(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
透明基板上に形成された遮光膜及び半透光膜がそれぞれパターニングされることによって形成された、透光部、半透光部、及び遮光部を備えた転写用パターンを有する、フォトマスクの製造方法において、
前記透明基板上に形成された遮光膜をパターニングして、遮光膜パターンを形成する、遮光膜パターニング工程と、
前記遮光膜パターンを含む前記透明基板上に半透光膜を形成する、半透光膜形成工程と、
前記半透光膜をパターニングすることにより、前記透光部を形成するとともに、前記遮光膜パターン上の前記半透光膜を除去する、透光部形成工程を有し、
前記透光部形成工程においては、前記半透光部となる領域にレジストパターンを形成し、
前記レジストパターンは、前記半透光部と前記遮光部とが隣接する部分において、前記遮光部側に、所定寸法のマージンを加えた寸法をもつことを特徴とする、フォトマスクの製造方法。
前記遮光膜と前記半透光膜は、同じエッチング剤でエッチング可能であり、かつ、前記半透光膜のエッチング所要時間HTと前記遮光膜のエッチング所要時間OTの比は、HT:OTが1:3〜1:20であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のフォトマスクの製造方法。
前記遮光膜と前記半透光膜は、同じエッチング剤でエッチング可能であり、かつ、前記遮光膜の平均エッチングレートORと前記半透光膜のエッチングレートHRの比は、OR:HRが1:1〜1:5である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のフォトマスクの製造方法。
透明基板上に形成された遮光膜及び半透光膜がそれぞれパターニングされることによって形成された、透光部、半透光部、及び遮光部を備えた転写用パターンを有する、フォトマスクであって、
前記透光部は、前記透明基板の表面が露出してなり、
前記半透光部は、前記透明基板上に、前記半透光膜が形成されてなり、
前記遮光部は、前記透明基板上に、前記遮光膜が形成されるとともに、前記半透光部と隣接するエッジに沿って、前記遮光膜上に前記半透光膜が積層するマージン部を有し、
前記マージン部の寸法をM1(μm)とするとき、0.2<M1であることを特徴とする、フォトマスク。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多階調フォトマスクの転写用パターンは、遮光部、透光部、及び半透光部といった、光透過率の異なる3つ以上の部分を有し、これによって複数の残膜厚を有するレジストパターンを被転写体上に形成しようとするものである。このレジストパターンは、被転写体上に形成された薄膜の加工に際して、エッチングマスクとして利用される。その場合、レジストパターンを用いて第1エッチングを行い、次いでレジストパターンを減膜すると、減膜後のレジストパターンは第1エッチング時とは異なる形状となる。このため、第1エッチングとは異なる形状のエッチングマスクを用いて第2エッチングを行うことが可能となる。このように、多階調フォトマスクは、複数枚のフォトマスクに相当する機能をもつフォトマスクとも言えるものであり、主として表示装置の製造に必要なフォトマスクの枚数を低減できるものとして、生産効率の向上に寄与している。
【0006】
上記特許文献1、2に記載された多階調フォトマスクは、透明基板が露出した透光部、遮光膜を用いた遮光部のほかに、露光光を一部透過する半透光膜を用いた半透光部を備える転写用パターンを有する。したがって、例えば半透光部の光透過率や透過光に対する位相特性などを適宜制御することにより、被転写体上に形成されるレジストパターンの部分的な厚みや、その断面形状などを変化させることができると考えられる。ゆえに、多階調フォトマスクを設計する際には、露光時に使用する光(露光光)に対する所望の透過率や位相特性を設定し、これに適合する膜材料や膜厚を選択し、成膜条件を整えることにより、所望の光特性をもつ多階調フォトマスクとすることができる。
【0007】
ところで、特許文献1には、以下の方法で製造される多階調フォトマスク(グレートーンマスク)が記載されている(
図7及び
図8参照)。
まず、
図7(a)に示すフォトマスクブランク100を用意する。このフォトマスクブランク100は、透明基板101上に遮光膜102を形成し、その上にポジ型レジストを塗布してレジスト膜103を形成したものである。
次に、レーザ描画機などを用いてレジスト膜103に描画(第1描画)した後、現像する。これにより、半透光部に対応する領域(A領域)ではレジスト膜103が除去される。また、遮光部に対応する領域(B領域)及び透光部に対応する領域(C領域)には、レジスト膜103の残存によってレジストパターン103aが形成される(
図7(b)参照)。
次に、レジストパターン103aをマスクとして、遮光膜102をエッチング(第1エッチング)することにより、遮光部に対応する(B領域)及び透光部に対応する領域(C領域)に遮光膜パターン102aを形成する(
図7(c)参照)。
【0008】
次に、遮光膜パターン102aを覆っているレジストパターン103aを除去する(
図7(d)参照)。これにより、遮光膜パターン付き基板が得られる。
ここまでが1回目のフォトリソグラフィ工程(描画、現像、エッチング)となり、この段階で、半透光部に対応する領域(A領域)が画定する。
次に、上記の遮光膜パターン付き基板の全面に半透光膜104を成膜する(
図7(e)参照)。これにより、A領域の半透光部が形成される。
【0009】
次に、半透光膜104の全面にポジ型レジストを塗布してレジスト膜105を形成する(
図8(f)参照)。
次に、レジスト膜105に描画(第2描画)した後、現像する。これにより、透光部に対応する領域(C領域)ではレジスト膜105が除去される。また、遮光部に対応する領域(B領域)及び半透光部に対応する領域(A領域)には、レジスト膜105の残存によってレジストパターン105aが形成される(
図8(g)参照)。
【0010】
次に、レジストパターン105aをマスクとして、半透光膜104と遮光膜パターン102aをエッチング(第2エッチング)することにより、透光部に対応する領域(C領域)で透明基板101を露出させる(
図8(h)参照)。これにより、遮光部に対応する(B領域)には遮光膜パターン102aが形成され、半透光部に対応する領域(A領域)及び遮光部に対応する(B領域)には半透光膜パターン104aが形成される。なお、第2エッチング工程では、半透光膜104と遮光膜102を互いにエッチング特性が同一又は近似する材料で形成しておくことにより、2つの膜を連続的にエッチングすることが可能である。
次に、半透光膜パターン104aを覆っているレジストパターン105aを除去する(
図8(i)参照)。
以上で、多階調フォトマスク(グレートーンマスク)110が完成する。
【0011】
このように、特許文献1に記載の製造方法では、2回のフォトリソグラフィ工程(描画、現像、エッチング)によって、遮光膜102及び半透光膜104がそれぞれパターニングされ、遮光部、透光部、及び半透光部を備える転写用パターンが形成される。この転写用パターンを有する多階調フォトマスク110は、
図8(i)に示すように、遮光部となるB領域の全域が、遮光膜と半透光膜の積層膜として形成されている。
【0012】
一方、特許文献2には、
図10(l)に示す多階調フォトマスク(階調をもつフォトマスク)が記載されている。このフォトマスク200では、透明基板201上に遮光領域、半透明領域、及び透過領域が混在する。遮光領域には、遮光膜214と半透明膜213がこの順に積層されて存在し、半透明領域には、半透明膜213のみが存在する。半透明膜213は、露光光に対して反射防止機能を有する。透明領域は、遮光膜214と半透明膜213のいずれも存在しない領域である。
【0013】
以下に、特許文献2記載のフォトマスクの製造方法について、
図9及び
図10を用いて説明する。
まず、
図9(a)に示すフォトマスクブランク203を用意する。このフォトマスク203は、透明基板201上に遮光膜202を形成したものである。
【0014】
次に、
図9(b)に示すように、遮光膜202上にレジストを塗布することにより、レジスト膜204を形成する。
次に、
