【文献】
STEVINSON B.Y.ら,SUPPORT-FREE INFILTRATION OF SELECTIVE LASER SINTERED SILICON CARBIDE PREFORMS,SOLID FREEFORM FABRICATION PROCEEDINGS,2006年,p.359-365,URL,http://edge.rit.edu/content/P10551/public/SFF/SFF%202006%20Proceedings/manuscripts/33-Stevinson.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
2回目以降の少なくともいずれかの前記構造体形成工程において、前記結合材配置工程では、先の構造体形成工程における前記結合工程で加熱された前記造孔材,前記骨材粒子,及び前記結合材の少なくとも1つに接触するように前記結合材を配置することで、該配置された結合材を加熱溶融させる、
請求項1に記載の多孔質体の製造方法。
2回目以降の少なくともいずれかの前記構造体形成工程において、前記結合材配置工程では、先の構造体形成工程における前記結合工程で加熱された前記造孔材,前記骨材粒子,及び前記結合材の少なくとも1つに接触するように前記結合材を配置することで、該配置された結合材を加熱溶融させ、前記骨材配置工程では、該結合材配置工程で加熱溶融した結合材に接触するように前記骨材粒子を配置することで、該骨材粒子を結合させる、
請求項1又は2に記載の多孔質体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の多孔質体の製造方法で製造されるハニカム構造体41を含むハニカムフィルタ40の説明図である。
図1の上段は斜視図であり、下段は断面図である。
図2は、本発明の多孔質体の製造装置の一実施形態である三次元造形装置10の説明図である。なお、本実施形態において、上下方向,左右方向及び前後方向は、
図2に示した通りとする。
【0012】
まず、
図1のハニカムフィルタ40について説明する。ハニカムフィルタ40は、ディーゼルエンジンの排ガス中の粒子状物質(パティキュレート・マター(PM))をろ過する機能を持つディーゼル・パティキュレート・フィルタ(DPF)である。このハニカムフィルタ40は、ハニカム構造体41と、出口封止材48と、入口封止材49と、を備えている。ハニカム構造体41は、内部に気孔43(
図1下段の拡大図参照)を有する多孔質の隔壁42を備えている。ハニカム構造体41は、隔壁42によって区画された多数のセル44を備えている。多数のセル44には、入口45aが開放され出口45bが出口封止材48により封止された入口開放セル45と、入口46aが入口封止材49により封止され出口46bが開放された出口開放セル46とがある。これらの入口開放セル45と出口開放セル46とは、隣接するように交互に設けられている。本実施形態では、ハニカム構造体41の外形は円柱状としたが、特にこれに限定されず、四角柱状、楕円柱状、六角柱状などの形状としてもよい。また、セル44は断面が四角形の四角柱状としたが、特にこれに限定されず、三角柱状、六角柱状、八角柱状などの多角形の形状や、円柱状、楕円柱状などの形状、又はこれらの形状の組み合わせとしてもよい。隔壁42は、骨材と結合材とを含んでおり、溶融した結合材粒子によって複数の骨材粒子が結合された状態になっている。本実施形態では、骨材として炭化珪素(SiC)が用いられ、結合材として硅素(Si)が用いられており、隔壁42はSi結合SiCセラミックスとして構成されている。隔壁42の厚さは、例えば50μm以上600μm未満である。隔壁42の平均気孔径(平均細孔径)は、例えば2μm以上60μm未満である。隔壁42は、その気孔率が30体積%以上であることが好ましく、35体積%以上であることがより好ましい。また、隔壁42は、その気孔率が85体積%以下であることが好ましく、65体積%以下であることがより好ましい。平均気孔径や気孔率は、水銀圧入法により測定した値とする。セル44のセル密度は、例えば15セル/cm
2以上65セル/cm
2未満である。なお、隔壁42のうちセル44に面する部分(隔壁面)には捕集層が配設されていてもよい。また、隔壁42の隔壁面と捕集層との少なくとも一方には、例えば貴金属などの触媒が担持されていてもよい。
【0013】
このハニカムフィルタ40は、例えば図示しないディーゼルエンジンの下流側に搭載され、PMを含む排ガスを浄化して大気へ放出するために使用される。
図1下段の矢印はこのときの排ガスの流れを示している。ディーゼルエンジンからのPMを含む排ガスは、このハニカムフィルタ40の入口45aから入口開放セル45に流入したあと、隔壁42を通過して隣接する出口開放セル46に流入し、出口開放セル46の出口46bから大気へ放出される。PMを含む排ガスは、入口開放セル45から隔壁42を通過して出口開放セル46に流入するときにPMが捕集されるため、出口開放セル46に流入した排ガスは、PMを含まないクリーンな排ガスになる。
【0014】
続いて、
図2の三次元造形装置10について説明する。三次元造形装置10は、積層造形法を用いてハニカム構造体41を製造する装置である。三次元造形装置10は、ハニカム構造体41を複数層に分割したうちの1層分の構造体を造形し、これを繰り返して立体物を上方に積層していくことで、ハニカム構造体41を造形する。この三次元造形装置10は、
図2に示すように、ヘッド移動部11と、造形ヘッド12と、造形物収容部15と、骨材供給部21と、結合材供給部25と、スキージ移動部28と、スキージ29と、制御部31と、記憶部32と、筐体35と、を備えている。筐体35は、ハニカム構造体41の製造が行われる処理空間を内部に有しており、処理空間を密閉している。筐体35には、図示しない扉が例えば全面に配設されており、製造されたハニカム構造体41の取り出しなどが可能になっている。
【0015】
ヘッド移動部11は、筐体35の内部に配設された造形ヘッド12を前後左右方向(XY方向)に移動させる機構である。このヘッド移動部
11は、筐体35の内壁面に配設されたガイドレールに導かれてY方向へ移動するY軸スライダと、Y軸スライダに配設されたガイドレールに導かれてX方向へ移動するX軸スライダと、X軸,Y軸スライダを駆動するモータとを備えている。
【0016】
造形ヘッド12は、ハニカム構造体41を製造する際に、後述する造孔材配置工程及び結合工程を行うヘッドである。造形ヘッド12は、ヘッド移動部11によりXY方向へ移動する。造形ヘッド12は、造孔材ノズル13と、レーザー放射部14とを備えている。造孔材ノズル13は、多孔質体の気孔を形成する造孔材50を造形物収容部15に配置するノズルである。造孔材ノズル13は、内部に図示しないヒータを備えている。造形ヘッド12は、内部に、線状の造孔材50が巻かれたリールと、このリールを回転させて造孔材50を巻き外す図示しないモータとを備えている。造孔材50としては、熱で溶融し且つ配置後に冷えて硬化する材料を用いることができる。また、造孔材50としては、加熱により消失する消失材を用いてもよい。このような造孔材50の具体例としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリカーボネート樹脂、又はポリ乳酸(PLA)樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられる。リールから巻き外された造孔材50を造孔材ノズル13のヒータが加熱して溶融させることで造孔材ノズル13の下端から造孔材50が押し出され、これにより造孔材ノズル13は造孔材50を造形物収容部15に配置する。なお、造孔材ノズル13は、造形ヘッド12が有する図示しない昇降機構により上下に昇降可能であってもよい。レーザー放射部14は、造形物収容部15に配置された結合材粒子52の少なくとも一部を加熱溶融させることで造形物収容部15に配置された骨材粒子51を結合させる。レーザー放射部14は、内部にレーザー発振器と、レンズなどの光学系ユニットとを備えており、下端から下方に向けてレーザを放射して結合材粒子52を加熱溶融させる。レーザー放射部14が放射するレーザの種類としては、例えばNd:YAGレーザーなどの固体レーザー、又はCO
