特許第6573616号(P6573616)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6573616-化粧用レーザプリンタ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6573616
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】化粧用レーザプリンタ
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/22 20060101AFI20190902BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20190902BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20190902BHJP
   G03G 9/08 20060101ALI20190902BHJP
   G03G 9/09 20060101ALI20190902BHJP
   G03G 9/097 20060101ALI20190902BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   G03G15/22 103Z
   A61K8/02
   A61Q1/12
   G03G9/08 391
   G03G9/09
   G03G9/097 344
   G03G15/01 Z
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-543073(P2016-543073)
(86)(22)【出願日】2014年12月19日
(65)【公表番号】特表2017-513033(P2017-513033A)
(43)【公表日】2017年5月25日
(86)【国際出願番号】IB2014067137
(87)【国際公開番号】WO2015097619
(87)【国際公開日】20150702
【審査請求日】2017年11月2日
(31)【優先権主張番号】1363634
(32)【優先日】2013年12月27日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】フランク・ジロン
(72)【発明者】
【氏名】アンリ・サマン
【審査官】 飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−002869(JP,A)
【文献】 特開2013−031504(JP,A)
【文献】 特開2010−186133(JP,A)
【文献】 特開2002−148998(JP,A)
【文献】 特開2001−245945(JP,A)
【文献】 特開昭63−188616(JP,A)
【文献】 特開平11−007203(JP,A)
【文献】 特開2005−088434(JP,A)
【文献】 特開平04−208997(JP,A)
【文献】 特開2002−058528(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0020422(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/22
A61K 8/02
A61Q 1/12
G03G 9/08
G03G 9/09
G03G 9/097
G03G 15/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトケラチン物質をメイクアップするためのプロセスであって、
ヒトケラチン物質に施与される化粧用の組成物を支持する支持体(2)を準備するステップであって、前記組成物を前記支持体(2)にレーザプリンタを用いて施与することにあるステップと、
前記支持体(2)上に存在する粉末状組成物を前記ヒトケラチン物質に施与することにあるステップであって、前記組成物の前記施与が、転写によって、または前記支持体(2)上の前記組成物をアプリケータを用いて移動させることによって行われるステップと、を含み、
前記レーザプリンタは、
粉末状化粧用組成物を含む化粧用トナーのカートリッジを備えること、電子写真法または磁気写真法による、前記化粧用のトナーから開始する前記支持体(2)上への画像の形成を可能にするように配置されること、および前記支持体(2)上に存在する前記トナーを、粉末状態であってヒトケラチン物質との接触によるその移動またはその転写を可能にするのに十分なほど自由な状態で供給するように構成されることを特徴とする、化粧用物品(1)を製作するためのレーザプリンタであって、
前記レーザプリンタは、前記レーザプリンタのドラム上に堆積された前記トナーを、シート状またはローラ状の基体に転写するように配置され、
前記レーザプリンタは、前記トナーを溶融させるための定着器を有しておらず、または非活動化された、もしくは非活動化可能な定着器を有する、レーザプリンタである、プロセス。
