特許第6573493号(P6573493)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社希少糖生産技術研究所の特許一覧

<>
  • 特許6573493-ズイナせんべい 図000002
  • 特許6573493-ズイナせんべい 図000003
  • 特許6573493-ズイナせんべい 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6573493
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】ズイナせんべい
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/10 20160101AFI20190902BHJP
   A23G 3/34 20060101ALI20190902BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20190902BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   A23L33/10
   A23G3/34 102
   A61K36/185
   A61P3/10
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-135459(P2015-135459)
(22)【出願日】2015年7月6日
(65)【公開番号】特開2017-12131(P2017-12131A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年7月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】506388060
【氏名又は名称】株式会社希少糖生産技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(72)【発明者】
【氏名】何森 健
(72)【発明者】
【氏名】高岡 晴造
【審査官】 山本 匡子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−097521(JP,A)
【文献】 特開昭60−232059(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/175119(WO,A1)
【文献】 特開2007−244311(JP,A)
【文献】 特許第5171249(JP,B2)
【文献】 国際公開第2006/101118(WO,A1)
【文献】 特開2016−154463(JP,A)
【文献】 特開平06−041489(JP,A)
【文献】 特開平11−032662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A23G
A21D
A61K 36/00−9068
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
FSTA/WPIDS(STN)
日経テレコン
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デンプンせんべいにおいて、植物体ズイナの一部分を組織培養した苗木サイズのズイナを培地から取り出し水で洗浄した生ものを用いて押し花せんべいにしたズイナせんべいにおいて、デンプンせんべいに、配合したD−プシコースおよびズイナ植物に含まれるD−プシコースが合わせて5重量%以上の量で含まれるようにD−プシコースおよびズイナ植物を添加することを特徴とするズイナせんべい。
【請求項2】
ズイナの根、茎、葉全てをそのままの姿を押し花せんべいにした、請求項1に記載のズイナせんべい。
【請求項3】
デンプンせんべいが、D−プシコースを配合した生地を用いる、請求項1または2に記載のズイナせんべい。
【請求項4】
デンプンせんべいが、馬鈴薯デンプンを主原料とする生地を用いる、請求項1、2または3に記載のズイナせんべい。
【請求項5】
馬鈴薯デンプンがワキシーポテトデンプンである、請求項4に記載のズイナせんべい。
【請求項6】
1枚のせんべいにD−プシコースを150mg以上含む、食物および飲料により摂取した消化性糖を構成するD−グルコースによる急激な血糖値上昇を抑制し、かつ、一日を通じて血漿グルコース濃度の異常な上昇を抑制するためにD−プシコースの一定量を継続して摂取させるためのズイナせんべいである、請求項1ないしのいずれかに記載のズイナせんべい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物由来の希少糖を含む植物、特にズイナを「ズイナせんべい」などの適度な硬さとサクサクした食感を有して口溶けの良いデンプンせんべいの形態の健康食品として提供することに関する。
【背景技術】
【0002】
希少糖D−プシコースを含む植物はズイナ属のみである(非特許文献1)。ズイナ属の植物は、自然界にあって希少糖と称される生理活性作用を有するD−プシコースとアリトールをその植物体内で生産し含有している唯一の植物であり、観賞用、生花用あるいは生食用にと利用されている。近年、生理活性作用を有する希少糖を含有するズイナ植物体を大量にしかも簡便に栽培する技術が開発された。ズイナの幼木から茎部を含むズイナ植物体、あるいは、ズイナの第2−5葉が展開した幼苗から茎頂部あるいは茎部を含むズイナ植物体を切断する工程、切断したズイナ植物体をそのまま、あるいは葉を取り去りそのまま植物培養培地に置くだけあるいは挿し木のように突きさし、これを培養して発根させる工程、発根したズイナ植物体をプラグトレーの培地または培養土に移植してプラグ苗の形態で出荷できるまで生育させる工程を備えていることを特徴とする、ズイナ苗の製造方法により提供される(特許文献1)。
【0003】
予防医学知識の普及にともない病気にかかる前の健康又は半健康の状態で予防的に生理活性を有する天然由来の食品を摂取して、健康を保持しようとする試みが行われており、天然素材が健康食品としても種々上市されている。そのなかに抗糖尿病効果を標榜したものも多数認められるが、具体的に効果が証明されたものがほとんどないのが実情である。本発明者らの知る限り、希少糖については本来の食品に加えることのできる無害な天然物で、嗜好に影響を与えず、しかも安全な天然物そのものを有する飲食物の開発はまだされていない。すなわち、天然物からの抽出物に該当しない植物体そのものが血糖値、体重増加、および内臓脂肪蓄積の一以上を改善する特徴的な生理活性を有することを検証した報告は未だなされていない。
血糖値、体重増加、および内臓脂肪蓄積の一以上を改善する特徴的な生理活性に優れ、かつ安全な天然物そのものに対する強い社会的要請があるところ、ズイナの葉、茎などの植物体には、生理活性を有する希少糖が含まれていること、希少糖が血糖値、体重増加、および内臓脂肪蓄積の一以上を改善する特徴的な生理活性物質であることに基づき、これらの植物体の健康食品、補助食品などのサプリメントの提供により健康増進を推進しようとする試みがすでに開始された(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−097521号公報
【特許文献2】特願2015−33231号
【特許文献3】特許第5645183号号公報
【特許文献4】特許第5171249号号公報
【特許文献5】特許4326161号公報
【特許文献6】特許第4663559号号公報
【特許文献7】特許第5715046号号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】日本生物工学会大会講演要旨集 平成19年度, 108, 2007-08-02
【非特許文献2】応用糖質科学第5巻第1号44−49(2015)
【非特許文献2】Phytochemistry 48 (2): 241-248.
