アッパーケースと、前記アッパーケースに対し回転可能に組み合わせられ前記アッパーケースとの間に環状空間を形成するロアーケースと、前記環状空間に配置されたセンタープレートと、を備えた円環状をなす滑り軸受であって、
前記アッパーケースは、円環状をなしスラスト荷重を支持可能なアッパー基部と、前記アッパー基部の内周縁部から軸方向に沿って突出して円筒状をなす内周部と、を有し、
前記センタープレートは、前記アッパーケースの前記アッパー基部と前記ロアーケースとの間に配置され、前記アッパー基部に対し摺接可能なスラスト摺動面を有する円環状のスラスト部と、前記スラスト部の内周縁から軸方向に沿って突出し前記アッパーケースの前記内周部と前記ロアーケースとの間に配置され、前記アッパーケースの前記内周部に対し摺接可能なラジアル摺動面を有する円筒状のラジアル部と、を備え、
前記スラスト部のうち、前記スラスト摺動面を構成する部分は、前記ラジアル部のうち、前記ラジアル摺動面を構成する部分より高い弾性を有する樹脂材料で構成されており、
前記センタープレートは、
前記スラスト部を構成し前記アッパーケースの前記アッパー基部と前記ロアーケースとの間に配置される円環状のスラスト本体部と、前記スラスト本体部の内周縁から軸方向に沿って突出し前記アッパーケースの前記内周部と前記ロアーケースとの間に配置され、前記アッパーケースの前記内周部に対し摺接可能な前記ラジアル摺動面を有する前記ラジアル部と、を有するプレート本体と、
前記スラスト部を構成し、前記スラスト本体部上に設けられ、前記アッパー基部に対し摺接可能な前記スラスト摺動面を有するスラストプレートと、を備え、
前記スラスト部を構成し、前記スラスト摺動面を有する前記スラストプレートは、熱可塑性エラストマーから構成され、当該熱可塑性エラストマーは、前記ラジアル部の前記ラジアル摺動面を構成する熱可塑性プラスチックよりも高い弾性を有する、滑り軸受。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、滑り軸受のセンタープレートにおいて、スラスト部のスラスト摺動面に対しては、優れた摺動性および容易に変形可能な弾力性が求められ、ラジアル部のラジアル摺動面に対しては、優れた摺動性および作用する荷重を支持可能な剛性が求められる。しかし、特許文献1の滑り軸受のセンタープレートは、単一材料で構成されているため、スラスト部のスラスト摺動面およびラジアル部のラジアル摺動面の両方に対する要求を満たすのが困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、アッパーケースとロアーケースとの間に配置され優れた摺動性および弾性力を示すスラスト摺動面および優れた摺動性および剛性を示すラジアル摺動面を有するセンタープレートを備える滑り軸受を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態の滑り軸受は、アッパーケースと、前記アッパーケースに対し回転可能に組み合わせられ前記アッパーケースとの間に環状空間を形成するロアーケースと、前記環状空間に配置されたセンタープレートと、を備えた円環状をなす滑り軸受であって、前記アッパーケースは、円環状をなしスラスト荷重を支持可能なアッパー基部と、前記アッパー基部の内周縁部から軸方向に沿って突出して円筒状をなし内周部と、を有し、前記センタープレートは、前記アッパーケースの前記アッパー基部と前記ロアーケースとの間に配置され、前記アッパー基部に対し摺接可能なスラスト摺動面を有する円環状のスラスト部と、前記スラスト部の内周縁から軸方向に沿って突出し前記アッパーケースの前記内周部と前記ロアーケースとの間に配置され、前記アッパーケースの前記内周部に対し摺接可能なラジアル摺動面を有する円筒状のラジアル部と、を備え、前記スラスト部のうち、前記スラスト摺動面を構成する部分は、前記ラジアル部のうち、前記ラジアル摺動面を構成する部分より高い弾性を有する樹脂材料で構成されている
【0008】
