(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1サポート基板と、この上に形成された第1剥離可能接着剤層と、この上に形成された第1金属層と、この上に形成された前記第1金属層とはエッチング特性の異なる第2金属層とが積層された積層基板を用意する工程と、
前記第2金属層にレジスト層を設け、前記レジスト層に複数の第1ビア形成用孔を所定パターンで形成する工程と、
前記レジスト層の前記第1ビア形成用孔を介して、前記第1金属層をエッチングストップ層として前記第2金属層に前記第1ビア形成用孔に連通する第2ビア形成用孔を形成する工程と、
前記第1ビア形成用孔および前記第2ビア形成用孔の中に前記第2金属層とエッチング特性が異なる第3金属を埋め込み第3金属柱を形成する工程と、
前記レジスト層を剥離する工程と、
前記第2金属層上に、前記第3金属柱を埋め込む第1絶縁層を形成する工程と、
前記第1絶縁層の表面を研磨して前記第3金属柱の第1端面を露出する工程と、
前記第1絶縁層および前記第3金属柱の上に第2剥離可能接着剤層を介して第2サポート基板を接着する工程と、
前記第1剥離可能接着剤層および前記第1サポート基板を剥離する工程と、
前記第1金属層を除去して前記第1金属層および前記第3金属柱の前記第1端面とは反対側の第2端面を露出する工程と、
前記第3金属柱および前記第1絶縁層をエッチングストップ層として前記第1金属層をエッチング除去する工程と、
前記第1絶縁層上に第2絶縁層を設けて前記第3金属柱を埋め込む工程と、
前記第2絶縁層の表面を研磨して前記第3金属柱の前記第2端面を露出する工程と、
前記第1絶縁層および前記第2絶縁層をエッチングストップ層として前記第3金属柱をエッチング除去してビア配線形成用ビアを形成する工程と、
を具備することを特徴とするビア配線形成用基板の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(実施形態1)
図1には、本実施形態に係るビア配線形成用基板の断面図、
図2〜
図3は、ビア配線形成用基板の製造プロセスを示す断面図である。
【0020】
これらの図面に示すように、ビア配線形成用基板1は、サポート基板11と、サポート基板11の片側に設けられた剥離可能接着剤層12と、剥離可能接着剤層12上に設けられた第1絶縁層13と、第1絶縁層13上に設けられた第2絶縁層14とを具備し、第1絶縁層13および第2絶縁層14のみを貫通する複数のビア配線形成用ビア15が形成されている。
【0021】
ビア配線形成用ビア15は、ビア配線を形成するための孔であり、例えば、製造予定のFO−WLPに実装する半導体チップの接続端子の位置、および実装した半導体チップの周囲に設けられるビア配線の位置に合わせて形成されたものである。
【0022】
ビア配線形成用ビア15は、サポート基板11と、サポート基板11の片側に設けられた剥離可能接着剤層12に影響せずに、第1絶縁層13および第2絶縁層14のみを貫通しており、第1絶縁層13および第2絶縁層14を位置ずれなしに貫通して設けられている。ここで、位置ずれなしに貫通しているとは、ビア配線形成用ビア15の第1絶縁層13を貫通するビア15aと第2絶縁層14を貫通するビア15bとが、位置ずれすることなく一体的に連続して形成されている状態をいう。
【0023】
第1絶縁層13および第2絶縁層14は、これのみでは自立できず、サポート基板11でサポートされている必要があり、また、第1絶縁層13および第2絶縁層14は素材が異なり、機械的特性、加工特性などが異なるものであるので、ドリル加工やレーザー加工では形成することができない。このようなサポート基板11でサポートされた第1絶縁層13および第2絶縁層14のみを貫通するビア配線形成用ビア15は、以下のような新規なフォトリソグラフィープロセスで形成することができる。
【0024】
ここで、ビア配線形成用ビア15は、サポート基板11上に支持された状態の第1絶縁層13および第2絶縁層14にフォトリソグラフィープロセスで形成されたものと同等の精度となるので、位置精度がよく、ドリル加工より微細な孔径且つピッチで形成することが可能である。ビア配線形成用ビア15は、直径が15μm〜70μmのストレートビアであり、位置精度がフォトリソグラフィー精度である。具体的には、例えば、±5μm以下である。
【0025】
