(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6573625
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】型枠支持構造のためのアダプタ
(51)【国際特許分類】
E04G 25/00 20060101AFI20190902BHJP
【FI】
E04G25/00 A
E04G25/00 B
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-555567(P2016-555567)
(86)(22)【出願日】2015年3月3日
(65)【公表番号】特表2017-507264(P2017-507264A)
(43)【公表日】2017年3月16日
(86)【国際出願番号】AU2015000117
(87)【国際公開番号】WO2015131229
(87)【国際公開日】20150911
【審査請求日】2018年2月27日
(31)【優先権主張番号】2014900721
(32)【優先日】2014年3月4日
(33)【優先権主張国】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】513325052
【氏名又は名称】フォーム 700 ピーティーワイ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FORM 700 PTY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロザーティ、エミリオ
【審査官】
西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/139102(WO,A1)
【文献】
独国特許出願公開第19636091(DE,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0193663(US,A1)
【文献】
英国特許出願公告第00741730(GB,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0075042(US,A1)
【文献】
実公昭46−030338(JP,Y1)
【文献】
実開平05−000848(JP,U)
【文献】
実開昭62−131550(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 25/00
E04G 11/48
E04G 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下側型枠支持部と、前記下側型枠支持部に支持されるように構成されたアダプタとを含む型枠支持構造であって、
前記下側型枠支持部は、1個の垂直支持体と、前記1個の垂直支持体から上向きに延びる複数の上向きフィンガ部を画定するクラウンとを含み、
前記アダプタは、
前記下側型枠支持部に対して前記アダプタを位置付けするための略箱形状の取り付け部と、
前記取り付け部の上に支持されている上側型枠支持部とを備え、
前記取り付け部は、前記クラウンの前記フィンガ部の間に入れ子状に入るように適合されることを特徴とする型枠支持構造。
【請求項2】
請求項1に記載の型枠支持構造であって、
前記下側型枠支持部が、型枠の直接の支持体を提供するように適合されることを特徴とする型枠支持構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の型枠支持構造であって、
前記下側型枠支持部が、型枠パネルの直接的な支持を提供するように適合されることを特徴とする型枠支持構造。
【請求項4】
請求項1に記載の型枠支持構造であって、
前記上側型枠支持部は、型枠パネルの間接的な支持を提供するように適合されることを特徴とする型枠支持構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の型枠支持構造であって、
前記上側型枠支持部は、型枠のベアラのためのU字形状の支持部であることを特徴とする型枠支持構造。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の型枠支持構造であって、
前記取り付け部は、前記下側型枠支持部に対して前記アダプタを固定するための固定手段を含むことを特徴とする型枠支持構造。
【請求項7】
請求項5に記載の型枠支持構造であって、
前記上側型枠支持部が、ベース部と、複数の上向きに延びるベアラガイドとを備えることを特徴とする型枠支持構造。
【請求項8】
請求項1に記載の型枠支持構造であって、
前記下側型枠支持部が、型枠の間接的な支持を提供するように適合されることを特徴とする型枠支持構造。
【請求項9】
請求項8に記載の型枠支持構造であって、
前記上側型枠支持部が、型枠の直接的な支持を提供するように適合されることを特徴とする型枠支持構造。
【請求項10】
