、マディソン、WI、USA)とLumat LB 9507照度計(Berthold、オークリッジ、TN、USA)を用いてルシフェラーゼアッセイを行った。ルシフェラーゼ活性は、Rc−Dcタンパク質アッセイキットとウシ血清アルブミン標準品(Bio−Rad、ハーキュリーズ、CA、USA)を用いて定量した細胞抽出物のタンパク質濃度により標準化した。
【0067】
結果
<形質転換体の選択 ノウルセオトリシンの濃度決定>
ノウルセオトリシン耐性を獲得した形質転換
C.gracilisをスクリーニングするために、
C.gracilisの成長を阻害するのに必要とされるノウルセオトリシンの濃度について試験した。
図1に示すとおり、28日の培養期間中、400μgmL
−1ノウルセオトリシン(液体IMK培地中)は
C.gracilisの増殖を完全に阻害した。細胞の増殖は300μgmL
−1ノウルセオトリシンで抑制されたが、接種後7日で回復を始めた。細胞密度の違いにかかわらずIMK寒天プレートでも同じような結果が得られた。それ故、
C.gracilis形質転換体の選択およびそれに続く維持培養のために、400μgmL
−1ノウルセオトリシンを含有するIMK培地を使用した。
【0068】
<種々のプロモーターを含有するノウルセオトリシン耐性プラスミドを用いた
C.gracilisの形質転換>
下流の遺伝子が高発現(RNAシークエンシング分析によって見積もられた)している、10個のプロモーターを選定した。それぞれ上記表Aのプライマーを用いて単離した。それぞれの配列は表1〜10に示す。当該単離されたプロモーターの下流の遺伝子は、以下のタンパク質をコードしていた(上記表B);4つのFCPタンパク質(Lhcr5、Lhcr14、Lhcf1(CgLhcf1p_AとCgLhcf1p_Bの遺伝子産物)、およびLhcf4)、アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼ(ACAT)、長鎖アセチル−CoAシンテターゼ(ACSL)、β−チューブリン(bTublin)、ATPシンターゼ(ATPS)、および硝酸レダクターゼ(NR)。pUC118中、nat遺伝子の上流に5’−UTRを含む単離したプロモーターを挿入した。nat遺伝子の後には転写ターミネータとしてLhcr14遺伝子の3’−UTR配列が挿入された。当該ベクターは制限酵素消化によって直鎖化され、形質転換反応に使用された。
ノウルセオトリシン耐性プラスミドの
C.gracilis細胞への導入は多重パルスエレクトロポレーション(非特許文献2)によって行った。短時間の多重高電圧パルス(ポアリングパルス)は、細胞膜に一時的な穴の形成を促進し、続く長時間の多重低電圧パルス(トランスファーパルス)は、細胞内へのDNAの送達を促進する。
【0069】
図3Aは、異なるプロモーターを含有するpUCベクターを用いて得られた、抗生物質耐性コロニー数/10
8形質転換された細胞を示す。多重パルスエレクトロポレーションを使用したがこれまでの報告(非特許文献1)に一致して、pTpfcp/natベクターはわずかにしか抗生物質耐性コロニーを産生しなかった。プロモーターを含有する残りのベクターは、100〜400個の抗生物質耐性コロニー/10
8形質転換細胞を提供した。
【0070】
プロモーターによる形質転換効率の差は、選択培地による選択の間のプロモーターの活性の違いを反映し得る。この実験において、窒素源としてNaNO
3を含有するIMK培地を使用したので、当該培地では誘導性NRプロモーターはアクティブになり、相当数の抗生物質耐性コロニーを生み出し得る。
図3Bに示すとおり形質転換後14日にクリアなコロニーが認められ、PCR分析により全ての抗生物質耐性コロニーでnat遺伝子の存在が確認された。
【0071】
<発現プラスミドpCgLhcr5pおよびpCgNRpの構築>
ベクターpCgLhcr5p/CgACATp−natは、フコキサンチンクロロフィルa/c結合タンパク質(fcp)遺伝子の構成的プロモーターを含有し、ベクターpCgNRp/CgACATp−natは導入遺伝子の発現を駆動するために硝酸レダクターゼ(NR)遺伝子の誘導性プロモーターを含有した(
