既定の高度において、車両の移動速度増大時に、少なくとも前記第1及び第2の差圧閾値、そして場合により前記第3の差圧閾値が漸進段階的に増加するように、少なくとも前記第1及び第2の差圧閾値、そして場合により前記第3の差圧閾値を修正するステップを更に含み、差圧閾値が漸進段階的に増加することに関して、2つの連続的な段階間の遷移は、電子制御装置に記憶された既定の速度閾値において起こる、請求項4に記載の管理方法。
車両の既定の移動速度において、少なくとも前記第1及び第2の差圧閾値、そして場合により前記第3の差圧閾値が、車両の高度の関数として、漸進段階的に増加する、請求項4に記載の管理方法。
車両の既定の移動速度において、少なくとも前記第1及び第2の差圧閾値、そして場合により前記第3の差圧閾値が、車両の高度上昇時、漸進段階的に増加し、その際に、2つの連続的な段階間の遷移は、電子制御装置に記憶された既定の高度閾値において起こる、請求項4に記載の管理方法。
前記第1のデータセットにより反復ブレーキ状況の存在が検出されている場合には、少なくとも前記第1及び第2の差圧閾値、そして場合により前記第3の差圧閾値が、前記車両の移動速度に係らず前記電子制御装置によって一定に保たれるように、差圧閾値を修正するステップが阻止される、請求項5に記載の管理方法。
【背景技術】
【0003】
自動車のブレーキシステムは第1に、運転者がブレーキペダルを駆動させた時に車両のブレーキ要素に作用する油圧システムと、第2にブレーキペダルにかかった力と、ブレーキ要素に作用する力との間の増幅を可能にする、支援及び増幅装置を備える。
【0004】
文献DE100087975A1には、例えば文献EP1071873A1の場合のように、車両の内燃エンジンの吸入における圧力の低下によって通常生じる曝気真空を使用する周知の技術を使用する、ブレーキペダルへの圧力によって生じるブレーキ圧の増幅を可能にする対処法が記載されている。
【0005】
(例えば純粋に電気又はハイブリッドけん引の車両に良くある)車両の内燃エンジンから得られる真空が不十分又は不在である場合、支援及び増幅装置は通常、例えば文献FR2877629A1に記載されている対処法の種類の真空ポンプを使用する。つまり、支援及び増幅装置は従来、ブレーキシステムに接続された真空ポンプを含む真空源を備えうる。
【0006】
ブレーキシステムの効率を最適化する必要があるために、ブレーキシステムに接続された真空ポンプの使用により、真空ポンプの動作の停止を命令する高い差圧閾値の選択、真空ポンプの動作の開始を命令する低い差圧閾値の選択、及び幾つかの場合にはまた、動作不良を表す警報信号を送る差圧閾値の選択による、この真空ポンプに関連する一般的な問題が引き起こされる。ブレーキシステムの機能は、これらの差圧閾値の選択に直接依存しており、第1に、信頼できる適切な支援及び増幅機能を確保するための十分な特定差圧の必要と、第2に、過剰消費の原因であり、真空ポンプの早期劣化の危険性を引き起こす、真空ポンプのタイミングの悪い起動を回避する必要との間で妥協点を見つける必要がある。
【0007】
現在、例えば上述した文献FR2877629A1に記載された方法では、真空ポンプを開始するための閾値は、海抜に相当する高度に固定され、較正される。
【0008】
閾値を車両速度の関数として、真空ポンプの起動及び動作停止に適合させることはすでに考えられてきた。この方法により上述した状況は改善されるが、閾値を決定する際に考慮されていないある特定の状況下では、前記状況にこれらの閾値は不適切となり、ブレーキの効き目が失われる、及び/又は正しくない故障警報の発信につながる。
【0009】
