特許第6573530号(P6573530)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6573530
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】熱交換器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 53/08 20060101AFI20190902BHJP
   F28F 9/00 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   B21D53/08 L
   F28F9/00 321
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-214579(P2015-214579)
(22)【出願日】2015年10月30日
(65)【公開番号】特開2017-80795(P2017-80795A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森山 伸
(72)【発明者】
【氏名】高井 則良
(72)【発明者】
【氏名】野村 明男
(72)【発明者】
【氏名】若月 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】佐野 充邦
(72)【発明者】
【氏名】石井 克弥
【審査官】 飯田 義久
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−241620(JP,A)
【文献】 特開2002−224756(JP,A)
【文献】 実開昭48−111649(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 53/08
F28F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に間隔をあけて設けられた複数のフィンと、前記複数のフィンを第1方向に貫通するとともに、冷媒が流通する熱交換パイプと、を有する熱交換器の製造方法であって、
前記熱交換器における前記第1方向の第1端部のうち、前記複数のフィンに対して前記第1方向の外側に配置された端板を、前記第1方向における前記熱交換器の外側から治具により支持するとともに、前記第1方向に交差する第2方向から前記第1端部をクランパにより挟持するセット工程と、
前記治具とともに前記クランパを前記第2方向に回動させ、前記熱交換パイプの前記第1端部を前記第2方向に曲げる曲げ工程と、を有し
前記端板は、前記第1方向で前記フィンに重なり合う端板本体、及び前記端板本体における前記第2方向の両端部から前記第1方向における前記熱交換器の外側に延びるフランジ部を有し、
前記セット工程では、前記治具を前記フランジ部の内側に進入させる、
熱交換器の製造方法。
【請求項2】
請求項に記載の熱交換器の製造方法であって、
前記端板は、前記フランジ部を前記第2方向に貫通する端板係合孔を有し、
前記セット工程では、前記クランパの係合ピンを前記端板係合孔に係合させる、
熱交換器の製造方法。
【請求項3】
請求項に記載の熱交換器の製造方法であって、
前記治具のうち、前記端板係合孔に前記第2方向で重なる位置には、治具側係合孔が形成され、
前記セット工程では、前記端板係合孔及び前記治具側係合孔に前記係合ピンを係合させる、
熱交換器の製造方法。
【請求項4】
請求項1から請求項の何れか1項に記載の熱交換器の製造方法であって、
前記セット工程では、前記第1方向における前記熱交換器の外側から前記熱交換パイプ内に前記治具の位置決めピンを挿通する、
熱交換器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、熱交換器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置の室外機等には、冷媒と空気との間で熱交換を行うための熱交換器が搭載されている。熱交換器は、間隔をあけて設けられた複数のフィンと、複数のフィンの積層方向の両側に配置された端板と、複数のフィン及び端板を積層方向に貫通する熱交換パイプと、を備えている。熱交換器は、室外機のケーシング内に圧縮機やファン等とともに収容されている。
【0003】
上述した室外機では、ケーシングの小型化を図った上で、熱交換器の前面面積を確保することが望まれている。そのため、熱交換器は、ケーシングの内面に倣ってL字状やU字状に屈曲された状態でケーシング内に収納される場合がある。この場合、熱交換器の曲げ部分の寸法は、ケーシングの寸法や、ケーシング内でのレイアウトによって設定される。
