(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の容器供給ユニット及び自動分析装置の実施の形態例について、
図1〜
図11を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0014】
1.自動分析装置の構成
まず、本発明の実施の形態例に係る自動分析装置について
図1を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態例に係る自動分析装置を示す概略構成図である。
【0015】
[自動分析装置の概要]
図1に示す自動分析装置1は、被検体の抗原抗体反応などの免疫分析を行う免疫分析装置を適用したものである。自動分析装置1は、測定装置2と、測定装置2を含む自動分析装置1全体の制御を行うとともに測定装置2から出力される測定データの分析を行う制御装置40とを備えている。
【0016】
免疫分析装置が適用された自動分析装置1は、例えば化学発光酵素免疫測定法(CLEIA
:Chemiluminescent Enzyme Immunoassay)を用いて、高感度の測定を行う。CLEIA
は、主な工程として、反応容器内で検体(抗原又は抗体)と試薬とを反応させる反応工程、反応容器内の反応生成物(bound)と未反応物質(free)を分離する分離工程(BF分離)、各試薬と検体とが反応して生成される免疫複合体から生じる発光の発光量を測定する測光工程を有する。
【0017】
[自動分析装置の測定系]
測定装置2は、大別して容器供給ユニット3、検体架設ユニット4、容器搬送ユニット5、検体分注ユニット6、試薬保冷ユニット7、第1の試薬分注ユニット8、第2の試薬分注ユニット9、免疫酵素反応ユニット10、第1のBF分離ユニット11、第2のBF分離ユニット12、基質液保冷庫14、容器移送ユニット15及び発光測定ユニット16を備える。これら容器供給ユニット3、検体架設ユニット4等の各ユニットや基質液保冷庫14、容器移送ユニット15及び発光測定ユニット16は、装置外装体18に収容されている。
【0018】
容器供給ユニット3は、複数の容器(キュベット)100を収容し、それら複数の容器100を1つずつ移送位置(移送位置)に配置する。移送位置に配置された容器100は、容器搬送ユニット5によって免疫酵素反応ユニット10に搬送される。免疫酵素反応ユニット10に搬送された容器100には、検体と所定の試薬が注入される。
【0019】
容器搬送ユニット5は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行うアームと、アームの先端部に設けられた保持部を備える。容器搬送ユニット5は、容器供給ユニット3の移送位置に配置された容器100を保持部により保持し、アームを旋回して、所定のタイミングで免疫酵素反応ユニット10の所定の位置に搬送する。
【0020】
検体架設ユニット4は、軸方向の一端が開口した略円筒状をなす容器状に形成されているターンテーブルを備える。この検体架設ユニット4には、複数の検体容器4aが収容されている。検体容器4aには、被検者から採取した血液又は尿等からなる検体(サンプル)が収容される。複数の検体容器4aは、検体架設ユニット4の周方向に所定の間隔を空けて並べて配置されている。検体架設ユニット4は、不図示の駆動機構によって周方向に沿って回転可能に支持されている。そして、検体架設ユニット4は、不図示の駆動機構により、周方向に所定の角度範囲ごとに、所定の速度で回転する。
図1の例では、検体架設ユニット4の周方向に並べられた検体容器4aの列は、検体架設ユニット4の半径方向に所定の間隔を空けて2列設けられている。なお、検体として、所定の希釈液で希釈された検体を用いてもよい。
【0021】
検体分注ユニット6は、検体の吸引および吐出を行う先端部に取り付けられたプローブと、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行うアームを備える。検体分注ユニット6は、検体架設ユニット4の所定位置に移動された検体容器4a内の検体をプローブによって吸引し、アームを旋回させて、所定のタイミングで免疫酵素反応ユニット10の所定の位置にある容器100に分注する。
【0022】
試薬保冷ユニット7は、検体架設ユニット4と同様に、軸方向の一端が開口した略円筒状をなす容器状に形成されているターンテーブルを備える。試薬保冷ユニット7は、不図示の駆動機構によって周方向に沿って回動可能に支持されており、この不図示の駆動機構により、その周方向に所定の角度範囲ずつ、所定の速度で正回転又は逆回転する。
【0023】
