(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記周囲オーディオ音を測定し、参照マイクロホン信号を発生させるための参照マイクロホンをさらに備え、前記少なくとも1つの適応フィルタは、前記参照マイクロホン信号をフィルタ処理し、前記雑音防止信号を発生させるための第1の適応フィルタと、適応二次経路応答を用いて前記ダウンリンクオーディオをフィルタ処理するための二次経路適応フィルタとを備え、前記適応雑音減少回路はさらに、前記フィルタ処理されたダウンリンクオーディオを前記第2のマイクロホン信号から除去し、前記周囲オーディオ音を表す誤差信号を前記変換器で生成する、コンバイナを備え、前記較正回路は、前記二次経路応答に従って、前記側音信号への前記第2のマイクロホン信号の応答を推定する、請求項1に記載のシステム。
前記システムは、筐体をさらに備える電話であり、前記変換器は、前記筐体上に搭載され、前記第2のマイクロホンは、前記変換器に近接して前記筐体上に搭載され、前記第1のマイクロホンは、前記筐体上に搭載されている、請求項1に記載のシステム。
前記周囲オーディオ音を示す参照マイクロホン信号を受信するための参照マイクロホン入力をさらに備え、前記少なくとも1つの適応フィルタは、前記参照マイクロホン信号をフィルタ処理し、前記雑音防止信号を発生させるための第1の適応フィルタと、適応二次経路応答を用いて前記ダウンリンクオーディオをフィルタ処理するための二次経路適応フィルタとを備え、前記適応雑音減少回路はさらに、前記フィルタ処理されたダウンリンクオーディオを前記第2のマイクロホン信号から除去し、前記周囲オーディオ音を表す誤差信号を前記変換器で生成する、コンバイナを備え、前記較正回路は、前記二次経路応答に従って、前記側音信号への前記第2のマイクロホン信号の応答を推定する、請求項8に記載の集積回路。
前記システムは、筐体をさらに備える電話であり、前記変換器は、前記筐体上に搭載され、前記第2のマイクロホンは、前記変換器に近接して前記筐体上に搭載され、前記第1のマイクロホンは、前記筐体上に搭載されている、請求項13に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(発明を実施するための最良モード)
本開示は、側音が実装される、パーソナルオーディオデバイス、例えば、ワイヤレスヘッドホン、ワイヤレス電話、インターネットプロトコル(IP)もしくは他の電話ハンドセット、ゲーム用ヘッドセット、または航空機、オートバイ、もしくは自動車システムのための通信ヘッドセット等のシステム内で実装され得る、技法および回路を明らかにする。パーソナルオーディオデバイスは、特定の機器、構成、物理的位置、および/または周囲環境のために較正され、側音情報を介して、その自身の音声のユーザの知覚を改良する、1つ以上の調節可能パラメータを有する、側音回路を含む。較正は、ユーザコマンドに応答して、または近傍発話が存在しないことを示す音声アクティビティ検出器(VAD)に応答して、行われてもよい。VADが、較正をトリガするために使用される場合、近傍発話が存在しないとき、側音が要求されず、したがって、較正は、通常動作を中断せずに行われることができる。周波数成形が、側音を発生させるために、ユーザの発話の低域通過、高域通過、および/または帯域通過フィルタ処理の形態で含まれてもよく、また、変換器から内耳への骨伝導によって提供される低周波数増強を補償する、低周波数カットフィルタを含んでもよい。
【0010】
側音は、それぞれ、スピーカと、ユーザの音声を捕捉するための第1のマイクロホンと、ユーザの耳に到達する音を捕捉するための第2のマイクロホンとを有する、2つのモノラルイヤホンを含む、ステレオヘッドセットによって提示されてもよい(ダウンリンクオーディオ等の再生オーディオとともに)。側音発生装置は、マイクロホンによって発生された信号に作用し、スピーカを介してユーザに聞こえるユーザの音声の音レベルおよび周波数コンテンツを最適化する。代替として、ユーザの音声を捕捉するために、各イヤホン上にマイクロホンを提供する代わりに、音声マイクロホンは、ユーザの口近傍に、例えば、ブームまたはストラップ上に提供される単一マイクロホンであってもよい。別の代替では、側音は、ワイヤレス電話の筐体上に変換器を有し、ユーザの音声を捕捉するための第1のマイクロホンと、変換器の出力を捕捉し、ユーザの耳に聞こえる音に近似させるための第2のマイクロホンとを伴う、ワイヤレス電話によって提示されてもよい。
【0011】