図9(c)に示すように、レーザ光などのエネルギー線205で遮光膜202上のレジスト膜204にパターン描画を行う。
次に、
図9(d)に示すように、レジスト膜204を所定の現像液で現像した後、リンスすることにより、レジストパターン206を形成する。
次に、
図9(e)に示すように、レジストパターン206の開口部に露出している遮光膜202をエッチングすることにより、遮光膜パターン207を形成する。
次に、
図9(f)に示すように、遮光膜パターン207を覆っているレジストパターン206を除去する。これにより、遮光膜パターン付き基板208が得られる。
次に、
図9(g)に示すように、遮光膜パターン付き基板208の全面に、半透明膜209を成膜する。
【0015】
次に、
図10(h)に示すように、半透明膜209上にレジストを塗布することにより、レジスト膜210を形成する。
次に、
図10(i)に示すように、レーザ光などのエネルギー線211で半透明膜209上のレジスト膜210にパターン描画を行う。
次に、
図10(j)に示すように、レジスト膜210を所定の現像液で現像した後、リンスすることにより、レジストパターン212を形成する。
次に、
図10(k)に示すように、レジストパターン212より露出している半透明膜209とその下の遮光膜パターン207をエッチングすることにより、半透明膜パターン213と遮光膜パターン214を形成する。
次に、
図10(l)に示すように、遮光膜パターン214上に残存しているレジストパターン212を除去する。これにより、階調をもつフォトマスク200が得られる。
【0016】
以上の製造方法では、1回目のマスクパターン製版によって遮光膜202をパターニングし、2回目のマスクパターン製版によって半透明膜209と遮光膜202をパターニングすることにより、上層の半透明膜パターン213と下層の遮光膜パターン207との位置を合わせている。また、遮光膜202の表面反射を防止する手段が無いフォトマスクブランク203を用いている。その一方、遮光膜上に低反射層が予め設けられている汎用のフォトマスクブランクを用いる場合は、まず、遮光膜上の低反射膜をすべてエッチングによって除去し、遮光膜を露出した基板を得た後、上記1回目のフォトリソグラフィ工程を行うようにしている。
【0017】
しかしながら、本発明者が検討したところ、上記特許文献1、2に記載の多階調フォトマスクには、それぞれに解決すべき技術課題があることが明らかになった。
特許文献1に記載の多階調フォトマスクは、透明基板が露出する透光部、透明基板上に半透光膜が形成されてなる半透光部、及び、透明基板上に遮光膜と半透光膜がこの順に積層している遮光部を有する。
フォトマスクに用いる遮光膜には、多くの場合、その表面側に反射防止層が形成されている。これは、フォトマスクの製造工程や、フォトマスクを用いた露光工程において、不要な光反射を抑えるためである。例えば、フォトマスクの製造工程においては、描画光の反射を抑えることにより、パターンの寸法(CD;Critical Dimension)精度を高めている。また、フォトマスクを用いた露光工程(例えば露光光の波長λ=365〜436nm)においては、露光光の反射を抑えることにより、露光装置内での迷光の発生に起因した転写性の劣化を防いでいる。言い換えれば、遮光膜の表面側に形成される反射防止層は、このような光学機能を奏するのに適切な光学物性(屈折率n、消衰係数k)や膜厚が調整されたものとされる。
【0018】
ところが、特許文献1に記載のフォトマスクでは、遮光膜上に半透光膜を積層して遮光部を形成している。このため、遮光膜の表面側に反射防止層が設けられていても、その上に存在する半透光膜によって、光の反射、干渉の挙動が変わってしまうため、上記のように調整された反射防止機能が十分に生かされないという難点がある。
【0019】
一方、特許文献2に記載されたフォトマスクには、露光光に対して反射防止機能を有する半透明膜を用いている。但し、この場合にも次のような課題がある。
半透明膜は、露光光に対する反射率だけでなく、その透過率においても、用途に応じた所望の数値をもつ必要がある。一般に、半透明膜に求められる光透過率は、用途によって、あるいはマスクユーザが適用する加工条件によって異なり、その範囲は5〜60%程度に及ぶ。したがって、特定の用途に対して所望の仕様をもつフォトマスクを得ようとすると、露光光に対する反射率だけでなく透過率の値も調整する必要がある。
【0020】
しかしながら、露光光に対する透過率を所望の値とするために、半透明膜の膜厚を変えると、透過率だけでなく反射率の値も変わってしまう。このため、透過率と反射率の双方を独立に所望の値に設定することは容易ではない。更に付言すれば、半透明膜の膜厚を変えると、半透明膜の位相特性も変わってしまう。このため、露光によって得ようとする電子デバイスの種類や精度によっては、位相シフト作用による光の干渉に影響され、良好な転写性が得られない可能性がある。
【0021】
また、特許文献2では、半透明膜の光透過率と光反射率の制御に関して、各膜質の調整及びその厚さの選択により実現するとしている。具体的には、スパッタ条件を変える、若干の添加物をする、あるいはその密度を変える、結晶性(粒径)を変える、膜中にボイド(気泡)を混ぜ込むなどして、見かけ上のn(屈折率)、k(消衰係数:Extinction Coefficient)を調整するとしている。
【0022】
しかしながら、フォトマスクに適用する膜として所望の物性をもつ膜を新たに得ることは、決して容易ではない。そもそもフォトマスクの光学膜として最低限の特性を満足するものを見出すこと自体が、一定の開発努力を要する。例えば、ある光学膜に関して、スパッタ等の成膜条件下で欠陥を生じにくいガス種やガス流量を見出しても、その成膜条件で形成された膜に対し多種の要求仕様、例えば薬品耐性、エッチング特性、耐光性、レジストとの密着性など、を充足する必要がある。このため、所望の物性をもつ新規の膜を見出すには、多くの条件下での試行錯誤が避けられない。その上で、個々の製品において、マスクユーザが所望する光透過率や位相特性を満足させる、都合の良いn値、k値をもつ膜を、新たなフォトマスク製品を製造する度ごとに見出すことは、現実的とは言い難い。
【0023】
また、特許文献2に記載の製造方法では、上述したとおり、遮光膜上に低反射層が予め設けられている汎用のフォトマスクブランクを用いる場合、まず、遮光膜上の低反射膜をすべてエッチングによって除去している。このため、フォトマスクブランクに最初の描画を行うときに、遮光膜の表面には描画光の反射を抑える手段が存在しない。よって、描画時の寸法精度(いわゆるCD特性)が十分に得られないリスクがある。レーザ描画装置を用いる多くのFPD(Flat Panel Display)用描画装置は、描画光として410〜420(nm)程度の波長光を用いる。仮に、反射防止効果の無い遮光膜をもつフォトマスクブランクに描画を行うとなると、描画時にレジスト膜内で入射光と反射光の干渉による定在波が生じるおそれがある。その結果、描画後の現像によって形成されるレジストパターンの断面に望ましくない凹凸が生じる場合がある。その場合は、レジストパターンをマスクとして遮光膜をエッチングするときに、遮光膜の寸法精度(CD)を劣化させる不都合が生じる。
遮光膜表面に反射防止機能が設けられず、光反射率が30%を超えるような場合を想定し、本発明者は、フォトマスクブランク等のフォトマスク基板において生じる、光反射の問題を低減することに着目した。
【0024】
本発明の目的は、フォトマスクを用いた露光工程において、迷光の発生リスクを低減することができるフォトマスクの製造方法、及びフォトマスクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
(第1の態様)
本発明の第1の態様は、
透明基板上に形成された遮光膜及び半透光膜がそれぞれパターニングされることによって形成された、透光部、半透光部、及び遮光部を備えた転写用パターンを有する、フォトマスクの製造方法において、
前記透明基板上に形成された遮光膜をパターニングして、遮光膜パターンを形成する、遮光膜パターニング工程と、
前記遮光膜パターンを含む前記透明基板上に半透光膜を形成する、半透光膜形成工程と、
前記半透光膜、又は前記半透光膜と前記遮光膜を部分的に除去して、前記透光部を形成する、透光部形成工程と、
前記遮光膜パターン上の前記半透光膜を除去する、半透光膜除去工程を有し、
