特許第6573516号(P6573516)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東洋ゴム工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6573516-空気入りタイヤ 図000003
  • 特許6573516-空気入りタイヤ 図000004
  • 特許6573516-空気入りタイヤ 図000005
  • 特許6573516-空気入りタイヤ 図000006
  • 特許6573516-空気入りタイヤ 図000007
  • 特許6573516-空気入りタイヤ 図000008
  • 特許6573516-空気入りタイヤ 図000009
  • 特許6573516-空気入りタイヤ 図000010
  • 特許6573516-空気入りタイヤ 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6573516
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 15/06 20060101AFI20190902BHJP
   B60C 13/00 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   B60C15/06 N
   B60C15/06 C
   B60C13/00 G
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-190151(P2015-190151)
(22)【出願日】2015年9月28日
(65)【公開番号】特開2017-65317(P2017-65317A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年8月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】泉原 優史
【審査官】 増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−116973(JP,A)
【文献】 特開2015−123942(JP,A)
【文献】 特開2015−134587(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 15/06
B60C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のビードコアと、
前記各ビードコアにそれぞれ連接されている一対のビードフィラーと、
前記ビードコア間に掛け渡されているプライと、
前記プライの外側に配置されているスチールチェーファーと、
前記ビードコアのヒール近傍から上方に向かって前記スチールチェーファーの外側に配置されている内側ナイロンチェーファーと、
前記内側ナイロンチェーファーの外側に配置されている外側ナイロンチェーファーと、
前記外側ナイロンチェーファーの外側に配置されている外側ゴム層と、
を備え、
前記ビードコアの基準位置から前記スチールチェーファーの外側端部までの距離をH1とし、
前記ビードコアの基準位置から前記プライの外側端部までの距離をH2とし、
前記ビードコアの基準位置から前記外側ナイロンチェーファーの外側端部までの距離をH3とし、
前記ビードコアの基準位置から前記スチールチェーファーの内側端部までの距離をH4とし、
前記ビードコアの基準位置から前記内側ナイロンチェーファーの上端部までの距離をH5とするとき、
H1<H2<H3<H4<H5
を満足し、
前記内側ナイロンチェーファーの上端部内縁と、前記ビードコアに連なるビードフィラーの内面との最短距離をT3とし、
前記内側ナイロンチェーファーの上端部外縁と、前記外側ゴム層の外面との最短距離をT4とするとき、
1.1×T3<H4<1.5×T3
を満足することを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記外側ナイロンチェーファーの外側端部内縁と、前記ビードフィラーの内面との間の最短距離をT1とし、
前記外側ナイロンチェーファーの外側端部外縁と、前記外側ゴム層の外面との間の最短距離をT2とするとき、
1.5×T2<T1<2.0×T2
を満足することを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記ビードフィラーと前記内側ナイロンチェーファーとの間にゴム層を設け、
前記ビードコアの基準位置から前記外側ナイロンチェーファーの内側端部までの距離をH6とするとき、H5とH6はほぼ等しく、
前記外側ナイロンチェーファーの外側端部から前記ゴム層の上端部までの距離をH7とするとき、
2.5×H7≦H5(H6)≦3.0×H7
を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
タイヤ高さをHとするとき、
0.10×H≦H2≦0.25×H
を満足することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
