(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態の自動取引装置の構成を示す図である。自動取引装置1は、光源部2と撮像部3とを備える。
【0013】
光源部2は、交互点灯態様で点灯することにより情報を報知する。交互点灯態様は、点灯量を漸次変化(漸増および漸減)させることで、点灯状態を、第1点灯量で点灯した第1点灯状態と、第2点灯量で点灯した第2点灯状態とを交互に切り換える態様である。第2点灯量は、第1点灯量と異なる点灯量である。漸次変化については、後で
図2を用いて説明する。
【0014】
たとえば、第1点灯量は、点灯量0%(消灯した状態)であり、第2点灯量は、点灯量100%(最大の点灯量で点灯した状態)である。このように交互に異なる点灯量で点灯することで、単純に点灯している場合よりも、利用者に感知(知覚)させやすくできる(良好に情報を報知できる)。
【0015】
撮像部3は、光源部2の点灯によって変化する入射光に応じて撮像設定を調節する。たとえば、
図1(a),(b)に示すように、光源部2の点灯により出射(照射)した光は、対象物4での反射等により、一部が撮像部3に入射する入射光になる。そのため、第1点灯量で点灯する第1点灯状態(
図1(a))と、第2点灯量で点灯する第2点灯状態(
図1(b))とでは、撮像部3に入射する入射光(たとえば、光量)が変化する(異なる)。
【0016】
そこで、撮像部3は、たとえば、入射光の変化によって生じた基準値とのずれ(たとえば、予め設定した適正露出量とのずれ)を、撮像設定を調節(調整)することで補正する。撮像部3は、光源部2が交互点灯態様で点灯している間に対象物4を撮像する。
【0017】
なお、以下では、撮像設定の調節による露出量の補正を用いて説明するが、他の撮像パラメータの補正(たとえば、色調補正等)についても同様に適用できる。
ここで、漸次変化について
図2を用いて説明する。
図2は、第一実施形態における点灯量の変化と露出量の変化との関係を示す図である。なお、説明のためシャッタースピード(露出時間)は十分小さい(たとえば、時刻T1で撮像した場合には、露出時間の間中、時刻T1の入射光量が入射する)ものとする。
【0018】
まず、従来の点灯態様について
図2(a1),
図2(a2)を用いて説明する。
図2(a1)は、従来の点灯態様で光源部2を点灯した場合の点灯量の推移を示す図である。具体的には、光源部2が、第1点灯量の第1点灯状態と第2点灯量の第2点灯状態とを、点灯量を一括で(一度に)変化させることで切り換えた場合の点灯量の推移を示している。なお、
図2(a1)では、縦軸が点灯量、横軸が時刻を示している。
【0019】
図2(a2)は、光源部2の点灯量の推移が
図2(a1)である場合の露出量の推移を示す図である。
図2(a2)は、点灯量に応じて光源部2から出射した光のうち一定の割合(たとえば、全て)が入射したと仮定した場合の露出量を示している。なお、
図2(a2)では、縦軸が露出量、横軸が時刻を示している。なお、上方の破線は、適切な画像が撮像できる露出量の上限値として設定された露出オーバー(許容上限露出量)を、下方の破線は、適切な画像が撮像できる露出量の下限値として設定された露出アンダー(許容下限露出量)を示している。すなわち、破線の間が適正範囲(露出量をコントロールすべき範囲)である。
【0020】
時刻T1に光源部2は、点灯量を第1点灯量(第1点灯状態)から第2点灯量(第2点灯状態)に切り換える。時刻T1直前では撮像部3は、光源部2が第1点灯量で点灯している場合に適正露出量(基準値)になるように調節している。そのため、時刻T1における点灯量の大幅な増加により、入射光量も大幅に増加し、露出量は、適正露出量を大幅に上回る値、すなわち、適正範囲外(許容上限露出量を上回る値)である「適正露出量+α」になる。
【0021】
その後、撮像部3は、撮像設定を調節することで露出量を徐々に減少(たとえば、単位時間当たり所定量減少)させ、時刻T2に露出量を適正範囲内に納め(コントロールし)、時刻T3に適正露出量と同値まで補正する。
【0022】
時刻T4に光源部2は、点灯量を第2点灯量(第2点灯状態)から第1点灯量(第1点灯状態)に切り換える。時刻T4直前では撮像部3は、光源部2が第2点灯量で点灯している場合に適正露出量(基準値)になるように調節している。そのため、時刻T4における点灯量の大幅な減少により、入射光量も大幅に減少し、露出量は、適正露出量を大幅に下回る値、すなわち、適正範囲外(許容下限露出量を下回る値)である「適正露出量−α」になる。
【0023】
その後、撮像部3は、撮像設定を調節することで露出量を徐々に増加(たとえば、単位時間当たり所定量増加)させ、時刻T5に露出量を適正範囲内に納め(コントロールし)、時刻T6に適正露出量と同値まで補正する。以降、このサイクル(T1〜T6)が繰り返される。
【0024】
このように、従来の点灯態様では、点灯状態を切り換えた直後(たとえば、時刻T1〜T2の間、時刻T4〜T5の間)に露出量が大幅にずれ、適正範囲外になり、適切な画像を撮像できない場合があった。
【0025】
次に、本発明の点灯態様(交互点灯態様)その1について
図2(b1),
図2(b2)を用いて説明する。
図2(b1)は、本発明の交互点灯態様で光源部2を点灯した場合の点灯量の推移を示す図である。具体的には、光源部2が、第1点灯量の第1点灯状態と第2点灯量の第2点灯状態とを、点灯量を段階的(漸次的)に変化させて切り換えた場合の点灯量の推移を示している。なお、
図2(b1)では、縦軸が点灯量、横軸が時刻を示している。
【0026】
図2(b2)は、光源部2の点灯量の推移が
図2(b1)である場合の露出量の推移を示す図である。
図2(b2)は、点灯量に応じて光源部2から出射した光のうち一定の割合(たとえば、全て)が入射したと仮定した場合の露出量を示している。なお、