【非特許文献3】Biosci. Biotechnol. Biochem. 2006, 70 (9), 2081-2085.
【非特許文献4】Life Sci.2007, 81 (7), 592-599.
【非特許文献5】日本栄養・食糧学会誌 Vol.59 (2006) No.2 P119-121
【非特許文献6】日本食品科学工学会誌 Vol.57 (2010) No.6 P263-267
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2においては、(1)天然物である植物体そのものからなる安定性が高く、副作用が少ない血糖値、体重増加、および内臓脂肪蓄積の一以上を改善する特徴的な生理活性物質を提供すること、および(2)天然物である植物体の育成に希少糖含有量が増加する育成方法を見いだし、希少糖含有量を増加させた植物体を提供することが提案されている。
ところで、D−プシコースは食事とともに摂取させる場合でも肥満状態を改善する機能(特許文献3)、食物および飲料により摂取した消化性糖を構成するD−グルコースによる急激な血糖値上昇を抑制し、かつ、一日を通じて血漿グルコース濃度の異常な上昇を抑制する機能(特許文献4)を有することが知られており、それはD−プシコースを摂取させるには消化性糖を構成する食品の形態でもよいことを示している。
【0007】
本発明者らは、上記のようなD−プシコースを摂取させるための消化性糖を構成する食品として、デンプンせんべいが適切であると考えついた。デンプンせんべいには馬鈴薯デンプンが主に利用されており、馬鈴薯デンプン特有の膨化・糊化物性による適度な硬さと一定以上の力を加えるとパリッと割れるような食感を示すことが知られている。デンプンせんべいの製造方法に関して、特許文献5には、分級馬鈴薯デンプンの小粒子区分を利用して、膨化性、食感、口溶け、形状に優れたデンプンせんべいを製造する方法が、特許文献6には、馬鈴薯デンプンにワキシーポテトデンプン及び/又は加工ワキシーポテトデンプンを含有させることで、製品形状のムラ、不安定な糊化を改良したデンプンせんべいを製造する方法が記載されている。
【0008】
そこで、本発明は、ズイナ植物体を用いたせんべいの形態の健康食品、場合によっては希少糖含有量を増加させた植物体を用いて、これらの植物体の健康食品を提供することを目的とする。より具体的には、本発明は、決まった枚数を食するだけで、血漿グルコース濃度の日内異常上昇を抑制することに寄与するズイナせんべいを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の(1)なし()のズイナせんべいを要旨としている。
(1)デンプンせんべいにおいて、植物体ズイナの一部分を組織培養した苗木サイズのズイナを培地から取り出し水で洗浄した生ものを用いて押し花せんべいにしたズイナせんべいにおいて、デンプンせんべいに、配合したD−プシコースおよびズイナ植物に含まれるD−プシコースが合わせて5重量%以上の量で含まれるようにD−プシコースおよびズイナ植物を添加することを特徴とするズイナせんべい。
(2)ズイナの根、茎、葉全てをそのままの姿を押し花せんべいにした、上記(1)に記載のズイナせんべい。(3)デンプンせんべいが、D−プシコースを配合した生地を用いる、上記(1)または(2)に記載のズイナせんべい。
(4)デンプンせんべいが、馬鈴薯デンプンを主原料とする生地を用いる、上記(1)、(2)または(3)に記載のズイナせんべい。
(5)馬鈴薯デンプンがワキシーポテトデンプンである、上記(4)に記載のズイナせんべい。
【0010】
(6)1枚のせんべいにD−プシコースを150mg以上含む、食物および飲料により摂取した消化性糖を構成するD−グルコースによる急激な血糖値上昇を抑制し、かつ、一日を通じて血漿グルコース濃度の異常な上昇を抑制するためにD−プシコースの一定量を継続して摂取させるためのズイナせんべいである、上記(1)ないし()のいずれかに記載のズイナせんべい。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、ズイナ植物体を用いたせんべいの形態の健康食品、場合によっては希少糖含有量を増加させた植物体を用いて、これらの植物体の健康食品を提供することができる。より具体的には、本発明により、一定の枚数を食するだけで、日常の血糖値を低く抑え、異常上昇を抑えることに寄与するズイナせんべいを提供することができる。
【0012】
