(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
A.第1実施形態:
A−1.グロープラグの構成:
図1は、本発明の一実施形態としてのグロープラグの概略構成を示す断面図である。
図1では、グロープラグ100の軸線OLを一点鎖線で示している。また、
図1では、軸線OLと平行にX軸が設定され、また、X軸とそれぞれ直交するようにY軸およびZ軸が設定されている。以降の説明では、グロープラグ100において、後述するセラミックヒータ30が配置されている側(−X方向側)を「先端側」と呼び、後述する収容部材90が配置されている側(+X方向側)を「後端側」と呼ぶ。
【0015】
本実施形態のグロープラグ100は、ディーゼルエンジン等の内燃機関のシリンダヘッドに装着され、燃料着火の補助熱源として使用される。グロープラグ100は、グロープラグ100の温度を制御することによって燃焼室内の温度を制御するために、グロープラグ100の温度を測定するための構成を備えている。本実施形態において、グロープラグ100の温度とは、後述するセラミックヒータ30を構成する基体31の最高表面温度を意味する。グロープラグ100の温度を測定するための詳細構成については後述する。グロープラグ100は、主体金具10と、外筒20と、セラミックヒータ30と、中軸40と、中軸用リング50と、導通部材60と、導通部材用リング70と、弾性部材80と、収容部材90とを備える。
【0016】
主体金具10は、軸線OLに沿った方向(以下、「軸線方向」と呼ぶ)に延びる略筒状の外観形状を有する。主体金具10には、雄ねじ部12と、工具係合部14と、加締部16とを有し、軸孔18が形成されている。
【0017】
雄ねじ部12は、主体金具10の外周面に形成され、図示しないシリンダヘッドに形成された雌ねじ部と螺合する。工具係合部14は、雄ねじ部12よりも後端側に形成され、グロープラグ100をシリンダヘッドに取り付けるための工具と係合する。加締部16は、主体金具10の最後端に位置し、収容部材90を主体金具10に加締め固定する。軸孔18は、軸線OLに沿って延びる貫通孔であり、セラミックヒータ30の一部と中軸40の一部と中軸用リング50と導通部材60の一部と導通部材用リング70と弾性部材80とを収容する。
【0018】
外筒20は、細径の先端部を有する略筒状の外観形状を有し、主体金具10の先端部と溶接されている。外筒20は、金属により形成され、導電性を有する。
【0019】
セラミックヒータ30は、軸線OLに沿って延びる略棒状の外観形状を有すると共に、半球状の先端部を有する。セラミックヒータ30は、圧入によって外筒20に嵌め込まれている。セラミックヒータ30の後端側は軸孔18に収容され、セラミックヒータ30の先端部は主体金具10および外筒20から突出している。セラミックヒータ30は、基体31と、発熱体32と、温度測定用導電体36とを有する。
【0020】
基体31は、絶縁性セラミックにより生成され、軸線方向に延びる棒状の外観形状を有する。基体31の軸線は、グロープラグ100の軸線OLに重なる。基体31は、自身の内部に発熱体32および温度測定用導電体36を、互いに隔離した状態で保持している。本実施形態において、基体31は、窒化ケイ素系セラミックにより形成されている。窒化ケイ素系セラミックに代えて、二ホウ化チタンやアルミナやサイアロン等の、他の任意の絶縁性セラミックにより基体31が形成されていてもよい。
【0021】
発熱体32は、導電性セラミックにより形成され、通電により高温となる。発熱体32は、一対のリード部である第1のリード部33aおよび第2のリード部33bと、連結部35とを備える。連結部35のY軸方向に沿った中心位置を通り、X軸方向に沿って延びる発熱体32の軸線は、グロープラグ100の軸線OL、すなわち、基体31の軸線の位置と重なる。このような配置により、ヒータ30における位置毎の発熱ムラを抑制できる。導電性セラミックは、例えば、基体31に用いるセラミック材料に、導電性を有する材料を混ぜ合わせて得られる材料により形成してもよい。導電性を有する材料としては、例えば、タングステンカーバイド、珪化モリブデン、珪化タングステンなどを用いてもよい。
【0022】
第1のリード部33aおよび第2のリード部33bは、いずれも軸線方向と平行に延設された棒状の外観形状を有する。第1のリード部33aの先端部は、連結部35に接続されている。第1のリード部33aの後端部側には、電極取出部34aが形成されている。電極取出部34aは、軸線方向と垂直に突出し、突出方向の端面が基体31の外周側面に露出している。電極取出部34aは、中軸用リング50の内周面に接している。これにより、発熱体32と中軸用リング50とは、電気的に接続される。
【0023】
同様に、第2のリード部33bの先端部は、連結部35に接続されている。第2のリード部33bの後端部には、電極取出部34bが形成されている。電極取出部34bは、軸線方向と垂直に突出し、突出方向の端面が基体31の外周側面に露出している。電極取出部34bは、外筒20の内周面に接している。これにより、発熱体32と外筒20と主体金具10とは、電気的に接続される。本実施形態では、第1のリード部33aの軸線方向に沿った長さは、第2のリード部33bの軸線方向に沿った長さに比べて長い。
【0024】
連結部35は、略U字形の外観形状を有し、セラミックヒータ30の先端部に配置されている。
図2は、連結部35近傍の構成を拡大して示す部分拡大図である。
図2では、図示の便宜上、
図1に示すハッチングの一部を省略している。連結部35は、第1のリード部33aの先端部と第2のリード部33bの先端部とを連結する。すなわち、連結部35の一方の端部は、第1のリード部33aの先端部に接続され、他方の端部は、第2のリード部33bの先端部に接続されている。本実施形態では、第1のリード部33aおよび第2のリード部33bと、連結部35とは、別部材として形成されており、グロープラグ100の製造過程において、これら部材同士が接合される。したがって、
図2に示すように、第1のリード部33aと連結部35との接続部分の境界351と、第2のリード部33bと連結部35との接続部分の境界352とは、視認可能である。連結部35に電流を集中させることにより連結部35を昇温させるために、連結部35の径は、発熱体32のうちの他の部位の径に比べて小さい。
【0025】
図1に示す温度測定用導電体36は、グロープラグ100の温度を測定するために用いられる。温度測定用導電体36は、軸線OLに沿って延びる棒状の外観形状を有し、発熱体32と同様に、導電性セラミックにより温度測定用導電体36が形成されている。導電性セラミックに代えて、タングステンやニッケルといった金属などの他の任意の導電材料により形成されてもよい。温度測定用導電体36は、棒状の通電部37と、電極取出部38とを備え、これら通電部37および電極取出部38が一体形成された構造を有する。電極取出部38は、通電部37の後端に連なり、軸線方向と垂直に突出している。電極取出部38の一端は通電部37に連なり、他端は、基体31の外周側面に露出して導通部材用リング70の内周面に接する。これにより、温度測定用導電体36と導通部材用リング70とは、電気的に接続される。基体31内部における温度測定用導電体36の配置位置の詳細については、後述する。
【0026】