車両が遭遇する状況とは関わりなく、信頼できる適切な支援及び増幅機能を確保するための十分で確実な差圧の必要、及び真空ポンプのタイミングの悪い動作を回避する必要を同時に満たすような方法で、真空ポンプの動作閾値の決定を最適化する必要がある。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1から6を参照する。本発明は、自動車のブレーキシステムに接続された真空ポンプを管理する方法に関し、本方法は、真空ポンプに結合された電子制御装置を使用して、真空ポンプを制御するステップを含む。本発明はまた、真空ポンプの管理システムにも関し、本システムは、管理する方法を実行するハードウェア及び/又はソフトウェア要素を備えたこの電子制御装置を備える。
【0023】
概して本発明は、真空ポンプに関連付けられた少なくとも1つの差圧閾値を決定し、反復ブレーキ状況の検出又は非検出を表す第1のデータセット、及び/又は車両高度を表す第2のデータセットを考慮するステップを含む。前記少なくとも1つの差圧閾値は、
− 上限値である、真空ポンプの動作の停止を命令する第1の差圧閾値、
− 下限値であり、第1の閾値よりも低い、真空ポンプの開始を命令する第2の差圧閾値、
− 第2の閾値よりも低く、動作不良を表す警報信号を送る第3の差圧閾値
から選択される。
【0024】
つまり、差圧が第1の差圧閾値よりも高い時、電子制御装置は真空ポンプの動作の停止を命令する。差圧が第2の差圧閾値よりも低い時、電子制御装置は真空ポンプの開始を命令する。差圧が第3の差圧閾値よりも低い時、電子制御装置は真空ポンプの動作の停止を命令し、真空ポンプ及び/又はブレーキシステムの動作不良を表す警報信号を送る。
【0025】
自動車は従って、上記管理システム、真空リザーブ(vacuum reserve)に関連づけられ、管理システムによって管理される真空ポンプを備える。電子制御装置は真空ポンプに結合されており、車両の環境気圧と真空リザーブの圧力との間の差が電子制御装置によって決定された第2の差圧閾値以下である時に真空ポンプの動作を開始させ、車両の環境気圧と真空リザーブの圧力との間の差が電子制御装置によって決定された第1の差圧閾値以上である時に真空ポンプの動作を停止させるように真空ポンプを制御する。
【0026】
管理システムは具体的に、反復ブレーキ状況の存在又は不在を検出し、電子制御装置に第1のデータセットを供給するための要素、及び/又は車両高度を算定して、電子制御装置に第2のデータセットを供給するための要素を備えうる。上記要素の例を以下に記載する。
【0027】
このように、真空ポンプの機能と関連付けられる第1及び第2の差圧閾値、又は第3の差圧閾値を、
− 車両高度の関数として、
− 及び/又は反復ブレーキ状況に遭遇した瞬間に、有用に適合させることができる。
【0028】
本明細書の「反復ブレーキ状況」という語は、特に既定の一時的なスライディングウィンドウにおける既定の力閾値よりも大きい圧力で運転者がブレーキペダルを押圧する回数が所定の数よりも多い時に検出される状況として、理解されるべきである。
【0029】
高度が上がると、大気圧が減少し、この結果差圧が低下することが知られている。
【0030】
従来技術においては、実際の差圧が第3の差圧閾値よりも低くなるような高度の時にはいつでも運転者に対して警報が発信され、第1及び第2の差圧閾値が固定されているためにブレーキの効き目もまた低下する。本明細書に記載される管理方法のおかげで、単純な高度の上昇が原因でこれらの警報が運転者に発信されることを回避することができ、真空ポンプを開始させるための閾値、すなわち具体的には第2の差圧閾値は、真空におけるチャンバ圧と、周囲大気圧におけるチャンバ圧との間に十分な圧力差を保持するため、高められる。
【0031】
第2に、従来技術による方法では、ブレーキ支援のための真空レベルは、「反復ブレーキテスト」手順としても知られる反復ブレーキ状況の間、不十分になりがちである。これを解決するために、本明細書に記載される管理方法は、「反復ブレーキテスト」手順の認識を真空ポンプを開始させる方法につなげる可能性を、非常に有用に提供する。
【0032】
