(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記チャネル形成剤が前記混入ポリマー全体にチャネルを形成し、前記活性物質の少なくとも一部が前記チャネル内に配置され、前記チャネルが前記選択された物質を、前記チャネル内に配置される活性物質と前記ポリマーの外部との間を透過させることができる、請求項1または2に記載の混入ポリマー。
前記チャネル形成剤がポリエチレン容器中のプラスチックおよび重金属および不揮発性残留物に関する物理化学的試験に関する米国薬局方スタンダード661に従う移行性を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の混入ポリマー。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の詳細な実施形態を本明細書で開示するが、開示される実施形態は本発明を例示するに過ぎず、それは様々な形態で具体化され得ることを理解されたい。図は必ずしも縮尺通りに記載されておらず;幾つかの図は、特定の構成要素の詳細を示すために誇張されることがある。従って、本明細書に開示される特定の構造や機能の詳細は本発明を限定するものではなく、特許請求の範囲の基礎、および当業者が本発明を様々に使用できるように教示するための代表的な基礎と解釈されたい。
【0012】
本明細書で使用する場合、「活性」という用語は、本発明の選択された物質に対して作用することができる、選択された物質と相互作用することができる、または選択された物質と反応することができることと定義される。このような作用または相互作用の例としては、選択された物質の吸収または放出を挙げることができる。
【0013】
本明細書で使用する場合、「活性物質」という用語は、(1)ベースポリマーと混和せず、ベースポリマーおよびチャネル形成剤と混合・加熱しても溶融しない、即ち、融点がベースポリマーまたはチャネル形成剤のどちらかの融点より高く、且つ(2)選択された物質に対して作用する、選択された物質と相互作用するまたは反応する物質と定義される。「活性物質」という用語は、選択された物質を吸収または放出する物質を含み得るが、これらに限定されるものではない。本発明の活性物質は粒子の形態であってもよいが、本発明は粒子状の活性物質に限定されるものと見なされるべきではない。
【0014】
本明細書で使用する場合、「ベースポリマー」という用語は、場合により、選択された物質の透気度がチャネル形成剤よりかなり低い、チャネル形成剤より低い、またはチャネル形成剤と実質的に同等のポリマーである。例として、選択された物質が水分であり、活性物質が吸水性乾燥剤である実施形態では、このような透過度は透湿度であってもよい。ベースポリマーの主要な機能は、混入ポリマーに構造を提供することである。
【0015】
ベースポリマーとチャネル形成剤の透湿度のこのような比較に関して、一実施形態では、チャネル形成剤の透湿度は、ベースポリマーの透湿度の少なくとも2倍である。別の実施形態では、チャネル形成剤の透湿度は、ベースポリマーの透湿度の少なくとも5倍である。別の実施形態では、チャネル形成剤の透湿度は、ベースポリマーの透湿度の少なくとも10倍である。さらに別の実施形態では、チャネル形成剤の透湿度は、ベースポリマーの透湿度の少なくとも20倍である。さらに別の実施形態では、チャネル形成剤の透湿度は、ベースポリマーの透湿度の少なくとも50倍である。さらに別の実施形態では、チャネル形成剤の透湿度は、ベースポリマーの透湿度の少なくとも100倍である。
【0016】
本明細書で使用する場合、「1種のチャネル形成剤」または「複数種のチャネル形成剤」という用語は、ベースポリマーと混和せず、ベースポリマーより速い速度で気相物質を輸送するような親和性を有する物質と定義される。場合により、チャネル形成剤をベースポリマーと混合することにより形成されると、チャネル形成剤は、混入ポリマーを通るチャネルを形成することができる。場合により、このようなチャネルは、選択された物質をベースポリマー単独よりも速い速度で混入ポリマーを通して透過させることができる。
【0017】
本明細書で使用する場合、「チャネル」または「相互接続チャネル」という用語は、ベースポリマーを貫通し、互いに相互接続していてもよい、チャネル形成剤で形成された通路と定義される。
【0018】
本明細書で使用する場合、「混入ポリマー」という用語は、少なくとも1種のベースポリマーとベースポリマー全体に混入されたまたは分布した活性物質および/またはチャネル形成剤とで形成されたモノリシック材料と定義される。
【0019】
本明細書で使用する場合、「融点」という用語は、示差走査熱量分析法(DSC)により測定された物質の一次転移点と定義される。
【0020】
本明細書で使用する場合、「モノリシック」、「モノリシック構造」または「モノリシック組成物」という用語は、2つ以上の巨視的な別個の層または部分からならない組成物または材料と定義される。従って、「モノリシック組成物」は、多層複合材を含まない。
【0021】
本明細書で使用する場合、「相」という用語は、構造または組成物にそのモノリシック特性を付与するように、全体に均一に分布しているモノリシック構造または組成物の部分または成分と定義される。
【0022】