試薬保冷ユニット7には、第1の試薬容器7aと第2の試薬容器7bが収容されている。第1の試薬容器7aと第2の試薬容器7bは、試薬保冷ユニット7の周方向上に所定の間隔を空けて並べて配置される。第1の試薬容器7aには、第1の試薬として、検体中の目的の抗原と反応する磁性粒子からなる磁性試薬が収容される。また、第2の試薬容器7bには、第2の試薬として、検体中の抗原と磁性試薬が結合した反応生成物と反応する標識試薬(酵素抗体)が収容される。試薬保冷ユニット7内は、不図示の保冷機構によって所定の温度に保たれている。そのため、第1の試薬容器7aに収容された第1の試薬(磁性試薬)と、第2の試薬容器7bに収容された第2の試薬(標識試薬)は、所定の温度で保冷される。
【0024】
第1の試薬分注ユニット8は、検体の吸引および吐出を行う先端部に取り付けられたプローブと、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行うアームを備える。第1の試薬分注ユニット8は、試薬保冷ユニット7の所定位置に移動された第1の試薬容器7a内の第1の試薬(磁性試薬)をプローブによって吸引し、アームを旋回させて、所定のタイミングで免疫酵素反応ユニット10の所定の位置にある容器100に分注する。
【0025】
第2の試薬分注ユニット9は、第1の試薬分注ユニット8と同様の構成を有する。第2の試薬分注ユニット9は、試薬保冷ユニット7の所定位置に移動された第2の試薬容器7b内の第2の試薬(標識試薬)をプローブによって吸引し、アームを旋回させて、所定のタイミングで免疫酵素反応ユニット10の所定の位置にある容器100に分注する。
【0026】
免疫酵素反応ユニット10では、周方向に配置された容器100内で検体と分析項目に対応する所定の試薬との免疫反応と、この免疫反応で生成される免疫複合体と化学発光基質による酵素反応とが行われる。免疫酵素反応ユニット10は、検体架設ユニット4と同様に、軸方向の一端が開口した略円筒状をなす容器状に形成されているターンテーブルを備える。免疫酵素反応ユニット10は、不図示の駆動機構によって周方向に沿って回転可能に支持されており、この不図示の駆動機構により、その周方向に所定の角度範囲ずつ、所定の速度で回転する。ここでは、免疫酵素反応ユニット10は、反時計回りに回転する。
図1の例では、免疫酵素反応ユニット10の周方向に並べられた容器100の列は、免疫酵素反応ユニット10の半径方向に所定の間隔を空けて1列セットされているが、後述する第1の試薬用の容器100の列と第2の試薬用の容器100の列を半径方向に所定の間隔を空けて設けてもよい。
【0027】
免疫酵素反応ユニット10は、検体が注入された容器100に第1の試薬分注ユニット8によって磁性試薬が分注されると、不図示の撹拌機構により磁性試薬と検体の混合液を撹拌し、検体中の抗原と磁性試薬とを一定時間免疫反応させる(1次免疫反応)。次に、免疫酵素反応ユニット10は、この容器100を第1の集磁機構(磁石13)に移動し、抗原と磁性試薬が結合した反応生成物を磁力により集磁する。そして、この状態で容器100内が洗浄され、磁性試薬と反応しなかった未反応物質が除去される(1次BF分離)。
【0028】
第1の集磁機構は、免疫酵素反応ユニット10の外周部近傍に配置された第1のBF分離ユニット11に対応した位置に固定されている。免疫酵素反応ユニット10のターンテーブルは、固定された下層と回転可能な上層の二層で構成されている。下層のターンテーブルには、第1の集磁機構として磁石13が配置され、上層のターンテーブルには容器100が配置される。磁石13は、容器100内の反応生成物を集磁する。
【0029】
第1のBF分離ユニット11は、アーム25と、アーム25に取り付けられたノズル21と、洗浄槽24とを備える。アーム25は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行う。このアーム25は、ノズル21を、免疫酵素反応ユニット10の1次BF分離位置にある容器100と、第1のBF分離ユニット11側のノズル洗浄位置にある洗浄槽24に移動する。ノズル21は、1次BF分離位置において、検体と磁性試薬が注入された容器100内に洗浄液を吐出及び吸引して洗浄し、磁性試薬と反応しなかった未反応物質を除去する(BF洗浄)。
【0030】
第1のBF分離ユニット11は、容器100が1次BF分離位置に搬送されると、1次BF分離を行う。1次BF分離及びBF洗浄により、容器100には、検体中の目的の抗原と磁性試薬が結合した反応生成物が集磁される。そして、1次BF分離が終了すると、アーム25によりノズル21を洗浄槽24があるノズル洗浄位置に移動する。
【0031】