図2(b2)では、縦軸が露出量、横軸が時刻を示している。また、上方の破線は、適切な画像が撮像できる露出量の上限値として設定された露出オーバー(許容上限露出量)を、下方の破線は、適切な画像が撮像できる露出量の下限値として設定された露出アンダー(許容下限露出量)を示している。すなわち、破線の間が適正範囲(露出量をコントロールすべき範囲)である。
【0027】
時刻T1に光源部2は、第1点灯量(第1点灯状態)から第2点灯量(第2点灯状態)への点灯量の切り換えを開始し、点灯量を第1点灯量と第2点灯量の間の点灯量である第3点灯量に切り換える。時刻T1直前では撮像部3は、光源部2が第1点灯量で点灯している場合に適正露出量(基準値)になるように調節している。そのため、時刻T1における点灯量の増加により、入射光量も増加し、露出量は、露出オーバー気味な値(図では許容上限露出量と同値)である「適正露出量+β(β<αとする)」になる。
【0028】
その後、撮像部3は、撮像設定を調節することで露出量を徐々に減少(単位時間当たり所定量減少)させ、時刻T2に適正露出量と同値まで補正する。
時刻T3に光源部2は、点灯量を第3点灯量から第2点灯量(第2点灯状態)に切り換え、第1点灯量(第1点灯状態)から第2点灯量(第2点灯状態)への点灯量の切り換えを終了する。時刻T3直前では撮像部3は、光源部2が第3点灯量で点灯している場合に適正露出量(基準値)になるように調節している。そのため、時刻T3における点灯量の増加により、入射光量も増加し、露出量は、露出オーバー気味な値(図では許容上限露出量と同値)である「適正露出量+β(β<αとする)」になる。
【0029】
その後、撮像部3は、撮像設定を調節することで露出量を徐々に減少(単位時間当たり所定量減少)させ、時刻T4に適正露出量と同値まで補正する。
時刻T5に光源部2は、第2点灯量(第2点灯状態)から第1点灯量(第1点灯状態)への点灯量の切り換えを開始し、点灯量を第1点灯量と第2点灯量の間の点灯量である第3点灯量に切り換える。時刻T5直前では撮像部3は、光源部2が第2点灯量で点灯している場合に適正露出量(基準値)になるように調節している。そのため、時刻T5における点灯量の減少により、入射光量も減少し、露出量は、露出アンダー気味な値(図では許容下限露出量と同値)である「適正露出量−β(β<αとする)」になる。
【0030】
その後、撮像部3は、撮像設定を調節することで露出量を徐々に増加(単位時間当たり所定量増加)させ、時刻T6に適正露出量と同値まで補正する。
時刻T7で光源部2は、点灯量を第3点灯量から第1点灯量(第1点灯状態)に切り換え、第2点灯量(第2点灯状態)から第1点灯量(第1点灯状態)への点灯量の切り換えを終了する。時刻T7直前では撮像部3は、光源部2が第3点灯量で点灯している場合に適正露出量(基準値)になるように調節している。そのため、時刻T7における点灯量の減少により、入射光量も減少し、露出量は、露出アンダー気味な値(図では許容下限露出量と同値)である「適正露出量−β(β<αとする)」になる。
【0031】
その後、撮像部3は、撮像設定を調節することで露出量を徐々に増加(単位時間当たり所定量増加)させ、時刻T8に適正露出量と同値まで補正する。以降、このサイクル(T1〜T8)が繰り返される。
【0032】
このような点灯態様によれば、点灯状態を切り換える際に点灯量の変化によって生じる適正露出量からのずれ(β<α)を小さくできるため、露出量が適切範囲内に納まる(コントロールされる)時間を長くすることができる。特に、自動取引装置1は、
図2(b2)に示すように点灯量を変化させた直後でも露出量が適正範囲内に納まるような、変化量および変化タイミング(変化間隔)で段階的に点灯量を変化させることで、露出量が適正範囲外にならないようにコントロールできる。
【0033】
このような交互点灯態様で点灯することにより、自動取引装置1は、点灯による情報の報知と、画像の撮像とを両立できる。
次に、本発明の点灯態様(交互点灯態様)その2について
図2(c1),
図2(c2)を用いて説明する。
【0034】
図2(c1)は、本発明の交互点灯態様で光源部2を点灯した場合の点灯量の推移を示す図である。具体的には、光源部2が、第1点灯量の第1点灯状態と第2点灯量の第2点灯状態とを、点灯量を徐々に(単位時間当たり所定量)変化させて切り換えた場合の点灯量の推移を示している。なお、
図2(c1)では、縦軸が点灯量、横軸が時刻を示している。
【0035】
図2(c2)は、光源部2の点灯量の推移が
図2(c1)である場合の露出量の推移を示す図である。
図2(c2)は、点灯量に応じて光源部2から出射した光のうち一定の割合(たとえば、全て)が入射したと仮定した場合の露出量を示している。なお、
図2(c2)では、縦軸が露出量、横軸が時刻を示している。また、上方の破線は、適切な画像が撮像できる露出量の上限値として設定された露出オーバー(許容上限露出量)を、下方の破線は、適切な画像が撮像できる露出量の下限値として設定された露出アンダー(許容下限露出量)を示している。すなわち、破線の間が適正範囲(露出量をコントロールすべき範囲)である。
【0036】
時刻T1に光源部2は、第1点灯量(第1点灯状態)から第2点灯量(第2点灯状態)への点灯量の切り換えを開始し、点灯量を単位時間当たり所定量ずつ増加(所定の点灯変化量で増加)させ始める。
【0037】
時刻T1直前では撮像部3は、光源部2が第1点灯量で点灯している場合に適正露出量(基準値)になるように調節している。そのため、時刻T1から所定の点灯変化量で点灯量を増加させると、「点灯量の増加による露出量の増加量(露出増加スピード)−撮像設定の調節による露出補正量(露出補正スピード)」の分だけ徐々に露出量が適正露出量からずれていく。
【0038】
点灯量の増加による露出量の増加量(露出増加スピード)は、所定の点灯変化量で点灯量を増加させた場合に、単位時間当たりに増加する露出量である。撮像設定の調節による露出補正量(露出補正スピード)は、撮像設定の調節によって補正される単位時間当たりの露出量である。
