(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両に搭載され、無線通信にて受信した更新プログラムにより記憶データを更新可能な複数の車載機器に対する電力供給を制御するものであって、無線通信によって取得した情報に基づいて、前記複数の車載機器のうち更新対象となる更新対象機器を判断する更新対象判断手段と、前記更新対象判断手段により更新対象機器であると判断された車載機器に対する電力供給が断たれている場合に、当該車載機器に対して電力供給を行う電力供給制御手段と、を備えるソフトウェア更新装置と、
車両バッテリと前記複数の車載機器それぞれとを接続する複数の経路と、
前記複数の経路上の少なくとも1つ以上に設けられ、オン信号を入力することで導通するリレーと、
前記ソフトウェア更新装置と、前記複数の車載機器のうち前記リレーの後段に設けられる車載機器とを接続するウェイクアップ経路と、
前記複数の車載機器のうち前記リレーの後段に設けられる車載機器から、前記リレーに対してオン信号を送信するための信号経路と、を備え、
前記電力供給制御手段は、前記更新対象判断手段により更新対象機器であると判断された車載機器に対する電力供給が断たれている場合、前記ウェイクアップ経路を介して当該車載機器を一時起動させるウェイクアップ信号を送信し、当該車載機器から前記信号経路を介してオン信号を前記リレーに送信させて前記リレーを導通状態とし、当該車載機器に対して電力供給を行う
ことを特徴とするソフトウェア更新システム。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾点が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係るソフトウェア更新システム1の概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態に係るソフトウェア更新システム1は、車両に搭載され、無線通信にて受信した更新プログラムにより記憶データを更新可能な複数の車載機器UD(例えば機器内のECU)に対して、電力の供給を制御するものである。電力供給の制御によって、通常は車載機器UDに電力が供給されていない車両駐車時等であっても、ソフトウェア更新システム1は、車載機器UDに電力を供給して記憶データの更新を行うものである。なお、記憶データの更新とは、古いデータから新しいデータへの置き換えや、古いデータに対する新しいデータの追加などである。
【0025】
このようなソフトウェア更新システム1は、車外アンテナA、ゲートウェイコンピュータGW、車両バッテリB、ソフトウェア更新装置10、バッテリセンサ20、電源分配ボックス30、及び複数の車載機器UDとから構成されている。
【0026】
車外アンテナAは、無線通信にてデータを受信する受信部である。なお、無線にて受信するデータとしては、上記の更新プログラムのデータのみならず、ソフトウェアの更新情報(例えばソフトウェアのバージョン情報や更新対象となる車載機器UDを示す情報)も含まれる。ゲートウェイコンピュータGWは、車外からの適正でないソフトウェア侵入を防ぐものである。
【0027】
車両バッテリBは、車両の各種機器に対して電力供給するものである。この車両バッテリBは、ソフトウェア更新装置10等の特定の機器に対しては常時電力供給しており、特定の機器を除く他の機器には電源分配ボックス30の制御によって電力供給したり供給を遮断したりする。
【0028】
ソフトウェア更新装置10は、無線通信にて受信した更新プログラムにより記憶データを更新する際に、更新対象となる車載機器UD(以下更新対象機器ともいう)に電力が供給されていないときには、電力を供給するように電源分配ボックス30を制御するものである。バッテリセンサ20は、車両バッテリBの電圧に応じた信号をソフトウェア更新装置10に出力するものである。
【0029】
電源分配ボックス30は、各種電源分配経路、及び機械式リレーや半導体リレー(スイッチング素子を含む)等を備えるものであり、ソフトウェア更新装置10によりリレー制御されて、複数の車載機器UDに電力供給するものである。
【0030】
図2は、
