(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例)
本例は、図柄を変動表示する機能を備えたパチンコ遊技機1に関する例である。この内容について、
図1〜
図6を用いて説明する。
【0009】
図1に例示のパチンコ遊技機1は、パチンコ玉を遊技媒体として遊技される遊技機である。このパチンコ遊技機1は、特図始動入賞口12への入賞に応じて大当たり抽選を実行し、抽選結果を表す図柄変動を実行する、いわゆるセブン機である。パチンコ遊技機1では、大当たり状態以外の遊技状態として、遊技者側の有利度合いが低い通常状態のほか、大当たり抽選の当選確率が高くなる確変状態等が設定されている。大当たりとしては、通常の大当たりのほか、大当たり抽選の当選確率が高くなる確変状態を伴う確変大当たりが設定されている。
【0010】
パチンコ遊技機1は、図示しない台枠に取り付けられた開閉扉13を有し、その内側の遊技盤面に略円形状の遊技領域130が形成されている。遊技領域130の左下には、スピーカ131が配置され、遊技領域130の下側には玉供給皿135及び下皿137が上下2段で設けられている。玉供給皿135の右下には、さらに、玉供給皿135の玉を遊技領域130に向けて発射するための操作ハンドル15が立設されている。
【0011】
開閉扉13は、パチンコ遊技機1に対面して左側に位置するヒンジ133を介して回動可能な状態で台枠に固定されている。開閉扉13には、遊技領域130に対応する略円形状の透明窓139と、透明窓139の上部両側に配置された装飾ランプ部132と、が設けられている。
【0012】
玉供給皿135は、入賞に応じて払い出された賞球や、貸玉等を受け入れるための受け皿である。玉供給皿135の玉は、図示しない供給通路を経由して発射装置341(
図2を参照。)に供給される。
下皿137は、玉供給皿135の収容限度を超える玉等を受け入れる皿である。
【0013】
遊技領域130は、遊技媒体であるパチンコ玉が流下する領域である。遊技領域130には、図柄を変動表示する演出用表示部5を中心として、特図始動入賞口12、通過ゲート14、大入賞装置16等が配置されている。遊技領域130の最下部には、入賞することなく流下した玉を回収するためのアウト孔138が開口している。遊技領域130の左側縁部には、7セグメントよりなる特図表示部182及び普図表示部183が配置されている。
【0014】
通過ゲート14は、通過玉を検知するゲートである。玉を通過させるのみの通過ゲート14には、賞球の払い出しが設定されていない。通過ゲート14は、普図抽選の契機となる入賞口である。通過ゲート14に玉が入賞すると、普通図柄の当否判定(以下、普図判定という。)用の抽選用乱数が抽出されて普図抽選が実行される。なお、普図抽選の当選確率は、通常状態では1/30、確変状態及び時短状態では1/1となっている。
普図表示部183は、普図抽選の当否を表示するための表示部である。
【0015】
特図表示部182は、大当たり抽選の結果を示す図柄を表示する表示部である。ただし、特図表示部182が表示する図柄は、遊技機内部の制御情報を表す記号的な図柄であり、一般的な遊技者にとっては大当たり抽選の結果の把握が困難である。遊技者向けの大当たり抽選の結果報知は、演出用表示部5による演出用の図柄によって行われる。
【0016】
特図始動入賞口12は、大当たり抽選の契機となる入賞口(払出3玉)である。特図始動入賞口12に玉が入賞すると、大当たり抽選の抽選用乱数が抽出され大当たり抽選が実行される。特図始動入賞口12は、一対の可動羽根121を開口部120に設けた電チュー(電動チューリップ)により構成されている。
【0017】
通常時の一対の可動羽根121は、隙間を空けて相互に対面するように起立する状態(
図1中、点線で示す状態。)にある。この状態では、上方に向けて開口する玉1個分の隙間を介してのみ玉が入賞する可能性がある。一方、相互に離隔するように回動した一対の可動羽根121(同図中、実線で示す状態。)は、開口部120への玉の流入をガイドする受け皿のように作用する。このような開放状態では、特図始動入賞口12への入賞が容易に発生する。特図始動入賞口12の開放時間は、通常状態では0.2秒、確変状態では1.5秒×3回となっている。
