特許第6573547号(P6573547)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6573547検体ラック搬送装置、自動分析システム及び検体ラック搬送装置の検体ラック回収方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6573547
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】検体ラック搬送装置、自動分析システム及び検体ラック搬送装置の検体ラック回収方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20190902BHJP
【FI】
   G01N35/02 G
【請求項の数】8
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-254310(P2015-254310)
(22)【出願日】2015年12月25日
(65)【公開番号】特開2017-116472(P2017-116472A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年7月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004271
【氏名又は名称】日本電子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】306008724
【氏名又は名称】富士レビオ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 直雪
【審査官】 長谷 潮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−085150(JP,A)
【文献】 特開2013−156254(JP,A)
【文献】 特開2009−150859(JP,A)
【文献】 特開2012−021911(JP,A)
【文献】 特開2011−137680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検体容器を収容する検体ラックを搬送する搬送機構と、
分注作業が完了した前記検体ラックが前記搬送機構により搬送され、前記検体ラックが収容される再検待機トレイと、
前記再検待機トレイよりも前記搬送機構の搬送方向の下流側に設けられ、回収される前記検体ラックが収容される回収トレイと、
前記再検待機トレイと前記回収トレイの間に設けられ、前記再検待機トレイに収容された前記検体ラックのうち再検を行う検体ラックを搬送する再検用の搬送レーンと、
前記搬送機構の駆動を制御する制御部と、
前記回収トレイに収容された前記検体ラックを回収する際に、前記制御部に回収開始信号を出力する回収開始信号出力部と、を備え、
前記制御部は、前記回収開始信号出力部から前記回収開始信号を受信した際に、前記搬送機構を移動させて、前記再検待機トレイ又は前記回収トレイにおける前記搬送方向の上流側に収容された最後尾検体ラックに、前記搬送機構を当接、又は前記搬送機構が搬送する検体ラックを介して前記搬送機構を当接させ
前記搬送機構は、
前記検体ラックを押圧する押し子部材と、
前記押し子部材を前記搬送方向に沿って移動させる駆動部と、
前記押し子部材と共に移動し、前記押し子部材が搬送する前記検体ラックよりも前記搬送方向の前方に配置された検体ラックを検出し、前記検体ラックを検出した際に前記制御部にラック検出信号を出力する前方ラック検出センサと、
前記押し子部材における前記検体ラックの搬送を開始する位置から移動した際の移動量が格納される押し子移動量格納部と、を備えた
検体ラック搬送装置。
【請求項2】
前記回収トレイを開閉可能に覆う開閉カバーを設けた
請求項1に記載の検体ラック搬送装置。
【請求項3】
前記回収開始信号出力部は、前記開閉カバーの開閉状態を検出するカバー開閉センサである
前記開閉カバーが開放された際に、前記カバー開閉センサは、前記制御部に前記回収開始信号を出力する
請求項2に記載の検体ラック搬送装置。
【請求項4】
前記開閉カバーの開閉動作をロックするロック機構を設け、
前記回収開始信号出力部は、前記ロック機構のロックが解除された際に、前記制御部に前記回収開始信号を出力する
請求項2に記載の検体ラック搬送装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記前方ラック検出センサから前記ラック検出信号を受信すると、前記押し子部材の移動を一旦停止させ、前記押し子部材が停止した位置から前記最後尾検体ラックに当接するまでの不足送り込み量、又は前記押し子部材が停止した位置から前記押し子部材が前記検体ラックを介して前記最後尾検体ラックに当接するまでの不足送り込み量を、前記押し子移動量格納部に格納された前記移動量と前記検体ラックの1ラック分の送り量に基づいて算出し、算出した不足送り込み量に基づいて前記押し子部材を移動させる
請求項に記載の検体ラック搬送装置。
【請求項6】
前記押し子部材が前記検体ラックの搬送を開始する位置には、前記押し子部材によって搬送される前記検体ラックの有無を検出する搬送ラック検出センサが設けられ、
前記制御部は、前記搬送ラック検出センサが出力する前記検体ラックの有無に関するラック有無信号に基づいて前記不足送り込み量を算出する
請求項に記載の検体ラック搬送装置。
【請求項7】
検体容器の内に収容された検体の分析を行う自動分析装置と、
前記検体容器が収容された検体ラックを搬送する検体ラック搬送装置と、を備え、
前記検体ラック搬送装置は、
前記検体ラックを搬送する搬送機構と、
分注作業が完了した前記検体ラックが前記搬送機構により搬送され、前記検体ラックが収容される再検待機トレイと、
前記再検待機トレイよりも前記搬送機構の搬送方向の下流側に設けられ、回収される前記検体ラックが収容される回収トレイと、
前記再検待機トレイと前記回収トレイの間に設けられ、前記再検待機トレイに収容された前記検体ラックのうち再検を行う検体ラックを搬送する再検用の搬送レーンと、
前記搬送機構の駆動を制御する制御部と、
前記回収トレイに収容された前記検体ラックを回収する際に、前記制御部に回収開始信号を出力する回収開始信号出力部と、を備え、
前記制御部は、前記回収開始信号出力部から前記回収開始信号を受信した際に、前記搬送機構を前記再検待機トレイ又は前記回収トレイにおける前記搬送方向の上流側に収容された最後尾検体ラックに当接させ、
前記搬送機構は、
前記検体ラックを押圧する押し子部材と、
前記押し子部材を前記搬送方向に沿って移動させる駆動部と、
前記押し子部材と共に移動し、前記押し子部材が搬送する前記検体ラックよりも前記搬送方向の前方に配置された検体ラックを検出し、前記検体ラックを検出した際に前記制御部にラック検出信号を出力する前方ラック検出センサと、
前記押し子部材における前記検体ラックの搬送を開始する位置から移動した際の移動量が格納される押し子移動量格納部と、を備えた
自動分析システム。
【請求項8】
分注作業が完了した検体ラックが搬送機構により搬送され、前記検体ラックが収容される再検待機トレイと、前記再検待機トレイよりも前記搬送機構の搬送方向の下流側に設けられ、回収される前記検体ラックが収容される回収トレイと、を有する検体ラック搬送装置における前記回収トレイに収容された前記検体ラックを回収する方法において、
前記搬送機構の駆動を制御する制御部に、回収開始信号出力部から回収開始信号を出力する工程と、
前記制御部が前記回収開始信号を受信した際に、前記搬送機構を移動させて、前記再検待機トレイ又は前記回収トレイにおける前記搬送方向の上流側に収容された最後尾検体ラックに、前記搬送機構を当接、又は前記搬送機構が搬送する検体ラックを介して前記搬送機構を当接させる工程と、
を含み、
前記搬送機構は、
前記検体ラックを押圧する押し子部材と、
前記押し子部材を前記搬送方向に沿って移動させる駆動部と、
前記押し子部材と共に移動し、前記押し子部材が搬送する前記検体ラックよりも前記搬送方向の前方に配置された検体ラックを検出し、前記検体ラックを検出した際に前記制御部にラック検出信号を出力する前方ラック検出センサと、
前記押し子部材における前記検体ラックの搬送を開始する位置から移動した際の移動量が格納される押し子移動量格納部と、を備えた
検体ラック搬送装置の検体ラック回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体容器が収容された検体ラックを搬送する検体ラック搬送装置、この検体ラック搬送装置を有する自動分析システム及び検体ラック搬送装置の検体ラック回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、血液や尿等の生体試料である検体の中にある特定物質を定量的に測定する自動分析装置が知られている。自動分析装置では、検体を収容する検体容器を使用している。このような自動分析装置では、例えば、複数の検体容器が収容された検体収容ユニットと、検体と試薬とを反応させる反応ユニットとを備えている。