図1に示したソフトウェア更新装置10を示す機能ブロック図である。ソフトウェア更新装置10は、例えばECUによって構成され、その機能部として、更新対象判断部(更新対象判断手段)11と、電力供給制御部(電力供給制御手段)12と、低下判断部(低下判断手段)13と、充電制御部(充電制御手段)14と、動作中判断部(動作中判断手段)15と、禁止部(第2禁止手段)16とを備えている。
【0031】
更新対象判断部11は、無線通信によって取得した情報に基づいて、複数の車載機器UDのうち更新対象となる更新対象機器を判断するものである。この更新対象判断部11は、例えば無線通信によって更新対象機器を示す情報を取得し、この情報に基づいて更新対象機器の有無を判断する。なお、更新対象判断部11が上記判断を行うため、ソフトウェア更新装置10は車両に搭載される車載機器UDの全ての情報を記憶していることとなる。
【0032】
さらに、更新対象判断部11は、無線通信によって取得した情報に基づいて、更新対象機器のソフトウェア(記憶される地図データ等を含む)が最新の状態であるかを判断するものでもある。この更新対象判断部11は、例えば更新対象機器のバージョン情報に基づいて、最新の状態であるかを判断する。
【0033】
電力供給制御部12は、更新対象判断部11により更新対象機器であると判断された車載機器UDが最新の状態でなく、且つ電力供給が断たれている場合に、当該車載機器UDに対して電力供給を行うものである。この際、電力供給制御部12は、電源分配ボックス30を制御して更新対象機器に対して電力供給を行う。また、電力供給制御部12は、更新対象機器のみに対して電力供給を行うように制御してもよいし、更新対象機器を含む複数の車載機器UDに対して一括して電力供給を行うように制御してもよい。
【0034】
低下判断部13は、バッテリセンサ20からの信号に基づいて、バッテリ電圧の低下を判断するものである。この際、低下判断部13は、例えばバッテリ電圧が所定の閾値以下となった場合にバッテリ電圧が低下していると判断する。閾値は、後述する更新プログラムのダウンロード及びデータ更新の実行の処理(後述する
図4のS5及びS9)を安定的に実行できるだけの電圧とされる。
【0035】
充電制御部14は、低下判断部13によりバッテリ電圧の低下が判断された場合に、車両バッテリBの充電を促し、又は、充電できる状態(例えば非接触給電装置が設置される駐車場に駐車しているとき)であるときには車両バッテリBの充電を行うものである。充電を促す場合には、例えば通信接続されるスマートフォン等の端末に充電を促す表示を行ったり充電を促す音声を出力したりする。なお、スマートフォン等の端末を利用して充電を促す場合に限らず、自宅のテレビや駐車場に設けられる充電操作盤等の他の機器に充電を促す表示や音声が行われてもよい。
【0036】
動作中判断部15は、車両の動力源(エンジンや駆動モータ)が動作中であるかを判断するものである。動作中判断部15は、例えば不図示のエンジン回転数センサ等からの信号に基づいて動作中であるか判断する。
【0037】
禁止部(第2禁止手段)16は、動作中判断部15により車両の動力源が動作中であると判断された場合に、無線通信にて受信した更新プログラムによる記憶データの更新処理を禁止するものである。なお、更新処理を禁止する場合には、無線通信にて受信した更新プログラムのダウンロードだけは行っておき、ダウンロードした更新プログラムを記憶保持しておく。そして、動作中判断部15により車両の動力源が動作中でないと判断されたタイミングが到来すると、ダウンロードした更新プログラムにより更新処理を開始する。しかし、これに限らず、更新処理を禁止する場合には、ダウンロードした更新プログラムを破棄するようになっていてもよい。
【0038】
図3は、
図1に示したソフトウェア更新システム1の要部を示す構成図である。
図3に示すように、ソフトウェア更新システム1は、上記の構成に加えて、電源分配ボックス30の内部構成として、複数の経路Lと、複数のリレーRと、補助経路ALと、補助リレーARと、各種ヒューズFを備えている。
【0039】
複数の経路Lは、車両バッテリBと複数の車載機器UDとを接続する接続ラインである。この複数の経路Lは、車載機器UDの他、電力供給が必要となる更新の必要が無い機器Dと車両バッテリBとを接続するものとしても機能する。ここで、車載機器UDは、例えばECUやECUを内蔵するSSR(センサ)である。また、更新の必要が無い機器Dは、MTR(モータ)やILL(イルミ)などである。