【0018】
大入賞装置16は、大入賞口160を開口する、いわゆるアタッカーと呼ばれる可変入賞装置である。このアタッカー16は、特図始動入賞口12の下側に配置されている。アタッカー16は、横長略矩形状を呈する大入賞口160と、この大入賞口160を封止する蓋部材161と、を有している。
【0019】
平常時のアタッカー16は、遊技領域130をなす盤面と略面一をなすように蓋部材161が位置し、大入賞口160が閉鎖状態となっている。蓋部材161が手前側に回動すると大入賞口160が開放状態となり、大入賞口160に玉を導くための受け皿として蓋部材161が機能する。なお、大入賞口160に入賞したときの払出は15玉となっている。
【0020】
演出用表示部5は、大当たり抽選の結果に応じて所定の図柄を表示する図柄表示手段を構成する表示部である。演出用表示部5は、大当たり抽選の結果を一般的な遊技者に判り易く演出用図柄によって報知する。演出用表示部5は、演出用図柄としての8桁の数字図柄を表示可能である。各桁の数字図柄の種類は、「0〜9」の各図柄に「.」(小数点)を加えた11種類である。
【0021】
特に、本例の演出用表示部5は、例えば1960年代〜70年代に表示器として良く利用された冷陰極放電管の一種であるニキシー管を模したものとなっている。ニキシー管とは、数字や文字の形状をなす複数種類の陰極のうちのいずれかに選択的に電圧を印加することで、その陰極を覆うように赤橙色で発光するグロー放電により特定の数字や文字等を表示する表示器である。なお、ニキシー管は、1970年代以降の7セグメント表示器の普及により衰退し、1990年代にはすべての主要メーカで製造が終了となっている。ニキシー管を模した演出用表示部5によれば、現在では入手が難しいニキシー管を用いることなく同様のレトロ感のある演出が可能となる。なお、演出用表示部5の具体的な構成及び動作については後で詳しく説明する。
【0022】
パチンコ遊技機1は、大当たり当選が発生したとき、予め定められた演出用の大当たり図柄(例えば8桁数字のゾロ目)を演出用表示部5に停止表示させてその当選を報知し、大当たり状態を発生させる。なお、大当たり状態の終了後に大当たり当選確率が高くなる確変状態が発生する確変割合については、大当たり状態発生時の50%に設定されている。確変大当たり状態が当選した場合には確変大当たりの大当たり図柄(例えば8桁の奇数のゾロ目)が停止表示され、確変状態が後続しない通常の大当たり状態が当選した場合には通常大当たりの大当たり図柄(例えば8桁の偶数のゾロ目)が停止表示される。
【0023】
次に、パチンコ遊技機1の電気的な構成について、
図2を用いて説明する。パチンコ遊技機1は、主制御回路が形成された主制御部20を中心として構成されている。主制御部20に対しては、玉の払出を制御する払出制御部33、玉の打込を制御する発射制御部34、遊技演出を制御する演出制御部35、演出用表示部5を制御する表示制御部36、入賞玉あるいは通過玉の検出センサ312〜314、特図始動入賞口(電チュー)12を開放する電チューソレノイド322、アタッカー16を開放させる大入賞口ソレノイド324、及び電力供給のための電源回路部328等が電気的に接続されている。
【0024】
入賞玉あるいは通過玉の検出センサとしては、特図始動入賞口12への入賞玉を検出する特図始動センサ313、通過ゲート14の通過玉を検出する普図始動センサ312、及びアタッカー16への入賞玉を検出する大入賞センサ314がある。
【0025】
演出制御部35には、アンプ133及びスピーカ131や装飾ランプ部132が電気的に接続されているほか、表示制御部36が通信可能に接続されている。表示制御部36は、大当たり抽選の結果に応じて所定の図柄を表示する図柄表示手段を構成している。
払出制御部33は、入賞が発生したとき、主制御部20から指示信号を受けて払出機構部331を制御し、所定数の玉の払出を実行させる。
発射制御部34は、操作ハンドル15の操作角度に応じて発射装置341を制御することで、玉の打ち出し強さをコントロールする。
