特許第6573417号(P6573417)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6573417
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】直動伸縮機構
(51)【国際特許分類】
   F16G 13/20 20060101AFI20190902BHJP
   B25J 18/02 20060101ALI20190902BHJP
   F16H 19/02 20060101ALN20190902BHJP
【FI】
   F16G13/20
   B25J18/02
   !F16H19/02 B
   !F16H19/02 D
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-514715(P2018-514715)
(86)(22)【出願日】2017年4月27日
(86)【国際出願番号】JP2017016843
(87)【国際公開番号】WO2017188405
(87)【国際公開日】20171102
【審査請求日】2018年12月21日
(31)【優先権主張番号】特願2016-89650(P2016-89650)
(32)【優先日】2016年4月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】510341215
【氏名又は名称】ライフロボティクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002103
【氏名又は名称】特許業務法人にじいろ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尹 祐根
(72)【発明者】
【氏名】神田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】松田 啓明
【審査官】 高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/137171(WO,A1)
【文献】 特開2004−312889(JP,A)
【文献】 特開平9−119485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16G 13/20
B25J 18/02
F16H 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈曲可能に連結される平板形状の複数の第1コマと、
屈曲可能に連結される管形状又は半管形状の複数の第2コマと、
前記複数の第1コマの先頭と前記複数の第2コマの先頭とを結合する結合部と、
前記第1、第2コマを前後移動自在に支持するとともに、前記第1、第2コマが前方に移動するとき前記第1、第2コマを直線状に硬直させるために前記第1コマに第2コマを接合させ、前記第1、第2コマが後方に移動するとき前記第1、第2コマを屈曲状態に復帰させるために前記第1コマから第2コマを分離する支持機構部とを具備し、
前記第1、第2コマが互いに接触する前記第1、第2コマの少なくとも一方の接触面の少なくとも一部分又は少なくとも一つの接触点には、前記第1、第2コマの接触面の磨耗を防止するために前記第1、第2コマよりも低硬度材料の磨耗防止パッドが装着され、及び/又はコーティング剤がコーティングされていることを特徴とする直動伸縮機構。
【請求項2】
前記第1コマにはその前記第2コマに接合する側の面に四角錐台形状の突起部が設けられ、前記第2コマの前後端それぞれには前記突起部をその前後側面に係合する受け部が設けられ、前記第2コマが前記第1コマに接合する過程において前後の前記第2コマの前記受け部が前記突起部を前後から挟み込むものであり、
前記第2コマの後端に設けられる前記受け部にはその前記突起部の前方側面に接触する面に前記磨耗防止パッドが装着され、及び/又は前記コーティング剤がコーティングされていることを特徴とする請求項1記載の直動伸縮機構。
【請求項3】
前記第1コマにはその前記第2コマに接合する側の面に四角錐台形状の突起部が設けられ、前記第2コマの前後端それぞれには前記突起部をその前後側面に係合する受け部が設けられ、前記第2コマが前記第1コマに接合する過程において前後の前記第2コマの前記受け部が前記突起部を前後から挟み込むものであり、