「反復ブレーキテスト」手順は、車両のブレーキシステムの熱耐久性を特徴づける標準手順である。これは、明確に定義された状況下(ブレーキ開始時の速度、ブレーキ終了時の速度、減速、ブレーキ間隔等)で一連の適用ブレーキを行うことからなる。この車両の特性を評価するには、手順によって必要とされる減速及び停止距離を達成するのに必要なペダル移動/ペダル力を含む幾つかの基準がある。真空ポンプの起動及び動作停止の閾値を管理する本方法により、これらの厳しいブレーキ状況の検出、及びこのテストの最中により良い性能を実現するための十分な真空レベルの生成が可能になる。上述した状況を検出する方法の原理は、一連のブレーキ(ブレーキペダルスイッチ起動の間隔、各ブレーキの適用に対して達成された油圧レベル等)を検出することからなる。
【0033】
本方法は、少なくとも第1及び第2の差圧閾値、そしてまた場合により第3の差圧閾値を車両の移動速度の関数として修正するステップを含む。
図1に、車両の第1の高度、及び反復ブレーキ状況の検出されていない場合における、真空ポンプと関連づけられた第1、第2及び第3の差圧閾値それぞれの増加を車両速度の関数として表す曲線C1からC3を示す。車両速度は、最低速度V0(例えば0km/h)と最大速度Vmax(例えば200km/h)の間で増加する。第1の高度は例えば、実質的に1500mに等しい。
【0034】
図1に示すように、例えば前記第1の高度等の既定の高度において、少なくとも前記第1及び第2の差圧閾値、そしてまた場合により前記第3の差圧閾値は各々、車両速度が上がった時に一定の漸進段階的に増加する。2つの連続的な段階間の遷移は、電子制御装置に記憶された既定の速度閾値において起こる。
【0035】
図1に、V1及びV2の記号が付けられた、2つの所定の速度閾値を実行する特定の場合を示す。第1、第2、及び第3の差圧閾値は各々、速度閾値V2、V2によって2つずつ区切られた3つの漸進段階で増加する。これをそれぞれ曲線C1、C2、及びC3によって図示する。第1の差圧閾値が第2の差圧閾値よりも高く、次に第3の差圧閾値よりも高いため、曲線C1は曲線C2の値よりも高い値を示し、次に曲線C3の値よりも高い値を示す。
【0036】
それでもまだ、差圧閾値と車両速度との間の他の何らかの関係、例えば段階数の差異、及び速度閾値の数の差異が考えられうる。また、既定の差圧閾値に関連づけられる速度閾値が、別の差圧閾値に関連付けられる速度閾値とは異なることも得られうる。
【0037】
図2に次に、第1の差圧閾値、第2の差圧閾値、及び第3の差圧閾値から選択された、真空ポンプに関連付けられた少なくとも1つの差圧閾値の決定では、反復ブレーキ状況の検出又は非検出を表す第1のデータセットが考慮される事実を示す。
【0038】
図2は従って、
図1に示す第1の高度ではあるが、
図1とは対照的に、反復ブレーキ状況の存在が検出された場合の、車両速度の関数としての第1、第2及び第3の差圧閾値のそれぞれの増加を表す曲線C4からC6までを示している。具体的な実施形態では、
図1と
図2との間で第1及び第2の差圧閾値のみが修正され、これにより、
図2の曲線C6は
図1の曲線C3と同一である。しかしながら、第3の差圧閾値も修正されうる。
【0039】
図2を参照する。
図2では、第1のデータセットが反復ブレーキ状況の存在の検出を表す時に、少なくとも第1及び第2の差圧閾値、そして場合により第3の差圧閾値が、車両の移動速度に係らず電子制御装置によって一定に保たれるように、
図1に関して記載された車両速度の関数として差圧閾値を修正するステップが阻止される。この理由により、
図2における曲線C4及びC5は、一定の水平直線である。
【0040】
速度の関数として修正する方法と組み合わされたこの方法の原理、反復ブレーキ状況の検出又は非検出の関数は従って、反復ブレーキの場合の真空ポンプの起動及び動作停止閾値を適合させることを可能にする。これにより、ブレーキシステム性能が改善される。