本明細書で使用する場合、「選択された物質」という用語は、活性物質による作用を受け、または活性物質と相互作用もしくは反応し、混入ポリマーのチャネルを通って透過することができる物質と定義される。例えば、乾燥剤を活性物質として使用する実施形態では、選択された物質は、乾燥剤に吸収され得る水分または気体であってもよい。放出材を活性物質として使用する実施形態では、選択された物質は、水分、芳香剤または抗微生物剤などの、放出材により放出される物質であってもよい。
【0023】
本明細書で使用する場合、「3相」という用語は、3相以上を含むモノリシック組成物または構造と定義される。本発明の3相組成物の一例としては、ベースポリマーと、活性物質と、チャネル形成剤とで形成される混入ポリマーがある。場合により、3相組成物または構造は、追加の相、例えば、着色剤を含んでもよい。
【0024】
図1〜11は、本発明の混入ポリマー10および混入ポリマーで形成された様々な包装組立品の略図を示す。混入ポリマー10はそれぞれ、ベースポリマー25と、チャネル形成剤35と、活性物質30とを含む。図示するように、チャネル形成剤35は、混入ポリマー10を通る相互接続チャネル45を形成する。活性物質30の少なくとも一部はこれらのチャネル45内に収容され、チャネル45が活性物質30と、混入ポリマー10の外部との間を混入ポリマー25の外面に形成されたチャネル開口部48を介して連通するようになっている。下記でさらに詳細に記載するように、活性物質30は、例えば、様々な吸収材または放出材のいずれか1つであってもよい。
【0025】
チャネル形成剤35は、ポリエチレン容器中のプラスチックおよび重金属および不揮発性残留物に関する物理化学的試験に関する米国薬局方スタンダード661に従う移行性を有するポリマーであってもよく、この標準規格で概説された試験を、本発明の材料で製造された容器に適用できることを理解されたい。別の実施形態では、チャネル形成剤35は食品と接触することが意図されているプラスチック材料および物品に関する2011年1月14日の欧州委員会規則(EU)No.10/2011に従う移行性を有するポリマーである。別の実施形態では、チャネル形成剤35は食品包装および容器に関する日本の厚生労働省の告知番号20に従う移行性を有するポリマーである。チャネル形成剤35は、例えば、水不溶性ポリマー、例えば、プロピレンオキサイド重合体−モノブチルエーテル、例えば、CLARIANT製のPolyglykol B01/240であってもよい。他の実施形態では、チャネル形成剤は、プロピレンオキサイド重合体−モノブチルエーテル、例えば、CLARIANT製のPolyglykol B01/20、プロピレンオキサイド重合体、例えば、CLARIANT製のPolyglykol D01/240、エチレン酢酸ビニル、ナイロン6、ナイロン66、またはこれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0026】
本発明の好適な活性物質としては、乾燥化合物などの吸収材が挙げられる。
図11は、活性物質30が吸収材である、本発明の混入ポリマー10の一実施形態を示す。矢印は、選択された物質、例えば、水分または気体が、混入ポリマー10の外部からチャネル45を通り、選択された物質を吸収する活性物質30の粒子に至る経路を示す。
【0027】
様々な種類の吸収材または乾燥化合物を、本発明の混入ポリマー中に活性物質として使用することができる。以下で「水和物生成乾燥剤」と称される第1の種類の乾燥化合物は、水と結合して水和物を生成することができる化合物を含む。水和物生成乾燥剤の例としては、水または水分を吸収して安定な水和物を生成する傾向がある無水塩がある。このような水分との反応で安定な化合物が生成し、水分はその中に保持され、化学的相互作用により放出されないようになる。
【0028】
以下で「反応性乾燥剤」と称される第2の種類の乾燥化合物は、反応性であると考えられているものである。これらの化合物は、通常、水または水分と化学反応して新たな化合物を生成し、その中に水が結合している。これらの新たに生成した化合物は、低温では一般に不可逆的であり、それらを乾燥剤として再使用できるように再生するにはかなりの量のエネルギーを必要とする。これらの反応性乾燥剤は主に溶媒乾燥に、およびそれ自体が低水分状態に維持されなければならないポリマーに活性物質として使用される。
【0029】
以下で「物理的吸収乾燥剤」と称される第3の種類の乾燥化合物は、物理的吸収によりそれらの水分吸収能力を得る。吸収過程は、乾燥剤粒子が微細な毛細管形態を有し、その中に水分が吸引されるため達成される。毛細管の孔径および毛細管の密度により、乾燥剤の吸収性が決定される。これらの物理的吸収乾燥剤の例としては、モレキュラーシーブ、シリカゲル、粘土(例えば、モンモリリマイト(montmorillimite)粘土)、特定の合成ポリマー(例えば、ベビー用おむつに使用されるもの)、およびデンプンが挙げられる。このような物理的吸収乾燥剤は不活性且つ水不溶性であるため、多くの用途に好ましい。本発明に使用するのに好適な、例示的なモレキュラーシーブ孔径としては、約3〜15Å;約3〜5Å、約5〜8:3Å;4Å;5Å;8Åおよび10Åが挙げられる。別の例示的な実施形態では、シリカゲルの孔径は約24Åである。幾つかの理由の中でも、これらの無害性は、混入ポリマーから形成された容器内に封入され得る、または少なくともそれに曝され得る食品や医薬品に特に適合している。しかし、前述のように、これらの3種のどれを使用して本発明の混入ポリマーを形成してもよい。
【0030】