2レーザーなどのガスレーザーが挙げられる。
【0017】
造形物収容部15は、三次元造形装置10によって製造される造形物(ハニカム構造体41)の配置場所となるものである。造形物収容部15は、筐体35の内部に配設され、ヘッド移動部11や造形ヘッド12の下方に位置している。造形物収容部15は、左右に配設された壁体18,19を含み前後左右に配設された壁部と、ハニカム構造体41が載置される台座16と、台座16を上下に昇降させる昇降部17と、を備えている。ハニカム構造体41は、壁部と台座16とで囲まれ上方に開口している空間内に造形されていく。
【0018】
骨材供給部21は、ハニカム構造体41の原材料の一部である骨材粒子51を供給するする機構である。骨材供給部21は、筐体35の内部に配設され、造形物収容部15の左側に位置している。骨材供給部21は、壁体18を含み前後左右に配設された壁部と、骨材粒子51が載置される台座22と、台座22を上下に昇降させる昇降部23と、を備えている。骨材供給部21のうち、壁部と台座22とで囲まれ上方に開口している空間内は、骨材粒子51で満たされている。台座22が上昇すると、骨材粒子51が押し上げられて壁体18の上面よりも上方に供給され、供給された骨材粒子51はスキージ29により左右に移動可能な状態になる。
【0019】
結合材供給部25は、ハニカム構造体41の原材料の一部である結合材粒子52を供給する機構である。結合材供給部25は、造形物収容部15の右側に位置している点以外は骨材供給部21と同様の構成をしている。結合材供給部25は、筐体35の内部に配設され、壁体19を含み前後左右に配設された壁部と、結合材粒子52が載置される台座26と、台座26を上下に昇降させる昇降部27と、を備えている。結合材供給部25のうち、壁部と台座26とで囲まれ上方に開口している空間内は、結合材粒子52で満たされている。台座26が上昇すると、結合材粒子52が押し上げられて壁体19の上面よりも上方に供給され、供給された結合材粒子52はスキージ29により左右に移動可能な状態になる。
【0020】
スキージ移動部28は、筐体35の内部に配設されたスキージ29を上下左右方向(XZ方向)に移動させる機構である。スキージ移動部28は、筐体35の内壁面に配設されたガイドレールに導かれて
X方向へ移動する
X軸スライダと、
X軸スライダを駆動するモータと、スキージ29を上下に昇降させる昇降機構とを備えている。
【0021】
スキージ29は、骨材供給部21から供給される骨材粒子51及び結合材供給部25から供給される結合材粒子52を左右に移動させる部材である。スキージ29は、左右両側に、上下方向から傾斜し長手方向が前後方向に沿った長方形状の平面を有している。スキージ移動部28によって、スキージ29は下端が壁体18,19の上面に接触する高さに位置する状態で左右に移動する。これにより、スキージ29の移動方向側の平面は、壁体18,19の上面よりも上方に供給された対象物(骨材粒子51又は結合材粒子52)を押して移動させて、対象物を造形物収容部15の空間内に導く。
【0022】
制御部31は、装置全体を制御するものであり、例えば、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されている。制御部31は、ヘッド移動部11、造形ヘッド12、昇降部17,23,27,スキージ移動部28などへ制御信号を出力し、造孔材
50,骨材粒子51,及び結合材粒子52の配置及び骨材粒子51の結合を複数回に亘って繰り返し実行させる。
【0023】
記憶部32は、装置の制御に関するデータやプログラムを記憶している。記憶部32には、多孔質体データ33や三次元造形処理プログラムなどが記憶されている。多孔質体データ33は、ハニカム構造体41の細孔構造(例えば隔壁42内の気孔43の位置,大きさなどに関する構造)及び隔壁構造(例えば隔壁42の厚さ、セル44の大きさ、複数のセル44間の位置関係などに関する構造)などを含むデータである。この多孔質体データ33は、例えば、XYZ座標により位置が表される複数のボクセルと、各ボクセルが隔壁42,気孔43,セル44のいずれであるかを表す情報と、を含むボクセルデータとしてもよい。多孔質体データ33は、実際のハニカム構造体41に対してCTスキャンを行うことで得たデータとしてもよいし、そのデータをさらに加工して得られるデータとしてもよいし、構造解析やシミュレーションなどの実験により経験的に求めたデータとしてもよい。
【0024】
次に、こうして構成された三次元造形装置10を用いたハニカム構造体41の製造方法について説明する。ハニカム構造体41の製造方法は、ハニカム構造体41の気孔43を形成する造孔材50を配置する造孔材配置工程と、ハニカム構造体41の原料の一部である骨材粒子51を配置する骨材配置工程と、ハニカム構造体41の原料の一部である結合材粒子52を配置する結合材配置工程と、配置された結合材粒子52の少なくとも一部を加熱溶融させることで骨材粒子51を結合させる結合工程とを含み、複数回に亘って繰り返し実行される構造体形成工程、を含む。
図3は、三次元造形装置10の制御部31によって実行される三次元造形処理ルーチンの一例を表すフローチャートである。
図4は、ハニカム構造体41の隔壁42の一部である結合体62を製造する様子を示す説明図である。
図3のルーチンのプログラムは、記憶部32に記憶され、例えば図示しない三次元造形装置10の操作部を介して作業者からの実行指示を入力したときに実行される。
【0025】
このルーチンが開始されると、制御部31は、まず、造形物収容部15の台座16を初期位置まで移動(昇降)させる(ステップS100)。台座16の初期位置は、例えば構造体形成工程のうち最初に行う工程(本実施形態ではステップS120の造孔材配置工程)が実行可能な高さとして予め定められていてもよい。本実施形態では、造孔材配置工程が実行可能な高さとして、台座16の上面が造形物収容部15の壁体18,19の上面と一致する位置が初期位置に定められている。続いて、制御部31は、多孔質体データ33に基づいて、ハニカム構造体41のうち次に造形すべき1層分の構造体を含むデータを取得する(ステップS110)。ここで、本実施形態では、三次元造形装置10は、隔壁42の隔壁面(セル44内に露出する面)に沿った方向,すなわち
図1下段の左右方向に沿った方向にハニカム構造体41を形成していく。換言すると、ハニカム構造体41は、セル44の隔壁面に沿った方向が
図2の上下方向に一致する向きに形成されていく(