【請求項2】
前記支持体の前記準備の前の、メイクアップしようとするエリアの画像の取得と、このように取得された前記画像に応じてパターン(4)を印刷することにあるステップとを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記レーザプリンタは、ソフトウェア手段によって、前記トナーを溶融させるための定着器を非活動化することを可能にするように構成される、請求項1または2に記載のプロセス
【請求項4】
前記レーザプリンタは、化粧用トナーカートリッジの存在を認識し、印刷が1つまたは複数の化粧用トナーカートリッジから行われるときに定着器を非活動化させるように、かつ/または前記定着器の温度を前記トナーの性質に適合させるように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載のプロセス
【請求項5】
前記レーザプリンタは、化粧用トナーのいくつかのカートリッジ、特に、異なる色のいくつかのカートリッジを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のプロセス
【請求項6】
前記化粧用トナーが、着色剤、電荷制御化合物、および特定の添加充填剤を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のプロセス
【請求項7】
印刷される前記パターン(4)が、色のグラデーションを備える、請求項2に記載のプロセス。
【請求項8】
画面上に表示されたパレットから印刷色を選択することにあるステップを含み、印刷される前記パターン(4)が、転写によって施与される皮膚のきめを再現する、請求項2に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトケラチン物質、特に皮膚、口唇、爪、または毛髪、まつ毛、眉毛などのコーティングされた繊維をメイクアップすることに関する。
【0002】
本発明は、詳細には、それに限定されないが、転写によるメイクアップ施与に関する。
【背景技術】
【0003】
個人化されたメイクアップを施与できることに関心が寄せられている。個人化は、ユーザがたとえば皮膚の色に正確に一致させようとするメイクアップ組成物の色、またはユーザが皮膚に転写したいと望むパターンに関係し得る。
【0004】
インクジェットプリンタヘッドを用い適切なデバイスを用いて、製造物を直接皮膚上に堆積させることが企図されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国出願第2006/0093943 A1号
【特許文献2】EP 2 090 935 A1
【特許文献3】WO 2007/134171
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、要望に応じて複雑なパターンを製作することのできる可能性を維持しながら、化粧用組成物をヒトケラチン物質上に堆積させることを可能にする、他の解決策を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、その態様のうちの第1の態様によれば、電子写真法または磁気写真法による、少なくとも1種の化粧用トナーから開始する支持体上への画像の形成を可能にするように配置されること、および支持体上に存在するトナーを、ヒトケラチン物質との接触によるその移動またはその転写を可能にするのに十分なほど自由な状態で供給するように構成されることを特徴とする、化粧用物品を製作するためのレーザプリンタに関する。
【0008】
好ましくは、プリンタは、前記トナーを溶融させるための定着器を有しておらず、または非活動化された、もしくは非活動化可能な定着器を有する。
【0009】
「化粧用トナー」という用語は、レーザプリンタで使用される電子写真または磁気写真プロセスを通じた画像の形成と適合性のある、粉末状化粧用組成物を意味するものとして理解されたい。好ましくは、化粧用トナーは、電子写真用途に適したトナーである。
【0010】
トナーは、ヒトケラチン物質への施与と適合性があるという意味において、化粧用である。メイクアップしようとする表面に応じて、トナーの配合は異なっていてよい。たとえば、毛髪または爪への施与の場合、口唇への施与に使用されない可能性のある、ある特定の化合物、たとえば粘膜を傷つける恐れのある角状微小面付き顔料(angular microfacetted pigment)を使用することが可能である。
【0011】
本発明は、プリンタに送られる画像ファイルに応じた、要求に応じて個人化することのできる高精度のパターンに従って、化粧用組成物を支持体上に静電的または磁気的に堆積させることを可能にする。
【0012】
本発明は、必要に応じて、ユーザがパターンをその転写後に、たとえばその輪郭を和らげるために、かつメイクアップしていないエリアとの境界を滑らかにするために、手直しできるようにすることができる。
