【実施例】
【0086】
1つの実施例は、ナノ粒子薬物コンジュゲート(例えば、共有結合的に付着した薬物分子を有するシリカベースのナノ粒子プラットホーム)の例示的な合成ならびにそれらの特徴付けおよび予備的な生物学的評価を実証する。
【0087】
商業的に入手可能なdes−モルホリノ−ゲフィチニブ(dMG)を用いて、所望のアミノプロピル−dMG(APdMG)を、Boc保護されたアミノプロピルブロミドの求核置換(例えば、1ステップで)、続く酸脱保護によって得た(
図1A、
図10(スキーム1))。さらに、以下でさらに詳細に説明されるゲフィチニブ類似体2は、Fmoc−dPEG2−COOHをカップリングさせ、続く塩基脱保護ステップによって1から容易に得られた(
図1A、
図11(スキーム2))。APdMG1およびdPEG
2APdMG2が、EGFRに対する活性を保持していることを確認するために、H1650細胞を化合物で処理し、ウエスタンブロットにより分析してEGFR中のホスホ−Tyr168レベルを評価した。H1650細胞は、受容体の構成的活性をもたらす変異EGFR(L858RおよびΔE746−A750)を含有する、モデルヒト腫瘍由来の非小細胞肺がん(NSCLC)系統(気管支肺胞上皮癌)である。両方の化合物は、1および10μMの濃度でのホスホ−Tyr
168の阻害で、ゲフィチニブと同様の効果を示したが、dPEG
2APdMG2は低減した活性を示した。
【0088】
3つのリンカータイプを、Cドットベースの薬物送達について検討した(
図1B〜1D)。3つのリンカータイプは、薬物放出のためにプロテアーゼを利用するジペプチド配列を含む。プロテアーゼはジペプチドを認識してそれと結合し、C末端で加水分解をもたらし、リンカーから薬物構成成分を放出する。本明細書で説明するリンカー−薬物構築物を評価するために、2つのモデルプロテアーゼ、トリプシンおよびカテプシンBを使用した。トリプシンは、代表的なセリンプロテアーゼとして選択した。これは、アルギニンおよびリシンなどの塩基性アミノ酸を含有するペプチドに対して高度に活性であり、これらの残基に対するC末端を切断する。カテプシンBは、よりストリンジェントな基質特異性を有するシステインプロテアーゼである。今まで記載されている最小の基質コンセンサス配列は、疎水性および塩基性残基を含有するジペプチドモチーフである。トリプシンと同様に、カテプシンBは、塩基性アミノ酸に対するC末端を切断する。ジペプチドのフェニルアラニン−アルギニン(Phe−Arg)およびフェニルアラニン−リシン(Phe−Lys)は、トリプシンおよびカテプシンについてのトリプシン/カテプシンB認識モチーフであり、これらはリンカー−薬物構築物中に含まれる(
図1B〜D)。
【0089】
Phe−Arg−APdMGは、プロテアーゼ感受性リンカー−薬物構築物を得るためのアプローチの一例である(
図2Aおよび2B)。そうした設計では、ゲフィチニブ類似体1を、ジペプチド配列のC末端に直接付着させる。化合物3を、固相ペプチド合成(SPPS)法を使用して合成し、続く2でのC末端の修飾および最終脱保護ステップによって3を得た(
図11(スキーム3))。
【0090】
薬物構成成分のジペプチドモチーフへの近接近を考慮し、酵素が結合し、リンカー−薬物を加水分解するのを妨害する可能性がある、潜在的な立体的問題に対処した。ペプチドと薬物の間の距離を増大させるために、APdMG1を修飾してdPEG
2APdMG2を得た(
図13(スキーム4))。ジペプチド構成成分とdPEG
2APdMG2の間のカップリング反応、続く脱保護ステップによって、Phe−Arg−dPEG
2APdMG4(Phe−Argとゲフィチニブ類似体の間の10個の原子の短いPEGスペーサーを含有するリンカー薬物構築物)を得た。
【0091】
APdMG1に対する構造的変化を導入することなく、ジペプチドと薬物構成成分の間の大きい間隔を保持するために、Phe−Lys−PABC−APdMG5を合成した。このリンカーは、ペプチドと薬物の間に自壊性(self-immolative)パラ−アミノベンジルオキシカルバメート(PABC)基を取り込む(
図1Dおよび2A〜2C)。酵素的加水分解されると、この基は、さらに分解してパラ−アミノベンジルアルコールとCO
2になり、それによって、APdMGを放出する。化合物5の合成はFmoc−Lys(Mtt)−OHで始まる(
図13(スキーム6))。保護されたアミノ酸は、パラ−アミノベンジルアルコールで修飾されてFmoc−Lys(Mtt)−PABA18をもたらす。Fmoc基が除去され、Fmoc−Phe−OHとカップリングすると、保護されたジペプチド、Fmoc−Phe−Lys(Mtt)−PABA19が形成される。次いで、−PABAの遊離ヒドロキシル基は、パラ−ニトロフェノールカーボネートクロリドで活性化され、活性化されたカーボネート20をもたらし、次いで、これはAPdMG1と反応し、化合物21をもたらす。一連の脱保護およびカップリングの後、化合物22が得られた。最終脱保護ステップは、酸性条件を必要とした。しかし、パラ−アミノベンジルオキシカルバメート基自体は、そうした条件下(例えば、酸性条件)で、分解の影響を受けやすい。十分に穏やかな条件(例えば、0.5%TFA)により、リンカーを保持しながら、リシンからMtt基および末端チオールからMmt基が除去され、所望の生成物16が得られることが分かった。リシン側鎖をマスキングするMtt基は、パラ−ニトロフェノールカーボネートクロリドの存在下で安定であるが、穏やかな酸性条件下での除去に対して不安定であるので、この全般的な合成アプローチに非常に適している。これは、パラ−ニトロフェノールカーボネートクロリドの存在下で容易に除去された、リシン側鎖保護のための、より一般的に使用される、非常に変化しやすい(hyper-labile)Mmt基とは対照的である。