【0040】
また、複数の経路L上には、各車載機器UD及び機器Dの前段に、ヒューズFが1つずつ設けられている。これにより、過電流に対する車載機器UD及び機器Dの保護が図られている。
【0041】
複数のリレーRは、複数の経路L上の少なくとも1つに設けられるリレーである。複数のリレーRは、例えば機械式リレーであるが、これに限らず、半導体式のリレー(例えばFETやトランジスタ)であってもよい。
【0042】
本実施形態では複数のリレーRとして、第1リレーR1と、第2リレーR2と、第3リレーR3とを備えている。ここで、ソフトウェア更新装置10は、ソフトウェア更新時のみならず、電源系の全体を制御する機能を有している。本実施形態において第1及び第2リレーR1,R2は、イグニッションスイッチのオン時にソフトウェア更新装置10の制御によって構成部品であるコイルC1,C2に給電され、これにより導通状態となる。また、第3リレーR3は、アクセサリスイッチのオン時にソフトウェア更新装置10の制御によってリレーR3の構成部品であるコイルC3に給電され、これにより導通状態となる。一方、各リレーR1〜R3は、イグニッションスイッチのオフ時やアクセサリスイッチのオフ時に、コイルC1〜C3に給電されることなく、遮断状態となる。
【0043】
特に、例えば車両駐車時等においては、アクセサリスイッチ及びイグニッションスイッチがオフとされ、リレーR1〜R3の後段(車両バッテリBの接続側と反対側)に設けられる車載機器UD及び機器Dに対して、電力供給が遮断される。これにより、車両駐車時等における車両バッテリBの消費電流を抑えることとなる。なお、図示からも明らかなように、複数の機器UD,Dには、車両バッテリBとの間にリレーRが介在することなく、常時電力供給されているものもある。
【0044】
また、車両バッテリBが高電圧バッテリである場合には、第2及び第3リレーR2,R3と車両バッテリBとの間にDC/DCコンバータが設けられており、例えば42V等の電圧が降圧されて12V等とされる。このため、第2及び第3リレーR2,R3の前段には、DC/DCコンバータ用のヒューズFについても設けられている。
【0045】
補助経路ALは、車両バッテリBと、複数の車載機器UDのうち、リレーRの後段に設けられる車載機器UDとを接続する経路である。
図3に示す例では、第1リレーR1の後段に第1車載機器UD1が設けられ、第2リレーR2の後段に第2車載機器UD2が設けられ、第3リレーR3の後段に第3車載機器UD3が設けられている。補助経路ALは、車両バッテリBと、これら第1〜第3車載機器UD1〜UD3とを接続している。
【0046】
なお、
図3に示す例において、リレーRの後段に設けられない車載機器UD4,UD5については、補助経路ALを介して車両バッテリBに接続されていない。しかし、これに限らず、車載機器UD4,UD5についても補助経路ALを介して車両バッテリBに接続されていてもよい。
【0047】
補助リレーARは、補助経路AL上に設けられ、リレーRのオフ時(遮断時)において、ソフトウェア更新装置10の制御によってオンされることで導通状態となり、補助経路ALを介して、リレーRの後段に設けられる車載機器UDに電力供給するものである。この補助リレーARは、通常時にオフ状態となっており、ソフトウェア更新装置10によってオンオフが制御されるようになっている。
【0048】
詳細には、ソフトウェア更新装置10の電力供給制御部12は、更新対象判断部11により更新対象機器であると判断された車載機器UDに対する電力供給が断たれている場合、補助リレーARを構成するコイルCに給電することにより、補助リレーARをオンして当該更新対象機器である車載機器UDに電力供給を行う。
【0049】
なお、
図3に示す例では、補助リレーARがオンすることにより、複数のリレーRの後段に設けられる車載機器UDの全てに対して電力供給されるが、これに限らず、補助経路ALを1つ車載機器UD毎に設け又は2以上の車載機器UDのグループ毎に設け、更新対象機器である車載機器UD毎又は更新対象機器を含むグループ毎に補助リレーARを設け、この補助リレーARをオンすることで電力供給するようになっていてもよい。
【0050】