1次BF分離後、免疫酵素反応ユニット10は、反応生成物が残留した容器100に、第2の試薬分注ユニット9によって標識試薬が分注されると、不図示の撹拌機構により磁性試薬と検体の混合液を撹拌し、反応生成物と標識試薬とを一定時間免疫反応させる(2次免疫反応)。次に、免疫酵素反応ユニット10は、この容器100を不図示の第2の集磁機構に移動し、反応生成物と標識試薬が結合した免疫複合体を磁力により集磁する。そして、この状態で容器100内が洗浄され、標識試薬と反応しなかった未反応物質が除去される(2次BF分離)。
【0032】
第2の集磁機構は、第1の集磁機構の磁石13と同様の磁石を有し、免疫酵素反応ユニット10の外周部近傍に配置された第2のBF分離ユニット12に対応した位置に固定されている。
図1の例では、第2の集磁機構が備える磁石は、2次BF分離位置にあるノズル21の下方に配置されている。
【0033】
第2のBF分離ユニット12は、第1のBF分離ユニット11と同様の構成を有し、第1のBF分離ユニット11に対し周方向に所定の距離をあけて配置される。アーム25は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行う。このアーム25は、ノズル21を、免疫酵素反応ユニット10の2次BF分離位置にある容器100と、第2のBF分離ユニット12側のノズル洗浄位置にある洗浄槽24に移動する。ノズル21は、2次BF分離位置において、標識試薬が注入された容器100内に洗浄液を吐出及び吸引して洗浄し、標識試薬と反応しなかった余剰の未反応物質を除去する(BF洗浄)。
【0034】
第2のBF分離ユニット12は、容器100が2次BF分離位置に搬送されると、2次BF分離を行う。2次BF分離及びBF洗浄により、容器100には、検体中の目的の抗原及び磁性試薬からなる反応生成物と標識試薬とが結合した免疫複合体が集磁される。そして、2次BF分離が終了すると、アーム25によりノズル21を洗浄槽24があるノズル洗浄位置に移動する。
【0035】
第2のBF分離ユニット12のアーム25には、さらに基質液分注ユニット26が取り付けられている。基質液分注ユニット26は、ノズル21よりもアーム25の回転軸から遠い位置に配置される。基質液分注ユニット26は、不図示のチューブを介して、基質液を収容して保冷する基質液保冷庫14と接続している。基質液分注ユニット26は、磁性試薬、抗原及び標識試薬(酵素抗体)が結合した免疫複合体に対し、標識試薬と特異的に反応する化学発光基質を含んだ基質液を、2次BF分離後の容器100内に分注する。そして、基質液が注入された容器100は、免疫酵素反応ユニット10の回転によって、所定位置まで搬送される。所定位置に搬送された容器100は、容器移送ユニット15によって発光測定ユニット16へ移送される。
【0036】
発光測定ユニット16は、光電子増倍管(PMT)16aを検出器とする測光部であり、免疫複合体と化学発光基質からなる発光現象をフォトカウントにより測光する。つまり、発光量を測定する。発光測定ユニット16で検出された光束(発光量)に対応する測光信号は、不図示のアナログ−デジタル変換器によりデジタル化される。そして、デジタル化された測光信号は、不図示のシリアルインターフェース等を介して制御装置40に入力され、分析処理が行われる。
【0037】
2.容器の構成
次に、容器100の構成について
図2を参照して説明する。
図2は、自動分析装置1において使用する容器100を示す斜視図である。
【0038】
図2に示すように、容器100は、有底の円筒状に形成されており、胴体部101と、首部102とを有している。容器100の材料としては、樹脂やガラスを挙げることができる。また、容器100は、透明又は半透明に形成されている。
【0039】
胴体部101の軸方向の一端部は、容器100の底部を形成しており、略半球状に形成されている。首部102は、胴体部101の軸方向の他端部に設けられている。この首部102の外径は、胴体部101の外径よりも大きい。これにより、首部102と胴体部101との間には段差が形成されている。また、首部102の外周面には、首部102の軸方向に沿って延びる溝102aが形成されている。
【0040】
なお、容器における首部は、胴体部の外径よりも大きい外径であればよく、溝を有するものに限定されない。容器の首部としては、例えば、胴体部の外径よりも大きい第1外径部と、第1外径部の外径よりも大きい第2外径部を有するものや、一部が胴体部の外径よりも大きい外径のものであってもよい。
【0041】
3.容器供給ユニットの構成
次に、容器供給ユニット3の詳細な構成について
図3〜
図11を参照して説明する。
図3及び
図4は、容器供給ユニット3の斜視図である。
【0042】
図3及び
図4に示すように、容器供給ユニット3は、ベース部31と、容器貯留部32と、容器排出部33と、容器整列部34とを備えている。ベース部31は、適当な厚みを有する矩形の板状に形成されている。
【0043】
[容器貯留部]
容器貯留部32は、上面が開口した中空の箱状に形成されており、複数の容器100(