ズイナの葉、茎、根などの植物体には、生理活性を有する希少糖が含まれていることが知られており、希少糖を含有する食品および健康食品を提供するにあたり、希少糖を含有するその根、茎、葉の全てをそのままの姿の植物体の形態で利用することができた。また、希少糖含有量を増加させるため、少なくともD−プシコースを含有する甘味料を添加する、あるいは植物体の希少糖含有量を増加させる処理法により得られた植物体を用いた。ズイナの根、茎、葉などの植物体には、生理活性を有する希少糖が含まれていること、希少糖が血糖値、体重増加、および内臓脂肪蓄積の一以上を改善する特徴的な生理活性物質であることに基づき、これらの植物体の健康食品、補助食品などのサプリメントの提供により健康増進を推進することができる。
天然物である植物体そのものからなる安定性が高く、副作用が少ない血糖値、体重増加、および内臓脂肪蓄積の一以上を改善する特徴的な生理活性物質を提供することができる。
【0013】
植物体を長期保存や利用の簡便さを目的とした加工処理方法として、自然乾燥、乾燥剤による乾燥、凍結乾燥などが知られているが、本発明ではズイナの植物体内に含有される希少糖をせんべいに入れることで、せんべいを健康食品としたものである。また、自然界から採取した植物体からなるため自然に優しくまた人体に優しい健康食品とすることができる。さらにまた、植物体の希少糖含有量を増加させる処理法を見いだしたことは、根、茎、葉全てを利用することとからみて、その意義は大きい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】焼き上がったズイナせんべいの写真を示す。
図2】焼き上がったズイナせんべいの写真を示す。
図3】焼き上がったズイナせんべいの写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のデンプンせんべいは、植物体ズイナに含まれる希少糖D−プシコースおよび甘味料としての希少糖D−プシコースの機能を利用するものである。
[希少糖]希少糖とは、自然界に微量にしか存在しない単糖および糖アルコールと定義づけられる。六炭糖(ヘキソース)については、アルドースの場合はL-アロース、L-グロース、L-グルコース、L-ガラクトース、L-アルトロース、L-イドース、L-マンノース、L-タロース、D-タロース、D-マンノース、D-イドース、D-アルトロース、D-ガラクトース、D-グルコース、D-グロース、D-アロースの16種類、ケトースの場合はL-プシコース、L-ソルボース、L-フルクトース、L-タガトース、D-タガトース、D-フルクトース、D-ソルボース、D-プシコースの8種類が存在する。例えば、D-プシコースあるいはD−アロースがヒトに対する毒性を有するとの報告はなく、動物に対する毒性は低いと考えられる。
希少糖で、D-プシコースを得る方法は、現在のところ、フラクトースを酵素(エピメラーゼ)処理して得られる製法が一般的である。また、希少糖シロップ、異性化糖を原料として塩基性イオン交換樹脂、アルカリ、およびカルシウム塩からなる群から選ばれる一種以上が存在する系で処理する手法(特許文献7)により得られる。主にD−プシコース及びD−アロースが含まれるように製造されるが、D−プシコース0.5〜17質量%、D−アロース0.2〜10質量%および未同定の他の希少糖も含まれる。こうして製造された希少糖シロップ(商品名:レアシュガースウィート)は、ぶどう糖や果糖を主成分としD−プシコース5.4g/100g、ソルボース5.3g/100g、タガトース2.0g/100g、アロース1.4g/100g、マンノース4.3なが含まれている(非特許文献2)。現在、D−プシコースなどの希少糖は、酵素法、アルカリ法などを利用して製造することができるが、ズイナの葉などの植物体内にも含有されていることが判明している。
【0016】
[D−プシコースの機能]D−プシコースは、多くの植物の生育を阻害することも知られている。また、インスリン分泌作用(非特許文献3)、動脈硬化を防止する作用(非特許文献4)などが知られている。砂糖の7割程度の甘味があるが、カロリーはほぼゼロである。ラットによる動物実験で「食後の血糖値上昇を緩やかにする」(非特許文献5)、「内臓脂肪の蓄積を抑える」(非特許文献6)、「動脈硬化になりにくい」(非特許文献7)といった研究結果が報告されている。
