特許第6573556号(P6573556)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6573556-鼻腔内麻酔薬塗布装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6573556
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】鼻腔内麻酔薬塗布装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 35/00 20060101AFI20190902BHJP
【FI】
   A61M35/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-6407(P2016-6407)
(22)【出願日】2016年1月15日
(65)【公開番号】特開2017-124107(P2017-124107A)
(43)【公開日】2017年7月20日
【審査請求日】2017年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】505197447
【氏名又は名称】大原 信行
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大原 信行
【審査官】 家辺 信太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−326064(JP,A)
【文献】 特開2008−188212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の外鼻孔から後鼻孔に至る距離以上の長さを有する中実の棒状部材からなる本体
部と、
前記棒状部材の先端近傍の外周面に所定の長さにわたって形成された凹部からなる麻酔
薬付着部と、
前記本体部の基端部に設けられた把持部と、を備え
滅菌処理に対する耐性を備えた材質により形成される、
ことを特徴とする鼻腔内麻酔薬塗布装置。
【請求項2】
請求項1に記載の鼻腔内麻酔薬塗布装置において、
前記本体部を前記被検者の鼻腔内に挿入した状態を維持するために、前記被検者の顔面
に一時的に固定する固定体を含む脱落防止部を更に備え、
前記本体部及び前記把持部は同一軸線を有して形成され、
前記脱落防止部は、一端部が前記把持部に連結され、他端部は前記把持部から前記同一
軸線に対して傾斜角を有して離隔した突出片として形成され、
前記傾斜角は、前記本体部を前記被検者の鼻腔内に挿入した状態で、前記被検者の上口
唇の白唇部に沿う角度である、
ことを特徴とする鼻腔内麻酔薬塗布装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の鼻腔内麻酔薬塗布装置において、
前記本体部は、シリコンゴムを用いて形成される、
ことを特徴とする鼻腔内麻酔薬塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は経鼻内視鏡検査の前処置において使用される鼻腔内麻酔薬塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上部消化管用の内視鏡等は、通常、口腔を介して内視鏡の挿入部が消化管内に導かれる、経口挿入とするのが一般的である。このために、上部消化管内視鏡検査を受ける被検者は横臥状態でマウスピースを銜えて、このマウスピースにより確保される経路に沿って挿入部が体腔内に導かれる。口腔を介して挿入される場合には、挿入部が咽喉を通過する際に、舌根に挿入部が触れることによる咽頭反射或いは嘔吐反射が起こり、嘔吐感を被検者に与え、苦痛を伴うものになる。そして、この咽頭反射を抑制して、苦痛の軽減を図るために、麻酔薬を用いるものの、なお苦痛は残ってしまう。さらに、被検者はマウスピースを銜えているので、術者等との会話が困難になるという問題点もあり、また口呼吸が困難になる等の問題点がある。
【0003】
そこで、昨今、内視鏡の挿入経路として、前述した口腔だけでなく経鼻的に挿入する方式が普及している。特に、近年においては、内視鏡の挿入部が細径化され、鼻腔を介して挿入するのに最適な外径を有する内視鏡も実用化されている。