【0026】
主制御部20は、
図2に示すごとく、CPU(Central Processing Unit)28、記憶素子であるROM(Read Only Memory)29・RAM(Random Access Memory)24、所定範囲の乱数を発生する乱数発生部27、抽選用乱数を抽出する乱数抽出部26、及び入出力インタフェースをなすI/O(Input/Output)25等を備えている。
【0027】
RAM24は、
図2のごとく、CPU28のワークエリアや一時書き込みに利用される読み書き可能な記憶素子である。RAM24の記憶エリアには、大当たり抽選用の抽選用乱数を保留乱数として記憶する保留エリア等が設けられている。
【0028】
ROM29は、CPU28に実行させる各種の処理プログラムを記憶しているほか、図示しない大当たり抽選用の抽選テーブル、及び普図判定用の抽選テーブルを記憶している。
大当たり抽選用の抽選テーブルでは、通常状態及び確変状態についてそれぞれ大当たりの当選乱数が規定されている。なお、本例の各抽選テーブルでは、通常状態における大当たりの当選確率が1/300、確変状態における大当たりの当選確率が1/30となるように当選乱数が規定されている。
【0029】
主制御部20は、
図2のごとく、ROM29から読み出したプログラムをCPU28に実行させることにより、以下の各手段としての機能を実現している。
(1)抽選手段:予め定められた抽選条件が成立したときに大当たり抽選を実行する手段である。抽選条件としては特図始動入賞口12への玉の入賞が設定されており、抽選手段は、抽選条件の成立に応じて乱数抽出部26が抽出する抽選用乱数を取得することで抽選処理を実行する。
(2)記憶手段:大当たり抽選の抽選用乱数を特図保留として記憶する手段。記憶手段は、所定の上限保留数の一例である4個を限度として特図保留を記憶する。
(3)読出手段:図柄変動の終了に応じて、記憶時点が古いものから順番に特図保留を1つずつ読み出す手段。
(4)当否判定手段:読出手段が読み出した特図保留の当否(大当たり当選か否か)を判定する手段。
(5)大当たり発生手段:図柄表示手段を構成する演出用表示部5で大当たり図柄が停止表示された場合に、遊技者にとって有利な大当たり状態を発生させる手段。
【0030】
以上のように構成された本例のパチンコ遊技機1の基本動作の概要を説明する。 パチンコ遊技機1は、操作ハンドル15が右回転方向に操作されたとき、その操作角度に応じた強度で玉を発射する。発射された玉は、通過ゲート14などが配置された遊技領域130を流下する。入賞しなかった玉は、遊技領域130の最下部に設けられたアウト孔138から回収される。
【0031】
主制御部20は、通過ゲート14を通過する玉を検出したとき、乱数発生部27が発生する乱数の中から普図判定の抽選用乱数を抽出する抽選処理を実行し、普図の変動時間を決定してから普図の図柄変動を開始する。普図の変動時間は通常状態で30秒、確変状態で5秒となっている。普図の図柄変動が停止し、予め設定された当たり図柄と一致した場合には、特図始動入賞口(電チュー)12が開放される。なお、特図始動入賞口12の開放時間は、通常状態で0.3秒、確変状態で3秒となっている。
【0032】
主制御部20は、特図始動入賞口12に入賞した玉を検出すると、大当たり抽選の抽選用乱数を抽出する抽選処理を実行する。主制御部20は、演出用表示部5による図柄変動中でなければ、大当たり抽選の抽選用乱数を直ちに大当たり抽選用の抽選テーブルの当選乱数と照合し、大当たり抽選の当否等を決定する。一方、図柄変動中であれば、大当たり抽選の抽選用乱数を特図保留として一旦、保留数4個を上限として特図保留エリアに記憶する。特図保留の上限個数は4個であるので、主制御部20によって記憶される大当たり抽選の抽選用乱数の最大個数は、図柄変動中の1個と、保留乱数として記憶された4個と、の合計5個となる。なお、特図保留エリアの保留数が上限個数の4個であったときに特図始動入賞口12に玉が入賞した場合には、抽選処理が実行されず抽選用乱数が抽出されないようになっている。
【0033】