すなわち、希少糖D−プシコースは、優れた甘味剤、抗肥満剤、摂食抑制剤、インスリン抵抗性改善剤、低カロリー甘味剤としての特質を有し、低カロリーにもかかわらず、摂食抑制を引き起こすなど新たな特質を備えている。また、甘味も砂糖に近く、カロリーも低いため、低カロリー甘味剤として幅広く使用が可能である糖として注目を集めている。
【0017】
[ズイナ]ズイナはズイナ属に属する植物である。ズイナ属(ズイナ属、随菜属、学名: Itea japonica)は、ユキノシタ科の落葉低木で、約10種の灌木からなる植物の属である。その若葉をヨメナのようにゆでて食べるので、ヨメナノキとも称され、幹は高さ1〜2メートル、若枝は淡緑色、葉は互生し、卵状長楕円形で先は鋭くとがり、縁に細かい鋸歯がある。葉面には約8対の平行した側脈が目立つ。5〜6月には、枝先に長さ5〜17センチメートルの上向きの総状花序をつけ、白色の小花が多数開く。花弁は卵状披針形で5枚が直立し、咢片、雄しべともに花弁と同数、雌しべは1本で柱頭は頭状、子房は半上位である。ズイナは暖地の山中に生え、近畿地方南部、四国、九州に分布している。ズイナ属は、希少糖に含まれるD−プシコースおよびアリトールを植物体内に産生する唯一の植物であるとして知られている。我が国においては苗木としても販売されている。地方によってはズイナのことをリョウブと呼ばれる場合がある。なお、リョウブは、りょうぶ科に属する植物であり、リョウブには希少糖プシコースは含まれていない。(本発明においては、リョウブ=ズイナである。以下、この説明を省略する。)
【0018】
[ズイナの組織培養による生育]ズイナの第2−5葉が展開した幼苗、あるいは、通常のズイナの幼木の茎頂部あるいは茎部を含むズイナ植物体をそのまま、あるいは、葉を取り去りそのまま、1/2MS培地(1%ショ糖添加あるいは無添加)などの植物培養培地に置くだけあるいは挿し木のように突きさして培養することにより苗を大量に増殖する栽培法を採用した。
【0019】
[継代培養によるズイナの苗の生育]ズイナの苗を量産するには、植物体の一部分を取り出して、試験管の中などで無菌的に培養する組織培養によることができる。例えば、茎の先端にある生長点付近の細胞を培養することにより簡便に大量の苗を生産することができる。例えば、第2−5葉が展開した幼苗の茎頂部を含む植物体(約5−10 mm程度)を切り取り、1/2MS培地に挿し木のように突きさして、あるいは茎だけを置くだけで培養する。茎頂部を切断した植物体の下部(根と、子葉あるいは第一葉を含む植物)からは、複数の脇芽が観察された。茎頂の切断により脇芽形成が起こることから、簡単に生長点を得ることができる。葉がついていない茎だけの場合培地に置くだけで全てからの均質な幼葉が観察される。なお、ズイナは、登録商標「希少糖の木」と命名され苗が販売されている。
【0020】
1/2MS培地に3μM,5μM,10μM のインドール酪酸(IBA)添加した培地、および無添加の培地を用意し、これに挿し木したところ、概ね10日間で、IBA3−10μM添加のいずれの培地でも発根が誘導された。しかしながら、無添加培地で一番早く根が形成され、根の生長も良好であったことから、植物ホルモン(IBAなど)は特に必要はないものと考えられる。
継代培養については、茎頂部の挿し木、茎部の挿し木(茎頂部を含まない)のいずれでも良く、1/2MS培地(1%ショ糖を含む)に移植後、概ね10日以内に発根する。葉がついていない茎だけの場合、培地に置くだけで30日後に全てからの均質な幼葉およびが一部に発根が観察される。
【0021】
[希少糖含有量を増加させるズイナの育成方法(前処理法)]
[準備物]
ズイナ(継代後2−4weeksのもの)
24穴プレート
各種濃度の試薬(例:100mg/l GA (小量のエタノールで溶解後、ミリQ水でメスアップ)
ピンセット
パラフィルム
キムワイプ
[方法]
(1)試薬(例:ジベレリン酸(GA)の場合100μg/l、 1μg/l、10μg/l1、50μg/l、100mg/l)を各濃度に振り(pH=5.7±0.1)、24穴プレートのwellに2mlずつ入れていった。コントロールはミリQ水を用い、各wellの間には1mlずつのミリQ水を入れた。フタをして、パラフィルムを巻き、1晩28℃のチャンバー内に入れた。
(2)ズイナは処理する前に培養容器タッパーのフタを開けた状態で15分間静置した。その後ピンセットで丁寧にズイナを培地から引き抜き、水洗いで根に付いた培地を取り除いた。
(3)水洗いで根に付いた培地を取り除いたズイナは、キムワイプで水分をとり全長を撮影後、測定した。
(4)測定後、各wellにズイナを入れていく。
(5)プレートを水の張ったタッパー内に入れフタをし、28℃下で培養する。
