特許第6573532号(P6573532)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6573532
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】管継手部材
(51)【国際特許分類】
   F16L 21/04 20060101AFI20190902BHJP
【FI】
   F16L21/04
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-216452(P2015-216452)
(22)【出願日】2015年11月4日
(65)【公開番号】特開2017-89673(P2017-89673A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231877
【氏名又は名称】日本鋳鉄管株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】清水 孝
(72)【発明者】
【氏名】松島 誠二
(72)【発明者】
【氏名】落合 悠太
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−299971(JP,A)
【文献】 特開2002−054772(JP,A)
【文献】 特開2014−084973(JP,A)
【文献】 特開平11−108266(JP,A)
【文献】 特開2001−153277(JP,A)
【文献】 米国特許第05437482(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 21/04
F16L 47/24
F16L 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳鉄管とポリエチレン管とを接続する際に使用される管継手部材において、
一端に前記鋳鉄管の受口内に挿入される挿口が形成され、他端に前記ポリエチレン管の管端が挿入される受口が形成され、前記挿口の外周部には、突出部が形成され、前記受口の外周部には、フランジが形成され、前記フランジには、鋳鉄管接続用ボルト孔とポリエチレン管接続用ボルト孔とが前記フランジの周方向にそれぞれ間隔をあけて複数個、交互に形成されていることを特徴とする管継手部材。
【請求項2】
前記挿口は、鋳鉄管用封止部材を介して前記鋳鉄管の前記受口内に挿入され、前記突出部は、前記鋳鉄管用封止部材に当接し、前記受口には、外周部に刃部を有する抜け止め部材が挿入された、前記ポリエチレン管の端部が前記ポリエチレン管用封止部材を介して挿入され、前記管継手部材の前記フランジと前記鋳鉄管の前記受口に形成されたフランジとは、前記鋳鉄管接続用ボルト孔に挿通されたボルトにより連結され、前記管継手部材の前記フランジと前記ポリエチレン管用封止部材に当接する押輪とは、前記ポリエチレン管接続用ボルト孔に挿通されたボルトにより締結されることを特徴とする、請求項1に記載の管継手部材。
【請求項3】
前記鋳鉄管用封止部材は、前記突出部が当接する角ゴム輪と丸ゴム輪とバックアップリングとからなり、前記ポリエチレン管用封止部材は、角ゴム輪からなることを特徴とする、請求項2に記載の管継手部材。
【請求項4】
前記鋳鉄管用封止部材は、前記突出部が当接するゴム輪と保護リングとからなり、前記ポリエチレン管用封止部材は、角ゴム輪からなることを特徴とする、請求項2に記載の管継手部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、管継手部材、特に、鋳鉄管とポリエチレン管とを接続する際に使用する管継手部材であり、管継手部の長さを短くすることができるので、管接続に必要な掘削規模を縮小することができ、この結果、鋳鉄管とポリエチレン管とを短時間に容易かつ確実に接続することができる管継手部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ガス管や水道管として、従来の鋳鉄管に代えて、ポリエチレン管を使用するケースが増えている。この理由は、ポリエチレン管は、鋳鉄管に比べて酸、アルカリ、電気に対して耐腐食性に優れ、電気融着継手により完全に一体化した管路を構築することができ、可撓性に優れ、引っ張りに対して柔軟性があり、そして、軽量であるので施工性に優れている等の利点を有しているからである。
【0003】
このようなことから、既設の鋳鉄管とポリエチレン管とを接続する管継手の必要性が生じている。
【0004】
従来、鋳鉄管とポリエチレン管との接続に使用されている管継手として、トランジション継手がある。以下、トランジション継手を、図面を参照しながら説明する。
【0005】
図8は、トランジション継手により接続された鋳鉄管とポリエチレン管とを示す断面図である。
【0006】
図8に示すように、トランジション継手(T)は、ポリエチレン製短管31と鉄管32と鋼製スティフナ33とからなっている。鉄管32の一端には、短管31を受け入れる受口34が形成され、受口34の内周面には、凹凸部35とOリング36を収容するOリング溝37が形成され、鉄管32の他端は、鋳鉄管38のメカニカル接続部と係合する環状の凸部39が形成された挿口52になっている。スティフナ33は、短管31の内周面に嵌入され、その端部外周面を鉄管32側に拡径して鉄管32の凹凸部35に喰い込ませる作用を有している。
【0007】
このトランジション継手(T)によれば、以下のようにして、鋳鉄管38とポリエチレン管40とが接続される。