【0003】
また、自動分析装置の検体収容ユニットに検体容器を搬送する検体ラック搬送装置が知られている。検体ラック搬送装置は、複数の検体容器を検体ラックに収容した状態で搬送する(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この特許文献1に記載された技術は、ラック待機部と、ラック収納部とを有している。ラック待機部は、分注処理が終了した検体容器を有する検体ラックを再検査の要否が決定するまで待機させる再検待機トレイである。また、ラック収納部は、全ての処理が終了した検体容器を有する検体ラックを回収する回収トレイである。
【0005】
また、近年では、再検待機トレイと、回収トレイを、検体ラックを搬送する搬送機構の搬送方向に沿って並べて配置した検体ラック搬送装置が提案さている。
図12は、従来の検体ラック搬送装置の回収ユニットを示す概略構成図である。
図12に示すように、検体ラック搬送装置200は、再検待機トレイ203と、回収トレイ202と、ラック搬送機構206とを有している。再検待機トレイ203と回収トレイ202は、ラック搬送機構206が検体ラック90を搬送する方向に沿って縦に並べて配置されている。すなわち、再検待機トレイ203が搬送する方向の上流側に配置されており、回収トレイ202が搬送方向の下流側に配置されている。
【0006】
また、再検待機トレイ203と回収トレイ202の間には、再検の検体ラックが搬送される再検用搬送レーン204が配置されている。再検待機トレイ203に収容された検体ラック90は、再検の要否が決定すると、再検用搬送レーン204に搬送される。
【0007】
そして、再検を行う場合、再検用搬送レーン204に搬送された検体ラック90Aは、再検用搬送レーン204により分注位置まで再び搬送される。また、再検を行わない場合、検体ラック90Aは、再検用搬送レーン204から回収トレイ202に搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−185597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、図12に示す検体ラック搬送装置200では、回収トレイ202に収容された検体ラック90を作業者が回収する際に、作業者の手によって回収トレイ202に収容された検体ラック90が押圧され、再検用搬送レーン204上に配置された検体ラック90Aの位置がずれるおそれがあった。その結果、従来の検体ラック搬送装置では、再検を行わない検体ラックが再検用搬送レーンによって分注位置まで搬送されるおそれがあり、回収作業が終了した後に、検体ラックの位置を修正する作業が必要となっていた。
【0010】
本発明の目的は、上記の問題点を考慮し、検体ラックを回収する際に再検待機トレイや再検用の搬送レーン上に待機していた検体ラックの位置がずれることを防ぐことができる検体ラック搬送装置、自動分析システム及び検体ラック回収方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の検体ラック搬送装置は、搬送機構と、再検待機トレイと、回収トレイと、再検用の搬送レーンと、制御部と、回収開始信号出力部と、を備えている。搬送機構は、複数の検体容器を収容する検体ラックを搬送する。再検待機トレイは、分注作業が完了した検体ラックが搬送機構により搬送され、検体ラックが収容される。回収トレイは、再検待機トレイよりも搬送機構の搬送方向の下流側に設けられ、回収される検体ラックが収容される。再検用の搬送レーンは、再検待機トレイと回収トレイの間に設けられ、再検待機トレイに収容された検体ラックのうち再検を行う検体ラックを搬送する。制御部は、搬送機構の駆動を制御する。回収開始信号出力部は、回収トレイに収容された検体ラックを回収する際に、制御部に回収開始信号を出力する。そして、制御部は、回収開始信号出力部から回収開始信号を受信した際に、搬送機構を移動させて、再検待機トレイ又は回収トレイにおける搬送方向の上流側に収容された最後尾検体ラックに、搬送機構を当接、又は搬送機構が搬送する検体ラックを介して搬送機構を当接させる。
【0012】
また、本発明の自動分析システムは、検体容器の内に収容された検体の分析を行う自動分析装置と、検体容器が収容された検体ラックを搬送する検体ラック搬送装置と、を備えている。検体ラック搬送装置は、上述した検体ラック搬送装置が用いられる。
【0013】
さらに、本発明の検体ラック搬送装置の検体ラック回収方法は、上述した検体ラック搬送装置の回収トレイに収容された検体ラックを回収する方法である。そして、本発明の検体ラック回収方法は、以下(1)から(2)に示す工程を含んでいる。
(1)搬送機構の駆動を制御する制御部に、回収開始信号出力部から回収開始信号を出力する工程。
(2)制御部が回収開始信号を受信した際に、搬送機構を移動させて、再検待機トレイ又は回収トレイにおける搬送方向の上流側に収容された最後尾検体ラックに、搬送機構を当接、又は搬送機構が搬送する検体ラックを介して搬送機構を当接させる工程。
【発明の効果】
【0014】
本発明の検体ラック搬送装置、自動分析システム及び検体ラック回収方法によれば、検体ラックを回収する際に、再検待機トレイや再検用の搬送レーン上に待機していた検体ラックの位置がずれることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態例にかかる自動分析システムを模式的に示す平面図である。
図2】本発明の実施の形態例にかかる検体ラック搬送装置を示す斜視図である。
図3】本発明の実施の形態例にかかる検体ラック搬送装置を示す平面図である。
図4】本発明の実施の形態例にかかる検体ラック搬送装置の要部を示す斜視図である。
図5】本発明の実施の形態例にかかる検体ラック搬送装置の制御系を示すブロック図である。
図6】本発明の実施の形態例にかかる検体ラック搬送装置の回収ユニットの動作を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施の形態例にかかる検体ラック搬送装置の回収ユニットの動作を示す説明図である。
図8】本発明の実施の形態例にかかる検体ラック搬送装置の回収ユニットの動作を示す説明図である。
図9】本発明の実施の形態例にかかる検体ラック搬送装置における検体ラックの回収作業を示すフローチャートである。
図10】本発明の実施の形態例にかかる検体ラック搬送装置における検体ラックの回収作業を示す説明図である。
図11】本発明の実施の形態例にかかる検体ラック搬送装置における検体ラックの回収作業を示す説明図である。
図12】従来の検体ラック搬送装置における検体ラックの回収作業を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の検体ラック搬送装置、動分析システム及び検体ラック回収方法の実施の形態例について、図1図11を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、説明は以下の順序で行うが、本発明は、必ずしも以下の形態に限定されるものではない。
【0017】
[実施の形態例]
1−1.自動分析システムの構成
まず、本発明の実施の形態例(以下、「本例」という。)にかかる自動分析システムについて図1を参照して説明する。
図1は、本例の自動分析システムを模式的に示す説明図である。
【0018】
図1に示す装置は、本発明の自動分析システムの一例として適用する生化学分析システム100である。生化学分析システム100は、血液や尿などの生体試料に含まれる特定の成分の量を自動的に測定する装置である。
【0019】
図1に示すように、生化学分析システム100は、生体試料に含まれる特定の成分の量を自動的に測定する生化学分析装置1と、検体ラックを搬送する検体ラック搬送装置30と、を有している。
【0020】
1−2.生化学分析装置の構成
生化学分析装置1は、サンプルターンテーブル2と、希釈ターンテーブル3と、第1試薬ターンテーブル4と、第2試薬ターンテーブル5と、反応ターンテーブル6と、を備えている。また、生化学分析装置1は、サンプル希釈ピペット7と、サンプリングピペット8と、希釈撹拌装置9と、希釈洗浄装置11と、第1試薬ピペット12と、第2試薬ピペット13と、第1反応撹拌装置14と、第2反応撹拌装置15と、多波長光度計16と、反応容器洗浄装置18と、を備えている。
【0021】
本例の検体収容ユニットの一例を示すサンプルターンテーブル2は、軸方向の一端が開口した略円筒状をなす容器状に形成されている。このサンプルターンテーブル2には、複数の検体容器21と、複数の希釈液容器22が収容されている。検体容器21には、血液や尿等からなる検体(サンプル)が収容される。希釈液容器22には、通常の希釈液である生理食塩水以外の特別な希釈液が収容される。