前記センタープレートは、前記スラスト部を構成し前記アッパーケースの前記アッパー基部と前記ロアーケースとの間に配置される円環状のスラスト本体部と、前記スラスト本体部の内周縁から軸方向に沿って突出し前記アッパーケースの前記内周部と前記ロアーケースとの間に配置され、前記アッパーケースの前記内周部に対し摺接可能な前記ラジアル摺動面を有する前記ラジアル部と、を有するプレート本体と、前記スラスト部を構成し、前記スラスト本体部上に設けられ、前記アッパー基部に対し摺接可能な前記スラスト摺動面を有するスラストプレートとを備え、前記スラスト部を構成し、前記スラスト摺動面を有する前記スラストプレートは、熱可塑性エラストマーから構成され、当該熱可塑性エラストマーは、前記ラジアル部の前記ラジアル摺動面を構成する熱可塑性プラスチックよりも高い弾性を有しても良い。
【0009】
前記プレート本体および前記スラスト摺動面を有する前記スラストプレートは、嵌合、インサート成形、または多色成形により一体化されていても良い。
【0010】
前記ラジアル部のうち、前記ラジアル摺動面を構成する部分は、熱可塑性プラスチックで構成され、前記スラスト部のうち、前記スラスト摺動面を構成する部分は、前記熱可塑性プラスチックより高い弾性を有する熱可塑性エラストマーで構成されていても良い。
【0011】
前記ラジアル摺動面を構成する熱可塑性プラスチックは、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、またはポリエチレン樹脂であり、前記スラスト摺動面を構成する熱可塑性エラストマーは、スチレン系、オレフィン系、ポリアミド系、ポリエステル系またはウレタン系であっても良い。
【0012】
前記スラスト部の前記スラスト摺動面には、潤滑剤が充填される凹部が形成されていても良い。
【0013】
前記凹部の軸方向に沿った断面形状は、波形状であっても良い。
【0014】
前記アッパーケースの前記アッパー基部と、前記スラスト部の前記スラスト摺動面との間には、摺動シートが設けられ、前記摺動シートは、フッ素樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂、またはポリフェニレンサルファイド樹脂で構成されていても良い。
【0015】
前記ラジアル部の前記ラジアル摺動面には、潤滑剤が充填される溝が形成されていても良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、アッパーケースとロアーケースとの間に配置され優れた摺動性および容易に変形可能な弾性力を示すスラスト摺動面および優れた摺動性および作用する荷重を支持可能な剛性を示すラジアル摺動面を有するセンタープレートを備える滑り軸受を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態に係る滑り軸受1について図面を参照して説明する。
【0019】
滑り軸受1は、自動車におけるストラット式サスペンションに組み込まれる滑り軸受であり、ストラットアッセンブリを収容するための収容孔1aを有し、ストラットアッセンブリの回動を許容しつつ、ストラット式サスペンションに加わる車体の荷重を支持する。
【0020】
<滑り軸受1の全体構成>
図1は、本実施の形態に係る滑り軸受1の平面図を示し、
図2は、滑り軸受1の側面図を示し、
図3は、滑り軸受1の断面図を示し、
図4は、滑り軸受1の一部拡大断面図を示している。
【0021】
図1に示すように滑り軸受1は、円環状をなし、アッパーケース2と、ロアーケース3と、センタープレート4(
図3、4)と、摺動シート5(
図3、4)と、ダストシール6(
図3、4)とを備える。
【0022】
<アッパーケース2>
アッパーケース2は、ポリアセタール樹脂等の摺動性に優れた熱可塑性プラスチックにより構成され、ストラット式サスペンションのストラットアッセンブリが挿入された状態で、車体へのストラットアッセンブリの取付機構であるアッパーマウントに取り付けられる。アッパーケース2には、必要に応じて潤滑油が含浸される。
【0023】
アッパーケース2は、挿入孔2aを有して円環状をなし、
図4に示すように、スラスト荷重を支持可能なアッパー基部2Bと、ラジアル荷重を支持可能な内周部2Cと、外周部2Dとを備える。挿入孔2aには、図示せぬストラットアッセンブリが挿入される。円環状のアッパー基部2Bは、取付面2Eと、取付面2Eの反対側に位置し荷重伝達面2Fを有するシート収容凹部2Gとを備える。取付面2Eには、滑り軸受1をストラットアッセンブリに組み込む際に、アッパーマウントが取り付けられる。アッパー基部2Bは、摺動シート5を有し、シート収容凹部2Gは、摺動シート5を収容している。荷重伝達面2Fは、ストラット式サスペンションに加わる車体の荷重をセンタープレート4および摺動シート5に伝達する。