好適な吸収材としては、(1)限定されるものではないが、ニッケル、銅、アルミニウム、ケイ素、半田、銀、金などの金属および合金;(2)銀メッキされた銅、銀配置されたニッケル、銀メッキされたガラスマイクロスフェアなどの金属メッキされた粒子状物質;(3)BaTiO
3、SrTiO
3、SiO
2、Al
2O
3、ZnO、TiO
2、MnO、CuO、Sb
2O
3、WC、溶融シリカ、ヒュームドシリカ、非晶質溶融シリカ、ゾルゲル法シリカ、ゾルゲル法チタン酸塩、混合チタン酸塩、イオン交換樹脂、リチウム含有セラミックス、中空ガラスマイクロスフェアなどの無機物;(4)炭素、活性炭、カーボンブラック、ケトケムブラック、ダイヤモンド粉末などの炭素系材料;ならびに(5)エラストマー、例えば、ポリブタジエン、ポリシロキサン、および半金属、セラミック;ならびに(6)他の充填材および顔料;を挙げることができる。
【0031】
別の実施例では、吸収材は酸化カルシウムであってもよい。酸化カルシウムは、水分と二酸化炭素の存在下で炭酸カルシウムに変換される。従って、二酸化炭素の吸収が必要な用途では、酸化カルシウムを吸収材として使用してもよい。このような用途には、二酸化炭素を放出する生鮮食品(例えば、果物や野菜)の保存が含まれる。
【0032】
比較的微細な粒径を有する吸収材に関する一実施形態では、チャネル形成剤により混入ポリマー全体に多くの小さい相互接続チャネルが形成されるが、それに対して、幾つかの大きい相互接続チャネルが形成されると、ポリマー内の露出表面積は比較的小さくなる。ダイマー剤、例えば、ポリプロピレン無水マレイン酸、または任意の可塑剤を混合物に場合により添加し、粘度を低下させて、ベースポリマーとチャネル形成剤との混合相溶性を向上させ、それにより混入ポリマー全体にわたるチャネルの分散を向上させてもよい。
【0033】
本発明の他の好適な活性物質としては放出材が挙げられる。
図10は、活性物質30が放出材である、本発明の混入ポリマー10の一実施形態を示す。矢印は、選択された物質、例えば、芳香剤が、活性物質10の粒子から、チャネル45を通り混入ポリマー10の外部に至る経路を示す。
【0034】
様々な放出材を本発明の混入ポリマー中に活性物質として使用することができる。このような放出材は、選択された物質を放出材から放出する任意の好適な材料を含むことができる。放出材から放出される選択された物質は、固体、ゲル、液体または気体の形態であってもよい。これらの物質は、芳香剤、香味料、または香料の供給源の役割を果たすこと;有害生物駆除剤、有害生物忌避剤、抗微生物剤、餌、医薬用芳香剤等の生物活性成分の供給;給湿物質または乾燥物質の提供;腐食防止剤などの空気によって運ばれる活性化学物質の送達;熟成剤および臭気発生剤を含む様々な機能を果たすことができる。
【0035】
本発明の混入ポリマー中に放出材として使用するのに好適な殺生物剤としては、有害生物駆除剤、除草剤、殺線虫剤、殺真菌剤、齧歯動物駆除剤および/またはこれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。殺生物剤に加えて、本発明の被覆材は、栄養分、植物成長調節剤、フェロモン、落葉剤および/またはこれらの混合物も放出することができる。
【0036】
第四級アンモニウム化合物も本発明の放出材として使用することができる。このような化合物は界面活性剤として機能するだけではなく、混入ポリマーの表面に無菌性を付与する、または、一部は病原性の可能性がある微生物の数を減少させる状態を形成する。他の多くの抗微生物剤、例えば、塩化ベンザルコニウム、およびヘキサクロロフェンなどの関連化合物を、本発明の放出剤として使用することもできる。
【0037】
他の使用し得る放出材としては、天然精油および合成香料、ならびにこれらのブレンドを含む芳香剤が挙げられる。有効成分の一部、または場合によっては全部を構成し得る典型的な香料物質としては、レモン油、マンダリン油、チョウジ葉油、プチグレン油、セダーウッド油、パッチュリ油、ラバンディン油、ネロリ油、イラン油、ローズ・アブソリュートまたはジャスミン・アブソリュートなどの天然精油;ラブダナム樹脂またはオリバナム樹脂などの天然樹脂;例えば、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、リナロール、テトラヒドロゲラニオール、β−フェニルエチルアルコール、メチルフェニルカルビノール、ジメチルベンジルカルビノール、メントールまたはセドロールなどのアルコールのような天然源から単離され得るまたは合成により製造され得る単一の香料化学物質;シトラール、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、ラウリンアルデヒド、ウンデシレンアルデヒド、シンナムアルデヒド、アミルシンナムアルデヒド、バニリンまたはヘリオトロピンなどのこのようなアルコール−アルデヒドから誘導される酢酸エステルおよび他のエステル;このようなアルデヒドから誘導されるアセタール;メチルヘキシルケトン、イオノン類およびメチルイオノン類などのケトン;オイゲノールおよびイソオイゲノールなどのフェノール化合物;ムスクキシレン、ムスクケトンおよびエチレンブラシレートなどの合成ジャコウ;が挙げられる。
【0038】