【0041】
反復ブレーキ状況の検出方法は従来、車両の電子安定制御システムにおいて利用可能である。この情報は、真空ポンプの差圧閾値を適合させる方法において使用される電子制御装置へ供給されうる、又はこの情報は、ブレーキペダルスイッチ、ブレーキ圧、車両速度の監視等、入手可能な情報から再構成されうる。
【0042】
図2に示すように、反復ブレーキ状況が検出されると、例えば真空ポンプの起動及び動作停止の閾値等の差圧閾値を適合させて、ブレーキシステムのより良い性能を実現することが可能である。
【0043】
要約すると、電子制御装置は、反復ブレーキ状況が検出されない限り、曲線C1による第1の差圧閾値と、曲線C2による第2の差圧閾値と、曲線C3による第3の差圧閾値とを適合させる。しかしながら、反復ブレーキ状況が検出された時、電子制御装置は、曲線C4による第1の一定差圧閾値を速度の関数として適合させ、曲線C5による第2の一定差圧閾値を速度の関数として適合させ、例えば曲線C3と同一である曲線C6による第3の一定差圧閾値を速度の関数として適合させる。
【0044】
差圧閾値を車両速度の関数として修正するステップは、上述した第1のデータセットを考慮する差圧閾値を決定する方法とは別に、あるいはそれと組み合わせて、第2のデータセットの関数として調節される。
【0045】
図3〜6は従って、真空ポンプと関連付けられ、第1の差圧閾値、第2の差圧閾値、及び第3の差圧閾値から選択される少なくとも1つの差圧閾値の決定には、車両高度を表す第2のデータセットが考慮されることを示す。
【0046】
この方法は従って、足すこと、あるいは引くことによって、例えば真空ポンプの起動及び動作停止用の閾値等の差圧閾値を車両高度の関数として適合させることが可能になる。気圧が高度の関数として変化すると仮定すると、同じブレーキシステムの性能を維持しながら、結論として真空ポンプによって生成される真空レベルを適合させることができる。従って、真空ポンプは、
− 従来よりも低い高度で短い時間使用され、これが耐用年数と電力消費の改善につながる、
− あるいは、ブレーキシステムの性能向上のために、従来よりも高い高度で長い時間使用される。
【0047】
車両高度に関する情報は、車両のマルチメディアネットワークを介したGPS(全地球測位システム)等の位置決め装置によって提供されうる。例えば受信の途切れ等でこの情報が時々信頼できないと仮定すると、この情報は便宜上でのみ使用されることが好ましい。このシステムは、この情報がないところで安全な性能を確保するように構成されている。
【0048】
図3に、第1の高度よりも低い第2の高度における、また反復ブレーキ状況の検出がないところにおける、第1、第2及び第3の差圧閾値の車両速度の関数としてのそれぞれの増加を表す曲線C7からC9を示す。具体的な実施形態では、
図3の曲線C9が
図1の曲線C3と同一であるように、
図1と
図3との間では、第1及び第2の差圧閾値のみが修正される。しかしながら、第3の差圧閾値も修正されうる。
【0049】
従って、
図3を参照すると、少なくとも第1及び第2の差圧閾値は、例えば実質的に海抜に相当する第2の高度の関数として適合される。
図1に関しては、これら2つの差圧閾値は高度の関数として所定の減数△1、△2を経る。第2の高度に対して作成された
図3の曲線C7による第1の差圧閾値は、第1の高度に対して作成された
図1の曲線C1による第1の圧力閾値に対して減数△1だけ減少する。第2の高度に対して作成された
図3の曲線C8による第2の差圧閾値は、第1の高度に対して作成された
図1の曲線C2による第2の圧力閾値に対して減数△2だけ減少する。減数△1の値は、減数△2の値と等しくてよく、また等しくなくてもよい。
【0050】
図4に、第1の高度よりも高い第3の高度における、また反復ブレーキ状況の検出がないところにおける、第1、第2及び第3の差圧閾値の車両速度の関数としてのそれぞれの増加を表す曲線C10からC12を示す。具体的な実施形態では、