図2のハニカム構造体41の向きも参照)。なお、ステップS110では、多孔質体データ33が1層ずつの構造体を表すデータとなっており制御部31がそれを読み出すことで1層分のデータを取得してもよいし、制御部31が多孔質体データ33を加工して1層分のデータを作成することでデータを取得してもよい。ハニカム構造体41の1層分の構造体の上下方向の厚さ、換言するとハニカム構造体41を何層に分割して造形するかは、造形に要する時間や造形の精度などに応じて、経験的に定めることができる。
【0026】
続いて、制御部31は、造形物収容部15の台座16上に造孔材50を配置する造孔材配置工程を行う(ステップS120,
図4(a))。本実施形態では、制御部31は、溶融物堆積法(Fused Deposition Modeling,FDM)を用いて造孔材配置工程を行う。具体的には、制御部31は、ヘッド移動部11により造孔材ノズル13をXY方向に移動させつつ、造孔材ノズル13から溶融した造孔材50(熱可塑性樹脂)を押し出させて、台座16上の所定の位置に造孔材50を配置する。制御部31は、造孔材ノズル13の位置を制御することで、造孔材50の配置位置を制御する。
図4(a)に示すように、制御部31は、ハニカム構造体41のうち隔壁42(及び気孔43)を造形すべき領域Aに造孔材50を配置し、セル44とすべき領域Bには造孔材50を配置しない。なお、
図4中の一点鎖線枠は、領域Aの上面の拡大図である。制御部31は、ステップS110で取得した1層分のデータに基づいて、1層分の構造体のうち気孔43を形成すべき位置に、造孔材50を配置していく。なお、本実施形態では、ステップS110で取得した1層分のデータでは造孔材50を配置すべき位置がベクタ形式で指定されているものとした。そして、
図4(a)の一点鎖線枠に示すように、制御部31はベクタ形式のデータに基づいて上面視で複数の直線を組み合わせた形状になるように造孔材ノズル13を移動させて造孔材50を配置していくものとした。なお、造孔材50を配置すべき位置がラスタ形式で指定され、造孔材ノズル13からの造孔材50の押し出しの有無を切り替えながらXY方向に造形ヘッド12を走査させて造孔材50を配置してもよい。また、配置される造孔材50の形状は、直線状に限らず曲線状又は点状としてもよいし、これらの2以上の組み合わせとしてもよい。また、制御部31は、1回の造孔材配置工程の中で、配置された造孔材50の上にさらに造孔材50を配置(積層)して、配置された造孔材50の高さがより高くなるようにしてもよい。
【0027】
造孔材50を配置すると、制御部31は、骨材供給部21及びスキージ移動部28を用いて、骨材粒子51(本実施形態ではSiC)を配置する骨材配置工程を行う(ステップS130,
図4(b))。骨材配置工程では、制御部31は、台座22を上昇させて骨材供給部21の空間内の骨材粒子51を上方に押し上げる。また、制御部31は、スキージ29の下端が壁体18の上面に接触する高さに位置するように、スキージ移動部28によりスキージ29を昇降させる。そして、制御部31はスキージ29を右方向に移動させて、押し上げられた骨材粒子51を右方向に移動させる。制御部31は、スキージ29で骨材粒子51を移動させる前に、必要に応じて台座16を所定量だけ下降させ、台座16上に骨材粒子51が配置される空間を確保してもよい。骨材配置工程を行うことにより、造形物収容部15の壁部と台座16とで囲まれた空間に略均一な厚さで骨材粒子51が配置される。制御部31は、スキージ29を左右に往復させることで、配置された骨材粒子51の上面をならしてもよい。なお、
図4中の二点鎖線枠のうち、左側は領域Aの断面の拡大図であり、右側は領域Bの断面の拡大図である。骨材配置工程が行われると、
図4(b)に示すように、領域Aでは造孔材50の間に骨材粒子51が配置された状態になり、領域Bでは骨材粒子51のみが配置された状態になる。なお、造孔材50の上にも骨材粒子51が配置されていてもよい。このように、造孔材配置工程を実行してから骨材配置工程を実行することで、領域A内では先に配置された造孔材50によって骨材粒子51の位置を調整することができ、所望の細孔構造の多孔質体(隔壁42)を造形しやすい。なお、骨材粒子51の粒径は、造形したい隔壁42の細孔構造などに基づいて経験的に定めることができ、例えば平均粒径が0.1μm以上30μm以下としてもよい。平均粒径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置を用い、水を分散媒として測定したメディアン径(D50)をいうものとする。
【0028】
骨材粒子51を配置すると、制御部31は、結合材供給部25及びスキージ移動部28を用いて、結合材粒子52(本実施形態ではSi)を配置する結合材配置工程を行う(ステップS140,
図4(c),(d))。結合材配置工程では、制御部31は、骨材供給部21に代えて結合材供給部25を用いる点以外はステップS130の骨材配置工程と同様の処理を行う。すなわち、制御部31は、台座26を上昇させて結合材供給部25の空間内の結合材粒子52を上方に押し上げ、スキージ29を左方向に移動させて、押し上げられた結合材粒子52を左方向に移動させる(
図4(c))。なお、制御部31は、スキージ29で結合材粒子52を移動させる前に、必要に応じて台座16を所定量だけ下降させ、台座16上に結合材粒子52が配置される空間を確保してもよい。結合材配置工程を行うことにより、造形物収容部15に配置された骨材粒子51上に略均一に結合材粒子52が配置され(撒かれ)、骨材粒子51と結合材粒子52とが混在した状態になる(
図4(d))。骨材粒子51と結合材粒子52とが混在した粒子をまとめて混在粒子53と称する。なお、
図4(d)に示すように、領域Aでは造孔材50の間に混在粒子53が配置された状態になり、領域Bでは混在粒子53のみが配置された状態になる。なお、造孔材50の上にも結合材粒子52が配置されていてもよい。このように、造孔材配置工程を実行してから結合材配置工程を実行することで、領域A内では先に配置された造孔材50によって結合材粒子52の位置を調整することができ、所望の細孔構造の多孔質体(隔壁42)を造形しやすい。なお、結合材粒子52の粒径は、本実施形態では骨材粒子51の粒径よりも小さいものとした。ただしこれに限らず、結合材粒子52の粒径は、造形したい隔壁42の細孔構造などに基づいて経験的に定めることができる。例えば、結合材粒子52の平均粒径は2μm以上50μm以下としてもよい。
【0029】
結合材粒子52を配置すると、制御部31は、台座16上に配置された結合材粒子52の少なくとも一部を加熱溶融させて骨材粒子51を結合させる結合工程を行う(ステップS150,
図4(e),(f))。本実施形態では、制御部31は、選択的レーザー焼結法(Selective Laser Sintering,SLS)を用いて結合工程を行う。具体的には、制御部31は、ヘッド移動部11によりレーザー放射部14をXY方向に移動させつつ、レーザー放射部14から放射されるレーザーのオンオフを制御して、台座16上に配置された混在粒子53のうち領域Aに位置する混在粒子53にレーザー放射部14からのレーザーを照射する(
図4(e))。レーザーが照射された混在粒子53は加熱され、結合材粒子52が溶融して周囲の骨材粒子51を結合させて結合体62が形成される。本実施形態では、結合体62は骨材粒子51及び結合材粒子52が焼結した焼成体であり、Si結合SiCである。また、造孔材50は上述したように加熱により消失する消失材であり、結合工程では、レーザー放射部14からのレーザーにより造孔材50は加熱されて消失(本実施形態では焼失)する。そのため、領域Aのうちレーザーが照射された部分では、造孔材50が消失して気孔(空間)63となる。これらにより、結合工程では、気孔63を有する多孔質体として結合体62が造形される(
