【実施例】
【0053】
以下に実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例により本発明の解釈が限定されるものではない。
【0054】
<重合例1>
以下の(1)〜(15)の操作により、スチレンと1,3−ブタジエンのブロック共重合体樹脂組成物を製造した。
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、テトラヒドロフラン(THF)75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液780mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン74.8kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は54℃まで上昇した。
(4)スチレンが完全に消費された後、重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液790mLを加え60℃に保った。
(5)スチレン15.2kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は64℃まで上昇した。
(6)スチレンが完全に消費された後、重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1,580mLを加え、60℃に保った。
(7)スチレン26.5kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は71℃まで上昇した。
(8)スチレンが完全に消費された後、1,3−ブタジエン14.7kgを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。内温は83℃まで上昇した。
(9)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に下げ、6.5kgのスチレンを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は82℃まで上昇した。
(10)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を75℃に下げ、1,3−ブタジエン14.6kgを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。内温は84℃まで上昇した。
(11)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に下げ、6.5kgのスチレンを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は81℃まで上昇した。
(12)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を75℃に下げ、1,3−ブタジエン14.7kgを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。内温は85℃まで上昇した。
(13)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を70℃に下げ、26.5kgのスチレンを一括添加し、重合を完結させた。
(14)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、ポリブタジエンブロックを持つS−(B−S)
2−B−S構造の重合体を含む重合液を得た。(上記一般式中、Sはポリスチレンブロックを表し、Bはポリブタジエンブロックを表す。)
(15)この重合液を脱揮して、重合例1のブロック共重合体樹脂組成物を得た。ピークトップ分子量(Mp)は399,000/58,000/45,000であり、面積比は36.2/22.4/41.4(%)であり、Mw/Mnは2.50であった。共役ジエン含有質量比は22.0%であり、ビニル芳香族炭化水素のブロック率は100%であった。tanδピーク温度は−78℃であり、tanδ(max+30℃)値/tanδ(max)値は0.84であった。
上記重合例1について、その要点を表1にまとめて示す。
【0055】
<重合例2〜14>
上記重合例1において、上記(3)、(5)、(7)〜(13)で使用するモノマーの量を調整することでブロック共重合体の組成を決定することができ、上記(2)、(4)、(6)で使用するn−ブチルリチウムの量を調整することで分子量を決定することができる。従って、下記の表1に示した条件以外は、重合例1と同様に実施することにより、重合例2〜14のブロック共重合体樹脂組成物を得た。上記重合例2〜14について、その要点を表1にまとめて示す。
【0056】
<重合例15>
以下の(1)〜(13)の操作により、スチレンと1,3−ブタジエンのブロック共重合体樹脂組成物を製造した。
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、THF75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液780mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン70.8kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は52℃まで上昇した。
(4)スチレンが完全に消費された後、重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液790mLを加え、60℃に保った。
(5)スチレン15.2kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は64℃まで上昇した。
(6)スチレンが完全に消費された後、重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1,580mLを加え、60℃に保った。
(7)スチレン26.5kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は72℃まで上昇した。