【0022】
複数の検体容器21は、サンプルターンテーブル2の周方向に所定の間隔を開けて並べて配置されている。また、サンプルターンテーブル2の周方向に並べられた検体容器21の列は、サンプルターンテーブル2の半径方向に所定の間隔を開けて2列セットされている。
【0023】
複数の希釈液容器22は、複数の検体容器21の列よりもサンプルターンテーブル2の半径方向の内側に配置されている。複数の希釈液容器22は、複数の検体容器21と同様に、サンプルターンテーブル2の周方向に所定の間隔を開けて並べて配置されている。そして、サンプルターンテーブル2の周方向に並べられた希釈液容器22の列は、サンプルターンテーブル2の半径方向に所定の間隔を開けて2列セットされている。
【0024】
なお、複数の検体容器21及び複数の希釈液容器22の配列は、2列に限定されるものではなく、1列でもよく、あるいはサンプルターンテーブル2の半径方向に3列以上配置してもよい。
【0025】
サンプルターンテーブル2は、不図示の駆動機構によって周方向に沿って回転可能に支持されている。そして、サンプルターンテーブル2は、不図示の駆動機構により、周方向に所定の角度範囲ごとに、所定の速度で回転する。また、サンプルターンテーブル2の周囲には、希釈ターンテーブル3が配置されている。
【0026】
希釈ターンテーブル3、第1試薬ターンテーブル4、第2試薬ターンテーブル5及び反応ターンテーブル6は、サンプルターンテーブル2と同様に、軸方向の一端が開口した略円筒状をなす容器状に形成されている。希釈ターンテーブル3及び反応ターンテーブル6は、不図示の駆動機構により、その周方向に所定の角度範囲ずつ、所定の速度で回転する。なお、反応ターンテーブル6は、一回の移動で半周以上回転するように設定されている。
【0027】
希釈ターンテーブル3には、複数の希釈容器23が希釈ターンテーブル3の周方向に並べて収容されている。希釈容器23には、サンプルターンテーブル2に配置された検体容器21から吸引され、希釈された検体(以下、「希釈検体」という)が収容される。
【0028】
第1試薬ターンテーブル4には、複数の第1試薬容器24が第1試薬ターンテーブル4の周方向に並べて収容されている。また、第2試薬ターンテーブル5には、複数の第2試薬容器25が第2試薬ターンテーブル5の周方向に並べて収容されている。そして、第1試薬容器24には、濃縮された第1試薬が収容され、第2試薬容器25には、濃縮された第2試薬が収容される。
【0029】
さらに、第1試薬ターンテーブル4、第1試薬容器24、第2試薬ターンテーブル5及び第2試薬容器25は、不図示の保冷機構によって所定の温度に保たれている。そのため、第1試薬容器24に収容された第1試薬と、第2試薬容器25に収容された第2試薬は、所定の温度で保冷される。
【0030】
本例の反応ユニットの一例を示す反応ターンテーブル6は、希釈ターンテーブル3と、第1試薬ターンテーブル4及び第2試薬ターンテーブル5の間に配置されている。反応ターンテーブル6には、複数の反応容器26が反応ターンテーブル6の周方向に並べて収容されている。反応容器26には、希釈ターンテーブル3の希釈容器23からサンプリングした希釈検体と、第1試薬ターンテーブル4の第1試薬容器24からサンプリングした第1試薬と、第2試薬ターンテーブル5の第2試薬容器25からサンプリングした第2試薬が注入される。そして、この反応容器26内において、希釈検体と、第1試薬及び第2試薬が撹拌され、反応が行われる。
【0031】
サンプル希釈ピペット7は、サンプルターンテーブル2と希釈ターンテーブル3の周囲に配置される。サンプル希釈ピペット7は、不図示の希釈ピペット駆動機構により、サンプルターンテーブル2及び希釈ターンテーブル3の軸方向(例えば、上下方向)に移動可能に支持されている。また、サンプル希釈ピペット7は、希釈ピペット駆動機構により、サンプルターンテーブル2及び希釈ターンテーブル3の開口と略平行をなす水平方向に沿って回動可能に支持されている。そして、サンプル希釈ピペット7は、水平方向に沿って回動することで、サンプルターンテーブル2と希釈ターンテーブル3の間を往復運動する。なお、サンプル希釈ピペット7がサンプルターンテーブル2と希釈ターンテーブル3の間を移動する際、サンプル希釈ピペット7は、不図示に洗浄装置を通過する。
【0032】
ここで、サンプル希釈ピペット7の動作について説明する。
サンプル希釈ピペット7がサンプルターンテーブル2における開口の上方の所定位置に移動した際、サンプル希釈ピペット7は、サンプルターンテーブル2の軸方向に沿って下降し、その先端に設けたピペットを検体容器21内に挿入する。このとき、サンプル希釈ピペット7は、不図示のサンプル用ポンプが作動して検体容器21内に収容された検体を所定量吸引する。次に、サンプル希釈ピペット7は、サンプルターンテーブル2の軸方向に沿って上昇してピペットを検体容器21内から抜き出す。そして、サンプル希釈ピペット7は、水平方向に沿って回動し、希釈ターンテーブル3における開口の上方の所定位置に移動する。
【0033】
次に、サンプル希釈ピペット7は、希釈ターンテーブル3の軸方向に沿って下降して、ピペットを所定の希釈容器23内に挿入する。そして、サンプル希釈ピペット7は、吸引した検体と、サンプル希釈ピペット7自体から供給される所定量の希釈液(例えば、生理食塩水)を希釈容器23内に吐出する。その結果、希釈容器23内で、検体が所定倍数の濃度に希釈される。その後、サンプル希釈ピペット7は、洗浄装置によって洗浄される。
【0034】
サンプリングピペット8は、希釈ターンテーブル3と反応ターンテーブル6の間に配置されている。サンプリングピペット8は、不図示のサンプリングピペット駆動機構により、サンプル希釈ピペット7と同様に、希釈ターンテーブル3の軸方向(上下方向)と水平方向に移動及び回動可能に支持されている。そして、サンプリングピペット8は、希釈ターンテーブル3と反応ターンテーブル6の間を往復運動する。
【0035】
このサンプリングピペット8は、希釈ターンテーブル3の希釈容器23内にピペットを挿入して、所定量の希釈検体を吸引する。そして、サンプリングピペット8は、吸引した希釈検体を反応ターンテーブル6の反応容器26内に吐出する。
【0036】
第1試薬ピペット12は、反応ターンテーブル6と第1試薬ターンテーブル4の間に配置され、第2試薬ピペット13は、反応ターンテーブル6と第2試薬ターンテーブル5の間に配置されている。第1試薬ピペット12は、不図示の第1試薬ピペット駆動機構により、反応ターンテーブル6の軸方向(上下方向)と水平方向に移動及び回動可能に支持されている。そして、第1試薬ピペット12は、第1試薬ターンテーブル4と反応ターンテーブル6の間を往復運動する。
【0037】
第1試薬ピペット12は、第1試薬ターンテーブル4の第1試薬容器24内にピペットを挿入して、所定量の第1試薬を吸引する。そして、第1試薬ピペット12は、吸引した第1試薬を反応ターンテーブル6の反応容器26内に吐出する。
【0038】
また、第2試薬ピペット13は、不図示の第2試薬ピペット駆動機構により、第1試薬ピペット12と同様に、反応ターンテーブル6の軸方向(上下方向)と水平方向に移動及び回動可能に支持されている。そして、第2試薬ピペット13は、第2試薬ターンテーブル5と反応ターンテーブル6の間を往復運動する。
【0039】
第2試薬ピペット13は、第2試薬ターンテーブル5の第2試薬容器25内にピペットを挿入して、所定量の第2試薬を吸引する。そして、第2試薬ピペット13は、吸引した第2試薬を反応ターンテーブル6の反応容器26内に吐出する。
【0040】
希釈撹拌装置9及び希釈洗浄装置11は、希釈ターンテーブル3の周囲に配置されている。希釈撹拌装置9は、不図示の撹拌子を希釈容器23内に挿入し、検体と希釈液を撹拌する。
【0041】
希釈洗浄装置11は、サンプリングピペット8によって希釈検体が吸引された後の希釈容器23を洗浄する装置である。この希釈洗浄装置11は、複数の希釈容器洗浄ノズルを有している。複数の希釈容器洗浄ノズルは、不図示の廃液ポンプと、不図示の洗剤ポンプに接続されている。希釈洗浄装置11は、希釈容器洗浄ノズルを希釈容器23内に挿入し、廃液ポンプを駆動させて挿入した希釈容器洗浄ノズルによって希釈容器23内に残留する希釈検体を吸い込む。そして、希釈洗浄装置11は、吸い込んだ希釈検体を不図示の廃液タンクに排出する。
【0042】
その後、希釈洗浄装置11は、洗剤ポンプから希釈容器洗浄ノズルに洗剤を供給し、希釈容器洗浄ノズルから希釈容器23内に洗剤を吐出する。この洗剤によって希釈容器23内を洗浄する。その後、希釈洗浄装置11は、洗剤を希釈容器洗浄ノズルによって吸引し、希釈容器23内を乾燥させる。
【0043】