【0004】
しかしながら、上述した熱交換器では、曲げ部分の寸法が小さいと、曲げ加工時の加工性に劣る場合があった。具体的に、熱交換器の曲げ部分は、平板状に作製された熱交換器のフィン及び端板をクランプした状態で曲げ加工を行い、熱交換パイプを屈曲させることで形成される。このとき、曲げ部分の寸法が小さいと、曲げ加工時のクランプ代を確保することができない。クランプ代が確保できない状態で曲げ加工を行うと、熱交換パイプに効果的に曲げ荷重を付与することができず、例えば熱交換パイプに対してフィンや端板が変形する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−224756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、熱交換器の曲げ加工時の加工性を向上させることができる熱交換器の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の熱交換器の製造方法は、複数のフィンと、熱交換パイプと、を持つ熱交換器の製造方法である。複数のフィンは第1方向に間隔をあけて設けられる。熱交換パイプは、複数のフィンを第1方向に貫通するとともに、冷媒が流通する。熱交換器における第1方向の第1端部のうち、前記複数のフィンに対して前記第1方向の外側に配置された端板を、第1方向における熱交換器の外側から治具により支持するとともに、第1方向に交差する第2方向から第1端部をクランパにより挟持するセット工程と、治具とともにクランパを第2方向に回動させ、熱交換パイプの第1端部を第2方向に曲げる曲げ工程と、を有する。端板は、第1方向で前記フィンに重なり合う端板本体、及び端板本体における第2方向の両端部から第1方向における熱交換器の外側に延びるフランジ部を有する。セット工程では、治具を前記フランジ部の内側に進入させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態において、天板を取り外した状態を示す空気調和装置の室外機の概略平面図。
図2】熱交換器の拡大斜視図。
図3】曲げ加工装置の概略構成図。
図4】クランプ工程を説明するための工程図であって、図3に相当する曲げ加工装置の概略構成図。
図5】曲げ工程を説明するための工程図であって、図3に相当する曲げ加工装置の概略構成図。
図6】曲げ工程を説明するための工程図であって、図3に相当する曲げ加工装置の概略構成図。
図7】第2の実施形態における治具装着工程を説明するための工程図であって、曲げ加工装置の概略構成図。
図8】第3の実施形態におけるクランプ工程を説明するための説明図であって、曲げ加工装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態の熱交換器の製造方法を、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
まず、熱交換器1を備えた空気調和装置の室外機10について説明する。図1は、室外機10において、天板を取り外した状態を示す概略平面図である。
図1に示すように、室外機10は、図示しない室内機とともに、冷凍サイクル装置である空気調和装置を構成している。室外機10は、熱交換器1やファン2、機器ユニット3等がケーシング4内に収容されて構成されている。
【0010】
ケーシング4は、例えば前後方向を短手方向とする平面視長方形状の箱型に形成されている。ケーシング4には、ケーシング4内を機器収容部11とファン収容部12とに仕切る仕切壁13が配設されている。図1の例において、仕切壁13は、平面視でL字状に形成されている。すなわち、仕切壁13は、前壁4aから後方に延在した後、一方の側壁4bに向けて延在している。なお、ケーシング4には、ケーシング4内外を連通させる図示しない通風口が形成されている。
【0011】
機器ユニット3は、ケーシング4の機器収容部11内に収容されている。機器ユニット3は、例えば圧縮機15やアキュムレータ16、図示しない四方弁、膨張弁、各種配管等を有している。
【0012】
ファン2は、ケーシング4の通風口を通してケーシング4の内外に空気を流通させる。ファン2は、ケーシング4のファン収容部12内において、前壁4a寄りの位置に収容されている。ファン2は、ケーシング4の前後方向に延びる図示しない回転軸周りに回転可能に構成されている。
【0013】
熱交換器1は、ケーシング4内に取り込まれた空気と、冷媒と、の間で熱交換を行うものである。この場合、熱交換器1は、空気調和装置の暖房運転時に蒸発器として機能し、冷房運転時に凝縮器として機能する。熱交換器1は、図示しない冷媒配管を通して上述した圧縮機15等に接続されている。