【0004】
ところで、内視鏡の挿入部を鼻腔内に挿入する際に、この挿入部が異物として作用して敏感な鼻粘膜を刺激することになり、被検者に対して苦痛を与えることになる。そこで、挿入部を挿入する前の段階で、鼻腔内の挿入経路、特にこの挿入経路のうちの最も狭い個所、つまり中鼻甲介下縁と下鼻甲介上縁との間隙(以下「中鼻道」と略記する)または下鼻甲介下縁と鼻腔底との間隙(以下「下鼻道」と略記する)を経て後鼻孔に至る経路に予め麻酔薬を供給することによって、鼻粘膜の刺激に対する感度を低下させる前処置が施されている。
【0005】
この鼻腔内麻酔薬塗布処置(以下「麻酔薬塗布装置」と略記する)の一例として、非特許文献1には、単回使用の内視鏡用の麻酔薬塗布装置が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】URL:http://fujifilm.jp/business/healthcare/endoscope/treatment_tools_2/accessories/index.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現行の診療報酬体制下では検査の種別毎に診療報酬額が定まっている。そのため、検査器具や装置のコストの高低に関らず、同一の検査から得られる診療報酬額は一定である。従って、麻酔薬塗布装置の単価上昇は医療機関にとって収益悪化につながるという懸念がある。この点に関し、非特許文献1に記載の麻酔薬塗布装置は単回使用を前提として製造されているため検査毎に新品が用いられ、廃棄される。従って、医療機関は、検査毎に新しい装置を購入する費用及び医療廃棄物の処理費用を負担する必要があり、より経済的な麻酔薬塗布装置が要望されている。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、経鼻内視鏡検査における医療機関の収益向上が望まれる麻酔薬塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために、本発明に係る鼻腔内麻酔薬塗布装置は、被検者の外鼻孔から後鼻孔に至る距離以上の長さを有する中実の棒状部材からなる本体部と、前記棒状部材の先端近傍の外周面に所定の長さにわたって形成された凹部からなる麻酔薬付着部と、前記本体部の基端部に設けられた把持部と、を備え、滅菌処理に対する耐性を備えた材質により形成される、ことを特徴とする。
【0010】
鼻腔内麻酔薬塗装置は、麻酔薬を必要な箇所に必要量供給するためのものであって、本体部の外面、より詳しくは凹部形成された麻酔薬付着部に一時的に麻酔薬を貯留して、鼻腔内壁の所望の部位に麻酔薬を塗布する。ここで、鼻腔内を内視鏡の挿入経路として使用するために、この経路で必要な箇所、つまり内視鏡が挿入されることにより被検者にとって刺激を受ける箇所に限定して、麻酔薬を塗布する。この場合、必要な箇所は、中鼻道(または下鼻道)を経て後鼻孔に至る経路である。それ以外の箇所、つまり手前側の鼻前庭や、後鼻孔より先の部位にはできるだけ麻酔薬が及ばないようにする。このために、麻酔薬付着部は本体部の先端近傍に設け、麻酔薬を限定した領域に塗布する。この際、本体部の軸線方向にも所定の長さ分、具体的には3〜5cm程度に、全周にわたって凹部を形成することが望ましい。これによって、必要な箇所には確実に麻酔薬を塗布することができ、かつ必要以外の箇所に麻酔薬が及ぶことを抑制することができる。
【0011】
鼻腔の内部は狭く、しかもかなりの長さを有する経路であって、その経路は粘膜で覆われている。麻酔薬を塗布するための装置であるから、その本体部は内視鏡の挿入部より細径のものを用いることができる。また、内視鏡の挿入部が通過する経路の広さには個人差があり、経路の個人差に対応できるように麻酔薬塗布装置の本体部の太さ(外周径)はサイズの異なる径、例えば外径6mm、5mm、4mm、3mm等を用いることができる。従って、本体部は狭窄な部位を有する鼻腔内の経路に容易に挿入することができる。
【0012】