【0013】
本発明は、ユーザがパターンを印刷直後に転写しようとしていようが、デバイスをより長期間またはより短期間保管した後に転写しようとしていようが、溶媒を追加することなく単純な接触によって転写メイクアップ施与するのに適した、メイクアップデバイスを得ることを可能にする。
【0014】
本発明は、メイクアップデバイスについて、特にコントラストおよび精度の点から、レーザ印刷技術の性能を利用することを可能にする。
【0015】
プリンタは、カラーレーザプリンタでもよく、モノクロレーザプリンタでもよい。
【0016】
化粧用トナーは、カートリッジリザーバ内に収容することができる。好ましくは、このカートリッジは、トナーを交換できるように取り外し可能である。カートリッジは、トナーをドラムへのその転写前に計量および均質化するための機構と、オプションで、潜像形成後のドラム上の過剰なトナーを回収するためのリザーバも備える、アセンブリに属することができる。
【0017】
好ましくは、プリンタは、いくつかの化粧用トナーカートリッジ、特に、異なる色のいくつかのカートリッジ、または支持体上への複数の組成物の堆積を可能にする複数の区画のある1つのカートリッジを使用する。
【0018】
いく種類かのトナーを使用すると、一方では、パターンを所望の色で印刷し、したがって、支持体をユーザが選択した色の組成物で、次いでケラチン物質にそれを移動させ、またはそれを転写する目的で被覆することのできる可能性を、ユーザに提供することが可能になる。他方では、ユーザは、高解像度の複雑で高精度の画像を製作し、それをケラチン物質に転写できるようになる。
【0019】
プリンタは、トナーを溶融させるための定着器が存在するときには、ソフトウェア手段によって定着器を非活動化することを可能にするように構成することができる。このことが、プリンタを、たとえば用紙上に印刷するためにトナーの溶融をそれが化粧用トナーではない場合に行う従来の使用に対して、適合性のあるものにすることができる。一変形形態として、プリンタは、トナーを溶融させるための定着器なしで製造される。別の変形形態として、プリンタは定着器を有するが、定着器は物理的手段によって非活動化される。
【0020】
詳細には、定着器をソフトウェア手段によって非活動化させることができるとき、プリンタは、化粧用トナーカートリッジの存在を認識し、印刷が1つまたは複数の化粧用トナーカートリッジから行われるときに定着器を非活動化させるように構成することができる。
【0021】
プリンタが非活動化可能な定着器を有するとき、支持体上に堆積されたトナー層と、組成物の上を擦って、製作されたパターンに影響を及ぼす恐れのある1つまたは複数のローラとの接触を妨げるための仕組みを、プリンタに組み込むことができる。したがって、トナー定着器ローラを、トナー層で被覆した支持体から十分離れた配置で導入することができる。
【0022】
プリンタが定着器を有していないとき、印刷パターンに損傷を与えないようにするために、プリンタを、支持体上に堆積されたトナー層とプリンタの一部とのいかなる接触も妨げるように配置することもできる。
【0023】
プリンタは、トナーの粘着力は強めるが、移動または転写することのできるその能力をトナーが実際に失うことのないようにトナーのわずかな溶融を生じさせる、定着器を備えることができる。必要に応じて、この場合プリンタを、化粧用トナーカートリッジの存在を認識し、定着器の温度を、次いで転写によってトナーを移動させる、またはそれを施与することのできる可能性を失わないようにするために、トナーの性質に適合させるように配置することができる。
【0024】
化粧用トナーカートリッジは、トナー内で使用するのに適したサイズを有し、かつ化粧用途と適合性のある着色粒子を備えた、粉末状組成物を収容することができる。
【0025】
プリンタは、プリンタのドラム上に堆積されたトナーを、シート状の、かつ/または転写ローラによって支持される、基体から成る支持体に転写するように配置することができる。この場合、潜像が転写されるとき、転写ローラを回転させることができる。
【0026】
基体および転写面
一実施形態例では、本発明で使用する基体は、少なくとも1つの半透明または透明エリアを備える。
【0027】
半透明または透明エリアは、化粧用トナーを転写する前のメイクアップおよび/または処理される表面を、ユーザが基体を通して見ること、したがって、より容易に視覚化することを可能にする。したがって、半透明または透明エリアの存在は、有利には、ケラチン物質上に高精度のメイクアップ成果を生み出すことを容易にする一助となる。
【0028】
基体の半透明または透明エリアは、全体的または部分的に、化粧用トナーの層と重ねることができ、特に、それと一部重なり合っていてよい。
【0029】
化粧用トナーの層は、その全体を、基体の半透明または透明エリア上に重ねることができる。一変形形態として、化粧用トナーの層の一部だけが、基体の透明エリア上に重ねられる。
【0030】