第1絶縁層13および第2絶縁層14は、これのみでは自立できず、サポート基板11でサポートされている必要があり、また、第1絶縁層13および第2絶縁層14のみをドリル加工やレーザー加工してビア配線形成用ビア17を形成することができない。また、たとえドリル加工で形成しても、直径が75μm程度までであり、加工精度が±5μmであるから、70μm以下の貫通孔は形成できず、また、位置制度は±10μm程度となる。また、レーザー加工によると、テーパー形状の孔が形成できてしまい、ストレート孔は形成できない。さらに、サポート基板11にもダメージを与える可能性があり、サポート基板11の繰り返し使用の妨げになる。
【0026】
また、ビア配線形成用ビア15はフォトリソグラフィープロセスで形成したレジストを利用して金属層のエッチング・めっき金属のエッチングで形成されるので、機械加工とは異なり、ビア数が多数となっても大きなコスト増にはならないという利点がある。また、ドリル加工やレーザー加工とは異なり、第1絶縁層13および第2絶縁層14の加工性に影響されず、フォトリソグラフィープロセスの精度で高精度に形成することができ、逆に、第1絶縁層13および第2絶縁層14の素材選定の自由度も大きい。
【0027】
ビア配線形成用ビア15の孔径および最小ピッチは、ドリル加工では困難な微小領域を想定しているが、ドリル加工が可能な領域としてもよい。ビア配線形成用ビア15の孔径は、例えば、15μm〜70μm、好ましくは、20μm〜50μmであり、最小ピッチは、50μm〜200μmである。
【0028】
サポート基板11は、製造プロセスでのハンドリング性を高めるために一時的に用いられる基板で、再利用可能なものである。機械的強度があり、熱膨張係数が小さくて寸法安定性の高く、また、フォトリソグラフィープロセスで使用するエッチング液に対する耐性を有す得る材料を用いればよい。また、剥離可能接着剤層12が光照射による剥離するものである場合には、使用波長に対して透明である必要があるが、加熱によって剥離するものである場合には、透明である必要はない。サポート基板11としては、例えば、ガラス板、金属板、樹脂板などを用いることができ、ガラス板が好適である。
【0029】
剥離可能接着剤層12は、製造プロセスでは剥離しないが、必要なときに光照射や加熱などにより剥離可能なものである。このような機能を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、紫外線(UV)照射により剥離可能なものとして、JV剥離テープ SELFA−SE(積水化学社製)などを用いることができる。また、加熱により剥離可能となるものとしては、接着剤中に所定温度の加熱により膨張する発泡剤が含有されたものなどを挙げることができる。
【0030】
第1絶縁層13は、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂にシリカなどの無機系のフィラーを充填した低熱膨張係数の熱硬化性樹脂などで形成することができ、特にエポキシ系封止樹脂を用いることができる。何れにしても、マスクを介して部分的に感光し、未露光部を現像除去することが可能な感光性レジスト樹脂などではなく、配線基板の構造体として利用できる耐久性を有する絶縁材料からなる。よって、第1絶縁層13に直接フォトリソグラフィーによってエッチング等により貫通孔を形成することはできない。
【0031】
第1絶縁層13上には第2絶縁層14が存在するので、半導体チップを実装しても半導体チップのアクティブ面と直接接触しないので、低不純物、ハロゲンフリーのものを必ずしも用いる必要はないが、微小ピッチでビア配線形成用ビア15を形成するので、微小フィラーが充填された熱硬化性樹脂材料を用いるのが好ましい。フィラーの最大粒径としては、20μm〜30μm程度のものを用いるのが好ましい。
【0032】
第2絶縁層14は、フィラーを含有しない又はフィラーの充填量が第1絶縁層13より少なく、第1絶縁層13より低弾性率を有する熱硬化性又は熱可塑性樹脂材料を用いる。これは第1絶縁層13の上層として設けられて半導体チップが直接接合される第2絶縁層14を第1絶縁層13より低弾力性とするためである。また、第2絶縁層14は、実装される半導体チップの能動面と直接接触するので、低不純物、ハロゲンフリーのものを用いる。
【0033】