前記突起部の前方側面には前記磨耗防止パッドが装着され、及び/又は前記コーティング剤がコーティングされていることを特徴とする請求項1記載の直動伸縮機構。
【請求項4】
前記第1、第2コマの少なくとも一方の前記接触面の全面に前記コーティング剤がコーティングされていることを特徴とする請求項1記載の直動伸縮機構。
【請求項5】
前記磨耗防止パッドは樹脂パッドであることを特徴とする請求項1記載の直動伸縮機構。
【請求項6】
前記磨耗防止パッドは金属パッドであることを特徴とする請求項1記載の直動伸縮機構。
【請求項7】
前記コーティング剤はフッ素を主成分とすることを特徴とする請求項1記載の直動伸縮機構。
【請求項8】
前記磨耗防止パッドは円盤形であることを特徴とする請求項1記載の直動伸縮機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は直動伸縮機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より多関節ロボットアーム機構が産業用ロボットなどさまざまな分野で用いられている。発明者らはこのような多関節ロボットアーム機構に適用できる直動伸縮機構を開発した(特許文献1)。直動伸縮機構は、屈曲可能に蝶番構造で連結された平板形状を有する金属製の複数のコマ(第1コマ)と、屈曲可能に底板において蝶番で連結された半角管形状を有する金属製の複数のコマ(第2コマ)とを有する。第1、第2コマは先端で結合されており、前方に送り出されるとき第1、第2コマは重ね合わされ、硬直状態が確保され、一定の剛性を有する柱状のアームに構成される。後方に引き戻されるとき第1、第2コマは分離され、それぞれ屈曲可能な状態に復帰し、支柱の内部に収納される。この直動伸縮機構の多関節ロボットアーム機構への採用は肘関節部を不要とし、容易に特異点を解消することができるので非常に有益な構造である。
【0003】
第1、第2コマを強固に接合してアームの剛性を高めることが要求される。アームの伸縮に伴って第1、第2コマ同士の強い衝突が繰り返される。従って第1、第2コマの互いの接触面の磨耗は不可避である。接触面の磨耗はアームの剛性を低下させる。そのため磨耗した第1、第2コマは早期交換が必要とされる。
【0004】
第1、第2コマの交換作業はそれらが内部構造部品であるためアーム機構を分解する必要があり非常に工数が多い。また第1、第2コマは金属の切削加工品であり、比較的高コストである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5435679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
目的は、直動伸縮機構の重要部品である第1、第2コマの交換頻度を低減させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係る直動伸縮機構は、屈曲可能に連結される平板形状の複数の第1コマと、屈曲可能に連結される半管形状の複数の第2コマとを有する。複数の第1コマの先頭と複数の第2コマの先頭とは結合部で結合される。支持機構部は第1、第2コマを前後移動自在に支持するとともに、第1、第2コマが前方に移動するとき互いに接合させ、第1、第2コマが後方に移動するときそれらを分離させる。第1、第2コマは互いに接合されたとき直線状に硬直し、第1、第2コマは互いに分離されたとき屈曲状態に復帰する。第1、第2コマが互いに接触する第1、第2コマの少なくとも一方の接触面の少なくとも一部分又は少なくとも一つの接触点には、第1、第2コマの接触面の磨耗を防止するために第1、第2コマよりも低硬度材料の磨耗防止パッドが装着され、及び/又はコーティング剤がコーティングされている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る直動伸縮機構を装備するロボットアーム機構の外観を示す斜視図である。
図2図2は、図1のロボットアーム機構の側面図である。
図3図3は、図1のロボットアーム機構の内部構造を示す側面図である。
図4図4は、図1のロボットアーム機構の構成を図記号表現により示す図である。
図5図5は、図3の第1コマを示す図である。
図6図6は、図3の第2コマを示す図である。
図7図7は、図6の第2コマに装着された磨耗防止パッドを示す斜視図である。
図8図8は、図3の第1、第2コマの接合過程を説明するための図である。
図9図9は、図8のロック機構の接合過程を説明するための図である。