図2参照)を貯留する。この容器貯留部32は、4つの側面板32a,32b,32c,32dと、底面板32eを有している。側面板32a,32bは、互いに対向しており、側面板32c,32dは、互いに対向している。
【0044】
側面板32dには、上下方向に延びる切欠き38が形成されている。この切欠き38には、容器排出部33が配置される。また、側面板32dには、切欠き38及び容器排出部33を覆うカバー部材39が取り付けられている。このカバー部材39内には、容器整列部34の後述する整列レール51の一端部が配置されている。
【0045】
底面板32eの内面は、側面板32cから側面板32dへ向かうにつれて低くなるように傾斜している。これにより、容器貯留部32に貯留された複数の容器100は、底面板32eに案内されて、容器排出部33が配置された側面板32d側に移動する。また、底面板32eの内面には、容器案内補助部材41が設けられている。容器案内補助部材41は、底面板32eにおける側面板32aと側面板32dが接続する角部に配置されている。
【0046】
容器案内補助部材41は、ガイド面41aを有している。ガイド面41aは、側面板32d及び側面板32aから底面板32eへ向かうにつれて低くなるように傾斜している。底面板32eの角部に位置する容器100を容器貯留部32の略中央へ案内する。
【0047】
容器貯留部32の開口は、装置外装体18(
図1参照)に設けられた貯留部用蓋(不図示)によって閉じられている。容器貯留部32に複数の容器100を投入する場合は、貯留部用蓋を開けて、容器貯留部32の開口を露出させる。
【0048】
容器排出部33は、容器貯留部32に貯留された複数の容器を側面板32dの外側に排出する。
【0049】
[容器排出部]
次に、容器排出部33について説明する。
容器排出部33は、環状ベルト43と、環状ベルト43を回転可能に支持するベルト支持機構44と、環状ベルト43を回転させる不図示のベルト回転機構と、環状ベルト43に設けられた載置部材45とを備えている。
【0050】
環状ベルト43は、無端状に形成されており、ベルト支持機構44の駆動ローラ及び従動ローラに掛け渡されている。環状ベルト43の材料としては、ゴム材、合成樹脂、金属ワイヤ等をあげることができる。
【0051】
環状ベルト43の外周面には、複数の載置部材45が設けられている。複数の載置部材45は、環状ベルト43の周方向に所定の間隔をあけて配置されている。この複数の載置部材45には、容器貯留部32に貯留された容器100が載置される。
【0052】
ベルト支持機構44は、駆動ローラと、従動ローラと、一対のローラ支持板46A,46Bとを有している。一対のローラ支持板46A、46Bは、上下方向に延びる略長方形の板体からなっており、互いの一方の平面が対向している。
【0053】
駆動ローラは、一対のローラ支持板46A、46B間に配置されており、一対のローラ支持板46A、46Bの下部に回転可能に支持されている。従動ローラは、一対のローラ支持板46A、46B間に配置されており、一対のローラ支持板46A、46Bの上部に回転可能に支持されている。これにより、駆動ローラ及び従動ローラに掛け渡されている環状ベルト43は、上下方向に長い環状に形作られる。
【0054】
駆動ローラには、不図示のベルト回転機構を構成するモータが連結されている。そして、モータが駆動すると、駆動ローラが回転し、駆動ローラに掛け渡された環状ベルト43が回転する。
【0055】
その結果、環状ベルト43には、載置部材45が上方向に移動する往路と、載置部材45が下方向に移動する復路が形成される。なお、環状ベルト43の往路は、容器貯留部32内に配置され、環状ベルト43の復路は、容器貯留部32の外側に配置される。
【0056】
また、環状ベルト43の往路は、環状ベルト43の上部である湾曲部(以下、「上湾曲部」という)を経て復路に切り替わる。そして、環状ベルト43の復路は、環状ベルト43の下部である湾曲部(以下、「下湾曲部」という)を経て往路に切り替わる。環状ベルト43の下湾曲部は、ベルト回転機構と共に、容器貯留部32の底面板32eの下方に配置されている。
【0057】
そして、複数の載置部材45は、往路において載置された容器100を搬送し、往路と復路が切り替わる上部湾曲部においてカバー部材39に向けて容器100を排出する。
【0058】
[容器整列部]
次に、容器整列部34について
図3〜
図11を参照して説明する。
図5は、容器供給ユニット3の側面図である。
【0059】
図3〜
図5に示すように、容器整列部34は、ベース部31上に設けられた複数の整列部支持部材37に支持されている(
図4参照)。この容器整列部34は、容器排出部33から排出された容器100を整列させる。そして、容器整列部34は、整列された容器100を容器搬送ユニット5に受け渡す移送位置まで搬送する。