一対のビードコアと、
前記各ビードコアにそれぞれ連接されている一対のビードフィラーと、
前記ビードコア間に掛け渡されているプライと、
前記プライの外側に配置されているスチールチェーファーと、
前記ビードコアのヒール近傍から上方に向かって前記スチールチェーファーの外側に配置されている内側ナイロンチェーファーと、
前記内側ナイロンチェーファーの外側に配置されている外側ナイロンチェーファーと、
前記外側ナイロンチェーファーの外側に配置されている外側ゴム層と、
を備え、
前記ビードコアの基準位置から前記スチールチェーファーの外側端部までの距離をH1とし、
前記ビードコアの基準位置から前記プライの外側端部までの距離をH2とし、
前記ビードコアの基準位置から前記外側ナイロンチェーファーの外側端部までの距離をH3とし、
前記ビードコアの基準位置から前記スチールチェーファーの内側端部までの距離をH4とし、
前記ビードコアの基準位置から前記内側ナイロンチェーファーの上端部までの距離をH5とするとき、
H1<H2<H3<H4<H5
を満足し、
前記内側ナイロンチェーファーの上端部内縁と、前記ビードコアに連なるビードフィラーの内面との最短距離をT3とし、
前記内側ナイロンチェーファーの上端部外縁と、前記外側ゴム層の外面との最短距離をT4とするとき、
1.1×T3<H4<1.5×T3
を満足し、
前記ビードコアの基準位置から前記外側ナイロンチェーファーの内側端部までの距離をH6とするとき、
0.50×H2≦H1≦0.70×H2、
1.10×H2≦H3≦1.40×H2、
1.35×H2≦H4≦1.65×H2、
1.15×H2≦H5≦1.40×H2、及び
1.40×H2≦H6≦1.65×H2
を満足することを特徴とする気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空気入りタイヤとして、ビードコアの外側にスチールコード保護層を配置し、さらにその外側に有機繊維保護層を配置したものが公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また他の空気入りタイヤとして、ビードコアの外側にカーカス層を配置し、さらにその外側に積層された2層のレインフォース(保護層)を配置したものが公知である(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
しかしながら、前記いずれの空気入りタイヤであっても、保護層がビードコアの周囲の広い範囲に配置されている。このため、全体の重量が大きくなる。また走行中にタイヤ内部で発熱するが、その放熱が不十分となりやすい。このため、ビードコアからの剥離等が発生し、その耐久性が悪化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−67710号公報
【特許文献2】特開2014−118012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、重量の増大をもたらすことなく、走行時の各部品の歪を抑制しつつ、発熱によるビードコアの耐久性の悪化を防止することができる空気入りタイヤを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
一対のビードコアと、
前記各ビードコアにそれぞれ連接されている一対のビードフィラーと、
前記ビードコア間に掛け渡されているプライと、
前記プライの外側に配置されているスチールチェーファーと、
前記ビードコアのヒール近傍から上方に向かって前記スチールチェーファーの外側に配置されている内側ナイロンチェーファーと、
前記内側ナイロンチェーファーの外側に配置されている外側ナイロンチェーファーと、
前記外側ナイロンチェーファーの外側に配置されている外側ゴム層と、
を備え、
前記ビードコアの基準位置から前記スチールチェーファーの外側端部までの距離をH1とし、
前記ビードコアの基準位置から前記プライの外側端部までの距離をH2とし、
前記ビードコアの基準位置から前記外側ナイロンチェーファーの外側端部までの距離をH3とし、
前記ビードコアの基準位置から前記スチールチェーファーの内側端部までの距離をH4とし、
前記ビードコアの基準位置から前記内側ナイロンチェーファーの上端部までの距離をH5とするとき、
H1<H2<H3<H4<H5
を満足し、
前記内側ナイロンチェーファーの上端部内縁と、前記ビードコアに連なるビードフィラーの内面との最短距離をT3とし、
前記内側ナイロンチェーファーの上端部外縁と、前記外側ゴム層の外面との最短距離をT4とするとき、
1.1×T3<H4<1.5×T3
を満足する空気入りタイヤを提供する。
【0008】
この構成により、外側ナイロンチェーファーの外側端部よりも上方に位置する内側ナイロンチェーファーが、プライの外側端部の歪を効果的に防止する。これにより、ビード部での塑性変形を抑制し、その耐久性を向上させることが可能となる。また内側ナイロンチェーファーの下端部をビードコアのヒール近傍とすることにより、その下方側に十分な厚みのゴムを介在させることができる。さらに両ナイロンチェーファーの配置範囲を限定することにより全体の重量が抑制されている。また、内側ナイロンチェーファーの上端部外側の、厚みの大きくとれるゴムによって、内側ナイロンチェーファーの上端部での歪を抑制することができる。これにより、ビード部での塑性変形を抑制し、その耐久性を向上させることが可能となる。