中軸40は、軸線OLに沿って延びる丸棒状の外観形状を有する剛体であり、金属により形成されている。本実施形態において、「剛体」とは、外力の付与によっても容易に変形しない性質を意味する。中軸40は、先端側の端部に小径部42を有し、後端側の端部に端子部44を有する。小径部42と端子部44とは、基部46を介して連なっている。中軸40は、端子部44を主体金具10から後端側に突出させた状態で主体金具10の軸孔18に収容されている。小径部42は、セラミックヒータ30の外径と同程度の外径を有し、中軸用リング50に嵌め込まれている。端子部44は、図示しない外部コネクタにおける電流供給用の導通部と接続される。
【0027】
中軸用リング50は、円筒状の外観形状を有する剛体であり、金属により形成されている。中軸用リング50には、セラミックヒータ30の後端部と中軸40の小径部42とが嵌め込まれており、中軸用リング50は、セラミックヒータ30と中軸40とを、互いの軸を一致させた状態で支持する。上述のように、中軸用リング50の内周面には、電極取出部34aが接している。これにより、外部コネクタは、中軸40と中軸用リング50とリード部33aとを介して、連結部35と電気的に接続される。
【0028】
図3は、導通部材60の詳細構成を示す説明図である。
図3(A)、(B)、(C)および(D)は、導通部材60の斜視図、正面図、右側面図および底面図をそれぞれ示している。導通部材60は、1枚の金属の薄板が曲面状に折り曲げられて溶接されることにより形成されている。導通部材60は、剛体であり、先端側の端部にリング部62を有し、後端側の端部に導電体端子部66を有する。リング部62と導電体端子部66とは、接続部64を介して連なっている。リング部62は、円筒状の外観形状を有し、
図1に示すように導通部材用リング70の後端側と全周に亘って接触する。接続部64および導電体端子部66は、半円筒状の外観形状を有している。
【0029】
図1に示すように、導通部材60は、導電体端子部66を主体金具10から後端側に突出させた状態で主体金具10の軸孔18に収容されている。導通部材60は、軸孔18の内壁および中軸40の外周表面とそれぞれ離れて配置されている。
【0030】
図4は、導通部材用リング70の詳細構成を示す斜視図である。導通部材用リング70は、略円筒状の外観形状を有し、金属により形成されている。導通部材用リング70は、軸線OLに沿って中央部からやや後端側に寄った位置において、全周に亘って外周方向に突出した突出部72を有する。導通部材用リング70における突出部72よりも後端側(
図4上方側)は、後端側に向かうほど外径が小さくなるテーパード形状を有する。
【0031】
図1に示すように、突出部72の外径は、導通部材60のリング部62の外径とほぼ等しい。上述のように、導通部材用リング70の内周面には、温度測定用導電体36の電極取出部38が接している。したがって、温度測定用導電体36と導通部材60とは、電極取出部38と導通部材用リング70とを介して互いに電気的に接続される。
【0032】
図5は、弾性部材80の概略構成を示す説明図である。
図4(A)、(B)および(C)は、弾性部材80の斜視図、軸線OLに沿った断面図、および軸線OLと垂直な方向に沿った断面図をそれぞれ示している。弾性部材80は、絶縁性および弾性を有し、円柱状の外観形状を有する。
【0033】
図1に示すように、弾性部材80は、軸線OLに沿った方向と径方向とにそれぞれ圧縮された状態で、主体金具10の軸孔18の後端に配置されている。
図5に示すように、弾性部材80には、軸線OLに沿って自身を貫通する主孔82および副孔84が形成されている。主孔82は、円形の断面形状を有する。主孔82には、端子部44を後端側に突出させた状態で中軸40が挿入されている。副孔84は、半円弧状の断面形状を有する。副孔84には、導電体端子部66を後端側に突出させた状態で導通部材60が挿入されている。弾性部材80により、主体金具10と中軸40と導通部材60とは、互いに絶縁される。
【0034】
本実施形態において、弾性部材80は、フッ素ゴムにより形成されており、滑り性を有する。フッ素ゴムに代えて、シリコンゴム等の絶縁性を有する他の任意の弾性材料により弾性部材80が形成されていてもよい。本実施形態において、弾性部材80は、単一の部材により形成されている。また、本実施形態において、軸線OLに沿った弾性部材80の長さは、中軸40の基部46の径方向の長さ、すなわち直径と等しい。
【0035】
本実施形態のグロープラグ100において、中軸40のうち弾性部材80の主孔82に挿入されている部分よりも先端側の外周面と、中軸用リング50の外周面とは、絶縁フィルム110によって覆われている。絶縁フィルム110は、中軸40および中軸用リング50と、導通部材60との間の絶縁性を、より確実に確保するために用いられている。なお、絶縁フィルム110は、省略されてもよい。
【0036】
収容部材90には軸孔91が形成されており、収容部材90は、略筒状の外観形状を有する。本実施形態において、収容部材90は、樹脂により形成されている。収容部材90は、主体金具10の後端側の端面および弾性部材80の後端側の端面とそれぞれ接触して配置され、中軸40の端子部44と、導通部材60の導電体端子部66とを軸孔91に収容している。収容部材90の先端部は、主体金具10の加締部16によって主体金具10の後端側に接するように固定されている。収容部材90は、防水機能を有すると共に、機械的強度の低い導電体端子部66を保護する機能を有する。収容部材90は、図示しない外部コネクタと嵌合可能に構成されている。
【0037】
図示しない外部コネクタは、収容部材90の外表面を覆うと共に収容部材90の内部に挿入される形状を有する。外部コネクタは、図示しない電流供給用の導通部と温度測定用の導通部とを有する。収容部材90に外部コネクタが嵌合されることにより、中軸40の端子部44は、電流供給用の導通部と接合して電気的に接続される。そして、外部コネクタの導通部、端子部44、中軸用リング50、第1のリード部33a、連結部35、第2のリード部33b、外筒20、およびシリンダヘッドからなる電流経路が形成され、かかる電流経路を構成する連結部35が通電により発熱して、セラミックヒータ30全体が昇温する。
【0038】
また、収容部材90に外部コネクタが嵌合されることにより、導通部材60の導電体端子部66は、外部コネクタの温度測定用の導通部と接合して電気的に接続される。このとき、外部コネクタの温度測定用の導通部は、導
通部材60、および導通部材用リング70を介して温度測定用導電体36と電気的に接続される。基体31は、一般的には絶縁体に分類される電気抵抗値を有する。しかしながら、基体31は、微弱ではあるが電流を通す。したがって、外部コネクタの温度測定用の導通部を介して導
通部材60とシリンダヘッド(接地電位)との間に所定電圧が印加されると、温度測定用導電体36と、基体31に接する他の導電体との間に電流が流れる。特に、発熱体32における連結部35およびその近傍部分に電流が集中する。連結部35およびその近傍は非常に高温となるため、その周囲の基体31は、他の位置の基体31に比べて電気的抵抗が低くなるからである。発熱体32における連結部35およびその近傍部分を流れる電流は、電極取出部34bを介してシリンダヘッドへと流れる。
【0039】