次に、第1実施形態に係るソフトウェア更新システム1によるソフトウェア更新方法を説明する。
図4は、第1実施形態に係るソフトウェア更新システム1によるソフトウェア更新方法を示すフローチャートである。なお、
図4に示す処理は、例えばソフトウェア更新装置10が無線通信にてクラウド接続されることで実行される。
【0051】
図4に示すように、まずソフトウェア更新装置10の更新対象判断部11は、無線通信にて取得した情報(例えば更新対象機器を示す情報)に基づいて更新対象機器が車両に搭載されているかを判断する(S1)。
【0052】
更新対象機器が車両に搭載されていないと判断した場合(S1:NO)、
図4に示す処理は終了する。一方、更新対象機器が車両に搭載されていると判断した場合(S1:YES)、更新対象判断部11は、無線通信にて取得した情報(例えばバージョン情報)に基づいて、更新対象機器のソフトウェアが最新の状態であるかを判断する(S2)。
【0053】
更新対象機器のソフトウェアが最新の状態であると判断した場合(S2:YES)、
図4に示す処理は終了する。更新対象機器のソフトウェアが最新の状態でないと判断した場合(S2:NO)、低下判断部13は、バッテリ電圧が低下しているかを判断する(S3)。
【0054】
バッテリ電圧が低下していると判断した場合(S3:YES)、充電制御部14は、バッテリ充電制御を実行する(S4)。この処理において、充電制御部14は、車両バッテリBの充電を促し、又は、充電できる状態であるときには充電を行う制御を実行する。そして、処理はステップS3に移行する。
【0055】
バッテリ電圧が低下していないと判断した場合(S3:NO)、ソフトウェア更新装置10は、無線通信にて更新プログラムを受信してダウンロードする(S5)。その後、動作中判断部15は、エンジン(又は駆動モータ)がオン状態であるかを判断する(S6)。すなわち、エンジンが動作中であるかを判断する。
【0056】
エンジンがオン状態であると判断した場合(S6:YES)、禁止部16は、ダウンロードした更新プログラムによる記憶データの更新処理を禁止する(S7)。このとき、禁止部16は、エンジンがオフ状態となるまで更新処理を禁止することとなる。エンジンがオフ状態となると処理はステップS8に移行する。
【0057】
一方、エンジンがオン状態でないと判断した場合(S6:NO)、すなわちエンジンがオフ状態であると判断した場合、まず電力供給制御部12は、更新対象機器である車載機器UDに対して電力供給する(S8)。このとき、電力供給制御部12は、補助リレーARのコイルCに対して給電することにより、補助リレーARを導通状態とし、リレーRの後段の更新対象機器である車載機器UDに対して電力供給する。
【0058】
その後、ソフトウェア更新装置10は、記憶データの更新処理を実行する(S9)。そして、更新完了後、ソフトウェア更新装置10は、補助リレーARを遮断状態とし、
図4に示す処理は終了する。
【0059】
このようにして、第1実施形態に係るソフトウェア更新装置10及びソフトウェア更新システム1によれば、無線通信によって取得した情報に基づいて更新対象となる更新対象機器を判断し、更新対象機器であると判断された車載機器UDに対する電力供給が断たれている場合に当該車載機器UDに対して電力供給を行う。このため、無線にて受信した更新プログラムによる更新処理を行いたい場合には、車載機器UDに電力が供給されることから、更新対象となる車載機器UDに電力が供給されていなかったとしても、その車載機器UDに電力が供給されて更新処理が可能となる。また、車載機器UDに対して常時電力供給する必要が無いことから、バッテリ消費電流の増大を抑えることができる。従って、更新対象となる車載機器UDに電力が供給されていないタイミングにおいても更新処理を可能とし、且つ、バッテリ消費電流の増大を抑えてバッテリ上がりの可能性を低減することができる。
【0060】
また、複数の経路Lと、リレーRと、補助経路ALと、補助リレーARとを備え、更新対象機器であると判断された車載機器UDに対する電力供給が断たれている場合、補助リレーARをオンして当該車載機器UDに対して電力供給を行うため、通常時においてはリレーRをオフしておくことで、暗電流を低減でき、更新処理を行いたい場合には補助リレーARをオンして更新対象機器であると判断された車載機器UDに電力を供給することができる。