このような特性を有する樹脂材料として、一般的な接着剤よりも低流動性の接着樹脂を用いることができ、例えば、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂またはポリイミド系樹脂などの接着樹脂を用いた接着樹脂層とすることができる。
【0034】
このような第2絶縁層14を設けることにより、後述するように、半導体チップを第2絶縁層14に接合した後、半導体チップをモールドした際に、第1絶縁層13に直接接合した場合と比較して低弾性を有する第2絶縁層14に接着されているので、クラックが入り難いという利点がある。逆に、第1絶縁層13に半導体チップを直接接合してモールドすると、第1絶縁層13が剛直過ぎるため、クラックが入る虞があり、上記本発明の構成は、このような問題点を解決するものである。
【0035】
かかる接着樹脂層は、接着樹脂を印刷したり、シート状としたものを貼付したりすることにより形成することができる。
【0036】
第2絶縁層14は、後述するように、半導体チップの能動面と接着される面であり、能動面の凹凸に追従するような適正な流動性が必要であるが、流動性が大きすぎると、ビア配線形成用ビア15内に入り込んでしまうので、適正な弾性、流動性の樹脂を用いるのが好ましい。本実施形態では、第2絶縁層14は、一般的な接着剤より低流動性のノンフロー接着剤層(NFA)とした。この場合、例えば、市販の低弾性のダイボンディングフィルム、例えば、HSシリーズ(日立化成社製)を用いることができる。
【0037】
ビア配線形成用ビア15は、後述する製造プロセスで示すように、フォトリソグラフィーで形成されたビアと同等な穴径及びピッチで形成できるが、深さ(アスペクト比)及び穴径の深さ方向の均一性は、第1絶縁層13及び第2絶縁層14に直接、フォトリソグラフィープロセスで加工したものより良好なものとなる。なお、サポート基板11が存在するので、レーザー加工やドリル加工で形成するのは不可能であるが、サポート基板がない状態で加工できたとしても、これらの加工によるビアより、微細な穴径且つピッチのビアが可能であり、深さ(アスペクト比)及び深さ方向に亘って穴径が均一である良好なものとなる。
【0038】
ビア配線形成用ビア15は、実装予定の半導体チップの端子配置及び寸法並びにその周囲に設ける予定の柱状ビア配線の配置及び寸法に合わせて形成するものであり、孔径が異なるものがパターニングされた複数は位置されるものであるので、孔径やピッチは一概には限定されないが、孔径が15μm〜70μm、好ましくは、20μm〜50μm、最小ピッチが、50μm〜200μm、好ましくは、50μm〜120μm、さらに好ましくは、50μm〜100μmである。
【0039】
以下、ビア配線形成用基板1の製造プロセスの一例を
図2、
図3を参照しながら説明する。
まず、例えば、ガラス製の第1サポート基板21を用意し(
図2(a))、この片面に第1剥離可能接着剤層22を設ける(
図2(b))。第1剥離可能接着剤層22は塗布によってもシート状の接着剤層を貼付してもよいが、ここでは、JV剥離テープ SELFA−SE(積水化学社製)を貼付した。
【0040】
次に、第1剥離可能接着剤層22の上に第1金属層23及び第2金属層24を設ける(
図2(c))。第1金属層23と第2金属層24とは、この後の工程で第1金属層23をエッチングストップ層として第2金属層24のみをエッチングできるように、エッチング特性の異なるものを用いる。また、マスクとなるレジスト層との関係から、酸性のエッチング液でエッチングされるものが好ましい。
【0041】
第1金属層23及び第2金属層24を形成する金属としては、チタン(Ti)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)などから選択すればよい。Tiのエッチング液は、例えば、NH
4FHF−H
2O
2であり、Agのエッチング液は、例えば、CH
3COOH−H
2O
2であり、Alのエッチング液は、例えば、HClであり、Snのエッチング液は、NH
4FHF−H
2O
2であり、Niのエッチング液は、例えば、HClである。例えば、これらの金属の何れかを一方に使用すると、これらとエッチングストップ層としてCuをエッチングできるエッチング液として、FeCl
3、Cu(NH
3)
2、H
2SO
4−H
2O
2などを挙げることができる。
【0042】