第1反応撹拌装置14、第2反応撹拌装置15及び反応容器洗浄装置18は、反応ターンテーブル6の周囲に配置されている。第1反応撹拌装置14は、不図示の撹拌子を反応容器26内に挿入し、希釈検体と第1試薬を撹拌する。これにより、希釈検体と第1試薬との反応が均一かつ迅速に行われる。なお、第1反応撹拌装置14の構成は、希釈撹拌装置9と同一であるため、ここではその説明は省略する。
【0044】
第2反応撹拌装置15は、不図示の撹拌子を反応容器26内に挿入し、希釈検体と、第1試薬と、第2試薬とを撹拌する。これにより、希釈検体と、第1試薬と、第2試薬との反応が均一かつ迅速に行われる。なお、第2反応撹拌装置15の構成は、希釈撹拌装置9と同一であるため、ここではその説明は省略する。
【0045】
反応容器洗浄装置18は、検査が終了した反応容器26内を洗浄する装置である。この反応容器洗浄装置18は、複数の反応容器洗浄ノズルを有している。複数の反応容器洗浄ノズルは、希釈容器洗浄ノズルと同様に、不図示の廃液ポンプと、不図示の洗剤ポンプに接続されている。なお、反応容器洗浄装置18における洗浄工程は、上述した希釈洗浄装置11と同様であるため、その説明は省略する。
【0046】
また、多波長光度計16は、反応ターンテーブル6の周囲における反応ターンテーブル6の外壁と対向するように配置されている。多波長光度計16は、反応容器26内に注入され、第1薬液及び第2薬液と反応した希釈検体に対して光学的測定を行って、検体中の様々な成分の量を「吸光度」という数値データとして出力し、希釈検体の反応状態を検出するものである。
【0047】
さらに、反応ターンテーブル6の周囲には、不図示の恒温槽が配置されている。この恒温槽は、反応ターンテーブル6に設けられた反応容器26の温度を常時一定に保持するように構成されている。
【0048】
1−3.検体ラック搬送装置の構成
次に、検体ラック搬送装置(以下、単に「搬送装置」という)30の詳細な構成について、図2図6を参照して説明する。
図2は、検体ラック搬送装置30を示す斜視図、図3は、検体ラック搬送装置30を示す平面図である。図4は、検体ラック搬送装置30の要部を示す斜視図である。
【0049】
図1図3に示すように、搬送装置30は、生化学分析装置1に隣接して配置されている。搬送装置30は、サンプルターンテーブル2に収容された検体容器21に検体を供給する。また、検体容器21に供給される検体は、ラック側検体容器91に収容されている。このラック側検体容器91は、検体ラック90に収容される。なお、ラック側検体容器91には、収容された検体の情報を示す識別子91aが貼付されている。識別子91aとしては、例えば、バーコードや二次元コード等その他各種の様式が適用されるものである。
【0050】
[検体ラック]
ここで、検体ラック90の構成について、図4を参照して説明する。
【0051】
図4に示すように、検体ラック90は、略直方体状に形成されている。また、検体ラック90には、ラック側検体容器91を収容する複数の収容部90aが形成されている。収容部90aは、ラック側検体容器91を、その開口が上下方向の上方に向くように立設させた状態で保持する穴部である。複数の収容部90aは、検体ラック90の長手方向に沿って所定の間隔を空けて形成されている。
【0052】
なお、本例の検体ラック90では、収容部90aを5つ設けた例を説明したが、これに限定されるものではなく、収容部90aは、4つ以下、或いは6つ以上設けてもよい。
【0053】
検体ラック90における上下方向の下端部、すなわち収容部90aが形成された端部と反対側の端部には、係合溝部90bが形成されている。係合溝部90bは、検体ラック90における長手方向の略中央部に形成されている。この係合溝部90bは、検体ラック90の幅方向、すなわち短手方向に沿って連続して形成された溝部である。係合溝部90bは、後述する搬送装置30に設けられたガイドレールと係合する。
【0054】
[検体ラック搬送装置]
次に、上述した検体ラック90を搬送する搬送装置30について説明する。
なお、水平方向と平行で、かつ搬送装置30と生化学分析装置1が隣り合う方向と直交し、かつ水平方向と平行をなす方向を第1の方向Xとする。そして、水平方向と平行で、かつ第1の方向Xと直交する方向を第2の方向Yとする。
【0055】
図2及び図3に示すように、搬送装置30は、供給ユニット31と、回収ユニット32と、検体投入ユニット33と、第1搬送レーン34と、第2搬送レーン35とを有している。また、搬送装置30は、第1読み取り部36と、第2読み取り部37と、第3読み取り部38とを有している。また、搬送装置30は、支持台39と、蓋部40とを有している。
【0056】
供給ユニット31、回収ユニット32、検体投入ユニット33、第1搬送レーン34、第2搬送レーン35、第1読み取り部36と、第2読み取り部37と、第3読み取り部38は、支持台39に載置されている。蓋部40は、支持台39に載置された供給ユニット31、回収ユニット32、検体投入ユニット33、第1搬送レーン34、第2搬送レーン35、第1読み取り部36と、第2読み取り部37と、第3読み取り部38を覆う。
【0057】
また、蓋部40には、開閉可能な開閉カバー40aが設けられている。開閉カバー40aは、蓋部40における第1の方向Xの一側に設置されており、後述する供給ユニット31の供給トレイ41及び回収ユニット32の回収トレイ52を覆う。そして、開閉カバー40aが開くことで、供給トレイ41に検体ラック90を供給することができ、さらに回収トレイ52に収容された検体ラック90を回収することができる。
【0058】
さらに、支持台39には、開閉カバー40aの開閉動作をロックするロック機構71(図5参照)、開閉カバー40aの開閉状態を検出するカバー開閉センサ72(図5参照)が設けられている。また、支持台39の第1の方向Xの一端部には、操作表示部75が設けられている。
【0059】
操作表示部75には、回収開始ボタン73と、複数のランプからなる表示部74が設けられている。報知部の一例を示す表示部74は、開閉カバー40aのロック状態や、他のユニットの状態を複数のランプを発光、点滅又は消灯することで使用者に報知する。
【0060】
なお、本例では、報知部として、複数のランプからなる表示部74を適用した例を説明したが、これに限定されるものではない。報知部としては、開閉カバー40aのロック状態や他のユニットの状態を絵や文字で報知する表示装置や、音で報知するブザー等その他各種の報知方法を適用してもよい。
【0061】
第1読み取り部36、第2読み取り部37及び第3読み取り部38は、ラック側検体容器91に貼付された識別子91aを読み取るものであり、例えば、バーコードリーダである。
【0062】
回収ユニット32は、搬送装置30の第2の方向Yの一側に配置されている。検体投入ユニット33は、搬送装置30の第2の方向Yの他側、すなわち生化学分析装置1側に配置されている。そして、供給ユニット31は、回収ユニット32よりも第2の方向Yの他側に配置されている。また、供給ユニット31は、検体投入ユニット33よりも第2の方向Yの一側で、かつ検体投入ユニット33よりも第1の方向Xの一側に配置されている。
【0063】
供給ユニット31は、供給トレイ41と、供給側ガイドレール42と、供給側押し子機構43(図5参照)とを有している。供給トレイ41には、生化学分析装置1へ供給する検体を有するラック側検体容器91を収容した検体ラック90が載置される。このとき、検体ラック90は、その長手方向、すなわちラック側検体容器91が並べられた方向が第2の方向Yと略平行になるように載置される。
【0064】
供給トレイ41は、平板状に形成されている。また、供給トレイ41における第2の方向Yの両端部は、上下方向の上方に向けて略垂直に屈曲している。供給トレイ41における屈曲した両端部は、載置された検体ラック90の長手方向の両端部と対向する。すなわち、供給トレイ41の両端部は、検体ラック90を搬送する際のガイド片となる。
【0065】
供給トレイ41における第2の方向Yの略中央には、供給側ガイドレール42が配置されている。供給側ガイドレール42は、供給トレイ41の一面において第1の方向Xと平行に配置されている。供給側ガイドレール42には、検体ラック90の係合溝部90bが摺動可能に係合される。そして、供給側ガイドレール42は、検体ラック90が転倒することを防ぐと共に、検体ラック90の移動をガイドする。
【0066】
供給側押し子機構43は、供給トレイ41に載置され、供給側ガイドレール42と係合した検体ラック90を、供給トレイ41における第1の方向Xの一側から他側に向けて押圧し、搬送する。このとき検体ラック90は、搬送される方向が短手方向と略平行に搬送される。
【0067】
また、供給ユニット31の近傍には、第1読み取り部36が配置されている。第1読み取り部36は、供給トレイ41における第1の方向Xの他側、すなわち供給トレイ41における検体ラック90の排出側の近傍に配置されている。そして、第1読み取り部36は、供給ユニット31に供給されたラック側検体容器91の識別子91aを読み取る。