基体は、透明または半透明材料製とすることができる。この場合、半透明または透明エリアは、基体の表面全体にわたって広がる。
【0031】
一変形形態として、基体は、その表面のすべてまたは一部にわたって不透明である。
【0032】
基体は、シート状の材料、特に透明材料を備えることができる。
【0033】
基体は、可撓性シートでもよく、剛性プレートでもよい。基体は、プラスチック(たとえばポリエチレンまたはポリスチレン)製とすることができる。
【0034】
基体は、優先的には、非吸収材料、たとえばプラスチックフィルムに基づく。基体は、有利には、少なくとも印刷を受けようとする面上で非多孔性である。
【0035】
転写面は、平坦でもよく、平坦でなくてもよい。
【0036】
基体の転写面は、アプリケータローラの外面、アプリケータパッドの表面、シート状の要素、パッチ、多孔性発泡体、特にスポンジもしくはワイプ(wipe)の表面、粗ブラシ、細ブラシ、または植毛チップ(flocked tip)のうちの、すべてまたは一部によって定義することができる。
【0037】
アプリケータローラは、まっすぐな円筒の形状を有することができる。一変形形態では、ローラは、でこぼこした円筒の形状、たとえば、アワーグラスの形状を有する。
【0038】
一変形形態では、ローラは「プレモールド型」であり、すなわち、メイクアップしようとするエリアの一般的な形状、たとえば、口唇の、眼窩の、足首の、または前腕の凹み(negative)に対応する、初期の非平坦形状を有する。
【0039】
一変形形態では、基体は、転写時に、メイクアップしようとするエリアの起伏を転写面が写し取るように、メイクアップしようとするエリアのインプリント(imprint)に押し付けられる。
【0040】
転写面は、たとえば、アプリケータローラまたはパッドの表面上に取り付けられた変形可能シートの表面のすべてまたは一部によって定義される。
【0041】
転写面は、弾性的に変形可能である。したがって、第1の構成では、転写面は平坦とすることができ、第2の構成では、転写面は曲面状とすることができる。
【0042】
一変形形態では、基体は、転写面が、印刷の間はたとえば実質的に平坦な第1の形状をとり、トナーをケラチン物質に施与する間は、第1のものとは異なる第2の形状をとるように構成される。第2の形状は、有利には、トナーで被覆しようとするケラチン物質の表面の形状、たとえば爪の形状、または顔の一部の形状に対応する。
【0043】
基体は、優先的には、非吸収材料、たとえばプラスチックフィルムに基づく。基体は、有利には、少なくとも印刷を受けようとする面上で非多孔性である。
【0044】
一実施形態例では、トナーを頬および/または爪に施与しようとするとき、基体は、1mm以上の、特に3mmの、たとえば1〜5mmの範囲の厚さを有することができる。
【0045】
一実施形態例では、トナーを目の周りのエリアに、かつ/または口唇に施与しようとするとき、基体は、3mm以上の、特に1cmの、たとえば3mm〜20mmの範囲の厚さを有することができる。
【0046】
一実施形態例では、トナーを鼻に、かつ/または耳のエリア内に施与しようとするとき、基体は、1cm以上の、特に3cmの、たとえば1〜4cmの範囲の厚さを有することができる。
【0047】
したがって、基体は、有利には、メイクアップしようとするケラチン物質のエリアに適合された厚さを有する。
【0048】
基体の厚さは、転写面に対して垂直に測定したその最大寸法に対応する。
【0049】
基体は、可変な厚さを有することができる。
【0050】
基体は、プレモールド型とすることができる。
【0051】
一実施形態例では、基体は、印刷された指示を備える。指示は、たとえば、トナーでメイクアップしようとするケラチン物質の性質について明記し、または「裏側を上にして」基体上に堆積されたパターンを、一定の比率で、比率を拡大して、比率を縮小して、もしくは比率を別様にして、「表側を上にして」示す。
【0052】
一実施形態例では、転写面が、基体の一部から分離可能である。
【0053】
基体は再利用可能とすることができる。
【0054】
たとえば、転写のためにアクセス可能であるが、プリンタから離れない基体上に、印刷が実施される。したがって、使用後に、プリンタは基体を再度組み込み、基体をクリーニングし、新たな印刷のために基体を準備することができる。組成物が上に堆積される支持体がローラであるとき、組成物をケラチン物質に、ローラをたとえば皮膚に接触させて転がすことによって転写することにより施与するために、次いでローラをプリンタから取り外すことができる。このローラは、その扱いを容易にする把持部にしっかりと取り付けることができる。
【0055】
本発明の別の主題は、化粧用トナーを収容するケースを備え、ケースが、本発明によるプリンタ内部に受領されるように設計されることを特徴とする、化粧用トナーのカートリッジである。
【0056】