前述の構成のいずれかにおける側音発生システムは、マイクロホンを使用して、周囲雑音およびANC誤差測定の一部を形成し得る、アクティブ雑音消去(ANC)回路の有無にかかわらず、実装されてもよい。二次経路応答推定等のANC動作のために導出されるパラメータのうちの1つ以上は、側音信号に適用されるべき利得および/または周波数応答を判定する際に使用されてもよい。代替として、または組み合わせて、周囲雑音減少は、外耳道を密閉する、または耳を覆って密閉する、モノラルイヤホンによって提供されることができる。側音発生装置は、第1および第2のマイクロホンによって検出される際のユーザの音声の音レベルを等化してもよく、雑音減少の方法に適切な付加的プリセット利得オフセットおよびユーザの耳に到達する音を検出するマイクロホンの位置を含んでもよい。さらに別の代替として、側音発生装置は、第1および第2のマイクロホンによって検出される際のユーザの音声の音レベルを等化し、さらに、最も望ましい側音レベルを達成するために、利得オフセットの手動ユーザ制御を可能にしてもよい。
【0012】
図1Aは、ワイヤレス電話10と、それぞれ、聴取者の対応する耳5A、5B内に挿入される、一対のイヤホンEB1およびEB2とを示す。図示されるワイヤレス電話10は、本明細書の技法が採用され得るデバイスの実施例であるが、ワイヤレス電話10または後続例証に描写される回路に図示される要素または構成の全てが要求されるわけではないことを理解されたい。特に、ワイヤレス電話10内にあるように以下に図示される回路の一部または全部は、代替として、イヤホンEB1、EB2を有線構成で相互接続するコード搭載モジュール内に実装される、またはイヤホンEB1、EB2自体内に実装されてもよい。ワイヤレス電話10は、有線またはワイヤレス接続、例えば、Bluetooth(登録商標)
TM接続(Bluetooth(登録商標)は、Bluetooth SIG,Inc.の商標名である)によって、イヤホンEB1、EB2に接続される。イヤホンEB1、EB2はそれぞれ、ワイヤレス電話10から受信された遠隔発話、着信音、記憶されたオーディオプログラム材料、および近傍端発話(すなわち、ワイヤレス電話10のユーザの発話)の取り込みである、側音を含む、ソースオーディオを再現する、スピーカSPKR1、SPKR2等の対応する変換器を有する。ソースオーディオはまた、ワイヤレス電話10が、ワイヤレス電話10によって受信されたウェブページまたは他のネットワーク通信からのソースオーディオ等を再現するために要求される、任意の他のオーディオと、バッテリ低下および他のシステムイベント通知等のオーディオインジケーションとを含む。
【0013】
第1のマイクロホンM1A、M1Bは、ユーザの発話を受信するために、個別のイヤホンEB1、EB2の筐体の表面上に提供され、代替として、ブーム上に搭載される、またはコード搭載モジュール7内に位置してもよい。以下に説明されるような適応雑音消去(ANC)を含む、実施形態では、第1のマイクロホンM1A、M1Bはまた、周囲音響環境を測定するための参照マイクロホンとしての役割を果たす。第2のマイクロホンM2A、M2Bは、スピーカSPKR1、SPKR2によって再現される音の聴取者の知覚がより正確にモデル化され得るように、イヤホンEB1、EB2が、耳5A、5Bの外側部分に挿入されるとき、対応する耳5A、5Bに近接する個別のスピーカSPKR1、SPKR2によって再現されるオーディオを測定するために提供される。特に、ユーザに聞こえる際の側音情報の応答の判定は、以下に説明される回路内で利用される。第2のマイクロホンM2A、M2Bは、以下に説明されるようなANCを含み、ユーザに聞こえる際の側音の推定に加え、ANCシステムの周囲雑音消去性能の測定を提供する、実施形態では、誤差マイクロホンとして機能してもよい。
【0014】
ワイヤレス電話10は、随意に、ANC機能性を提供することに加え、以下に説明されるように、側音較正および等化を行う回路および特徴を含む。ワイヤレス電話10内の例示的回路14は、第1のマイクロホンM1A、M1B、第2のマイクロホンM2A、M2Bから信号を受信し、ワイヤレス電話送受信機を含有するRF集積回路12等の他の集積回路とインターフェースをとる、オーディオ集積回路20を含む。代替場所として、マイクロホンM1Cは、ワイヤレス電話10の筐体上に、またはマイクロホンM1Dは、コード搭載モジュール7上に設置される。他の実装では、本明細書に開示される回路および技法は、MP3プレーヤオンチップ集積回路またはイヤホンEB1、EB2の片方内に実装されるワイヤレス電話等のパーソナルオーディオデバイスの全体を実装するための制御回路および他の機能性を含有する、単一集積回路内に組み込まれてもよい。他の実施形態では、以下の