(8)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を65℃に下げ、1,3−ブタジエン16.0kgとスチレン4.3kgを同時に添加した。内温は79℃まで上昇した。
(9)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を65℃に下げ、1,3−ブタジエン16.0kgとスチレン4.4kgを同時に添加した。内温は81℃まで上昇した。
(10)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を65℃に下げ、1,3−ブタジエン16.0kgとスチレン4.3kgを同時に添加した。内温は81℃まで上昇した。
(11)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を75℃に下げ、26.5kgのスチレンを一括添加し、重合を完結させた。
(12)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、スチレンとブタジエンのテーパードブロックを持つS−T−T−T−S構造の重合体を含む重合液を得た。(上記一般式中、Sはポリスチレンブロックを表し、Tはスチレンとブタジエンのテーパードブロックを表す。)
(13)この重合液を脱揮して、重合例15のブロック共重合体樹脂組成物を得た。ピークトップ分子量(Mp)は260,000/89,000/77,000であり、面積比は35.3/22.9/41.8(%)であり、Mw/Mnは1.38であった。共役ジエン含有質量比は24.0%であり、ビニル芳香族炭化水素のブロック率は89%であった。tanδピーク温度は−52℃であり、tanδ(max+30℃)値/tanδ(max)値は0.47であった。
上記重合例15について、その要点を表2にまとめて示す。
【0057】
<重合例16>
以下の(1)〜(16)の操作により、スチレンと1,3−ブタジエンのブロック共重合体樹脂組成物を製造した。
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、テトラヒドロフラン(THF)75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1,450mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン70.8kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は53℃まで上昇した。
(4)スチレンが完全に消費された後、重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液790mLを加え、60℃に保った。
(5)スチレン15.2kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は64℃まで上昇した。
(6)スチレンが完全に消費された後、重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1,580mLを加え、60℃に保った。
(7)スチレン26.5kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は70℃まで上昇した。
(8)スチレンが完全に消費された後、1,3−ブタジエン16.0kgを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。内温は82℃まで上昇した。
(9)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に下げ、6.5kgのスチレンを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は82℃まで上昇した。
(10)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を75℃に下げ、1,3−ブタジエン16.0kgを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。内温は85℃まで上昇した。
(11)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に下げ、6.5kgのスチレンを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は82℃まで上昇した。
(12)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を75℃に下げ、1,3−ブタジエン16.0kgを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。内温は85℃まで上昇した。
(13)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を70℃に下げ、26.5kgのスチレンを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は82℃まで上昇した。
(14)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を75℃に下げ、カップリング剤として452gのエポキシ化大豆油を3.0kgのシクロヘキサンで希釈して添加し、重合を完結させた。
(15)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、ポリブタジエンブロックを持つ重合体をカップリングした(S−(B−S)
2−B−S)m−X構造の重合体を含む重合液を得た。(上記一般式中、Sはポリスチレンブロックを表し、Bはポリブタジエンブロックを表し、Xはカップリング剤の残基を表す。)
(16)この重合液を脱揮して、重合例16のブロック共重合体樹脂組成物を得た。カップリング前のピークトップ分子量(Mp)は160,000/51,000/41,000であり、面積比は42.5/19.5/38.0(%)であり、カップリング後のMw/Mnは1.67であった。共役ジエン含有質量比は24.0%であり、ビニル芳香族炭化水素のブロック率は100%であった。tanδピーク温度は−75℃であり、tanδ(max+30℃)値/tanδ(max)値は0.82であった。上記重合例16について、その要点を表3にまとめて示す。
【0058】
<重合例17>