上述したように、基体31の電気抵抗値は、より高い温度である場合により小さくなる。そこで、以下のようにして、基体31の最高表面温度、すなわち、グロープラグ100の温度を測定できる。まず、外部コネクタの温度測定用の導通部、導
通部材60、導通部材用リング70、温度測定用導電体36、基体31、発熱体32、およびシリンダヘッドを含む電流経路を流れる電流値を測定し、かかる電流値と印加電圧とに基づき基体31の抵抗値を求める。なお、電流値の測定は、外部コネクタの温度測定用導通部およびシリンダヘッドに接続されている既知の電気抵抗値を有する温度測定用抵抗器の両端に生じる電位差を電圧計で検出することにより測定できる。そして、予め実験等により定めておいた基体31の電気抵抗値と基体31の最高表面温度との相関関係に照らして、基体31の電気抵抗値から基体31の最高表面温度を測定(推定)する。一般に、基体31の電気抵抗値が低い方が、基体31の最高表面温度は高い。
【0040】
A−2.温度測定用導電体の配置:
温度測定用導電体36の配置位置について、
図6ないし
図8、および上述の
図2を用いて詳細に説明する。
【0041】
図6は、温度測定用導電体36の配置位置を示す第1の説明図である。
図6(A)は、後述する外側輪郭領域AR1と温度測定用導電体36との位置関係を示し、
図6(B)は、後述する内側輪郭領域AR2と温度測定用導電体36との位置関係を示す。
図6(A)および(B)では、第1のリード部33aの軸線と第2のリード部33bの軸線とを含む仮想面(以下、「第1の仮想面」と呼ぶ)へ発熱体32および温度測定用導電体36を投影したときの、発熱体32および温度測定用導電体36の射影を表している。図示の便宜上、発熱体32の射影には、発熱体32と同じ符号を付し、温度測定用導電体36の射影には、温度測定用導電体36と同じ符号を付している。
【0042】
図6(A)において、外縁を太線で示しハッチングを施した外側輪郭領域AR1は、発熱体32の射影の外側の輪郭で画定される領域、換言すると、発熱体32の外側の輪郭を結んで得られる閉領域である。上述の「外側の輪郭」とは、発熱体32の射影の輪郭のうちの軸線OLから最も離れた位置の輪郭を含む概念である。本実施形態では、温度測定用導電体36の射影のうち、通電部37の射影全体と電極取出部38の射影のうちの軸線OL寄りの一部とが、外側輪郭領域AR1内に位置する。
【0043】
図6(B)において、外縁を太線で示しハッチングを施した内側輪郭領域AR2は、発熱体32の射影の内側の輪郭で画定される領域、換言すると、発熱体32の内側の輪郭を結んで得られる閉領域である。上述の「内側の輪郭」とは、発熱体32の射影の輪郭のうちの軸線OLに最も近い輪郭を含む概念である。本実施形態では、温度測定用導電体36の射影のうち、通電部37の射影全体と電極取出部38の射影のうちの軸線OL寄りの一部とが、内側輪郭領域AR2内に位置する。
【0044】
図7は、温度測定用導電体36の配置位置を示す第2の説明図である。
図8は、温度測定用導電体36の配置位置を示す第3の説明図である。
図7では、
図1に示すA−A断面を表している。
図7に示すように、第1のリード部33aの直径と第2のリード部33bの直径とはほぼ等しく、また、これら2つのリード部33a,33bの直径は、温度測定用導電体36の直径、具体的には通電部37の直径よりも大きい。例えば、2つのリード部33a,33bの直径を0.7mmとし、温度測定用導電体36の直径を0.3mmとしてもよい。温度測定用導電体36は、2つのリード部33a,33bの間において、Y軸方向に沿った略中央に配置されている。
【0045】
図8では、上述の第1の仮想面と垂直であり且つ軸線方向と平行な仮想面(以下、「第2の仮想面」と呼ぶ)へ発熱体32および温度測定用導電体36を投影したときの、発熱体32および温度測定用導電体36の射影を表している。なお、
図8では、基体31の第2の仮想面への射影も併せて示している。また、
図8では、基体31の射影、発熱体32の射影、および温度測定用導電体36の射影のうち、先端側の一部を表し、後端側は省略している。したがって、
図8では、発熱体32の射影として、一対のリード部33a,33bの射影が表されている。また、温度測定用導電体36の射影として、通電部37の射影が表されている。また、
図8では、
図7と同様に、図示の便宜上、発熱体32の射影には発熱体32と同じ符号を付し、温度測定用導電体36の射影には温度測定用導電体36と同じ符号を付し、基体31の射影には基体31と同じ符号を付している。
【0046】
図8に示すように、温度測定用導電体36の射影すなわち通電部37の射影は、発熱体32の射影すなわち一対のリード部33a,33bの射影の内部に位置している。換言すると、温度測定用導電体36の射影すなわち通電部37の射影は、発熱体32の射影に対して、第2の仮想面と平行であり且つ軸線方向と垂直な方向にオフセットせず、重なっている。
【0047】
図2,
図6(A)および
図6(B),および
図8に示すように、温度測定用導電体36の先端、すなわち、通電部37の先端(
図2に示す先端371)の射影は、連結部35の射影の後端BEよりも先端側に位置し、且つ、連結部35の射影に重ならない。換言すると、温度測定用導電体36の先端は、連結部35よりも内側に位置している。上述の「連結部35よりも内側」とは、連結部35の射影のうちの内側の輪郭よりも内側を意味する。
【0048】
温度測定用導電体36の配置位置が、上述のような位置であることによる効果について以下説明する。
図9は、本実施形態における温度測定用導電体36と発熱体32との位置関係を示す説明図である。
図9(A)は、温度測定用導電体36の位置ずれが無い場合の温度測定用導電体36および発熱体32を模式的に表している。
図9(B)は、温度測定用導電体36の配置位置のずれが有る場合の温度測定用導電体36および発熱体32を模式的に表している。上述の位置ずれとは、発熱体32に対する温度測定用導電体36の相対的な配置位置として予め設定されている位置(以下、「基準位置」と呼ぶ)に対して、実際の相対的な配置位置がずれていることを意味する。このような位置ずれは、製造バラツキによって、基体31における温度測定用導電体36の配置位置および基体31における温度測定用導電体36の配置位置のうちの少なくとも一方が、予め設定されている位置からずれた場合に生じ得る。
図9(A),(B)では、第1のリード部33aにおいて、温度測定用導電体36との間で電流が流れる領域、つまり、第1のリード部33aの外周表面において軸線OL寄り且つ先端寄りの領域AR11を、ハッチングで表わしている。同様に、第2のリード部33bにおいて、温度測定用導電体36との間で電流が流れる領域、つまり、第2のリード部33bの外周表面において軸線OL寄り且つ先端寄りの領域AR12を、ハッチングで表わしている。
【0049】
上述のように、第1の仮想面への温度測定用導電体36の射影が、
図6に示す外側輪郭領域AR1の内部、且つ、内側輪郭領域AR2の内部に位置するように、基体31内において、温度測定用導電体36が配置されている。このため、製造バラツキ等に起因して温度測定用導電体36の配置位置が、基準位置からずれても、温度測定用導電体36と発熱体32との間の基体31の合計体積のずれが抑制される。
図9(A)に示す位置ずれが無い場合には、温度測定用導電体36と第1のリード部33aとの間の距離d1aと、温度測定用導電体36と第2のリード部33bとの間の距離d1bとは、略等しい。これに対して、