図1Bに図示されるように、ワイヤレス電話10Aは、第1および第2のマイクロホンおよびスピーカと、側音較正とを含み、等化は、ワイヤレス電話10内の集積回路によって行われる。例証の目的のために、側音回路は、ワイヤレス電話10内に提供されるように説明されるであろうが、前述の変形例は、当業者によって理解可能であり、要求される場合、イヤホンEB1、EB2、ワイヤレス電話10、および第3のモジュール間で要求される結果として生じる信号は、それらの変形例のために容易に判定されることができる。
【0015】
図1Bは、ヒトの耳5に近接してスピーカSPKRを含む、例示的ワイヤレス電話10Aを示す。図示されるワイヤレス電話10Aは、本明細書に図示される技法が採用され得る、デバイスの実施例であるが、図示されるワイヤレス電話10Aまたは後続例証に描写される回路内で具現化される要素もしくは構成が全て、要求されるわけではないことを理解されたい。ワイヤレス電話10Aは、着信音、記憶されたオーディオプログラム材料、近傍端発話、ワイヤレス電話10によって受信されたウェブページまたは他のネットワーク通信からのソース、ならびにバッテリ低下および他のシステムイベント通知等のオーディオインジケーション等の他のローカルオーディオイベントとともに、ワイヤレス電話10Aによって受信された遠隔発話を再現する、スピーカSPKR等の変換器を含む。マイクロホンM1は、ワイヤレス電話10Aから他の会話参加者に伝送される、近傍端発話を捕捉するために提供される。
【0016】
ワイヤレス電話10Aは、本明細書に説明されるような側音回路を含み、また、雑音防止信号をスピーカSPKRに取り込み、スピーカSPKRによって再現される遠隔発話および他のオーディオの明瞭度を改良する、本明細書に説明されるようなANC回路および特徴を含んでもよい。さらに、
図1Bは、
図1Aのシステム内にもまた存在するが、明確にするために、
図1Bにのみ図示される、種々の音響経路および参照点を図示する。したがって、以下の議論はまた、
図1Aのシステムにも適用可能であり、イヤホンベースの用途ならびに筐体搭載変換器用途にも適用されることを理解されたい。第2のマイクロホンである、マイクロホンM2は、ワイヤレス電話10が、側音較正を行うために、およびANC用途では、ユーザに聞こえる際の周囲オーディオ音を示す誤差信号を提供するために、耳5に近接近するとき、耳5に近接するスピーカSPKRによって再現されるオーディオを測定するために提供される。理想的には、側音信号は、聴取者に聞こえる音を表す、鼓膜参照位置DRPにおける最良周波数応答および利得のために最適化される。マイクロホンM2は、誤差参照位置ERPにおいてオーディオを測定し、側音は、誤差参照位置ERPにおいて所望の結果を得るように較正されることができる。固定等化は、側音応答を調節し、鼓膜参照位置DRPに存在する側音を最適化し、加えて、
図1Aのシステム内のイヤホンEB1、EB2間の接触または
図1Bのシステム内のワイヤレス電話10Aの筐体との接触に起因する骨伝導を補償するために使用されることができる。ワイヤレス電話10Aはまた、参照マイクロホンREF、マイクロホンM1、およびマイクロホンM2から信号を受信し、RF集積回路12等の他の集積回路とインターフェースをとる、オーディオ集積回路20を含む。他の実装では、本明細書に開示される回路および技法は、MP3プレーヤオンチップ集積回路等のパーソナルオーディオデバイスの全体を実装するための制御回路および他の機能性を含有する、単一集積回路内に組み込まれてもよい。第3のマイクロホンである、参照マイクロホンREFは、随意に、ANC用途では、周囲音響環境を測定するために提供され、近傍端発話が参照マイクロホンREFによって生成された信号内で最小限にされるように、ユーザの口の典型的位置から離れて位置付けられる。一次音響経路P(z)は、誤差参照位置ERPにおける周囲音響雑音を消去するために、ANCシステム内で適応的にモデル化される、応答を図示し、二次電気音響経路S(z)は、オーディオ集積回路20から、スピーカSPKRを通り、かつマイクロホンM2を通る伝達関数を表す、側音等化およびANC動作の両方のために本開示でモデル化される、応答を図示する。
【0017】
以下に示される回路およびシステムは、最終的に、スピーカSPKR(またはスピーカSPKR1、SPKR2)によって再現される、側音情報を発生させるために、等化(EQ)を較正および適用し、応答H
ST(z)をマイクロホンM1(またはマイクロホンM1A、M1B)によって発生された信号に適用する。側音応答を最適化する目標は、聴取者に、イヤホンEB1、EB2によって閉塞されていないかのように、またはワイヤレス電話10Aが存在するかのように、その自身音声が聞こえる経験をもたらすことである。以下の表Iは、聴取者に聞こえる側音を生成する際に伴われる音響および電気経路を構成する、伝達関数を示す。
【表1】
側音較正の目標は、
【化1】