幾つかの実施形態では、活性物質は、活性物質とチャネル形成剤との間に親和性をもたらす極性を有する。このような極性活性物質の一例には、通常はベースポリマーとの相溶性よりもチャネル形成剤との相溶性の方が高い吸収剤であるシリカがある。このため、混入ポリマー全体に相互接続チャネルが形成されているとき、分離過程で、活性物質は、親和性が比較的高いチャネル形成剤ドメインの方に集まる。このようにして、チャネル形成剤は、混入ポリマーの外部にある蒸気と、混入ポリマー内にある活性物質との間の橋の役割を果たすことができる。これは、チャネル形成剤で充填された通路内に結合している活性物質に関して特に当てはまる。別の実施形態では、チャネル形成剤への活性物質の分散または混合を向上させるために、グリセリンなどの極性可塑剤を混合物にさらに添加してもよい。
【0039】
混合物中の活性物質濃度が高いほど、最終組成物の吸収能が大きくなると考えられる。しかし、活性物質濃度が高過ぎると、混入ポリマーの脆性が高くなり、活性物質と、ベースポリマーと、チャネル形成剤との溶融混合物が熱形成、押出成形、または射出成形し難くなるおそれがある。一実施形態では、活性物質添加レベルは、混入ポリマー全重量に対して10重量%〜80重量%、好ましくは40重量%〜70重量%、より好ましくは50重量%〜70重量%、さらにより好ましくは55重量%〜65重量%の範囲であってもよい。
【0040】
一実施形態では、本発明のベースポリマーは、熱可塑性材料であってもよい。好適な熱可塑性材料の例としては、ポリオレフィン、例えば、ポリプロピレンおよびポリエチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリブテン、ポリシロキサン、ポリカーボネート、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリレート共重合体、ポリ(塩化ビニル)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリ酸無水物、ポリアクリリアニトリル(polyacrylianitrile)、ポリスルホン、ポリアクリル酸エステル、アクリル樹脂、ポリウレタン、およびポリアセタール、またはこれらの共重合体もしくは混合物が挙げられる。
【0041】
幾つかの実施形態では、本発明の混入ポリマー10は、活性物質30を含むことにより、他のポリマー材料よりも脆性が高くなり得るため、包装材の内側部分は本発明の混入ポリマー10で形成されるが、外側部分は純粋なポリマーまたは活性物質30の割合が比較的低い本発明の組成物から形成されるように包装材を成形してもよい。例えば、内側部分が本発明の混入ポリマー10からなり、外側部分が純粋なポリマーからなる包装材は、通常、耐久性が比較的高く、脆性が比較的低くなるだけでなく、純粋なポリマー外側部分は、望ましくない蒸気が外部から包装材の内部に透過しないようにする蒸気バリアの役割を果たすこともできる。このようにして、吸収剤30の吸収能は、蒸気を除去し、蒸気を避けることが望ましい包装材の内部にだけ吸収剤30を露出させることにより増強される。
【0042】
本発明の混入ポリマー10には多くの用途がある。例示的な用途の1つは、比較的少量の製品、例えば、食品や医薬品を収容するのに好適な剛性容器61の構成である。多くの場合、このような製品は、制御された環境(例えば、低水分および/または低酸素)で出荷され、貯蔵されなければならない。一実施形態では、本発明の混入ポリマー10は、容器61の内部に内装されるインサートに形成されてもよい。インサートの一形態の例としては、
図4および5に示すものなどの、任意の好適な形状のプラグ55がある。プラグ55は単に容器内に置かれるだけでその目的に役立つが、それは、内部空間内で動き回らないように内部の位置に固定されてもよい。プラグ55は、
図4および5に示すような、ポリマー容器61の底部の受け入れ位置にぴったりと圧入されるような形状およびサイズの円盤に形成されてもよい。
【0043】
他の実施形態では、ライナー70は本発明の混入ポリマー10から形成されてもよく、それは容器本体60の内面に十分適合する外面を有する。前述のプラグ55のように、ライナー70は容器本体60内の位置に圧入されるようなサイズであってもよく、ライナー70はそこから意図せず係脱しないように十分ぴったり保持される。あるいは、最初にプラグ55またはライナー70を構成し、硬化させた後、容器本体60をその周囲に構成し、混入ポリマーを含有しないポリマー容器本体60の方が、収縮性が大きいため容器本体60が収縮してプラグ55またはライナー70の周囲に密嵌し、互いに容易に係脱しないようにしてもよい。さらに別の実施形態では、プラグ55またはライナー70のどちらかの形態を取るインサートは、容器本体60と同時に同時成形し、それぞれ、他方と一体に接合されるようにしてもよい。このような同時成形により形成される実施形態では、一緒に成形される2相の液体材料または溶融材料の適切で望ましい配置が容易になるように、混入ポリマー10インサートの粘度と容器本体60の粘度はほぼ等しくてもよい。
【0044】
さらに別の実施形態では、本発明の混入ポリマー10を使用して、別のシート80と接合される混入ポリマーシート75を形成してもよい。シート80が実質的にガス不透過性の外層を形成し得るように、シート75、80を互いに効果的に積層する。次いで、シート75、80のラミネートを使用して、制御された環境で貯蔵されなければならない物品を包装してもよい。シート75、80は、例えば、熱押出により接合することができる。
【0045】