図9(B)に示す位置ずれが有る場合には、温度測定用導電体36と第1のリード部33aとの間の距離d2aは、位置ずれが無い場合の距離d1aに比べて大きくなっている。これとは逆に、温度測定用導電体36と第2のリード部33bとの間の距離d2bは、位置ずれが無い場合の距離d1bに比べて小さくなっている。このため、温度測定用導電体36と領域AR11との間の基体31の体積と、温度測定用導電体36と領域AR12との間の基体31の体積との合計体積は、位置ずれが無い場合と有る場合とでほぼ等しい。したがって、温度測定用導電体36と発熱体32との間を流れる電流、すなわち、温度測定用導電体36と領域AR11との間を流れる電流と、温度測定用導電体36と領域AR12との間を流れる電流との合計電流値は、位置ずれが無い場合と有る場合とでほぼ等しい。よって、かかる電流に基づきグロープラグ100の温度を測定した場合に、測定精度の低下を抑制できる。
【0050】
図10は、比較例における温度測定用導電体136と発熱体132との位置関係を示す説明図である。
図10(A)は、位置ずれが無い場合の温度測定用導電体136と発熱体132との位置関係を示し、
図10(B)は、位置ずれが有る場合の温度測定用導電体136と発熱体132との位置関係を示す。比較例のグロープラグにおいて、発熱体132は、一対のリード部133a,133bと、これら2つのリード部133a,133bを連結する連結部135とを備えている。比較例のグロープラグにおいて、一対のリード部133a,133bの軸線を含む仮想平面へ温度測定用導電体136および発熱体132を投影したときに、温度測定用導電体136の射影は、発熱体132の外側輪郭領域の外側に位置する。換言すると、温度測定用導電体136の射影は、発熱体132の外側輪郭領域と重ならない。温度測定用導電体136は、一対のリード部133a,133bの軸線と略平行に配置されている。
図10(B)の例では、温度測定用導電体136は、
図10(A)に示す温度測定用導電体136の配置位置である基準位置に比べて、発熱体132から離れる方向にずれている。このため、位置ずれが有る場合の温度測定用導電体136と発熱体132との間の距離、すなわち、温度測定用導電体136とリード部133aとの間の距離d2cは、位置ずれが無い場合の温度測定用導電体136と発熱体132との間の距離、すなわち、温度測定用導電体136とリード部133aとの間の距離d1cに比べて大きい。ここで、
図10(A),(B)に示すような位置に温度測定用導電体136が配置されている場合、発熱体132において、温度測定用導電体136との間で電流が流れる領域は、リード部133aの外周面において温度測定用導電体136寄り且つ先端寄りの領域AR21となる。このため、位置ずれにより温度測定用導電体136とリード部133aとの間の距離が大きくなると、温度測定用導電体136と領域AR21との間の基体の体積は大きくなる。したがって、温度測定用導電体136と領域AR21との間を流れる電流、すなわち、温度測定用導電体136と発熱体132との間を流れる電流は、位置ずれが無い場合に比べて小さくなる。よって、かかる電流に基づきグロープラグの温度を推定した場合に、その測定精度は低下することとなる。
【0051】
また、
図8に示すように、第2の仮想面へ発熱体32および温度測定用導電体36を投影したときに、温度測定用導電体36の通電部37の射影は、発熱体32の射影の内部に位置している。したがって、温度測定用導電体36の位置ずれが無い場合と有る場合とにおける、通電部37と発熱体32との間の基体31の合計体積、より詳細には、通電部37と発熱体32のうちの通電部37との間で電流が流れる領域との間の基体31の合計体積の差をより低減できる。このため、温度の測定精度の低下をより抑制できる。
【0052】
また、通電部37の先端(
図2に示す先端371)の第1の仮想面への射影は、連結部35の射影の後端BEよりも先端側に位置し、且つ、連結部35の射影に重ならない。したがって、通電部37の先端が連結部35の射影の後端BEよりも後端側に位置する場合に比べて、通電部37の先端は、連結部35により近い位置に配置されてより高温となる。このため、通電部37と発熱体32との間を流れる電流は、基体31のうち、より高温となって抵抗値がより小さい部分を流れることとなり、より大きな電流が測定される。したがって、かかる電流の値をノイズと容易に区別でき、電流値を正確に測定してグロープラグ100の温度を精度良く測定できる。
【0053】
A−3.中軸の振動:
図11は、中軸40の共振振動を模式的に示す説明図である。
図11では、
図1から符号の一部を省略している。グロープラグ100が軸線方向と垂直な方向の振動を受けた場合、中軸40は、或る特定の周波数で共振振動する。例えば、
図11において太い破線で示すように共振振動する。このとき、中軸40の基部46に限らず、弾性部材80よりも後端側に位置して収容部材90に収容されている端子部44も振動する。グロープラグ100が振動を受けた際には、主体金具10に固定されている収容部材90も振動することとなる。ここで、収容部材90の共振周波数と、中軸40の共振周波数は互いに異なるので、収容部材90に固定されると共に中軸40の端子部44と接合されている外部コネクタには機械的負荷が掛かる。同様に、収容部材90および端子部44にも機械的負荷が掛かる。
【0054】
しかしながら、本実施形態のグロープラグ100は、軸線方向と径方向とにそれぞれ圧縮された弾性部材80を備え、中軸40は、弾性部材80の主孔82に貫通して配置されている。このため、弾性部材80によって中軸40の振動が吸収されて抑制されるので、端子部44の変位を抑制でき、端子部44と外部コネクタとの接合部に生じる機械的負荷を低減できる。これにより、部材の疲労破壊を抑制でき、グロープラグ100の機械的強度の低下を抑制でき、耐衝撃性の低下を抑制できる。
【0055】
本実施形態において、「変位」とは、軸線方向と垂直な方向、すなわち径方向における振幅を意味する。なお、中軸40の端子部44および基部46の変位は、例えば、振動試験機を用いて、加速度30G、周波数100Hzから2000Hzの振動を室温にて与えること等によって測定することができる。
【0056】
軸線OLに沿った弾性部材80の長さは、中軸40の振動を抑制する観点から、中軸40の基部46の径方向の長さの半分以上とすることが好ましく、基部46の径方向の長さ以上とすることがより好ましい。本実施形態のグロープラグ100において、軸線OLに沿った弾性部材80の長さは、中軸40の基部46の径方向の長さ、すなわち直径と等しい。このため、中軸40の振動を効果的に抑制できる。
【0057】
弾性部材80は、中軸40のうち特に端子部44の変位を抑制する観点から、中軸40の後端側に配置されることが好ましく、収容部材90の近くに配置されることがより好ましく、収容部材90と接触して配置されることがさらに好ましい。本実施形態のグロープラグ100では、弾性部材80と収容部材90とが互いに接触して配置されているので、端子部44の変位を効果的に抑制できる。
【0058】
なお、上述した端子部44は、請求項における中軸後端部の下位概念に相当する。また、導電体端子部66は、請求項における導通部材後端部の下位概念に相当する。
【0059】
A−4.グロープラグ100の製造:
上述の構成を有するグロープラグ100は、例えば以下のような工程を経て製造される。まず、プレス成形や射出成形などの成形方法により成形した基体31の半割体に、射出成形により成形した発熱体32および温度測定用導電体36をそれぞれ所定位置に配置し、さらにプレス成形や射出成形などの成形方法により、基体31の残りの半割り部分を成形する。本実施形態において上述の「成形した発熱体32」とは、射出成形により成形した2つのリード部33a,33bの成形体および、同じく射出成形により形成した連結部35の成形体を意味する。そして、得られた成形体に対して焼成および研削加工を行なうことにより、セラミックヒータ30を得る。次に、中軸用リング50と導通部材用リング70とにセラミックヒータ30を圧入すると共に、セラミックヒータ30の外周に外筒20を圧入によって組み付ける。さらに、中軸40を中軸用リング50に圧入後レーザ溶接で固定し、中軸40のうち弾性部材80の主孔82に挿入される部分よりも先端側の外周面と、中軸リング50の外周面とを、絶縁フィルム110で覆う。そして、
導通部材用リング70と導
通部材60とをレーザ溶接で固定する。これらの組み付け部材を主体金具10の軸孔18に挿入し、主体金具10と外筒20とを溶接する。その後、主体金具10の後端側から弾性部材80を挿入する。この際、挿入を容易にするために、弾性部材80の主孔82、副孔84、および主体金具10との接触面に、シリコンオイルなどの絶縁性耐熱オイルを塗布してもよい。そして、収容部材90によって弾性部材80を軸線OLに沿って圧縮した状態で、収容部材90を主体金具10に固定する。以上により、グロープラグ100が得られる。
【0060】
以上説明した本実施形態のグロープラグ100によれば、第1の仮想面へ発熱体32及び温度測定用導電体36を投影したときに、温度測定用導電体36の通電部37は、発熱体32の射影の外側の輪郭で画定される外側輪郭領域AR1の内部に位置するので、製造バラツキにより、発熱体32に対する温度測定用導電体36の相対位置のずれ(バラツキ)が生じても、温度測定用導電体36と第1のリード部33aとの間の基体31、および温度測定用導電体36と第2のリード部33bとの間の基体31の合計体積のバラツキを抑制できる。このため、温度測定用導電体36と発熱体32との間の電気抵抗のバラツキを抑制でき、グロープラグ100の温度の測定精度の低下を抑制できる。加えて、温度測定用導電体36の通電部37は基体31に埋設されているので、その一部が基体31の外周表面に露出する構成に比べて、グロープラグ100の設置環境の影響、例えば、燃焼室内の環境の影響等を抑制できる。このため、設置環境に起因する温度測定の精度低下を抑制できる。
【0061】
また、温度測定用導電体36の通電部37は、発熱体32の射影の内側の輪郭で画定される内側輪郭領域AR2の内部に位置するので、基体31内部における発熱体32に対する温度測定用導電体36の相対位置のバラツキが生じても、温度測定用導電体36と第1のリード部33aとの間の基体31、および温度測定用導電体36と第2のリード部33bとの間の基体31の合計体積のバラツキを、温度測定用導電体36の通電部37が内側輪郭領域AR2に重ならない場合に比べて、より抑制できる。このため、グロープラグ100の温度の測定精度の低下をより抑制できる。
【0062】
また、第1の仮想面と平行であり且つ軸線方向と垂直な方向である横方向(Y軸方向と平行な方向)において、発熱体32の中心位置は基体31の軸線の位置と重なるので、ヒータ30における発熱ムラが生じることを抑制できる。このため、ヒータ30の温度制御を精度良く実行できる。
【0063】
また、第2の仮想面へ発熱体32及び温度測定用導電体36を投影したときに、温度測定用導電体36の射影の少なくとも先端側の一部は、発熱体32の射影に重なるので、温度測定用導電体36の射影の少なくとも先端側の一部が発熱体32の射影に重ならない構成に比べて、温度測定用導電体36と第1のリード部33aとの間の基体31、および温度測定用導電体36と第2のリード部33bとの間の基体31の合計体積のバラツキをより抑制できる。
【0064】
また、第1の仮想面への温度測定用導電体36の射影における先端、すなわち、通電部37の先端371の射影は、第1の仮想面への連結部35の射影における後端BEよりも先端側に位置し、且つ、連結部35の射影に重ならないので、温度測定用導電体36の先端は、連結部35、すなわち、多量の熱を発する部位に近い位置に配置される。このため、温度測定用導電体36と発熱体32との間の基体31は高温となり抵抗値が小さくなる。したがって、温度測定用導電体36と発熱体32との間に流れる電流の電流値の絶対値を大きくできるので、測定電流値とノイズとを明確に区別でき、電流の測定精度を向上できる。
【0065】
また、本実施形態のグロープラグ100によれば、剛体である中軸40を備え、中軸40の後端部である端子部44を外部コネクタと直接接続できるので、グロープラグ100の構造の複雑化を抑制できる。このため、外部の電力を、グロープラグの内部に設けた接続端子を介して発熱体に導通させる構成や、中軸の後端部にバネ等の接合部材を備えることにより導通させる構成や、誘導電流により導通させる構成等と比較して、製造コストを低廉化でき、製造工程を簡略化できる。また、グロープラグ100の大型化を抑制できる。
【0066】
弾性部材80は、弾性を有する材料により形成されて容易に変形し得ると共に、滑り性を有する。このため、中軸40は、弾性部材80の主孔82の内部において軸線方向の可動性を有し、導通部材60は、弾性部材80の副孔84の内部において軸線方向の可動性を有する。したがって、主体金具10が軸線方向に圧縮された場合に、弾性部材80の変形および滑り性によって、中軸40および導通部材60が軸線方向に圧縮されることを抑制できる。それゆえ、グロープラグ100を内燃機関に装着する際に、セラミックヒータ30に応力が加わることを抑制でき、セラミックヒータ30の損傷を抑制できる。
【0067】
弾性部材80は、径方向に圧縮された状態で主体金具10に固定されているので、グロープラグ100が軸線方向と垂直な方向の振動を受けた場合に、共振振動による中軸40の振動を抑制できる。また、弾性部材80は、軸線方向に圧縮された状態で軸孔18に配置されているので、中軸40に径方向へ圧縮される力が作用することによって、中軸40の振動をより抑制できる。加えて、主体金具10と中軸40との間のシール性を向上できるので、グロープラグ100の内部に水分等が入ることを抑制できる。また、収容部材90を主体金具10に固定する際に、収容部材90が弾性部材80を押圧することによって弾性部材80が軸線OLに沿って圧縮されるので、弾性部材80の圧縮工程を簡略化できると共に、部品点数の増加を抑制できる。
【0068】
また、軸線OLに沿った弾性部材80の長さが中軸40の径方向の長さと等しいので、共振振動による中軸40の変位を効果的に抑制できる。また、弾性部材80は、収容部材90と接触して配置されているので、共振振動による端子部44の変位をより効果的に抑制できる。したがって、端子部44と外部コネクタとの接合部に生じる機械的負荷を低減でき、部材の疲労破壊を抑制でき、機械的強度の低下を抑制でき、耐衝撃性の低下を抑制できる。また、端子部44と外部コネクタとの間の接合部の擦れによる摩耗を抑制でき、接触抵抗の増加を抑制できる。
【0069】