【0009】
前記外側ナイロンチェーファーの外側端部内縁と、前記ビードフィラーの内面との間の最短距離をT1とし、
前記外側ナイロンチェーファーの外側端部外縁と、前記外側ゴム層の外面との間の最短距離をT2とするとき、
1.5×T2<T1<2.0×T2
を満足するのが好ましい。
【0010】
この構成により、外側ナイロンチェーファーの外側端部外側の、厚みの大きくとれるゴムによって外側ナイロンチェーファーの外側端部での歪を抑制することができる。これにより、ビード部での塑性変形を抑制し、その耐久性を向上させることが可能となる。
【0013】
前記ビードフィラーと前記内側ナイロンチェーファーとの間にゴム層を設け、
前記ビードコアの基準位置から前記外側ナイロンチェーファーの内側端部までの距離をH6とするとき、H5とH6はほぼ等しく、
前記外側ナイロンチェーファーの外側端部から前記ゴム層の上端部までの距離をH7とするとき、
2.5×H7≦H5(H6)≦3.0×H7
を満足するのが好ましい。
【0014】
この構成により、プライの外側端部とスチールチェーファーの内側端部の歪を抑制することができる。
【0015】
タイヤ高さをHとするとき、
0.10×H≦H2≦0.25×H
を満足するのが好ましい。
【0016】
この構成により、プライの外側端部の歪を抑制することができる。
【0017】
0.50×H2≦H1≦0.70×H2、
1.10×H2≦H3≦1.40×H2、
1.35×H2≦H4≦1.65×H2、
1.15×H2≦H5≦1.40×H2、及び
1.40×H2≦H6≦1.65×H2
を満足するのが好ましい。
【0018】
この構成により、構成部品の各端部での歪を抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ビードコアの基準位置からの各構成部品の端部までの距離を適正な関係とし、内側ナイロンチェーファーの配置範囲を制限するようにしたので、ビード部の耐久性を向上させつつ、軽量化を図ることができる。またビードコアの下方側に十分な量のゴムを介在させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態に係る空気入りタイヤの子午線半断面図である。
図2図1のビード部の拡大図である。
図3図2のスチールチェーファー、内側ナイロンチェーファー、及び外側ナイロンチェーファーの各ワイヤの傾斜方向を示す平面図である。
図4】比較例1に係る空気入りタイヤの子午線半断面図である。
図5】比較例2に係る空気入りタイヤの子午線半断面図である。
図6】比較例3に係る空気入りタイヤの子午線半断面図である。
図7】実施例1に係る空気入りタイヤの子午線半断面図である。
図8】実施例2に係る空気入りタイヤの子午線半断面図である。
図9】実施例3に係る空気入りタイヤの子午線半断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。また、図面は模式的なものであり、各距離の比率等は現実のものとは相違している。
【0022】
図1は、本実施形態に係る空気入りタイヤの子午線半断面図である。この空気入りタイヤは、トレッド部1、一対のサイド部2、及び一対のビード部3を備える。ビード部3の間にはプライ4(カーカスプライ)が掛け渡されている。プライ4のタイヤ内径側はインナーライナー5で構成されている。またトレッド部1では、プライ4のタイヤ外径側には、タイヤ周方向に向かって複数層にベルト6が巻き付けられている。以下、本発明の特徴部分であるビード部3について詳述する。
【0023】
図2に示すように、ビード部3は、ビードコア7と、その上方側に連続するビードフィラー8とを備える。ビードコア7は、複数本のビードワイヤを束ねて断面六角形とし、環状に連接したものである。ここでは、ビードコア7は、タイヤ内側に向かって長軸が徐々に下方に向かうように傾斜し、その最も突出した部分がトウ9、右下角部がヒール10である。ビードフィラー8は、ゴム材料を、断面三角形状で、ビードコア7の環状上面に沿って環状となるように形成したもので、ビードコア7を補強する。
【0024】
ビードコア7及びビードフィラー8の外面に沿ってプライ4の一端側が配置されている。プライ4の外側端部は、ビードフィラー8の長さ(ビードコア7からの突出距離)の約半分とされている。プライ4の外面にはスチールチェーファー11、内側ナイロンチェーファー12、及び外側ナイロンチェーファー13が、順次配置されている。
【0025】