【0008】
角ゴム輪41と丸ゴム輪42とバックアップリング43とを、この順に鉄管32の凸部39側から通して、鉄管32の挿口52に装着する。次に、角ゴム輪41の端面に押輪44を押し当てると共にボルト45を、押輪44のボルト孔46と鋳鉄管38の受口47に形成されたフランジ48のボルト孔49とに挿入して、ナット50により締め付けて、いわゆるメカニカル接続を行う。
【0009】
このようにして、鋳鉄管38側の接続を行った後、既存のエレクトロフュージョン継手51を用いて、短管31とポリエチレン管40とを電気融着により接続する。
【0010】
このようにして、鋳鉄管38とポリエチレン管40とが接続される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したように、トランジション継手(T)によれば、鋳鉄管38とポリエチレン管40とを確実に接続することはできるが、以下のような問題があった。
【0012】
(1)トランジション継手(T)は、予め工場内において短管31と鉄管32とを接続するものであるが、施工現場においては、トランジション継手(T)による接続のために、メカニカル接続と電気融着接続という異なる2つの接続作業を行う必要があるので、接続現場での作業量が多く時間と手間を要し、しかも、電気融着接続のための電源が必要となる。
(2)トランジション継手(T)は、鉄管とポリエチレン管の2種類の管から構成されており、ポリエチレン管と電気融着を行うために必要な部分と、鋳鉄管とメカニカル接続を行うために必要な部分以外に、トランジション継手(T)を構成するために鉄管とポリエチレン管を接続する部分が必要なことから継手全体の長さが長くなり、この結果、管接続に際して行う掘削規模が大きくなり、この点でも、管接続に時間と手間を要する。
【0013】
従って、この発明の目的は、鋳鉄管とポリエチレン管とを短時間に容易かつ確実に接続することができる管継手部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、下記を特徴とするものである。
【0015】
請求項1に記載の発明は、鋳鉄管とポリエチレン管とを接続する際に使用される管継手部材において、一端に前記鋳鉄管の受口内に挿入される挿口が形成され、他端に前記ポリエチレン管の管端が挿入される受口が形成され、前記挿口の外周部には、突出部が形成され、前記受口の外周部には、フランジが形成され、前記フランジには、鋳鉄管接続用ボルト孔とポリエチレン管接続用ボルト孔とが前記フランジの周方向にそれぞれ間隔をあけて複数個、交互に形成されていることに特徴を有するものである。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記挿口は、鋳鉄管用封止部材を介して前記鋳鉄管の前記受口内に挿入され、前記突出部は、前記鋳鉄管用封止部材に当接し、前記受口には、外周部に刃部を有する抜け止め部材が挿入された、前記ポリエチレン管の端部が前記ポリエチレン管用封止部材を介して挿入され、前記管継手部材の前記フランジと前記鋳鉄管の前記受口に形成されたフランジとは、前記鋳鉄管接続用ボルト孔に挿通されたボルトにより連結され、前記管継手部材の前記フランジと前記ポリエチレン管用封止部材に当接する押輪とは、前記ポリエチレン管接続用ボルト孔に挿通されたボルトにより締結されることに特徴を有するものである。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記鋳鉄管用封止部材は、前記突出部が当接する角ゴム輪と丸ゴム輪とバックアップリングとからなり、前記ポリエチレン管用封止部材は、角ゴム輪からなることに特徴を有するものである。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記鋳鉄管用封止部材は、前記突出部が当接するゴム輪と保護リングとからなり、前記ポリエチレン管用封止部材は、角ゴム輪からなることに特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、管継手部を1つの部品により構成することにより継手全体の長さを短くすることができるので、管接続に必要な掘削規模を縮小することができ、この結果、鋳鉄管とポリエチレン管とを短時間に容易かつ確実に接続することができる。また、トランジション継手では必要であった電源が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この発明の管継手部材を一方側からみた斜視図である。
図2】この発明の管継手部材を他方側からみた斜視図である。
図3】この発明の管継手部材を示す断面図である。
図4】この発明の管継手部材を示す右側面図である。
図5】この発明の管継手部材を示す左側面図である。
図6】この発明の管継手部材により接続された鋳鉄管とポリエチレン管とを示す断面図である。
図7】この発明の管継手部材による別の接続構造を示す断面図である。
図8】トランジション継手により接続された鋳鉄管とポリエチレン管とを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、この発明の管継手部材の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1は、この発明の管継手部材を一方側からみた斜視図、図2は、この発明の管継手部材を他方側からみた斜視図、図3は、この発明の管継手部材を示す断面図、図4は、この発明の管継手部材を示す右側面図、図5は、この発明の管継手部材を示す左側面図、図6は、この発明の管継手部材により接続された鋳鉄管とポリエチレン管とを示す断面図である。