本発明の混入ポリマー10の製造方法は、ベースポリマー25とチャネル形成剤35をブレンドする工程を含む。チャネル形成剤35の添加前または添加後に、活性物質30をベースポリマー25にブレンドする。3種の成分は全て、混入ポリマー10混合物中に均一に分布する。
【0046】
本発明の混入ポリマー10の実施形態は、次のように形成してもよい:
a.ベースポリマー25がその融点より高温になり、溶融状態になっているとき、活性物質30とチャネル形成剤35をベースポリマー25に添加する。この時点で、チャネル形成剤35もその融点より高温になり、溶融状態になっていてもよい。
b.溶融ベースポリマー25と、活性物質30と、チャネル形成剤35をブレンドし、均一になるまで十分混合する。
【0047】
本発明の混入ポリマー10の他の実施形態は、次のように形成してもよい:
a.ベースポリマー25がその融点に達し、溶融状態になる前に、活性物質30とチャネル形成剤35をベースポリマー25に添加する。この時点で、チャネル形成剤35はその融点に達する前の溶融前状態になっていてもよい。この時点で、活性物質30と、チャネル形成剤35と、ベースポリマー35との混合物は粉末であってもよい。
b.ベースポリマー25と、活性物質30と、チャネル形成剤35をブレンドし、均一になるまで十分混合する。
c.混合物がチャネル形成剤35とベースポリマー25の一方または両方の融点に達し、溶融状態になるまで、混合物を加熱する。
【0048】
本発明の混入ポリマーの他の実施形態は、次のように形成してもよい:
a.ベースポリマー25がその融点より高温になり、溶融状態になっているとき、チャネル形成剤35とベースポリマー25を混合する。チャネル形成剤35もその融点より高温になり、溶融状態になっていてもよい。
b.次いで、活性物質30をチャネル形成剤35とベースポリマー25との混合物に添加する。
c.溶融ベースポリマー25と、活性物質30と、チャネル形成剤35をブレンドし、均一になるまで十分混合する。
【0049】
本発明の混入ポリマー10の他の実施形態は、次のように形成してもよい:
a.ベースポリマー25がその融点に達し、溶融状態になる前に、チャネル形成剤35とベースポリマー25を混合する。この時点で、チャネル形成剤35は、その融点に達する前の溶融前状態になっていてもよい。
b.次いで、活性物質30をチャネル形成剤35とベースポリマー25との混合物に添加する。
c.ベースポリマー25と、活性物質30と、チャネル形成剤35をブレンドし、均一になるまで十分混合する。
d.混合物がベースポリマー25とチャネル形成剤35の一方または両方の融点に達し、溶融状態になるまで、混合物を加熱する。
【0050】
本発明の混入ポリマーの他の実施形態は、次のように形成することができる:
a.ベースポリマーの融点より高温の溶融状態、またはベースポリマーの融点に達する前の溶融前状態のいずれかで、チャネル形成剤35とベースポリマー25をブレンドする。
b.溶融前状態でブレンドした場合、混合物をベースポリマーの融点より高温で加熱する。
c.混合物を冷却して凝固させる。
d.活性物質を含有する溶液に混合物を浸漬する。
【0051】
前述の実施例では、活性物質30をベースポリマー25と活性物質35との組成物に取り込み、ベースポリマー25と、チャネル形成剤35と、活性物質30を含む3相以上からなるモノリシック組成物を形成する。本発明の目的では、浸漬には、液浸、コーティング、または活性物質30がベースポリマー25とチャネル形成剤35との組成物に取り込まれることになる他の方法が含まれることを理解されたい。この実施形態は、感熱性の、従って、処理中にチャネル形成剤35を溶融するのに必要な温度に耐えることができない可能性がある材料に好適な可能性がある。このような高温には、例えば、工程d中に行われ得る押出中に受ける温度を挙げることができる。そのため、活性物質30を押出後に添加し、このようにして、活性物質30に悪影響を及ぼし得る高い押出温度に曝されないようにしてもよい。この実施形態の別の実施例は、活性物質30の溶液の製造に関する。一実施形態では、活性物質30の水溶液を製造する。
【0052】
十分ブレンドし、前述のように処理した後、混入ポリマー30を冷却し、プラグ55またはライナー70などの成形品に形成してもよく、チャネル形成剤35は、透過連通路の役割を果たす相互接続チャネルを形成し、水分、酸素または臭気などの選択された物質が、混入ポリマー30をそのチャネルを通って活性物質30とその外部との間を透過する。混入ポリマー30はモノリシックであり、ベースポリマー25と、活性物質30と、チャネル形成剤35が3相系を形成してもよい。
【0053】
幾つかの実施形態では、成分をまずHENSCHELミキサーなどのミキサーで乾式混合した後、コンパウンダーに供給する。例えば、LEISTRITZ二軸押出機、またはWERNER PFLEIDERミキサーを使用して、約140C〜約170Cで十分な溶融混合を達成することができる。次いで、溶融物を押し出して、例えば、フィルムを形成してもよく、または振動コンベヤ上で乾燥空気冷却を用いてペレットに変換してもよい。チャネルを含むペレットを形成する場合、それらを、例えば、ビーズ、シーブに射出成形しても、または容器の内層としてポリプロピレンと共射出成形してもよい。
【0054】
本発明の一実施形態では、ベースポリマー25はポリプロピレン無水マレイン酸などの水不溶性ポリマーであってもよく、それを、活性物質30なしでチャネル形成剤35と混合してもよい。この実施形態では、無水マレイン酸により、この組成物は、相互接続チャネルを含む本発明の3相系と同様の特性を示すことができる。別の実施形態では、活性物質をこの段落に記載する組成物に添加することもできる。