【0014】
図2は、熱交換器1の拡大斜視図である。
図2に示すように、熱交換器1は、第1フィン積層体21及び第2フィン積層体22と、端板23,24と、を有している。
第1フィン積層体21は、間隔をあけて設けられた複数のフィン31と、複数のフィン31を積層方向に貫通する熱交換パイプ25と、を備えている。フィン31は、熱伝導率が優れた材料(例えばアルミニウム等)により形成されている。フィン31は、短冊状に形成されている。なお、以下の説明では、熱交換器1において、フィン31の積層方向(フィン31の厚さ方向)を単に積層方向といい、フィン31の長手方向を単に長手方向、フィン31の幅方向を単に幅方向という場合がある。
【0015】
フィン31には、フィン31を積層方向に貫通する図示しないフィン貫通孔が形成されている。フィン貫通孔は、長手方向に間隔をあけて複数形成されている。フィン31は、積層方向に間隔をあけた状態で、かつ隣り合うフィン31同士において、長手方向で対応するフィン貫通孔が重ね合わされた状態で積層されている。第1フィン積層体21において、各フィン31間に形成される隙間には、空気が流通するようになっている。
【0016】
第2フィン積層体22は、第1フィン積層体21に対して幅方向に隣接して配置されている。第2フィン積層体22は、第1フィン積層体21と同様に、間隔をあけて積層された複数のフィン31と、複数のフィン31を積層方向に貫通する熱交換パイプ25と、を備えている。なお、フィン積層体21,22は、2列に限らず、1列や3列以上の複数列であっても構わない。
【0017】
端板23,24のうち第1端板23は、フィン積層体21,22に対して積層方向の一端側に配置されている。第1端板23は、平面視において、積層方向の一端側に開口するコ字状に形成されている。具体的に、第1端板23は、端板本体35と、一対のフランジ部36と、を備えている。
【0018】
端板本体35は、各フィン積層体21,22を積層方向における一端側からまとめて覆っている。端板本体35には、端板本体35を積層方向に貫通する端板貫通孔35aが形成されている。各端板貫通孔35aは、上述したフィン貫通孔に積層方向で重なり合っている。
フランジ部36は、端板本体35における幅方向の両端縁から積層方向の外側(フィン積層体21,22から離間する向き)に向けて突設されている。本実施形態において、フランジ部36は、端板本体35の長手方向全域に亘って形成されている。また、各フランジ部36には、フランジ部36を幅方向に貫通する端板係合孔38が形成されている。端板係合孔38は、フランジ部36において、長手方向に間隔をあけて複数配列されている。
【0019】
図1に示すように、端板23,24のうち第2端板24は、フィン積層体21,22に対して積層方向の他端側に配置されている。第2端板24は、各フィン積層体21,22を積層方向の他端側から各別に覆っている。なお、第2端板の24うち、積層方向でフィン貫通孔に重なる部分には、第2端板24を積層方向に貫通する端板貫通孔(不図示)が形成されている。
【0020】
図2に示すように、熱交換パイプ25は、熱伝導率に優れた材料(例えば銅等)により形成されている。熱交換パイプ25は、貫通部41と、リターン部42と、を有している。
貫通部41は、対応するフィン貫通孔及び端板貫通孔(例えば、端板貫通孔35a)内にそれぞれ嵌合され、フィン31及び各端板23,24を積層方向に貫通している。
【0021】
リターン部42は、積層方向の外側に向けて凸のU字状に形成されている。リターン部42の両端部は、各端板23,24における積層方向の外側において、対応する2つの貫通部41同士を接続している。なお、リターン部42が接続された貫通部41以外の貫通部41のうち、各端板23,24に対して積層方向の外側に位置する部分は、貫通部41に対して拡径されたフレア部43を構成している。フレア部43は、図示しないヘッダや冷媒配管を介して圧縮機15(図1参照)に接続される。
【0022】
図1に示すように、上述した熱交換器1は、熱交換パイプ25の貫通部41が平面視でU字状に屈曲されることで、全体の平面視形状がU字状に形成されている。この場合、熱交換器1は、ファン収容部12内において、ケーシング4の後壁4c及び側壁4b,4dの内面形状に倣って配置されている。
【0023】
熱交換器1は、主辺部51と、一対の側辺部(第1側辺部52及び第2側辺部53)と、を有している。
主辺部51は、平面視において、後壁4cに沿って延設されている。