【0068】
さらに、供給ユニット31の第1の方向Xの他側、すなわち供給ユニット31における検体ラック90の排出側には、第1搬送レーン34が配置されている。第1搬送レーン34は、供給ユニット31から排出された検体ラック90を検体投入ユニット33まで搬送する。
【0069】
第1搬送レーン34は、載置面部47と、搬送側押し子48と、搬送側押し子48を駆動させる不図示の搬送側駆動機構とを有している。載置面部47は、平板状に形成されている。載置面部47は、第2の方向Yに沿って回収ユニット32から供給ユニット31を通過し、検体投入ユニット33まで延在している。また、載置面部47における第2の方向Yの一側は、後述する回収ユニット32の再検待機トレイ51と回収トレイ52の間に配置されている。
【0070】
載置面部47には、溝部47aが形成されている。溝部47aは、載置面部47を上下方向に貫通している。溝部47aは、第2の方向Yに沿って回収ユニット32から供給ユニット31を通過し、検体投入ユニット33まで延在している。
【0071】
搬送側押し子48は、溝部47aを挿通している。搬送側押し子48は、不図示の搬送側駆動機構により溝部47aに沿って移動する。この搬送側押し子48は、載置面部47に載置された検体ラック90における上下方向の下端部に当接する。そのため、供給トレイ41又は再検待機トレイ51から載置面部47に搬送された検体ラック90は、搬送側押し子48によって押圧され、検体投入ユニット33に向けて搬送される。このとき、検体ラック90は、搬送される方向が長手方向と略平行に搬送される。
【0072】
すなわち、第1搬送レーン34は、供給ユニット31の供給トレイ41から供給された生化学分析装置1で検査される検体を搬送する。また、第1搬送レーン34は、分注処理が終了した検体ラック90のうち再び検査(再検)する検体ラック90を搬送する。第1搬送レーン34における第2の方向Yの一端部が再検用の搬送開始位置となる。また、第1搬送レーン34における第2の方向Yの中途部、すなわち供給トレイ41と対向する箇所が供給用の搬送開始位置となる。そして、第1搬送レーン34は、再検用の搬送レーンとしての機能も有している。
【0073】
検体投入ユニット33は、検体投入トレイ45と、投入側ガイドレール46と、投入側搬送機構44(図5参照)とを有している。検体投入トレイ45は、供給トレイ41と同様に、平板状に形成されている。また、検体投入トレイ45の第2の方向Yの両端部は、上下方向の上方に向けて屈曲している。検体投入トレイ45には、第1搬送レーン34によって搬送された検体ラック90が載置される。
【0074】
投入側ガイドレール46は、検体投入トレイ45における第2の方向Yの略中央に配置されている。投入側ガイドレール46は、検体投入トレイ45の一面において第1の方向Xと平行に配置されている。投入側ガイドレール46には、検体ラック90の係合溝部90bが摺動可能に係合される。そして、投入側ガイドレール46は、検体ラック90が転倒することを防ぐと共に、検体ラック90の移動をガイドする。
【0075】
投入側搬送機構44は、検体投入トレイ45に載置され、投入側ガイドレール46と係合した検体ラック90を、第1の方向Xに沿って搬送する。また、投入側搬送機構は、検体投入トレイ45の第1の方向Xの略中央である分注位置で、検体ラック90の搬送を一時的に停止する。
【0076】
この検体投入ユニット33における分注位置の近傍には、第2読み取り部37が配置されている。第2読み取り部37は、分注位置に搬送されたラック側検体容器91の識別子91aを読み取る。
【0077】
そして、ラック側検体容器91に収容された検体は、生化学分析装置1に設けたピペットにより、サンプルターンテーブル2に収容された検体容器21に供給される。また、投入側搬送機構は、検体を供給した検体ラック90を検体投入ユニット33の第1の方向Xの他端部まで搬送する。
【0078】
検体投入ユニット33の第1の方向Xの他端部には、第2搬送レーン35が配置されている。第2搬送レーン35は、搬送装置30における第1の方向Xの他端側において第2の方向Yに沿って配置されている。第2搬送レーン35は、無端状の搬送ベルト35aと、不図示の駆動部とを有している。第2搬送レーン35の搬送ベルト35aは、第2の方向Yと平行に検体投入ユニット33から回収ユニット32まで延在している。
【0079】
第2搬送レーン35は、搬送ベルト35a上に搬送された検体ラック90を、第2の方向Yに沿って回収ユニット32における第1の方向Xの他側まで搬送する。また、第2搬送レーン35における第2の方向Yの他端部は、検体投入ユニット33から検体ラック90を受け入れる受入位置となる。そして、第2搬送レーン35における第2の方向Yの一端部は、後述する後述する回収ユニット32の回収側押し子部材57の回収用の搬送開始位置となる。
【0080】
この第2搬送レーン35における第2の方向Yの一端部、回収側押し子部材57の搬送開始位置には、搬送ラック検出センサ78が設けられている。搬送ラック検出センサ78は、搬送開始位置における検体ラック90の有無を検出する。すなわち、搬送ラック検出センサ78は、回収側押し子部材57によって搬送される検体ラック90の有無を検出している。
【0081】
搬送ラック検出センサ78としては、赤外線センサや、機械式のセンサや、光学センサ等その他各種のセンサを適用できるものである。
【0082】
なお、本例の搬送装置30では、第1搬送レーン34の検体ラック90の搬送方法として搬送側押し子48を用いた例を説明したが、これに限定されるものではなく、第2搬送レーン35と同様に、無端状の搬送ベルトを用いて検体ラック90を搬送させてもよい。
【0083】
また、第2搬送レーン35の搬送方法を、第1搬送レーン34と同様に、溝部を通過する押し子を用いてもよい。
【0084】
回収ユニット32は、再検待機トレイ51と、回収トレイ52と、搬送機構の一例を示す回収側押し子機構53と、第1回収側ガイドレール54と、第2回収側ガイドレール56とを有している。
【0085】
再検待機トレイ51は、回収ユニット32における第1の方向Xの他側に配置され、回収トレイ52は、回収ユニット32における第1の方向Xの一側に配置される。すなわち、再検待機トレイ51は、後述する回収側押し子機構53の搬送方向の上流側に配置されており、回収トレイ52は、搬送方向の下流側に配置されている。
【0086】
そして、再検待機トレイ51と回収トレイ52の間には、第1搬送レーン34が配置される。再検待機トレイ51には、第2搬送レーン35から搬送されて、再検の要否待ちの検体ラック90が収容される。回収トレイ52には、再検待機トレイ51から後述する回収側押し子部材57によって搬送され、再検を行わない回収待ちの検体ラック90が収容される。
【0087】
再検待機トレイ51及び回収トレイ52は、供給トレイ41及び検体投入トレイ45と同様に、略長方形をなす平板状に形成されている。再検待機トレイ51の第2の方向Yの両端部には、ガイド片51aが設けられている。ガイド片51aは、再検待機トレイ51の端部を上下方向の上方に向けて略垂直に屈曲することで形成されている。また、回収トレイ52の第2の方向Yの両端部には、ガイド片52aが設けられている。ガイド片52aは、回収トレイ52の端部を上下方向の上方に向けて略垂直に屈曲することで形成されている。
【0088】
再検待機トレイ51の第2の方向Yの略中央部には、第1回収側ガイドレール54が配置されている。第1回収側ガイドレール54は、再検待機トレイ51の一面において第1の方向Xと平行に配置されている。そして、第1回収側ガイドレール54は、再検待機トレイ51における第1の方向Xの一端部から他端部にかけて延在している。
【0089】
同様に、回収トレイ52の第2の方向Yの回収トレイ52の第2の方向Yの略中央部には、第2回収側ガイドレール56が配置されている。第2回収側ガイドレール56は、回収トレイ52の一面において第1の方向Xと平行に配置されている。そして、第2回収側ガイドレール56は、回収トレイ52における第1の方向Xの一端部から他端部にかけて延在している。
【0090】
第1回収側ガイドレール54及び第2回収側ガイドレール56には、検体ラック90の係合溝部90bが摺動可能に係合される。そして、第1回収側ガイドレール54及び第2回収側ガイドレール56は、検体ラック90が第1の方向Xに沿って移動する際に、検体ラック90が転倒することを防ぐ。第1回収側ガイドレール54及び第2回収側ガイドレール56は、ガイド片51a及びガイド片52aと共に、検体ラック90の移動をガイドする。
【0091】
再検待機トレイ51の近傍には、第3読み取り部38が配置されている。具体的には、再検待機トレイ51における第1の方向Xの一端部、すなわち第1搬送レーン34の近傍に配置されている。第3読み取り部38は、再検待機トレイ51に収容された検体ラック90のうち先頭に配置された検体ラック90、すなわち再検待機トレイ51の第1の方向Xの一端部に配置された検体ラック90におけるラック側検体容器91の識別子91aを読み取る。