【0061】
また、バッテリ電圧の低下が判断された場合、車両バッテリBの充電を促し、又は充電を行うため、バッテリ電圧が低くなり更新処理が不安定となった状態で更新処理が行われることを防止することができる。
【0062】
また、車両の動力源が動作中であると判断された場合、無線通信にて受信した更新プログラムによる記憶データの更新処理を禁止するため、運転中のデータ更新を防止でき、例えば運転中においてナビゲーションシステムの地図データが突然更新されて案内ルートが突然変更されてしまう事態を防止することができる。
【0063】
なお、上記実施形態において、低下判断部13によりバッテリ電圧が低下していると判断された場合(S3:NO)、充電制御部14がバッテリ充電制御を実行するが(S4)、これに限らず、禁止部(禁止手段)16が更新処理を禁止するようにしてもよい。このとき、
図4に示す処理を終了させてもよいし、処理をステップS3に戻してバッテリ電圧が低下していないと判断されるまで、繰り返しステップS3の処理が実行されるようになっていてもよい。これによっても、バッテリ電圧が低くなり更新処理が不安定となるときに更新処理を禁止して、不正データが残ってしまう等の事態を防止することができるからである。
【0064】
次に、本発明に係る第2実施形態について説明する。第2実施形態に係るソフトウェア更新システムは、第1実施形態のものと同様であるが、構成が一部異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0065】
図5は、第2実施形態に係るソフトウェア更新システム1の要部を示す構成図である。
図5に示すように、第2実施形態に係るソフトウェア更新システム1は、電源分配ボックス30の内部構成として、メイン経路MLと、更新リレーURと、複数の経路Lと、複数のリレーRと、補助経路ALと、各種ヒューズFを備えている。
【0066】
メイン経路MLは、車両バッテリBから延びる経路である。更新リレーURは、メイン経路MLに接続され、第1状態(
図5に示す状態)と第2状態とで切替可能なリレー(スイッチ)である。
【0067】
複数の経路Lは、更新リレーURが第1状態であるときに車両バッテリBからの電力を複数の車載機器UDそれぞれに供給する経路である。複数のリレーRは、複数の経路L上の少なくとも1つに設けられるリレーである。
【0068】
補助経路ALは、更新リレーURが第2状態であるときに車両バッテリBからの電力を複数の車載機器UDに供給する経路である。なお、第2実施形態において補助経路ALは、全ての車載機器UDに接続されているが、これに限らず、リレーRの後段の車載機器UDのみに接続されていてもよい。
【0069】
このようなソフトウェア更新システム1においては、第1実施形態と同様のソフトウェア更新方法が実行される。このとき、
図4に示したステップS8において、電力供給制御部12は、更新対象判断部11により更新対象機器である車載機器UDに対する電力供給が断たれている場合、更新リレーURを第2状態とし更新対象機器である車載機器UDに対して電力供給を行うこととなる。
【0070】
このようにして、第2実施形態に係るソフトウェア更新装置10及びソフトウェア更新システム1によれば、第1実施形態と同様に、更新対象となる車載機器UDに電力が供給されていないタイミングにおいても更新処理を可能とし、且つ、バッテリ消費電流の増大を抑えてバッテリ上がりの可能性を低減することができる。また、バッテリ電圧が低くなり更新処理が不安定となった状態で更新処理が行われることを防止することができ、例えば運転中においてナビゲーションシステムの地図データが突然更新されて案内ルートが突然変更されてしまう事態を防止することができる。
【0071】
また、第2実施形態によれば、更新リレーURと、複数の経路Lと、リレーRと、更新リレーURが第2状態であるときに車両バッテリBからの電力を車載機器UDに供給する補助経路ALを備えるため、通常時においてはリレーRをオフしておくことで、暗電流を低減でき、更新処理を行いたい場合には更新リレーURを第2状態にして更新対象機器であると判断された車載機器UDに電力を供給することができる。
【0072】