(6)2日ごとに新しいプレートに変更し、その際全長を測る。
(7)10日目まで測定し、11日目に重量を測定した後、凍結保存する。
[結果]
ズイナはジベレリンによる促進効果が認められた。この結果は多くのズイナを得るためにはこの処理は効果的であることを示している。
【0022】
[各種処理によるプシコースの生産量の変化]
ついで同様の条件下で、各種前処理を行うことによって、ズイナ中のプシコースの量の変化について検討した。
[準備物]
前記の物質処理したズイナ
インスタント・ドライイースト(日仏商事)
2.0mlスクリューキャップマイクロチューブ(ザルスタット)
ステンレスビーズ(Tomy SUB−50)
50mMリン酸Buffer pH7.5(200mM NaHPOと200mM NaHPOを4:1で混合し、4倍に希釈する)
[酵母液作成]
インスタント・ドライイースト1g量り取り、10mlのリン酸Bufferで懸濁し、4000rm、2min遠心する。上清を取り除き、再度10mlのリン酸Bufferで懸濁したものを酵母液とする。
[サンプル準備]
(1)液体窒素で凍結させた物質処理後11日目のサンプルの重量を測定し、記録する。
(2)ステンレスビーズ(Tomy SUB−50)が2個入った2.0mlスクリューキャップマイクロチューブ(ザルスタット)に凍結したズイナを上下逆にして入れ、液体窒素でチューブごと凍結させる。
(3)Micro Smash MS−100 (Tomy)を用い3000rpm、1minで破砕する。
(4)500μlの水を加え、十分懸濁し、4℃の遠心機でフルスピード10min遠心する。
(5)上清を1.5mlチューブに移し、その内250μlを酵母液250μl入った1.5mlチューブに移す。
(6)酵母液が入ったチューブは30℃、180rpm、30min浸透させる。
(7)1min遠心後、上清を回収し、その内20μlを酵母処理サンプルとして用いた。
【0023】
[システイン・カルバゾール硫酸法]
システイン・カルバゾール硫酸法(シスカバ)はカルバゾール-硫酸法の改良法としてZ.Dische & E.Borenfreund(1951)によって報告された手法で、ケト糖に対して強い特異性を示して、赤紫色を与える。この方法を便宜上「シスカバ」と表記した。
[試薬]
1.70%硫酸
2.Cysteine試薬(1.5%Cysteine−塩酸水溶液、使用時に調整する。)
3.Carbazole試薬(0.12%Carbazole100%アルコール液、使用時に調整する。)
[操作]
1サイクル(24穴プレート)必要量
(1)L−Cysteine塩酸塩一水和物150mgにミリQ 10mlに溶かす
(2)Carbazole 12μgを100%エタノール10mlに溶かす。
(3)HSO14mlにミリQ 6mlを加える。
(4)20μlのサンプルを1.5ml各ウェルに入れる。
(5)20μl Cysteine溶液を各ウェルに加える。
(6)室温で1分反応させる。
(7)600μl 70%HSOを各ウェルに加える。
(8)20μl Carbazole溶液を各ウェルに加える。
(9)室温で20分間静置する→溶液が変色していく。
(10)吸光度計で吸光度(540nm)を測定する。
【0024】
[各種前処理によるズイナ中のプシコースの量のまとめ]
各種の処理を行うことでズイナ中のプシコース量は大きく変動することが明らかとなった。前処理することで減少するもの、逆に増大するものが存在する。特に前処理を行うことで、ズイナ中のプシコースが増大できることは利用価値が非常に大きい。
プシコースの含有量の増大は、ズイナの商品価値を大きく上げることになることである。また、新たな商品としての価値を作り出すと同時に、このメカニズムを明らかにすることによってズイナの代謝研究への大きな示唆を与えてくれている。
【0025】
[ズイナのD−プシコース含有量]ズイナの成木から葉を50g採取して、液体窒素に投入して急速凍結させ、凍結乾燥機を用いて乾燥させた。予備凍結温度:約−40℃、乾燥時棚加熱温度:30℃、乾燥時間:約48時間の条件で行ない、乾燥後重量5.6gの乾燥品が得られた。さらに乾燥品を乳鉢と乳棒ですりつぶして、葉組織を得た。ズイナ植物体粉末中には、D-プシコース、アリトールなどの希少糖が約0.5g含有されている。本発明者らは、ズイナの葉には、希少糖のなかで、D−プシコースを生重の約5%含有することを見いだしている。本発明では、これらの植物物体に含有されている希少糖を利用することを目的として、ズイナの葉、芽、茎、根などを含めた植物体全体を用いることで希少糖を含有する植物を利用するものである。継代培養(48day)したズイナをピンセットで根ごと抜き、寒天はできる限り取り除いたシャーレ1枚あたりズイナ生重1〜1.5gであり、シャーレ35枚から生重50gを集めることができる。ズイナ生重1〜1.5gの5%D-プシコースは50〜75mgD-プシコースに相当する。