【0024】
内周部2Cは、アッパー基部2Bの内周縁部2B1から軸方向Oに沿って突出し、円筒状をなしている。外周部2Dは、アッパー基部2Bの外周縁部2B2軸方向Oに沿って突出し、円筒状をなしている。アッパー基部2Bと、内周部2Cと、外周部2Dとにより、環状凹部2hが形成される。
【0025】
<ロアーケース3>
ロアーケース3は、ポリアセタール樹脂等の摺動性に優れた熱可塑性プラスチックにより構成され、ストラット式サスペンションのストラットアッセンブリが挿入された状態でストラット式サスペンションのコイルスプリング7により、アッパーケース2側に付勢される。ロアーケース3は、アッパーケース2に対し回転可能に組み合わせられる。
【0026】
ロアーケース3は、挿入孔3aを有して円環状をなし、ロアー基部3Bと、ケース突出部3Cと、フランジ部3Dとを備える。円筒状のロアー基部3Bは、その上側部3B1がアッパーケース2の環状凹部2h内に位置し、下側部3B2が環状凹部2h外に位置している。アッパーケース2とロアー基部3Bの上側部3B1とにより、センタープレート4および摺動シート5を収容する断面視略L字状の環状空間8が形成される。
【0027】
ケース突出部3Cは、ロアー基部3Bの下側部3B2の内周下端からアッパーケース2側とは反対側へ突出している。フランジ部3Dは、ロアー基部3Bの下側部3B2の外周縁から径方向外方へ向かって、アッパーケース2の外周部2Dよりも外方に突出している。また、ロアー基部3Bの下側部3B2およびフランジ部3Dにおけるアッパーケース2側に対する反対側には、コイルスプリング7が当接してその付勢力を受ける被付勢面3Eが形成される。
【0028】
<センタープレート4>
センタープレート4について、
図4〜
図6を参照して説明する。
図5(a)、(b)、および(c)は、センタープレート4の平面図、底面図、および側面図を示している。
図6(a)は、
図5(b)のVIa−VIa線に沿った断面図であり、
図6(b)は、(a)に示したセンタープレート4の左右両端付近の分解拡大図を示す。
【0029】
センタープレート4は、プレート本体10と、スラストプレート20とを備え、環状空間8内に配置されている。
【0030】
<プレート本体10>
プレート本体10は、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂等の摺動性に優れた熱可塑性プラスチックにより構成されている。
【0031】
プレート本体10は、断面略L字の円環状をなし、円環状のスラスト本体部11と、スラスト本体部11の内周縁から軸方向Oに沿って突出する円筒状のラジアル部12とを備える。
【0032】
スラスト本体部11は、ロアー基部3Bの上側部3B1上に配置されている。
図5、
図6に示すように、スラスト本体部11には、その上面13および下面14を貫通するように、複数の断面略凸字状の嵌合孔11aが円周方向に等間隔に形成されている(なお、
図5(b)においては、図の簡略化のために一ケ所にのみ参照番号を付している。)。
【0033】
図4に示すように、ラジアル部12は、アッパーケース2の内周部2Cとロアー基部3Bの上側部3B1との間に配置されている。
図5、
図6に示すように、ラジアル部12は、内周面15を有し、内周面15には、複数個の溝15aが形成されている(
図5、
図6においては、図の簡略化のために一ケ所にのみ参照番号を付している。)。ラジアル部12の内周面15は、アッパーケース2の内周部2Cに対し、摺接可能なラジアル摺動面として機能する。複数個の溝15aに形成された複数個の溝15aは、グリース等の潤滑剤の溜まり部となる。ラジアル部12の外周面16は、ロアー基部3Bの上側部3Bに当接している。
【0034】
<スラストプレート20>