第1側辺部52は、後壁4cから側壁4bに跨って配置されている。図1の例において、第1側辺部52の基端部は、平面視で円弧状に形成されている。また、第1側辺部52の前端部は、ケーシング4の前後方向に延びる直線状に形成されている。但し、第1側辺部52における直線部(前端部)長さは極めて短い。
【0024】
第2側辺部53は、後壁4cから側壁4dに跨って配置されている。図1の例において、第2側辺部53の基端部は、平面視で円弧状に形成されている。また、第2側辺部53の前端部は、ケーシング4の前後方向に延びる直線状に形成されている。第2側辺部53の直線部(前端部)の長さは、第1側辺部52の直線部の長さより長い。したがって、第2側辺部53における前後方向の長さL2は、第1側辺部52における前後方向の長さL1よりも長くなっている。
【0025】
図3は、曲げ加工装置60の概略構成図(側面図)である。
次に、上述した熱交換器1の側辺部52,53を形成するための曲げ加工装置60について説明する。なお、以下の説明では、必要に応じてX,Y,Zの直交座標を用いて説明する。また、以下の説明では、各座標の矢印方向を+側といい、矢印方向と反対方向を−側という。本実施形態において、+Z側は上方に一致している。
図3に示す曲げ加工装置60は、平板状の熱交換器1(熱交換パイプ25)に対して曲げ加工を行うものである。曲げ加工装置60は、テーブル61と、曲げポンチ62と、下側クランパ63と、治具64と、を主に有している。
【0026】
テーブル61は、熱交換器1が載置可能に構成されている。具体的に、テーブル61は、Z方向に直交する方向(XY方向)に延びる板状に形成されている。テーブル61は、Z方向及びX方向に移動可能に構成されている。なお、テーブル61は、図示しない付勢部材によって−X側に付勢されている。
【0027】
曲げポンチ62は、テーブル61における+X側端部に対して+Z側に配置されている。曲げポンチ62は、曲げ駒71と、上側クランパ72と、を備えている。曲げポンチ62におけるY方向の長さは、フィン31の長手方向の長さよりも長く形成されている。
曲げ駒71は、Y方向から見た側面視で円形状に形成されている。曲げ駒71は、曲げ駒71の中心を通り、Y方向に延びる回転軸C周りに回動可能に構成されている。
上側クランパ72は、曲げ駒71の−Z側端部に一体に連結されている。すなわち、上側クランパ72は、曲げ駒71の回転に伴い、曲げ駒71とともに回転軸C周りに回動する。また、上側クランパ72は、XY方向に延在している。
【0028】
下側クランパ63は、上側クランパ72に対して−Z側に対向配置されている。下側クランパ63は、XY方向に延在している。下側クランパ63は、Z方向に移動可能に構成されるとともに、回動軸C周りに回動可能に構成されている。
【0029】
治具64は、一対の支持板(第1支持板75及び第2支持板76)と、各支持板75,76の間に挟持されたスペーサ80と、を有している。なお、治具64は、一体で形成しても構わない。
【0030】
各支持板75,76は、スペーサ80に対してZ方向の両側に配置されている。なお、各支持板75,76は、XY方向に延びる図示しない対称面に対して面対称に形成されている。したがって、以下の説明では、第1支持板75について主に説明し、第2支持板76において第1支持板75と同様の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0031】
第1支持板75は、スペーサ80に対して−X側に突出している。第1支持板75は、−X側に位置する部分が薄肉に形成された段付き形状に形成されている。具体的に、第1支持板75は、+X側に位置する基部77と、基部77から−X側に突出する差込部78と、を有している。
基部77は、全体が一様な厚さに形成されている。
【0032】
差込部78は、基部77に対して薄肉に形成されている。差込部78の+Z側端面は、基部77の+Z側端面よりも−Z側に位置している。なお、基部77及び差込部78の−Z側端面は、面一に配置されている。したがって、基部77の−X側端面と、差込部78の+Z側端面と、の間には、+Z側及び−X側に開放された段差部79が形成されている。なお、図3の例では、各支持板75,76のうち、差込部78の外面(Z方向で反対側を向く面)の離間距離は、上述した第1端板23のフランジ部36の内側に差し込み可能な大きさに設定されている。また、治具64におけるZ方向の幅は、熱交換器1の幅と同等に設定されている。
【0033】
次に、熱交換器1の製造方法について説明する。以下の説明では、熱交換器1の製造方法のうち、上述した曲げ加工装置60を用いて上述した各主辺部51及び側辺部52,53を形成する方法について説明する。