請求項8または9に記載の型枠支持構造であって、
前記下側型枠支持部は、型枠のベアラのための支持部であることを特徴とする型枠支持構造。
【請求項11】
型枠パネル支持体であって、1個の垂直支持体と、前記1個の垂直支持体から上向きに延びる複数の上向きフィンガ部を画定するクラウンとを含む、該型枠パネル支持体を含むクラウンタイプの型枠支持構造のためのアダプタであって、
前記クラウンに対して前記アダプタを位置付けするための取り付け部を備え、 前記取り付け部は、それぞれ互いに反対側に位置する一対の側壁と一対の端部壁とを含む略箱形状を有し、前記一対の端部壁は、前記一対の側壁より長く、前記側壁より低い位置まで延び、
前記取り付け部は、前記クラウンに取り付けられるとき前記クラウンの前記フィンガ部の間に入れ子状に入るように適合され、
前記取り付け部は更に、前記一対の端部壁の各々の上に、前記取り付け部を前記型枠パネル支持体に固定するための固定手段を含むことを特徴とするアダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2014年3月4日を出願日とする「A FRAMEWORK BEARER SUPPORT BRACKET」というタイトルのオーストラリア特許仮出願第2014900721号を基礎とする優先権を主張するものであり、この出願の内容は、引用により本明細書の一部とする。
次の同時係属出願は、以下の明細書の記載中で参照される。
・オーストラリア特許仮出願第2012903312号を基礎とする優先権を主張し、2013年8月2日を国際出願日とする「FORMWORK SUPPORT ELEMENT」というタイトルの国際特許出願PCT/AU2013/000855。
この出願の内容は、引用により本発明の一部とする。
本発明は、コンクリート型枠に関する。本発明は、特定の形態として、コンクリート型枠支持構造のためのアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
建物の建設中に、コンクリート建築物においては型枠が用いられ、この型枠は、例えば床スラブや梁等の要素の形成のために濡れた状態のコンクリートを流し込むことができる型または表面を提供する。床スラブの場合、複数階の建物の床が連続して形成されること、及びその後により高い階を形成するために前の床の上に型枠が配置されることが一般的である。
【0003】
通常、フレームワークすなわち足場が、ロスト(すなわち再利用できない)型枠、またはひとたびコンクリートが硬化されたときコンクリートスラブから取り外され、再利用され得る型枠のいずれかを含む立設型を支持するために用いられる。再使用可能な型枠は、足場の最上部で支持されるアルミニウムの型枠パンを含み得る。或いは、ベアラ(bearer)上に支持されるシートまたはボードをフレームワークの上で用いてもよい。
【0004】
アルミニウム製の型枠パンは、通常は平坦な矩形の形状であり、型枠表面から下向きに延びるリップ部または縁部を有する。これらのアルミニウム製パンは、足場直立部または支柱の上に位置し1つの垂直支持体から延び、4つの上向きのフィンガ部を有する「クラウン」フォークを介して支持され得、この場合4つのフィンガ部の各々が4つの隣接するアルミニウム製パンの角部を支持する。これらのクラウンは、これらのアルミニウム製型枠パン以外のあらゆるものを支持するためには装備が不十分である。
【0005】
本発明は、このような背景及びそれに関連する問題や課題に対して開発されたものである。
【0006】
本発明の一定の目的及び利点は、例示の目的で本発明の実施形態が開示された、添付の図面を参照した後述の説明からより明白となろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2014/019029号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、第1のタイプの型枠支持部
(下側型枠支持部)を含む型枠支持構造のためのアダプタであって、前記第1のタイプの型枠支持部に対して前記アダプタを位置付けするための取り付け部を備え、前記取り付け部は、第2のタイプの型枠支持部
(上側型枠支持部)を支持することを特徴とするアダプタ
と、前記第1のタイプの型枠支持部(下側型枠支持部)と前記アダプタを含む型枠支持構造とが提供される。
【0009】
一形態では、型枠支持部の一方または両方が、メス型支持部である。すなわち、両支持部が、型枠の対応する部分(すなわちベアラ)がぴったりと入れられる凹部であるか、そのような凹部を有する。
【0010】
一形態では、型枠支持部の一方または両方が、オス型支持部である。すなわち、両支持部が、型枠の対応する開口または凹部(すなわちベアラ)にぴったりと入るように作られた部分であるか、そのような部分を有する。
【0011】
一形態では、前記第1のタイプの型枠支持部が、型枠の直接の支持体を提供するように適合される。
【0012】