図10図10は、磨耗防止剤による被膜部分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る直動伸縮機構を説明する。なお、本実施形態に係る直動伸縮機構は、単独の機構(関節)として使用することができる。以下の説明では、複数の関節部のうち一の関節部が本実施形態に係る直動伸縮機構で構成された極座標型のロボットアーム機構を例に説明する。本実施形態に係る直動伸縮機構は、円筒座標型型のロボットアーム機構にも適用される事ができる。もちろん本実施形態に係る直動伸縮機構はロボットアーム機構以外の機構に適用されることもできる。以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0010】
図1は本実施形態に係る直動伸縮機構を装備するロボットアーム機構の外観を示している。図2は、図1のロボットアーム機構の側面図である。図3は、図1のロボットアーム機構の内部構造を示す側面図である。ロボットアーム機構は、基台1、旋回部(支柱部)2、ショルダー部4、アーム部5及び手首部6を備える。旋回部2、ショルダー部4、アーム部5及び手首部6は、基台1から順番に配設される。旋回部2、ショルダー部4、アーム部5は関節部J1,J2,J3にそれぞれ対応する。手首部6は、関節部J4,J5,J6がアセンブルされている。基台1には円筒体をなす旋回部2が典型的には鉛直に設置される。旋回部2は第1関節部J1を収容する。第1関節部J1は回転軸RA1を中心に回転する回転関節(rotational joint)である。回転軸RA1は鉛直方向に平行である。旋回部2は下部フレーム21と上部フレーム22とを有する。下部フレーム21の一端は第1関節部J1の固定部が接続される。下部フレーム21の他端は基台1に接続される。下部フレーム21は円筒形状のハウジング31により覆われる。上部フレーム22は第1関節部J1の回転部に接続され、回転軸RA1を中心に軸回転する。上部フレーム22は円筒形状のハウジング32により覆われる。第1関節部J1の回転に伴って下部フレーム21に対して上部フレーム22が回転し、それによりアーム部5は旋回する。円筒体をなす旋回部2の内部中空には後述する直動伸縮機構としての第3関節部J3の第1、第2コマ列51、52が収納される。
【0011】
旋回部2の上部にはショルダー部4が設置される。ショルダー部4は、回転関節である第2関節部J2を備える。第2関節部J2の回転によりアーム部2はその回転軸RA2の周りを回転する。第2関節部J2の回転軸RA2は回転軸RA1に直交する。ショルダー部4は、第2関節部J2の固定部(支持部)としての一対のサイドフレーム23を有する。一対のサイドフレーム23は、上部フレーム22に連結される。一対のサイドフレーム23は、鞍形形状のカバー33により覆われる。一対のサイドフレーム23にモータハウジングを兼用する第2関節部J2の回転部としての円筒体24が支持される。円筒体24の周面には、支持機構25が取り付けられる。支持機構25は円筒形状のカバー34により覆われる。鞍形カバー33と円筒カバー34との間の間隙は断面U字形状のU字蛇腹カバー14により覆われる。U字蛇腹カバー14は、第2関節部J2の起伏動に追従して伸縮する。支持機構25は、ドライブギア56、ガイドローラ57及びローラユニット58を保持する。ローラユニット58は、複数のローラ59を有し、支持機構25の前方に配置される。ローラユニット58の後方にはドライブギア56が配置される。ドライブギア56には、ドライブギア56は図示しないモータユニットに接続される。モータユニットは、ドライブギア56を回転させるための動力を発生する。ドライブギア56には、第1コマ53のリニアギア539が噛み合わされる。リニアギア539は、第1コマ53の内側の面、換言すると、第2コマ54と接合する側の面の幅中央に連結方向に沿って形成されている。複数の第1コマ53が直線状に整列されたときに隣合うリニアギア539は直線状につながって、長いリニアギアを構成する。直線状につながったリニアギア539はドライブギア56とともにラックアンドピニオン機構を構成する。ドライブギア56の上方にはガイドローラ57が第1コマ53の厚みと略等価な距離を隔てて配置される。これにより、ドライブギア56はガイドローラ57に押圧された第1コマ53のリニアギア539に噛み合わされ、ドライブギア56による第1コマ列51のスムーズな送り出しが実現される。円筒体24の軸回転に伴って支持機構25は回動し、支持機構25に支持されたアーム部5が上方又は下方に回転する。