【0060】
容器整列部34は、整列レール51と、シャッタ機構52と、数量監視センサ53A、53Bと、容器有無センサ54と、整列レール51を振動させる振動発生器55とを備えている。
【0061】
整列レール51は、互いに対向する2つの平板61A,61Bから構成されている。これら平板61A,61Bは、横長の略長方形に形成されており、側面板32dに略平行に配置されている。平板61A,61Bの互いに対向する平面間の距離は、容器100における胴体部101の外径よりも長く、首部102の外径よりも短い。例えば、平板61A、61Bの互いに対向する平面間の距離は、胴体部101の外径よりも、0.1〜0.5mm程度長く設定されている。
【0062】
図6に示すように、整列レール51は、長手方向の一端部、すなわち搬送方向の上流側が上述のカバー部材39を貫通して、カバー部材39内に配置されている。すなわち、容器排出部33から排出された容器100は、カバー部材39内において、整列レール51に渡される。なお、整列レール51の詳細な構成は、後述する。
【0063】
図4〜
図5に示すように、振動発生器55は、整列レール51又は整列レール51を支持する整列部支持部材37に取り付けられている。この振動発生器55としては、例えば、エアーバイブレータ、電気式バイブレータ及び高周波バイブレータ等を挙げることができる。振動発生器55により整列レール51が振動することにより、整列レール51に保持された容器100は、徐々に整列レール51の他端部、すなわち搬送方向の下流側に向かって移動する。整列レール51の下流側は、上述した容器搬送ユニット5に容器100を渡す移送位置に設定されている。
【0064】
なお、振動発生器55は、容器100が移送位置にスムーズに移動させるために、整列レール51に対して非対称の振動を加えている。そのため、容器100には、整列レール51に加えられた振動により、常に整列レール51の他端部へ向かう力が作用している。
【0065】
図6は、整列レール51の移送位置の近傍を示す斜視図である。
図6に示すように、シャッタ機構52は、整列レール51における搬送方向の下流側、すなわち移送位置の近傍において、整列レール51の移送位置よりもカバー部材39側に配設されている。シャッタ機構52は、整列レール51に沿って移動する複数の容器100の移動を一時的に遮断し、整列レール51の移送位置に容器100を1つずつ送り出す。
【0066】
図5及び
図6に示すように、シャッタ機構52は、支持フレーム71と、第1シャッタ部材72と、第2シャッタ部材73と、回動軸74と、駆動部75と、リンク部材76とを備えている。
【0067】
支持フレーム71は、整列部支持部材37に支持されている。支持フレーム71には、駆動部75が設けられている。また、支持フレーム71には、回動軸74が回動可能に支持されている。
【0068】
回動軸74には、第1シャッタ部材72と第2シャッタ部材73が取り付けられている。第1シャッタ部材72は、第2シャッタ部材73よりも整列レール51の搬送方向の下流側、すなわち移送位置側に配置されている。第1シャッタ部材72と第2シャッタ部材73は、整列レール51の搬送方向と交差する平面を有する板体により構成されている。そして、第1シャッタ部材72と第2シャッタ部材73は、整列レール51に沿う容器100の移動を所定の期間遮断する。
【0069】
また、第1シャッタ部材72と第2シャッタ部材73は、回動軸74の回動方向に互いにずれて配置されており、整列レール51を間に挟んで、整列レール51の両側に配置されている。第1シャッタ片72aは、整列レール51における平板61B側に配置される。また、第2シャッタ片73aは、整列レール51における平板61A側に配置される。
【0070】
これにより、第1シャッタ部材72が整列レール51に沿う容器100の移動を遮断するときは、第2シャッタ部材73は、容器100の移動を遮断しない。また、第2シャッタ部材73が整列レール51に沿う容器100の移動を遮断するときは、第1シャッタ部材72は、容器100の移動を遮断しない。
【0071】
また、第1シャッタ部材72と第2シャッタ部材73との間の距離は、容器100における胴体部101の外径よりも僅かに長い。したがって、第1シャッタ部材72と第2シャッタ部材73によって容器100の移動を遮断すると、整列レール51に保持された複数の容器100は、1つずつ切り出されて整列レール51の移送位置に配置される。
【0072】
また、駆動部75の駆動軸には、リンク部材76が取り付けられている。リンク部材76は、第1シャッタ部材72及び第2シャッタ部材73に連結されている。リンク部材76は、駆動部75における駆動力を第1シャッタ部材72及び第2シャッタ部材73に伝達する。