前記半透光膜除去工程においては、前記半透光部となる領域にレジストパターンを形成し、
前記レジストパターンは、前記半透光部と前記遮光部とが隣接する部分において、前記遮光部側に、所定寸法のマージンを加えた寸法をもつことを特徴とする、フォトマスクの製造方法である。
(第2の態様)
本発明の第2の態様は、
透明基板上に形成された遮光膜及び半透光膜がそれぞれパターニングされることによって形成された、透光部、半透光部、及び遮光部を備えた転写用パターンを有する、フォトマスクの製造方法において、
前記透明基板上に形成された遮光膜をパターニングして、遮光膜パターンを形成する、遮光膜パターニング工程と、
前記遮光膜パターンを含む前記透明基板上に半透光膜を形成する、半透光膜形成工程と、
前記半透光膜をパターニングすることにより、前記透光部を形成するとともに、前記遮光膜パターン上の前記半透光膜を除去する、透光部形成工程を有し、
前記透光部形成工程においては、前記半透光部となる領域にレジストパターンを形成し、
前記レジストパターンは、前記半透光部と前記遮光部とが隣接する部分において、前記遮光部側に、所定寸法のマージンを加えた寸法をもつことを特徴とする、フォトマスクの製造方法である。
(第3の態様)
本発明の第3の態様は、
前記マージンの寸法をM1(μm)とするとき、0.2<M1であることを特徴とする、上記第1又は第2の態様に記載のフォトマスクの製造方法である。
(第4の態様)
本発明の第4の態様は、
前記マージンの寸法をM1(μm)とし、前記半透光部と隣接する前記遮光部の寸法がS(μm)であるとき、0.2<M1≦0.7Sであることを特徴とする、上記第1〜第3の態様のいずれか1つに記載のフォトマスクの製造方法である。
(第5の態様)
本発明の第5の態様は、
前記遮光膜は、表面側に反射防止層を有し、前記遮光膜の、露光光の代表波長に対する光反射率が、30%未満であることを特徴とする、上記第1〜第4の態様のいずれか1つに記載のフォトマスクの製造方法である。
(第6の態様)
本発明の第6の態様は、
前記遮光膜と前記半透光膜を積層したときの、露光光の代表波長に対する光反射率が、35%以上であることを特徴とする、上記第5の態様に記載のフォトマスクの製造方法である。
(第7の態様)
本発明の第7の態様は、
前記遮光膜と前記半透光膜は、同じエッチング剤でエッチング可能であり、かつ、前記半透光膜のエッチング所要時間HTと前記遮光膜のエッチング所要時間OTの比は、HT:OTが1:3〜1:20であることを特徴とする、上記第1〜第6の態様のいずれか1つに記載のフォトマスクの製造方法である。
(第8の態様)
本発明の第8の態様は、
前記遮光膜と前記半透光膜は、同じエッチング剤でエッチング可能であり、かつ、前記遮光膜の平均エッチングレートORと前記半透光膜のエッチングレートHRの比は、OR:HRが1:1〜1:5である、上記第1〜第7の態様のいずれか1つに記載のフォトマスクの製造方法である。
(第9の態様)
本発明の第9の態様は、
前記半透光膜は、露光光の代表波長に対して、3〜60%の透過率をもつことを特徴とする、上記第1〜第8の態様のいずれか1つに記載のフォトマスクの製造方法である。
(第10の態様)
本発明の第10の態様は、
透明基板上に形成された遮光膜及び半透光膜がそれぞれパターニングされることによって形成された、透光部、半透光部、及び遮光部を備えた転写用パターンを有する、フォトマスクであって、
前記透光部は、前記透明基板の表面が露出してなり、
前記半透光部は、前記透明基板上に、前記半透光膜が形成されてなり、
前記遮光部は、前記透明基板上に、前記遮光膜が形成されるとともに、前記半透光部と隣接するエッジに沿って、前記遮光膜上に前記半透光膜が積層するマージン部を有することを特徴とする、フォトマスクである。
(第11の態様)
本発明の第11の態様は、
前記マージン部の寸法をM1(μm)とするとき、0.2<M1であることを特徴とする、上記第10の態様に記載のフォトマスクである。
(第12の態様)
本発明の第12の態様は、
前記マージン部の寸法をM1(μm)とし、前記半透光部と隣接する前記遮光部の寸法がS(μm)であるとき、0.2<M1≦0.7Sであることを特徴とする、上記第10又は第11の態様に記載のフォトマスクである。
(第13の態様)
本発明の第13の態様は、
前記遮光部において、前記マージン部以外の領域は、露光光の代表波長に対する光反射率が30%未満であることを特徴とする、上記第10〜第12の態様のいずれか1つに記載のフォトマスクである。
(第14の態様)
本発明の第14の態様は、
前記遮光膜と前記半透光膜は、同じエッチング剤でエッチング可能である、上記第10〜第13の態様のいずれか1つに記載のフォトマスクである。
(第15の態様)
本発明の第15の態様は、
上記第1〜第9の態様のいずれか1つに記載の製造方法によるフォトマスク、又は、上記第10〜第14の態様のいずれか1つに記載のフォトマスクを用意する工程と、
露光装置を用いて前記フォトマスクの転写用パターンを露光することにより、被転写体上に前記転写用パターンを転写する工程と、を含む、表示装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、フォトマスクを用いた露光工程において、迷光の発生リスクを低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<本発明者の検討>
本発明者は、上記課題を解消すべく、鋭意検討を行った。そして、その検討過程において、透明基板表面の膜の状態が異なる、フォトマスクブランクの光反射率に関する調査及び検討を行った。
図1は複数の異なるフォトマスクブランクについて本発明者が光反射率を調査した結果をグラフ形式で示す図である。
図1においては、グラフの縦軸に光の反射率(%)、横軸に光の波長(nm)をとっている。この調査では下記の(1)〜(5)のフォトマスクブランクを対象に、各々のフォトマスクブランクの表面に波長250〜800nmの光を照射して、反射率を測定した。
(1)遮光膜付フォトマスクブランク
(2)遮光膜付フォトマスクブランク+半透光膜(エッチング時間:0秒)
(3)(2)+エッチング(エッチング時間:8秒)
(4)(2)+エッチング(エッチング時間:10秒)
(5)(2)+エッチング(エッチング時間:12秒)
なお、フォトマスクを用いた露光工程で用いる露光光の波長は、主として300〜450nmであり、i線、h線及びg線を、単独で用いる場合、又はこれらすべてを含む365〜436nmの波長域とすることが多い。また、本明細書において、ある範囲を2つの値で規定するときに用いる「〜」の記号は、「下限値以上かつ上限値以下」の意味をもつ。
【0029】
上記(1)のフォトマスクブランクは、透明基板上に、クロム(Cr)を含む遮光膜をスパッタ法によって成膜したものである。遮光膜の膜厚は1250Å、材料はCrOCNとした。但し、表層部分に、膜厚300ÅのCr化合物(組成CrO)からなる反射防止層が形成されたものである。
上記(2)のフォトマスクブランクは、上記(1)のフォトマスクブランクの遮光膜上に、CrONからなる半透光膜を膜厚300Åで積層して成膜したものである。このフォトマスクブランクが備える半透光膜は、露光光の代表波長(ここではi線)に対する透過率が17%(透明基板の透過率を100%とする)である。
上記(3)のフォトマスクブランクは、上記(2)のフォトマスクブランクが備える半透光膜をジャストエッチング時間の8秒でエッチングしたものである。光透光膜のエッチングは、Cr用エッチング液を用いて行った。
上記(4)のフォトマスクブランクは、上記(2)のフォトマスクブランクが備える半透光膜をジャストエッチング時間よりも2秒長い10秒でエッチングしたものである。
上記(5)のフォトマスクブランクは、上記(2)のフォトマスクブランクが備える半透光膜をジャストエッチング時間よりも4秒長い12秒でエッチングしたものである。
【0030】
(1)のフォトマスクブランクの反射率をみると、上記露光光の波長域である365〜436nmの波長域において、光の反射が十分に抑えられている。具体的には、露光光の波長域における光反射率が20%を下回る低い値を示しており、特にh線、g線に対する反射率は15%を下回っている。
【0031】