のみによって、聴取者の口から鼓膜参照位置DRPに変換されるかのように、側音を作成することであり、これは、以下を要求する。
【数1】
表Iに列挙された種々の応答のうち、
【化2】
は、概して、十分な正確度を伴って、先験的に判定されることができる。応答SE(z)は、以下に開示される回路によって、正確に推定されることができる。動的に、
【化3】
は、推定された二次経路応答SE(z)に従って、実験「標準的ヘッド」測定データから判定される値をルックアップすることによって、大まかに判定されることができる。以下に説明される較正では、H
ST(z)の値は、二次経路応答Sを推定し、応答SE(z)を求め、次いで、所定の応答およびルックアップまたは応答SE(z)からの他のモデル化によって判定される応答を使用して、側音信号に適用されるべき等化H
ST(z)を算出することによって、判定される。いくつかの実装では、H
ST(z)のための利得のみ、判定される。他の実装では、H
ST(z)は、周波数依存であり、随意に、位相依存応答となるであろう。前述の応答のいくつかを推定する他の式も、可能性として考えられ、例えば、
【化4】
は、固定応答と仮定され、低カットフィルタが、骨伝導を補償するために、等化と併せて適用され得る。
【0018】
ここで
図2を参照すると、イヤホンEB1、EB2およびワイヤレス電話10内の回路が、ブロック図に示される。
図2に示される回路はさらに、前述の他の構成にも適用されるが、コーデック集積回路20とワイヤレス電話10内の他のユニットとの間の信号伝達は、オーディオ集積回路20A、20Bが、ワイヤレス電話10の外側、例えば、対応するイヤホンEB1、EB2内に位置するとき、ケーブルまたはワイヤレス接続によって提供される。そのような構成では、集積回路20A−20Bを実装する単一集積回路20と、誤差マイクロホンE1、E2、参照マイクロホンR1、R2、およびスピーカSPKR1、SPKR2との間の信号伝達は、オーディオ集積回路20がワイヤレス電話10内に位置するとき、有線またはワイヤレス接続によって提供される。図示される実施例では、オーディオ集積回路20A、20Bは、別個として示され、実質的に同じ回路であり、したがって、オーディオ集積回路20Aのみ、以下に詳細に説明される。
【0019】
オーディオ集積回路20Aは、第1のマイクロホン信号を参照マイクロホンM1Aから受信し、第1のマイクロホン信号のデジタル表現m1を発生させるためのアナログ/デジタルコンバータ(ADC)21Aを含む。オーディオ集積回路20Aはまた、第2のマイクロホン信号を第2のマイクロホンM2Aから受信し、第2のマイクロホンのデジタル表現m2を発生させるためのADC21Bを含む。オーディオ集積回路20Bは、1つのみの周囲マイクロホンがイヤホンEB1、EB2の一方の筐体上に提供される用途では、前述のように、ワイヤレスまたは有線接続を介して、マイクロホン信号m1のデジタル表現をオーディオ集積回路20Aから受信してもよい。オーディオ集積回路20Aは、内部オーディオソース24からのオーディオ信号ia、側音情報st、および無線周波数(RF)集積回路22から提供されるダウンリンク発話dsを含有する、側音発生器30の出力st+ds+iaを受信する、デジタル/アナログコンバータ(DAC)23の出力を増幅させる、増幅器A1から、スピーカSPKR1を駆動させるための出力を発生させる。側音発生器30は、ワイヤレス電話10のユーザが、ダウンリンク発話dsと適切な関係において、その自身の音声が聞こえるように、マイクロホン信号m1に対する側音情報stの利得および/または周波数応答を最適化する。マイクロホン信号m1はまた、RF集積回路22に提供され、アンテナANTを介して、サービスプロバイダにアップリンク発話として伝送される。前述の構成のいずれかでは、マイクロホンM1Aからのマイクロホン信号は、
図1A−1Bに図示されるように、マイクロホンM1およびM1B−M1Dのいずれかからのマイクロホン信号によって置換されることができる。側音発生器30は、スピーカSPKR1、SPKR2によって再現される側音情報stに対する第2のマイクロホンM2A、M2Bにおける応答を測定することによって、較正される。較正は、起動時、ユーザコマンドに応答して、または音声アクティビティが開始した、したがって、発話情報が側音発生器30の周波数応答および利得を訓練するために存在することを検出する、音声アクティビティ検出器25に応答して、周期的に行われてもよい。
【0020】
ここで
図3を参照すると、
図2のオーディオ集積回路20Aおよび20B内の例示的側音発生器回路30の詳細が、示される。側音イコライザ(EQ)42は、マイクロホン信号m1を受信し、周波数応答H