スラストプレート20は、摺動性に優れ、かつプレート本体10に用いられる熱可塑性プラスチックよりも高い弾性(低い剛性)を有する材料、例えば、スチレン系、オレフィン系、ポリアミド系、ポリエステル系またはウレタン系エラストマー等の熱可塑性エラストマーまたは軟質PBT(ポリブチレンテレフタレート)で構成されている。スラストプレート20を構成する材料には、必要に応じてPTFE(ポリテトラフロロエチレン)、潤滑油、シリコーン等の潤滑剤が添加される。プレート本体10のスラスト本体部11およびスラストプレート20は、アッパーケース2のアッパー基部2Bの荷重伝達面2F、および摺動シート5を介して、ストラット式サスペンションに加わる車体の荷重を支持する。プレート本体10のスラスト本体部11およびスラストプレート20により、スラスト部が構成される。
【0035】
図5、
図6に示すように、スラストプレート20は、環状をなすプレート基部21と、スラスト本体部11の複数の嵌合孔11aに対応するように、プレート基部21の下面22に設けられた複数の断面略凸字状の嵌合部23とを有する。プレート基部21の下面22が、スラスト本体部11の上面13に当接し、各嵌合部23が、対応する嵌合孔11aに嵌合されることにより、プレート本体10とスラストプレート20が一体的に構成されている。
【0036】
プレート基部21の上面24は、アッパーケース2の荷重伝達面2Fに加わる荷重を、摺動シート5を介して支持する。上面24は、2つの環状の凸部24Aと、2つの凸部24Aに挟まれた環状の凹部24bとを有し、軸方向Oに沿った断面形状が波形状をなしている。また、上面24の凹部24bには、潤滑剤が充填される。上面24は、摺動シート5に摺動可能に当接し、スラスト摺動面として機能する。このように、スラスト部を構成し、スラスト摺動面である上面24を有するスラストプレート20は、熱可塑性エラストマーから構成され、当該熱可塑性エラストマーは、ラジアル部12のラジアル摺動面である内周面15を構成する熱可塑性プラスチックよりも高い弾性を有している。
【0037】
<摺動シート5>
摺動シート5は、PTFE等のフッ素樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等の摺動性に優れた熱可塑性プラスチックで構成されている。摺動シート5を構成する熱可塑性プラスチックには、必要に応じてPTFE(ただし、熱可塑性プラスチックがPTFE樹脂の場合を除く)、潤滑油、シリコーン、黒鉛等の潤滑剤、および/またはアラミド繊維、ガラス繊維、炭素繊維等の補強材が添加される。また、
図4に示すように、摺動シート5は、アッパーケース2のシート収容凹部2Gに収容され、センタープレート4のスラストプレート20の上面24とアッパーケース2の荷重伝達面2Fとの間に配置される。
【0038】
摺動シート5は、断面形状が矩形の環状をなし、その下面5Aは、センタープレート4のスラストプレート20の上面24と摺接するように構成されている。摺動シート5の下面5Aがスラストプレート20の上面24と摺接することにより、アッパーケース2およびロアーケース3間の回動が可能となる。
【0039】
<ダストシール6>
シール部材であるダストシール6は、ウレタン樹脂等の弾性体で構成されており、ロアーケース3のロアー基部3Bの外周および内周に装着されている。ダストシール6は、ロアー基部3Bの上側部3B1の外周および内周に装着されたシール基部6Aと、シール基部6Aの上端からアッパーケース2の外周部2D側および内周部2C側に延びるリップ部6Bとを備える。ダストシール6のリップ部6Bは、アッパーケース2の内周部2Cおよび外周部2Dに当接して、環状空間8への異物の侵入を防止する。
【0040】
<作用効果>
本実施の形態の滑り軸受1によれば、スラスト部を構成し、上面(スラスト摺動面)24を有するスラストプレート20は、熱可塑性エラストマーから構成され、当該熱可塑性エラストマーは、ラジアル部12の内周面(ラジアル摺動面)15を構成する熱可塑性プラスチックよりも高い弾性を有する。すなわち、スラスト部のうち、上面(スラスト摺動面)24を構成する部分は、ラジアル部12のラジアル摺動面15を構成する熱可塑性プラスチックより高い弾性を有する熱可塑性エラストマーで構成されている。換言すれば、スラスト部のうち、スラスト摺動面24を構成する部分は、ラジアル部12のうち、ラジアル摺動面15を構成する部分より高い弾性を有する樹脂材料で構成されている。
【0041】