図4(f))。本実施形態では、領域Aの混在粒子53が全て結合体62になり、造孔材50が全て消失するようにレーザーを照射するものとした。ただし、レーザー放射部14からのレーザーが必ずしも領域Aの全ての結合材粒子52及び造孔材50に直接照射される必要はない。レーザーの照射により加熱された他の骨材粒子51又は他の結合材粒子52を介して、結合材粒子52を間接的に溶融させてもよい。造孔材50の消失についても同様である。
【0030】
以上のようにステップS120〜S150の構造体形成工程を行うことで、領域Aには、ハニカム構造体41の気孔43を有する隔壁42のうち1層分の構造体に相当する部分として、
図4(f)に示す気孔63を有する結合体62が造形される。なお、領域Bはセル44に相当する部分であり、構造体形成工程を行った後も混在粒子53が配置されているのみで、結合体62は造形されない。
【0031】
構造体形成工程を行うと、制御部31は、ハニカム構造体41のうち次に造形すべき1層分の構造体を含むデータが存在するか否か、すなわちハニカム構造体41の造形が完了していないか否かを、多孔質体データ33に基づいて判定する(ステップS160)。次に造形すべきデータが存在する場合には、制御部31は、必要に応じて造形物収容部15の台座16を下降させ(ステップS170)、ステップS110以降の処理を実行する。すなわち、制御部31は、次に造形すべき1層分の構造体のデータを取得し、取得したデータに基づいて、領域Aに造形された結合体62上に造孔材50,混在粒子53を配置したり、領域Bの混在粒子53上に混在粒子53を配置する(
図4(g))。そして、レーザー放射部14からのレーザーにより領域Aに気孔63を有する結合体62を造形すると共に造孔材50を消失させる(
図4(h))。なお、前回の結合工程で造形された結合体62と今回の結合工程で造形される結合体62とは、今回の結合材配置工程で配置された結合材粒子52を介して結合されてもよい。あるいは、前回の結合工程で造形された結合体62中の結合材(結合材粒子52が溶融して凝固したもの)が加熱により再度溶融して、この溶融した結合材を介して前回造形された結合体62と今回造形される結合体62とが結合されてもよい。このように、制御部31は、構造体形成工程を繰り返して結合体62を上方に積層していくことで、隔壁42を有するハニカム構造体41を造形していく。そして、ステップS160で次に造形すべき1層分の構造体を含むデータが存在しない場合、すなわちハニカム構造体41の造形が完了した場合には、制御部31は本ルーチンを終了する。
【0032】
以上の三次元造形処理ルーチンにより、ハニカム構造体41が造形される。三次元造形処理ルーチンが終了すると、作業者は筐体35からハニカム構造体41を取り出す。なお、ハニカム構造体41のうち領域Bすなわちセル44に相当する空間には混在粒子53が残っているが、セル44は開口しているため、ハニカム構造体41を取り出すときにこれらの混在粒子53は台座16上に残り、ハニカム構造体41内からは除去される。作業者は、三次元造形装置10とは別の図示しない送風装置などを用いて、ハニカム構造体41に付着した骨材粒子51及び結合材粒子52を除去してもよい。
【0033】
なお、こうして得られたハニカム構造体41を用いてハニカムフィルタ40を製造する場合、例えば以下の工程を行ってもよい。まず、一方が開口し他方が目封止された入口開放セル45と一方が目封止され他方が開口した出口開放セル46とが交互に配設されるように各セル44に目封止部(出口封止材48,入口封止材49)を形成する。出口封止材48及び入口封止材49は、隔壁42を形成する原料と同じものを用いるものとしてもよい。この場合、骨材粒子51と結合材粒子52とを含む原料スラリーでハニカム構造体41の各セル44の開口のうち目封止部を形成する部分を塞いだあとに焼成を行うことで、出口封止材48及び入口封止材49を形成してハニカムフィルタ40を得る。
【0034】
あるいは、出口封止材48及び入口封止材49についても、三次元造形処理ルーチンで隔壁42と同時に形成して、三次元造形装置10によりハニカムフィルタ40を造形してもよい。例えば、制御部31は、構造体形成工程を繰り返して結合体62を上方に積層していく際に、領域Bの混在粒子53のうち出口封止材48及び入口封止材49の造形が必要な部分には結合工程においてレーザー放射部14からのレーザーを照射して、出口封止材48又は入口封止材49となる結合体62を造形することができる。なお、出口封止材48及び入口封止材49は、多孔質体であってもよいし、多孔質体でなくてもよい。出口封止材48及び入口封止材49を多孔質とする場合には、隔壁42となる結合体62の造形と同様に、造孔材配置工程において領域Aだけでなく領域Bのうち気孔を形成すべき位置にも造孔材50を配置して、多孔質の結合体を造形すればよい。出口封止材48及び入口封止材49を多孔質体とする場合、これらの気孔率や平均気孔径は隔壁42と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0035】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のヘッド移動部11,造形ヘッド12,及び造孔材ノズル13が本発明の造孔材配置部に相当し、骨材供給部21,スキージ移動部28,及びスキージ29が骨材配置部に相当し、結合材供給部25,スキージ移動部28,及びスキージ29が結合材配置部に相当し、ヘッド移動部11,造形ヘッド12,及びレーザー放射部14が結合部に相当し、制御部31が制御部に相当する。なお、本実施形態では、三次元造形装置10の動作を説明することにより本発明の多孔質体の製造方法の一例も明らかにしている。
【0036】
以上詳述した本実施形態の多孔質体(ハニカム構造体41)の製造方法によれば、造孔材50の配置,骨材粒子51の配置,結合材粒子52の配置,及び骨材粒子51の結合を、複数回に亘って繰り返し実行することで、多孔質体であるハニカム構造体41を製造する。このようにすることで、押出成型用の金型を不要にできる。例えば、原料を混合して杯土とし、金型を用いてこの坏土を押出成形して成形体を得て、成形体を焼成することでハニカム構造体41を製造する場合、成形体の形状に応じた金型が必要になる。本実施形態の多孔質体の製造方法では、金型を用いずにハニカム構造体41を製造することができるため、金型を作成する手間やコストを削減することができる。また、隔壁42は多孔質体でありいわゆるオーバーハング形状(空間の上方に物体が存在するような形状)を有する構造であるが、造孔材配置工程を行って造孔材50を配置し、結合工程と同時又は結合工程後に造孔材50を除去することで、オーバーハング形状の隔壁42を比較的容易に製造することができる。また、造孔材50の位置を調整することで、多彩な気孔形状を再現できるため、所望の細孔構造の隔壁42を製造することができる。
【0037】