【0039】
光源部2は、時刻T1から時刻T2まで点灯量を単位時間当たり所定量ずつ増加させ、点灯量が第2点灯量に到達すると、点灯量を単位時間当たり所定量ずつ増加させるのを終了する。この時、第1点灯量(第1点灯状態)から第2点灯量(第2点灯状態)への点灯量の切り換えにおける、露出量の適正露出量とのずれは、最大になる。具体的には、露出量は、露出オーバー気味な値である「適正露出量+γ(γ<αとする)」になる。
【0040】
その後、撮像部3は、撮像設定を調節することで露出量を徐々に減少(単位時間当たり所定の変化量で減少)させ、時刻T3に適正露出量と同値まで補正する。
時刻T4に光源部2は、第2点灯量(第2点灯状態)から第1点灯量(第1点灯状態)への点灯量の切り換えを開始し、点灯量を単位時間当たり所定量ずつ減少(所定の点灯変化量で減少)させ始める。
【0041】
時刻T4直前では撮像部3は、光源部2が第2点灯量で点灯している場合に適正露出量(基準値)になるように調節している。そのため、時刻T4から所定の点灯変化量で点灯量を減少させると、「点灯量の減少による露出量の減少量(露出減少スピード)−撮像設定の調節による露出補正量(露出補正スピード)」の分だけ徐々に露出量が適正露出量からずれていく。
【0042】
点灯量の減少による露出量の減少量(露出減少スピード)は、所定の点灯変化量で点灯量を減少させた場合に、単位時間当たりに減少する露出量である。
光源部2は、時刻T4から時刻T5まで点灯量を単位時間当たり所定量ずつ減少させ、点灯量が第1点灯量に到達すると、点灯量を単位時間当たり所定量ずつ減少させるのを終了する。この時、第2点灯量(第2点灯状態)から第1点灯量(第1点灯状態)への点灯量の切り換えにおける、露出量の適正露出量とのずれは、最大になる。具体的には、露出量は、露出アンダー気味な値である「適正露出量−γ(γ<αとする)」になる。
【0043】
その後、撮像部3は、撮像設定を調節することで露出量を徐々に増加(単位時間当たり所定の変化量で増加)させ、時刻T6に適正露出量と同値まで補正する。以降、このサイクル(T1〜T6)が繰り返される。
【0044】
このような点灯態様によれば、点灯状態を切り換える際に点灯量の変化によって生じる適正露出量からのずれ(γ<α)を小さくできるため、露出量が適切範囲内に納まる(コントロールされる)時間を長くすることができる。特に、自動取引装置1は、
図2(c2)に示すように、露出量が適正範囲内に納まるように、点灯量を単位時間当たり所定量ずつ変化させることで、露出量が適正範囲外にならないようにコントロールできる。
【0045】
このような交互点灯態様で点灯することにより、自動取引装置1は、点灯による情報の報知と、画像の撮像とを両立できる。
なお、より好ましくは、自動取引装置1は、露出増加スピード(露出減少スピード)よりも露出補正スピードが速くなるように、点灯量を単位時間当たり所定量ずつ変化させるとよい。露出補正スピードの方が速い場合、点灯量の変化によって生じた適正露出量からのずれは、随時(即時)、補正される。そのため、自動取引装置1は、露出量の適正露出量とのずれを抑止することができる。
【0046】
[第二実施形態]
次に第二実施形態として、第一実施形態の自動取引装置(ATM)についてより具体的に説明する。
図3は、第二実施形態におけるATMの外観を示す図である。
【0047】
ATM100は、利用者操作部101と、カード/レシート部102と、紙幣入出金部103と、テンキー入力部104と、利用者誘導部105a,105bと、撮像部106a,106bと、を有する。
【0048】
利用者操作部101は、ディスプレイとタッチパネルを有し、ATMにおける取引操作の案内と、指示の受け付けとを行う。カード/レシート部102は、キャッシュカードやクレジットカード等のカードを用いる取引において、カードの取り込みと排出とを行う。また、カード/レシート部102は、取引終了時に発行するレシートを排出する。紙幣入出金部103では、入金および出金取引の際に、紙幣の受け渡しを処理する。テンキー入力部104は、数字等を入力するキーを備え、利用者操作部101のタッチパネルと協働して利用者の指示を受け付ける。
【0049】
利用者誘導部105aは、異なる2つの点灯状態を交互に切り換えることにより、利用者を紙幣入出金部103に誘導する。具体的には、利用者誘導部105aは、紙幣入出金部103から紙幣を取り込むタイミング、紙幣入出金部103から紙幣を排出するタイミングで、利用者を紙幣入出金部103に誘導する。利用者誘導部105aは、複数のLED(発光体)からなるフリッカランプ(光源)である。
【0050】
利用者誘導部105bは、異なる2つの点灯状態を交互に切り換えることにより、利用者をカード/レシート部102に誘導する。具体的には、利用者誘導部105bは、カード/レシート部102からカードを取り込むタイミング、カード/レシート部102からカードを排出するタイミングおよびカード/レシート部102からレシートを排出するタイミングで、利用者をカード/レシート部102に誘導する。利用者誘導部105bは、複数のLED(発光体)からなるフリッカランプ(光源)である。
【0051】
撮像部(カメラ)106aは、紙幣入出金部103が排出した紙幣を利用者が取得したタイミングや、紙幣入出金部103に紙幣を利用者が挿入したタイミングで利用者を撮像する。たとえば、紙幣入出金部103からの紙幣の取得や、紙幣入出金部103への紙幣の挿入は、紙幣入出金部103に設けられた図示しないセンサ(たとえば、内部に設けられたセンサ等)によって検出される。撮像部106aは、適切な画像を撮像するために、撮像設定を調節することで、周囲の明るさの変化(撮像環境の変化)に合わせて露出量を基準値から一定範囲(予め設定した範囲)に納める(コントロールする)、いわゆる、露出補正を行う。
【0052】