食品は90%近く水分であるので、腐敗に対して最大の注意が必要となる。例えば凍結乾燥は最終の乾燥度が他の乾燥方法と比べて格段に良いので、保存食品の製造に利用されている。また、乾燥後の食品は水分が除去された分だけ重量が減るので、運搬にも適している。ズイナせんべいもズイナの植物体の有する機能的成分をできるだけ損なうことなく、ズイナの植物体からズイナの植物体の乾燥品を製造する態様である。
希少糖の生理活性には、乏しいインスリンの節約、インスリン感受性の改善、および高血糖の是正が求められる疾患、血漿グルコース濃度(血糖値)の日内異常上昇抑制により症状が改善される、あるいは発病が予防効果を有することから、例えば、糖尿病、潜在的糖尿病状態、肥満症、高脂血症、動脈硬化症などの予防および治療に有用とされる食品および健康飲食品を提供することができる。前処理を行うことで、ズイナ中のプシコースが増大できることは利用価値が非常に大きい。
【0026】
用いたズイナはシャーレに約1〜2ヶ月組織培養してものを寒天培地から取り出し、培地その他を水で洗浄することで取り除いたものをお用いた。根、茎、葉全てをそのままの姿として用いることが可能である。
今回は甘いせんべいとしてD−プシコースを入れたものを作成し甘さを出したものである。塩の添加で塩味、瀬戸内海の特産のいりこだしを用いたいりこ味、その他色々の味と色のせんべいを作ることが可能である。
生のズイナを長期保存は困難であるが、このような形態とすることにより、全体を長期保存できること。比較的簡単に製造できることなどにより、ズイナの新しい商品として利用できる。
【0027】
[デンプンせんべい]
本発明のデンプンせんべいは、馬鈴薯デンプンを主原料とし、副原料として主に希少糖、食塩、化学調味料、小エビやイカのすり身等を用い、焼成して膨化させて製造されているものを指している。デンプンせんべいの場合、主原料に馬鈴薯デンプンを用いることに特徴がある。馬鈴薯デンプンの膨化に由来する食感、口溶けに特徴があり、このためその製造法の違いは問題にはならず、副原料は所望よって選択されるものなのでこれも問題にならない。また、馬鈴薯デンプンを主原料とし、一部小麦粉や馬鈴薯デンプン以外のデンプン等を用いるものも包含する。馬鈴薯デンプンはその原料である馬鈴薯の種類や製造条件等により、粒子の大きさの分布もある程度異なるが、概ね40μm以下の粒子を50−60体積%程度含有する。馬鈴薯デンプンはワキシーポテトデンプンに変えても良いし、ワキシーポテトデンプンを混ぜてもよい。ワキシーポテトデンプンとは、アミロースの形成が抑制されるように遺伝的に変更された馬鈴薯(以下ワキシーポテトと称する。)より分離されたデンプンで、実質的にアミロースを含まず、アミロペクチンからなるデンプンを指称する。ワキシーポテトデンプンはその加工デンプンも含めて、近年、アベベ. ビー. エイ.(オランダ国)で商品化されている。本発明で用いるワキシーポテトデンプンは、ワキシーポテトから分離されたデンプンであり、場合によっては漂白処理、乾燥等の熱処理等を行ったものも含む。また、本発明では、ワキシーポテトデンプンは加工ワキシーポテトデンプンとして用いることができ、該加工ワキシーポテトデンプンとしては、エステル化、エーテル化、架橋化等の化学的処理を施したものを用いることができる。更に、該加工ワキシーポテトデンプンには、アルファ化、湿熱処理、油脂加工処理、焙焼処理等の物理的処理を施したものも用いることができ、該デンプンの一種または二種以上を混合したもの、又はこれらの処理を組み合わせたものも用いることができる。
【0028】
本発明で用いる加工ワキシーポテトデンプンとして、エーテル化デンプンは、ワキシーポテトデンプンに、プロピレンオキサイド等を反応させて製造することができる。エーテル化ワキシーポテトデンプンのDS(Degree of Substitution:置換度)は、0.15以下のエーテル化デンプンが好ましく、また、DSが0.01〜0.06のエーテル化デンプンを用いるのが特に好ましい。DSが0.15を超えるエーテル化ワキシーポテトを使用した場合、製品形状は比較的安定だが、食感がソフトになりすぎて適度な硬度を有さないデンプンせんべいになり、本発明には適さない。なお、該デンプンは適宜、公知の方法を用いて製造することができる(特表2002−534566号公報)。また、置換度に関してはJohnsonの方法(Analytical Chemistry Vol.41, No.6, 859-860, 1969)に準じて測定することができる。