さらに、麻酔薬塗布装置を滅菌処理に対する耐性を備えた材質、例えばシリコンゴムやフッ素ゴム等といった耐薬品性及び耐オートクレーブ性に優れた材質のもので形成すれば、使用後における滅菌が可能となり、繰り返し使用することができる。また、繰り返し使用できることで、麻酔薬塗布装置の単価が単回使用のものと比べて若干高くなったとしても、複数使用することで結果的に医療機関の収益性の向上が期待できる。従って、単回使用の麻酔薬塗布装置に対してより複雑な加工を施して製造原価が向上することがあっても許容しやすくなり、使い勝手をより向上させた麻酔薬塗布装置を提供することができる。
【0013】
また、麻酔薬塗布装置の本体部の先端部は、エッジのない凸曲面形状、例えば凸球面形状となし、かつ好ましくは、本体部はその軸方向に対して可撓性を有する。これにより、鼻腔の内部に挿入する際に、本体部の先端が鼻腔の粘膜を圧迫してダメージを与えることを抑止できる。
【0014】
また、麻酔薬付着部は、本体部の外周面のうち、鼻腔内壁に内視鏡が接触することが予想される部位と対向する位置に備えられた複数の凹部として形成されることが望ましい。
【0015】
麻酔薬としてゼリー状または液状の局所麻酔薬(例えばキシロカインビスカス、キシロカインポンプスプレー等)が好適に用いられる。この麻酔薬を鼻腔内壁において特に内視鏡の挿入時に鼻痛を感じやすい部位に塗布するために、麻酔薬付着部は、本体部の先端部近傍に、望ましくは中鼻道(または下鼻道)から後鼻孔までの長さ分とほぼ一致する部分に凹部を複数設けて形成する。これによって、本体部を所定の長さ分だけ挿入して、本体部を僅かに捩じるように操作するだけで、必要な箇所に限定して、必要量の麻酔薬を塗布することができる。
【0016】
凹部の形状は、一時的に麻酔薬を貯留できる形状であればその種類は問わない。従って、楕円形状、長円形状でもよいし、複数のひだ状に形成してもよい。ひだ状に形成する場合は、隣接するひだの間が凹部として機能する。更に、本体部の軸方向を回転軸とし、外周面に設けたらせん状溝により形成されてもよい。
【0017】
更に、前記本体部を前記被検者の鼻腔内に挿入した状態を維持するために、前記被検者の顔面に一時的に固定する固定体を含む脱落防止部を更に備えてもよい。一例として、脱不落防止部は、本体部を被検者の鼻腔内に挿入した状態で、被検者の上口唇の白唇部に接触する固定体、及び当該固定体と前記把持部とを連結する連結部を含んで形成してもよい。
【0018】
鼻腔内に麻酔薬を塗布する際には、麻酔薬が十分に鼻腔粘膜に浸潤するまでの時間、鼻腔内に本体部を留めておく必要がある。そこで、本体部の脱落を防ぐために固定体を鼻腔外、例えば被検者の上口唇の白唇部に固定体をテーピングすることで、本体部の脱落を防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、経鼻内視鏡検査における医療機関の収益向上が望まれる鼻腔内麻酔薬塗布装置を提供することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】内視鏡の挿入部を被検者の体腔内に挿入する状態を示す説明図である。
図2】鼻腔内麻酔薬塗布装置の一例(凹部形状が楕円状)を示す図であって、(a)は側面図、(b)は底面図、(c)は(a)のA−A’断面図を示す。
図3】鼻腔内麻酔薬塗布装置の他例(凹部形状が長円状)を示す図であって、(a)は側面図、(b)は底面図、(c)は(a)のB−B’断面図は断面図を示す。
図4】鼻腔内麻酔薬塗布装置の他例(凹部形状がひだ状)を示す図であって、(a)は側面図、(b)は底面図、(c)は(a)のC−C’断面図は断面図を示す。
図5】脱落防止部の使用状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一または関連する符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0022】
図1において、1は内視鏡であって、内視鏡1は体腔内に挿入される挿入部2の基端部に本体操作部3を連結して設け、本体操作部3から光源装置やプロセッサに接続されるユニバーサルコード4を延在させる構成としたものである。挿入部2は、例えば食道,胃,十二指腸等といった上部消化管内に挿入されて、所望の検査や治療等を行うために用いられるものである。ここで、挿入部2は、被検者の口腔ではなく、鼻腔を介して体内に挿入されるようになっている。つまり、鼻道の入口である外鼻孔から中鼻道や下鼻道を含む鼻腔を通り、後鼻孔から咽頭部を経て食道に至る経路を取るようにしている。