【0073】
なお、第1シャッタ部材72及び第2シャッタ部材73を回動させる駆動機構としては、例えば、環状ベルトとプーリを用いたベルト機構、ステッピングモータとギヤ列を用いた歯車機構を用いることができる。あるいは、スプロケットとチェーンを用いたチェーン機構など種々の機構を適用することができる。
【0074】
また、シャッタ機構52には、容器有無センサ54が設けられている。容器有無センサ54は、不図示のブラケットを介して支持フレーム71に固定されている。容器有無センサ54は、整列レール51の移送位置に配置された容器100に対向している。容器有無センサ54は、例えば、フォトセンサであり、対向する位置(移送位置)に容器100があるか否かを検出する。
【0075】
さらに、シャッタ機構52には、ストッパ部材62が設けられている。ストッパ部材62は、固定ブラケット86を介して支持フレーム71に固定されている。ストッパ部材62は、後述する整列レール51の段差面部61cの上下方向の上方に配置されており、段差面部61cと上下方向の上方に隙間を空けて対向する。そして、ストッパ部材62は、整列レール51の移動位置に配置された容器100の首部102に当接する(
図10参照)。
【0076】
数量監視センサ53A,53Bは、カバー部材39とシャッタ機構52との間に配置されている。これら数量監視センサ53A,53Bは、例えば、フォトセンサであり、対向する位置に容器100があるか否かを検出する。
【0077】
数量監視センサ53A,53Bの両方が、対向する位置に容器100が有ることを検出した場合は、シャッタ機構52を通過する前の容器100が所定の個数(本実施形態では5個)以上あると判別できる。これにより、少なくとも所定の個数以上の容器100が連続的に後工程に供給されるという情報を、後工程を制御する制御部に送信することができる。
【0078】
また、数量監視センサ53A,53Bの少なくとも一方が、対向する位置に容器100が無いことを検出した場合は、シャッタ機構52を通過する前の容器100が所定の個数未満であると判別できる。これにより、少なくとも所定の個数以上の容器100が連続的に後工程に供給されないという情報を、後工程を制御する制御部に送信することができる。
【0079】
次に、
図7〜
図11を参照して整列レール51の詳細な構成について説明する。
図7〜
図9は、整列レール51を示す図である。
図10及び
図11は、整列レール51の搬送位置を示す説明図である。
【0080】
図6〜
図8に示すように、平板61A、61Bにおける上下方向の上端部には、搬送速度確保領域の一例を示す第1傾斜面部61aと、姿勢安定化領域の一例を示す第2傾斜面部61bと、平坦部の一例を示す段差面部61cが形成されている。
【0081】
第1傾斜面部61aは、平板61A、61Bの長手方向の一側、すなわち搬送方向の上流側に設けられている。第1傾斜面部61aの搬送方向の下流側には、第2傾斜面部61bが連続して設けられている。第2傾斜面部61bの搬送方向の下流側には、段差面部61cが設けられている。すなわち、第2傾斜面部61bは、第1傾斜面部61aと段差面部61cの間に形成される。
【0082】
図8に示すように、第1傾斜面部61aは、搬送方向の上流側、すなわちカバー部材39から容器100を受け取る受取位置から下流側に向かうにつれて上下方向の高さが連続して低くなるように傾斜している。第1傾斜面部61aは、水平方向に対して第1の傾斜角度θ1で傾斜している。第1の傾斜角度θ1は、容器100の搬送速度及び移送位置において容器100を受け渡すタイミングに基づいて設定される。第1の傾斜角度θ1は、容器100を搬送するために最低限の搬送力を得るための角度の2倍に設定されている。第1の傾斜角度θ1としては、例えば4.5°に設定される。
【0083】
第2傾斜面部61bは、第1傾斜面部61aと同様に、搬送方向の上流側から下流側に向かうにつれて上下方向の高さが連続して低くなるように傾斜している。第2傾斜面部61bは、水平方向に対して第2の傾斜角度θ2で傾斜している。第2の傾斜角度θ2は、第1の傾斜角度θ1よりも小さく設定されている(θ1>θ2)。すなわち、第2傾斜面部62bは、第1傾斜面部61aよりも緩やかに形成されている。
【0084】
第2傾斜面部61bでは、第1傾斜面部61aを通過した容器100の姿勢を安定化させる。すなわち、第2傾斜面部61bを容器100が通過する際に、容器100は、その軸方向が上下方向と略平行となり、その姿勢が安定する。第2の傾斜角度θ2は、容器100を搬送するために最低限の搬送力を得るための角度に設定されている。第2の傾斜角度θ2としては、例えば2°に設定されている。
【0085】