本発明の別の主題は、化粧用トナーである。このトナーは、着色剤に加えて、電荷制御化合物、特定の添加充填剤、潤滑剤、ワックス、および/またはバインダを含むことができる。好ましくは、トナーの粒子は、1〜16μmの平均サイズD50を有する。
【0057】
本発明の別の主題は、ヒトケラチン物質に施与される化粧用組成物を支持する支持体を準備するためのプロセスであって、前記組成物を支持体に、本発明によるレーザプリンタを用いて施与することにある(consist in)ステップを含む、プロセスである。
【0058】
準備プロセスは、処理しようとする領域に応じて、印刷されるパターンを選択することにあるステップを含むことができる。
【0059】
印刷されるパターンは、色のグラデーションを備えることができる。一変形形態として、印刷されるパターンは、平板な色調(flat tint)の形態をとる。
【0060】
このプロセスは、画面上に表示されたパレットから印刷色を選択することにあるステップを含むことができる。
【0061】
印刷されるパターンは、転写によって施与される、メイクアップ用の任意の使用パターン、たとえば皮膚のきめを真似るパターンを、再現することができる。
【0062】
印刷は、幾何学的矯正ルールに従うこともできる。転写面が変形可能である限りにおいて、施与の間、パターンが幾何学的に変形する(たとえば、2つの次元のうちの一方の広がり)。結果として、パターンは、施与後にパターンが所望の大きさであるように、幾何学的変形(この場合、変形可能な次元に沿った縮小)を伴って印刷される。一般的であれ特定的であれ、幾何学的ルールを、転写面上に印刷されるパターンに適用し、それによりパターンが、処理しようとするケラチン物質のエリア上への転写後に所望の形状を有するようにすることができる。そのような矯正ルールの使用は、後に見られるように、特にインプリントに一致するように起伏を帯びた転写面を有する基体の場合に、特に有利である。処理しようとするエリアおよび/または所望のパターンに適合された特定の幾何学的ルールを特に使用することができる。
【0063】
本発明の別の主題は、ヒトケラチン物質をメイクアップするためのプロセスであって、上で定義した本発明による準備プロセスを用いることによって支持体を準備し、次いで、支持体上に存在する組成物を前記ヒトケラチン物質、たとえば皮膚、口唇、まつ毛もしくは眉毛、毛髪、または爪に施与することにあるステップを含む、プロセスである。
【0064】
メイクアップするためのプロセスは、好ましくは、組成物で被覆した支持体を、前記ヒトケラチン物質に適用することによって転写することによる、組成物の施与を含む。
【0065】
施与は、一変形形態として、支持体上の組成物を、アプリケータ、たとえば植毛チップ、スポンジ、または発泡体を用いて移動させることによって行われてもよい。
【0066】
メイクアップするためのプロセスは、支持体の準備の前の、メイクアップしようとするエリアの画像の取得と、このように取得された画像に応じてパターンを印刷することにあるステップとを含むことができる。これにより、たとえば、パターンの輪郭を、メイクアップしようとするエリアの起伏に、かつ/または色に適合させることが可能になる。
【0067】
トナーをケラチン物質に転写した後、ケラチン物質を、特に噴霧によって堆積される保護被覆のトナーで被覆することができる。保護被覆のトナーは、無色樹脂とすることができる。
【0068】
本発明の別の主題は、化粧用組成物をパッケージングおよび施与するためのデバイスであって、好ましくはパターンを形成する化粧用トナーで被覆した支持体、特に本発明によるプリンタを用いて化粧用組成物が上に堆積された支持体を備えるデバイスである。支持体上に存在するパターンは、多色とすることができ、たとえばグラデーションに対応することができる。
【0069】
本発明の別の主題は、予め定義されたパターンに従って電子写真または磁気写真プロセスによって堆積された化粧用トナーの層を備える支持体である。
【0070】
本発明は、本発明の非限定的な実装形態例についての以下の詳細な説明を読むことから、また添付の図面を検討することから、よりよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1】レーザプリンタ内で行うことのできる電子写真印刷プロセスを概略的に示す図である。
図2】本発明による化粧用組成物で被覆した支持体の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
レーザプリンタ
レーザプリンタの一例が、米国出願第2006/0093943 A1号に開示されている。
【0073】
知られているように、電子写真印刷プロセスを使用するレーザプリンタは、図1に示すように、静電潜像を受け取るために使用される感光体で被覆したドラム10と、レーザで感光体を露光する前に感光体を帯電させるための要素12と、静電潜像をカートリッジ14から取り出されたトナーで現像するための要素13と、現像された画像の転写後にドラムをクリーニングするためのクリーニング要素15とを備える。