【0023】
内視鏡1の挿入部2を鼻腔内に挿入する前の段階で、麻酔薬を塗布する。この麻酔薬の塗布は、麻酔薬塗布装置を外鼻孔から挿入し、中鼻道や下鼻道から後鼻孔に至る鼻腔内経路に対して均一に、しかも必要な量だけ塗布する。このために用いられる麻酔薬塗布装置の一例が、図2乃至図4に示されている。
【0024】
図2の麻酔薬塗布装置10は、鼻腔内に挿入するスティック形状(棒状)の本体部20と、本体部20の軸方向の基端部側に連続して設けられ、本体部20を鼻腔内に挿入する際にユーザが把持する把持部30と、本体部20を鼻腔内に挿入した状態を維持する、換言すると鼻腔内に挿入された本体部20が鼻腔外に脱落することを防止する脱落防止部40とを有する(図2(a)(b)参照)。
【0025】
本体部20は少なくとも外鼻孔から後鼻孔に至る長さ、具体的には6cm〜9cm程度の長さを有するものであり、太さ(外周径)は内視鏡1の挿入部2と同等若しくはそれ以下である。
【0026】
本体部20は中実の棒状に形成されるが(図2(c)参照)、中空のチューブ状に形成されてもよい。本体部20の先端部21は挿入性を向上させるために凸半球面または回転楕円面等といった凸球面形状となっており、エッジやコーナ部等は存在しない。
【0027】
本体部20の外周には、塗布あるいは噴射された麻酔薬を一時的に貯留する麻酔薬付着部22が形成される。麻酔薬付着部22は、本体部20の外周面の内、本体部20を被検者の鼻腔に挿入した状態で、被検者の鼻腔内壁のうち経鼻内視鏡を挿入した際に内視鏡が接触して鼻痛を生じさせる部位に対向する外周面に設けられる。図3に示すように、経鼻内視鏡の挿入ルートは3態様があるが、そのいずれの挿入ルートであっても麻酔処置を行いたい部位に麻酔薬付着部22が配置されることが望ましい。
【0028】
そこで図2の例では、麻酔薬付着部22を本体部20の先端部21から基端部側(把持部30側)方向に1〜2cmにある第一基点22aを基準とし、それよりも更に把持部30方向に3〜5cm近い位置にある第二基点22bまでの範囲に、複数の円形または楕円状の凹部25が全周面に亘って複数形成される。
【0029】
麻酔薬塗布装置10の挿入前に麻酔薬付着部22に麻酔薬を塗布あるいは噴霧すると、凹部25に麻酔薬が一時的に貯留され、麻酔薬付着部22外に漏出しにくくなる。そのため、本体部20を鼻腔内に挿入する作業をしている間も麻酔薬を貯留し続けることができ、鼻腔内壁の所望の部位に対して麻酔薬を塗布できる。
【0030】
麻酔薬付着部22の形状の他例として、図3の麻酔薬塗布装置10aのように、長円状の凹部26を複数配列してもよい。
【0031】
また図4の麻酔薬塗布装置10bのように、本体部20の周方向に沿って複数配置された複数のひだ部27により、麻酔薬付着部22を形成してもよい。この場合、隣接するひだ部27の間に麻酔薬が貯留されるとともに、スティック状の本体部に比べてひだ部27の方が表面積は広くなるので、麻酔薬がより付着しやすくなる。
【0032】
本体部20及び把持部30の間には本体部20よりも太いフランジ部31を備える。フランジ部31は、被検者の外鼻孔よりも太く形成される。これにより、本体部20を被検者の鼻腔に挿入した際に、フランジ部31が外鼻孔に接触した位置で本体部20の挿入が止まり、本体部20を挿入し過ぎることを抑止できる。
【0033】
本体部20、フランジ部31、及び把持部30は、同一軸線Lを有して形成される。一方、脱落防止部40は、一端部が把持部30に連結され、他端部は把持部30から離隔した突出片(固定翼部)として形成される。図2(b)の例では、脱落防止部40は、フランジ部31に連結する連結部41、及び連結部41よりも面積が広い板状部材からな固定体42を含んで形成される。脱落防止部40は、軸線Lに対して傾斜角θを有して形成される(図2(a)参照)。この傾斜角θは、鼻腔内に本体部20を挿入した状態で、被検者の上口唇の白唇部に沿う形状となすことが望ましい。これにより図5に示すように、本体部20を鼻腔内に挿入した状態で固定体42を被検者の上唇の上側に粘着テープで一時的に固定することができる。その結果、麻酔塗布装置10を鼻腔内に挿入し、麻酔薬が鼻腔粘膜に浸潤するまでの時間本体部20を留置させる際にも、本体部20の脱落を抑止することができる。