本実施形態の熱交換器1の製造方法は、載置工程と、第1加工工程と、第2加工工程と、を主に有している。
【0034】
載置工程では、曲げ加工装置60のテーブル61上に、曲げ加工前の平板状の熱交換器1を載置する。具体的に、載置工程では、熱交換器1の厚さ方向(フィン31の幅方向)をZ方向(第2方向)、積層方向をX方向(第1方向)に一致させた状態で、熱交換器1をテーブル61上に載置する。このとき、熱交換器1における積層方向の一端部(第1端板23側の端部)をテーブル61から+X側に突出させる。なお、熱交換器1のうち、テーブル61から突出した部分(以下、突出端部(第1端部)という。)は、第1加工工程でのクランパ63,72によるクランプ代となる。
【0035】
第1加工工程では、まず熱交換器1に治具64を装着する(治具装着工程(セット工程))。治具装着工程では、熱交換器1の第1端板23と、治具64の差込部78と、をX方向に対向させた状態で、熱交換器1に対して治具64を接近させる。すると、治具64の各差込部78が第1端板23におけるフランジ部36の内側に進入するとともに、治具64の各段差部79に各フランジ部36がそれぞれ進入する。これにより、第1端板23のフランジ部36が治具64の差込部78によって内側から支持される。
【0036】
また、熱交換器1に対して治具64を接近させると、治具64と第1端板23とがX方向で突き当たる。本実施形態においては、差込部78の−X側端面と端板本体35とがX方向で突き当たる。これにより、熱交換器1が治具64によって+X側から支持される。なお、治具装着工程では、治具64と第1端板23とが何れかの箇所でX方向に突き当たっていれば構わない。この場合、例えば段差部79の内面における−X側を向く面と、フランジ部36の+X側端面と、がX方向で突き当たっていても構わない。また、治具64が熱交換器1に装着された状態において、熱交換器1における厚さ方向の両面と、治具64におけるZ方向の両面は、面一に配置されていることが好ましい。なお、治具装着工程は、載置工程の前に予め行っても構わない。
【0037】
図4は、クランプ工程を説明するための工程図であって、図3に相当する曲げ加工装置60の概略構成図である。
続いて、図4に示すように、熱交換器1の突出端部及び治具64をクランパ63,72によってZ方向で挟持する(クランプ工程(セット工程))。クランプ工程では、まずテーブル61を+Z側に上昇させる。このとき、熱交換器1及び治具64が上側クランパ72にZ方向で突き当たる位置までテーブル61を上昇させる。
また、下側クランパ63を+Z側に上昇させる。このとき、熱交換器1の突出端部及び治具64にZ方向で突き当たる位置まで下側クランパ63を上昇させる。これにより、熱交換器1の突出端部と治具64と、がクランパ63,72によってまとめて挟持される。
【0038】
図5図6は、曲げ工程を説明するための工程図であって、図3に相当する曲げ加工装置60の概略構成図である。
次に、図5図6に示すように、熱交換器1(熱交換パイプ25)の突出端部に対して曲げ加工を行う(曲げ工程)。具体的には、各クランパ63,72によって熱交換器1の突出端部及び治具64を挟持した状態で、曲げポンチ62及び下側クランパ63を回動軸C周りの+Z側に一体で回動させる。すると、熱交換器1は曲げ駒71の外周面に巻き付けられるようにして熱交換パイプ25の曲げ加工が行われる。本実施形態においては、曲げポンチ62及び下側クランパ63を90°程度回動させる。このとき、治具64は、熱交換器1に装着された状態を保ったまま、曲げポンチ62及び下側クランパ63とともに回動軸C周りに一体で回動する。そして、熱交換パイプ25が曲げ加工されることで、上述した第1側辺部52(図2参照)が形成される。なお、曲げ工程において、テーブル61は、熱交換器1との間の摩擦力によって+X側に移動する。
【0039】
曲げ工程の終了後、クランプ解除工程を行う。クランプ解除工程では、テーブル61を−Z側に下降させるとともに、下側クランパ63による熱交換器1の突出端部及び治具64のクランプを解除する。すると、テーブル61は、図示しない付勢部材の復元力によって熱交換器1に対して−X側に移動する。なお、下側クランパ63は、テーブル61と同じ高さまで戻すことが好ましい。
以上により、第1加工工程が終了する。なお、第1加工工程の終了後、治具64を熱交換器1から取り外しても構わない。
また、図示を省略したが、曲げ工程時には、各フィン積層体21,22間に、フィン31同士の噛み合いを防止する弾性変形可能な薄板シート部材を設けることが望ましい。
【0040】