【0055】
一実施形態では、本発明の混入ポリマー10を製造した後、浸出などの従来の手段でチャネル形成剤35の一部または全部を除去することができる。この場合、得られる混入ポリマー10は比較的多量の所望の物質を透過させ得ることがある。あるいは、この場合、得られる混入ポリマー10を、所望の物質を含有する溶液に浸漬し、前述のようにさらに処理してもよい。
【0056】
幾つかの実施形態では、本発明の混入ポリマー10を使用して、バリア物質で構成された容器61内に内装されるプラグ55を形成する。他の実施形態では、本発明の混入ポリマー10を使用して、バリア物質から構成された容器61内に内装されるライナー70を形成する。他の実施形態では、本発明の混入ポリマー10を使用して、吸収シート75を形成する。場合により、吸収シート75を、包装用ラップとして使用されるバリア物質で構成されたバリアシート80と組み合わせることができる。他の実施形態では、本発明の混入ポリマー10を使用して、容器61用の活性インサート20を形成する。
【0057】
図1を参照すると、本発明の混入ポリマーから構成されたインサート20が示されている。インサート20は、容器本体60の中に置かれ、それにより活性容器61を形成し得るプラグ55の形態である(
図5)。容器本体60は、選択された物質がそれを透過できないようにするバリア物質、例えば、ガス不透過性材料または不透湿性材料で構成することができる。このような一実施形態では、選択された物質は、容器61内の製品容器と接触することが望ましくない物質であってもよく、活性物質は吸収剤であってもよい。バリア物質容器と活性プラグを組み合わせると、容器60内の選択された物質の量が最小限に抑えられる。別の実施形態では、選択された物質は、放出材である活性物質により放出される物質であり、容器本体はバリア物質で形成され、活性物質により放出される選択された物質を容器内に閉じ込めるのに役立つ。
【0058】
プラグの少なくとも一部が容器の内部に露出するように、プラグ55の周囲に前述のバリア物質で形成される容器などの本発明の容器を成形することができる。別の実施形態では、プラグの少なくとも一部が容器の内部に露出するように、プラグ55を容器本体60と同時成形する。
【0059】
図2を参照すると、活性物質30および親水剤35と均一にブレンドされたベースポリマー25を含む混入ポリマー10から構成されたプラグ55の断面図が示されている。
図2の図では、本発明の混入ポリマーは、相互接続チャネル45が混入ポリマー10全体に形成され、凝固したプラグ55全体に通路が形成されるように凝固されている。
図1と
図2の両方から分かるように、通路の終端はプラグ55の外面のチャネル開口部48にある。
【0060】
図3は、構成および組成が
図2のプラグ55に類似しているプラグ55の実施形態を示し、相互接続チャネル45は
図2のものと比較して非常に微細である。これは、ダイマー剤(即ち、可塑剤)をチャネル形成剤35一緒に使用することにより得られる。ダイマー剤は、ベースポリマー25とチャネル形成剤35との相溶性を向上させることができる。この相溶性の向上はブレンドの粘度低下により助長され、それにより、通常の条件下では均一な溶液に混合し難いことがあるベースポリマー25とチャネル形成剤35とのより十分なブレンドを促進することができる。ダイマー剤が添加された混入ポリマー10が凝固すると、その中に形成された相互接続チャネル45は分散が比較的大きく、空隙率が比較的小さいため、プラグ55全体にわたる相互接続チャネルの密度が大きくなる。
【0061】
本明細書に開示されるものなどの相互接続チャネル45は、水分、気体または臭気などの所望の物質が一般に透過し難い、従ってそれらに対するバリアの役割を果たすベースポリマー25を、これらの物質が透過することを容易にする。このため、中に活性物質30が混入され得るベースポリマー25自体は、バリア物質の役割を果たす。チャネル形成剤35で形成された相互接続チャネル45は、所望の物質が混入ポリマー10を通って移動する通路を提供する。これらの相互接続チャネル45がない場合、比較的少量の所望の物質がベースポリマー25を通って活性物質30にまたは活性物質30から透過すると考えられる。所望の物質が活性物質30に透過する場合、例えば、活性物質30が乾燥剤または酸素吸収剤などの活性物質である実施形態では、それは活性物質30により吸収されてもよい。所望の物質が活性物質30から透過する場合、例えば、活性物質30が芳香剤放出材または気体放出材などの放出材である実施形態では、それは活性物質30から放出されてもよい。
【0062】
図4は、容器本体60の中に置かれ、それにより活性容器61を形成するプラグ55の本発明の一実施形態を示す。容器本体60は内面65を有し、プラグ55はそれに貼着されており、プラグ55は実質的に本発明の混入ポリマー10から構成される。容器本体60は、混入ポリマー10の相互接続チャネル48により透過される物質を実質的に透過させないポリマーまたは他の材料で形成されてもよい。例えば、容器本体60を、混入ポリマー10のベースポリマー25に使用したものと同じ材料で形成することができる。このようにして、容器61を閉じると、透過物質が容器61の壁を透過し難くなる。