以下の(1)〜(12)の操作により、スチレンと1,3−ブタジエンのブロック共重合体を製造した。
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、テトラヒドロフラン(THF)75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液760mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン5.0kgを加え、内温を80℃まで上昇させ、スチレンをアニオン重合させた。
(4)スチレンが完全に消費された後、1,3−ブタジエン3.0kgを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。内温は82℃まで上昇した。
(5)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に下げ、1.2kgのスチレンを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は81℃まで上昇した。
(6)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に下げ、1,3−ブタジエン3.0kgを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。内温は82℃まで上昇した。
(7)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に下げ、1.2kgのスチレンを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は81℃まで上昇した。
(8)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に下げ、1,3−ブタジエン3.0kgを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。内温は82℃まで上昇した。
(9)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を50℃に下げ、91.8kgのスチレンを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は89℃まで上昇した。
(10)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を55℃に下げ、91.8kgのスチレンを一括添加し、重合を完結させた。
(11)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、ポリブタジエンブロックを持つS−(B−S)
2−B−S構造の重合体を含む重合液を得た。(上記一般式中、Sはポリスチレンブロックを表し、Bはポリブタジエンブロックを表す。)
(12)この重合液を脱揮して、重合例17のブロック共重合体を得た。ピークトップ分子量(Mp)は386,000であり、Mw/Mnは1.10であった。上記重合例17について、その要点を表4にまとめて示す。
【0059】
<重合例18、19>
上記重合例17において、上記(3)〜(10)で使用するモノマーの量を調整することでブロック共重合体の組成を決定することができ、上記(2)で使用するn−ブチルリチウムの量を調整することで分子量を決定することができる。従って、下記の表4に示した条件以外は、重合例17と同様に実施することにより、重合例18、19のブロック共重合体を得た。
上記重合例18、19について、その要点を表4にまとめて示す。
【0060】
<重合例20>
以下の(1)〜(15)の操作により、スチレンと1,3−ブタジエンのブロック共重合体樹脂組成物を製造した。
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、THF75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液890mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン33.8kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は45℃まで上昇した。
(4)スチレンが完全に消費された後、重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液520mLを加え、60℃に保った。
(5)スチレン15.2kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は64℃まで上昇した。
(6)スチレンが完全に消費された後、重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液890mLを加え、60℃に保った。
(7)スチレン26.5kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は71℃まで上昇した。
(8)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、総量4.1kgのスチレン、および総量16.6kgの1,3−ブタジエンを、それぞれ25kg/h、100kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加した。
(9)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、18.0kgのスチレンを加え、スチレンをアニオン重合させた。
(10)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、総量4.1kgのスチレン、および総量16.5kgの1,3−ブタジエンを、それぞれ25kg/h、100kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加した。
(11)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、18.0kgのスチレンを加え、スチレンをアニオン重合させた。