撮像部(カメラ)106bは、カード/レシート部102にカードを利用者が挿入したタイミングや、カード/レシート部102が排出したカードを利用者が取得したタイミングや、カード/レシート部102が排出したレシートを利用者が取得したタイミングで利用者を撮像する。たとえば、カード/レシート部102へのカードの挿入や、カード/レシート部102が排出したカードの取得や、カード/レシート部102が排出したレシートの取得は、カード/レシート部102に設けられた図示しないセンサ(たとえば、挿入口に設けられたセンサ等)によって検出される。撮像部106bは、適切な画像を撮像するために、撮像設定を調節することで、周囲の明るさの変化(撮像環境の変化)に合わせて露出量を基準値から一定範囲(予め設定した範囲)に納める(コントロールする)、いわゆる、露出補正を行う。
【0053】
次にATM100のハードウェア構成について説明する。
図4は、第二実施形態におけるATMのハードウェア構成を示すブロック図である。
ATM100は、制御部110と、ディスプレイ101aと、タッチパネル101bと、カード/レシート処理ユニット120と、紙幣処理ユニット130と、テンキーユニット140と、誘導処理ユニット150aと、誘導処理ユニット150bと、を有する。
【0054】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)111、RAM(Random Access Memory)112、第1HDD(Hard Disk Drive)113a、第2HDD113b、外部通信インタフェース114、表示処理ユニット115、キー処理ユニット116、撮像処理ユニット117およびI/O(Input Output)制御部118を有し、各々がバス119を介して接続されている。なお、制御部110は、コンピュータの一例でもある。
【0055】
CPU111は、ATM100の全体動作を制御する。RAM112には、CPU111に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM112には、CPU111による処理に必要な各種データが格納される。
【0056】
第1HDD113aおよび第2HDD113bには、OSやアプリケーションプログラムを格納する。第1HDD113aと、第2HDD113bとは、システム保護のために二重化されているが、いずれか一方のみで構成することもできる。
【0057】
外部通信インタフェース114は、外部のネットワーク70に接続され、他のコンピュータとの間でデータの送受信を行う。
表示処理ユニット115には、ディスプレイ101aが接続される。ディスプレイ101aは、タッチパネル101bとともに利用者操作部101を構成する。表示処理ユニット115は、CPU111の制御の下に、操作案内等の各種情報をディスプレイ101aの画面に表示させる。
【0058】
キー処理ユニット116には、タッチパネル101bが接続される。タッチパネル101bは、ディスプレイ101aの上層に形成される。キー処理ユニット116は、利用者の指がタッチパネル101bに接触あるいは接近した画面上の位置を検出し、CPU111に通知する。
【0059】
撮像処理ユニット117は、撮像部106aと撮像部106bと接続される。撮像処理ユニット117は、CPU111の指示に従って利用者の画像を、撮像部106aまたは撮像部106bに撮像させる。具体的には撮像処理ユニット117は、図示しないセンサ等により利用者の紙幣入出金部103からの媒体の取得や、紙幣入出金部103への媒体の挿入を検出した場合に、撮像部106aに利用者の画像を撮像させる。また、撮像処理ユニット117は、図示しないセンサ等により利用者のカード/レシート部102からの媒体の取得や、カード/レシート部102への媒体の挿入を検出した場合に、撮像部106bに利用者の画像を撮像させる。撮像処理ユニット117は、撮像した画像を、CPU111に送る。
【0060】
I/O制御部118には、カード/レシート処理ユニット120、紙幣処理ユニット130、テンキーユニット140、誘導処理ユニット150aおよび誘導処理ユニット150bが接続される。I/O制御部118は、CPU111の制御の下に、接続する各部にCPU111からの指示を通知するとともに、各部から取得した情報をバス119経由でCPU111に送る。
【0061】
カード/レシート処理ユニット120は、カード/レシート部102を有し、カード/レシート処理ユニット120は、カード/レシート部102からのカードの取り込みと排出およびカード/レシート部102からのレシートの排出を制御する。
【0062】
紙幣処理ユニット130は、紙幣入出金部103と搬送機構と紙幣収納部とを有し、CPU111の指示に従って紙幣の入出金と、紙幣入出金部103の前面のシャッターの開閉とを制御する。紙幣入出金部103から入金された(取り込まれた)紙幣は、搬送機構により搬送されて紙幣収納部に格納される。紙幣入出金部103から出金(排出)する紙幣は、搬送機構により紙幣収納部から取り出され、紙幣入出金部103へ搬送される。
【0063】
テンキーユニット140は、テンキー入力部104を有し、利用者が押下したテンキーの情報をCPU111に送る。
誘導処理ユニット150aは、利用者誘導部105aを有し、CPU111の指示に従って利用者誘導部105aを点灯して利用者を、紙幣入出金部103に誘導する。誘導処理ユニット150bは、利用者誘導部105bを有し、CPU111の指示に従って利用者誘導部105bを点灯して利用者を、カード/レシート部102に誘導する。
【0064】
以上のようなハードウェア構成によって、本実施の形態の処理機能を実現することができる。なお、上記の構成は一例であり、ATM100の構成部の組み合わせは適宜決定される。上記構成のうち必要のないものを削除するとしてもよいし、たとえば、手のひら静脈や指静脈等の生体認証部や非接触ICに対応する非接触IC部、硬貨処理ユニット等を加えることもできる。以下、特に、利用者誘導部105aと、撮像部106aを用いて説明する。