図1と
図4との間で第1及び第2の差圧閾値のみが修正され、これにより
図4の曲線C12は
図1の曲線C3と同一である。しかしながら、第3の差圧閾値も修正されうる。
【0051】
従って
図4を参照すると、少なくとも第1及び第2の差圧閾値は、例えばほぼ2500メートルの高度に相当する第3の高度の関数として適合される。
図1に関しては、これら2つの差圧閾値は高度の関数として所定の増数△3、△4を経る。第3の高度に対して作成された
図4の曲線C10による第1の差圧閾値は、第1の高度に対して作成された
図1の曲線C1による第1の圧力閾値に対して、増数△3だけ増加される。第3の高度に対して作成された
図4の曲線C11による第2の差圧閾値は、第1の高度に対して作成された
図1の曲線C2による第2の圧力閾値に対して、増数△4だけ増加される。減数△3の値は、減数△4の値と等しくてよく、また等しくなくてもよい。
【0052】
要約すると、電子制御装置は、第1の高度と前記第2の高度との間の第1の高度閾値S1よりも高度が高く、前記第1の高度と前記第3の高度との間の第2の高度閾値S2よりも低い限りは、曲線C1による第1の差圧閾値と、曲線C2による第2の差圧閾値と、曲線C3による第3の差圧閾値とを適合させることが好ましい。しかしながら、実際の高度が第1の高度閾値S1よりも低い場合、電子制御装置は、第1の差圧閾値を曲線C7による速度の関数として適合させ、第2の差圧閾値を曲線C8による速度の関数として適合させ、例えば曲線C3と同一でありうる曲線C9による第3の差圧閾値を適合させる。実際の高度が第2の高度閾値S2よりも高い場合、電子制御装置は、第1の差圧閾値を曲線C10による速度の関数として適合させ、第2の差圧閾値を曲線C11による速度の関数として適合させ、例えば曲線C3と同一でありうる曲線C12による第3の差圧閾値を適合させる。
【0053】
車両高度に関する情報は、この情報を使用する、又はこの情報へのアクセスを有するマルチメディアシステムを使用して取得することが好ましい。
【0054】
第1の方法では、車両が移動しやすい全高度範囲(上記範囲は、海抜に対して0メートルの最低高度と、海抜4000メートルの最高高度との間で変化するように定義されうる)を、高度閾値によって区切られた複数の連続的な部分に分割することが可能である。部分の数と、高度閾値の数は、所望の精度によって変わりうる。
図5に対して示す非限定的な具体例では、0〜4000mの全範囲の、それぞれ1000m及び2000mにおける2つの閾値S1及びS2を介した3つの部分への分割が提供されている。このように、0〜4000mの全範囲は、0〜1000mの第1の部分と、1000〜2000mの第2の部分と、2000〜4000mの第3の部分に分割される。
【0055】
概して、既定の車両の移動速度において、少なくとも第1及び第2の差圧閾値、そしてまた場合により第3の差圧閾値は、車両高度の関数として漸進的に増加する。
図5に示す実施形態によれば、車両の既定の移動速度において、車両の(横軸で表される)高度が上がった時に、少なくとも第1及び第2の差圧閾値、そしてまた場合により第3の差圧閾値が一定の漸進段階で増加し、2つの連続的な段階間の遷移は、電子制御装置に記録された既定の高度閾値S1、S2において起こる。
【0056】
図5に、所定の車両速度における、真空ポンプとつながった3つの差圧閾値の増加を車両高度の関数として表す曲線C13からC15を示す。更に正確には、曲線C13は、既定の車両速度における第1の差圧閾値の増加を車両高度の関数として表す。曲線C14は、同じ既定の車両速度における第2の差圧閾値の増加を車両高度の関数として表す。曲線C15は最後に、同じ既定の車両速度における第3の差圧閾値の増加を車両高度の関数として表す。
【0057】