(12)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、総量4.1kgのスチレン、および総量16.6kgの1,3−ブタジエンを、それぞれ25kg/h、100kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加した。
(13)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を75℃に下げ、26.5kgのスチレンを一括添加し、重合を完結させた。
(14)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、スチレンとブタジエンのランダムブロックを持つS−(R−S)
2−R−S構造の重合体を含む重合液を得た。(上記一般式中、Sはポリスチレンブロックを表し、Rはスチレンとブタジエンのランダムブロックを表す。)
(15)この重合液を脱揮して、重合例20のブロック共重合体樹脂組成物を得た。ピークトップ分子量(Mp)は191,000/123,000/107,000であり、面積比は32.6/20.8/46.6(%)であり、Mw/Mnは1.30であった。共役ジエン含有質量比は24.9%であり、ビニル芳香族炭化水素のブロック率は95%であった。tanδピーク温度は−65℃であり、tanδ(max+30℃)値/tanδ(max)値は0.74であった。上記重合例20について、その要点を表5にまとめて示す。
【0061】
<重合例21>
以下の(1)〜(11)の操作により、スチレンと1,3−ブタジエンのブロック共重合体樹脂組成物を製造した。
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、THF75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液780mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン70.8kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は52℃まで上昇した。
(4)スチレンが完全に消費された後、重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液790mLを加え、60℃に保った。
(5)スチレン15.2kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は64℃まで上昇した。
(6)スチレンが完全に消費された後、重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1,580mLを加え、60℃に保った。
(7)スチレン26.5kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は72℃まで上昇した。
(8)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、総量12.2kgのスチレン、および総量48.8kgの1,3−ブタジエンを、それぞれ25kg/h、100kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加した。
(9)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を75℃に下げ、26.5kgのスチレンを一括添加し、重合を完結させた。
(10)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、スチレンとブタジエンのランダムブロックを持つS−R−S構造の重合体を含む重合液を得た。(上記一般式中、Sはポリスチレンブロックを表し、Rはスチレンとブタジエンのランダムブロックを表す。)
(11)この重合液を脱揮して、重合例21のブロック共重合体樹脂組成物を得た。ピークトップ分子量(Mp)は283,000/91,000/78,000であり、面積比は39.2/18.8/42.0(%)であり、Mw/Mnは1.52であった。共役ジエン含有質量比は24.4%であり、ビニル芳香族炭化水素のブロック率は95%であった。tanδピーク温度は−65℃であり、tanδ(max+30℃)値/tanδ(max)値は0.47であった。
上記重合例21について、その要点を表6にまとめて示す。
【0062】
<重合例22、23>
上記重合例21において、上記(3)、(5)、(7)〜(9)で使用するモノマーの量を調整することでブロック共重合体の組成を決定することができ、上記(2)、(4)、(6)で使用するn−ブチルリチウムの量を調整することで分子量を決定することができる。従って、下記の表6に示した条件以外は、重合例21と同様に実施することにより、重合例22、23のブロック共重合体樹脂組成物を得た。なお、重合例22、23はポリスチレンブロックとポリブタジエンブロックを持つS−B−S構造のブロック共重合体である。上記式中、Sはポリスチレンブロックを表し、Bはポリブタジエンブロックを表す。上記重合例22、23について、その要点を表6にまとめて示す。
【0063】
<重合例24>
以下の(1)〜(13)の操作により、スチレンと1,3−ブタジエンのブロック共重合体樹脂組成物を製造した。
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、テトラヒドロフラン(THF)75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液780mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン70.8kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は51℃まで上昇した。
(4)スチレンが完全に消費された後、重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液790mLを加え、60℃に保った。
(5)スチレン15.2kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は64℃まで上昇した。
(6)スチレンが完全に消費された後、重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1,580mLを加え、60℃に保った。