【0074】
図1では、次の、ドラム上に静電潜像を形成するレーザイメージャ(laser imager)、または現像された画像を中間転写要素、たとえば閉ループ状を成して回るストリップ上に、この中間要素が1枚の用紙などの支持体と接触する前に転写する仕組み、については示していない。
【0075】
静電像は、広く知られているように、レーザが感光体を照射していないエリアに応じて生み出される。得ようとする画像を再現するために、静電荷の分布に従って、トナー粒子がドラム上に選択的に堆積される。
【0076】
一変形形態では、画像が、感光体およびトナーが磁性である磁気写真法によって形成される。公報、たとえば出願EP 2 090 935 A1の段落[0009]〜[0014]では、このプロセスについて説明している。
【0077】
従来型のレーザプリンタは、熱ローラおよびこの熱ローラの温度を制御するための手段を備えた、定着器も備える。標準的な動作の際には、定着器モジュールが各印刷動作についてオンにされ、トナー粒子のバインダを支持体、たとえば1枚の用紙に溶融させる。
【0078】
本発明によるプリンタ内では、定着器は、なくてもよく、物理的介入によって非活動化されてもよいし、ソフトウェア手段によって非活動化されてもよい。トナーが、移動できかつ転写できるように粉末状のままでいることができるので溶融されてはいないことから、定着器は必要とはならない。
【0079】
一変形形態として、プリンタは定着器を維持するが、支持体上に堆積されたトナーをケラチン物質に施与するために後に移動させる妨げとならないように、溶融温度が選択される。
【0080】
好ましくは、使用されるレーザプリンタは、磁気写真方式によりではなく電子写真方式により動作する。
【0081】
好ましくはまた、レーザプリンタは、モノクロプリンタではなく多色プリンタである。
【0082】
トナー
本発明によるトナーは、化粧用途に適している。したがってこのトナーは、それが施与される領域に対して無毒性である。
【0083】
トナーはすでに、このトナーの配合が化粧料で使用するのに適している場合、従来型のレーザ印刷に使用されている可能性がある。
【0084】
使用することのできる周知のトナーの選択の幅は、たとえば毛髪、まつ毛、または爪へのある一定の施与の場合のほうが、たとえば皮膚または口唇への他の施与の場合よりも広くなり得る。
【0085】
バインダ
トナーは従来からバインダを含み、バインダは、トナーを支持体に定着させるために、溶融の間融解される。
【0086】
本発明によるトナーは、そのようなバインダを含んでいてもよく、含んでいなくてもよく、バインダは、メイクアップ施与のための移動または転写を妨げないように、融解されず、またはごく一部だけ融解される。
【0087】
使用することのできるバインダとして、従来から使用されているものの中で、ヒトケラチン物質への施与と適合性のあるものを挙げることができる。
【0088】
公開WO 2007/134171に開示されたバインダを特に使用することができ、公開WO 2007/134171では、食品用途と適合性のあるトナー、詳細には、(BASFのKollidon(登録商標) SRやKollidon(登録商標) VA64などの)ポリ酢酸ビニル/ポリビニルピロリドンコポリマー、ポリ(N-ビニル-2-ピロリドン)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、およびポリウレタンから選択されたポリマーについて説明している。
【0089】
着色剤
本発明によるトナーは着色剤を含み、着色剤は、適用可能な場合、バインダに組み込むことができる。
【0090】
着色剤は、それがプリンタ内で使用される印刷プロセスと適合性があることを条件として、化粧料で従来から使用されている染料および顔料から選択することができる。
【0091】
この着色剤は特に、出願WO 2007/134171に挙げられているものから、詳細には、クルクミン、インジゴ、ログウッドから抽出した染料、オルセイン、オーソアヤニン(authoayanin)、カラメル、カルミン、アナットー、ベータカロチン、サフラン、クロロフィル、およびベジタブルブラックなどの天然染料から選択することができる。
【0092】
電荷制御剤
トナーは、ドラムへのトナーの静電転写を促進するためのものである、電荷制御剤を含むことができる。
【0093】
この制御剤は、それが化粧用途と適合性があることを条件として、従来から使用されているものから選択することができる。
【0094】
出願WO 2007/134171に挙げられているもの、すなわち、第四級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、セトリミド(臭化トリメチルテトラデシルアンモニウム)、シクロデキストリン、シリカ、酸化アルミニウム、二酸化チタン、フェライト、およびカーボンブラックを使用することができる。
【0095】
ワックス