従来の押出成形を用いた製造方法では、例えば、原料(坏土)を押出成形装置に供給し、ハニカム構造体用の口金を通すことによりハニカム構造体が製造される。この場合、口金を通す前の混合された坏土は各種材料が均一に混合されているので、材料焼成後のハニカム構造体の気孔率や平均細孔径などの細孔特性や、材料自体の分布は基本的には構造体内で均一になる。これに対して、本実施形態の多孔質体のの製造方法では、例えば、多孔質体データ33に基づいて、制御部31が造孔材配置工程における造孔材50の配置位置や配置量を制御したり、骨材配置工程や結合材配置工程における骨材粒子51及び結合材粒子52の配置量や配合割合を制御したりすることができる。これにより、ハニカム構造体内の軸方向(全長方向)や面方向(径方向)に、気孔率や平均細孔径などの細孔特性や材料自体の分布、セル構造やセル形状、断面形状などを任意に変化させることができる。このため、本実施形態の多孔質体の製造方法で製造されたハニカム構造体では、例えば、排ガスの浄化性能の向上や、貴金属を用いた触媒量を低減することができ、コストを削減することなどができる。
【0038】
また、構造体形成工程では、制御部31は、構造体形成工程において、造孔材配置工程を実行してから結合材配置工程及び骨材配置工程を実行するため、先に配置された造孔材50によって骨材粒子51や結合材粒子52の位置を調整することができる。そのため、所望の細孔構造の隔壁42を造形しやすい。
【0039】
さらに、造孔材50は、加熱により消失する消失材であり、結合工程では、制御部31は造孔材50を消失させて除去する。そのため、結合工程とは別に造孔材50の除去工程を行う場合と比べて、工程を簡略化できる。また、造孔材50は樹脂であり、消失材として適している。さらに、骨材粒子51は炭化硅素であり、結合材粒子52は硅素である。これらの材料は、本実施形態のハニカム構造体41の製造方法に適している。
【0040】
さらにまた、結合工程では、制御部31は、造孔材50,骨材粒子51,及び結合材粒子52の少なくとも1つにレーザーを照射することで、台座16上に配置された結合材粒子52の少なくとも一部を加熱溶融させる。レーザーを用いることにより、台座16上の領域B内の混在粒子53は結合させず領域A内の混在粒子53を結合させることができるなど、混在粒子53を選択的に結合させることができる。そのため、隔壁42とセル44とを有するハニカム構造体41など、所望の形状の多孔質体を製造しやすい。
【0041】
そしてまた、構造体形成工程では、三次元造形装置10によって造孔材配置工程,骨材配置工程、及び結合材配置工程を行う。金型を用いた従来の製造方法では、例えば原料の混合と押出成型とを別々の装置で行うが、本実施形態では、これに代わる造孔材配置工程,骨材配置工程、及び結合材配置工程を1つの三次元造形装置10で行うことができる。そのため、複数の装置を1つの三次元造形装置10で代替できる。また、構造体形成工程では、三次元造形装置10によって結合工程も行う。そのため、金型を用いた従来の製造方法における焼成に相当する工程についても、三次元造形装置10で行うことができる。
【0042】
そしてまた、本実施形態の製造方法で製造される多孔質体は、複数のセル44を形成する多孔質の隔壁42を備えたハニカム構造体41である。このようなハニカム構造体41を従来の製造方法で製造する際には、ハニカム構造体41の外形だけでなくセル44の形状や数に応じて異なる金型が必要になるため、本発明を適用する意義が高い。また、制御部31は、構造体形成工程を複数回に亘って繰り返し実行することで、隔壁42の隔壁面に沿った方向にハニカム構造体41を形成していく。こうすることで、例えば隔壁42の隔壁面に垂直な方向(
図1下段の上下方向など)に沿ってハニカム構造体41を形成する場合と比較して、オーバーハング形状(空間の上方に物体が存在するような形状)の少ない状態でハニカム構造体41を形成することができる。特に、出口封止材48及び入口封止材49を三次元造形装置10によって造形しない場合には、隔壁42中の気孔63以外にはオーバーハング形状のない状態でハニカム構造体41を形成することができる。
【0043】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0044】
例えば、上述した実施形態では、制御部31は骨材配置工程及び結合材配置工程ではスキージ29を用いて骨材粒子51及び結合材粒子52を配置したが、骨材粒子や結合材を配置できればよく、骨材配置工程及び結合材配置工程の少なくとも一方において他の方法を用いてもよい。例えば、三次元造形装置10が先端から下方に粒子を吐出するノズルを備えており、制御部31はノズルを前後左右に移動させつつ粒子を吐出させることで粒子を台座16上に配置してもよい。この場合、上述した実施形態と同様に台座16上全体に粒子を配置する場合に限らず、造形すべき1層分の構造体のうちセル44や気孔43ではなく隔壁42に相当する位置のみに粒子を配置するなど、制御部31は台座16上の一部(結合体62(隔壁42)を形成すべき位置)に粒子を配置してもよい。すなわち、制御部31が粒子の配置位置を制御してもよい。骨材粒子51や結合材粒子52の配置位置を制御することで、ハニカム構造体41内の軸方向(全長方向)や面方向(径方向)に、細孔特性や材料自体の分布、セル構造やセル形状、断面形状などをより任意に変化させることができる。また、前後方向を長手方向とするスリット状の下向きの開口が配設されたリコータを用いて、制御部31がリコータを前後に移動させつつ開口から下方に粒子を撒きながらならしていくことで粒子を台座16上に配置してもよい。なお、リコータは、開口の左右に配設された部材(例えば左右に1つずつ配設され長手方向が前後方向である板状部材)を備えており、この部材により開口から台座16上に撒かれた粒子をならすことができる。また、上述した実施形態では、骨材粒子51及び結合材粒子52はそれぞれ1種類の材料としたが、これに限らず、骨材粒子及び結合材の少なくとも一方について、複数種類の材料を用いてもよい。この場合、例えば複数回行われる骨材配置工程において、複数種類の材料のいずれを用いるかを異ならせたり、複数種類の材料の割合を異ならせたりしてもよい。同様に、複数回行われる結合材配置工程においても、複数種類の材料のいずれを用いるかを異ならせたり、複数種類の材料の割合を異ならせたりしてもよい。こうすることで、骨材粒子及び結合材の少なくとも一方について、材料の種類や配合割合を制御することができる。これにより、ハニカム構造体41内の軸方向(全長方向)や面方向(径方向)に、細孔特性や材料自体の分布、セル構造やセル形状、断面形状などをより任意に変化させることができる。
【0045】
上述した実施形態では、制御部31は造孔材配置工程、骨材配置工程、結合材配置工程、結合工程をこの順で行ったが、多孔質体が製造できればよく、他の順序で行ったり各工程のうち2以上を同時に又は並行して行ったりしてもよい。例えば、制御部31は骨材配置工程の前に結合材配置工程を行ってもよい。また、骨材粒子51と結合材粒子52とを予め混合したものを骨材供給部21の台座22上と結合材供給部25の台座26上との少なくとも一方に用意しておき、制御部31は混合された粒子をスキージ29で移動させることで骨材配置工程と結合材配置工程とを同時に行ってもよい。また、複数回の構造体形成工程が全て同じ順序である必要はなく、他とは異なる構造体形成工程が存在してもよい。例えば、上述した実施形態では、制御部31は複数回のいずれの構造体形成工程においても造孔材配置工程を実行してから結合材配置工程及び骨材配置工程を実行したが、複数回の構造体形成工程の少なくともいずれかにおいて造孔材配置工程を実行してから結合材配置工程及び骨材配置工程を実行してもよい。あるいは、複数回の構造体形成工程の一部において造孔材配置工程を行わない構造体形成工程が存在するなど、造孔材配置工程、骨材配置工程、結合材配置工程、及び結合工程の少なくとも1つが省略される構造体形成工程が存在してもよい。