図4)。両ベクターは、第2の発現カセットを有し、第2の発現カセット中のアセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼ(ACAT)プロモーターは抗生物質選択のためのnat遺伝子発現を駆動した。簡単にするために、我々はこれらのベクターをpCgLhcr5pおよびpCgNRpと呼ぶ。BamHI、XbaI、SalI、およびPstI部位は外来性遺伝子を挿入するために利用することができ、EcoRIまたはHindIII部位は形質転換反応のためにベクターを直鎖化するのに使用することができる。
【0072】
<形質転換した
C.gracilis細胞における導入遺伝子の構成的発現>
C.gracilisにおける外来性遺伝子の発現を試験するために、ホタルルシフェラーゼ遺伝子(luc)をpCgLhcr5pおよびpCgNRpに挿入し、pCgLhcr5p−lucおよびpCgNRp−lucを得た。これらのベクターを用いて
C.gracilis細胞を形質転換し、その形質転換効率は>100形質転換体/10
8細胞であった。平均して、抗生物質耐性株の約50%が、natおよびluc遺伝子の両方を含んだ。
図5(A)および
図5(B)は、4つのLhcr5p−luc形質転換体(株1〜4)のゲノムPCRおよび逆転写(RT)PCR分析の結果を示すが、この中で、導入遺伝子(natおよびluc)のゲノム挿入およびmRNA発現の両方が確認された。psb31遺伝子(これは光化学系IIの膜表在性サブユニットをコードする)をコントロールとして分析した。ゲノムPCR(765bp、イントロンを含む)およびRT−PCR(成熟mRNAにおいて566bp)においてpsb31のフラグメントサイズが異なるので、RT−PCR分析におけるゲノムDNAコンタミネイションが無視できるものであることを示唆し、luc遺伝子mRNAおよびnat遺伝子mRNAがこれらの株で確かに発現したことを確認するものであった。トランスジェニックゲノムにおける導入遺伝子のコピー数を、luc遺伝子をプローブとして用いてサザンブロット分析で分析した。ゲノムDNAをHindIIIまたはBamHIで消化した。これらは直鎖化されたpCgLhcr5p−lucベクター中にそれぞれ、ゼロおよび1つの認識部位を有する。結果は、導入した外来性DNAは、多くても1つまたは2つのコピーしか染色体DNAに組み入れられておらず(
図5(C))、これは望ましくない挿入変異のリスクを減らすのに役立つであろうことを示唆した。
【0073】
異種発現した遺伝子の安定性を試験するために、株2のLhcr5p−luc(これは高いluc活性を示した)を、ノウルセオトリシンの存在下または非存在下で繰り返し継代培養し、各継代培養の期間の終わりにルシフェラーゼ活性を評価した。
図6に示されるとおり、抗生物質の存在・非存在に関わりなく4回の繰り返し継代培養の間に違いはなく、これにより、抗生物質選択圧の非存在下にあっても導入遺伝子は安定に継承され、発現することが示された。
【0074】
発現を可視化するためにpCgLhcr5pベクターおよびpCgNRpベクターを用い、細胞内のタンパク質生成物を標的とする蛍光性タンパク質(緑色蛍光タンパク質、イシサンゴGalaxeidae由来アザミグリーン(AG)(非特許文献3))の発現を実験した。AGは高い消光係数、蛍光量子収率、および酸安定性を有し、HeLa細胞中でeGFPよりもさらに明るい緑色蛍光を産生する。改変型AGの単量体バージョン(mAG)は融合タンパク質の細胞内局在の可視化に十分に向いている。
図7に示すとおり、導入遺伝子を持つ形質転換体の約50%がmAGの緑色蛍光を示した。
【0075】
<NRプロモーターによるルシフェラーゼ遺伝子の誘導的発現>
培地における窒素源を単に変えることによって、硝酸レダクターゼ遺伝子のプロモーターが
Cylindrotheca fusiformisおよび
T.pseudonanaで導入遺伝子の発現を制御するのに使用できることが示されている(非特許文献4、非特許文献5)。
C.gracilis NR遺伝子(CgNR)の発現は、同一のメカニズム:アンモニウム培地では誘導はオフになり、硝酸培地で増殖するときには誘導される;によって制御される可能性がある。
C.gracilisにおける導入遺伝子の誘導的発現のためのpCgNRpベクターの有効性を試験するために、luc遺伝子を多重クローニング部位に組み込み、pCgNRp−lucを得た。ノウルセオトリシンでの選択の後、抗生物質耐性コロニーの約50%(14/29)がluc遺伝子を保有し、およびluc遺伝子を保有している形質転換体の約60%(9/14)が窒素源として硝酸塩のみを含有するIMK培地でルシフェラーゼ活性を示した。