【0012】
第3関節部J3は直動伸縮機構(linear motion extending and retracting mechanism)である。直動伸縮機構は発明者らが新規に開発した構造を備えており、可動範囲が従来の直動関節(prismatic joint)より明確に長い。第3関節部J3のアーム部5は屈曲自在であるが、中心軸(伸縮中心軸RA3)に沿ってアーム部5の根元の支持機構25から前方に送り出されるときには屈曲が制限され、直線的剛性が確保される。アーム部5は後方に引き戻されるときには屈曲が回復される。アーム部5は第1コマ列51と第2コマ列52とを有する。第1コマ列51は屈曲自在に連結された複数の第1コマ53からなる。各第1コマ53は略平板形に構成される。複数の第1コマ53は複数のヒンジ部で屈曲自在に一列に接続される。各ヒンジ部は、隣り合うペアの第1コマ53をその端部どうしで接続する。第2コマ列52は複数の第2コマ54からなる。各第2コマ54は、円形又は多角形の断面形状を有する管又はその半管形状である。つまり、半管形状は、半円菅形状と半角菅形状とのいずれである。典型的には各第2コマ54は、底板と2側板とが直角に組み合わされた半角菅形状である。複数の第2コマ54は複数のヒンジ部で屈曲自在に一列に接続される。各ヒンジ部は、隣り合うペアの第2コマ54をその底板の端部どうしで接続する。第2コマ列52の屈曲は、第2コマ54の側板の端面どうしが当接する位置で係止される。その位置では複数の第2コマ列52は直線的に並ぶ。第1コマ列51の先頭の第1コマ53と、第2コマ列52の先頭の第2コマ54とは結合コマ55により接続される。例えば、結合コマ55は第1コマ53と第2コマ54とを合成した形状を有している。
【0013】
第1、第2コマ列51,52は支持機構25のローラユニット58を通過する際にローラ59により互いに押圧されて接合する。接合により第1、第2コマ列51,52は直線的剛性を発揮し、柱状のアーム部5を構成する。ドライブギア56が順回転するとき第1、第2コマ列51,52は柱状体となって前方に送り出される。ドライブギア56が逆回転するとき柱状体は引き戻され、ローラユニット58とドライブギア56との間で第1、第2コマ列51,52に分離される。分離された第1、第2コマ列51,52はそれぞれ屈曲可能な状態に復帰する。屈曲可能な状態に復帰した第1、第2コマ列51,52は、ともに同じ方向(内側)に屈曲し、旋回部2の内部に鉛直に収納される。このとき、第1コマ列51は第2コマ列52に略平行にほぼ揃った状態で収納される。
【0014】
アーム部5の先端には手首部6が取り付けられる。手首部6は第4〜第6関節部J4〜J6を装備する。第4〜第6関節部J4〜J6はそれぞれ直交3軸の回転軸RA4〜RA6を備える。第4関節部J4は伸縮中心軸RA3と略一致する第4回転軸RA4を中心に回転する回転関節であり、この第4関節部J4の回転によりエンドエフェクタは揺動する。第5関節部J5は第4回転軸RA4に対して直交する第5回転軸RA5を中心に回転する回転関節である。この第5関節部J5の回転によりエンドエフェクタは前後に傾動する。第6関節部J6は第4回転軸RA4と第5回転軸RA5とに対して直交する直交する第6回転軸RA6を中心に回転する回転関節である。この第6関節部J6の回転によりエンドエフェクタは軸回転される。
【0015】
エンドエフェクタ(手先効果器)は、手首部6の第6関節部J6の回転部下部に設けられたアダプタ7に取り付けられる。エンドエフェクタはロボットが作業対象(ワーク)に直接働きかける機能を持つ部分であり、例えば把持部、真空吸着部、ナット締め具、溶接ガン、スプレーガンなどのタスクに応じて様々なツールが存在する。エンドエフェクタは、第1、第2、第3関節部J1,J2,J3により任意位置に移動され、第4、第5、第6関節部J4,J5,J6により任意姿勢に配置される。特に第3関節部J3のアーム部5の伸縮距離の長さは、基台1の近接位置から遠隔位置までの広範囲の対象にエンドエフェクタを到達させることを可能にする。第3関節部J3はそれを構成する直動伸縮機構により実現される直線的な伸縮動作とその伸縮距離の長さとが従前の直動関節と異なる特徴的な点である。
【0016】