【0029】
また、本発明で用いる加工ワキシーポテトデンプンとして、エステル化デンプンは、アセチル化したワキシーポテトデンプンを使うことができる。このデンプンは、ワキシーポテトデンプンを無水酢酸又は酢酸ビニルモノマーを用いて常法に従ってアセチル化したデンプンで、そのDS(置換度、デンプンのグルコース単位当たりの置換されたアセチル基の数で表す)が、0.1以下のアセチル化デンプンが好ましく、また、DSが0.01〜0.05のアセチル化デンプンを用いるのが特に好ましい。DSが0.1を超えるアセチル化したワキシーポテトデンプンを使用した場合、製品形状は比較的安定だが、食感がソフトになりすぎて適度な硬度を有さないデンプンせんべいになり、本発明には適さない。また、置換度に関しては、デンプン・関連糖質実験法(株式会社学会出版センター、1986年、発行者山田猛)第291頁に記載の方法に準じて測定することができる。
【0030】
また、本発明で用いる加工ワキシーポテトデンプンとして、架橋デンプンは、ワキシーポテトデンプンを常法に従ってメタリン酸塩やオキシ塩化リンなど常用の架橋剤を用いて軽度に架橋して得られるものである。本発明において用いられる架橋したワキシーポテトデンプンとしては、「絶乾物換算4.0重量%濃度のブラベンダーアミログラフを用いて700CMGの感度で40℃より毎分1.5℃ずつ昇温して94℃とし、更に94℃で10分間保持する条件で粘度を測定する方法」で測定した時に、[(昇温中の最高粘度)―(94℃で10分保持後の粘度)]≧0の関係になるようにしたものが好ましい。また、[(昇温中の最高粘度)―(94℃で10分保持後の粘度)]がマイナス値になるような高度に架橋したワキシーポテトデンプンを使用した場合、製品形状は比較的安定だが、製品の食感を硬化させ、適度な硬度を有さないデンプンせんべいになり、本発明には適さない。
【0031】
また、本発明において、ワキシーポテトデンプン及び/又は加工ワキシーポテトデンプンは、主原料にしてもよいし、主原料である馬鈴薯デンプン100重量部に対し、2〜150重量部含有させてもよい。その場合、ワキシーポテトデンプン及び/又は加工ワキシーポテトデンプンを10〜50重量部含有するのがより好ましい。2重量部以下では製品形状、口どけ感、製品硬度に与える効果が弱く、また、150重量部を超えると製品形状は比較的安定だが、食感がソフトなデンプンせんべいになる。
【0032】
[デンプンせんべいの焼き方]
デンプンせんべいの製造方法は従来の方法を踏襲することができる。
デンプンせんべいの製造方法としては、(イ)原料に加水、混合して水分40−45質量%程度のパサパサの生地を調製し、熱した鉄板上で焼成する。(ロ)上記(イ)で得た生地を水分18質量%前後に一次焼成し、これを更に乾燥した後にフライングする。(ハ)原料に加水、混合して水分53質量%程度の懸濁状の生地を調製し、焼成する。(ニ)上記(ハ)の生地を水分10質量%程度に焼成後、フライングする。(ホ)原料に加水、混合して水分63質量%程度の懸濁状の生地を調製し、水分35質量%程度に一旦焼成後、冷却、成形して水分10質量%程度に乾燥し、再度焼成する等の方法が採られているが、本発明はこれらの方法の何れにも適用できる。尚、味つけは所望の調味料を生地に添加して行うこともできるし、焼成後オイル掛け、シ−ズニング等によって行うこともできる。
【0033】
また、馬鈴薯デンプンの一部をタピオカデンプン、ワキシ−コンスタ−チ、甘藷デンプン等の未処理デンプン及びこれらの加工デンプンや小麦粉で置き換えて使用することも所望によってできるし、副原料として上述した以外のもの、例えば唐辛子、ワサビ等の香辛料、エビ、イカ、ウニ、カラスミ等の魚貝類、ワカメ、ヒジキ等の海藻類、エリスリトール、マルチトール、オリゴ糖、ステビア等の甘味料の他、果汁、野菜類、乳製品、肉製品、卵製品、豆加工品等も所望によって用いることができる。
【0034】
[ズイナの押し花せんべい]