【0076】
CgNRプロモーターによって駆動される誘導的luc発現の反応速度を分析するために、CgNRp−luc形質転換体株の1つを単一窒素源としてNH
4Clを含有するf/2培地で増殖し、ついでNaNO
3を含有するf/2培地に移した(
図8)。luc活性は60分後に発現誘導され、8時間内には誘導前の値の20倍以上に増加した。
【0077】
実施例2
リシノール酸の合成
pCgLhcr5pベクターの多重クローニング部位に、麦角菌(
Claviceps purpurea NBRC6263)由来の脂肪酸2−ヒドロキシラーゼ(CpFAH)遺伝子を組み込んでpCgLhcr5p−CpFAHを得、これを多重パルスエレクトロポレーションにより
C.gracilisに導入した。得られた形質転換体CpFAH−3株およびCpFAH−4株を、海塩(Sigma、セントルイス、MO、USA)および0.2mM Na
2SiO
3を補充したダイゴIMK培養培地(日本製薬(株)、大阪、日本)(50mL)中、20℃、50μmol光子m
−2s
−1下、8日間振とう培養(100rpm)した。
【0078】
図9はpCgLhcr5−CpFAHで形質転換したトランスジェニック
C.gracilisの脂質分析結果を示す。CpFAH−4株中リシノール酸は4番目に大きいピークとして検出された。
図10にCpFAH−4株のMSプロファイルを示す。
【0079】
図11にRT−PCR結果を示す。
PCR条件
【0080】
【表18】
【0081】
【表19】
【0082】
PCR酵素、KOD FX NEO (TOYOBO JAPAN)
25サイクル(10秒、98℃;30秒、55℃;20秒、68℃)
予想生成物長;152bp(CpFAH)および168bp(α−チューブリン)
サイズマーカー:1kb+ラダー(Life Technologies Carlsbad, CA, USA)
【0083】
図12にCpFAH−3株およびCpFAH−4株のリシノール酸の量を示す。リシノール酸は、乾燥細胞重量の0.2〜0.3%(w/w)にまで蓄積した。
図13はCpFAH−3株およびCpFAH−4株の主な脂肪酸組成を示す。
リシノール酸(18:1−OH)は両CpFAH株中の総脂肪酸の4.8〜6.7%であった。16:1−OHはCpFAH株中の総脂肪酸の1.0%であった。
【0084】
実施例3
上記<pCgLhcr5pベクター(登録番号AB981621)およびpCgNRpベクター(登録番号AB981622)の構築>に記載された方法と同様の方法で、ゼオシン耐性を付与する発現ベクターの構築を行った。
具体的には、ゼオシン選択用の第2発現カセットを構築するために、pPha−T1ベクター(GenBank: AF219942.1)から5’−末端および3’−末端にBglIIおよびNsiI部位を有するble遺伝子(ゼオシン耐性を付与する遺伝子)フラグメントをPCRで増幅した。このフラグメントを、アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼ(ACAT)遺伝子のプロモーター領域(626bp)およびCgLhcr14のターミネーター配列を含有するpUC118ベクターのBamHI−PstI部位に挿入して第2の発現カセットを作製した。この挿入により、第2の発現カセットにおけるBamHI−PstI部位が破壊される(BamHI/BglIIおよびPstI/NsiIペアは、共通の相補末端を生み出す)。次に、この第2発現カセットをSacIとHindIIIで切り出し、同じ制限酵素で切断したノウルセオトリシン耐性プラスミド (pCgLhcf4pおよびpCgNRp)に挿入することで、ゼオシン選択用の第2発現カセットに置換した。
このようにして構築したゼオシン耐性プラスミド(pCgLhcf4p−ble、および、pCgNRp−ble)を用いて実施例1と同様にC.gracilisの形質転換を行ったところ、ノウルセオトリシン耐性プラスミドと同等の形質転換効率(>100形質転換体/10
8細胞)であった。
制限酵素切断部位が記されたゼオシン耐性プラスミド(
C.gracilis形質転換ベクター)のマップを
図14に示す。
【0085】
【0086】
pCgLhcf4p−bleの配列(配列番号57)
【0087】
pCgNRp−bleの配列(配列番号60)