トナーは、特にトナーのわずかな溶融が行われるときに、またはケラチン物質上への固定を向上させるために、ワックスを含むことができる。
【0096】
「ワックス」という用語は、室温(25℃)で固体であり、可逆的な固体/液体状態変化を伴い、30℃以上の、最大120℃まで至ることのある融点を有する、親油性化合物を意味する。ワックスを液体状態に至らせる(融解する)ことによって、ワックスを、存在し得るオイルと混和できるようにして、微視的に均質な混合物を形成することが可能になるが、混合物の温度を室温に戻すとすぐに、混合物のオイル内でワックスの再結晶化が得られる。ワックスの融点は、示差走査熱量計(DSC)、たとえばMettler社によりDSC 30という名称で販売されている熱量計を用いて測定することができる。
【0097】
ワックスは、炭化水素系ワックス、フルオロワックス、および/またはシリコーンワックスとすることができ、植物、鉱物、動物、および/または合成起源のものとすることができる。詳細には、ワックスは、25℃を上回る、さらに良好には45℃を上回る融点を有する。着色インクに使用することのできるワックスとして、密蝋、カルナバワックスもしくはキャンデリラワックス、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、またはオゾケライト、ポリエチレンワックスやフィッシャートロプシュワックスなどの合成ワックス、16〜45個の炭素原子を含むアルキルジメチコーンやアルコキシジメチコーンなどのシリコーンワックスを挙げることができる。
【0098】
微粒子添加剤
トナーは、好ましくは、その流動性、現像性、および静電荷に対する感度を向上させるために、微粒子添加剤を含む。
【0099】
添加剤の粒子は、5nm〜2μm、さらに良好には5nm〜500nmの範囲の平均サイズを有することができ、その比表面積は、好ましくは、BET法によれば20〜500m2/gの範囲である。
【0100】
添加充填剤の比率は、トナーの総重量に対して、好ましくは0.01重量%〜5重量%、さらに良好には0.01重量%〜2重量%の範囲である。
【0101】
添加充填剤は、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、酸化亜鉛、粘土、マイカ、珪藻土、赤色酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、および窒化ケイ素の粒子から選択することができる。
【0102】
好ましくは、シリカおよび/または二酸化チタンを好ましくは組み合わせて使用し、好ましくは、疎水性にしたシリカおよび/または二酸化チタンを使用する。シリカおよび/または二酸化チタン粒子のサイズは、好ましくは、50nm未満である。
【0103】
好ましくは、疎水性シリカと疎水性二酸化チタンの混合物の、トナーの総重量に対する重量比は、0.3%〜1.5%である。
【0104】
トナーの準備
トナー粒子は、1〜16μm、さらに良好には3〜10μmの平均サイズD50を有し、印刷品質を向上させるように、平均値についてできるだけ分布の範囲が狭いことが望ましい。
【0105】
トナー粒子は、たとえば、米国出願第2006/0093943 A1号の段落[0075]〜[0079]に、または出願WO 2007/134171で示された実施例に開示されているように、混練および粉砕を伴う、任意の適切な方法によって準備することができる。
【0106】
磁性キャリア
本発明によるトナーは、米国出願第2006/0093943 A1号の段落[0082]および[0083]に開示されているように、フェライト粒子や鉄粒子などの磁性キャリアと組み合わせて使用することができる。
【0107】
支持体
印刷支持体は、任意の適切なタイプのものとすることができ、特に、紙やプラスチックフィルムなどのシート材料から成ることができる。
【0108】
図2に示すのは、シート材料状の支持体2であり、その一方の面上にパターン4が、本発明によるレーザプリンタを用いて電子写真方式により印刷されている。
【0109】
支持体は、適用可能な場合、パターンを上に転写しなければならないケラチン物質の起伏により容易に一致するように、変形可能かつ可撓性とすることができる。
【0110】
支持体は、パターンを上に転写しなければならない表面を濡らした後のパターンの転写を容易にするために、水に対し不浸透性とすることができる。
【0111】
施与のモード
印刷によって堆積された化粧用トナーは、メイクアップしようとするエリアと接触させて、そこを圧迫することによって、転写することができる。
【0112】
転写は、メイクアップしようとするエリアまたは印刷パターンを事前に濡らしておくことなく、乾式で行うことができる。
【0113】
一変形形態として、転写を容易にし、かつメイクアップするエリアに転写された組成物の固定を向上させる目的で、転写化合物、たとえば接着剤が、パターンおよびメイクアップしようとするエリアのうちの少なくとも一方に施与される。
【0114】