大当たり状態が発生中ではない他の遊技状態のとき、主制御部20は、図柄の変動表示が停止すると特図保留エリアの特図保留を記憶されたタイミングが古いものから順番に1つずつ読み出し、特図の変動時間を決定してから図柄変動を開始する。読み出した特図保留の抽選用乱数について、大当たり抽選の当否を決定する。
【0034】
主制御部20は、特図表示部182による特図の図柄変動が停止し、予め設定された図示しない大当たり図柄と一致した場合に大当たり状態を発生させる。このとき、特図表示部182での特図の停止に同期して、演出用図柄を変動表示する演出用表示部5にて所定の大当たり図柄が停止表示され、これにより大当たり当選の報知が行われる。なお、大当たり状態の発生中は、保留乱数があっても読出しが行われず特図表示部182による特図変動が実行されないようになっている。
【0035】
なお、上記の通り、大当たりとしては、通常の大当たりのほか、大当たり状態の終了後に確変状態が発生する確変大当たりが設定されている。通常の大当たり及び確変大当たりは、それぞれ、1/2の確率で振り分けられる。確変大当たりを契機とした大当たり状態が終了すると、確変状態(確率変動状態)へ移行し、大当たりの当選確率が通常状態の10倍となる。この確変状態は、大当たり抽選に当選するまで継続する。確変大当たりに当選すれば大当たり状態の終了後に確変状態が再度発生し、その後、通常の大当たりの当選に応じて確変状態が終了することになる。
【0036】
次に、本例のパチンコ遊技機1において特徴的な演出用表示部5の構成及び動作について
図3〜
図6を用いて説明する。
上記のように演出用表示部5は、ニキシー管を模してレトロ感を演出した表示部である。演出用表示部5は、インクジェット方式により所定の図柄(演出用図柄)が印刷された導光板51を複数枚(本例では11枚)奥行き方向に重ねて設けられた表示装置である。
【0037】
演出用表示部5は、奥行き方向に重なる導光板51を収容する筐体50を備えている。筐体50の前面側、すなわち演出用表示部5の正面側は、遊技者が見込むことができるように透明な部材により形成されている。特に、本例の演出用表示部5は横方向に並列配置された8本のニキシー管を模しており、この演出用表示部5の正面には、縦のカマボコ状の透明な樹脂カバー59が横方向に8個並列配置されている。
【0038】
導光板51は、
図4のごとく、連結部518を介して相互に連結された状態で横方向に8個並べて配置され、全体として横長矩形状の導光パネル51Pを形成している。演出用表示部5の筐体50の内部では、11枚の導光パネル51Pが奥行き方向に重ねられ、これにより、奥行き方向の11枚の導光板51の重なりが横方向に8組並列している。演出用表示部5では、導光板51が奥行き方向に複数枚(本例では11枚)重ねて設けられた各組が1本のニキシー管に相当する一の表示ユニットをなし、この一の表示ユニットが横方向に複数(本例では8個)並べて配置されている。
【0039】
11枚の導光パネル51Pは、形状仕様が共通している一方、印刷された図柄が異なっている。導光パネル51Pにおいて隣合う導光板51の間隙にはスリット519が設けられ、短冊状の導光板51の長手方向の両端に近く位置する2箇所の連結部518を介して隣合う導光板51が連結されている。2箇所の連結部518のうちの一方は、導光板51の長手方向の端部の側面と面一をなすように形成され、他方の連結部518は、導光板51の長手方向の端部よりも若干奥まって形成されている。この他方の連結部518側の導光板51の端部は、個別に半島状に張り出し、各導光板51への光の取り込みに適した導光端部511を形成している。
【0040】
各導光パネル51Pの各導光板51には、「0」〜「9」に加えて「.」(小数点)の11種類の数字図柄等のうち、同じ種類の図柄が印刷されている。例えば、ある導光パネル51Pの各導光板51には全て「1」の数字図柄が印刷され、他の導光パネル51Pの各導光板51には全て「2」の数字図柄が印刷されている。
【0041】
11枚の導光パネル51Pは、導光端部511が上側に位置する5枚の導光パネル51Pと、導光端部511が下側に位置する6枚の導光パネル51Pと、が互い違いに重ね合わせられている(