第1金属層23及び第2金属層24を形成する金属の組み合わせとしては、Ti−Cu、Ag−Cu、Al−Cu、Sn−Cu、Ni−Cu、Ni−Ti、Ni−Sn、Al−Ti、Al−Sn、Ti−Ag、Al−Ag、An−Ag、Ni−Agなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
また、第1金属層23及び第2金属層24の形成方法は、特に限定されず、各種気相法での成膜や、めっき法などによる成膜、又は箔又はシートを貼付する方法など特に限定されないが、作業効率上は、市販されている二層金属シートを貼付するのが好ましい。
【0044】
本例では、第1金属層23をニッケル、第2金属層24を銅となる二層金属箔を貼付した。また、この例では、第1金属層23のニッケルの厚みは0.5μmで、第2金属層24の銅の厚みは、12μmである。ここで、第1金属層23の厚さは特に限定されないが、0.5μm〜5μm程度あればよく、これ以上厚くても無駄になるだけである。一方、第2金属層24の厚さは、ビア配線形成用基板1の第2絶縁層14の厚さにほぼ相当するので、必要となる第2絶縁層14の厚さに合わせて選定される必要がある。ビア配線形成用基板1の用途によっても異なるが、5μm〜40μm程度、好ましくは、5μm〜35μm程度である。
【0045】
なお、本件明細書において、例えば、単に、ニッケル又は銅と呼称した場合、所望の添加元素又は不可避の微量元素を含んだものも包含するものであり、また、所望の添加元素や微量元素を含有するものをニッケル合金又は銅合金と呼称することもある。
【0046】
次に、第2金属層24の上に、レジスト層25を形成し、常法により、フォトレジストパターニングにより、レジスト層25を貫通する開口26を形成する(
図2(d))。レジスト層25の厚さは、直接的ではないがビア配線形成用基板1の第1絶縁層13の厚さに影響を与え、また、そのパターニング特性、すなわち、開口26の形状(孔径及び垂直性)が、ビア配線形成用ビア15の形状に転写される。よって、レジスト層25を形成するレジスト樹脂としては、ポジ型でもネガ型でもよいが、上述した要求特性を満足するようなレジスト樹脂を選定するのが好ましい。好ましいレジスト樹脂としては、フォテックPKG基板回路形成用RYシリーズ(日立化成社製)などを挙げることができる。ここでは、レジスト層25の厚さは、35μm、開口26の直径は30μmとした。
【0047】
露光は、UVを100〜300mJ/cm
2照射し、Na
2CO
31%溶液を30秒スプレーして現像し、パターニングを行った。
【0048】
次いで、パターニングされたレジスト層25をマスクとして、開口26内のCuからなる第2金属層24のみをエッチングする(
図2(e))。この例では、エッチング液として、FeCl
3、Cu(NH
3)
2、又はH
2SO
4−H
2O
2を用いることで、Tiからなる第1金属層23をエッチングストップ層として第2金属層24のみをエッチングすることができる。
【0049】
次に、開口26内に露出したNiからなる第1金属層23を電極として、開口26内にニッケルからなる金属柱27を形成する(
図2(f))。この例では、金属柱27の厚さは20μmとした。
【0050】
なお、この例では金属柱27はニッケルとしたが、後述するプロセスで第2金属層24をエッチング除去する際にエッチング耐性のある金属であれば特に限定されず、第1金属層23と同一金属であっても、異なる金属であってもよい。
【0051】
また、金属柱27は、電気メッキにより行ったが、開口26内に完全に充填できる方法であれば、特にメッキに限定されない。
【0052】
次いで、レジスト層25を剥離し(
図2(g))、第1絶縁層13となる第1モールド樹脂28を塗布し(
図2(h))、その後、第1モールド樹脂28に覆われた金属柱27の上面を露出するように第1モールド樹脂28を研磨する(
図2(i))。
【0053】
第1モールド樹脂28としては、上述した第1絶縁層13となる樹脂材料を用いればよく、厚さは、金属柱27が覆われる程度とする。第1モールド樹脂28の塗布方法は特に限定されないが、真空印刷、フィルムラミネート、金型を用いたコンプレッション成形などで行うことができる。この例では、ナガセケムテック社製R4212のモールド樹脂を用い、コンプレッション成形で成形条件120℃で10minとし、ポストキュア条件を150℃で1hで硬化させて第1モールド樹脂28とした。
【0054】