【0065】
ここで、第二実施形態の概要について説明する。
図5は、第二実施形態におけるATMの要部断面図である。具体的には、紙幣入出金部103周辺の断面図である。
ATM100では、利用者誘導部105aは、2つの点灯状態を交互に切り換えることで利用者210を紙幣入出金部103に誘導する。そして、誘導された利用者210が紙幣200を取得、または紙幣200を挿入すると撮像部106aは、利用者210の画像を撮像する。すなわち、ATM100では、利用者誘導部105aが、利用者210を誘導するために2つの点灯状態を交互に切り換えて点灯している間に、利用者210の画像の撮像が行われる。
【0066】
ところで、ATM100では、
図5に示すように利用者誘導部105aから出射した光の一部は、利用者210等で反射して、撮像部106a方向に進行するため、利用者誘導部105aの点灯量に応じて、撮像部106aに入射する入射光(たとえば、入射光の強度(入射光量))が変化する。
【0067】
そのため、利用者誘導部105aが、点灯状態を切り換える際に点灯量を急激に変化させると、入射光が大幅に変化し、露出量が、予め設定した露出量の基準値から大幅にずれてしまう。その結果、撮像部106aは、露出補正によって露出量を基準値から一定範囲内にコントロールし直すまでの間、適切な画像が撮像できなくなっていた。
【0068】
そこで、利用者誘導部105aが、点灯状態を切り換える際に、点灯量を漸次的に変化させることで、露出量の基準値から大幅にずれるのを抑止する。
次に、ATM100が備える機能について説明する。
図6は、第二実施形態におけるATMの機能ブロックを示す図である。
【0069】
ATM100は、媒体制御部100aと、点灯態様管理部100bと、誘導制御部100cと、撮像制御部100dとを備える。
媒体制御部100aは、各種媒体(レシート、カード、紙幣)の装置内への取り込み・装置内からの排出を制御する。たとえば、紙幣を排出する場合には、媒体制御部100aは、紙幣処理ユニット130に紙幣収納部から紙幣を取り出させ、搬送機構により紙幣入出金部103へ搬送させ、搬送完了後にシャッターを開放させて紙幣を利用者が取得可能な状態にする。そして、媒体制御部100aは、利用者による紙幣の取得完了後に、紙幣処理ユニット130にシャッターを閉鎖させる。
【0070】
点灯態様管理部100bは、点灯態様(誘導態様)を管理する。撮像が行われる可能性がない期間の誘導に用いられる点灯態様である第1点灯態様と、撮像が行われる可能性が有る期間の誘導に用いられる点灯態様である第2点灯態様とを管理する。
【0071】
第1点灯態様は、点灯量を一括で変化させることで、点灯量0の点灯状態(第1点灯状態)と点灯量100の点灯状態(第2点灯状態)とを所定間隔ごとに交互に切り換えて点灯する態様である。第2点灯態様は、点灯量を段階的に(25ずつ)変化させることで、点灯量0の点灯状態(第1点灯状態)と点灯量100の点灯状態(第2点灯状態)とを所定間隔ごとに交互に切り換えて点灯する態様である。各点灯態様については、後で
図9を用いて詳細に説明する。
【0072】
誘導制御部100cは、媒体の挿入先、媒体の排出先への利用者の誘導を制御する。たとえば、誘導制御部100cは、媒体制御部100aが紙幣を排出する場合には、点灯態様管理部100bが管理する点灯態様で、誘導処理ユニット150aに利用者誘導部105aを点灯させ、利用者を紙幣入出金部103に誘導する。
【0073】
撮像制御部100dは、利用者の画像の撮像を制御する。撮像制御部100dは、媒体の取り込み・排出の進行状況に応じて、撮像処理ユニット117に撮像部106aまたは撮像部106bを用いて利用者を撮像させる。たとえば、撮像制御部100dは、媒体制御部100aが紙幣を排出する場合には、排出した紙幣の取得動作(利用者による紙幣の取得)を媒体制御部100aが検知すると、撮像処理ユニット117に撮像部106aを用いて利用者の画像を撮像させる。
【0074】
ここで、点灯量を段階的に(25ずつ)変化させることが可能な誘導処理ユニット150aの構造について説明する。
図7は、第二実施形態における誘導処理ユニットの回路図である。
【0075】
誘導処理ユニット150aは、制御部150a1と、利用者誘導部(光源)105aとを備える。利用者誘導部105aは、LED1,LED2,LED3,LED4を有する。LED1は、一端が定電圧源Vと接続し、他端が抵抗R1と、トランジスタTr1とを介してグランド(GND)に接続する。LED2は、一端が定電圧源Vと接続し、他端が抵抗R2と、トランジスタTr2とを介してグランド(GND)に接続する。
【0076】
LED3は、一端が定電圧源Vと接続し、他端が抵抗R3と、トランジスタTr3を介してグランド(GND)に接続する。LED4は、一端が定電圧源Vと接続し、他端が抵抗R4と、トランジスタTr4を介してグランド(GND)に接続する。なお以下では、各LEDの点灯量を同一(点灯量を25)とし、LEDを全て点灯した際の利用者誘導部105aの点灯量を100、LEDを全て消灯した際の利用者誘導部105aの点灯量を0とする。
【0077】
制御部150a1は、誘導制御部100cの指示に基づいて誘導処理ユニット150aを制御する。具体的には、制御部150a1は、誘導制御部100cの指示に基づいてトランジスタTr1,Tr2,Tr3,Tr4を制御(オンオフ)することにより、利用者誘導部105aの点灯状態を、点灯量100の点灯状態と点灯量0の点灯状態とに交互に切り換える。
【0078】
制御部150a1がトランジスタTr1をオンにすると、LED1には電流が流れ、LED1は、電流に応じた点灯量で点灯する。一方、制御部150a1がトランジスタTr1をオフにすると、LED1には電流が流れず、LED1は、消灯する。制御部150a1がトランジスタTr2をオンにすると、LED2には電流が流れ、LED2は、電流に応じた点灯量で点灯する。一方、制御部150a1がトランジスタTr2をオフにすると、LED2には電流が流れず、LED2は、消灯する。