一形態では、前記第1のタイプの型枠支持部が、クラウンと称する1個の垂直支持体から延びる複数の上向きフィンガ部を含むものである。
【0013】
一形態では、前記取り付け部は、前記クラウンの前記フィンガ部の間に入れ子状に入るように適合される。
【0014】
一形態では、前記第2のタイプの型枠支持部は、型枠パネルの間接的な支持を提供するように適合される。一形態では、前記第2のタイプの型枠支持部は、型枠のためのベアラの支持部を提供するように適合される。一形態では、前記第2のタイプの型枠支持部は、ベアラを入れ子状に受容する形状にすることによって、そのように適合される。
【0015】
一形態では、前記第2のタイプの型枠支持部が、ベース部と、複数の上向きに延びるベアラガイドとを備える。
【0016】
一形態では、前記第2のタイプの型枠支持部が、概ねU字形状を有する。
【0017】
一形態では、前記取り付け部は、前記第1のタイプの型枠支持部に対して前記アダプタを固定するための固定手段を含む。この固定手段は、ファスナ、(クイックリリースクランプを含む)クランプ、ピン(バネ仕掛けのピンを含む)、またはねじ接続のなかの1つ以上を含み得るが、これらの限定されるものと考えるべきではない。
【0018】
一形態では、前記第1のタイプの型枠支持部は、少なくとも前記第1のタイプの型枠支持部に対する前記取り付け部の位置付けの安定の効果を発揮させるべく、前記アダプタの前記取り付け部と協働するように適合される。前記第1のタイプの型枠支持部は、前記取り付け部を入れ子状に受容する形状にすること、及び/または前記取り付け部を配置するための特徴(限定しないが、突起、ピン、またはショルダ部)を含めることによって、そのように適合され得る。
【0019】
一形態では、前記第1のタイプの型枠支持部は、前記第1のタイプの型枠支持部に対して前記取り付け部を固定する効果を発揮させるべく、前記アダプタの前記取り付け部と協働するように適合される。前記第1のタイプの型枠支持部は、それを所定の形状にすること、及び/または前記固定手段を協働する特徴を含めることによって、そのように適合され得る。
【0020】
本発明の第2の態様では、型枠支持構造のためのアダプタであって、垂直支持体であるクラウンに対して前記アダプタを位置付けするための取り付け部を備え、前記取り付け部は、ベアラ支持部を支持することを特徴とするアダプタが提供される。
【0021】
本発明の第3の態様では、フレームワークベアラ支持ブラケットであって、型枠支持体に対して前記型枠ベアラ支持ブラケットを位置付けするための取り付け部を備え、前記取り付け部は、ベアラ支持部を支持することを特徴とする型枠ベアラ支持ブラケットが提供される。
【0022】
本発明の第4の態様では、第1のタイプの型枠支持部を含む型枠支持組立体であって、アダプタであって、前記第1のタイプの型枠支持部に対して前記アダプタを位置付けするための取り付け部を備える、該アダプタを備え、前記取り付け部は、第2のタイプの型枠支持部を支持することを特徴とするアダプタが提供される。
【0023】
一形態では、前記第1のタイプの型枠支持部と前記アダプタとが、少なくとも前記第1のタイプの型枠支持部に対する前記取り付け部の位置付けの安定の効果を発揮させるように、機能可能に関連付けられる。
【0024】
本発明の更に別の態様では、前記型枠支持部に対するアダプタの取り付け部の位置付けの安定の効果を発揮させるべく適合された型枠支持部であって、前記取り付け部が別のタイプの型枠支持部を支持することを特徴とする型枠支持部が提供される。
【0025】
本発明の更に別の態様では、ベアラ支持部のためのアダプタであって、前記ベアラ支持部に対して前記アダプタを位置付けするための取り付け部を備え、前記取り付け部は、垂直支持体であるクラウンを支持することを特徴とするアダプタが提供される。
【0026】
以下、本発明の原理を例示する本発明の1以上の実施形態を、添付の図面とともに説明する。本発明をそのような実施形態に関連して説明するが、本発明はそれらのいずれの実施形態にも限定されないことを理解されたい。むしろ、本発明は、特許請求の範囲の請求項によってのみ限定され、その発明は、多くの代替形態、改変形態、及び均等物を包含する。本発明について完全な理解を与えるために、例示の目的で、多くの具体的な詳細について以下に記載する。
【0027】
本発明は、特定の細部の特徴の一部または全てを含むことなく、特許請求の範囲により実施することができる。明確化のため、本発明に関連する技術分野で既知の技術的な内容は、本明細書中には詳細には記さず、本発明が不必要に不明確にならないようにてある。
【0028】
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して後述する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】第1のタイプの型枠支持体(この場合はクラウン)上に取り付けられたアダプタの斜視図である。
【
図2】ベアラを支持している、使用時の
図1のアダプタの側面図である。