図5に示す実施形態によれば、既定の車両移動速度において、車両高度が上がった時に、第1の差圧閾値が漸進段階P1、P2、P3によって増加する。第1の段階P1は、0〜1000mの間で変化する第1の部分に適用される。第2の段階P2は、1000〜2000mの間で変化する第2の部分に適用される。第3の段階P3は、2000〜4000mの間で変化する第3の部分に適用される。連続する段階P2とP3との間の遷移は、高度閾値S2において起こる。
【0058】
図5に示す実施形態によれば、既定の車両移動速度において、車両高度が上がった時に、第2の差圧閾値が漸進段階P4、P5、P6によって増加する。第1の段階P4は、0〜1000mの間で変化する第1の部分に適用される。第2の段階P5は、1000〜2000mの間で変化する第2の部分に適用される。第3の段階P6は、2000〜4000mの間で変化する第3の部分に適用される。連続する段階P4とP5との間の遷移は、高度閾値S1において起こる。連続する段階P5とP6との間の遷移は、高度閾値S2において起こる。
【0059】
図5に示す実施形態によれば、既定の車両移動速度において、車両高度が上がった時に、第3の差圧閾値が漸進段階P7、P8、P9によって増加する。第1の段階P7は、0〜1000mの間で変化する第1の部分に適用される。第2の段階P8は、1000〜2000mの間で変化する第2の部分に適用される。第3の段階P9は、2000〜4000mの間で変化する第3の部分に適用される。連続する段階P7とP8との間の遷移は、高度閾値S1において起こる。連続する段階P8とP9との間の遷移は、高度閾値S2において起こる。
【0060】
図5では、連続する段階におけるステップの形態で、曲線C13からC15によって示すように、3つの差圧閾値は高度と共に変化するが、これら3つの差圧閾値の内の1つ又は2つのみが車両高度の関数として上記のように変化するということも可能である。また、差圧閾値に関連付けられた高度閾値は、1つの差圧閾値から次の差圧閾値まで変化しうる。
【0061】
高度閾値は、車両の種類及び/又は市場の関数として適合させることができる変化可能なデータであることが好ましい。
【0062】
一般に、各高度閾値において、
− 高度が低下した時の1つの段階からすぐ下の段階への遷移は、車両高度が前記高度閾値より低く、且つ高度閾値と、車両高度との差が第1の所定値を上回った瞬間に適用され、
− 高度が上昇した時の1つの段階からすぐ上の段階への遷移は、車両高度が前記高度閾値より高く、且つ車両高度と、前記高度閾値との差が前記第1の所定値と匹敵しうる第2の所定値を上回った瞬間に適用される
ように
電子制御装置によってヒステリシス原理が有用に適用されうる。
【0063】
この特性の利点は、各高度閾値レベルにおいて、各差圧閾値に対し1つの段階から別の段階への遷移時の途切れが回避されることである。
【0064】
図6に、第1の高度閾値S1に近い、
図5の曲線C13に適用されたヒステリシス現象を詳しく示す。このため、第1の差圧閾値に関連付けられた曲線C13については、第1の高度閾値S1レベルにおいて、
− 高度が低下した時の段階P2からすぐ下の段階P1への(矢印F1をたどる)遷移は、車両高度が前記高度閾値S1より低く、且つ前記高度閾値S1と、車両高度との差が第1の所定値M1を上回った瞬間に適用され、
− 高度が上昇した時の1つの段階P1からすぐ上の段階P2への(矢印F2をたどる)遷移は、車両高度が前記高度閾値S1より高く、且つ車両高度と、前記高度閾値S1との差が第2の所定値M2を上回った瞬間に適用される
ようにヒステリシス原理が適用される。
【0065】
第2の所定値M2はある場合には、第1の所定値M1と等しくてよいが、M1及びM2は、例えば対応する高度閾値の関数として、及び/又は考慮される曲線C13からC15の関数として異なる値も有しうる。
【0066】