【0079】
制御部150a1がトランジスタTr3をオンにすると、LED3には電流が流れ、LED3は、電流に応じた点灯量で点灯する。一方、制御部150a1がトランジスタTr3をオフにすると、LED3には電流が流れず、LED3は、消灯する。制御部150a1がトランジスタTr4をオンにすると、LED4には電流が流れ、LED4は、電流に応じた点灯量で点灯する。一方、制御部150a1がトランジスタTr4をオフにすると、LED4には電流が流れず、LED4は、消灯する。
【0080】
このように、制御部150a1は、各トランジスタをオンオフすることにより、利用者誘導部105aを構成する各LEDの点灯・消灯を個々に切り換えることができるため、利用者誘導部105aの点灯量を5段階(0,25,50,75,100)で制御できる。
【0081】
これにより、制御部150a1は、利用者誘導部105aの点灯状態を、点灯量0の点灯状態(第1点灯状態)と点灯量100の点灯状態(第2点灯状態)とを所定間隔ごとに交互に切り換える際に、段階的に(25ずつ)点灯量を変化させることができる。
【0082】
次に紙幣の排出処理を用いて、利用者の誘導と利用者の撮像について説明する。
図8は、第二実施形態における紙幣排出処理のフローチャートである。
[ステップS11]媒体制御部100aは、紙幣処理ユニット130に紙幣収納部から紙幣を取り出させ、搬送機構により紙幣入出金部103へ搬送を開始させる。
【0083】
[ステップS12]誘導制御部100cは、紙幣入出金部103への誘導を開始する。誘導制御部100cは、点灯態様管理部100bから、撮像が行われる可能性がない期間(紙幣が装置内にある期間)の誘導に用いられる点灯態様である第1点灯態様を取得して、当該第1点灯態様で、誘導処理ユニット150aに利用者誘導部105aを点灯させる。
【0084】
[ステップS13]媒体制御部100aは、紙幣入出金部103から紙幣を排出する準備が完了したか否かを判定する。媒体制御部100aは、紙幣の紙幣入出金部103へ搬送が完了している場合に紙幣を排出する準備が完了したと判定する。
【0085】
媒体制御部100aが、紙幣の排出をする準備が完了したと判定した場合にステップS14にすすみ、紙幣の排出をする準備が完了していないと判定した場合に紙幣の排出の準備が完了するまで待機する。
【0086】
[ステップS14]誘導制御部100cは、点灯態様管理部100bから、撮像が行われる可能性がある期間(紙幣が装置から排出された後の期間)の誘導に用いられる点灯態様である第2点灯態様を取得して、誘導に用いる点灯態様を第1点灯態様から第2点灯態様に切り換える。
【0087】
[ステップS15]媒体制御部100aは、紙幣処理ユニット130に紙幣入出金部103のシャッターを開放させ、利用者が紙幣を取得可能な状態にする。
[ステップS16]媒体制御部100aは、利用者の紙幣取得動作を検知したか否かを判定する。たとえば、媒体制御部100aは、紙幣入出金部103に設けられたセンサ等により利用者の紙幣取得動作を検知する。
【0088】
媒体制御部100aは、利用者の紙幣取得動作を検知したと判定した場合にはステップS17にすすみ、利用者の紙幣取得動作を検知していないと判定した場合には利用者の紙幣取得動作を検知するまで待機する。
【0089】
[ステップS17]撮像制御部100dは、撮像処理ユニット117に撮像部106aを用いて利用者の画像を撮像させる。
[ステップS18]媒体制御部100aは、紙幣入出金部103に搬送した紙幣が全て取り出されたか否かを判定する。たとえば、媒体制御部100aは、紙幣入出金部103に設けられたセンサ等により紙幣の取得状況を検出して、搬送した紙幣が全て取り出されたか否かを判定する。
【0090】
媒体制御部100aが紙幣入出金部103に搬送した紙幣が全て取り出されたと判定した場合にはステップS19にすすみ、紙幣入出金部103に搬送した紙幣が全て取り出されていないと判定した場合にはステップS16にすすむ。
【0091】
[ステップS19]誘導制御部100cは、紙幣入出金部103への誘導を終了する。誘導制御部100cは、誘導処理ユニット150aに利用者誘導部105aの点灯を終了(利用者誘導部105aを消灯)させる。
【0092】
次に、撮像が行われる可能性がない場合の誘導に用いられる点灯態様である第1点灯態様と撮像が行われる可能性がある場合の誘導に用いられる点灯態様である第2点灯態様について説明する。
図9は、第二実施形態における点灯量の変化と露出量の変化との関係を示す図である。
【0093】
図9(a)は、紙幣の排出処理において利用者を誘導した場合の点灯量の推移を示す図である。具体的には、利用者誘導部105aを、排出の準備完了前まで第1点灯態様で点灯し、排出の準備完了後から第2点灯態様で点灯した場合の点灯量の推移を示している。なお、
図9(a)では、縦軸が点灯量、横軸が時刻を示している。
【0094】
図9(b)は、利用者誘導部105aの点灯量の推移が
図9(a)である場合の露出量の推移を示す図である。
図9(b)は、点灯量に応じて利用者誘導部105aから出射した出射光のうち一定の割合(たとえば、全て)が入射したと仮定した場合の露出量の推移を示している。なお、
図9(b)では、縦軸が露出量、横軸が時刻を示している。また、上方の破線は、適切な画像が撮像できる露出量の上限値として予め設定された露出オーバー(許容上限露出量)を、下方の破線は、適切な画像が撮像できる露出量の下限値として予め設定された露出アンダー(許容下限露出量)を示している。すなわち、破線の間が予め設定した適正範囲(露出量をコントロールすべき範囲)である。
【0095】
時刻T1に媒体制御部100aが紙幣の搬送を開始(ステップS11)すると、誘導制御部100cは、第1点灯態様で利用者の誘導を開始し始める(ステップS12)。