【0092】
回収側押し子機構53は、回収側押し子部材57と、アーム部材58と、スライダ59と、駆動ベルト63と、押し子駆動部64(図5参照)とを有している。駆動ベルト63は、軸方向の両端が連結された無端状に形成されている。駆動ベルト63は、搬送装置30の第2の方向Yの一端部に設けられている。駆動ベルト63は、不図示の駆動プーリと、従動プーリに巻き掛けられて第1の方向Xに沿って配置されている。駆動プーリには、押し子駆動部64の駆動軸が接続されている。また、押し子駆動部64が動作していない時の励磁の強さは、回収時に使用者が検体ラック90を押圧する力よりも大きく設定されている。
【0093】
駆動ベルト63には、スライダ59が固定されている。また、スライダ59には、アーム部材58が接続されている。アーム部材58の先端部には、回収側押し子部材57が設けられている。
【0094】
回収側押し子部材57は、検体ラック90における搬送方向の後方の背面に接触する押圧面部57aと、係止片57bと、押圧面部57aから略垂直に屈曲する支持面部57cとを有している。
【0095】
係止片57bは、押圧面部57aにおける支持面部57cと反対側の端部に形成されている。係止片57bは、押圧面部57aの端部から支持面部57cと反対方向に向けて略垂直に屈曲している。係止片57bは、押圧面部57aが検体ラック90に接触した際に、検体ラック90の上下方向の下端部に係止する。
【0096】
押圧面部57aが検体ラック90の背面に接触し、かつ係止片57bが検体ラック90の下端部に係止することで、検体ラック90を確実に保持することができる。その結果、検体ラック90を押圧し、搬送する際に、検体ラック90が転倒することを防ぐことができる。
【0097】
支持面部57cは、アーム部材58に接続されている。そして、押し子駆動部64が駆動すると、駆動プーリを介して駆動ベルト63及び従動プーリが回転する。そのため、駆動ベルト63にスライダ59を介して接続されたアーム部材58が、第1の方向Xに沿って移動する。これにより、アーム部材58に接続された回収側押し子部材57も、第1の方向Xに沿って移動する。
【0098】
また、アーム部材58におけるスライダ59と接続される端部には、センサ用アーム部材60が接続されている。センサ用アーム部材60は、アーム部材58から第1の方向Xの一側に向けて突出している。センサ用アーム部材60の先端部は、回収側押し子部材57の押圧面部57aよりも第1の方向Xの一側に突出している。
【0099】
センサ用アーム部材60の先端部には、前方ラック検出センサ61が設けられている。前方ラック検出センサ61は、回収側押し子部材57によって搬送する検体ラック90よりも前方に位置する検体ラック90を検出する。
【0100】
前方ラック検出センサ61としては、赤外線センサや、機械式のセンサや、光学センサ等その他各種のセンサを適用できるものである。
【0101】
なお、本例では、回収側押し子機構53として駆動プーリ及び従動プーリと、無端状の駆動ベルト63を用いた例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ラックとピニオンで構成してもよく、あるいは歯車とこの歯車に歯合するチェーンを用いた構成や、直動ソレノイドを用いた駆動機構を適用してもよい。
【0102】
1−4.検体ラック搬送装置の制御系の構成
次に、図5を参照して検体ラック搬送装置30の制御系の構成について説明する。
図5は、搬送装置30の制御系を示すブロック図である。
【0103】
図5に示すように、搬送装置30は、制御部80を備えている。制御部80は、例えばCPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)と、を有する。
【0104】
制御部80は、供給ユニット31、検体投入ユニット33、回収ユニット32、第1搬送レーン34、第2搬送レーン35、第1読み取り部36、第2読み取り部37、第3読み取り部38、ロック機構71、カバー開閉センサ72、回収開始ボタン73、表示部74にそれぞれシステムバス81を介して接続され、全体を制御する。
【0105】
制御部80は、供給ユニット31の供給側押し子機構43及び検体投入ユニット33の投入側搬送機構44に接続しており、その駆動を制御している。
【0106】
また、回収ユニット32には、押し子移動量格納部77が設けられている。押し子移動量格納部77には、回収側押し子機構53の押し子駆動部64の駆動量、すなわち回収側押し子部材57が移動した際の移動量が格納される。押し子移動量格納部77は、格納した移動量を制御部80に出力する。
【0107】
前方ラック検出センサ61は、検体ラック90を検出した際、検体ラック90を検出した際、検出したラック検出信号を制御部80に出力する。搬送ラック検出センサ78は、検出したラック有無信号を制御部80に出力する。制御部80は、受信したラック検出信号、ラック有無信号及び押し子移動量格納部77に格納された移動量に基づいて、回収側押し子機構53の駆動を制御する。
【0108】
回収開始ボタン73が使用者によって押下されると、回収開始ボタン73は、回収開始信号が制御部80に出力される。制御部80に回収開始信号が出力されると、制御部80は、各ユニット及び他の装置に対して所定の動作を制御する。
【0109】
ロック機構71は、開閉カバー40a(図2参照)を閉鎖状態でロックする。ロック機構71は、制御部80からの指令に基づいてロック状態の解除、又は開閉カバー40aのロックを行う。カバー開閉センサ72は、開閉カバー40aの開閉状態を検出する。カバー開閉センサ72は、検出した開閉カバー40aの開閉状態に関する情報を制御部80に出力する。表示部74は、制御部80の制御信号に基づいてロック機構71のロック状態や各種状態を表示する。
【0110】
第1読み取り部36、第2読み取り部37及び第3読み取り部38は、ラック側検体容器91に設けられた識別子91aを読み取り、読み取った情報を制御部80に出力する。制御部80は、読み取った情報を格納すると共に、供給ユニット31、回収ユニット32、検体投入ユニット33やその他の装置に対して所定の動作を制御する。
【0111】
2.搬送装置における回収ユニットの動作
次に、回収ユニット32における回収側押し子機構53の動作例について図6図8を参照して説明する。
図6は、回収ユニットの動作を示すフローチャート、図7及び図8は、回収ユニットの動作を示す説明図である。
【0112】
まず、供給ユニット31に供給された検体ラック90を第1搬送レーン34まで搬送し、第1搬送レーン34を用いて検体ラック90を検体投入ユニット33まで搬送する。次に、検体投入ユニット33において検体ラック90を分注位置まで搬送し、ラック側検体容器91に収容された検体を生化学分析装置1に供給する。これにより、ラック側検体容器91に収容された検体の分注が終了する。そして、分注が終了した検体ラック90Dは、図7に示す回収用の搬送開始位置まで搬送される。
【0113】
次に、検体の分注が終了すると、予め設定された装置モードは、再検有りのモードか、再検無しのモードか否かを制御部80は、判断する(ステップS11)。ステップS11の処理において、予め設定された装置モードが再検無しのモードであると制御部80が判断した場合(ステップS11のNO判定)、制御部80は、回収側押し子部材57を移動させる最大移動距離を回収搬送距離N1に設定する。
【0114】
図7に示すように、回収搬送距離N1は、搬送開始位置から回収ユニット32における再検待機トレイ51を越えて回収トレイ52の中間部である回収位置までに設定されている。なお、回収搬送距離N1は、回収側押し子機構53における回収側押し子部材57の最大移動可能な距離と等しくなるように設定されている。
【0115】
そして、制御部80は、回収搬送距離N1だけ回収側押し子部材57を移動させて、検体ラック90Dを回収位置まで搬送する(ステップ12)。これにより、回収ユニット32による検体ラック90Dの搬送動作が終了する。
【0116】
また、ステップS11の処理において予め設定された装置モードが再検有りのモードであると制御部80が判断した場合(ステップS11のYES判定)、制御部80は、回収側押し子部材57を移動させる最大移動距離を再検搬送距離M1に設定する(ステップS13)。図7に示すように、再検搬送距離M1は、搬送開始位置から再検待機トレイ51の第1の方向Xの一端部、すなわち再検の要否を判断する位置(以下、「再検要否判断位置」という)までの長さである。より詳細には、再検要否判断位置は、図7及び図8に示す検体ラック90Bが配置された位置である。
【0117】