【0023】
図1から図6において、1は、管継手部材の一端に形成された挿口であり、鋳鉄管2の受口3内に挿入される。4は、管継手部材の他端に形成された受口であり、ポリエチレン管5の管端が挿入される。6は、管継手部材の挿口1の外周部に形成された突出部である。突出部6は、後述する鋳鉄管用封止部材10の角ゴム輪12に当接する。7は、管継手部材の受口4の外周部に形成されたフランジである。フランジ7には、鋳鉄管接続用ボルト孔8とポリエチレン管接続用ボルト孔9とがフランジ7の周方向にそれぞれ間隔をあけて複数個、交互に形成されている。
【0024】
管継手部材の挿口1は、鋳鉄管用封止部材10を介して鋳鉄管2の、フランジ11が形成された受口3内に挿入される。鋳鉄管用封止部材10は、突出部6が当接する角ゴム輪12と丸ゴム輪13とバックアップリング14とからなっている。
【0025】
管継手部材の受口4には、ポリエチレン管5の端部がポリエチレン管用封止部材としての角ゴム輪15を介して挿入される(図6参照)。ポリエチレン管5の端部内には、外周面に刃部16が形成された筒状抜け止め部材17(スティフナ)が挿入されている。管継手部材のフランジ7と鋳鉄管2の受口3に形成されたフランジ11とは、フランジ7に形成された鋳鉄管接続用ボルト孔8と鋳鉄管2のフランジ11に形成されたボルト孔18とに挿通されたボルト19とナット20により連結される。管継手部材のフランジ7と角ゴム輪15に当接する押輪21とは、押輪21に形成されたボルト孔22とポリエチレン管接続用ボルト孔9とに挿通されたボルト23とナット24により連結される。
【0026】
このように構成されている、この発明の管継手部材によれば、以下のようにして、鋳鉄管2とポリエチレン管5とが接続される。
【0027】
図6に示すように、管継手部材の挿口1に、角ゴム輪12と丸ゴム輪13とバックアップリング14とをこの順で通して、挿口1に装着する。次いで、管継手部材のフランジ7に形成された鋳鉄管接続用ボルト孔8と鋳鉄管2のフランジ11に形成されたボルト孔18とにボルト19を挿通し、ナット20を締める。これによって、管継手部材の突出部6が角ゴム輪12を押圧することにより、鋳鉄管2の受口3と管継手部材の挿口1との間の隙間内に角ゴム輪12と丸ゴム輪13とが押し込まれる結果、管継手部材の挿口1が鋳鉄管2の受口3内に気密かつ抜け出し不可に挿入される。このときに、丸ゴム輪13の先に形成された挿口1と受口3との間の隙間(S)に、押し込まれた丸ゴム輪13が入り込まないように、ゴムより硬い樹脂、例えば、ナイロン製であるバックアップリング14が設けられ、これにより気密性をさらに高めている。
【0028】
次いで、押輪21と角ゴム輪15とが装着され、抜け止め部材17が挿入されたポリエチレン管5の端部を管継手部材の受口4に挿入し、押輪21のボルト孔22とポリエチレン管接続用ボルト孔9とにボルト23を挿通し、ナット24を締める。これによって、押輪21が角ゴム輪15を押圧して、管継手部材の受口4とポリエチレン管5との間の隙間内に角ゴム輪15が押し込まれる結果、管継手部材の受口4内にポリエチレン管5が気密かつ抜け出し不可に挿入される。
【0029】
なお、押輪21により角ゴム輪15が押圧されることにより、ポリエチレン管5に縮径力が作用する結果、抜け止め部材17の刃部16がポリエチレン管5に食い込むので、ポリエチレン管5の抜け出しがより確実に阻止される。
【0030】
このようにして、鋳鉄管2とポリエチレン管5とが接続される。
【0031】
図7に、図6とは規格の異なる鋳鉄管2とポリエチレン管5とを、この発明の管継手部材で接続した状態を示す。この場合、ゴム輪53は、1個であり、ナイロン製のバックアップリングに代えて、繊維で強化されたゴム製の保護リング54を使用している。このように、部品の構成が異なる継手構造であっても、この発明による管継手部材を使用すれば接続が可能となる。
【0032】
以上、説明したように、この発明によれば、図8に示すように、トランジション継手(T)により鋳鉄管38とポリエチレン管40とを接続した場合よりも、管継手部の長さを短くすることができる。この結果、管接続に必要な掘削規模を縮小することができると共に、電源の必要な電気融着接続が不要となり、メカニカル接続のみで鋳鉄管2とポリエチレン管5とを短時間に容易かつ確実に接続することができる。
【符号の説明】
【0033】
1:挿口
2:鋳鉄管
3:鋳鉄管の受口
4:受口
5:ポリエチレン管
6:突出部
7:管継手部材のフランジ
8:鋳鉄管接続用ボルト孔
9:ポリエチレン管接続用ボルト孔
10:鋳鉄管用封止部材
11:鋳鉄管のフランジ
12:角ゴム輪
13:丸ゴム輪
14:バックアップリング
15:角ゴム輪
16:刃部
17:抜け止め部材
18:ボルト孔
19:ボルト
20:ナット
21:押輪
22:ボルト孔
23:ボルト
24:ナット
31:短管
32:鉄管
33:スティフナ
34:受口
35:凹凸部
36:Oリング
37:Oリング溝
38:鋳鉄管
39:凸部
40:ポリエチレン管
41:角ゴム輪
42:丸ゴム輪
43:バックアップリング
44:押輪
45:ボルト
46:ボルト孔
47:受口
48:フランジ
49:ボルト孔
50:ナット
51:エレクトロフュージョン継手
52:挿口
53:ゴム輪
54:保護リング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8