【0046】
上述した実施形態では、制御部31は結合工程において造孔材50を消失させて除去したが、これに限らず結合工程とは別に造孔材50を除去する除去工程を行ってもよい。例えば、結合工程の前後の少なくとも一方において、造孔材50をレーザー放射部14からのレーザーにより加熱して造孔材50を除去してもよい。また、造孔材50の除去工程は構造体形成工程中に行う場合に限られない。例えば、制御部31がステップS160で次に造形すべき1層分の構造体を含むデータが存在しない場合に、造形されたハニカム構造体41中の造孔材50を加熱によりまとめて除去してもよい。造孔材50をまとめて除去する場合、例えば三次元造形装置10が備えるヒーターを用いて制御部31が筐体35内を加熱して除去工程を行ってもよいし、作業者が三次元造形装置10からハニカム構造体41を取り出して別の加熱装置により除去工程を行ってもよい。また、加熱以外の方法で造孔材を除去してもよい。例えば、作業者が三次元造形装置10からハニカム構造体41を取り出した後に、液体で造孔材を溶解させることにより造孔材を除去してもよい。このような造孔材の例としては、水溶性樹脂などが挙げられる。結合工程において造孔材を消失させない場合には、結合工程では消失しない材料を造孔材として用いてもよい。
【0047】
上述した実施形態では、制御部31は造孔材配置工程を溶融物堆積法と同様の方法を用いて行ったが、多孔質体の気孔を形成する造孔材を配置できればよく、他の方法を用いてもよい。例えば、制御部31はPolyJet法(インクジェット法とも言う)を用いて造孔材を配置してもよい。すなわち、制御部31は、造孔材配置工程において、造孔材ノズル13から液状の造孔材(紫外線硬化樹脂)を噴射して台座16上に配置し、UVライトから紫外線を照射することにより配置後の造孔材を硬化させてもよい。この場合、造形ヘッド12の下部に紫外線を照射するUVライトが配設されていてもよい。紫外線硬化樹脂の具体例としては、エポキシ系樹脂又はアクリル系樹脂などが挙げられる。こうしても、上述した実施形態と同様に造孔材を配置することができる。また、紫外線硬化樹脂は加熱により消失する消失材でもあるため、上述した実施形態と同様に結合工程において除去することができる。
【0048】
上述した実施形態では、造孔材50は配置後に硬化する材料としたが、これに限らず、配置後の造孔材は例えばペースト状としてもよいし、粒子状としてもよい。例えば、デンプンを含むペースト又はデンプンの粒子を造孔材としてもよい。なお、デンプンは加熱により消失する消失材でもあるため、上述した実施形態と同様に結合工程において除去することができる。造孔材が粒子である場合、造孔材ノズル13などのノズルが粒子を配置してもよいし、リコータが粒子を配置してもよい。造孔材がペースト又は粒子である場合、骨材粒子51や結合材粒子52の配置はノズルやリコータなどを用いて上方から撒くことで行われることが好ましい。こうすれば、配置された造孔材の位置ずれが生じにくい。また、造孔材は、上述した実施形態のように骨材粒子及び結合材とは異なる材料であってもよいし、骨材粒子51及び結合材粒子52の少なくとも一方を含んでいてもよい。例えば、制御部31は、結合工程において領域Aの骨材粒子51と結合材粒子52との少なくとも一方が結合体62にならずに粒子のまま一部残るように領域Aの一部に選択的にレーザーを照射してもよい。骨材粒子51及び結合材粒子52のうち結合体62にならずに残った粒子を後に除去することで、その粒子が存在していた部分が気孔43(気孔63)となるため、これらの粒子を造孔材として機能させることができる。残った粒子は、結合工程の後に三次元造形装置10が備える図示しない送風装置(ブロワー)等を用いて制御部31が除去してもよいし、三次元造形処理ルーチンの終了後に作業者が別の送風装置などを用いて除去してもよい。骨材粒子51及び結合材粒子52の少なくとも一方を造孔材とする場合、制御部31はステップS120の造孔材配置工程を省略して、造孔材50(熱可塑性樹脂)の配置は行わなくてもよい。骨材粒子51及び結合材粒子52の少なくとも一方を造孔材とする場合、骨材配置工程と結合材配置工程との少なくとも一方が、造孔材配置工程を兼ねていることになる。
【0049】
上述した実施形態では、造孔材50は配置後に硬化する材料としたが、造孔材は、結合工程時の加熱により消失しない非消失粒子と、溶融及び硬化が可能であり加熱により消失する溶融消失材と、を混練したものとしてもよい。非消失粒子としては、例えば砂、セラミック粒子、又は骨材粒子51と同じ材料の粒子(例えばSiC)などが挙げられる。溶融消失材としては、熱可塑性樹脂や紫外線硬化性樹脂などが挙げられる。
図5は、この場合の変形例の構造体形成工程の様子を示す説明図である。なお、
図5は、領域A(隔壁42を造形すべき領域)の断面の拡大図を示している。この変形例の構造体形成工程では、制御部31は、まず、造孔材配置工程において、例えば造孔材ノズル13を用いて非消失粒子54と溶融消失材55とを混練したペースト状の造孔材50Aを台座16上に配置する(
図5(a))。配置後の造孔材50Aは、溶融消失材55が硬化することでその場に固定される。続いて、制御部31は、上述した実施形態と同様に骨材配置工程及び結合材配置工程を行って、骨材粒子51及び結合材粒子52を配置する(
図5(b))。次に、制御部31は、上述した実施形態と同様に結合工程を行って、レーザー放射部14からのレーザーにより結合体62を形成する(
図5(c))。このとき、造孔材50Aは、レーザー放射部14からのレーザーにより加熱されて溶融消失材55が消失するが、非消失粒子54は消失せずに残る。そして、制御部31は、次の回の構造体形成工程においても、同様に造孔材配置工程において造孔材50Aを配置し(
図5(d))、骨材配置工程,結合材配置工程,及び結合工程を行い(
図5(e))、構造体形成工程を繰り返す。そして、三次元造形処理ルーチンの終了後に例えば作業者が別の送風装置などを用いて残った非消失粒子54除去する。これにより、非消失粒子54が存在していた部分が気孔63(気孔43)となる(
図5(f))。このように、造孔材50Aが溶融消失材55を含むことで、造孔材50Aが硬化して自身の位置調整や骨材粒子51及び結合材粒子52の位置調整を適切に行うことができる。また、造孔材50Aが非消失粒子54を含むことで、結合工程後も非消失粒子54が残るため、次の回の構造体形成工程において非消失粒子54上にさらに造孔材50Aを配置することができる。そのため、上述した実施形態と比べて複数回の構造体形成工程で形成される構造体にまたがるような大きい気孔63(
図5(f)参照)を形成しやすくなる。また、非消失粒子54が残ることで、次の回の構造体形成工程において骨材粒子51や結合材粒子52が既に形成された気孔63を埋めてしまうことを抑制できる。なお、造孔材50A中の溶融消失材55の消失(除去)は結合工程以外の工程で行ってもよい。なお、結合工程以外の工程で溶融消失材55を消失させる場合には、非消失粒子54として結合材粒子52と同じ材料(例えばSi)を用いてもよい。また、非消失粒子54は、結合材粒子52とは異なる材料とすることが好ましく、加熱により溶融しない材料としたり、溶融した結合材粒子52の濡れ性が低い材料としたりすることが好ましい。非消失粒子54は、溶融した結合材粒子52の濡れ性が低い材料で被覆されていてもよい。非消失粒子54は、気孔43の平均気孔径に対して十分小さい平均粒径(例えば、10分の1以下)であってもよい。非消失粒子54の平均粒径は、気孔43の平均気孔径の1000分の1以上であってもよい。