ところが、(2)のフォトマスクブランクの反射率をみると、(1)のフォトマスクブランクに比べて、250nmから700nm超にわたる広い波長域で表面の反射率が上昇している。具体的には、露光光の波長域における光の反射率が35%以上を示しており、特にi線に対する反射率は40%を超えている。
【0032】
(3)のフォトマスクブランクの反射率をみると、(2)のフォトマスクブランクに比べて、250nmから550nmまでの波長域で表面の反射率が低下している。具体的には、露光光の波長域における光の反射率が25%を下回っており、特にi線に対する反射率は20%を下回っている。
【0033】
(4)のフォトマスクブランクの反射率をみると、(3)のフォトマスクブランクに比べて、250nmから800nmのすべての波長域で表面の反射率が上昇している。具体的には、露光光の波長域における光の反射率が30%を超えている。
【0034】
(5)のフォトマスクブランクの反射率をみると、(4)のフォトマスクブランクに比べて、250nmから800nmのすべての波長域で表面の反射率が上昇している。具体的には、露光光の波長域における光の反射率が35%以上を示している。
【0035】
(2)のフォトマスクブランクの反射率が(1)のフォトマスクブランクに比べて高くなった理由は、遮光膜の表面が半透光膜で覆われたことで、遮光膜の反射防止層による反射防止効果がほとんど得られなくなるためと思われる。
【0036】
(3)のフォトマスクブランクの反射率が(2)のフォトマスクブランクに比べて低くなった理由は、半透光膜のエッチング時間にジャストエッチング時間を適用して半透光膜を除去し、表面に露出した反射防止層の効果を発揮したためと思われる。また、(3)のフォトマスクブランクの反射率が(1)のフォトマスクブランクと同じにならない理由は、半透光膜をスパッタ法などで成膜するときに、半透光膜の成分が遮光膜表層の反射防止層内に入り込み、その後、半透光膜をエッチングで除去しても、遮光膜の状態が成膜時と完全に同じ状態にならないためと思われる。
【0037】
(4)のフォトマスクブランクの反射率が(3)のフォトマスクブランクに比べて高くなった理由は、半透光膜のエッチング時間にジャストエッチング時間よりも長い時間(オーバーエッチング時間)を適用したことで、遮光膜の表面がダメージを受け、その表層部の反射防止層に膜減りが生じたためと思われる。
【0038】
(5)のフォトマスクブランクの反射率が(4)のフォトマスクブランクに比べて高くなった理由は、半透光膜のオーバーエッチング時間が更に長くなったことで、遮光膜の表面がより大きくダメージを受け、反射防止層の膜減りが更に進行したためと思われる。
【0039】
以上の検討結果を踏まえて、以下に本発明の具体的な実施の形態について説明する。
【0040】
<第1実施形態に係るフォトマスクの製造方法>
本発明の第1実施形態に係るフォトマスクの製造方法は、以下のとおりである。
透明基板上に形成された遮光膜及び半透光膜がそれぞれパターニングされることによって形成された、透光部、半透光部、及び遮光部を備えた転写用パターンを有する、フォトマスクの製造方法において、
前記透明基板上に形成された遮光膜をパターニングして、遮光膜パターンを形成する、遮光膜パターニング工程と、
前記遮光膜パターンを含む前記透明基板上に半透光膜を形成する、半透光膜形成工程と、
前記半透光膜、又は前記半透光膜と前記遮光膜を部分的に除去して、前記透光部を形成する、透光部形成工程と、
前記遮光膜パターン上の前記半透光膜を除去する、半透光膜除去工程を有し、
前記半透光膜除去工程においては、前記半透光部となる領域にレジストパターンを形成し、
前記レジストパターンは、前記半透光部と前記遮光部とが隣接する部分において、前記遮光部側に、所定寸法のマージンを加えた寸法をもつことを特徴とする、フォトマスクの製造方法。
【0041】
図2及び
図3は本発明の第1実施形態に係るフォトマスクの製造工程を示す側断面図である。
なお、図中のA領域は半透光部に対応する領域、B領域は遮光部に対応する領域、C領域は透光部に対応する領域である。言い換えると、A領域は半透光部の形成領域、B領域は遮光部の形成領域、C領域は透光部の形成領域である。
【0042】
(フォトマスクブランク準備工程)
まず、
図2(a)に示すフォトマスクブランク1を用意する。このフォトマスクブランク1は、透明基板2上に遮光膜3を形成し、さらに遮光膜3上に第1のレジスト膜4を積層して形成したものである。
【0043】
透明基板2は、石英ガラスなどの透明材料を用いて構成することができる。透明基板2の大きさや厚さに制限はない。フォトマスクブランク1が表示装置の製造に用いられるものであれば、一辺の長さが300〜1800mm、厚さが5〜16mm程度の四角形の主面をもつ透明基板2を用いることができる。
【0044】
遮光膜3は、その表面側(透明基板2と反対側)の表層部分に反射防止層(不図示)を備えている。露光光の代表波長に対する遮光膜3の光反射率は、好ましくは30%未満、より好ましくは25%以下である。更に好ましくは、露光光の代表波長(例えばi線)に対する遮光膜3の反射率は20%以下である。また、i線、h線、g線のすべてに対して25%以下であることが好ましい。また、フォトマスクの製造工程において用いる描画光(410〜420nm)に対する遮光膜3の反射率についても、好ましくは30%未満、より好ましくは25%以下である。遮光膜3は、Cr又はCr化合物からなる膜であって、その膜厚は1000〜1500Å、そのOD(光学濃度)は3以上である。遮光膜3における反射防止層の厚さは200〜400Å程度である。遮光膜3の成膜方法には、例えばスパッタ法など、公知の方法を用いることができる。
【0045】
第1のレジスト膜4は、EB(electron beam)レジスト、フォトレジストなどを用いて形成することが可能である。ここでは一例としてフォトレジストを用いることとする。第1のレジスト膜4は、遮光膜3上にフォトレジストを塗布することによって形成することができる。フォトレジストはポジ型、ネガ型のいずれでもよいが、ここではポジ型のフォトレジストを用いることとする。第1のレジスト膜4の膜厚は、5000〜10000Å程度とすることができる。
【0046】
(遮光膜パターニング工程)
遮光膜パターニング工程は、第1のレジストパターン形成工程と、遮光膜エッチング工程と、第1のレジスト剥離工程とを有する。
【0047】
(第1のレジストパターン形成工程)
第1のレジストパターン形成工程では、
図2(b)に示すように、第1のレジスト膜4をパターニングすることにより、第1のレジストパターン4aを形成する。この工程では上記のフォトマスクブランク1に対し、描画装置を用いて所望のパターンを描画(第1描画)する。描画のためのエネルギー線には、電子ビームやレーザビームなどが用いられるが、ここではレーザビーム(波長410〜420nm)を用いることとする。遮光膜のもつ反射防止層のため、CD精度の高い描画が行える。フォトマスクブランク1に対し描画を行った後、現像すると、第1のレジストパターン4aが形成される。
【0048】
(遮光膜エッチング工程)
遮光膜エッチング工程では、
図2(c)に示すように、第1のレジストパターン4aをマスクとして遮光膜3をエッチングする。これにより、第1のレジストパターン4aの開口部に露出している遮光膜3がエッチングによって除去される。遮光膜3のエッチングは、ドライエッチングでもウェットエッチングでもよい。上記のフォトマスクブランク1ではCr又はCr化合物からなる膜で遮光膜3を構成しているため、Cr用のエッチング液を用いたウェットエッチングを適用することができる。これにより、透明基板2上の遮光膜3がパターニングされて遮光膜パターン3aが形成される。
【0049】
なお、ウェットエッチングは、膜断面にわずかなサイドエッチングを生じさせる場合があるが、図面ではその点を省略している。このわずかなサイドエッチングがCD精度に与える影響を考慮する必要がある場合は、上記の描画装置を用いて描画する際に予め描画データにデータ加工を施しておくとよい。具体的には、サイドエッチングによる遮光部の寸法の減少分を相殺するように、第1のレジストパターン4aの開口寸法を小さくしておけばよい。
【0050】
(第1のレジスト剥離工程)
第1のレジスト剥離工程では、
図2(d)に示すように、第1のレジストパターン4aを剥離する。これにより、遮光膜パターン3a付きの透明基板2が得られる。
【0051】
(半透光膜形成工程)
次に、