【0034】
以上のように構成される麻酔薬塗布装置10は、耐オートクレープ性を有する材質を用いて形成されることが好ましい。これにより、使い捨て(単回使用)ではなく、滅菌・殺菌処理後の再利用が可能となる。また、本体部20は、更に曲げ方向に対する可撓性が要求される。そこで、例えばシリコンを用いて本体部20を形成してもよい。このように、再利用性を確保することで、麻酔薬塗布装置10の製造単価が使い捨て装置に比べて高くなることが許容されやすくなる。そのため、麻酔薬付着部22のような複雑な形状加工技術や、脱落防止部40を備えることによる製造原価の上昇に対しても、経済的な耐性を有することができる。特に、現行の診療報酬体制下では検査毎に診療報酬額が定まっており、検査器具のコストが上昇しても医療機関は診療報酬額に上乗せして回収することができず、経営圧迫要因となりかねない。従って、麻酔薬塗布装置の再利用性を確保することで、医療機関の収益性向上に資することができる。
【0035】
麻酔薬塗布装置10の使用方法について説明する。まず、麻酔薬付着部22に麻酔薬を噴霧又は塗布し、凹部25、26、またはひだ部27に麻酔薬を一時的に貯留させる。そして、本体部20の先端部21を被検者の外鼻孔の内部に挿入する。本体部20の先端部21は凸曲面形状となっているので、狭い通路である鼻腔内に粘膜を圧迫したり、ダメージを与えたりすることなく、円滑に挿入でき、被検者に与える苦痛は最小限に抑制される。
【0036】
本体部20の鼻腔内への進行に伴って、麻酔薬付着部22も進行し、鼻腔内面に麻酔薬が塗布されることになる。麻酔薬付着部22には、その全周にわたって凹部25、26またはひだ部27が形成されているので、麻酔薬は鼻腔における内視鏡1の挿入部2が通過する中鼻道(または下鼻道)の粘膜のほぼ全周にわたって塗布される。また鼻腔内に本体部20が進行する際に接触する鼻腔内壁に対して、凹部25、26またはひだ部27に貯留された麻酔薬が塗布されるので、塗布むらを最小限に抑制できる。
【0037】
そして、麻酔薬を行き渡らせるために、本体部20を所定の時間だけ鼻腔内に留置する場合もある。その際、脱落防止部40の固定体42を上口唇の白唇部にテーピングすることで、把持部30から手を離しても本体部20が脱落することを防ぐ。これにより、ユーザが麻酔薬塗布装置10を把持し続けなくてもよくなり、麻酔薬塗布装置10が使いやすくなる。このように脱落防止部40は本体部20の留置時における脱落防止機能を発揮するが、さらにフランジ部31と相まって、本体部20が鼻腔内に完全に埋入してしまうのを防止するストッパとしての機能を発揮する。
【0038】
麻酔薬が十分作用するまでの間本体部20を留置した後、本体部20を鼻腔外に引き出す。そして、内視鏡1の挿入部2を鼻腔内に挿入して、この挿入部2の先端部を検査すべき位置にまで進行させて、この挿入部2を適宜操作することにより内視鏡検査が行われる。そして、必要に応じて処置具挿通チャンネルを介して鉗子等の処置具を体腔内に挿入することによって、所定の治療を施すこともできる。
【0039】
麻酔薬塗布装置10の使用後は、アルコール処理やオートクレープによる熱処理により、殺菌、滅菌処理を行う。これにより、再利用を行うことができる。
【0040】
上記実施形態は本発明の一態様の例示にすぎず、本発明を限定する趣旨ではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲での様々な変更態様は本発明に含まれるものである。例えば、脱落防止部40は、連結部及び固定体を共に一つの板状部材として形成してもよいし、連結部はフランジ部ではなく把持部30に連結してもよい。また固定体は板状部材ではなく棒状部材でもよい。さらに固定体は被検者の上口唇の白唇部に固定できる位置に設けたが、例えば図2(a)の軸線Lに対して仰角に、かつ本体部20方向に突出する突出片として形成し、被検者の鼻上にテーピングできるように形成してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1:内視鏡、2:挿入部、3:本体操作部、4:ユニバーサルコード、10:麻酔薬塗布装置、20:本体部、21:先端部、22:麻酔薬付着部、30:把持部、40:脱落防止部
図1
図2
図3
図4
図5