また、金属柱27の上面を露出させるための研磨は、ダイヤモンドバイトなど一般的な研磨機を用いて行うことができる。
【0055】
次いで、金属柱27の上面が露出した第1モールド樹脂28上に第2剥離可能接着剤層29を介して第2サポート基板30を設ける(
図3(a))。第2サポート基板30及び第2剥離可能接着剤層29は、それぞれ、ビア配線形成用基板1のサポート基板11及び剥離可能接着剤層12となるものである。第2剥離可能接着剤層29は塗布によってもシート状の接着剤層を貼付してもよいが、ここでは、JV剥離テープ SELFA−SE(積水化学社製)を貼付し、第2サポート基板30はガラス板とした。
【0056】
次いで、全体を裏返して、第1剥離可能接着剤層22を剥離して第1サポート基板21を除去し(
図3(b))、その後、最上面の第1金属層23を除去する(
図3(c))。第1金属層23の除去は、エッチング除去してもよいし、研磨除去でもよいし、エッチングの後研磨してもよい。エッチングする場合には、エッチング液としては、塩酸溶液、硫酸、又は過水硫酸(H
2SO
4−H
2O
2)を用いることができる。
【0057】
次に、第2金属層24を除去し、金属柱27の上端部を露出させる(
図3(d))。第2金属層24の除去は、エッチングで行う。この場合のエッチング液としては、FeCl
3、Cu(NH
3)
2、H
2SO
4−H
2O
2などを用いることができる。
【0058】
次に、金属柱27の上端部を覆うように第2絶縁層14となる第2樹脂層31を設け(
図3(e))、その後、金属柱27の上端面を露出するように、第2樹脂層31を研磨する(
図3(f))。ここで、第2樹脂層31は、第2絶縁層14の材料を用いればよい。また、金属柱27の上面を露出させるための研磨は、ダイヤモンドバイトなど一般的な研磨機を用いて行うことができる。
【0059】
次に、金属柱27をエッチングで除去し、ビア配線形成用基板1のビア配線形成用ビア15となる、ビア配線形成用ビア32を形成する(
図3(g))。これにより、サポート基板11及び剥離可能接着剤層12上に、第1絶縁層13及び第2絶縁層14を有し、第1絶縁層13及び第2絶縁層14のみを貫通するビア配線形成用ビア15を有するビア配線形成用基板1となる。
【0060】
(実施形態2)
図4には、本実施形態に係るビア配線形成用基板の断面図を示す。
図4に示すように、ビア配線形成用基板1Aは、サポート基板11と、サポート基板11の片側に設けられた剥離可能接着剤層12と、剥離可能接着剤層12上に設けられた第1絶縁層13と、第1絶縁層13上に設けられた第2絶縁層14Aとを具備し、第1絶縁層13および第2絶縁層14Aを貫通する複数のビア配線形成用ビア15が形成されている。
【0061】
ビア配線形成用基板1Aは、第2絶縁層14Aがノンフロー接着剤層(NFA)ではなく、フィラーを含有しない又はフィラーの充填量が第1絶縁層13より少なく、第1絶縁層13より低弾性率を有する熱硬化性又は熱可塑性樹脂材料を用いた以外は、実施形態1と同様であり、製造プロセスも同じであるので、重複する説明は省略する。具体的には、第2絶縁層14Aとしては、日立化成社製のHS−270(DAF)を用い、80℃〜200℃でラミネートし、120℃〜160℃で0.02MPa〜0.2MPaの圧力下30秒間で貼り合わせた。
【0062】
なお、第2絶縁層14に用いられる樹脂材料としては、再配線層に用いられる感光性ポリイミド樹脂などの感光性樹脂か、熱硬化性樹脂も用いることができる。
【0063】
(実施形態3)
以下、ビア配線形成用基板1に半導体チップを実装するプロセスの一例を図面を参照しながら説明する。
【0064】
まず、銅PADを有する半導体チップの製造方法の一例を
図5を参照しながら説明する。
図5(a)に示すように、アルミPAD51を有する半導体チップ50を用意し、この上にシード金属層55を設ける(
図5(b))。次に、感光性樹脂層56を設け(
図5(c))、露光現像してパターニングしてアルミPAD51の上方に開口56aを形成し(
図5(d))、開口56a内のシード金属層55上に電気メッキで銅PAD52を形成し(
図5(e))、感光性樹脂層56を除去して銅PAD52を有する半導体チップ50とする(
図5(f))。
【0065】