図4に見られるように、プラグ55は容器61の底部領域に圧入されている。容器61内に緩く収容されるようにプラグ55を単に置くだけにするか、またはプラグ55が容器61に固定されるようにプラグ55を容器61の本体に結合させることも考えられる。プラグ55と容器61との結合は、容器61内でプラグ55の位置が変わり、プラグ55が相対的に移動することを防止するようにする。この連結は、プラグ55を容器本体60の内面65にぴったり圧入すること、または、プラグ55が所定の位置に保持されるようにプラグ55の周囲に延びる接着剤、プロング、リップ、または隆起部などの機械的連結により達成されてもよい。さらに別の実施形態では、容器本体60の硬化工程で、容器本体60がプラグ55の周囲で収縮し、それにより2つの構成要素間が収縮嵌合されるように、容器本体60をプラグ55の周囲に成形することが考えられる。このような結合は同時成形法、または逐次成形法で達成することもでき、この工程で、プラグ55は、ポリマー25で構成される容器本体60より収縮率が小さい。
【0063】
図5は、プラグ55が容器60の底部位置に配置されるように形成された、本発明の混入ポリマーを有する活性容器61を示し、これは
図4に示す構成と類似しているが、プラグ55と容器本体60は同時成形されており、そのため、一体形成された本体61の構成要素であるプラグ55と容器本体60との境界面が比較的不明瞭になっている点が異なる。
【0064】
図6は
図4および5のものと類似の概念を示すが、プラグ55の割合を大きくし、被覆する乾燥容器61の内面65の部分が比較的大きくなるようにライナー70を形成している。ライナー70は容器本体60の底部部分に局在化するのではなく、上方に延び、容器61の壁部分を被覆する壁を有する。このような一実施形態では、容器本体60は、前述のバリア物質で形成することができる。前述のように、容器本体60をプラグライナー70の周囲に成形してもよく、またはライナー70と容器本体60を同時成形してもよい。
【0065】
別の実施形態では、ライナー70を混入ポリマー10から形成した後、バリア物質から構成される容器60内に内装してもよい。ライナー70は、通常、容器60の内面65と嵌め合い係合するように構成された外面を有するが、必ずしもそのようになっているわけではない。容器61の内面65の少なくとも大部分がライナー70により被覆されている容器61が形成されるように、ライナー70を容器60と嵌め合い係合するように圧入してもよい。ライナー70の少なくとも一部が容器60の内部に露出し、容器60の内面65の大部分がライナー70により被覆されるように、ライナー70を混入ポリマーから形成した後、バリア物質から構成される容器60をライナー70の周囲に成形してもよい。
【0066】
図7および
図8は、本発明の混入ポリマー10で形成された活性シート75をバリアシート80と組み合わせて使用する本発明の実施形態を示す。活性シート75の特性は、プラグ55およびライナー70および容器本体60に関して記載されているものと類似しているが、バリアシート80の特性は前述の容器本体60の特性と類似していてもよい。具体的には、
図7は、2枚のシート75、80を別々に成形した後、組み合わせて、混入ポリマー10活性シート75で形成された内面に活性を有し、バリアシート80で形成された外面に耐蒸気性を有する包装用ラップを形成する一実施形態を示す。
【0067】
図8は同時成形された構成を示し、この構成では活性シート75とバリアシート80との境界面が
図7の実施形態より不明瞭である。この製品は、熱形成法により製造することができる。このような方法では、バリアシート80層を溶融してシートに部分的に形成し、加圧する直前に、または熱形成機内のスリット状の開口部を通して押し出す直前にバリアシート80の上に活性シート75を堆積させる。
【0068】
図7および
図8に示すものなどのラミネート構造は、例えば、バリアシート80を活性シート75と共に吸引真空成形することにより、形成することもできる。
【0069】
図7の別個のシート75、80を接着剤または他の好適な手段で接合し、複数のシート75、80からラミネートを形成することも考えられる。あるいは、シート75、80は熱押出法で製造することもでき、この方法ではシート75、80の両方を同時に製造し、効果的に同時成形して、
図8に示す実施形態を形成する。
【0070】
一実施形態では、
図7または
図8のシートを接合し、
図9に示す活性包装材85を形成する。図示するように、それぞれ活性シート75とバリアシート80を接合して形成された2つのラミネートを提供する。活性シート75が互いに対向し、包装材の内部に配置されるようにしてこれらのシートラミネートを積み重ね、包装材内部の被封止部の周囲に形成される封止部90で接合する。シートは、接着剤、ヒートシール、または当該技術分野で既知の他の手段により貼着されてもよい。
【0071】
次の具体的な実施例で、本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は例証として記載され、開示または特許請求の範囲を限定するものではないことを理解されたい。例えば、特定の相対湿度および温度値を記載することがあるが、本発明の混入ポリマーは他の条件にも適している。さらに、これらの実施例は、本発明が相互接続チャネルを有し、チャネル形成剤が相互接続チャネル内にあることをさらに説明することを目的としている。実施例または本明細書中の他の箇所のパーセンテージは全て、特記しない限り、重量パーセンテージである。