ST(z)および/または利得をマイクロホン信号m1に適用し、側音情報stを発生させる。側音EQ42は、概して、複数のチャネル内に設計された、または複数の周波数バンドにわたって及ぶ所望の応答曲線によって判定される応答を発生させる係数を有する、有限インパルス応答(FIR)フィルタによって提供され得る、マルチバンドフィルタである。側音EQ42内の制御回路は、側音情報stを発生させるために、二次経路の出力推定係数制御33を受信し、二次経路推定応答を使用し、少なくとも部分的に、マイクロホン信号m1に適用されるべき応答H
ST(z)を判定する。ダウンリンク発話dsは、コンバイナ36Aによって、内部オーディオ情報iaと組み合わせられ、ソースオーディオ信号ds+iaを生成し、コンバイナ36Cは、ソースオーディオ信号ds+iaと側音情報stを組み合わせ、側音発生器30の出力st+ds+iaを生成する。組み合わせられたソースオーディオおよび側音情報出力信号st+ds+iaは、SE係数制御ブロック33によって制御される応答SE(z)を有する、二次経路適応フィルタ34Aの入力に提供される。SE係数制御ブロック33は、側音情報stが二次経路適応フィルタ34Aの推定された二次応答SE(z)に影響を及ぼさないように、ソースオーディオ信号ds+iaである、コンバイナ36Aの出力を受信する。
【0021】
ソースオーディオds+iaに加え、SE係数制御ブロック33は、組み合わせられたソースオーディオおよび側音情報出力信号st+ds+iaの成分がコンバイナ36Bによって除去された、マイクロホン信号m2のバージョンを受信する。コンバイナ36Bによって除去されたソースオーディオおよび側音の成分は、二次経路適応フィルタ34Aによってフィルタ処理され、マイクロホン信号m2から誤差マイクロホンEに送達される、予期されるソースオーディオおよび側音を表す。SE係数制御ブロック33は、誤差信号eおよびソースオーディオds+iaを比較し、それらの間で相関される成分を最小限にする。適応フィルタ34Aは、それによって、マイクロホン信号m2から減算されると、誤差信号eである、ソースオーディオds+iaまたは側音情報stに起因しない、マイクロホン信号m2のコンテンツを含有する、出力信号を組み合わせられたソースオーディオおよび側音情報st+ds+iaから発生させるように適応される。SE係数制御ブロック33の出力は、二次音響経路Sの推定SE(z)を表すため、側音EQ42は、係数のうちの1つ以上のを使用し、マイクロホン信号m1に適用される周波数応答H
ST(z)を制御し、側音情報stを発生させることができる。誤差レベル検出器35は、誤差信号eのレベルのインジケーションを側音EQ42に提供し、誤差信号eの振幅が高すぎる場合、側音EQ42を制御し、デフォルトパラメータをアサートする、較正をトリガする、または他の補正作用を行うために使用されることができる。
【0022】
ここで
図4を参照すると、別の実施例による、イヤホンEB1、EB2およびワイヤレス電話10内の回路が、ブロック図に示される。
図4に示される回路は、
図2に示され、前述された構成に類似するが、ANC能力が、加えて、
図4のシステム内に側音発生を実装する、オーディオ集積回路20C、20D内に含まれる。したがって、
図2のシステムと
図4のシステムとの間の差異のみ、以下に説明される。
図4のシステムでは、ANCおよび側音発生器回路30Aが、側音発生器30に取って代わり、ANCおよび側音発生器回路30A内のANC回路によって発生される雑音防止消去信号を含む、出力st+ds+ia−antinoiseを提供する。ANC回路が作用するための周囲雑音の測定を提供するために、参照マイクロホンREFからの信号が、ANCおよび側音発生器回路30Aに提供される、参照マイクロホン信号のデジタル表現refを発生させる、ADC21Cに提供される。
【0023】
ここで
図5を参照すると、
図4のオーディオ集積回路20Cおよび20D内の例示的ANCおよび側音発生器回路30Aの詳細が、示される。
図5に示される例示的ANCおよび側音発生器回路30Aは、
図3に示され、前述された側音発生器30に類似する。したがって、
図3の回路と
図5の回路との間の差異のみ、以下に説明される。ANCおよび側音発生器回路30Aでは、適応フィルタ32は、参照マイクロホン信号refを受信し、理想的状況下、その伝達関数W(z)をP(z)/S(z)となるように適応し、雑音防止信号anti−noiseを発生させ、これは、雑音防止信号と組み合わせられた側音およびソースオーディオst+ds+iaを組み合わせ、変換器によって再現されるべき出力信号st+ds+ia−antinoiseを発生させる、出力コンバイナ36Dに提供される。適応フィルタ32の係数は、誤差信号eおよび参照マイクロホン信号refの相関を使用して、概して、誤差マイクロホン信号err内に存在する参照マイクロホン信号refのそれらの成分間の最小2乗平均の意味における誤差を最小限にする、適応フィルタ32の応答を判定する、W係数制御ブロック31によって制御される。係数制御ブロック31に提供される参照マイクロホン信号refは、参照マイクロホンREFによって測定される周囲雑音がマイクロホンM2の位置で参照されるように、フィルタ34Bによって提供される経路S(z)の応答の推定のコピーによって成形される。