次に、制御部80は、設定した回収側押し子部材57の最大移動距離に基づいて、回収側押し子部材57を移動させる。これにより、回収側押し子部材57が第1の方向Xに沿って移動し、検体ラック90Dが搬送される。また、前方ラック検出センサ61は、回収側押し子部材57と一緒に移動する。なお、回収側押し子部材57が移動した場合における回収側押し子部材57の搬送開始位置からの移動量は、押し子移動量格納部77に格納される。
【0118】
次に、制御部80は、前方ラック検出センサ61が検体ラック90を検出したか否かを判断する(ステップS14)。すなわち、制御部80は、前方ラック検出センサ61からラック検出信号が出力された否かを判断する。そして、ステップS14の処理において、制御部80は前方ラック検出センサ61が検体ラック90を検出していないと判断した場合(ステップS14のNO判定)、制御部80は、回収側押し子部材57が再検搬送距離M1まで移動したか否かを判断する(ステップS15)。
【0119】
ステップS15の処理において、制御部80が回収側押し子部材57が再検搬送距離M1まで移動したと判断した場合(ステップS15のYES判定)、制御部80は、回収側押し子部材57の移動を停止させる。すなわち、再検待機トレイ51に検体ラック90がまだ収容されていない状態である。これにより、検体ラック90Dが再検待機トレイ51の再検要否判断位置まで搬送され、回収ユニット32による検体ラック90Dの搬送動作が終了する。
【0120】
また、ステップS15の処理において、制御部80が回収側押し子部材57が再検搬送距離M1まで移動していないと判断した場合(ステップS15のNO判定)、制御部80は、ステップS14の処理に戻る。
【0121】
ステップS14の処理において、制御部80は前方ラック検出センサ61が検体ラック90を検出したと判断した場合(ステップS14のYES判定)、制御部80は、回収側押し子部材57の移動を停止させる(ステップS16)。すなわち、図8に示すように、前方ラック検出センサ61が回収側押し子部材57が搬送する検体ラック90Dよりも一つ前の検体ラック90Cを検出した場合、前方ラック検出センサ61は、ラック検出信号を制御部80に出力する。なお、検体ラック90Cは、再検待機トレイ51に収容された検体ラック90のうち第1の方向Xの他側、すなわち最後尾に配置された検体ラック90である。
【0122】
図8に示すように、回収側押し子部材57が停止すると、制御部80は、押し子移動量格納部77に格納された移動量を呼び出し、この移動量に基づいて不足送り込み量Q1を算出する(ステップS17)。不足送り込み量Q1は、回収側押し子部材57が搬送する検体ラック90Dと再検待機トレイ51の最後尾に配置された検体ラック90Cの間隔である。この不足送り込み量Q1は、回収側押し子部材57の搬送開始位置から停止位置までの移動量L1と、検体ラック90の第1の方向Xの長さである1ラック分の送り込み量、すなわち幅方向の長さP1に基づいて、算出される。
【0123】
まず、制御部80は、移動量L1を検体ラック90の幅方向の長さP1で割った際の余りW1を求める。ここで、再検搬送距離M1及び回収搬送距離N1は、検体ラック90の幅方向の長さP1の整数倍に設定されている。そして、不足送り込み量Q1は、余りW1と検体ラック90の幅方向の長さP1に基づいて下記式1から求められる。
[式1]
Q1=P1−W1
【0124】
次に、制御部80は、再検待機トレイ51に終了された検体ラック90のうち先頭の検体ラック90Bすなわち再検要否判断位置に配置された検体ラック90Bに対する再検要否が決定されたか否かを判断する(ステップS18)。すなわち、第3読み取り部38が検体ラック90Bの識別子91aを読み取る。そして、制御部80は、第3読み取り部38が読み取った情報に基づいて、検体ラック90Bに収容されたラック側検体容器91に対して再検査の要否が決定する。
【0125】
ステップS18の処理では、制御部80における再検査の要否の決定がされたか否かを判断している。そして、ステップS18の処理において、再検査の要否の決定がまだであると制御部80が判断した場合(ステップS18のNO判定)、制御部80は、ステップS17の処理で算出した不足送り込み量Q1だけ回収側押し子部材57を移動させる(ステップS19)。これにより、回収側押し子部材57で搬送された検体ラック90Dは、再検待機トレイ51の最後尾に配置された検体ラック90Cに当接する。その結果、検体ラック90Dは、再検待機トレイ51の最後尾まで搬送される。そして、回収ユニット32により検体ラック90Dの搬送動作が終了する。
【0126】
また、ステップS18の処理において、先頭に配置された検体ラック90Bの再検査の要否が決定されたと判断した場合(ステップS18のYES判定)、制御部80は、ステップS17の処理で算出した不足送り込み量Q1に1ラック分の移動量、すなわち検体ラック90の幅方向の長さP1を加算する(ステップS20)。なお、ステップS20における1ラック部の移動量P1の加算は、ステップS18の処理における検体ラック90Bの再検査の要否の決定が再検査を行う場合、又は再検査を行わない場合でも同じである。
【0127】
次に、不足送り込み量Q1に1ラック分の移動量P1を加えた量だけ制御部80は、回収側押し子部材57を移動させる(ステップS21)。これにより、回収側押し子部材57は、搬送している検体ラック90Dを介して再検待機トレイ51の最後尾に配置された検体ラック90Cを1ラック分、押圧する。そして、再検要否判断位置に配置された検体ラック90Bは、再検待機トレイ51に収容された検体ラック90を介して回収側押し子部材57によって1ラック分される。検体ラック90Bは、再検待機トレイ51から第1搬送レーン34まで搬送される。
【0128】
検体ラック90Bが再検を行う場合、第1搬送レーン34の搬送側押し子48によって検体投入ユニット33に向けて搬送される。また、検体ラック90Bが再検を行わない場合、次に搬送される検体ラック90を介して回収側押し子部材57に押圧されて、回収トレイ52まで搬送される。
【0129】
これにより、検体ラック90Dの搬送作業が終了する。そして、回収用の搬送開始位置まで搬送された検体ラック90に対して、制御部80は、ステップS1の処理に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0130】
このように本例の搬送装置30によれば、再検待機トレイ51に収容された検体ラック90の位置がずれたとしても、回収側押し子部材57によって検体ラックを所定の位置まで正確に搬送することができる。また、再検待機トレイ51に収容された検体ラック90の数に影響を受けることなく、回収側押し子部材57の移動量を制御することができる。そのため、再検待機トレイ51に収容された検体ラック90の数を正確に検出する必要がなく、回収側押し子部材57の移動制御を容易に行うことができる。
【0131】
さらに、本例の搬送装置30によれば、前方ラック検出センサ61が検体ラック90を検出した際に一度停止させて、回収側押し子部材57の実際の移動量に基づいて不足の送り込み量を算出している。これにより、検体ラック90の形状や検体ラック90を検出するセンサの感度の影響を受けることがなく、検体ラック90を所定の位置まで正確に搬送することができる。
【0132】
また、図6に示すフローでは、回収側押し子機構53の動作について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、供給側押し子機構43の押し子部材に、回収側押し子機構53と同様に、搬送する検体ラック90の前の検体ラック90を検出する前方ラック検出センサを設けてもよい。そして、供給側押し子機構43でも上述した回収側押し子機構53の動作と同様に検体ラック90を搬送してもよい。
【0133】
また、再検待機トレイ51に収容された検体ラック90を第1搬送レーン34に搬送する際、または第1搬送レーン34に配置された検体ラック90を回収トレイ52に搬送する際に、第1回収側ガイドレール54を第1の方向Xに沿って移動させてもよい。これにより、検体ラック90が第1搬送レーン34上を第1の方向Xに沿って移動する際に、検体ラック90の搬送をスムーズに行うことができ、検体ラック90が搬送時に転倒することを防ぐこともできる。
【0134】
3.検体ラックの回収作業の動作例
次に、図7図11を参照して回収トレイ52に収容された検体ラック90の回収作業の動作例について説明する。
図9は、検体ラック90の回収作業を示すフローチャート、図10及び図11は、回収作業を示す説明図である。
【0135】
図9に示すように、まず、制御部80は、回収開始信号を受信したか否かを判断する(ステップS41)。ここで、使用者によって回収開始ボタン73が押下されると、回収開始ボタン73は、回収開始信号を制御部80に出力する。そして、ステップS41の処理において、制御部80は回収開始信号を受信した場合(ステップS41のYES判定)、制御部80は、搬送装置30の動作を停止させる(ステップS42)。