図4はロボットアーム機構の構成を図記号表現により示している。ロボットアーム機構において、根元3軸を構成する第1関節部J1と第2関節部J2と第3関節部J3とにより3つの位置自由度が実現される。また、手首3軸を構成する第4関節部J4と第5関節部J5と第6関節部J6とにより3つの姿勢自由度が実現される。図5に示すように、第1関節部J1の回転軸RA1は鉛直方向に設けられる。第2関節部J2の回転軸RA2は水平方向に設けられる。第2関節部J2は第1関節部J1に対して回転軸RA1と回転軸RA1に直交する軸との2方向に関してオフセットされる。第2関節部J2の回転軸RA2は、第1関節部J1の回転軸RA1には交差しない。第3関節部J3の移動軸RA3は回転軸RA2に対して直交する向きに設けられる。第3関節部J2は第2関節部J2に対して回転軸RA1と回転軸RA1に直交する軸との2方向に関してオフセットされる。第3関節部J3の回転軸RA3は、第2関節部J2の回転軸RA2には交差しない。複数の関節部J1−J6の根元3軸のうちの一つの回転関節部が直動伸縮関節部J3に換装される。第1関節部J1に対して第2関節部J2が2方向にオフセットされる。第2関節部J2に対して第3関節部J3が2方向にオフセットされる。これらにより、本実施形態に係るロボットアーム機構は、特異点を解消することを実現する。
【0017】
(第1コマ53)
図5は、図3の第1コマ53の構造を示す図である。第1コマ53は全体として略平板体である。第1コマ53は、平板矩形の本体部531に一対の支持ブロック532と軸受ブロック533とが一体成形されてなる。一対の支持ブロック532は、本体部531の前端両側に前方に突出して設けられる。軸受ブロック533は、本体部531の後端中央に後方に突出して設けられる。前端の一対の支持ブロック532には、第1コマ53の幅方向と平行に一対の軸孔534が貫通されている。後端の軸受ブロック533にも、第1コマ53の幅方向と平行に軸孔535が貫通されている。第1コマ53の前端の一対の支持ブロック532の間に、他の第1コマ53の後端の軸受ブロック533が嵌め込まれた状態で、一対の軸孔534と軸孔535とは連続的につながる。この連続的につながった貫通孔に図示しないシャフトが挿入され、前後の第1コマ53は互いに回転自在に連結される。第1コマ53の背面の幅中央には連結方向(長さ方向)と平行に前後に渡ってリニアギア539が設けられる。第1コマ53の背面中央には前後にわたってリニアギア539が設けられ、当該背面両側には四角錐台形状の一対の突起部(ピンホールブロック)536が垂直に突出される。一対のピンホールブロック536は第1コマ53の前後方向(長さ方向)の中央付近の両側に位置する。ピンホールブロック536にはその前後方向に沿ってロックピンホール537が空けられている。
【0018】
図5では、第1、第2コマ53、54が接合した状態で、第2コマ54に接触する第1コマ53の接触面を斜線で示している。図5に示すように、第1コマ53の接触面は、第1コマ53の背面両側部分と、ピンホールブロック536の前端面と後端面とである。
【0019】
(第2コマ54)
図6は、図3の第2コマ54の構造を示す図である。第2コマ54は半角管形状である。第2コマ54は、底板541と、同サイズ、同形状の一対の側板540とからなる。底板541の前端両側に一対の支持ブロック542が突設される。底板541の後端中央に軸受ブロック543が突設される。前端の一対の支持ブロック542には、第2コマ54の幅方向と平行に一対の軸孔544が貫通されている。後端の軸受ブロック543にも、第2コマ54の幅方向と平行に軸孔545が貫通されている。第2コマ54の前端の一対の支持ブロック542の間に、他の第2コマ54の後端の軸受ブロック543が嵌め込まれた状態で、一対の軸孔544と軸孔545とは連続的につながる。この連続的につながった貫通孔にシャフトが挿入され、前後の第2コマ54は互いに回転自在に連結される。第2コマ54の側板540それぞれの前端上部にはロックピンブロック546が内側に突設される。ロックピンブロック546は直方体をなし、その前方側面には、ロックピン547が設けられる。ロックピン547は円柱体をなし、連結方向と平行に前方に向かって突設される。第2コマ54の側板540それぞれの後端上部にはチャックブロック548が内側に突設される。チャックブロック548は、四角錐台形状をなし、その傾斜面が後方に向く。第2コマ列22において、前方の第2コマ54のチャックブロック548は、後方の第2コマ54のロックピンブロック546とともに、ピンホールブロック536を前後に受ける受け部を構成する。
【0020】