また、第2傾斜面部61bにおける搬送方向の間隔Tは、第1傾斜面部61aを通過した容器100の姿勢が安定するために必要な長さに設定されている。例えば、間隔Tは、2つの数量監視センサ53A、53Bのうち下流側に配置された数量監視センサ53Bからシャッタ機構52の第1シャッタ部材72の間隔に対応して設定されている。
【0086】
図10に示すように、段差面部61cは、第2傾斜面部61bに対して上下方向の下方に一段凹んでいる。段差面部61cは、水平方向と略平行となるように形成された平坦部である。この段差面部61cが、整列レール51における移送位置となる。
【0087】
また、第2傾斜面部61bの搬送方向の下流側の端部と段差面部61cの上下方向の段差の高さは、段差面部61cまで搬送された容器100が振動や重量によって再び第2傾斜面部61bに戻れない高さに設定されている。第2傾斜面部61bの搬送方向の下流側の端部と段差面部61cの上下方向の段差の高さは、例えば、0.5mmに設定されている。
【0088】
ここで、上述したように本例の容器整列部34では、振動発生器55によって整列レール51を振動させることで、容器100に対して整列レール51の搬送方向の下流側、すなわちストッパ部材62に向けて移動するような力が作用している。そして、容器100がストッパ部材62に接触する際の反作用により、容器100は、進行方向と反対方向へ押し戻され、再びストッパ部材62に接触するという動作を繰り返す。そのため、容器100が整列レール51の移送位置において、激しく振動するおそれがあった。その結果、容器100を移送位置で静止させることができず、その姿勢が定まらなくなり、容器有無センサ54が誤検知したり、容器搬送ユニット5で容器100を掴み損ねたり、するおそれがあった。
【0089】
これに対して、
図10に示すように、ストッパ部材62が容器100と接触する箇所を首部102としている。これにより、ストッパ部材62と容器100が接触する面積を、容器100の胴体部101に接触する場合よりも、小さくすることができる。その結果、ストッパ部材62と接触することで生じる反作用によって容器100が、移送位置から押し戻されることを抑制することができる。
【0090】
また、整列レール51は、移送位置を、段差面部61cとして形成している。そのため、整列レール51における移送位置まで搬送された容器100は、その首部102が段差面部61cにおける第2傾斜面部61b側の段差部と、ストッパ部材62によって保持される。これにより、容器100の首部102がストッパ部材62に接触することで生じる反作用によって押し戻される量を小さくすることができ、容器100を移送位置においてほぼ静止した状態で保つことができる。
【0091】
ここで、ストッパ部材62を設ける位置、及び平板61A、61Bに段差面部61cを形成する位置は、下記に示す要件を満たすことが好ましい。
図11に示すように、ストッパ部材62における首部102と接触する点P1と、平板61A、61Bにおける段差部が首部102と接触する点P2、点P3で形成される三角形が、外径Dnの首部102に内接する。ここで、実際には、整列レール51の平板61A、61bの間隔、及び首部102の外径Dnは、固定値である。そのため、ストッパ部材62を設ける位置を、容器100の移動方向に沿って移動させることで調整することが好ましい。
【0092】
また、本例のストッパ部材62は、振動しないシャッタ機構52に設けて、段差面部61cと間隔を空けて配置している。その結果、ストッパ部材62が振動することがないため、整列レール51の移送位置まで搬送された容器100をほぼ静止した状態で保持することができる。
【0093】
4.容器整列部の動作
次に上述した構成を有する容器整列部34の動作について
図4〜
図11を参照して説明する。
【0094】
まず、
図4、
図5及び
図7に示すように、容器排出部33から容器100が、整列レール51の2つの平板61A,61B間に容器100が排出されると、胴体部101が平板61A,61B間を貫通し、首部102が平板61A,61Bの上端に係合する。これにより、容器整列部34に排出された容器100は、軸方向が上下方向に平行になり、底部が下方に位置する姿勢で整列レール51に保持される。
【0095】
首部102が下方に位置する姿勢で整列レール51に保持された容器100は、整列レール51に沿って移動する途中で、カバー部材39の整列レール51が貫通する側板部に接触する。これにより、容器100が整列レール51の2つの平板61A,61Bの直交する方向に延びる仮想線を中心に回転し、底部が下方に位置する姿勢で整列レール51に保持される。
【0096】
なお、本実施形態では、首部102が下方に位置する姿勢で整列レール51に保持された容器100がカバー部材39に接触する構成とした。しかし、本発明の容器供給ユニット及び自動分析装置としては、首部102が下方に位置する姿勢の容器100が接触する姿勢矯正片を、カバー部材39とは別に設けるようにしてもよい。