図3に示すように、スチールチェーファー11は、複数本のスチールワイヤを並設し、ゴムで被覆して帯状としたものである。スチールワイヤ11aは、タイヤ周方向に対して傾斜して設けられている。傾斜方向を、タイヤ周方向に向かってタイヤ幅方向の外側をプラス、内側をマイナスとして表現すると、スチールワイヤ11aは、スチールチェーファー11を水平面内に配置した状態で、+20°〜−40°の範囲で傾斜角度αを設定されている。スチールチェーファー11は、ビードコア7の内側から外側へと巻き上げられて配置され、外側端部がビードコア7を若干超えて上方に延び、内側端部がビードフィラー8の長さの半分を若干超えている。
【0026】
内側ナイロンチェーファー12は、複数本のナイロンワイヤ12aを並設し、ゴムで被覆して帯状としたものである。ナイロンワイヤ12aは、内側ナイロンチェーファー12を水平面内に配置した状態で、−30°〜−50°の範囲で傾斜角度βを設定されている。内側ナイロンチェーファー12は、ビードコア7の外面側に配置されたスチールチェーファー11の外面側に配置されている。そして、内側ナイロンチェーファー12は、下端部が下端側のビードコア7のヒール近傍から上方へと延び、上端部が前記プライ4の外側端部を超えている。内側ナイロンチェーファー12の下端部をビードコア7のヒール近傍とすることにより、ビードコア7の下方側には位置していない。
【0027】
図2に戻って、内側ナイロンチェーファー12とビードフィラー8と間には、プライ4及びスチールチェーファー11の外側端部よりも上方側の部分に内側ゴム層14が形成されている。内側ゴム層14は、内側ナイロンチェーファー12の上端部よりも上方まで延びている。
【0028】
図3に示すように、外側ナイロンチェーファー13は、前記内側ナイロンチェーファー12と同様に、複数本のナイロンワイヤ13aを並設し、ゴムで被覆して帯状とした構成である。ナイロンワイヤ13aは、外側ナイロンチェーファー13を水平面内に配置した状態で、+30°〜+50°の範囲で傾斜角度γを設定されている。つまり、内側ナイロンチェーファー12のナイロンワイヤとはタイヤ周方向に対して逆方向に傾斜している。外側ナイロンチェーファー13は、スチールチェーファー11の外面側に配置されている。外側ナイロンチェーファー13の内側端部は、スチールチェーファー11の内側端部よりも若干上方に延び、外側端部は内側ナイロンチェーファー12の外側端部よりも若干下方に位置している。
【0029】
図2に戻って、外側ナイロンチェーファー13の下方側外面にはチェーファーゴム層15が配置されている。前述のように、内側ナイロンチェーファー12の下端部がビードコア7のヒール近傍から始まっており、下方側までは延びていない。このため、内側ナイロンチェーファー12がない分、チェーファーゴム層15の厚みを大きくすることができる。
【0030】
なお、外側ナイロンチェーファー13、そこから上方側に露出する内側ナイロンチェーファー12、さらにそこから上方側に露出する内側ゴム層14、さらにそこから上方側に露出するビードフィラー8、及びその上方側のプライ4の一部を覆う中間ゴム層16が形成されている。中間ゴム層16の下半部はチェーファーゴム層15によって覆われ、このチェーファーゴム層15と中間ゴム層16の上方部分はサイド部2を構成する外側ゴム層17によって覆われている。
【0031】
ここで、ビード部3を構成する各部材の距離関係について、ビード部3の基準位置(基準線)BLからの距離に基づいて説明する。なお、ビード部3の基準位置BLには、ビードコア7の最下端位置と外側ナイロンチェーファー13の最下端位置との間の任意の位置を使用している。
【0032】
各部材間の距離を以下のように設定する。
タイヤ高さ:H
前記基準位置BLからのスチールチェーファー11の外側端部までの距離:H1
前記基準位置BLからのプライ4の外側端部までの距離:H2
前記基準位置BLからの外側ナイロンチェーファー13の外側端部までの距離:H3
前記基準位置BLからのスチールチェーファー11の内側端部までの距離:H4
前記基準位置BLからの内側ナイロンチェーファー12の上端部までの距離:H5
前記基準位置BLからの外側ナイロンチェーファーの内側端部までの距離:H6
外側ナイロンチェーファーの外側端部からゴム層の上端部までの距離:H7
外側ナイロンチェーファーの外側端部内縁と、ビードフィラー8の内面との間の最短距離:T1
外側ナイロンチェーファーの外側端部外縁と、外側ゴム層17の外面との間の最短距離:T2
内側ナイロンチェーファー12の上端部内縁と、ビードコア7に連なるビードフィラー8の内面との最短距離:T3
内側ナイロンチェーファー12の上端部外縁と、外側ゴム層17の外面との最短距離:T4
【0033】
以上のように各距離を設定すると、以下の関係(1)〜(10)が成立している。但し、これらの関係は単独でも成立するし、適宜組み合わせても成立する。
H1<H2<H3<H4<H5 …(1)
1.5×T2<T1<2.0×T2 …(2)
1.1×T3<T4<1.5×T3 …(3)
2.5×H7≦H5(H6)≦3.0×H7(H5とH6はほぼ等しい) …(4)
0.10×H≦H2≦0.25×H …(5)
0.50×H2≦H1≦0.70×H2 …(6)
1.10×H2≦H3≦1.40×H2 …(7)
1.35×H2≦H4≦1.65×H2 …(8)
1.15×H2≦H5≦1.40×H2 …(9)
1.40×H2≦H6≦1.65×H2 …(10)