図2(e)に示すように、遮光膜パターン3aを含む透明基板2上に半透光膜5を形成する。半透光膜5は、透明基板2の全面に所定の成膜方法により形成する。半透光膜5の成膜方法としては、上記の遮光膜3と同様に、スパッタ法などの公知の方法を適用することができる。ここでは遮光膜3と同じエッチング剤でエッチング可能な材料で半透光膜5を形成するものとする。具体的は、上述した遮光膜3と同様に、Cr又はCr化合物からなる膜で半透光膜5を形成する。
【0052】
半透光膜5の光透過率は、フォトマスク10の露光に用いる露光光に含まれる代表波長に対して、好ましくは3〜60%であり、より好ましくは10〜50%である。ここで記述する光透過率は、透明基板2の光透過率を100%としたときの値である。また、露光光とは、i線、h線、g線を含むブロード波長光源によるもの、又は、そのうちのいずれかを代表波長として選択的に用いたものである。
【0053】
半透光膜5は、i線〜g線の波長領域における光透過率の偏差が0〜8%であることが好ましい。ここで記述する半透光膜5の光透過率の偏差は、i線に対する透過率をTi(%)、g線に対する透過率をTg(%)とするときの、TiとTgの差の絶対値である。
【0054】
半透光膜5がもつ露光光の位相シフト量は、好ましくは90度以下であり、より好ましくは5〜60度である。この位相シフト量も上記選択波長に対するものとする。したがって、これを満たすように、半透光膜5の膜質、及び膜厚を調整することが好ましい。半透光膜5の膜厚は、所望する光透過率によって変わるが、概ね50〜500Åの範囲とすることができる。
【0055】
(第2のレジスト膜形成工程)
次に、
図2(f)に示すように、半透光膜5上に第2のレジスト膜6を積層して形成する。第2のレジスト膜6は、上記第1のレジスト膜4と同様に、フォトレジストを塗布することによって形成することができる。
【0056】
(第2のレジストパターン形成工程)
次に、
図2(g)に示すように、第2のレジスト膜6をパターニングすることにより、第2のレジストパターン6aを形成する。この工程ではフォトマスクブランク1に対し、上記第1描画と同様に、描画装置を用いて所望のパターンを描画(第2描画)した後、第2のレジスト膜6を現像することにより、第2のレジストパターン6aを形成する。第2のレジストパターン6aは、フォトマスクの透光部を形成するためのレジストパターンである。第2のレジストパターン6aは、半透光部に対応する領域Aと遮光部に対応する領域Bを覆う一方、透光部に対応する領域Cに開口を有する。
【0057】
また、第2のレジストパターン6aは、遮光部(B領域)に隣接する透光部(C領域)においては、遮光膜3と半透光膜5を連続的にエッチング除去するためのレジストパターンであり、半透光部(A領域)に隣接する透光部(C領域)においては、半透光膜5をエッチング除去するためのレジストパターンである。ただし、転写用パターンのデザインによっては、第2のレジストパターン6aが前者のみ、又は後者のみの場合もあり得る。
【0058】
後述する透光部形成工程で半透光膜5のエッチング、又は半透光膜5と遮光膜3のエッチングに伴う若干のサイドエッチングがCD精度に影響する場合は、予めサイドエッチングの寸法分だけ小さな開口となるように、第2描画用の描画データにデータ加工を施しておくことも可能である。
【0059】
(透光部形成工程)
次に、
図3(h)に示すように、第2のレジストパターン6aをマスクとして、第2のレジストパターン6aの開口部に露出している半透光膜5をエッチングし、これによって露出する遮光膜3がある場合は、半透光膜5のエッチングに続けて遮光膜3をエッチングする。これにより、透光部に対応する領域Cでは、半透光膜5、又は半透光膜5と遮光膜3が部分的に除去される。その結果、領域Cには、透明基板2の表面が露出することによって透光部11(
図6参照)が形成される。
【0060】
ここで、遮光膜3と半透光膜5を、Cr又はCr化合物からなる膜で形成している場合は、Cr用のエッチング液を用いたウェットエッチングを適用することができる。また、遮光膜3と半透光膜5が共に同じエッチング剤でエッチング可能な材料で形成されている場合、半透光膜5のエッチング所要時間HTと遮光膜(反射防止層を含む)3のエッチング所要時間OTの比は、HT:OTが1:3〜1:20であることが好ましい。より好ましくは、HT:OTが1:5〜1:10である。また、遮光膜(反射防止層を含む)3の平均エッチングレートORと半透光膜5のエッチングレートHRの比は、OR:HRが1:1〜1:5であることが好ましい。
【0061】
(第2のレジスト剥離工程)
次に、
図3(i)に示すように、第2のレジストパターン6aを剥離する。この段階では、遮光部に対応する領域B全体が、遮光膜3と半透光膜5の積層構造になっている。
【0062】
(半透光膜除去工程)
半透光膜除去工程は、第3のレジスト膜形成工程と、第3のレジストパターン形成工程と、半透光膜エッチング工程とを有する。
【0063】
(第3のレジスト膜形成工程)
第3のレジスト膜形成工程では、
図3(j)に示すように、半透光膜5上に第3のレジスト膜7を積層して形成する。第3のレジスト膜7は、上記第1のレジスト膜4及び第2のレジスト膜6と同様に、フォトレジストを塗布することによって形成することができる。
【0064】
(第3のレジストパターン形成工程)
第3のレジストパターン形成工程では、
図3(k)に示すように、第3のレジスト膜7をパターニングすることにより、半透光部となる領域(A領域)に第3のレジストパターン7aを形成する。この工程ではフォトマスクブランク1に対し、上記第1描画及び第2描画と同様に、描画装置を用いて所望のパターンを描画(第3描画)した後、第3のレジスト膜7を現像することにより、第3のレジストパターン7aを形成する。第3のレジストパターン7aは、遮光部に対応する領域Bにおいて、遮光膜3を覆っている半透光膜5を除去するためのレジストパターンである。第3のレジストパターン7aは、半透光部に対応する領域Aを覆う一方、遮光部に対応する領域Bに開口を有する。
【0065】
ただし、第2のレジストパターン6aと第3のレジストパターン7aとの間にアライメントずれが生じることを考慮し、第3描画に適用する描画データには、所定のマージンを付加するデータ加工を行う必要がある。具体的には、上記アライメントずれが生じた場合にも、半透光部(A領域)と遮光部(B領域)の境界において、第3のレジストパターン7aのエッジ部分が確実に半透光膜5を覆うように、第3のレジストパターン7aの寸法を次のように設定する。すなわち、半透光部と遮光部とが隣接する部分において、第3のレジストパターン7aが、遮光部側(B領域側)に、所定寸法のマージンを加えた寸法をもつようにする。
図3(k)では第3のレジストパターン7aにおけるマージンの寸法をM1(μm)で示している。
【0066】
マージンの寸法M1(μm)は、フォトマスクの製造工程で生じ得るアライメントずれを想定すると、好ましくは0.2<M1であり、より好ましくは0.5≦M1である。また、マージンの寸法M1(μm)は、アライメントずれのみを考慮するのであれば、半透光部(A領域)と隣接する遮光部(B領域)の寸法S(μm)よりも小さければよい。しかしながら、マージンの寸法M1を過大に設定すると、遮光部に対応するB領域の大部分を半透光膜5が覆ってしまうことになるため、露光の際に迷光を生じさせるリスクが増加する。したがって、現実的には、遮光部13の寸法Sの7割を超えた領域を半透光膜5で覆うことは、後述する半透光膜除去工程で遮光膜3上の半透光膜5を除去したときに、遮光部で露出する遮光膜3の面積が小さすぎて反射防止の効果が十分に得られない傾向がある。このため、半透光部と隣接する遮光部の寸法S(μm)に対して、マージンの寸法M1(μm)は、好ましくはM1≦0.7Sとし、より好ましくはM1≦0.5S、更に好ましくは、M1≦0.3Sとして、反射防止層の表面の露出割合を所定程度確保することが好ましい。
【0067】
なお、ここでいうマージンの寸法は、遮光部と隣接する半透光部のひとつのエッジについてのものである。したがって、両側を遮光部に挟まれた半透光部であれば、両サイドのエッジにそれぞれ上記の寸法M1でマージンを設定することになる。
また、半透光部(A領域)と透光部(C領域)とが隣接する部分については、第3のレジストパターン7aで覆われるため、データ加工を行う必要はない。