図4及び
図5参照。)。11枚の導光パネル51Pのうち遊技者側に最も近い導光パネル51Pは、導光端部511が下側に位置している。導光端部511が下側に位置する6枚の導光パネル51Pには(
図4中の左列)、遊技者側に近いものから順番に、「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「.」(小数点)の図柄が印刷されている。導光端部511が上側に位置する5枚の導光パネル51Pには(
図4中の右列)、遊技者側に近いものから順番に、「0」、「9」、「8」、「7」、「6」の図柄が印刷されている。
【0042】
図5及び
図6に示すように、奥行き方向に重なる11枚の導光パネル51Pの鉛直方向両側に当たる上下側には、電飾基板55を外側にして遮光部材53及び電飾基板55が配置されている。遮光部材53は、断面矩形状の棒状の遮光スペーサ530が所定間隔を空けて複数本、並列配置された部材である。隣り合う遮光スペーサ530がなす所定間隔の間隙、あるいは遮光スペーサ530が筐体50側の部材との間になす所定間隔の間隙は、導光パネル51Pの導光端部511を収容する溝状の支持溝539をなしている。
【0043】
導光端部511が下側に位置する導光パネル51Pが6枚であるので(
図4中の左列)、下側の遮光部材53は支持溝539を6列形成している。また、導光端部511が上側に位置する導光パネル51Pは5枚であるので(
図4中の右列)、上側の遮光部材53は支持溝539を5列形成している。遮光スペーサ530の側面のうちの電飾基板55とは反対側の側面は、導光端部511とは反対側の導光パネル51Pの面一の側面を支持するように構成されている。下側の遮光部材53の遮光スペーサ530は、導光端部511が上側に位置する導光パネル51Pの面一の側面を支持し、上側の遮光部材53の遮光スペーサ530は、導光端部511が下側に位置する導光パネル51Pの面一の側面を支持している。
【0044】
図5及び
図6の電飾基板55は、発光素子であるLED551がマトリクス状に配置された基板である。上側の遮光部材53に隣接する電飾基板55には、8行5列のマトリクス状にLED551が配置され、下側の遮光部材53に隣接する電飾基板55には、8行6列のマトリクス状にLED551が配置されている。電飾基板55の各LED551は、遮光部材53の支持溝539に沿って配列され、導光パネル51Pの各導光端部511に個別に対面している。
【0045】
上側の電飾基板55の8行5列の各LED551、及び下側の電飾基板55の8行6列の各LED551は、いずれかの導光板51に個別に対応している。いずれかのLED551を点灯させれば、そのLED551に対応する導光板51に点灯光が導かれ、その導光板51に印字された図柄が発光する。
【0046】
演出用表示部5と共に図柄表示手段を構成する表示制御部36は、導光板51の各々を点灯・消灯させることにより図柄を切り替えて表示する制御部である。表示制御部36は、演出用表示部5の上下の電飾基板55の各LED551の点灯・消灯を制御することで各桁でいずれかの導光板51を点灯させ、これにより所望の数字列を表示させる。なお、演出用表示部5の筐体50に表示制御部36を組み込み一体的に形成することも可能である。
【0047】
以上のように本例のパチンコ遊技機1の図柄表示手段である演出用表示部5では、インクジェット方式により所定の図柄が印刷された導光板51が複数枚重ねて設けられ、導光板51の各々を点灯・消灯させることにより図柄を切り替えて表示できる。この演出用表示部5を備える遊技機によれば、従来のニキシー管を思わせるレトロ感に溢れた趣向性の高い表示演出を実行可能である。また、インクジェット方式により所定の図柄を印刷した導光板51を利用すれば、ニキシー管に比べて相当安価に演出用表示部を構成できる。
【0048】
演出用表示部5では、奥行き方向に導光板51が11枚重ねて設けられ、1本のニキシー管を模した一の表示ユニットが横方向に8個並べて配置されている。この演出用表示部5によれば、最大で8桁の数字図柄を表示可能であり、多彩な演出が可能となっている。