図1Aに示される実装では、参照マイクロホン信号refは、マイクロホンM1A、M1Bが周囲雑音の測定を提供するため、マイクロホン信号m1と置換されることができる。
【0024】
図6を参照すると、
図1A−1Bおよび2−6に描写されるシステムを較正する方法が、フロー図に図示される。システムは、側音EQ(ステップ70)のための以前に記憶されたまたは所定の応答値で初期化され、側音が、記憶された値を使用して等化される(ステップ71)。ユーザが較正を命令する場合(決定72)、音声アクティビティが閾値を上回る(決定73)、または周期的較正間隔が終了する場合(決定74)、側音応答が、測定され、新しい較正値が、記憶される(ステップ75)。システムがシャットダウンする、または側音EQスキームが終了するまで(決定76)、ステップ70−75のプロセスは、繰り返される。
【0025】
ここで
図7を参照すると、
図3に描写されるようなANC技法を実装し、1つの回路内に組み合わせられるように図示されるが、相互通信する2つ以上の処理回路として実装され得る、
図2のオーディオ集積回路20A、20Bおよび
図4のオーディオ集積回路20C、20D内に実装され得るような処理回路100を有するためのANCシステムのブロック図が、示される。処理回路100は、前述のANC技法の一部または全部ならびに他の信号処理を実装し得るコンピュータプログラム製品を備える、プログラム命令が記憶されたメモリ104に結合される、プロセッサコア102を含む。随意に、専用デジタル信号処理(DSP)論理106が、処理回路100によって提供されるANC信号処理の一部、または代替として、全部を実装するために提供されてもよい。処理回路100はまた、マイクロホンM1A、M1B、M2A、M2B、および参照マイクロホンREFから入力を受信するためのADC21A−21Eを含む。マイクロホンM1A、M1B、M2A、M2B、および参照マイクロホンREFのうちの1つ以上のが、デジタル出力を有する、または遠隔ADCからのデジタル信号として通信される、代替実施形態では、ADC21A−21Eの対応するものは、省略され、デジタルマイクロホン信号は、直接、処理回路100とインターフェースをとられる。DAC23Aおよび増幅器A1もまた、前述のように、anti−noiseを含む、スピーカ出力信号をスピーカSPKR1に提供するために、処理回路100によって提供される。同様に、DAC23Bおよび増幅器A2は、別のスピーカ出力信号をスピーカSPKR2に提供する。スピーカ出力信号は、デジタル出力信号を音響的に再現するモジュールへの提供のためのデジタル出力信号であってもよい。
【0026】
本発明は、その好ましい実施形態を参照して詳細に図示および説明されたが、形態および詳細における前述および他の変更が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書で行われ得ることは、当業者によって理解されるであろう。
【0027】
(項目1)
システムであって、上記システムは、
発話を受信し、第1のマイクロホン信号を発生させるための第1のマイクロホンと、
上記第1のマイクロホン信号から側音信号を発生させるための側音回路であって、上記側音回路は、上記第1のマイクロホン信号と上記側音信号との間の関係を改変するための少なくとも1つの調節可能係数を有する、側音回路と、
ダウンリンクオーディオおよび上記側音信号を聴取者の耳で再現するための変換器と、
上記聴取者の耳に送達される際の上記変換器の出力を測定し、第2のマイクロホン信号を発生させるための第2のマイクロホンと、
上記側音信号への上記第2のマイクロホン信号の応答を推定し、上記推定された応答に従って、上記側音回路の調節可能係数を調節するための較正回路と
を備える、システム。
(項目2)
上記側音回路の調節可能係数は、上記側音信号を発生させるために上記第1のマイクロホン信号に適用される利得である、項目1に記載のシステム。
(項目3)
上記側音回路の調節可能係数は、上記側音信号を発生させるために上記第1のマイクロホン信号に適用される周波数依存応答である、項目1に記載のシステム。
(項目4)