【0068】
(半透光膜エッチング工程)
半透光膜エッチング工程では、
図3(l)に示すように、第3のレジストパターン7aをマスクとして、第3のレジストパターン7aの開口部に露出している半透光膜5をエッチングする。これにより、遮光部に対応する領域Bにおいて、遮光膜パターン3a上の半透光膜5がエッチングによって除去される。また、半透光膜5が除去された部分では遮光膜3の表面、すなわち反射防止層の表面が露出する。
【0069】
上述のように半透光膜5をエッチングする場合は、エッチングによって除去すべき半透光膜5の下に遮光膜3が存在するため、エッチング終点の検出が重要になる。特に、半透光膜5と遮光膜3が同じエッチング剤でエッチング可能な材料で形成されている場合は、半透光膜5のエッチングが過剰に行われることで、遮光膜3の表層部に存在する反射防止層が損傷を受けるリスクがあるため、エッチング終点の検出がより重要になる。これについては後述する。
【0070】
(第3のレジスト剥離工程)
次に、
図3(m)に示すように、第3のレジストパターン7aを剥離する。
【0071】
以上の工程により、
図6に示すフォトマスク10が完成する。このフォトマスク10では、上記半透光膜除去工程において遮光膜パターン3a上の半透光膜5を除去したことにより、遮光膜3の表面(反射防止層の表面)の露出面積が増加する。このため、フォトマスク10を用いた露光工程において、迷光の発生リスクを低減することができる。
【0072】
<第2実施形態に係るフォトマスクの製造方法>
本発明の第2実施形態に係るフォトマスクの製造方法は、以下のとおりである。
透明基板上に形成された遮光膜及び半透光膜がそれぞれパターニングされることによって形成された、透光部、半透光部、及び遮光部を備えた転写用パターンを有する、フォトマスクの製造方法において、
前記透明基板上に形成された遮光膜をパターニングして、遮光膜パターンを形成する、遮光膜パターニング工程と、
前記遮光膜パターンを含む前記透明基板上に半透光膜を形成する、半透光膜形成工程と、
前記半透光膜をパターニングすることにより、前記透光部を形成するとともに、前記遮光膜パターン上の前記半透光膜を除去する、透光部形成工程を有し、
前記透光部形成工程においては、前記半透光部となる領域にレジストパターンを形成し、
前記レジストパターンは、前記半透光部と前記遮光部とが隣接する部分において、前記遮光部側に、所定寸法のマージンを加えた寸法をもつことを特徴とする、フォトマスクの製造方法。
【0073】
図4及び
図5は本発明の第2実施形態に係るフォトマスクの製造工程を示す側断面図である。
なお、この第2実施形態においては、上記第1実施形態と相対応する部分に同じ符号を付して説明する。
【0074】
(フォトマスクブランク準備工程)
まず、
図4(a)に示すフォトマスクブランク1を用意する。このフォトマスクブランク1は、上記第1実施形態と同様である。
【0075】
(遮光膜パターニング工程)
遮光膜パターニング工程は、第1のレジストパターン形成工程と、遮光膜エッチング工程と、第1のレジスト剥離工程とを有する。
【0076】
(第1のレジストパターン形成工程)
第1のレジストパターン形成工程では、
図4(b)に示すように、第1のレジスト膜4をパターニングすることにより、第1のレジストパターン4aを形成する。この工程では上記のフォトマスクブランク1に対し、描画装置を用いて所望のパターンを描画(第1描画)する。遮光膜のもつ反射防止層により、CD精度の高い描画が行える。第1のレジストパターン4aは、遮光部に対応する領域Bを覆うように遮光膜3上に形成される。
【0077】
(遮光膜エッチング工程)
遮光膜エッチング工程では、
図4(c)に示すように、第1のレジストパターン4aをマスクとして遮光膜3をエッチングすることにより、遮光膜パターン3aを形成する。これにより、透明基板2上の遮光膜3がパターニングされて遮光膜パターン3aが形成される。この工程では、上記第1実施形態と同様に、ウェットエッチングが用いられる。また、必要に応じて、予めサイドサイドエッチング分を見込んで描画データにデータ加工を施し、遮光部の寸法を補償できる点も、第1実施形態の製造方法と同様である。
なお、第2実施形態においては、遮光膜に対するエッチングは本工程のみであるので、ここで遮光部の位置と寸法が画定する。
【0078】
(第1のレジスト剥離工程)
第1のレジスト剥離工程では、
図4(d)に示すように、第1のレジストパターン4aを剥離する。これにより、遮光膜パターン3a付きの透明基板2が得られる。
【0079】
(半透光膜形成工程)
次に、
図4(e)に示すように、遮光膜パターン3aを含む透明基板2上に半透光膜5を形成する。半透光膜5は、透明基板2の全面に所定の成膜方法により形成する。半透光膜5の成膜方法としては、上記の遮光膜3と同様に、スパッタ法などの公知の方法を適用することができる。半透光膜5の材料、特性等については上記第1実施形態と同様である。
【0080】
(透光部形成工程)
透光部形成工程は、第2のレジスト膜形成工程と、第2のレジストパターン形成工程と、半透光膜エッチング工程とを有する。
【0081】
(第2のレジスト膜形成工程)
第2のレジスト膜形成工程では、
図5(f)に示すように、半透光膜5上に第2のレジスト膜6を積層して形成する。第2のレジスト膜6は、上記第1のレジスト膜4と同様に、フォトレジストを塗布することによって形成することができる。
【0082】
(第2のレジストパターン形成工程)
第2のレジストパターン形成工程では、
図5(g)に示すように、第2のレジスト膜6をパターニングすることにより、半透光部となる領域(A領域)に第2のレジストパターン6aを形成する。この工程ではフォトマスクブランク1に対し、上記第1描画と同様に、描画装置を用いて所望のパターンを描画(第2描画)した後、第2のレジスト膜6を現像することにより、第2のレジストパターン6aを形成する。第2のレジストパターン6aは、半透光部に対応する領域Aを覆うとともに、透光部に対応する領域Cに開口を有し、かつ、遮光部に対応する領域Bで遮光膜3上の半透光膜5を除去する目的で開口を有する。
【0083】
ただし、第1のレジストパターン3aと第2のレジストパターン6aとの間にアライメントずれが生じることを考慮し、第2描画に適用する描画データには、所定のマージンを付加するデータ加工を行う必要がある。具体的には、上記アライメントずれが生じた場合にも、半透光部(A領域)と遮光部(B領域)の境界において、第2のレジストパターン6aのエッジ部分が確実に半透光膜5を覆うように、第2のレジストパターン6aの寸法を次のように設定する。すなわち、半透光部と遮光部の境界において、第2のレジストパターン6aが、遮光部側(B領域側)に、所定寸法のマージンを加えた寸法をもつようにする。
図5(g)では第2のレジストパターン6aにおけるマージンの寸法をM1(μm)で示している。マージンの寸法M1については、上記第1実施形態と同様に設定することができる。
【0084】
一方、半透光部と透光部の隣接する部分においては、アライメントずれによるマージンを考慮する必要はなく、ジャストサイズの開口を透光部に対応する領域に設ければよい。ただし、半透光膜5のエッチングに伴うわずかなサイドエッチングがCD精度に影響する場合には、予めサイドエッチングの寸法分だけ小さな開口となるように、描画データにデータ加工を施しておくことも可能である。
【0085】
(半透光膜エッチング工程)
半透光膜エッチング工程では、
図5(h)に示すように、第2のレジストパターン6aをマスクとして、第2のレジストパターン6aの開口部に露出している半透光膜5をエッチングする。これにより、領域Cには、透明基板2の表面が露出することによって透光部11(
図6参照)が形成される。また、遮光部に対応する領域Bでは、遮光膜パターン3a上の半透光膜5がエッチングによって除去される。
【0086】
(第2のレジスト剥離工程)
次に、
図5(i)に示すように、第2のレジストパターン6aを剥離する。
【0087】
以上の工程により、
図6に示すフォトマスク10が完成する。このフォトマスク10では、上記透光部形成工程において遮光膜パターン3a上の半透光膜5を除去したことにより、遮光膜3の表面(反射防止層の表面)の露出面積が増加する。このため、フォトマスク10を用いた露光工程において、迷光の発生リスクを低減することができる。