【0097】
また、カバー部材39は、容器排出部33から排出されて整列レール51の2つの平板61A,61B間を貫通せずに容器整列部34から外れてしまう容器100を、再び整列レール51に向かうように案内する。
【0098】
次に、
図7〜
図8に示すように、振動発生器55の振動により、整列レール51に排出された容器100は、搬送速度確保領域である第1傾斜面部61aを通過する。上述したように、第1傾斜面部61aの第1の傾斜角度θ1は、容器100を搬送するために最低限の搬送力を得るための角度の2倍に設定されている。そのため、第1傾斜面部61aを通過する容器100の搬送速度を向上させることができる。
【0099】
第1傾斜面部61aを通過した容器100は、姿勢安定化領域である第2傾斜面部61bまで搬送される。また、上述したように第2傾斜面部61bの第2の傾斜角度θ2は、第1の傾斜角度θ1よりも緩やかに設定されている。そのため、第2傾斜面部61bを通過する際に、容器100は、その軸方向が上下方向と略平行となり、その姿勢が安定する。また、第2の傾斜角度θ2は、容器100を搬送するために最低限の搬送力を得るための角度に設定されている。そのため、容器100が第2傾斜面部61bを通過する際に、容器100が第2傾斜面部61bで詰まることを防ぐことができる。
【0100】
図6、
図10及び
図11に示すように、第2傾斜面部61bを通過した容器100は、シャッタ機構52によって1つずつ切り出されて整列レール51の移送位置である段差面部61cまで搬送される。段差面部61cまで搬送された容器100は、ストッパ部材62に当接し、整列レール51の段差部とストッパ部材62によって保持される。そして、容器100は、容器搬送ユニット5(
図1参照)によって把持されて、他のユニットに移送される。これにより、容器整列部34の動作が完了する。
【0101】
上述したように、本例の容器供給ユニット3によれば、整列レール51に搬送速度確保領域である第1傾斜面部61aで容器100の搬送速度を向上させることができる。さらに、姿勢安定化領域である第2傾斜面部61bで、容器の姿勢を安定させることができる。その結果、振動発生器55によって発生される振動力を大きくすることなく、容器100の搬送速度を確保することができ、搬送位置での容器100の姿勢を安定させることができる。
【0102】
本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、自動分析装置として、血液や尿の生体試料の分析に用いられる免疫分析装置に適用した例を説明した。しかし、本発明の自動分析装置としては、上述した実施形態に限定されるものでなく、水質や、食品等のその他各種の分析を行う装置に適用することができるものである。
【0103】
また、上述した実施の形態例では、第1傾斜面部61aと第2傾斜面部61bを設けて整列レール51の傾斜角度を2段階に変化させた例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、整列レールの傾斜角度を3段階以上に変化させて、搬送速度確保領域又は姿勢安定化領域の整列レールの傾斜角度を2段階以上に変化させてもよい。
【0104】
または、整列レールの上端部を下向きの円弧状に形成し、搬送速度確保領域から姿勢安定化領域にかけて整列レールの傾斜角度を無段階に連続して小さくなるように変化させてもよい。さらに、整列レールにおける搬送速度確保領域を第1の曲率半径からなる第1の円弧状に形成し、姿勢確保領域を第1の曲率半径よりも大きな第2の曲率半径からなる第2の円弧状に形成してもよい。
【0105】
さらに、上述した実施の形態例では、容器100を1ずつ切り出す機構としてシャッタ機構52を設けて、整列レール51と平坦部である移送位置を一体に形成した例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、整列レールの搬送方向の下流側の先頭の容器を1ずつ取り出すための機構としては、U字状の切り欠き部を有する回転テーブルを設け、この切り欠き部に容器を嵌め込み、さらに回転テーブルを回転させことで、他のユニットに移送させてもよい。この場合、平坦部である移送位置は、回転テーブルの切り欠き部となり、整列レールとは別部材として構成される。
【0106】
また、上述した実施の形態例では、整列レール51を振動させて容器100を搬送する振動発生器55を設けた例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、振動発生器55を設けずに、容器100の自重により整列レール51上を摺動させることで容器100を搬送してもよい。