【0050】
上述した実施形態では、制御部31は、骨材粒子51及び結合材粒子52を配置した後でレーザーを照射することで結合材粒子52を加熱溶融させたが、これに限られない。制御部31は、造孔材50,骨材粒子51,及び結合材粒子52の少なくとも1つにレーザーを照射することで、台座16上に配置された結合材粒子52の少なくとも一部を加熱溶融させればよい。例えば、制御部31は、レーザークラッディング法(レーザー直接積層法とも言う)を用いて、結合材粒子52の加熱溶融と同時又は加熱溶融の後に骨材粒子51を配置することで、骨材配置工程と結合工程とを同時に行ってもよい。
図6はこの場合の変形例の構造体形成工程の様子を示す説明図である。この変形例の構造体形成工程では、制御部31は、まず、上述した実施形態と同様に造孔材配置工程を行い、次に結合材配置工程を行って、造孔材50及び結合材粒子52を配置する(
図6(a))。続いて、制御部31は、例えば骨材ノズル71を用いてレーザーの放射と骨材粒子51の配置とをほぼ同時に行って、骨材配置工程と結合工程とを同時に行う(
図6(b))。なお、骨材ノズル71は、円筒状であり下方に開口しているノズル本体72と、レーザー放射部14と同様の構成でありノズル本体72の内側に配設されたレーザー放射部73と、を備えている。この骨材ノズル71は、レーザー放射部73が下方にレーザーを放射し、且つノズル本体72内から骨材粒子51を下方に吐出する(撒く)ことができる。制御部31は、この骨材ノズル71をXY方向に移動させつつ、レーザー放射部
73から放射されるレーザーのオンオフを制御したり、ノズル本体72からの骨材粒子51の吐出の有無を制御したりする。なお、
図6(b)では骨材ノズル71が左から右に移動する際の様子を示している。これにより、レーザーで加熱された結合材粒子52は加熱溶融し、その上に骨材粒子51が配置されて、結合体62が形成される(
図6(c))。また、造孔材50は、レーザーの熱により消失して、気孔63が形成される。制御部31がこのように構造体形成工程を行う場合でも、上述した実施形態と同様に押出成型用の金型を不要にしつつハニカム構造体41を製造することができる。また、レーザーを用いることにより、骨材粒子51や結合材粒子52を選択的に結合させることができる。
【0051】
また、制御部31は、結合工程において結合材粒子52の少なくとも一部を加熱溶融させることで骨材粒子51を結合させればよく、レーザー以外の方法で結合材粒子52を加熱溶融させてもよい。例えば、制御部31は、アーク放電を用いた溶融物堆積法を用いて、結合材の加熱溶融と同時又は加熱溶融の後に結合材を配置することで、結合材配置工程と結合工程とを同時に行ってもよい。
図7はこの場合の変形例の構造体形成工程の様子を示す説明図である。この変形例の構造体形成工程では、制御部31は、まず、上述した実施形態と同様に造孔材配置工程及び骨材配置工程を行って、造孔材50及び骨材粒子51を配置する(
図7(a))。続いて、制御部31は、例えば溶接トーチ81を用いて結合材56の加熱溶融と配置とをほぼ同時に行って、結合材配置工程と結合工程とを同時に行う(
図7(b))。なお、溶接トーチ81は、円筒状であり下方に開口しているノズル82と、下方に送り出し可能な線状又は棒状の導電体である結合材56(例えばSiなどの金属)と、結合材56が上下方向に挿通され結合材56と電気的に導通するコンタクトチューブ83と、を備えている。この溶接トーチ81は、図示しない電源により台座16とコンタクトチューブ83との間に電圧が印加されることで、線状の結合材56の下端からアーク放電が生じて結合材56が加熱溶融する。また、ノズル82内にはシールドガス84が供給され、シールドガス84が下方に放出されることでアークを周囲の雰囲気から保護する。制御部31は、この溶接トーチ81をXY方向に移動させつつ、台座16とコンタクトチューブ83との間の電圧、シールドガス84の供給量,及び結合材56の送り出し量を制御することで、加熱溶融した結合材56を骨材粒子51上に配置していく。なお、
図7(b)では溶接トーチ81が左から右に移動する際の様子を示している。これにより、骨材粒子51と加熱溶融した結合材56とが結合して、結合体62が形成される(
図7(c))。また、造孔材50は、アーク放電の熱により消失して、気孔63が形成される。制御部31がこのように構造体形成工程を行う場合でも、上述した実施形態と同様に押出成型用の金型を不要にしつつハニカム構造体41を製造することができる。なお、
図7のようにアーク放電を用いる場合、台座16と溶接トーチ81との間に存在する物体(例えば既に造形された結合体62)は、導電体であることが好ましい。Si結合SiCは導電体であるため、アーク放電を用いた手法に適している。
【0052】
上述した実施形態において、2回目以降の少なくともいずれかの構造体形成工程において、結合材配置工程では、先の構造体形成工程における結合工程で加熱された造孔材,骨材粒子,及び結合材の少なくとも1つに接触するように結合材を配置することで、配置された結合材を加熱溶融させてもよい。さらに、骨材配置工程では、結合材配置工程で加熱溶融した結合材に接触するように骨材粒子を配置することで、骨材粒子を結合させてもよい。
図8は、この場合の変形例の構造体形成工程の様子を示す説明図である。なお、
図8は、領域A(隔壁42を造形すべき領域)の断面の拡大図を示している。
図8(a)は、
図5(c)と同じ図であり、非消失粒子と溶融消失材とを含む造孔材を用いて、1回目の構造体形成工程を行った状態を示している。この変形例の2回目の構造体形成工程では、制御部31は、まず、結合材配置工程を行って結合材粒子52を配置する(
図8(b))。このとき、結合材粒子52が配置される結合体62(骨材粒子51と結合材粒子52との少なくとも一方)や非消失粒子54が、先の(1回目の)構造体形成工程における結合工程で加熱されて温度が高い状態であれば、配置された結合材粒子52はこれらと接触することでその場で加熱溶融する(
図8(c))。なお、結合材粒子52が完全には溶融せず、結合材粒子52がその場に留まりつつ既に配置された物体(結合体62や非消失粒子54)に固着する程度に、結合材粒子52を加熱溶融することが好ましい。例えば、先の結合工程で加熱された物体(結合体62や非消失粒子54)の温度が結合材粒子52を適度に加熱溶融させる温度になったタイミングで結合材配置工程を行うようにしてもよい。この場合、先の(例えば1回目の)構造体形成工程の結合工程から次の(例えば2回目の)構造体形成工程の結合材配置工程までの時間を経験的に定めるなど、予め結合材配置工程を行うタイミングが定められていてもよい。また、三次元造形装置10が筐体35内に図示しない赤外線温度計を備えるものとしてもよい。この場合、赤外線温度計を用いて先の結合工程で加熱された物体の温度を制御部31が検出し、先の結合工程で加熱された物体の温度が適切な温度になったタイミングで次の構造体形成工程の結合材配置工程を行ってもよい。また、台座16又は筐体35内を図示しないヒーターで加熱するなどにより、先の結合工程で加熱された物体の温度が適切な温度に維持されるようにしてもよい。結合材配置工程を行うと、制御部31は、上述した
図5(a)や
図5(d)と同様に、非消失粒子54と溶融消失材55とを含む造孔材50Aを配置する造孔材配置工程を行う(