一実施形態例では、たとえばローラの外面に対応する非平坦転写面の上に直接、印刷が実施される。このローラは、たとえば、プリンタの中間転写要素に対して当てられ、パターンを受け取るために、中間転写要素と接触した状態で回転する。次に、ローラは、転写のために皮膚の上に移される。
【0115】
印刷パターン
支持体の表面上に形成されるパターンは、いかなるタイプのものでもよい。
【0116】
プロセスは、ユーザによってパターンを選択および/または形成し、印刷を実施するプリンタに接続されたマシンによって、このパターンに関係する情報を送信するステップを含むことができる。
【0117】
マシンは、コンピュータ、「スマートフォン」としても知られる先進の携帯電話機、またはタブレットコンピュータとすることができる。マシンは前記プリンタに、物理的に、かつ/またはデータ交換ネットワークによって、接続することができる。
【0118】
ハーフトーン画像、たとえばモノクロ画像または多色画像を形成するように、1種または複数種のトナーが、ドットラスタ状および/またはラスタライン状に堆積される。
【0119】
パターンは、皮膚の起伏および/または色むら、たとえば雀卵斑または皮膚のきめの様相を再現することができる。
【0120】
パターンは、可視領域(400nm〜800nm)内の白色光の下で観察したとき、着色していてよい。一変形形態として、パターンは、可視領域内の白色光の下では無色であるが、UV(365nm〜400nm)への暴露などの化学刺激および/またはエネルギー刺激を受けたとき、着色しているように見えてよい。
【0121】
印刷では、原色に対応するトナーだけを使用することができる。一変形形態として、印刷では、原色のトナーと、少なくとも1種の非原色のトナーの両方を使用する。
【0122】
印刷は、モノクロとすることができるが、好ましくは、3色印刷として、または4色印刷として行われる。
【0123】
印刷によって得られるパターンは、たとえばグラデーションによる、異なる色のいくつかのエリアを備えることができる。一変形形態として、印刷によって得られるパターンは、平板な色調である。
【0124】
テスト1
熱ローラを取り外すように変更した、HP LaserJet Pro 400 M451 NWプリンタを使用する。
【0125】
熱ローラを取り外した後の動作エラーを防ぐように、電子システムを変更する。温度を測定するために使用されるサーミスタを特に、通常生じる熱ローラの温度を模擬する抵抗器と置き換える。
【0126】
熱ローラを取り外すことにより、トナーの融解を行わない印刷中の機械的ストレスを最小限に抑えることが可能になる。
【0127】
化粧用トナーとしては、以下の準備を行う。
【0128】
HP Laser jet pro Color M451nwプリンタのトナーを利用する。開封後、既存の粉末を取り出し、フェライト6g、カーボンブラック粉末33g、および炭酸カルシウム1gを含有する、エアレーションによる混合によって粉末状にした粉末(40g)と置き換える。
【0129】
印刷を、レーザプリンタ用の透明タイプのシート上に実施する。
【0130】
印刷パターンを、転写によって、印刷直後に皮膚上に施与する。シートを皮膚上に、1cm2あたり50gの圧力をかけて5秒間載置する。次いで、シートを取り除く。
【0131】
処理を完了させるために、樹脂を含有する組成物を上に、30cm離れたところから噴霧する。これを行うために、Elnettブランドのヘアスプレーを使用する。組成物を1分間静置する。静置が終わると、処理が完了する。
【0132】
テスト2
熱ローラを取り外すように変更した、OKI C711WTプリンタを使用する。
【0133】
熱ローラを取り外した後の動作エラーを防ぐように、電子システムを変更する。温度を測定するために使用されるサーミスタを特に、通常生じる熱ローラの温度を模擬する抵抗器と置き換える。
【0134】
熱ローラを取り外すことにより、トナーの融解を行わない印刷中の機械的ストレスを最小限に抑えることが可能になる。
【0135】
化粧用トナーとして、OKI C711WTプリンタの標準トナー(シアンP/N 44318607、マゼンタP/N 44318606、イエローP/N 44318605、ホワイトP/N 44318657)を使用する。
【0136】
印刷を、レーザプリンタ用の透明タイプのシート上に実施する。
【0137】
印刷パターンを、転写によって、印刷直後に皮膚上に施与する。シートを皮膚上に、1cm2あたり50gの圧力をかけて5秒間載置する。次いで、シートを取り除く。
【0138】
処理を完了させるために、樹脂を含有する組成物を上に、30cm離れたところから噴霧する。これを行うために、Elnettブランドのヘアスプレーを使用する。組成物を1分間静置する。静置が終わると、処理が完了する。
【符号の説明】
【0139】
1 化粧用物品
2 支持体
4 パターン
10 ドラム
12 要素
13 要素
14 カートリッジ
15 クリーニング要素
図1
図2