(7)スチレン26.5kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は71℃まで上昇した。
(8)スチレンが完全に消費された後、1,3−ブタジエン24.0kgを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。内温は86℃まで上昇した。
(9)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に下げ、13.0kgのスチレンを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は85℃まで上昇した。
(10)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を75℃に下げ、1,3−ブタジエン24.0kgを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。内温は88℃まで上昇した。
(11)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を70℃に下げ、26.5kgのスチレンを一括添加し、重合を完結させた。
(12)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、ポリブタジエンブロックを持つS−(B−S)
1−B−S構造の重合体を含む重合液を得た。(上記一般式中、Sはポリスチレンブロックを表し、Bはポリブタジエンブロックを表す。)
(13)この重合液を脱揮して、重合例24のブロック共重合体樹脂組成物を得た。ピークトップ分子量(Mp)は394,000/56,000/49,000であり、面積比は35.2/22.5/42.3(%)であり、Mw/Mnは2.16であった。共役ジエン含有質量比は24.0%であり、ビニル芳香族炭化水素のブロック率は100%であった。tanδピーク温度は−75℃であり、tanδ(max+30℃)値/tanδ(max)値は0.79であった。上記重合例24について、その要点を表7にまとめて示す。
【0064】
<重合例25>
以下の(1)〜(17)の操作により、スチレンと1,3−ブタジエンのブロック共重合体樹脂組成物を製造した。
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、テトラヒドロフラン(THF)75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液780mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン70.8kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は52℃まで上昇した。
(4)スチレンが完全に消費された後、重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液790mLを加え、60℃に保った。
(5)スチレン15.2kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は64℃まで上昇した。
(6)スチレンが完全に消費された後、重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1,580mLを加え、60℃に保った。
(7)スチレン26.5kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は71℃まで上昇した。
(8)スチレンが完全に消費された後、1,3−ブタジエン12.0kgを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。内温は81℃まで上昇した。
(9)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に下げ、4.3kgのスチレンを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は81℃まで上昇した。
(10)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を75℃に下げ、1,3−ブタジエン12.0kgを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。内温は83℃まで上昇した。
(11)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に下げ、4.4kgのスチレンを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は82℃まで上昇した。
(12)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を75℃に下げ、1,3−ブタジエン12.0kgを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。内温は83℃まで上昇した。
(13)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に下げ、4.3kgのスチレンを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は82℃まで上昇した。
(14)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を75℃に下げ、1,3−ブタジエン12.0kgを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。内温は82℃まで上昇した。
(15)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を75℃に下げ、26.5kgのスチレンを一括添加し、重合を完結させた。
(16)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、ポリブタジエンブロックを持つS−(B−S)
3−B−S構造の重合体を含む重合液を得た。(上記一般式中、Sはポリスチレンブロックを表し、Bはポリブタジエンブロックを表す。)