図6では、第1、第2コマ53、54が接合した状態で、第1コマ53に接触する第2コマ54の接触面を斜線で示している。図6に示すように、第2コマ54の接触面は、一対の側板540の上端面、ロックピンブロック546の前端面、及びチャックブロック548の後端面である。
【0021】
(ロック機構)
直動伸縮機構は、第1、第2コマ53,54の接合状態を堅持するためのロック機構を有する。ロック機構は、第2コマ54のチャックブロック548及びロックピンブロック546と、第1コマ53のピンホールブロック536とにより構成される。
【0022】
アーム部5が伸長するとき、前後の第2コマ54の受け部により第1コマ53のピンホールブロック536が狭み込まれ、これにより第1、第2コマ53,54は接合される。第1、第2コマ53,54の接合状態は、第1コマ53のピンホール537に第2コマ54のロックピン547が挿入された状態で維持される。第2コマ54のロックピン547は、第2コマ54がローラユニット58の最後尾のローラ59を通過し、その前方の第2コマ54に対して直線状に整列するとき、第1コマ53のピンホール537に挿入される。第1コマ53のピンホール537に第2コマ54のロックピン547が挿入された状態は、前後の第2コマ54が直線状に整列された状態、つまり、アーム部5の後端部分がローラユニット58に堅持された状態で維持される。
【0023】
アーム部5が収縮するとき、ローラユニット58の後方において、第2コマ54は屈曲可能な状態に復帰し、重力により下方に引かれる。一方、第1コマ53はドライブギア56により水平姿勢を維持した状態で後方に引かれる。第2コマ54が下方に引かれ、第1コマ53が後方に引かれることで、第1コマ53のピンホール537から第2コマ54のロックピン547が抜け、前後の第2コマ54の受け部は、第1コマ53のピンホールブロック536を開放し、これにより第1、第2コマ53,54の接合状態が解除され、互いに屈曲可能に分離される。
【0024】
上記説明したように、直動伸縮機構を構成するアーム部5の伸縮は、第1、第2コマ53,54が送り出されるときに接合し、引き戻されるときに離反することにより実現される。第1、第2コマ53,54が接合するとき、第1コマ53に対して第2コマ54が衝突することにより、第1、第2コマ53,54の接触面は磨耗する。また、第1、第2コマ53,54が接合した状態で、アーム部5の伸縮動等によりコマが微小に振動することにより接触面が磨耗する。第1、第2コマ53,54の接触面の摩耗は、第1、第2コマ53,54の外形寸法を変化させる。第1、第2コマ53,54の外形寸法の変化は、アーム部5の剛性を低下させ、アーム部5の直線性を阻害する可能性がある。本実施形態に係る直動伸縮機構は、第1、第2コマ53,54の接触面の磨耗を軽減する。具体的には、第1コマ53の接触面と第2コマ54の接触面とのうち、少なくとも一方の接触面の少なくとも一部分に、摩耗防止パッドを装着する。摩耗防止パッドとともに、又は摩耗防止パッドに代えて、第1コマ53の接触面と第2コマ54の接触面とのうち、少なくとも一方の接触面の少なくとも一部分に、コーティング剤がコーティングされている。
【0025】
図7は、図3の第1コマ53に装着された摩耗防止パッドを示す斜視図である。図7に示すように、磨耗防止パッド550は、好適にはチャックブロック548の後方側面に装着される。磨耗防止パッド550は、例えば円盤形であり、接着等によりチャックブロック548に貼着される。磨耗防止パッド550は、第1、第2コマ53,54の表面硬度、つまり素材(例えばAlCu系のアルミニウム合金)、又は第1、第2コマ53,54の表面コーティング層(例えばハードアルマイト層)よりも硬度が低い金属又は樹脂製である。樹脂であれば、天然ゴムの他、摩擦係数が低く、耐久性が高いポリ四フッ化エチレン等のフッ素系の樹脂、超高分子量高密度ポリエチレン、さらに自己潤滑性樹脂としてポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレンなどが採用される。第1、第2コマ53,54同士の衝突、接触、摺動は、第1、第2コマ53,54よりも低硬度な材料の磨耗防止パッド550を優先的に磨耗させる。
【0026】