【0136】
次に、制御部80は、押し子駆動部64を駆動させて回収側押し子部材57を移動させる(ステップS43)。次に、制御部80は、前方ラック検出センサ61が検体ラック90を検出したか否かを判断する(ステップS44)。
【0137】
そして、前方ラック検出センサ61が検体ラック90を検出した場合、前方ラック検出センサ61は、ラック検出信号を制御部80に出力する。ステップS44の処理において、制御部80は、ラック検出信号を受信し、前方ラック検出センサ61が検体ラック90を検出したと判断した場合(ステップS44のYES判定)、制御部80は、回収側押し子部材57の移動を停止させる(ステップS45)。
【0138】
次に、回収側押し子部材57が停止すると、制御部80は、押し子移動量格納部77に格納された移動量を呼び出し、この移動量に基づいて不足送り込み量を算出する(ステップS46)。ここで、図8に示すように回収側押し子部材57が検体ラック90を搬送している場合、制御部80は、上述した式1に基づいて不足送り込み量Q1を算出する。
【0139】
なお、図10に示すように回収側押し子部材57が検体ラック90を搬送していない場合、不足送り込み量Q2は、再検待機トレイ51又は回収トレイ52の最後尾に配置された検体ラック90Bと回収側押し子部材57の押圧面部57aの間隔になる。このときの不足送り込み量Q2は、図8に示す不足送り込み量Q1に、検体ラック90の第1の方向Xの長さである1ラック分の送り込み量、すなわち幅方向の長さP1を加えたものである。そのため、不足送り込み量Q2は、下記式2から求めることができる。
[式2]
Q2=(P1−W1)+P1
なお、W1は、上述したように、移動量L1を検体ラック90の幅方向の長さP1で割った際の余りである。
【0140】
また、不足送り込み量を式1に基づいて算出するか、式2に基づいて算出するかの判断は、例えば、次のようにして行う。
まず、回収側押し子部材57が移動を開始する前に、第2搬送レーン35の回収用の搬送開始位置に設けた搬送ラック検出センサ78によって搬送開始位置の検体ラック90の有無を検出する。搬送ラック検出センサ78は、検出したラック有無信号を制御部80に出力する。
【0141】
ラック有無信号に基づいて搬送開始位置に検体ラック90が有る場合、すなわち回収側押し子部材57が検体ラック90を搬送しながら移動する場合、制御部80は、上述した式1により不足送り込み量Q1を算出する。また、ラック有無信号に基づいて搬送開始位置に検体ラック90が無い場合、すなわち回収側押し子部材57が検体ラック90を搬送せずに移動する場合、制御部80は、上述した式2により不足送り込み量Q2を算出する。
【0142】
このように、搬送ラック検出センサ78を搬送開始位置に設けて、回収側押し子部材57が移動を開始する前の検体ラック90の有無を検出することで、回収作業時における不足送り込み量を正確に算出することができる。
【0143】
ステップS46の処理において不足送り込み量が算出されると、制御部80は、不足送り込み量だけ回収側押し子部材57を移動させる(ステップS47)。これにより、図11に示すように、再検待機トレイ51又は回収トレイ52の最後尾に配置された検体ラック90Bの後方には、回収側押し子部材57が当接される。
【0144】
次に、制御部80は、ロック機構71における開閉カバー40aのロックを解除させる(ステップS48)。そして、制御部80は、表示部74を制御し、ロック解除状態を表示させる(ステップS49)。これにより、使用者に対してロック機構71のロックが解除されて開閉カバー40aが開放可能な状態であることを報知させることができる。
【0145】
次に、使用者は、開閉カバー40aを開放し、回収トレイ52に収容された検体ラック90を回収する(ステップS50)。このとき、図11に示すように、再検待機トレイ51又は回収トレイ52の最後尾に配置された検体ラック90Cの後方には、回収側押し子部材57が当接されている。そのため、この回収側押し子部材57によって再検待機トレイ51及び回収トレイ52に収容された検体ラック90における第1の方向Xの他側への移動が規制される。すなわち、回収側押し子部材57がストッパとしての役割を果たしている。
【0146】
また、押し子駆動部64が動作していない時の励磁の強さは、回収時に使用者が検体ラック90を押圧する力よりも大きく設定されている。そのため、使用者が回収トレイ52に収容された検体ラック90を回収する際に、回収トレイ52や再検待機トレイ51に収容された検体ラック90を押圧しても検体ラック90の位置がずれることがない。その結果、第1搬送レーン34の再検用の搬送開始位置に配置された検体ラック90Aの位置がずれて、本来再検を行わない検体ラック90が再検に搬送されることを防ぐことができる。
【0147】
次に、制御部80は、カバー開閉センサ72からの信号に基づいて開閉カバー40aが閉じられたか否かを判断する(ステップS51)。使用者が検体ラック90を回収し、開閉カバー40aが閉じられると、カバー開閉センサ72は、開閉カバー40aが閉じられたことを示す情報を制御部80に出力する。
【0148】
そして、ステップS51の処理において制御部80は、開閉カバー40aが閉じられたと判断した場合(ステップS51のYES判定)、回収側押し子部材57を初期位置である搬送開始位置に戻す(ステップS52)。また、制御部80は、ロック機構71を動作させて開閉カバー40aをロックさせる。上述した工程を行うことで、搬送装置30における検体ラック90の回収作業が終了する。
【0149】
また、上述したように、回収作業時には、回収側押し子部材57によって回収トレイ52や再検待機トレイ51に収容された検体ラック90の位置がずれることを防止している。そのため、回収作業が終了した後に、検体ラック90の位置を修正する作業が必要なくなる。その結果、検体ラック90を回収した後に、搬送装置30の搬送動作の再起動を素早く行うことができる。
【0150】
なお、上述した実施の形態例では、回収開始信号出力部として回収開始ボタン73を設け、回収開始ボタン73が押下されることでロック機構71のロックを解除する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、回収開始ボタン73を設けずに、制御部80は、カバー開閉センサ72から開閉カバー40aが開放されたことを示す信号に基づいて回収作業が開始されたことを判断し、上述した処理を行うようにしてもよい。すなわち、回収開始信号出力部としてカバー開閉センサ72から制御部80に回収開始信号を出力するようにしてもよい。
【0151】
さらに、回収トレイ52や供給トレイ41等を覆う蓋部40及び開閉カバー40aを設けた例を説明したが、蓋部40や開閉カバー40aを設けなくてもよい。制御部80は、回収開始ボタン73が押下された際に、回収作業が開始されたと判断し、上述した処理を行うようにしてもよい。
【0152】
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、自動分析装置として、血液や尿の生体試料の分析に用いられる生化学分析装置に適用した例を説明したが、これに限定されるものでなく、水質や、食品等のその他各種の分析を行う装置に適用することができるものである。また、自動分析装置としては、例えば、被検体の抗原抗体反応などの免疫分析を行う免疫分析装置を適用してもよい。
【符号の説明】
【0153】
1…生化学分析装置(自動分析装置)、 30…検体ラック搬送装置、 31…供給ユニット、 32…回収ユニット、 33…検体投入ユニット、 34…第1搬送レーン(搬送レーン)、 35…第2搬送レーン、 36…第1読み取り部、 37…第2読み取り部、 38…第3読み取り部、 39…支持台、 40…蓋部、 40a…開閉カバー、 51…再検待機トレイ、 52…回収トレイ、 53…回収側押し子機構(搬送機構)、 57…回収側押し子部材(押し子部材)、 57a…押圧面部、 57b…係止片、 57c…支持面部、 58…アーム部材、 59…スライダ、 60…センサ用アーム部材、 61…前方ラック検出センサ、 63…駆動ベルト、 64…押し子駆動部(駆動部)、 71…ロック機構、 72…カバー開閉センサ、 73…回収開始ボタン(回収開始信号出力部)、 74…表示部、 75…操作表示部、 77…押し子移動量格納部、 78…搬送ラック検出センサ、 80…制御部、 81…システムバス、 90、90A、90B、90C…検体ラック、 91a…識別子、 100…生化学分析システム、 L1…移動量、 M1…再検搬送距離、 N1…回収搬送距離、 P1…1ラック分送り量、 Q1、Q2…不足送り込み量、X…第1の方向、 Y…第2の方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12