なお、銅PAD52の設ける方法は上述した方法に限定されない。例えば、銅PAD52は、銅メッキによるものに限定されず、アルミPAD51上にシード金属をスパッタした後、銅ペーストを設け、メタライゼーションするか、アルミPAD51上に直接銅ペーストを設けてメタライゼーションすることにより形成することもできる。何れにしても、従来技術で述べたInFOの柱状の電気コネクタと比較すると、大幅はプロセス削減となる。
【0066】
次に、このような銅PAD52を備えた半導体チップ50を本発明のビア配線形成用基板1に実装する工程を説明する。なお、本発明のビア配線形成用基板1は、サポート基板11及び剥離可能接着剤層12上に、第1絶縁層13及び第2絶縁層を有し、第1絶縁層13及び第2絶縁層14のみを貫通するビア配線形成用ビア15を有するものであるが、第1絶縁層13がエポキシ系モールディング樹脂、第2絶縁層14をノンフロー接着剤層(NFA)としたものである。
【0067】
また、第1絶縁層13及び第2絶縁層14のみを貫通するビア配線形成用ビア15は、半導体チップ50の接続端子の位置に合わせて形成されたものである。
【0068】
次に、銅PAD52をビア配線形成用ビア15に合わせた状態で、半導体チップ50をNFAである第2絶縁層14上に接着する(
図6(a))。 具体的には、常法に従い、各半導体チップ50を加圧、加熱しながら仮接着し、全体を位置決めしながら加圧、加熱して本接着する。
【0069】
次に、半導体チップ50を埋め込むように、モールド樹脂層41を設ける(
図6(b))。モールド樹脂層41としては、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂にフィラーを充填したモールド樹脂などで形成することができ、特にエポキシ系封止樹脂を用いることができる。モールド樹脂層41は、半導体チップ50のアクティブ面と直接接触するので、低不純物、ハロゲンフリーのものを用いる必要がある。なお、微小ピッチでの加工をするものではないので、第1絶縁層13に用いられる樹脂材料より大きめのフィラーを含有するものでもよい。例えば、最大粒径30μm〜50μmのフィラーを含有する熱硬化性樹脂を用いることができる。
【0070】
なお、モールド樹脂層41を設けた後、剥離可能接着剤層を介してサポート基板を設けてもよい。このサポート基板は、次工程でサポート基板11を剥離した後のハンドリング性を上げるためのものであり、最終工程で剥離して製品とするが、何れにしても図示は省略する。
【0071】
次に、剥離可能接着剤層12を介してサポート基板11を剥離する(
図6(c))。剥離可能接着剤層12としてJV剥離テープ SELFA−SE(積水化学社製)を用いた場合には、UV照射によりサポート基板11を剥離することができる。
【0072】
次に、ビア配線形成用ビア15内に、電気メッキによりビア配線59を形成する(
図6(d))。具体的には、ビア配線形成用ビア15内に化学銅シート又はスパッタシードを設けた後、電気メッキによりビア配線59を形成する。なお、絶縁層13の表面に形成された配線層は所定の大きさにパターニングしてビア配線59とする。
【0073】
ここで、ビア配線59の形成は、電気メッキ法に限定されるものではなく、例えば、銅を含む導電性ペーストをビア配線形成用ビア15内に充填してビア配線59としてもよい。
【0074】
次に、
図6(e)に示すように、ビア配線59を形成した絶縁層13上に、常法により再配線層70を複数(図示では3層)形成し、半導体チップ実装部品3とする。
【0075】
本発明のビア配線形成用基板1を用いると、高密度の接続端子を有する半導体チップや機能性部品に合わせて、ビア配線形成用ビア15を高精度に形成することができるので、種々の半導体チップや機能性部品を容易に実装可能である。また、この際、接合端子側をビア配線形成用基板1に接着した後、複数の半導体チップ50や機能性部品をモールドするので、複数の半導体チップ50や機能性部品の高さが異なっても、容易に実装することができるという利点がある。
【0076】
このような実装例を
図7に示す。
図7(a)は、本発明のビア配線形成用基板1に高さの異なる半導体チップ501及び502を実装した場合であり、
図7(b)は、半導体チップ501と受動部品510とを実装した場合を示す。これら何れも場合も、半導体チップ501、502や受動部品510の端子側を本発明のビア配線形成用基板1に接着するので、半導体チップ501、502や受動部品510は、問題とならない。