上記のように、上面(スラスト摺動面)24を構成する部分は、ラジアル部12のラジアル摺動面15を構成する熱可塑性プラスチックより高い弾性を有する熱可塑性エラストマーで構成されている。これにより、スラストプレート20の上面(スラスト摺動面)24は、優れた摺動性を実現することができる。アッパーケース2を介してセンタープレート4に偏荷重が加わった場合でも、スラストプレート20が弾性変形することにより、当該偏荷重を吸収することができる。
【0042】
また、ラジアル部12のラジアル摺動面15は、熱可塑性プラスチックより構成されているので、優れた摺動性およびラジアル方向に作用する荷重を支持可能な剛性を実現することがでる。
【0043】
このように、本実施の形態の滑り軸受1によれば、優れた摺動性および弾性力を示すスラスト摺動面(上面24)および優れた摺動性をおよび剛性を示すラジアル摺動面(内周面15)を有するセンタープレート4を備える滑り軸受1を提供することができる。
【0044】
また、プレート本体10および上面(スラスト摺動面)24を有するスラストプレート20は、嵌合により一体化されているので、アッパーケース2およびロアーケース3に対して容易に固定することができ、滑り軸受1の組立時間を短縮させることができる。
【0045】
また、内周面(ラジアル摺動面)15を構成する熱可塑性プラスチックは、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、またはポリエチレン樹脂であり、上面(スラスト摺動面)24を構成する熱可塑性エラストマーは、スチレン系、オレフィン系、ポリアミド系、ポリエステル系またはウレタン系である。
【0046】
かかる構成により、優れた摺動性および弾性力を示す上面(スラスト摺動面)24および優れた摺動性をおよび剛性を示す内周面(ラジアル摺動面)15を有するセンタープレート4を備える滑り軸受1を提供することができる。
【0047】
また、スラストプレート20の上面24には、潤滑剤が充填される凹部24bが形成されているので、スラストプレート20の上面24の摺動性をより向上させることができる。
【0048】
また、スラストプレート20の上面24の凹部24bの軸方向に沿った断面形状は、波形状である。かかる構成により、スラストプレート20をより大きく弾性変形させることが可能となり、センタープレート4の上面24の凹部24bに充填された潤滑剤のシール性がさらに向上し、より長期に亘り、摺動シート5およびスラストプレート20の上面24を潤滑剤で潤滑することができる。
【0049】
また、アッパーケース2のアッパー基部2Bと、スラストプレート20の上面(スラスト摺動面)24との間には、フッ素樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂、またはポリフェニレンサルファイド樹脂で構成された摺動シート5が設けられている。これにより、スラストプレート20の上面(スラスト摺動面)24のアッパーケース2に対する摺動性をさらに向上させることができる。
【0050】
ラジアル部12の内周面15には、潤滑剤が充填される溝が形成されているので、ラジアル部12の内周面15の摺動性をより向上させることができる。
【0051】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形は可能である。
【0052】
例えば、センタープレート4のプレート本体10およびスラストプレート20は嵌合により一体化されていたが、インサート成形または多色成形により一体化されていても良い。
【0053】
また、上記の実施の形態において、アッパーケース2のアッパー基部2Bは、摺動シート5を有していたが、
図7に示すように、摺動シート5を有さず、スラストプレート20の上面24が直接アッパーケース2のアッパー基部2Bに摺接する構成であっても良い。この場合も、優れた摺動性および弾性力を示すスラスト摺動面(上面24)および優れた摺動性をおよび剛性を示すラジアル摺動面(内周面15)を有するセンタープレート4を備える滑り軸受1を提供することができる。
【0054】
また、センタープレート4において、スラスト部の全体が、ラジアル部を構成する熱可塑性プラスチックよりも高い弾性(低い剛性)を有する熱可塑性エラストマーで構成され、ラジアル部の全体が、熱可塑性プラスチックにより構成され、当該スラスト部および当該ラジアル部が一体化された構成であっても良い。