【実施例】
【0072】
実施例1
次の実施例の目的は、次の材料で製造したフィルムの水分吸着試験を行うことにより、本発明の混入ポリマーが相互接続チャネルを有することを実証することである。
【0073】
次の試料を作製した:
【0074】
【表1】
【0075】
前述の各試料で、孔径4Åのモレキュラーシーブを活性物質として使用した。モレキュラーシーブは水分および気体の吸収材であり、吸収材は、下記の材料の場合、材料中に形成されたチャネルを通って透過する水分または気体を吸収する。各試料は、活性物質を69%含有する。
【0076】
試料1、2、3および4はそれぞれ、チャネル形成剤を5%含有する。試料1は、当該技術分野で既知のチャネル形成剤であるポリエチレングリコールであるPEG4,000を含有する。試料2は、当該技術分野で既知のチャネル形成剤であるポリエチレングリコール、PEG20,000を含有する。試料3は、当該技術分野で既知のチャネル形成剤であるLutrolポリエチレンオキサイドを含有する。試料4は、本発明のチャネル形成剤であるプロピレンオキサイド重合体−モノブチルエーテルである、CLARIANT製のPolyglykol B01/240を含有する。試料5は、対照試料であり、チャネル形成剤を含有しない。
【0077】
試料1、2、3および4はそれぞれ、ベースポリマーとして、ポリプロピレンであるBasel HP548Nを24%含有する。試料5は、ベースポリマーとして、ポリプロピレンであるBasel HP548Nを29%含有する。
【0078】
各試料は、Colorant Polyone 3113を2%含有する。
【0079】
吸湿試験
手順
次の手順を用いて、各試料の水分吸着試験を行った:
a.試料の初期重量を測定するために、部分品を化学天秤または微量天秤のいずれかで正確に秤量した。
b.22Cおよび相対湿度80%に設定した人工気候室に試料を入れ、経時的に水分を吸収させた。
c.三(3)日間続けて重量増加が測定されなくなるまで、毎日、試料を再秤量した。毎日重量を記録し、下記に示す結果グラフを作成した。
【0080】
結果
吸湿試験の結果を表1に要約する。
【0081】
【表2】
【0082】
考察
表1に示すように、本発明のチャネル形成剤を含む試料4は、既知のチャネル形成剤を用いたこと以外は同じ組成を有する他の試料と比較して、試験の最初の100時間は水分吸着能力が大きい。100時間後、試料4の水分吸着は遅くなった後、横ばいになるが、試験の250時間後の試料4の全吸湿量は、既知のチャネル形成剤を用いた試料のものと同等である。従って、プロピレンオキサイド重合体−モノブチルエーテルは、少なくとも、当該技術分野で既知のポリエチレングリコールおよびポリエチレンオキサイドと同じくらい効果的なチャネル形成剤であると考えられる。チャネル形成剤を有する全試料の吸収および容量は、対照試料5のものよりかなり大きく、チャネル形成剤が吸湿の促進に効果的であることを示す。吸収性の向上は、水分がチャネル形成剤によって形成されたチャネルを通って透過することに起因し、チャネルはベースポリマーを貫通し、活性物質、この場合はモレキュラーシーブ乾燥剤、を試料の外部と接続すると考えられる。
【0083】
抽出性試験
手順
抽出性試験は、米国薬局方スタンダード661に準拠して行った。
【0084】
結果
抽出性試験の結果を表2に要約する。
【0085】
【表3】
【0086】
考察
表2に示すように、本発明のチャネル形成剤を含む試料4のUSP 661抽出性試験により判明した重量減少値は、試料2および試料3のものよりかなり低く、試料4では抽出可能なレベルがずっと低いことを示している。考えられる説明の1つは、試料2および試料3に使用した既知のチャネル形成剤が親水性であるということである。対照的に、プロピレンオキサイド重合体−モノブチルエーテルは親水性ではなく、従って、水分に曝されても、混入ポリマーから抽出されにくい。試料4の試験で生じる0.00805gの重量減少は、この配合物に使用される活性物質であるモレキュラーシーブの減少に起因し得ると考えられる。従って、抽出不可能な活性物質を試料4のチャネル形成剤に使用すると、抽出物を含まない配合物が得られる可能性がある。
【0087】
従って、一態様では、本発明は、基準チャネル形成剤を本チャネル形成剤のものと実質的に同等の重量パーセンテージで有する基準混入ポリマーよりも、抽出物がかなり少なくなる(場合により1.5倍以上少なくなる、場合により2倍以上少なくなる、場合により2.5倍以上少なくなる、場合により3倍以上少なくなる、場合により1.5倍〜3倍少なくなる、場合により2倍〜3倍少なくなる)混入ポリマーに関し、ここで、基準チャネル形成剤は、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、およびポリエチレングリコールとポリエチレンオキサイドとの組み合わせからなる群から選択される。
【0088】
モノリシック組成物およびそれらの構成要素となる化合物について本明細書に記載してきた。前述のように、本発明の詳細な実施形態を本明細書で開示しているが、開示された実施形態は、本発明を例示するに過ぎず、それらは様々な形態で具体化され得ることを理解されたい。当業者には多くの変更および他の変形が分かり、それらは下記で特許請求する本発明の対象範囲に入り、本発明の教示、精神、および対象範囲から逸脱するものではないことが分かるであろう。