誘導制御部100cは、時刻T1に第1点灯態様で点灯を開始すると、利用者誘導部105aの点灯状態の切り換え(第1点灯状態から第2点灯状態への切り換え)を開始し、利用者誘導部105aの点灯量を、点灯量0から点灯量100に一括で切り換える。
【0096】
時刻T1直前では、撮像部106aは、利用者誘導部105aの点灯量が点灯量0の場合に適正露出量(基準値)になるように調節している。そのため、時刻T1において点灯量が100増加することにより、入射光量が大幅に増加し、露出量は、適正露出量を大幅に上回る値、すなわち、適正範囲外(許容上限露出量を上回る値)である「適正露出量+α」になる。
【0097】
その後、撮像部106aは、撮像設定を調節することで露出量を徐々に減少(たとえば、単位時間当たり所定量減少)させ、時刻T2に適正露出量と同値まで補正する。
誘導制御部100cは、点灯状態の切り換えタイミングである時刻T3に、利用者誘導部105aの点灯状態の切り換え(第2点灯状態から第1点灯状態への切り換え)を開始し、利用者誘導部105aの点灯量を、点灯量100から点灯量0に一括で切り換える。
【0098】
時刻T3直前では、撮像部106aは、利用者誘導部105aの点灯量が点灯量100の場合に適正露出量になるように調節している。そのため、時刻T3において点灯量が100減少することにより、入射光量が大幅に減少し、露出量は、適正露出量を大幅に下回る値、すなわち、適正範囲外(許容下限露出量を下回る値)である「適正露出量−α」になる。
【0099】
その後、撮像部106aは、撮像設定を調節することで露出量を徐々に増加(たとえば、単位時間当たり所定量増加)させ、時刻T4に適正露出量と同値まで補正する。
時刻T5に媒体制御部100aが排出の準備を完了する(ステップS13:Yes)と、誘導制御部100cは、点灯態様を第2点灯態様に切り換える(ステップS14)。
【0100】
誘導制御部100cは、点灯状態の切り換えタイミングである時刻T6に、利用者誘導部105aの点灯状態の切り換え(第1点灯状態から第2点灯状態への切り換え)を開始し、利用者誘導部105aの点灯量を、点灯量0から点灯量25に切り換える。
【0101】
時刻T6直前では、撮像部106aは、利用者誘導部105aの点灯量が点灯量0の場合に適正露出量になるように調節している。そのため、時刻T6において点灯量が25増加することにより、入射光量が増加し、露出量は、露出オーバー気味な値である「適正露出量+β(β<αとする)」になる。
【0102】
その後、撮像部106aは、撮像設定を調節することで露出量を徐々に減少(単位時間当たり所定量減少)させ、時刻T7に適正露出量と同値まで補正する。
誘導制御部100cは、時刻T7から所定の時間経過後の時刻T8に、利用者誘導部105aの点灯量を、点灯量25から点灯量50に切り換える。
【0103】
時刻T8直前では、撮像部106aは、利用者誘導部105aの点灯量が点灯量25の場合に適正露出量になるように調節している。そのため、時刻T8において点灯量が25増加することにより、入射光量が増加し、露出量は、露出オーバー気味な値である「適正露出量+β(β<αとする)」になる。
【0104】
その後、撮像部106aは、撮像設定を調節することで露出量を徐々に減少(単位時間当たり所定量減少)させ、時刻T9に適正露出量と同値まで補正する。
誘導制御部100cは、時刻T9から所定の時間経過後の時刻T10に、利用者誘導部105aの点灯量を、点灯量50から点灯量75に切り換える。
【0105】
時刻T10直前では、撮像部106aは、利用者誘導部105aの点灯量が点灯量50の場合に適正露出量になるように調節している。そのため、時刻T10において点灯量が25増加することにより、入射光量が増加し、露出量は、露出オーバー気味な値である「適正露出量+β(β<αとする)」になる。
【0106】
その後、撮像部106aは、撮像設定を調節することで露出量を徐々に減少(単位時間当たり所定量減少)させ、時刻T11に適正露出量と同値まで補正する。
誘導制御部100cは、時刻T11から所定の時間経過後の時刻T12に、利用者誘導部105aの点灯量を、点灯量75から点灯量100に切り換え、第1点灯状態から第2点灯状態への切り換えを終了する。
【0107】
時刻T12直前では、撮像部106aは、利用者誘導部105aの点灯量が点灯量75の場合に適正露出量になるように調節している。そのため、時刻T12において点灯量が25増加することにより、入射光量が増加し、露出量は、露出オーバー気味な値である「適正露出量+β(β<αとする)」になる。
【0108】
その後、撮像部106aは、撮像設定を調節することで露出量を徐々に減少(単位時間当たり所定量減少)させ、時刻T13に適正露出量と同値まで補正する。
誘導制御部100cは、点灯状態の切り換えタイミングである時刻T14に、利用者誘導部105aの点灯状態の切り換え(第2点灯状態から第1点灯状態への切り換え)を開始し、利用者誘導部105aの点灯量を、点灯量100から点灯量75に切り換える。
【0109】
時刻T14直前では、撮像部106aは、利用者誘導部105aの点灯量が点灯量100の場合に適正露出量になるように調節している。そのため、時刻T14において点灯量が25減少することにより、入射光量が減少し、露出量は、露出アンダー気味な値である「適正露出量−β(β<αとする)」になる。
【0110】
その後、撮像部106aは、撮像設定を調節することで露出量を徐々に増加(単位時間当たり所定量増加)させ、時刻T15に適正露出量と同値まで補正する。
誘導制御部100cは、時刻T15から所定の時間経過後の時刻T16に、利用者誘導部105aの点灯量を、点灯量75から点灯量50に切り換える。
【0111】
時刻T16直前では、撮像部106aは、利用者誘導部105aの点灯量が点灯量75の場合に適正露出量になるように調節している。そのため、時刻T16において点灯量が25減少することにより、入射光量が減少し、露出量が露出アンダー気味な値である「適正露出量−β(β<αとする)」になる。