(17)この重合液を脱揮して、重合例25のブロック共重合体樹脂組成物を得た。ピークトップ分子量(Mp)は317,000/61,000/47,000であり、面積比は35.8/20.9/43.3(%)であり、Mw/Mnは2.08であった。共役ジエン含有質量比は24.0%であり、ビニル芳香族炭化水素のブロック率は100%であった。tanδピーク温度は−72℃であり、tanδ(max+30℃)値/tanδ(max)値は0.88であった。上記重合例25について、その要点を表8にまとめて示す。
【0065】
<配合例>
<配合例1>
重合例17〜19で得られたブロック共重合体を表9に示した配合比率(質量%)で混ぜ、ブロック共重合体樹脂組成物を製造した。かかるブロック共重合体樹脂組成物を、単軸押出機(田端機械工業社製、HV−40−30、φ40mm)を用い、押出温度200℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混練し、ストランド状に押し出し、冷却後、ペレタイザーにてペレット化した。配合例1におけるブロック共重合体樹脂組成物の配合組成、ピークトップ分子量(Mp)、面積比、Mw/Mn、ブロック共重合体樹脂組成物の共役ジエン含有質量比、ビニル芳香族炭化水素のブロック率、tanδピーク温度およびtanδ(max+30℃)値/tanδ(max)値を表9にまとめて示した。
【0066】
<分子量、分散度Mw/Mnの測定>
ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いた。本発明では、特に断りが無い場合、分子量はピークトップ分子量Mpであり、カップリングを実施した場合はカップリング前のMpである。また、分散度は重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnであり、カップリングを実施した場合はカップリング後のMw/Mnである。
GPC装置名:東ソー社製「HLC−8220GPC」
使用カラム:昭和電工社製「ShodexGPCKF−404」を直列に4本接続、カラム温度:40℃、検出方法:示差屈折率法、移動相:テトラヒドロフラン、
サンプル濃度:2質量%
検量線:VARIAN社製標準ポリスチレン(ピークトップ分子量Mp=2,560,000、841,700、280,500、143,400、63,350、31,420、9,920、2,930)を用いて作成した。
【0067】
<樹脂組成物の共役ジエン含有比率(質量)>
上記重合例で使用した全モノマー量に対する1,3−ブタジエン量の使用割合および配合比から、ブロック共重合体樹脂組成物の共役ジエン含有比率をそれぞれ算出した。
【0068】
<樹脂組成物におけるスチレンのブロック率>
核磁気共鳴(NMR)を用いて
1H−NMRを測定し、算出した。ポリスチレンの芳香族環に付加したプロトン5つの内、オルト位に付加した2つのプロトンとして帰属される6.2〜6.8ppmのピーク強度積分値から、プロトン5つに換算した値をブロック状スチレン量Wとした。
また、パラ位とメタ位に付加した3つのプロトンとして帰属される6.8〜7.6ppmのピーク強度の積分値を含む、6.2〜7.6ppmのピーク強度の積分値から重クロロホルムのピーク強度の積分値を除算した値を全スチレン量(全ビニル芳香族炭化水素量)W0とした。
かかるW、W0を下記の定義式に代入することにより、ブロック率を算出した。なお、ブロック状スチレン量(ブロック状ビニル芳香族炭化水素量)Wは装置の感度上の理由から、5個以上のモノマー単位からなる連鎖である。
スチレンのブロック率(%)=(W/W0)×100
核磁気共鳴装置名:ブルカー・バイオスピン社製AVANCE−300
測定核種:
1H、共鳴周波数:300MHz(
1H)、測定溶媒:CDCl
3【0069】
<tanδピーク温度及び(tanδ(max+30℃)値/tanδ(max)値)>
動的粘弾性測定(チャート)から求めた。測定から損失正接(tanδ)を求め、−100℃〜−60℃の温度範囲におけるtanδ極大値の内、最大値を「tanδ(max)値」とし、その温度を「tanδピーク温度」とした。次にtanδピーク温度から30℃高い温度でのtanδ値を「tanδ(max+30℃)値」とし、(tanδ(max+30℃)値/tanδ(max)値)を算出した。
【0070】
<動的粘弾性測定>
下記の装置を用い、被検サンプルに周波数1Hzの引っ張り方向の応力、および歪みを加え、4℃/分の割合で温度を上げながら、貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E”)、及び損失正接(tanδ)を測定した(なおtanδ=E”/E’である)。動的粘弾性測定用の樹脂組成物のサンプルは、加熱プレスにより200℃〜220℃の条件下で2分間加圧保持して配向を緩和させた後、急冷する事で、無配向状態の0.6mm厚シートとした。その後、温度23℃、相対湿度50%RHに調整された室内にて24時間以上保管して使用した。
動的粘弾性測定装置:ティー・エイ・インスツルメント社製RSA3、
設定温度範囲:−120〜130℃、設定昇温速度:4℃/分、
測定周波数:1Hz
【0071】
重合例2、23より、ポリブタジエンブロックとポリスチレンブロックを繰り返すことにより、ブロック率、tanδピーク温度を変化させることなく、共役ジエン質量比を6.5%減量することができた。この際、tanδ(max+30℃)値/tanδ(max)値は0.6以上となることがわかった。
【0072】
一方、重合例2、21より、各々のブロック共重合体樹脂組成物の共役ジエン質量比を固定し、ポリブタジエンブロックとポリスチレンブロックを繰り返す場合(重合例2)と、繰り返しを行わず、ランダムブロックのスチレン/1,3−ブタジエン比を変更した場合(重合例21)とでは、ブロック率、tanδピーク温度、tanδ(max+30℃)値/tanδ(max)値が変化することがわかった。
【0073】
また重合例8、20より、ポリブタジエンブロックとポリスチレンブロックを繰り返す場合(重合例8)と、ランダムブロックとポリスチレンブロックを繰り返す場合(重合例20)とでは、ブロック率、tanδピーク温度は変化するものの、tanδ(max+30℃)値/tanδ(max)値はどちらも0.6以上となった。つまり、ソフトセグメントとハードセグメントの繰り返しにより、tanδ(max+30℃)値/tanδ(max)値は0.6以上になることがわかった。
【0074】