次に、本発明に係る第3実施形態について説明する。第3実施形態に係るソフトウェア更新システムは、第1実施形態のものと同様であるが、構成が一部異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0073】
図6は、第3実施形態に係るソフトウェア更新システム1の要部を示す構成図である。
図6に示すように、第3実施形態に係るソフトウェア更新システム1は、電源分配ボックス30の内部構成として、複数の経路Lと、複数のリレーRと、ウェイクアップ経路WLと、信号経路SLと、各種ヒューズFを備えている。
【0074】
複数の経路Lは、車両バッテリBと複数の車載機器UDとを接続する接続ラインである。複数のリレーRは、複数の経路L上の少なくとも1つに設けられるリレーである。
【0075】
ウェイクアップ経路WLは、ソフトウェア更新装置10と、複数の車載機器UDのうちリレーRの後段に設けられる車載機器UD1〜UD3とを接続する経路であり、ソフトウェア更新装置10から各車載機器UD1〜UD3に対して直接1本ずつ設けられている。
【0076】
信号経路SLは、複数の車載機器UDのうちリレーRの後段に設けられる車載機器UD1〜UD3から、リレーRに対してオン信号を送信するための経路である。この信号経路SLは、車載機器UD1〜UD3から1本ずつ延びており、それぞれが各リレーR1〜R3のコイルC1〜C3の前段側に接続されている。
【0077】
このようなソフトウェア更新システム1においては、第1実施形態と同様のソフトウェア更新方法が実行される。このとき、
図4に示したステップS8において、電力供給制御部12は、更新対象判断部11により更新対象機器である車載機器UDに対する電力供給が断たれている場合、ウェイクアップ経路WLを介して当該車載機器UDを一時起動させるウェイクアップ信号を送信する。
【0078】
ウェイクアップ信号により一時起動した車載機器UDは、信号経路SLを介してオン信号をリレーRに送信する。これにより、車載機器UDは、リレーRを導通状態とし自己への電力供給を確保する。
【0079】
例えば更新対象判断部11により第2車載機器UD2が更新対象機器であると判断された場合、ソフトウェア更新装置10の電力供給制御部12は、ウェイクアップ経路WLを通じてウェイクアップ信号を送信し第2車載機器UD2を一時起動させる。これにより、第2車載機器UD2は、信号経路SLを介して第2リレーRのコイルC2に給電を行う(オン信号を送信する)。そして、第2リレーR2を導通状態とし、自己への電力供給を確保する。
【0080】
このようにして、第3実施形態に係るソフトウェア更新装置10及びソフトウェア更新システム1によれば、第1実施形態と同様に、更新対象となる車載機器UDに電力が供給されていないタイミングにおいても更新処理を可能とし、且つ、バッテリ消費電流の増大を抑えてバッテリ上がりの可能性を低減することができる。また、バッテリ電圧が低くなり更新処理が不安定となった状態で更新処理が行われることを防止することができ、例えば運転中においてナビゲーションシステムの地図データが突然更新されて案内ルートが突然変更されてしまう事態を防止することができる。
【0081】
また、第3実施形態によれば、複数の経路Lと、リレーRと、ウェイクアップ経路WLと、信号経路SLを備え、通常時においてはリレーRをオフしておくことで、暗電流を低減でき、更新処理を行いたい場合にはウェイクアップ経路WLを通じて車載機器UDを一時起動させるウェイクアップ信号を送信し、当該車載機器UDから信号経路SLを介してオン信号をリレーに送信して更新対象機器であると判断された車載機器UDに電力を供給することができる。
【0082】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、可能な範囲で適宜他の実施形態や他の技術を組み合わせてもよい。
【0083】
例えば、上記実施形態においては、
図3、
図5及び
図6に示すように、電源分配ボックス30がリレーRを複数備えているが、これに限らず、リレーRを1つだけ備えるものであってもよい。
【0084】
さらに、電源分配ボックス30の回路構成等は、
図3、
図5及び
図6に示したものに限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。