少なくとも1つの適応フィルタを使用して周囲オーディオ音を消去するための雑音防止信号を発生させる、適応雑音減少回路をさらに備え、上記適応雑音減少回路は、上記第2のマイクロホン信号に従って、上記雑音防止信号を発生させ、上記較正回路は、上記少なくとも1つの適応フィルタの係数から、上記側音信号への上記第2のマイクロホン信号の応答を推定する、項目1に記載のシステム。
(項目5)
上記周囲オーディオ音を測定し、参照マイクロホン信号を発生させるための参照マイクロホンをさらに備え、上記少なくとも1つの適応フィルタは、上記参照マイクロホン信号をフィルタ処理し、上記雑音防止信号を発生させるための第1の適応フィルタと、適応二次経路応答を用いて上記ダウンリンクオーディオをフィルタ処理するための二次経路適応フィルタとを備え、上記適応雑音減少回路はさらに、上記フィルタ処理されたダウンリンクオーディオを上記第2のマイクロホン信号から除去し、上記周囲オーディオ音を表す誤差信号を上記変換器で生成する、コンバイナを備え、上記較正回路は、上記二次経路応答に従って、上記側音信号への上記第2のマイクロホン信号の応答を推定する、項目4に記載のシステム。
(項目6)
上記変換器および上記第2のマイクロホンは、上記システムの装着式イヤホン内に搭載されている、項目1に記載のシステム。
(項目7)
第2のダウンリンクオーディオおよび第2の側音信号を上記聴取者の別の耳で再現するための第2の変換器と、
上記聴取者の他方の耳に送達される際の上記第2の変換器の出力を測定し、第3のマイクロホン信号を発生させるための第3のマイクロホンであって、上記側音回路はさらに、上記第1のマイクロホン信号から上記第2の側音信号を発生させ、上記側音回路は、上記第1のマイクロホン信号と上記第2の側音信号との間の第2の関係を改変するための少なくとも1つの第2の調節可能係数を有し、上記較正回路はさらに、上記第2の側音信号への上記第3のマイクロホン信号の第2の応答を推定し、上記推定された応答に従って、上記側音回路の少なくとも1つの第2の調節可能係数を調節する、第3のマイクロホンと
をさらに備える、項目6に記載のシステム。
(項目8)
上記較正回路はさらに、上記側音信号と上記第2の側音信号との間の平衡を調節する、項目7に記載のシステム。
(項目9)
上記システムは、筐体をさらに備える電話であり、上記変換器は、上記筐体上に搭載され、上記第2のマイクロホンは、上記変換器に近接して上記筐体上に搭載され、上記第1のマイクロホンは、上記筐体上に搭載されている、項目1に記載のシステム。
(項目10)
集積回路であって、上記集積回路は、
発話を含有する第1のマイクロホン信号を受信するための第1の入力と、
上記第1のマイクロホン信号から側音信号を発生させるための側音回路であって、上記側音回路は、上記第1のマイクロホン信号と上記側音信号との間の関係を改変するための少なくとも1つの調節可能係数を有する、側音回路と、
聴取者の耳で再現するために、ダウンリンクオーディオおよび上記側音信号を含有する出力信号を変換器に提供するための出力と、
上記聴取者の耳に送達される際の上記変換器の出力を示す第2のマイクロホン信号を受信するための第2の入力と、
上記側音信号への上記第2のマイクロホン信号の応答を推定し、上記推定された応答に従って、上記側音回路の調節可能係数を調節するための較正回路と
を備える、集積回路。
(項目11)
上記側音回路の調節可能係数は、上記側音信号を発生させるために上記第1のマイクロホン信号に適用される利得である、項目10に記載の集積回路。
(項目12)
上記側音回路の調節可能係数は、上記側音信号を発生させるために上記第1のマイクロホン信号に適用される周波数依存応答である、項目10に記載の集積回路。
(項目13)
少なくとも1つの適応フィルタを使用して周囲オーディオ音を消去するための雑音防止信号を発生させる、適応雑音減少回路をさらに備え、上記適応雑音減少回路は、上記第2のマイクロホン信号に従って、上記雑音防止信号を発生させ、上記較正回路は、上記少なくとも1つの適応フィルタの係数から、上記側音信号への上記第2のマイクロホン信号の応答を推定する、項目10に記載の集積回路。
(項目14)
上記周囲オーディオ音を示す参照マイクロホン信号を受信するための参照マイクロホン入力をさらに備え、上記少なくとも1つの適応フィルタは、上記参照マイクロホン信号をフィルタ処理し、上記雑音防止信号を発生させるための第1の適応フィルタと、適応二次経路応答を用いて上記ダウンリンクオーディオをフィルタ処理するための二次経路適応フィルタとを備え、上記適応雑音減少回路はさらに、上記フィルタ処理されたダウンリンクオーディオを上記第2のマイクロホン信号から除去し、上記周囲オーディオ音を表す誤差信号を上記変換器で生成する、コンバイナを備え、上記較正回路は、上記二次経路応答に従って、上記側音信号への上記第2のマイクロホン信号の応答を推定する、項目13に記載の集積回路。