図8は、図3のアーム部5の接合過程を説明するための図である。図9は、図8のロック機構を示す概略図である。図9(a),(b),(c)はそれぞれ図8(a),(b),(c)のロック機構を示す概略図である。図8(a),図8(b)、図9(a)、図9(b)に示すように、第2コマ54−1が屈曲した状態から直線的な状態に変位するとき、第2コマ54−1のチャックブロック548−1の後方側面は、第1コマ53−1のピンホールブロック536−1の前方側面に衝突し、これにより接触面が磨耗する。また、図8(c)、図9(c)に示すように、後方の第2コマ54−2が屈曲した状態から直線的な状態に変位したとき、後方の第2コマ54−2のロックピンブロック546−2は第1コマ53−1のピンホールブロック536−1に衝突し、第1コマ53−1のピンホールブロック536−1は前方に押され、その前方側面が第2コマ54−1のチャックブロック548−1の後方側面を押圧する。チャックブロック548−1の後方側面とピンホールブロック536−1の前方側面とは伸縮軸RA3に対して傾斜しているため、チャックブロック548−1の後方側面に対してピンホールブロック536−1の前方側面が滑り、磨耗する。
【0027】
このように、第1コマ53のピンホールブロック536の前方側面と第2コマ54のチャックブロック548の後方側面との間の接合強度は他の接触面のそれよりも高く、単位面積当たりにかかる応力が高く、従って他の接触面に比べて磨耗の進行が早い。第2コマ54のチャックブロック548の後方側面に磨耗防止パッド550を装着することは、第1、第2コマ53,54の接触面の磨耗を最も効果的に軽減する。具体的には、第2コマ54のチャックブロック548の後方側面に磨耗防止パッド550は、第2コマ54のチャックブロック548の後方側面の磨耗を防止し、第1コマ53のピンホールブロック536の前方側面の磨耗を軽減する。また、磨耗防止パッド550は、第1コマ53に対して第2コマ54が衝突する衝撃を緩和し、他の接触面の磨耗も軽減する。さらに、磨耗防止パッド550は、滑り止めとして機能し、第1、第2コマ53,54の接触面に発生する滑り磨耗を軽減する。
【0028】
なお、磨耗防止パッド550の装着位置は、これに限定されない。例えば、磨耗防止パッド550は、第1コマ53のピンホールブロック536の前方側面に装着されてもよい。この場合、磨耗防止パッド550を第2コマ54のチャックブロック548の後方側面に装着したときと同等の効果を得られる。また、ロック機構は、第1コマ53のピンホール537に第2コマ54のロックピン547を挿入した状態で維持できれば、第1、第2コマ53,54が接合した状態で、チャックブロック548の後方側面とピンホールブロック536の前方側面とが接触していなくてもよい。そのため、磨耗防止パッド550を、第2コマ54のチャックブロック548の後方側面又は第1コマ53のピンホールブロック536の前方側面に装着することは、他の接触面に磨耗防止パッド550が装着される場合に比べてコマ外形に影響はなく、磨耗防止パッド550が磨耗したときのアーム部5の性能低下も小さい。もちろん、磨耗防止パッド550は、チャックブロック548の後方側面とピンホールブロック536の前方側面と以外の第1、第2コマ53,54の接触面に装着されてもよい。
【0029】
また、第1、第2コマ53,54の磨耗を軽減するために、第1コマ53の接触面と第2コマ54の接触面とのうち、少なくとも一方の接触面の少なくとも一部分に、磨耗防止剤、典型的には樹脂コーティング剤、好ましくはフッ素を主成分とする樹脂コーティング剤、例えばハナール(登録商標)がコーティングされていてもよい。図10は、磨耗防止剤553による被膜部分を示す図である。図10に示すように、例えば、第2コマ54の接触面の全面に樹脂コーティング剤553をコーティングしてもよい。
【0030】
また第1コマ53の接触面と第2コマ54の接触面とのうち少なくとも一方に複数の先鋭突起が形成されて、それら先鋭突起の先端(接触点)において互いに接触するようにしてもよく、その場合、少なくとも一つの先鋭突起の先端に微小な摩耗防止パッドが装着され、又はコーティング剤がコーティングされていてもよい。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0032】
54…第2コマ、540…側板、541…底板、542…支持ブロック、543…軸受ブロック、544,545…軸孔、546…ロックピンブロック、547…ロックピン、548…チャックブロック、550…磨耗防止パッド。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10