第2加工工程では、まず熱交換器1を+X側に向けて搬送する(搬送工程)。このとき、熱交換器1のうち、上述した第2側辺部53となる部分がテーブル61上に載置され、かつ主辺部51となる部分がクランパ63,72にクランプされる位置まで熱交換器1を搬送する。続いて、上述した第1加工工程と同様の方法によりクランプ工程、曲げ工程を行う。これにより、熱交換器1のうち、テーブル61から突出した部分が、テーブル61上に載置された部分に対して+Z側に曲げ加工される。その後、クランプ解除工程を行うことで、上述した熱交換器1の曲げ加工が終了する。
【0041】
このように、本実施形態では、第1加工工程において、第1端板23を治具64によって積層方向の一端側から支持した状態で曲げ工程を行う構成とした。
この構成によれば、第1端板23やフィン31の変形を抑えた上で、熱交換パイプ25に曲げ加工を施すことができる。これにより、クランパ63,72によるクランプ代が小さい場合であっても、熱交換パイプ25に対するフィン31や第1端板23を所望の姿勢に保ったまま熱交換パイプ25を所望の方向に曲げることができる。その結果、曲げ加工の加工性を向上させることができる。そして、各フィン31の変形を抑制することで、各フィン31間の隙間を維持でき、熱交換効率に優れた熱交換器1を提供できる。
【0042】
本実施形態では、治具装着工程において、治具64の差込部78を第1端板23におけるフランジ部36の内側に進入させる構成とした。
この構成によれば、治具64によってフランジ部36の内側から第1端板23を支持できるので、治具64と熱交換器1との位置ずれを抑制し、曲げ工程での第1端板23やフィン31の変形を確実に抑制できる。
【0043】
なお、上述した実施形態では、治具64が第1端板23をフランジ部36の内側から支持する構成について説明したが、これに限られない。治具64は、少なくとも+X側(積層方向における熱交換器1の外側)から第1端板23を支持する構成であれば構わない。この場合、治具64(支持板75,76)は、フランジ部36に対して外側に配置されていても、フランジ部36の内側でフランジ部36に対して間隔をあけて配置されていても構わない。
【0044】
また、上述した実施形態は、クランプ代の大きさに関わらず採用することが可能である。
上述した実施形態では、熱交換器1が端板23,24を有する構成について説明したが、これに限られない。この場合には、フィン積層体21,22のうち、積層方向の最外に位置するフィン31を治具64によって支持することで、上述した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。すなわち、本実施形態では、曲げ工程において熱交換器1が積層方向の外側から治具64に支持されていれば構わない。
また、第1端板23の外側にヘッダが取り付けられた状態で曲げ加工を行っても構わない。
【0045】
上述した実施形態では、室外機10用の熱交換器1の製造方法について説明したが、室外機10以外(例えば、室内機等)の熱交換器1を製造する場合であっても、本実施形態の方法を採用することが可能である。
上述した実施形態では、平面視形状がU字状の熱交換器1を例にして説明したが、これに限らず、例えばL字状の熱交換器1を製造する場合であっても、本実施形態の方法を採用することが可能である。
【0046】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態における治具装着工程を説明するための工程図であって、曲げ加工装置60の概略構成図である。本実施形態では、治具100に差込ピン101を設けた点で上述した第1の実施形態と相違している。なお、以下の説明では、上述した第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図7に示すように、本実施形態の治具100は、スペーサ80から−X側に向けて突出する差込ピン101を備えている。差込ピン101は、上述した熱交換器1のフレア部43に対応する位置に設けられている。差込ピン101は、フレア部43内に挿入可能な外径に形成されている。なお、差込ピン101は、全てのフレア部43に対応する位置に設けられていることが好ましい。但し、差込ピン101は、各フレア部43のうち、少なくとも1つのフレア部43に対応する位置に設けられていれば構わない。
【0047】
本実施形態では、第1加工工程の治具装着工程において、熱交換器1に対して治具64を接近させると、各差込ピン101が対応するフレア部43内に+X側から進入する。その後、上述した第1の実施形態と同様に、曲げ工程を行う。なお、差込ピン101のX方向における長さは、差込部78の−X側端面と端板本体35とがX方向で突き当たった状態で、テーブル61に差し掛からない程度の寸法に設定されていることが好ましい。