曲線C13は、真空ポンプの動作を停止するように命令する差圧閾値として定義される、第1の差圧閾値の変化を車両高度の関数として表し、
図6の曲線C16は、真空ポンプが接続されたブレーキシステムのセンサによって測定された実際の真空差レベルの増加を車両高度の関数として示す。
【0067】
図6は従って、段階P1から段階P2までの遷移、及び段階P2から段階P1までの遷移における、第1の高度閾値S1のレベルでの曲線C13の特定の場合を示す。しかしながら、この曲線C13については、段階P2から段階P3までの遷移、又は段階P3から段階P2までの遷移におけるヒステリシス現象は第2の高度閾値S2と同一である。同様に、この曲線C14については、段階P4から段階P5までの遷移、又は段階P5から段階P4までの遷移におけるヒステリシス現象は第1の高度閾値S1と同一である。更に、この曲線C14については、第2の高度閾値S2レベルにおいて、段階P5から段階P6までの遷移、又は段階P6から段階P5までの遷移におけるヒステリシス原理は同一である。同様に、この曲線C15については、第1の高度閾値S1レベルにおいて、段階P7から段階P8までの遷移、又は段階P8から段階P7までの遷移におけるヒステリシス原理は同一である。更に、この曲線C15については、第2の高度閾値S2レベルにおいて、段階P9から段階P8までの遷移、又は段階P8から段階P9までの遷移におけるヒステリシス原理は同一である。
【0068】
上記から、差圧閾値、特に真空ポンプの開始及び/又は停止させるための検出閾値、又は警報を始動させるための閾値の決定及び適合において、車両高度が考慮されうることが明らかである。電子制御装置は高度に関するデータを取得、あるいはそれ自体でこれらを決定し、実際の高度と、装置に事前に記憶された高度閾値との間の所定期間における各瞬間において比較を行う。同様に、電子制御装置は、曲線C7からC15をそのメモリに格納している。
【0069】
これらの検討事項を別々に実行することができるが、真空ポンプに関連する差圧閾値を決定する時に、反復ブレーキ状況の検出又は非検出の考慮事項と、車両高度の考慮事項とを組み合わせることが可能である。
【0070】
上記から、本明細書において適用された非常に有用な解決法を、以下のように述べることも可能であることが明らかである。
【0071】
これは自動車のブレーキシステムに接続された真空ポンプを管理する方法であって、本方法は、真空ポンプに関連付けられた差圧閾値であって、真空ポンプの動作の停止を命令する第1の差圧閾値、真空ポンプの開始を命令する第2の差圧閾値、及び第2の閾値よりも低く、動作不良を表す警報信号を送る第3の差圧閾値から選択された少なくとも1つの差圧閾値を決定するステップを実行するために、真空ポンプに結合された電子制御装置を使用するステップを含み、この方法は、少なくとも第1及び第2の差圧閾値、そして場合により第3の差圧閾値を車両の移動速度の関数として修正するステップを含み、車両速度とは異なる特性、特に反復ブレーキ状況の検出又は非検出、及び/又は車両高度を表す少なくとも1つのデータセットの関数として、前記修正するステップが阻止される又は調節されることにおいて優れている。
【0072】
1つの有利点は、適度な高度が保たれる場合、本明細書で開発された管理する方法により、必要な時のみ真空ポンプを動作させることが可能となることである。
【0073】
別な有利点は、真空ポンプを必要な時にのみ開始させることにより、動力装置が消費者を動作させる方法を改訂することが可能になることである。この論理は、真空ポンプを制御する電子制御装置において存在し、電子制御装置は高度に関連する情報を使用する。
【0074】
実行される方法は、高度情報の信頼性に依存する。誤りのある情報、又は不明情報の場合、採用された差圧閾値は、真空ポンプ開始時の消費量の節約を制限しうる高度に関わらず車両の安全を確保する。真空を消費する反復ブレーキの間、真空レベルは常に最適である。