また、弾性部材80が単一の部材により形成されているので、径方向に沿って複数の部材により弾性部材80が形成される構成と比較して、力点が軸線OLに沿った方向にずれることを抑制でき、中軸40の振動をより抑制できる。加えて、成形工程を簡略化できると共に、組み付け工程を簡略化できる。
【0070】
また、本実施形態のグロープラグ100は、中軸40と同様に導通部材60の共振振動も抑制できる。このため、導電体端子部66の変位を抑制でき、導電体端子部66と外部コネクタとの接合部に生じる機械的負荷を低減できる。
【0071】
また、本実施形態のグロープラグ100は、端子部44と導電体端子部66とを収容する防水性の収容部材90を備えるので、端子部44と導電体端子部66とを保護できる。このため、機械的強度の低い導電体端子部66の折損を抑制できると共に、水分および油分等に起因するノイズ電流の発生を抑制でき、電流値の検出精度の低下を抑制できる。
【0072】
A−5.実施例:
上述のグロープラグ100における、発熱体32に対する温度測定用導電体36の相対位置のずれによる温度測定の精度低下の抑制効果を確認するため、実際にグロープラグ100を製造し、かかるグロープラグ100を用いた温度測定の実験を行なった。具体的には、温度測定用導電体36を基準位置に配置してグロープラグ100を製造すると共に、かかる基準位置からずれた位置に温度測定用導電体36を配置してグロープラグ100を2つ製造した。これら合計3つのグロープラグ100に対して、それぞれセラミックヒータ30が1200℃になるような電圧を発熱体32に印加した状態で、温度測定用導電体36に50Vを印加して、温度測定用導電体36を流れる電流を測定し、かかる電流値から基体31の抵抗値を求めた。そして、基準位置に温度測定用導電体36を配置したグロープラグ100の抵抗値と、基準位置からずれた位置に温度測定用導電体36を配置した2つのグロープラグ100の抵抗値との差に基づき、温度測定の精度を評価した。
【0073】
なお、実施形態のグロープラグ100に加えて、比較例のグロープラグも製造した。比較例のグロープラグは、
図10に示す位置関係を有する温度測定用導電体136および発熱体132を備える。比較例のグロープラグとして、温度測定用導電体136を基準位置(この場合、比較例としての基準位置)に配置したグロープラグと、かかる基準位置からずれた位置に温度測定用導電体136を配置した2つのグロープラグとを製造した。これら合計3つのグロープラグに対して上述した実施例と同様に電圧を印加して、かかる電圧から基体の抵抗値を求め、実施例と同様に、温度測定の精度を評価した。
【0074】
図12は、温度測定用導電体の位置ずれ量と電気抵抗値誤差との関係を示す説明図である。
図12に示すグラフにおいて、横軸は、温度測定用導電体の位置ずれ量(mm:ミリメートル)を示す。実施例および比較例のいずれにおいても、プラスの位置ずれ量とは、基準位置から+Y方向への位置ずれを示し、マイナスの位置ずれ量とは、基準位置から−Y方向への位置ずれを示す。
図12に示すグラフにおいて、縦軸は、基準位置に温度測定用導電体が配置されているグロープラグの抵抗値を基準としたときの、他の2つのグロープラグの抵抗値の誤差(Ω:オーム)を示す。具体的には、基準位置に温度測定用導電体が配置されているグロープラグの抵抗値から、他の2つのグロープラグの抵抗値をそれぞれ差し引いて得られる差分を示す。
図12に示すグラフにおいて、実線で示す直線L1は、実施例の測定結果から導き出された抵抗値の誤差の傾向を示し、破線で示す直線L2は、比較例の測定結果から導き出された抵抗値の誤差の傾向を示す。
【0075】
図12に示すように、実施例では、温度測定用導電体36の位置ずれのある2つのグロープラグ100において、電気抵抗値の誤差は、0E+00〜+1E+04の範囲内の値であり、相対的に非常に小さかった。これに対して、比較例では、温度測定用導電体136の位置ずれのある2つのグロープラグにおいて、抵抗値の誤差は、−2E+04〜+3E+04の範囲内の値であり、相対的に大きかった。
【0076】
実施例のグロープラグ100では、温度測定用導電体36が、外側輪郭領域AR1、特に内側輪郭領域AR2内に位置しているので、Y軸方向の位置ずれが生じた場合であっても、温度測定用導電体36と発熱体32との間の基体31の合計体積の変化が抑制され、測定される基体31の抵抗値のずれが抑制されたためであると推測される。このように、発熱体32に対する温度測定用導電体36の相対位置のずれが生じた場合でも基体31の電気抵抗値のずれを抑制できるので、電気抵抗値から得られるグロープラグ100の温度の測定精度の低下を抑制できる。
【0077】
B.第2実施形態:
図13は、第2実施形態のグロープラグにおける連結部近傍の構成を拡大して示す部分拡大図である。
図14は、第2実施形態のグロープラグにおける温度測定用導電体の配置位置を示す第1の説明図である。
図15は、第2実施形態のグロープラグにおける温度測定用導電体の配置位置を示す第2の説明図である。
図14では、第2実施形態のグロープラグにおいて、
図1に示す第1実施形態のグロープラグ100におけるA−A断面と同様な位置での断面、すなわち、セラミックヒータ30の断面を示している。
図15では、第2実施形態の温度測定用導電体36a、特に通電部37aの先端側の射影と、発熱体32の先端側の射影と、基体31の先端側の射影とを示している。
図15における射影を得るための投影は、上述した第1実施形態において、
図8に示す射影を得るための投影と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0078】
第2実施形態のグロープラグは、温度測定用導電体36aが、温度測定のために用いられるのに加えて、燃焼室内に発生したイオンに基づくイオン電流値を検出するためにも用いられる。その具体的な構成については、温度測定用導電体36a、特に、通電部37aの配置位置において、第1実施形態のグロープラグ100と異なる。第2実施形態のグロープラグにおける他の構成要素は、第1実施形態のグロープラグ100の構成要素と同じであるので、同じ構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0079】
図14および
図15に示すように、第2実施形態のグロープラグにおいて、温度測定用導電体36a(通電部37a)の射影は、発熱体32(2つのリード部33a,33b)の射影に対して、−Z方向にオフセットされている。換言すると、温度測定用導電体36aの射影は、発熱体32の射影に対して、軸線方向と垂直な方向にオフセットされている。このような構成により、温度測定用導電体36aは、第1実施形態の温度測定用導電体36に比べて、基体31の外周表面により近い位置に配置されている。
【0080】
また、
図13に示すように、第2実施形態のグロープラグにおいて、温度測定用導電体36a(通電部37a)の先端371aの射影は、連結部35の射影における内側の輪郭に対して、軸線方向に沿ってより先端側に位置している。すなわち、温度測定用導電体36a(通電部37a)は、第1実施形態の温度測定用導電体36(通電部37)に比べて基体31においてより先端側に位置し、より高温となる位置に配置されている。
【0081】