【0048】
この構成によれば、上述した第1の実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、曲げ工程において治具100と熱交換器1との位置ずれを抑制できる。これにより、例えば支持板75,76と、熱交換パイプ25のうち第1端板23から突出した部分(リターン部42やフレア部43)と、の干渉を抑制し、リターン部42やフレア部43の変形を抑制できる。
また、第1加工工程の後、治具100を装着した状態で、第2加工工程を行う場合であっても、熱交換器1から治具100が脱落するのを抑制できる。
【0049】
さらに、差込ピン101がフレア部43の内周面に接触している場合には、治具64と熱交換器1との接触面積を増加させることができる。これにより、曲げ荷重が第1端板23やフィン31等に局所的に作用するのを抑制し、第1端板23やフィン31等の変形を確実に抑制できる。
【0050】
(第3の実施形態)
図8は、第3の実施形態におけるクランプ工程を説明するための説明図であって、曲げ加工装置60の概略構成図である。本実施形態では、第1端板23のフランジ部36に形成された端板係合孔38を曲げ工程での位置決めに用いる点で、上述した実施形態と相違している。なお、以下の説明では、上述した第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図8に示す本実施形態の曲げ加工装置60において、各クランパ63,72には、上述した端板係合孔38に係合される係合ピン201が形成されている。係合ピン201は、各クランパ63,72のうち、端板係合孔38に対応する位置からZ方向に突設されている。なお、係合ピン201は、全ての端板係合孔38に対応する位置に設けられていることが好ましい。但し、係合ピン201は、各端板係合孔38のうち、少なくとも1つの端板係合孔38に対応する位置に設けられていれば構わない。
【0051】
また、治具210の差込部78には、差込部78をZ方向に貫通する治具側係合孔211が形成されている。治具側係合孔211は、治具210が熱交換器1に装着された状態において、フランジ部36の端板係合孔38とZ方向で重なる位置に形成されている。
【0052】
本実施形態では、第1加工工程のクランプ工程において、熱交換器1の突出端部及び治具210をクランパ63,72によってZ方向で挟持する際、クランパ63,72の係合ピン201がフランジ部36の端板係合孔38内に進入する。その後、クランパ63,72をさらに接近させると、係合ピン201が端板係合孔38を貫通した後、治具210の治具側係合孔211内に進入する。これにより、第1端板23、クランパ63,72及び治具210の相対位置を係合ピン201によって固定できる。その結果、曲げ工程において治具210と熱交換器1との位置ずれを抑制し、熱交換器1を所望の方向に曲げることができる。
また、係合ピン201が端板係合孔38の内周面に接触している場合には、クランパ63,72と熱交換器1の突出端部との接触面積を増加させることができる。これにより、曲げ荷重が第1端板23やフィン31等に局所的に作用するのを抑制し、第1端板23やフィン31等の変形を確実に抑制できる。
【0053】
なお、第3実施形態では、係合ピン201がフランジ部36及び治具210の双方に係合する構成について説明したが、これに限らず、少なくともフランジ部36に係合する構成であれば構わない。
【0054】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、第1端板やフィンの変形を抑えた上で、熱交換パイプに曲げ加工を施すことができる。これにより、クランパによるクランプ代が小さい場合であっても、熱交換パイプに対するフィンや第1端板を所望の姿勢に保ったまま熱交換パイプを所望の方向に曲げることができる。その結果、曲げ加工の加工性を向上させることができる。そして、各フィンの変形を抑制することで、各フィン間の隙間を維持でき、熱交換効率に優れた熱交換器を提供できる。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0056】
1…熱交換器、23…第1端板(端板)、25…熱交換パイプ、31…フィン、35…端板本体、36…フランジ部、38…端板係合孔、63…下側クランパ、64…治具、72…上側クランパ、100…治具、101…差込ピン、201…係合ピン、210…治具、211…治具側係合孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8