【0034】
特に、前記(1)を満足する構成により、各部材の端部の位置が厚み方向に重なることがなく、歪の発生等を効果的に防止することができる。またビード部3の外面側でのゴム層を、内側ゴム層14、中間ゴム層16及び外側ゴム層17で構成して、外方への突出寸法を抑えつつ十分な厚みを持たせることができる。内側ナイロンチェーファー12でプライ4の外側端部を押さえ込むことができるので、その部分での歪の発生を効果的に防止することができる。
【0035】
また、前記(4)を満足する構成により、内側ナイロンチェーファー12の上方端部と、外側ナイロンチェーファー13の内側端部とによるプライ4の押さえ込み状態を同等なものとすることができる。これにより、プライ4の外側端部とスチールチェーファー11の内側端部の歪を抑制することができる。そして、内側ナイロンチェーファー12によって押さえられていない内側ゴム層14の基準位置BLからの高さに対する割合を約70%とすることで、必要以上に厚みを増大させて重量が大きくなることを防止している。
【0036】
さらに、前記(6)〜(10)を満足する構成により、各部材の配置バランスを適切なものとして、各部材端での歪の発生を抑制することができる。
【実施例】
【0037】
次のように、ビード部3の断面形状が種々の構成ものについて、耐久性及び重量を調べた結果を示す。この場合、空気入りタイヤを22.5×7.50のリムに組み付け、空気を充填して内圧を900kPaとし、半径1.7mの表面が平坦なスチールドラム上にJATMA基準荷重の210%で圧着し、室温は40℃の下、40km/hで168時間走行する毎に負荷荷重を10%ずつ増やし、ビード部3が破壊するまで走行させた。表1中、耐久性の欄では比較例2を基準値100とし、他を指数表示した。数値が大きい程、耐久性に優れていることを示す。また重量の欄では、同じく比較例2での重量を基準値100として、他を指数表示した。数値が小さい程、重量が小さいことを示す。
【0038】
比較例1では、図4に示すように、内側ナイロンチェーファー(nylon chafer : NC)12をビードコア7の周囲に配置し(巻き込み)、外側ナイロンチェーファー13の下端部をヒール10の近傍としている(ヒール止め)。またT4<T3とし、H5=3.5×H7で、前記(4)の上限値よりも大きくし、H6=2.75×H7で、前記(4)の範囲内としている。
比較例2では、図5に示すように、内側ナイロンチェーファー12の下端部をビードコア7のヒール10の近傍とし、外側ナイロンチェーファーをビードコア7の周囲に配置している。またT3<T4とし、H5=3.2×H7、H6=3.3×H7で、いずれも前記(4)の上限値よりも大きくしている。
比較例3では、図6に示すように、内側ナイロンチェーファー12の下端部をビードコア7のヒール10の近傍とし、外側ナイロンチェーファーをビードコア7の周囲に配置している。またT4<T3とし、H5=2.3×H7、H6=2.2×H7で、いずれも前記(4)の下限値よりも小さくしている。
実施例1では、図7に示すように、内側ナイロンチェーファー12の下端部をビードコア7のヒール10の近傍とし、外側ナイロンチェーファーをビードコア7の周囲に配置している。またT3<T4とし、H5=2.65×H7、H6=2.75×H7で、いずれも前記(4)の範囲内としている。
実施例2では、図8に示すように、内側ナイロンチェーファー12の下端部をビードコア7のヒール10の近傍とし、外側ナイロンチェーファーをビードコア7の周囲に配置している。またT3<T4とし、H5=2.9×H7、H6=3.0×H7で、いずれも前記(4)の範囲内としている。
実施例3では、図9に示すように、内側ナイロンチェーファー12の下端部をビードコア7のヒール10の近傍とし、外側ナイロンチェーファーをビードコア7の周囲に配置している。またT3<T4とし、H5=2.5×H7、H6=2.6×H7で、いずれも前記(4)の範囲内としている。
【0039】
【表1】
【0040】
以上の結果から明らかなように、内側ナイロンチェーファー12の下端部をビードコア7のヒール近傍とし、外側ナイロンチェーファーをビードコア7の周囲に配置し、H5,H6をいずれも前記(4)の範囲内とすることで、ビード部3の耐久性を向上させると共に重量を抑えることができた。これに対し、内側ナイロンチェーファー12をビードコア7の周囲に配置し、外側ナイロンチェーファー13の下端部をヒール近傍とした比較例1ではビード部3の重量が増大していた。またH5,H6をいずれも前記(4)の下限値よりも小さくした比較例3では、ビード部3の耐久性が悪化していた。
【符号の説明】
【0041】
1…トレッド部
2…サイド部
3…ビード部
4…プライ
5…インナーライナー
6…ベルト
7…ビードコア
8…ビードフィラー
9…トウ
10…ヒール
11…スチールチェーファー
12…内側ナイロンチェーファー
13…外側ナイロンチェーファー
14…内側ゴム層
15…チェーファーゴム層
16…中間ゴム層
17…外側ゴム層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9