燃料の燃焼によって、燃焼室内には大量のイオンが発生する。導通部材60を介して、温度測定用導電体36aとシリンダヘッドとの間にイオン電流検出用の電圧が印加されると、温度測定用導電体36aには火炎に起因するマイナスイオンが捕獲され、シリンダヘッドにはプラスイオンが捕獲される。これにより、温度測定用導電体36aとシリンダヘッドとの間に電流経路が形成されるため、既知の電気抵抗値を有する図示しないイオン電流検出用抵抗器の両端に発生した電位差を電圧計によって検出することにより、かかる電流経路を流れるイオン電流値が検出される。
【0082】
このとき検出されるイオン電流値は、非常に小さい。しかしながら、本実施形態のグロープラグは、防水機能を有する収容部材90を備えるため、水分および油分等に起因するノイズ電流の発生を抑制でき、イオン電流値の検出誤差を抑制できる。なお、検出されたイオン電流値は、燃焼室内における燃料の燃焼状態を推定するために用いられ、これにより、ユーザーの利便性が向上される。加えて、温度測定用導電体36aは、基体31の外周表面に近い位置に配置されているため、マイナスイオンをより多く捕獲でき、イオン電流としてより大きな電流値で測定できる。このため、測定電流値をノイズと明確に区別でき、イオン電流値の検出精度の低下を抑制できる。
【0083】
なお、第2実施形態のグロープラグにおいても、第1実施形態のグロープラグ100と同様に、温度測定用導電体36aとシリンダヘッドとの間に温度測定用の電圧を印加して、温度測定用導電体36aと発熱体32との間に流れる電流を測定し、かかる電流値に基づき基体31の抵抗値を特定して、グロープラグの温度を特定することもできる。ここで、第2実施形態のグロープラグでは、上述のように、第2の仮想面への温度測定用導電体36aの射影は、発熱体32の射影に対してオフセットしている。しかしながら、第1の仮想面への温度測定用導電体36aの射影は、発熱体32の射影の外側の輪郭で画定される外側輪郭領域の内部に位置するので、製造バラツキにより、発熱体32に対する温度測定用導電体36の相対位置のずれ(バラツキ)が生じても、温度測定用導電体36aと第1のリード部33aとの間の基体31、および温度測定用導電体36aと第2のリード部33bとの間の基体31の合計体積のバラツキを抑制できる。このため、温度測定用導電体36aと発熱体32との間の電気抵抗のバラツキを抑制でき、グロープラグの温度の測定精度の低下を抑制できる。そのうえ、温度測定用導電体36aの先端は、第1実施形態のグロープラグ100に比べてより先端側に位置し、より高温となる位置に配置されている。したがって、温度測定用導電体36aと発熱体32との間に流れる電流としてより大きな電流を測定できるため、測定された電流値とノイズとをより明確に区別でき、温度測定の精度低下を抑制できる。
【0084】
第2実施形態のグロープラグの製造方法は、セラミックヒータを得るための工程において、第1実施形態のグロープラグ100の製造方法と異なる。具体的には、基体31の半割体の所定位置に射出成形により成形した発熱体32を配置し、その上に、所定の厚さだけ基体の成形材料を配置し、更にその上に、射出成形により成形した温度測定用導電体36aを配置する。続いて、基体31の残りの部分を射出成形等により成形する。そして、得られた成形体に対して焼成および研削加工を行なうことにより、セラミックヒータ30を得る。
【0085】
以上説明した第2実施形態のグロープラグは、第1実施形態のグロープラグ100と同様な効果を有する。加えて、温度測定用導電体36a(通電部37a)の射影は、発熱体32(2つのリード部33a,33b)の射影に対して、−Z方向にオフセットされている。このため、温度測定用導電体36a(通電部37a)は、基体31の外周表面に近い位置に配置されている。したがって、温度測定用導電体36aは、火炎によって生じたマイナスイオンをより多く捕獲でき、イオン電流値としてより大きな電流値を検出できる。このため、測定電流値を、ノイズとより明確に区別でき、イオン電流値の検出精度の低下を抑制できる。
【0086】
また、温度測定用導電体36a(通電部37a)の先端371aの射影は、連結部35の射影における内側の輪郭に対して、軸線方向に沿ってより先端側に位置している。このように、温度測定用導電体36aの先端は、第1実施形態のグロープラグ100に比べてより先端側、すなわちより高温となる部位に位置しているので、温度測定用導電体36aと発熱体32との間に流れる電流としてより大きな電流を測定できる。このため、測定された電流値とノイズとをより明確に区別でき、温度測定の精度低下を抑制できる。
【0087】
C.第3実施形態:
図16は、第3実施形態のグロープラグにおける連結部近傍の構成を拡大して示す部分拡大図である。第3実施形態のグロープラグは、発熱体32に代えて発熱体32aを備える点において、第1実施形態のグロープラグ100と異なる。第3実施形態のグロープラグにおける他の構成要素は、第1実施形態のグロープラグ100の構成要素と同じであるので、同じ構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図16の下方左側は、上方中央に示す領域AR3を拡大して表している。
【0088】
第3実施形態における発熱体32aは、第1のリード部33cと、第2のリード部33dと、連結部35aとが、一体成形されている。したがって、第1のリード部33cと連結部35aとの境界、および第2のリード部33dと連結部35aとの境界が明らか(視認可能)でない。但し、発熱体32aの先端側の部位が一対の後端側の部位に比べて断面積が小さくなっている(なお、
図16では、幅方向に細い)。このため、先端側の相対的に断面積が小さい部位を連結部35aとし、一対の後端側の断面積が大きい部位を一対のリード部(第1のリード部33c、第2のリード部33d)と定義する。つまり、発熱体32aの断面積の小さい先端側の部位(連結部35a)と後端側の断面積が大きい部位(第1のリード部33c、第2のリード部33d)との境界が連結部35aの後端BEaとなる。
【0089】
そして、第3実施形態のグロープラグでは、
図16に示すように、温度測定用導電体36(通電部37)の先端371の射影は、連結部35の射影の後端よりも先端側に位置し、且つ、連結部35の射影に重ならない。
【0090】
以上説明した第3実施形態のグロープラグは、第1実施形態のグロープラグ100と同様な効果を有する。
【0091】
D.変形例:
D−1.変形例1:
各実施形態において、第1の仮想面への温度測定用導電体36,36aの射影は、いずれも外側輪郭領域AR1の内部に配置されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、温度測定用導電体36,36aの位置がY軸方向に平行にずれて、外側輪郭領域AR1の輪郭の一部が、温度測定用導電体36,36aの射影内部に位置してもよい。この構成では、温度測定用導電体36,36aの一部は、外側輪郭領域AR1の内部に位置するが、その他の部分は、外側輪郭領域AR1の外に位置する。また、温度測定用導電体36,36aの射影と、外側輪郭領域AR1とで、互いに輪郭の一部のみが重なり、他の部分は重ならない構成であってもよい。すなわち、一般には、温度測定用導電体36,36aの射影の少なくとも先端側の一部が外側輪郭領域AR1に重なるように、温度測定用導電体36,36aを配置してもよい。また、上述の各構成からも理解できるように、各実施形態では、通電部37,37aの射影のすべてが、外側輪郭領域AR1および内側輪郭領域AR2の内部に位置していたが、通電部37,37aの射影の少なくとも一部が、外側輪郭領域AR1または内側輪郭領域AR2と重ならなくても良い。