(項目15)
第2の出力信号を、第2のダウンリンクオーディオおよび第2の側音信号を上記聴取者の別の耳で再現するための第2の変換器に提供するための第2の出力と、
上記聴取者の他方の耳に送達される際の上記第2の変換器の出力を示す第3のマイクロホン信号を受信するための第3の入力であって、上記側音回路はさらに、上記第1のマイクロホン信号から上記第2の側音信号を発生させ、上記側音回路は、上記第1のマイクロホン信号と上記第2の側音信号との間の第2の関係を改変するための少なくとも1つの第2の調節可能係数を有し、上記較正回路はさらに、上記第2の側音信号への上記第3のマイクロホン信号の第2の応答を推定し、上記推定された応答に従って、上記側音回路の少なくとも1つの第2の調節可能係数を調節する、第3の入力と
をさらに備える、項目14に記載の集積回路。
(項目16)
上記較正回路はさらに、上記側音信号と上記第2の側音信号との間の平衡を調節する、項目15に記載の集積回路。
(項目17)
システム内に側音を提供するための方法であって、上記方法は、
第1のマイクロホンを用いて発話を受信し、第1のマイクロホン信号を発生させることと、
上記第1のマイクロホン信号と上記側音信号との間の関係を改変するための少なくとも1つの調節可能係数に従って、上記第1のマイクロホン信号から側音信号を発生させることと、
変換器を用いて、ダウンリンクオーディオおよび上記側音信号を聴取者の耳で再現することと、
第2のマイクロホンを用いて、上記聴取者の耳に送達される際の上記変換器の出力を測定し、第2のマイクロホン信号を発生させることと、
較正回路を用いて、上記側音信号への上記第2のマイクロホン信号の応答を推定し、上記推定された応答に従って、上記調節可能係数を調節することと
を含む、方法。
(項目18)
上記調節可能係数は、上記側音信号を発生させるために上記第1のマイクロホン信号に適用される利得である、項目17に記載の方法。
(項目19)
上記調節可能係数は、上記側音信号を発生させるために上記第1のマイクロホン信号に適用される周波数依存応答である、項目17に記載の方法。
(項目20)
少なくとも1つの適応フィルタを適応させることによって周囲オーディオ音を消去するための雑音防止信号を発生させることであって、上記発生させることは、上記第2のマイクロホン信号に従って、上記雑音防止信号を発生させ、上記再現することは、上記雑音防止信号を上記ダウンリンクオーディオおよび上記側音信号と組み合わせる、ことと、
上記少なくとも1つの適応フィルタの係数から、上記側音信号への上記第2のマイクロホン信号の応答を推定することと
をさらに含む、項目17に記載の方法。
(項目21)
参照マイクロホンを用いて、上記周囲オーディオ音を測定し、参照マイクロホン信号を発生させることと、
上記参照マイクロホン信号をフィルタ処理し、上記雑音防止信号を発生させる、適応フィルタを適応させることと、
適応二次経路応答を用いて、上記ダウンリンクオーディオをフィルタ処理することと、
上記フィルタ処理されたダウンリンクオーディオを上記第2のマイクロホン信号から除去し、上記周囲オーディオ音を表す誤差信号を上記変換器で生成することであって、上記適応させることは、上記誤差信号に従って、上記適応フィルタを適応させる、ことと、
上記二次経路応答に従って、上記側音信号への上記第2のマイクロホン信号の応答を推定することと
をさらに含む、項目17に記載の方法。
(項目22)
上記変換器および上記第2のマイクロホンは、上記システムの装着式イヤホン内に搭載されている、項目17に記載の方法。
(項目23)
第2のダウンリンクオーディオおよび第2の側音信号を上記聴取者の別の耳で再現することと、
上記聴取者の他方の耳に送達される際の上記第2の変換器の出力を測定し、第3のマイクロホン信号を発生させることと、
少なくとも1つの第2の調節可能係数に従って、上記第1のマイクロホン信号から上記第2の側音信号を発生させることと、
上記第1のマイクロホン信号と上記第2の側音信号との間の第2の関係を改変することと、
上記第2の側音信号への上記第3のマイクロホン信号の第2の応答を推定し、上記推定された応答に従って、上記少なくとも1つの第2の調節可能係数を調節することと
をさらに含む、項目22に記載の方法。
(項目24)
上記側音信号と上記第2の側音信号との間の平衡を調節することをさらに含む、項目23に記載の方法。
(項目25)
上記システムは、筐体をさらに備える電話であり、上記変換器は、上記筐体上に搭載され、上記第2のマイクロホンは、上記変換器に近接して上記筐体上に搭載され、上記第1のマイクロホンは、上記筐体上に搭載されている、項目17に記載の方法。