【0088】
本発明の第2の実施形態に係る製造方法を適用してフォトマスク10を製造すると、透光部、半透光部、及び遮光部を含む転写用パターンを有し、かつ、遮光部上の半透光膜を除去する工程を有するにもかかわらず、描画の回数(すなわちリソグラフィ工程の回数)を2回のみとすることができ、非常に効率的である。また、この製造方法を採用すると、パターンのデザインによらず、第1のレジストパターン形成工程において、遮光部の位置と寸法が実質的に画定する。このため、その後の工程で生じるアライメントずれのリスクがあっても、遮光部の寸法等はその影響を受けることがない。したがって、遮光部の面積が、最終的に得ようとするデバイスの動作性能に影響する場合には、この製造方法を採用することが有利である。
【0089】
また、本発明の第2の実施形態に係る製造方法では、第2のレジストパターン6aをマスクに用いたエッチングが、半透光膜5のみを対象に行われる。このため、半透光膜5に続いて遮光膜3をエッチングする場合に比べて、エッチング時間が短くなる。したがって、エッチング中にサイドエッチングが進みにくくなり、遮光部の寸法精度を高く維持することができる。
【0090】
<実施形態に係るフォトマスクの構成>
図6は本発明の実施形態に係るフォトマスクの構成を示すもので、(a)は平面図、(b)は(a)のX−X断面図である。
図示したフォトマスク10は、透光部11、半透光部12、及び遮光部13を備えた転写用パターンを有する。このフォトマスク10は、上記第1実施形態に係る製造方法、又は上記第2実施形態に係る製造方法のいずれによって製造してもよい。透光部11、半透光部12、及び遮光部13は、透明基板2上に形成された遮光膜3及び半透光膜5がそれぞれパターニングされることによって形成されたものである。透光部11は、透明基板2の表面が露出した部分である。半透光部12は、透明基板2上に半透光膜5が形成された部分である。この半透光部12には遮光膜3は形成されていない。遮光部13は、透明基板2上に遮光膜3が形成されるとともに、半透光部12と隣接するエッジに沿って、遮光膜3上に半透光膜5が積層するマージン部14を有する部分である。つまり、マージン部14以外の遮光部3では、半透光膜5が除かれている。
【0091】
上記マージン部14の幅M1(μm)は、上記の製造工程で生じ得るアライメントずれを想定すると、好ましくは0.2<M1であり、より好ましくは0.5≦M1である。また、マージン部14の幅M1(μm)は、アライメントずれのみを考慮するのであれば、半透光部12と隣接する遮光部13の、隣接方向における寸法S(μm)よりも小さければよい。しかしながら、マージン部14が過大な幅をもつと、遮光部13の大部分を半透光膜5で覆ってしまうことになるため、露光の際に迷光を生じさせるリスクが増加する。すなわち、現実的には、上述した遮光部13の寸法S(μm)の7割を超えた領域を半透光膜5で覆うことは、半透光膜除去工程で遮光膜3上の半透光膜5を除去したときに、遮光部13で露出する遮光膜3の寸法(面積)が小さすぎて反射防止の効果が十分に得られない傾向がある。このため、半透光部12と隣接する遮光部13の寸法S(μm)に対して、マージン部14の幅M1(μm)は、好ましくはM1≦0.7Sとし、より好ましくはM1≦0.5S、更に好ましくは、M1≦0.3Sとして、反射防止層の表面の露出割合を所定程度確保することが好ましい。
【0092】
なお、ここでいうマージン部14の幅M1は、遮光部13と隣接する半透光部12のひとつのエッジについてのものである。したがって、両側を遮光部13に挟まれた半透光部12であれば、両サイドのエッジにそれぞれ上記の幅M1でマージン部14を有することになる。
【0093】
半透光部12の光透過率は、フォトマスク10の露光に用いる露光光に含まれる代表波長に対して、好ましくは3〜60%とすることができる。露光光とは、i線、h線、g線を含むブロード波長光源によるもの、又は、そのうちのいずれかを代表波長として選択的に用いたものとすることができる。例えば、フォトマスク10を多階調フォトマスクとして用いる場合、半透光部12の露光光代表波長に対する透過率は、より好ましくは10〜50%である。ここで記述する光透過率は、透明基板2の光透過率を100%としたときの値である。
【0094】
半透光部12は、i線〜g線の波長領域における光透過率の偏差が0〜8%であることが好ましい。ここで記述する半透光部12の光透過率の偏差は、i線に対する透過率をTi、g線に対する透過率をTgとするときの、TiとTgの差の絶対値である。
【0095】
半透光部12がもつ露光光の位相シフト量は、好ましくは90度以下であり、より好ましくは5〜60度である。この位相シフト量も上記選択波長に対するものとする。したがって、これを満たすように、半透光膜5の膜質、及び膜厚を調整することが好ましい。半透光膜5の膜厚は、所望する光透過率によって変わるが、概ね50〜500Åの範囲とすることができる。
【0096】
本発明に係るフォトマスクは、位相シフトマスクとして用いることもできる。この場合は、半透光部12がもつ露光光の位相シフト量を150〜210度とすることが望ましい。これにより、半透光部12は露光光の位相を反転するため、光の干渉を利用した解像性の向上や焦点深度の増大に寄与することができる。また、この場合の半透光部12の代表波長に対する透過率は、好ましくは3〜30%、より好ましくは5〜20%とすることができる。
【0097】
本発明のフォトマスクにおいて、半透光膜5の材料に関しては、例えば、Cr、Ta、Zr、Si、Moなどを含有する膜とすることができ、これらの化合物(酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、炭化窒化物、酸化窒化炭化物など)から適切なものを選択することができる。特に、Crの化合物を好適に使用することができる。
半透光膜5のその他の材料としては、Siの化合物(SiONなど)、又は遷移金属シリサイド(MoSiなど)や、その化合物を用いることができる。遷移金属シリサイドの化合物としては、酸化物、窒化物、酸化窒化物、酸化窒化炭化物などが挙げられ、好ましくは、MoSiの酸化物、窒化物、酸化窒化物、酸化窒化炭化物などが例示される。
【0098】
本発明のフォトマスクにおいて、遮光部13は、透明基板2上に、遮光膜3が形成されるとともに、半透光部12と隣接するエッジに沿って、遮光膜3上に半透光膜5が積層するマージン部14を有する。そして、マージン部14以外の遮光部13では、遮光膜3の表面、すなわちその表層部に形成されている反射防止層が露出している。これは、マージン部14以外の遮光部13においては、遮光膜3の表面に存在した半透光膜5が実質的に除去されているからである。
【0099】
本発明のフォトマスクにおいて、遮光膜(反射防止層を含む)3と半透光膜5は、同じエッチング剤でエッチング可能である。その場合、遮光膜3上の半透光膜5をエッチングするときのエッチング終了時間が基板面内でばらつき、この面内ばらつきに起因して遮光膜3のエッチングが過剰となり、反射防止層の表層側がわずかに損傷を受ける場合が生じ得る。このように、遮光膜3の表面にわずかなエッチングが生じ、反射防止層の表面に一部損傷が生じる場合でも、遮光膜3の表面では、露光光の代表波長に対する光反射率が30%未満であることが好ましい。より好ましくは、露光光のすべての波長に対して、遮光膜3表面の反射率が30%未満である。このような場合においても、本発明の作用効果が得られるからである。
【0100】
一方、上述したような過剰なエッチングを抑えるためには、遮光膜3表層部の反射防止層のエッチングレートが半透光膜5に比べて小さいことが望ましい。例えば、反射防止層のエッチングレートをRR、半透光膜5のエッチングレートをHRとするとき、RR<HRであることが好ましい。
【0101】
遮光膜3の材料に関しては、例えば、Cr、Ta、Zr、Si、Moなどを含有する膜とすることができ、これらの単体又は化合物(酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、炭化窒化物、酸化窒化炭化物など)から適切なものを選択することができる。特に、Cr又はCrの化合物を好適に使用することができる。