本発明は、ズイナあるいはリョウブの植物体をせんべいの表面で押し花状に乾燥して付着させることにより製造された希少糖を含有する植物体に関するものであり、これらの植物体に含有される希少糖を利用しやすい形態とすることにより、健康食品として利用することができる植物体を得るものである。
(1)継代培養(48day)したズイナをピンセットで根ごと抜き、寒天はできる限り取り除いた。
(2)シャーレ1枚あたりズイナ生重1〜1.5gであり、シャーレ35枚から生重50gを集めることができる。
ズイナ生重1gには少なくとも5%に当たる50mgのD−プシコースを含んでいる。原料に105g中にD−プシコースを5g含むことは3gのせんべい1枚に4.7%のD−プシコース(約1400mg)を含むことになる。
特許文献4によると、「D−プシコースを5%添加した食餌をラットに定時に与え他場合、ラット血漿グルコース濃度は1日を通じて低く推移することが明らかになった。このことから、日常的にD−プシコースを食事に添加すると、血糖値上昇を抑制できる可能性が示された。これまでの研究で明らかにされているように、D−プシコースはエネルギー価がゼロであるために、D−プシコースにおける血漿グルコース濃度抑制が、単に糖質摂取量の低下によるものであるという疑いもある。しかしながら、D−プシコース群とD−プシコースを1/4しか摂取していないフルクトース:プシコース=3:1群で、血漿グルコース濃度の日内変動に差がないことから、単に糖質摂取量だけでは説明できない。一方、D−プシコースの血糖値上昇抑制のメカニズムも特定されたわけではなく、予想されない未知の機能が存在しているかも知れない。
血糖値の日内異常上昇抑制作用の発見は新しい成果である。これまでの血糖値の上昇を抑制するという観点ではない、日常の血糖値を低く抑え、異常上昇を抑えるということである。ただ、これは長期に投与を続けた場合に起こる現象であることは、明らかである。この現象が、どれほどの日数投与すれば現れるかに関しては、今、実験中である。さらに、投与を中止した場合以前のように「現象が起こらなくなる」かどうかの実験が必要である。
またD−プシコースを投与した最初のしばらくは体重増加が少し対照と比較して低いようであり、その後同じようになる。これは糖の吸収が抑えられたためかとも想定されるが、日内変動をこのような推移に変わるのは時間がかかることを意味しているとも想定される。」
例えば、毎日5枚以上継続して食することにより、約7000mg/日のD−プシコースを投与することができる。食物および飲料により摂取した消化性糖を構成するD−グルコースによる急激な血糖値上昇を抑制し、かつ、一日を通じて血漿グルコース濃度の異常な上昇を抑制することに寄与できることになる。なお、異常な上昇を抑制するとは一日を通じて異常な上昇を抑えるということである。
【実施例】
【0035】
「希少糖ズイナせんべい」の作り方
[原料]
ワキシーポテトスターチ 100
水 15
D−プシコース結晶(微粉砕) 5
ズイナ(細胞培養) 適量
[手法]
ワキシーポテトスターチ100部に水15部とD−プシコース5部を加えパドルミキサーで水分が均質になるように十分にミキシングする。
せんべい焼き機を240℃まで加熱し原料を約5g円形に置き、約1分間焼成し、ふたを開けてせんべい中央にズイナをトッピングし再度約3分間焼成し、取り出して放冷・乾燥させる。
[備考]
最初にズイナを原料上にセットするとせんべい内に埋没することがあり後のせとした。
ワキシーポテトスターチは、浮きがきめ細やかであるが十分なボリュームで、ワキシーコーンやワキシーライスのようなにおいが無く、味も良いために使用した。
[希少糖ズイナせんべい]
焼き上がった希少糖ズイナせんべいの写真を図1〜3に示す。希少糖ズイナせんべいを包装用透明フィルムで包装したもの卓上に置き、上方から撮った写真である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
用いたズイナはシャーレに約1〜2ヶ月組織培養してものを寒天培地から取り出し、培地その他を水で洗浄することで取り除いたものをお用いた。根、茎、葉全てをそのままの姿として用いることが可能である。
今回は甘いせんべいとしてD−プシコースを入れたものを作成し甘さを出したものである。塩の添加で塩味、瀬戸内海の特産のいりこだしを用いたいりこ味、その他色々の味と色のせんべいを作ることが可能である。
生のズイナを長期保存は困難であるが、このような形態とすることにより、全体を長期保存できること。比較的簡単に製造できることなどにより、ズイナの新しい商品として利用できる。

図1
図2
図3