【0077】
一方、従来技術で述べたInFOでは、柱状の電気コネクタ108と、半導体チップ110上の電気コネクタ112とを一緒にモールドし、その後上端面を研磨で露出する必要があり、高密度配線になるほど困難性を伴い、また、再配線層との接続にも困難性を伴う。また、柱状の電気コネクタ108の高さは、150μm〜200μm程度が限界であり、半導体チップ110の高さが大きい場合には製造上困難となる可能性がある。さらに、最初に半導体チップを複数実装する場合、半導体チップの高さが異なると、一方の半導体チップの柱状の電気コネクタを長くするなどの必要があり、対応が困難となるという問題もある。
【0078】
また、本発明のビア配線形成用基板1を用いた場合、相対的に剛直な第1絶縁層13と半導体チップ50との間に、第1絶縁層13より低弾性の第2絶縁層14が存在するので第1絶縁層13上に複数層の再配線層70を設けても再配線層70にクラックが入り難いという効果を奏する。
【0079】
(実施形態4)
次に、ビア配線形成用基板1Aに半導体チップを実装するプロセスの一例を図面を参照しながら説明する。
【0080】
ビア配線形成用基板1Aは、表面の第2絶縁層14Aがノンフロー接着剤層(NFA)ではないので、半導体チップにNFAを設ける必要がある。
【0081】
この工程を
図8を参照しながら説明する。
図8に示すように、
図5に示す工程により製造した銅PAD52を有する半導体チップ50を準備し、次いで、比較的低流動性のノンフロー接着剤を用いて銅PAD52を覆うように接着剤層61を設け(
図8(a))、その後、研磨工程により銅PAD52のトップだしを行い、接着剤層61を有する半導体チップ50Aとする(
図8(b))。
【0082】
次に、ビア配線形成用基板1Aに半導体チップ50Aを実装するプロセスを説明する。
銅PAD52をビア配線形成用ビア15に合わせた状態で、半導体チップ50Aを第2絶縁層14Aに接着剤層61で接着する(
図9(a))。
【0083】
次に、半導体チップ50Aを埋め込むように、モールド樹脂層41を設ける(
図9(b))。モールド樹脂層41としては、
図6の工程で用いたものと同様である。
【0084】
なお、モールド樹脂層41を設けた後、剥離可能接着剤層を介してサポート基板を設けてもよい。このサポート基板は、次工程でサポート基板11を剥離した後のハンドリング性を上げるためのものであり、最終工程で剥離して製品とするが、何れにしても図示は省略する。
【0085】
次に、剥離可能接着剤層12を介してサポート基板11を剥離する(
図9(c))。すなわち、剥離可能接着剤層12してJV剥離テープ SELFA−SE(積水化学社製)を用いた場合には、UV照射によりサポート基板11を剥離することができる。
【0086】
次に、ビア配線形成用ビア15内に、電気メッキによりビア配線を形成する。具体的には、ビア配線形成用ビア15内に化学銅シード又はスパッタシードからなるシード層57を設け(
図9(d))、その後、電気メッキによりビア配線を含む配線層58を形成する(
図9(e))。なお、絶縁層13の表面に形成された配線層58は所定の大きさにパターニングしてビア配線59とする(
図9(f))。
【0087】
次に、
図9(g)に示すように、ビア配線59を形成した第2絶縁層14A上に、常法により再配線層70を複数(図示では3層)形成し、表面にビア配線91を有する半導体チップ実装部品3Aとする。なお、再配線層70は、絶縁層と、絶縁層を貫通するビア配線と、絶縁層上に設けられた配線パターンとからなる。また、絶縁層としては、感光性ポリイミド樹脂などの感光性樹脂か、熱硬化性樹脂が用いられる。
【0088】
(その他の実施形態)
実施形態3、実施形態4で製造した本発明の半導体チップ実装部品3と、従来のeWLP構造との比較を
図10に示す。
【0089】
図10(b)の従来のeWLP構造では、半導体チップ50をモールドするモールド樹脂層410上に直接、再配線層700が設けられる。一方、
図10(a)に示す本発明の半導体チップ実装部品3では、モールド樹脂層41と再配線層70との間に、モールド樹脂層41側から、相対的に低弾性の第2絶縁層14と、相対的に高弾性で剛直な第1絶縁層13とが配置されるので、再配線層70にクラックが入り難いという効果を奏する。
【0090】