遮光膜3の他の材料としては、遷移金属シリサイド(MoSiなど)や、その化合物を用いることができる。遷移金属シリサイドの化合物としては、酸化物、窒化物、酸化窒化物、酸化窒化炭化物などが挙げられ、好ましくは、MoSiの酸化物、窒化物、酸化窒化物、酸化窒化炭化物などが例示される。
【0102】
遮光膜3は、その表面側(透明基板2と反対側)に反射防止層を有することが好ましい。その場合、例えば、反射防止層を含む遮光膜3全体の厚みを1000〜2000Åとし、より好ましくは1100〜1800Åとすると、反射防止層は、遮光膜3の表層部分の100〜500Å、より好ましくは、200〜400Åを占めるものとすることができる。反射防止層は、遮光膜3成分の一部(例えば、酸素、窒素、炭素等の添加成分)を表層部分で変化させることなどによって形成することができる。
【0103】
また、遮光膜3と半透光膜5は、互いのエッチング剤に対して耐性をもつ(すなわちエッチング選択性がある)材料で形成してもよいが、必ずしもそのようにする制約は無い。すなわち、遮光膜3と半透光膜5を同じエッチング剤によりエッチング可能な材料を用いて形成できる点は、本発明の利点である。この場合、遮光膜3と半透光膜5が共に同一の材料を含有することが好ましい。「同一の材料を含有する」とは、同じ金属を含有するか、又は、共にSiを含有する場合などである。例えば、遮光膜3と半透光膜5が共にCrを含有する膜であるか、又は、共に同一の金属Mを含む金属シリサイドM
XSi
Y(X,Yは整数)又はその化合物である場合などである。好ましい例として、遮光膜(反射防止層を含む)3と半透光膜5が共にCrを含む化合物である場合が挙げられる。
【0104】
遮光膜3と半透光膜5とが同一のエッチング剤によりエッチング可能である場合、同一のエッチング剤に対するエッチング所要時間は、遮光膜3と半透光膜5で互いに異なることが好ましい。具体的には、遮光膜3のエッチング所要時間に比べて半透光膜5のエッチング所要時間が短いことが好ましい。この点は、特に第2実施形態の製造方法を適用する場合に有利である。また、前述したとおり、半透光膜5のエッチング所要時間HTと遮光膜(反射防止層を含む)3のエッチング所要時間OTの比は、HT:OTが1:3〜1:20であることが好ましい。より好ましくは、HT:OTが1:5〜1:10である。
【0105】
エッチング所要時間とは、エッチングの対象となる膜のエッチングを開始してから、その膜が消失するまでに要する時間をいう。エッチング所要時間は、エッチングレート及び膜厚によって調整することができる。例えば、半透光膜5の膜厚に比べて遮光膜3の膜厚が大きい場合は、半透光膜5のエッチング所要時間が相対的に短くなる。エッチングレートとは、エッチング剤によってエッチングが進行する際の、単位時間あたりのエッチング量をいう。エッチングレートは、それぞれの膜を構成する素材の組成や膜質によって決まる。
【0106】
本実施形態ではウェットエッチングを採用しているため、エッチング剤に相当するものがエッチング液となる。その場合、同一のエッチング液に対し、遮光膜3と半透光膜5のエッチングレートは同一でもよく、異なっていてもよい。例えば、遮光膜3と半透光膜5が共に共通の金属を含有していても、その他の成分(例えば、酸素、窒素、炭素など)が異なることにより、共通のエッチング液に対するエッチングレートに差が生じることがある。半透光膜5のエッチングレートHRは、遮光膜(反射防止層を含む)3の平均エッチングレートOR以上であることが好ましい。その場合は、上述したエッチング所要時間の比(HT:OT)を調整しやすくなる。また、遮光膜(反射防止層を含む)3の平均エッチングレートORと半透光膜5のエッチングレートHRの比は、OR:HRが1:1〜1:5であることが好ましい。遮光膜3の平均エッチングレートとは、反射防止層を含む遮光膜3としての平均エッチングレートである。
【0107】
遮光膜3は露光光に対して確実な遮光性をもつものであり、その膜厚は半透光膜5の膜厚より大きいことが好ましい。具体的には、半透光膜5の膜厚HAと遮光膜3の膜厚OAとの比は、HA:OAが1:2.5〜1:20、より好ましくは1:10〜1:20とすることが好ましい。この範囲で、半透光膜5の透過率を所望値に調整することができる。
【0108】
また、遮光膜3と半透光膜5を積層した状態でのOD(光学濃度)は、2.5〜7.5、好ましくは3.0〜5である。遮光膜3単膜のODは、好ましくは3.0〜5である。
【0109】
本発明のフォトマスクにおいて、露光光の代表波長に対する遮光部(マージン部14を除く)13の反射率は、好ましくは30%未満、より好ましくは25%以下である。更に好ましくは、露光光の代表波長(例えばi線)に対する遮光部13の反射率は20%以下、又は、i線、h線、g線のすべてに対して25%以下であることが好ましい。また、フォトマスクの製造工程において用いる描画光(410〜420nm)に対する遮光部13の反射率についても、好ましくは30%未満、より好ましくは25%以下である。
【0110】
また、本発明の効果は、遮光膜3と半透光膜5を積層した状態での、露光光に対する光反射率が35%以上であるときに顕著であり、40%以上のときには更に顕著である。
【0111】
本発明のフォトマスクにおいて、遮光部13は、半透光部12と隣接するエッジに沿って、遮光膜3上に半透光膜5が積層するマージン部14を有する。マージン部14の幅をM1(μm)とするとき、0.2<M1であることが好ましい。また、半透光部12と隣接する遮光部13の寸法がS(μm)であるとき、マージン部14の幅M1は、好ましくは0.2<M1≦0.7Sとし、より好ましくは0.2<M1≦0.5S、更に好ましくは、0.2<M1≦0.3Sとして、反射防止層の表面の露出割合を所定程度確保することが好ましい。
【0112】
遮光部13において、マージン部14以外の領域は、半透光膜5が実質的に除去されている。
【0113】
また、本発明のフォトマスクは、特に用途の制限はない。また、本発明のフォトマスクは、このフォトマスクを用いて最終的に得ようとする電子デバイスの製造過程で、複数回のエッチングプロセスが可能となる、いわゆる多階調フォトマスクであってもよく、また、解像度や焦点深度を有利にする、位相シフトマスク(ハーフトーン型位相シフトマスクなど)であってもよい。
【0114】
また、本発明は、上記第1実施形態又は第2実施形態の製造方法によるフォトマスク、又は上記構成のフォトマスクを用意する工程と、露光装置を用いてフォトマスクの転写用パターンを露光することにより、被転写体上に転写用パターンを転写する工程と、を含む、表示装置の製造方法として実現してもよい。その場合、LCD(Liquid Crystal Display)、あるいはFPD(Flat Panel Display)として知られる表示装置のパネル基板などを被転写体とすることが好適である。
【0115】
本発明のフォトマスクは、LCD用、あるいはFPD用として知られる露光装置を用いた露光に好適に使用することができる。この種の露光装置としては、例えば、i線、h線、g線を含む光源を備え、開口数(NA)が0.08〜0.15、コヒーレントファクタ(σ)が0.7〜0.9程度の等倍光学系をもつ、プロジェクション露光装置が用いられる。もちろん、本発明のフォトマスク(多階調フォトマスク)は、プロキシミティ露光用のフォトマスクとしても使用可能である。
【0116】
本発明のフォトマスクは特に、液晶表示装置、有機EL表示装置などを含む表示装置の製造用として好適である。また、本発明のフォトマスクは、これら表示装置の様々な部位(コンタクトホール、薄膜トランジスタのS(Source)/D(Drain)レイヤ、カラーフィルタのフォトスペーサ用レイヤなど)の形成に使用可能である。また、本発明のフォトマスクは特に、遮光部に隣接して囲まれる透光部を有する転写用パターンをもつもの、あるいは、半透光部に隣接して囲まれる透光部を有する転写用パターンをもつものに好適に適用可能である。更には、遮光部に隣接して囲まれる半透光部を有する転写用パターンをもつものにも好適に適用可能である。例えば、パターンのもつCDとして、0.5〜5μmの部分を含むものが例示される。
【0117】
また、本発明のフォトマスクは、本発明の作用効果を奏する範囲で、遮光膜3や半透光膜5のほかに、光学膜又は機能膜による膜や膜パターンを有するものでもよい。例えば、透明基板2の表面(転写用パターン面)側、又は裏面側に、光学フィルタ膜、導電膜、絶縁膜、エッチング性を補強する膜、などを配置してもよい。