【0092】
D−2.変形例2:
第1,2実施形態では、発熱体32は、一対のリード部33a,33bの成形体と、連結部35の成形体との合計2つの成形体により構成されていた。また、第3実施形態では、発熱体32aは、1つの成形体により構成されていた。しかしながら、本発明は、これら実施形態に限定されず、発熱体は、3つ以上の任意の数の成形体により構成されてもよい。例えば、第1,2実施形態における連結部35に相当する部分が、2つの成形体により構成されてもよい。この場合、最も先端側に位置する成形体が、本発明における連結部に相当する。したがって、かかる構成を第1実施形態に適用した場合、温度測定用導電体36の先端、すなわち、通電部37の先端(
図2に示す先端371)の射影が、上述の最先端の成形体の射影の後端よりも先端側に位置し、且つ、最先端の成形体の射影に重ならないように、温度測定用導電体36が配置されることとなる。また、上記構成を第2実施形態に適用した場合、温度測定用導電体36a(通電部37a)の射影における先端371aが、最先端の成形体の射影における内側の輪郭に対して軸線方向に沿ってより先端側に位置するように、温度測定用導電体36aが配置されることとなる。
【0093】
D−3.変形例3:
第2実施形態において、温度測定用導電体36a(通電部37a)の先端371aの射影は、連結部35の射影における内側の輪郭に対して、軸線方向に沿ってより先端側に位置していたが、本発明は、これに限定されない。かかる先端371aの射影は、連結部35の射影における内側の輪郭と一致してもよい。かかる構成においても、第2実施形態と同様な効果を奏する。
【0094】
D−4.変形例4:
上記実施形態において、弾性部材80と収容部材90とは、軸線OLに沿った方向に互いに接触して配置されていたが、軸線OLに沿った方向に代えて、または軸線OLに沿った方向に加えて、径方向に互いに接触して配置されていてもよい。換言すると、弾性部材80の後端側の端面は、収容部材90の先端側の端面よりも後端側に位置していてもよい。また、弾性部材80と収容部材90とは、互いに離間して配置されていてもよい。このような構成によっても、実施形態のグロープラグ100と同様な効果を奏する。
【0095】
D−5.変形例5:
上記実施形態において、弾性部材80は、収容部材90によって軸線OLに沿って押圧されることにより圧縮されていたが、他の部材によって圧縮されていてもよい。例えば、弾性部材80と収容部材90とが互いに接触しない構成においては、グロープラグの後端近傍に配置された図示しない他の部材と、主体金具10とによって、弾性部材80が軸線OLに沿って圧縮されていてもよい。すなわち、一般には、弾性部材80は、軸線OLに沿って圧縮されて配置されていてもよい。また、軸線OLに沿った方向における弾性部材80の圧縮は、省略されてもよい。このような構成によっても、実施形態のグロープラグ100と同様な効果を奏する。
【0096】
D−6.変形例6:
上記実施形態において、軸線OLに沿った弾性部材80の長さは、中軸40の基部46の径方向の長さと等しかったが、本発明はこれに限定されるものではない。軸線OLに沿った弾性部材80の長さは、中軸40の基部46の径方向の長さよりも長くてもよく、短くてもよい。このような構成によっても、実施形態のグロープラグ100と同様な効果を奏する。
【0097】
D−7.変形例7:
第1,3実施形態のグロープラグ100において、温度測定用導電体36,36aは、グロープラグ100(セラミックヒータ30)の温度検出に用いられていた。また、第2実施形態のグロープラグでは、上記温度測定に加えて、イオン電流値の検出に用いられていた。しかしながら、本発明は、これに限定されない。温度測定用導電体36,36aは、上述の温度測定に加えて、例えば、セラミックヒータ30の異常等の推定や燃料室の圧力検出など、グロープラグ100またはセラミックヒータ30の状態、若しくは、グロープラグ100またはセラミックヒータ30の設置環境に関連する指標値を検出(センシング)するために用いられてもよい。
【0098】
D−8.変形例8:
上記実施形態のグロープラグ100は、ディーゼルエンジン等の内燃機関のシリンダヘッドに装着されて用いられていたが、例えば、バーナシステム等の可燃性ガスの着火源として用いられてもよい。
【0099】
D−9.変形例9:
上記実施形態におけるグロープラグ100の構成はあくまでも一例であり、種々変更可能である。例えば、発熱体32,32aと中軸40とは、セラミックヒータ30と中軸40とが中軸用リング50によって物理的に接続されることによって電気的に接続されていたが、他の部材を介して電気的に接続されていてもよい。また、セラミックヒータ30と中軸40とは、直接固定されていてもよい。また、例えば、温度測定用導電体36,36aと導通部材60とは、導通部材用リング70によって電気的に接続されていたが、剛体の他の部材を介して電気的に接続されていてもよく、直接固定されていてもよい。また、例えば、グロープラグ100は1つの弾性部材80を備えていたが、軸線OLに沿って互いに並んで配置される複数の弾性部材80を備えていてもよい。また、例えば、弾性部材80は、単一の部材により形成されていたが、複数の部材により形成されていてもよい。また、例えば、導通部材60の接続部64および弾性部材80の副孔84は、半円弧状の断面形状を有していたが、それぞれ直線状等の任意の断面形状を有していてもよい。このような構成によっても、実施形態のグロープラグ100と同様な効果を奏する。
【0100】
また、第1,2実施形態における一対のリード部33a,33bの直径は、通電部37の直径よりも大きかったが、これに代えて、通電部37の直径以下であってもよい。同様に、第3実施形態における一対のリード部33c,33dの直径は、通電部37の直径以下であってもよい。また、第1,2実施形態において、第1のリード部33aの軸線方向に沿った長さは、第2のリード部33bの軸線方向に沿った長さよりも長かったが、これに代えて、第1のリード部33aの軸線方向に沿った長さが第2のリード部33bの軸線方向に沿った長さ以下であってもよい。同様に、第3実施形態における第1のリード部33aの軸線方向に沿った長さは、第2のリード部33dの軸線方向に沿った長さ以下であってもよい。また、各リード部33a,33b,33c,33d、および温度測定用導電体36,36aの断面形状は、いずれも円形(真円)であったが、円形に代えて、他の任意の形状であってもよい。例えば、楕円や、矩形や、多角形など、任意の形状であってもよい。また、発熱体32,32aのY軸方向に沿った中心位置は、グロープラグ100の軸線OL、すなわち、基体31の軸線の位置と重なっていたが、かかる軸線の位置と重ならなくてもよい。また、電極取出部38は、導通部材用リング70を介して導通部材60と導通していたが、導通部材用リング70を介さずに導通部材60と直接接してもよい。
【0101】
本発明は、上述の実施形態、実施例および変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する本実施形態、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。