【0049】
本例の演出用表示部5では、インクジェット方式の導光板51を採用することで、図柄を印字するための加工用の部品を共用することが可能となっている。同じ形状の導光板51を複数枚使用する場合や表示内容を変更する場合等、イニシャルコストを抑制することが可能となっている。
【0050】
例えば電鋳金型の場合、表示内容を変更するには金型となるスタンパを変える必要があり、一定のものしか作ることができないという事情がある。これに対してインクジェット方式の導光板51では、インクジェット方式の印字により導光板51の図柄や文字等を任意に変更でき、表示内容の変更が比較的容易である点で非常に有利である。そのため、インクジェット方式により印字した導光板51を利用する本例の演出用表示部5の構成は、数字に限らず数種類程度の決まった図柄や文字を表示させる表示灯として非常に有効である。なお、インクジェット方式による印字に代えて、レーザー加工による印字を採用しても良い。
【0051】
本例の演出用表示部5では、電飾基板55を上下両側に配置すると共に、電飾基板55の表面に沿って配設した遮光部材53により、導光板51間の遮光と、導光板51の支持とを両立している。遮光部材53及び電飾基板55を片側で構成する場合と比較して奥行き方向の装置寸法を抑制して遊技機への組込みが容易なコンパクトな筐体50を実現している。
【0052】
なお、遊技機への導光板の適用では、現状では演出・エフェクト用途の使用が一般的となっている。演出・エフェクト用途では、通常時には透明で見えないところに導光により図柄等を浮き上がったように見せる演出等が非常に効果的である。導光板を製作するに当たっては、通常時は透明に見えて端面から光が入ったときだけ視認できるよう、高精度の光学設計と電鋳金型による高精度な成形が必要となってくる。そのため、イニシャル費用が高額となること、また一品一様となることから使用用途が限られてしまうといった問題がある。
【0053】
一方、数字や文字等をかたどった陰極が消灯時でも目視できるニキシー管を模した本例の演出用表示部5の場合であれば、導光板51の消灯時の透明性が問題となる可能性が低く、むしろ数字が透けて見えているくらいの方がニキシー管のレトロ感を演出するという目的に合致している。
【0054】
本例の構成に代えて、あるいは加えて以下のような構成を採用することも良い。また、以下の各構成を適宜組み合わせて採用することも良い。
本例では、8桁の図柄を表示可能な演出用表示部5の各桁に対応する一の表示ユニット内に11枚の導光板51を重ねたが、導光板51の枚数は2枚以上であれば何枚でもよい。
導光板を重ねた一の表示ユニットを横方向に8個並べた構成を例示したが、横方向に並べる個数は限定されないし、1個でもよい。
【0055】
導光板51の図柄として数字を例示したが、どのような図柄でもよい。また、一の導光板に2以上の図柄を印刷してもよい。
また、演出用表示部5の各桁に対応する表示ユニットについて、奥行き方向に重ねた導光板51の枚数及び図柄の組み合わせを共通にしたが、導光板の枚数や図柄の組み合わせについては表示ユニット毎に異なっていてもよい。
【0056】
遊技機としてパチンコ遊技機を例示したが、スロットマシンであっても良い。パチンコ遊技機としては、入賞に応じて玉を払い出すタイプであっても良いし、ポイントを使用して玉を発射し入賞に応じてポイントが付与される、いわゆる封入式のパチンコ台であっても良い。スロットマシンとしては、メダルやコイン等を遊技媒体(遊技価値)として利用して遊技されるタイプであっても良いが、メダル等を使用せず遊技価値としてのポイントを使用して(賭けて)遊技でき、入賞したときにポイントが付与される、いわゆる完全クレジット式のスロットマシンであっても良い。スロットマシンの場合には、ボーナス役(ビッグボーナスやレギュラーボーナスなど)の抽選結果に応じて図柄表示手段が所定の図柄を表示することにより、ボーナス役が内部当選していることを遊技者に報知する。
【0057】
以上、実施形態を参照して本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。