また、実施形態1、2のビア配線形成用基板1、1Aは、実施形態3、4などの標準的な使用方法の他、種々の用途に使用できる。
【0091】
例えば、
図11(a)に示すように、実施形態3、4の半導体チップ実装部品3の複数の再配線層70の間にビア配線形成用基板1を用いて第2絶縁層14及び第1絶縁層13を設けてもよい。最上面には、ビア配線92が設けられる。この場合、再配線層70のクラック防止を実現でき、従来より多数層の再配線層70の積層を可能とする。例えば、再配線層70は、4層又はそれ以上積層すると、クラックが入る虞があるとされてるが、中間に第2絶縁層14及び第1絶縁層13を設けることにより、特に、剛直な第1絶縁層13の存在により、クラックの発生を防止できるという利点がある。
【0092】
なお、再配線層70を多層にすると、ビア配線のピッチを拡げることができるという利点があり、
図11(a)の場合、例えば、半導体チップ50のピッチP1が40μm〜100μm程度として、最上面のピッチP2は300μm〜500μm程度まで拡げることができる。
【0093】
また、
図11(b)に示すように、実施形態3、4の半導体チップ実装部品3の表面にビア配線形成用基板1を用いて第2絶縁層14及び第1絶縁層13を設けるような使用方法もある。なお、ビア配線形成用ビア15は、ビア配線91への接続用として使用する。
【0094】
さらに、実施形態1、2のビア配線形成用基板1、1Aは、従来構造の実装構造に加えて用いることができる。
【0095】
例えば、
図12(a)に示すように、従来のeWLP500(
図10(b)参照)の複数の再配線層700の中間にビア配線形成用基板1を用いて第2絶縁層14及び第1絶縁層13を設け、第1絶縁層13上の再配線層70を介してビア配線93を設けるようにしてもよい。
【0096】
また、
図12(b)に示すように、eWLP500の表面にビア配線形成用基板1を用いて第2絶縁層14及び第1絶縁層13を設け、ビア配線94を形成してもよく、さらには、
図12(c)に示すように、eWLP500の表面にビア配線形成用基板1を用いて第2絶縁層14及び第1絶縁層13を設けて、ビア配線形成用ビア15は、eWLP500の配端子への接続用として用いるようにしてもよい。
【0097】
さらに、実施形態1、2のビア配線形成用基板1、1Aは、半導体チップを実装する代わりに、例えば、eWLP500(
図10(b)参照)を実装することもできる。
【0098】
この製造プロセスの一例を
図13に示す。
図13(a)に示すように、eWLP500を用意し、
図13(b)に示すように、ビア配線形成用基板1の上に、eWLP500を実装し、接着する。
【0099】
次に、上述した実施形態と同様に、eWLP500をモールド樹脂層41でモールドする(
図13(c))。
【0100】
なお、モールド樹脂層41を設けた後、剥離可能接着剤層を介してサポート基板を設けてもよい。このサポート基板は、次工程でサポート基板11を剥離した後のハンドリング性を上げるためのものであり、最終工程で剥離して製品とするが、何れにしても図示は省略する。
【0101】
次に、剥離可能接着剤層12を介してサポート基板11を剥離し(
図13(d))、次に、ビア配線形成用ビア15内に、電気メッキ等によりビア配線95を形成する(
図13(e))。次に、
図13(f)に示すように、ビア配線95を形成した絶縁層13上に、常法により再配線層70を複数(図示では3層)形成し、最上面にビア配線97を有する半導体チップ実装部品とする。
【課題】 柱状の電気コネクタを予め作る必要がなく、高さの異なる半導体チップも同時に実装できるビア配線形成用基板及びその製造方法並びにこれを用いて製造した半導体装置実装部品を提供する。
【解決手段】 少なくとも一つの半導体チップを実装するためのビア配線形成用基板であって、サポート基板と、前記サポート基板上に設けられた剥離可能接着剤層と、前記剥離可能接着剤層上に設けられた第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に積層された第2絶縁層と、を具備し、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層には、前記半導体チップの複数の接続端子のそれぞれに対応し且つ前記接続端子と接続するビア配線を形成可能なビア配線形成用ビアが前記第1絶縁層および前記第2絶縁層のみを位置ずれなしに貫通して形成されている。