図8(d))。なお、造孔材配置工程の際に、先の結合工程で加熱された物体と今回の結合材配置工程で配置された結合材との少なくとも一方に接触することで、造孔材の一部が消失してもよい。例えば、
図8(d)における溶融消失材55が加熱により消失してもよい。次に、制御部31は、骨材配置工程を行って骨材粒子51を配置する(
図8(e))。このとき、結合材配置工程で加熱溶融した結合材粒子52の温度が骨材粒子51の結合に適した十分高い温度であれば、配置された骨材粒子51は加熱溶融した結合材粒子52と接触することで、結合材粒子52と骨材粒子51とが結合されて結合体62が形成される(
図8(f))。この場合、骨材配置工程が結合工程の少なくとも一部を兼ねることになり、両工程がほぼ同時に行われることになる。このように骨材配置工程が結合工程を兼ねる場合、今回の(例えば2回目の)構造体形成工程では、レーザー放射部14を用いた結合工程の少なくとも一部を省略してもよく、全部を省略してもよい。骨材配置工程が結合工程の少なくとも一部を兼ねる場合、骨材配置工程を行うタイミングは、結合材配置工程において結合材粒子52を適度に加熱溶融させる場合と同様に、経験的に定めたり検出した結合材粒子52の温度に基づいて定めたりしてもよい。また、ヒーターで加熱するなどにより、先の結合材配置工程で配置された結合材粒子52の温度が骨材粒子51の結合に適切な温度に維持されるようにしてもよい。なお、結合工程後も残る非消失粒子54(
図8(f)参照)を後に除去することで気孔43が形成される(
図8(g))。非消失粒子54の除去は、例えば
図5を用いて説明した場合と同様に三次元造形処理ルーチンの終了後に行ってもよいし、三次元造形処理ルーチンの実行中(例えば、結合工程の後、次の構造体形成工程の前)に行ってもよい。以上のように、先の構造体形成工程における結合工程で加熱された物体に接触するように結合材を配置して加熱溶融させることで、先の結合工程の熱を利用できる。同様に、結合材配置工程で加熱溶融した結合材に接触するように骨材粒子を配置して結合させることで、先の工程の熱を利用できる。また、このように結合材配置工程と骨材配置工程との少なくとも一方で先の工程の熱を利用することで、ハニカム構造体41の製造時の省エネルギー化を図ることもできる。なお、
図8の例において、結合材配置工程では、例えばノズルを用いて制御部31が結合材粒子52の配置位置を制御してもよい。この場合、配置された結合材粒子52が先の工程の熱によりその場で溶融固着するため、配置された結合材粒子52の位置がずれにくい。従って、結合材粒子52をより所望の位置(例えば結合体62(隔壁42)を形成すべき位置などの結合材粒子52を配置すべき位置)に配置しやすい。骨材配置工程においても、同様に例えばノズルを用いて制御部31が骨材粒子51の配置位置を制御してもよい。この場合も、配置された骨材粒子51がその場で結合されるため、配置された骨材粒子51の位置がずれにくくなり、骨材粒子51をより所望の位置(配置すべき位置)に配置しやすい。
図8の例では、非消失粒子54と溶融消失材55とを含む造孔材50Aを用いた場合について説明したが、特にこれに限られない。先の構造体形成工程における結合工程の熱を少なくとも結合材配置工程で利用しつつ、造孔材は少なくとも一部が先の工程の熱で消失することなく残るようにすればよい。例えば、溶融消失材55を用いず非消失粒子54のみを造孔材として用いるなど、非消失粒子を造孔材として用いてもよい。
図8の例では、結合材配置工程を行ってから造孔材配置工程を行ったが、これに限られない。例えば、造孔材配置工程を行ってから結合材配置工程を行ってもよい。この場合でも、結合材配置工程を行う際に、先の構造体形成工程における結合工程で加熱された物体の温度が高ければ、その熱を利用して結合材粒子52を加熱溶融させることはできる。
図8の例では、骨材配置工程において、結合材配置工程で加熱溶融した結合材粒子52に接触するように骨材粒子51を配置したが、これに限られない。例えば、結合材は先の結合工程の熱を利用して加熱溶融しつつ、その後に結合材が冷えた後で骨材配置工程を行うなど、結合材が加熱溶融していない状態と配置された骨材粒子が結合されない状態との少なくとも一方の状態で骨材配置工程を行ってもよい。こうしても、結合材配置工程では、先の工程の熱を利用して結合材を加熱溶融させることができる。造孔材配置工程についても、結合材が加熱溶融していない状態になった後に行ってもよい。こうすることで、樹脂などの消失材であっても造孔材として用いることができる。すなわち、結合材配置工程の後、結合材の温度が造孔材(消失材)が消失しない温度である状態で、造孔材配置工程を行ってもよい。なお、配置された骨材粒子がその場で結合されない状態で骨材配置工程を行う場合は、骨材配置工程後に改めて結合工程を行えばよい。また、造孔材が消失材である場合には、この結合工程時に造孔材を消失させて除去してもよい。
【0053】
上述した実施形態では、制御部31はレーザー放射部14をヘッド移動部11により移動させることでレーザーの照射位置を制御したが、これに限らず例えばレーザーを反射するミラーの向きを変更することでレーザーの照射位置を制御してもよい。例えば、制御部31が周知のガルバノスキャナーを用いてミラーの向きを変更してもよい。
【0054】
上述した実施形態では、制御部31はセル44とすべき領域Bには造孔材50を配置せずに混在粒子53を配置して、三次元造形処理ルーチン終了後に作業者が混在粒子53を除去したが、これに限られない。例えば、制御部31は、領域Bには骨材粒子51及び結合材粒子52は配置せず造孔材50を配置してもよい。すなわち、セル44を形成するためのサポート材として造孔材50を用いてもよい。この場合、三次元造形処理ルーチン終了後に例えば三次元造形装置10又は作業者がハニカム構造体41を加熱することにより造孔材50を除去してもよい。
【0055】
上述した実施形態では、制御部31は、隔壁42の隔壁面(セル44内に露出する面)に沿った方向にハニカム構造体41を形成したが、特にこれに限られない。例えば、隔壁42の隔壁面に垂直な方向(
図1下段の上下方向)に沿った方向にハニカム構造体41を形成してもよい。
【0056】
上述した実施形態では、多孔質体の例として
図1のハニカム構造体41を製造する場合について説明したが、これに限らずどのような形状の多孔質体を製造してもよい。骨材や結合材の材料についても、上述した実施形態に限られない。また、上述した実施形態では、1つの三次元造形装置10を用いてハニカム構造体41を製造する場合について説明したが、特にこれに限られない。例えば、構造体形成工程の各工程を複数の装置で分担して行ってもよい。
【0057】
上述した実施形態では、多孔質体の製造装置である三次元造形装置10、及び多孔質体の製造方法として本発明を説明したが、特にこれに限定されない。例えば、記憶部32に記憶され三次元造形処理ルーチンを三次元造形装置10に実行させるプログラムを本発明としてもよい。本発明のプログラムは、前記多孔質体の気孔を形成する造孔材を配置する造孔材配置部と、前記多孔質体の原料の一部である骨材粒子を配置する骨材配置部と、前記多孔質体の原料の一部である結合材を配置する結合材配置部と、前記結合材の少なくとも一部を加熱溶融させることで前記骨材粒子を結合させる結合部と、を備えた多孔質体の製造装置に、前記造孔材の配置、前記骨材粒子の配置、前記結合材の配置、及び前記骨材粒子の結合を複数回に亘って繰り返し実行させるプログラムとしてもよい。