【
図3】ベアラを支持している、使用時の
図1のアダプタの端面図である。
【
図7】
図4のアダプタ単体の(ベアラのための)支持部の側面図である。
【
図10】
図4のアダプタ単体の取り付け部の側面図である。
【
図14】
図1のアダプタ及び型枠支持体の側面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下の説明において、図面全体において類似のまたは対応する部品には類似の参照符合を付す。
【0031】
図1〜
図3を参照すると、PCT/AU2013/000855(国際公開第2014/019029号(特許文献1))に記載されたタイプの足場構造の直立部または「支柱」100の上側部分が図示されている。
【0032】
最上端部において、支柱100はクラウン110を支持し、このクラウン110は、ネック部111及び4つの上向きのフィンガ部112を有するフォーク形要素である。意図した通りに使用される場合、各フィンガ部112は、型枠パネル(図示せず)の角部を支持する。更に、クラウン110は、一般的には、クラウン110が支柱100に対して昇降できるように支柱100の最上部のねじジャッキ(図示せず)上に支持される。
【0033】
クラウン110は、使用時に型枠シート(図示せず)を支持する、支持ベアラ120(一般的には木材の梁)にはよく適合していない。この場合、アダプタ1を用いることができる。
【0034】
図1〜
図5を参照すると、アダプタ1が、取り付け部10と、支持部20を備えることが図示されている。
【0035】
図示された実施形態では、取り付け部10が、アダプタ1をクラウン110に取り付けるために適合されている。従って、取り付け部10は、一般的には箱形状を有しており、一対の側壁12と一対の端部壁14を備える。ここで
図14を参照すると、取り付け部10は、クラウン110によって提供されるプラットフォーム114の上に載置されており、クラウン110のフィンガ部112とガイド突起116との間にしっかりと入れ子状に入るサイズとされている。端部壁14は、側壁12より長く、また側壁12より低く、またネック部111のいずれかの側において、クラウン110のフィンガ部112の下のレベルまで延びている。各側壁12はボルト16と組になったナット15を有し、ボルトはナットのなかに螺合され、ボルト16のシャンクの端部をクラウン110のネック部に接触するように動かすことによって、アダプタ1をクラウン110上に固定する。
【0036】
取り付け部10の最上に支持されているのは支持部20であり、この支持部は、ベースプレート22と、4つの上向きに延びるベアラガイド24とを備える支持ブラケットの形態を有し、4つの垂直に延びるベアラガイドは2対の対向するベアラガイド24に配置されている。
【0037】
使用に際しては、アダプタ1の取り付け部10を、上述のようにクラウン110のガイド突起116とフィンガ部112との間のプラットフォーム114上に配置し、ボルト16を締める。次に、ベアラ120を、支持ブラケットのベースプレート22の上でベアラガイド24の間に配置することができる。ベアラガイド24は、ベースプレート22からベアラ120が滑り落ちるのを防止する役目を果たす。型枠のシート(一般的には合板)が、ベアラ120上に支持され得ることになる。
【0038】
型枠パネル(ベアラのないもの)が、支柱100上に支持されることになる場合には、ボルト16は、アダプタ1がクラウン110から取り外し可能となるまで緩めた状態とされる。
【0039】
図示されている実施形態では、クラウン110は鋳造部品であり、アダプタ1は組み立てられたものであるが、これらの部品は、このような製造方法で製造されたものに限定されない。
【0040】
代替的実施形態では、アダプタは、上述のものと逆の構成、すなわち、ベアラまたはベアラ支持部のいずれかに対して配置されるように適合された取り付け部と、複数の型枠パネルを支持するためのクラウンとを有する構成とすることもできる。
【0041】
本明細書及び特許請求の範囲の全体において、文脈上別の解釈が必要とならない限り、用語「含む/有する」、「備える」及びその活用形は、記載された整数または整数の群の個数を有することを暗示しているが、他の整数または整数の群の場合を排除するものではないことを理解されたい。
【0042】
本明細書中に記載されたあらゆる従来技術に対する参照は、そのような従来技術が技術常識の一部を形成することの示唆を認めるものとして解釈されないものか、またはそのようなものとして解釈されるべきではない。
【0043】
本発明が、上述の特定の用途における使用に限定されないことは当業者には理解されよう。本発明は、本明細書に記載された特定の要素及び/または特徴に関するその好ましい実施形態に制限されるものではない。本発明は、ここに開示した実施形態に限定されず、特許請求の範囲の請求項によって特定される発明の精神を逸脱することなく、多種の再構成、改変、及び代替的形態を含めて実施可能であることは理解されよう。