【0112】
その後、撮像部106aは、撮像設定を調節することで露出量を徐々に増加(単位時間当たり所定量増加)させ、時刻T17に適正露出量と同値まで補正する。
誘導制御部100cは、時刻T17から所定の時間経過後の時刻T18に、利用者誘導部105aの点灯量を、点灯量50から点灯量25に切り換える。
【0113】
時刻T18直前では、撮像部106aは、利用者誘導部105aの点灯量が点灯量50の場合に適正露出量になるように調節している。そのため、時刻T18において点灯量が25減少することにより、入射光量が減少し、露出量は、露出アンダー気味な値である「適正露出量−β(β<αとする)」になる。
【0114】
その後、撮像部106aは、撮像設定を調節することで露出量を徐々に増加(単位時間当たり所定量増加)させ、時刻T19に適正露出量と同値まで補正する。
誘導制御部100cは、時刻T19から所定の時間経過後の時刻T20に、利用者誘導部105aの点灯量を、点灯量25から点灯量0に切り換え、第2点灯状態から第1点灯状態への切り換えを終了する。
【0115】
時刻T20直前では、撮像部106aは、利用者誘導部105aの点灯量が点灯量50の場合に適正露出量になるように調節している。そのため、時刻T20において点灯量が25減少することにより、入射光量が減少し、露出量は、露出アンダー気味な値である「適正露出量−β(β<αとする)」になる。
【0116】
その後、撮像部106aは、撮像設定を調節することで露出量を徐々に増加(単位時間当たり所定量増加)させ、時刻T21に適正露出量と同値まで補正する。
以降、このサイクル(T6〜T21)が、紙幣取得動作を検知し(ステップS16:Yes)、利用者の画像を撮像し(ステップS17)、搬送した紙幣が全て取り出されたと判定する(ステップS18:Yes)まで繰り返される。
【0117】
このような点灯態様によれば、画像が撮像される可能性が有る期間において、点灯状態を切り換える際に点灯量の変化によって生じる適正露出量からのずれ(β<α)を小さくできる。そのため、露出量が適切範囲内に納まる(コントロールされる)時間を長くすることができる。特に、
図9に示すように、点灯量を変化させた直後でも露出量が適正範囲内に納まるような、変化回数、変化量、変化タイミング(変化間隔)で段階的に点灯量を変化させることで、露出量が適正範囲外にならないようにコントロールできる。
【0118】
このような点灯態様で点灯することにより、自動取引装置1は、交互に異なる点灯量で点灯して情報を報知した場合でも、適切な画像を撮像できる。
また、画像が撮像されない期間(紙幣が装置内にある期間)において、点灯量を一括で切り換えて、点灯状態を切り換えることで、明暗の切り換わりを第2点灯態様の場合よりも明確にして、利用者に感知(知覚)させやすくできる(良好に情報を報知できる)。
【0119】
なお、第2点灯態様において、点灯量を段階的に変化させる際に、露出量が適正露出量と同値に補正された後、所定時間経過した後に、次の段階に点灯量を変化させたがこれに限らない。露出量が適正範囲外にならないように、段階的に点灯量を変化させればよく、たとえば、露出量が適正露出量と同値に補正された後、即座に次の段階に点灯量を変化させてもよいし、露出量が適正露出量と同値に補正される前に、次の段階に点灯量を変化させてもよい。
【0120】
また、第2点灯態様における第1点灯状態(点灯量0)と第2点灯状態(点灯量100)で点灯する時間の長さを、第1点灯態様における第1点灯状態(点灯量0)と第2点灯状態(点灯量100)で点灯する時間の長さと同じ長さにしてもよい。
【0121】
また、第2点灯態様における第1点灯状態と第2点灯状態との点灯量の差分を、第2点灯態様における第1点灯状態と第2点灯状態との点灯量の差分よりも小さくしてもよい。
たとえば、第2点灯態様において第1点灯状態の点灯量を点灯量0とし、第2点灯状態の点灯量を点灯量75とすることもできる。このように第1点灯状態と第2点灯状態との点灯量の差分をより小さくすることで、第2点灯態様において露出量が適正範囲外になるのをより防止できる。
【0122】
なお、適正範囲は、要求される画像の精度に応じて適宜、範囲を変えることができる。たとえば、精度の高い画像が求められる場合には、適正範囲をより狭く設定すればよい。
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記憶装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記憶装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD−ROM/RW(Compact Disc-Read Only Memory/ReWritable)などがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)などがある。
【0123】
プログラムを流通させる場合には、たとえば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0124】
プログラムを実行するコンピュータは、たとえば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0125】
また、上記の処理機能の少なくとも一部を、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)などの電子回路で実現することもできる。
【0126】
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。たとえば、実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせてもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能である。