重合例2、15より、各々のブロック共重合体樹脂組成物の共役ジエン質量比を固定し、ポリブタジエンブロックとポリスチレンブロックを繰り返す場合(重合例2)と、テーパードブロックを繰り返す場合(重合例15)とでは、ブロック率、tanδピーク温度、tanδ(max+30℃)値/tanδ(max)値が変化することがわかった。
【0075】
<実施例1〜16および比較例1〜11>
・GPPSブレンドシートの作製
ブロック共重合体樹脂組成物とGPPSとを、表10、11に示した配合比率(質量%)で混ぜ、以下の手順でシート成形した。先端に幅40cmのTダイを取り付けた田辺プラスチックス社製φ40mm単軸押出機VS40−26を用い、押出温度200℃、Tダイ温度200℃、スクリュー回転数60rpmにて、配合例の樹脂を用いてシート押出を実施し、田辺プラスチックス社製480型シーティング装置を用い、冷却ロール温度50℃でシート厚0.6mmの単層シートを作製した。シートの厚みは、ダイのリップ開度で調整し、シートの引き取り速度は一定とした。使用した樹脂について表10、11に示す。GPPSは汎用ポリスチレン樹脂(東洋スチレン社製、トーヨースチロールGP G200C、ピークトップ分子量(Mp)286,000、Mw/Mn2.53)を使用した。
【0076】
<シートインパクト>
インパクトテスター(テスター産業社製)を用い、先端の直径が12.7mmの撃芯を使用して測定した。その他の測定条件は、ASTM D3420に準拠した。打ち抜けない場合は「>5.0」と記載した。
【0077】
<デュポン衝撃強度>
デュポン衝撃試験機(東洋精機製作所社製)を用い、シートから切り出した60mm四方の試験片20枚を、受け台の上に置き、先端の直径が6.35mmの撃芯を試験片上に乗せ、撃芯上端に100gの錘を落下させ、目視により、シートに生じた割れの有無を調べ、エネルギー値に換算して求めた。なお、本測定の前に別の予備試験片2〜3枚を用いて、シートが破壊するおおよその落錘高さを求め、1枚目は予備測定の結果から定めた落錘高さで測定し、2枚目以降は直前の測定結果を基に、シートが割れなかった場合は落錘高さを5cm上げ、割れた場合は落錘高さを5cm下げ、同様に測定した。この操作を連続して20回行い、各回での落錘高さと割れの有無の記録から、以下に示した式によりデュポン衝撃強度を求めた。割れが発生しない場合は「>0.90」と記載した。
X=(高さ×Aの枚数)の合計/Aの枚数(m) A:割れが生じないシート
Y=(高さ×Bの枚数)の合計/Bの枚数(m) B:割れが生じたシート
Z=(X+Y)/2(m)
デュポン衝撃強度(J)=0.1(kg)×9.8(m/s
2)×Z(m)
【0078】
<耐折強度>
MIT耐折疲労試験機(東洋精機製作所社製、MIT−DA)を用い、MD方向×TD方向=100mm×10mmおよび10mm×100mmに切削したサンプルをそれぞれ6回ずつ測定し、その平均値を使用した。測定は折り曲げ角度左右45°、折り曲げ回数175回/分、加重1kgで実施した。測定平均が1,000回を超えた場合、「>1000」と記載した。
【0079】
<引張弾性率>
テンシロン万能試験機(エー・アンド・デイ社製、RTC−1210A)を用い、シートからJISK6732に準拠したダンベル型試験片をMD方向が長手となるように切削し、初期チャック間隔50mm、引張速度10mm/min、23℃環境下でMD方向の引張弾性率(剛性)を測定した。
【0080】
実施例1、3及び比較例1、2より、樹脂組成物中の共役ジエン含有比率が22%未満では衝撃強度が低く、35%を超えると剛性が低下した。
【0081】
実施例2、比較例3、9、10より、樹脂組成物中のビニル芳香族炭化水素のブロック率が98%未満では衝撃強度が低下した。
【0082】
実施例4、5及び比較例4、5より、樹脂組成物中の分子量分布であるMw/Mnが1.3未満では衝撃強度が低く、3.5を超えると剛性が低下した。
【0083】
実施例6、7及び比較例6、7より、高分子量成分の面積比が30%未満では剛性が低く、55%を超えると衝撃強度が低下した。
【0084】
実施例2及び比較例9、10より、各々のブロック共重合体樹脂組成物の共役ジエン質量比を固定した場合、「tanδ(max+30℃)値/tanδ(max)値」が0.6未満では衝撃強度が低下した。実施例2及び比較例11より、各々のブロック共重合体樹脂組成物中のビニル芳香族炭化水素のブロック率を固定した場合、「tanδ(max+30℃)値/tanδ(max)値」が0.6未満では剛性が低下した。
【0085】
実施例2、9より、樹脂組成物中のブロック共重合体はカップリングの有無で物性に影響を与えない。実施例2、10より、樹脂組成物中のブロック共重合体は反応容器内で同時に重合した場合でも、別々に重合した後にブレンドした場合でも、物性に影響を与えない。
【0086】
実施例2、6及び比較例8、11より、樹脂組成物中のブロック共重合体のポリブタジエンブロックとポリスチレンブロックを繰り返すことにより、衝撃強度を損なわず、共役ジエン質量比を減量し、かつ剛性が向上した。ポリブタジエンブロックに挟まれたポリスチレンブロックが、見かけ上ポリブタジエンブロックに取り込まれ、ソフトセグメントとして機能し、かつ低温側のTg(tanδピーク温度)が変化しないため、ソフトセグメントとしての機能が阻害されない結果、耐衝撃性が向上したものと考えられる。
【0087】
実施例8及び比較例3より、樹脂組成物中のブロック共重合体のソフトセグメントとして、ポリブタジエンブロックとポリスチレンブロックを繰り返す場合とランダムブロックとポリスチレンブロックを繰り返す場合を比較すると、後者で衝撃強度が低下した。つまり、樹脂組成物中のブロック共重合体のソフトセグメントは、ポリブタジエンブロックでなければならない。
【0088】
実施例2及び比較例10より、各々のブロック共重合体樹脂組成物の共役ジエン質量比を固定し、ポリブタジエンブロックとポリスチレンブロックを繰り返す場合とテーパードブロックを繰り返す場合を比較すると、後者で衝撃強度が低下した。つまりポリブタジエンブロックとポリスチレンブロックを繰り返す場合、その境界は明瞭に区別されなければならないと考えられる。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
【表3】
【0092】
【表4】
【0093】
【表5】
【0094】
【表6】
【0095】
【表7】
【0096】
【表8】
【0097】
【表9】
【0098】
【表10】
【0099】
【表11】