【0092】
3つのリンカー−薬物構築物を評価するために、化合物3〜5を酵素的加水分解にかけた(表1、
図3A〜3C、4Aおよび4B)。薬物−リンカー構築物を、トリプシンまたはカテプシンBのいずれかでインキュベートし、反応を、HPLCまたはLCMSでモニターした。トリプシンは3つすべての構築物に対して活性であった:60分までに、APdMG1をもたらすPhe−Arg−APdMG3の完全な加水分解が観察され;完全な、Phe−Arg−dPEG
2APdMG4からのdPEG
2APdMG2の放出、およびPhe−Lys−PABC−APdMG5からのAPdMG1の放出のためには10分間しかかからなかった。しかし、構築物をカテプシンBで処理した場合、Phe−Arg−APdMG3については、加水分解は観察されなかったが、Phe−Arg−dPEG
2APdMG4は完全に加水分解されて、dPEG
2APdMG2の放出がもたらされた。
【0093】
以下の表1は、リンカー−薬物構築物についての薬物放出アッセイによって得られた半減期を例示する。
【表1】
【0094】
薬物放出プロファイルを得るために化合物3〜5についてin vitroでのアッセイを実施し、構築物の酵素媒介性加水分解を、異なる時間点にわたってモニターした(
図4Aおよび4B)。Phe−Arg−APdMG3については、薬物APdMG1の50%は9分間で放出されたが、Phe−Arg−dPEG
2APdMG4は50%薬物放出について、2分間以内で、著しく速かった。化合物5もやはり速く、50%薬物放出のために1分未満しか必要としなかった。カテプシンBの存在下で、薬物放出が観察されなかったので、Phe−Arg−APdMG3は不十分な基質であることが判明した。Phe−Arg−dPEG
2APdMG4については、薬物の50%が110分間で放出された。Phe−Lys−PABC−APdMG5は50%薬物のために<1分間しか必要とせず、それが、酵素のための非常に効率的な基質であることを示唆している。
【0095】
トリプシンとカテプシンBの両方について、3つのリンカー−薬物構築物についての薬物放出の速度は、同じ一般的傾向にしたがっている:Phe−Lys−PABC−APdMG5>Phe−Arg−dPEG
2APdMG4>Phe−Arg−APdMG3(最も速い方から最も遅い方へ)。Phe−Arg−APdMG3およびPhe−Arg−dPEG
2APdMG4についての結果は、薬物のジペプチド単位への近接が、酵素活性および薬物放出に影響を及ぼすことを示唆している。薬物とジペプチドの間の間隔(距離)が、10個の原子のPEG基の取り込みを介して増大した場合、加水分解(薬物放出)は増進する。この効果は、構築物3を加水分解することができない、カテプシンBで最も顕著に観察される。しかし、薬物とジペプチド4の間に10個の原子のPEGスペーサーを取り込むことによって、加水分解および薬物放出が観察される。
【0096】
NDCを調製するために、マレイミド官能化C’ドット(C’ドット−(Cy5)−PEG−mal)を合成した。Cy5フルオロフォアで修飾されたシランを調製し、NH
4OHの希釈溶液中へ、テトラメチルオルトシラン(TMOS)と一緒に、滴定し(モル比TMOS:Cy5:NH3:H20は1:0.001:0.44:1215である)、24時間混合した(Urata C、Aoyama Y、TonegawaA、Yamauchi Y、Kuroda K. Dialysisprocess for the removal of surfactants to form colloidal mesoporous silicananoparticles. Chem Commun (Camb). 2009年;(34巻):5094〜6頁)(Yamada H、Urata C、AoyamaY、Osada S、Yamauchi Y、Kuroda K. Preparation of Colloidal Mesoporous Silica Nanoparticleswith Different Diameters and Their Unique Degradation Behavior in StaticAqueous Systems、Chem. Mater. 2012年;24巻(8号):1462〜71頁)(Wang J、Sugawara-Narutaki A、Fukao M、Yokoi T、ShimojimaA、Okubo T. Two-phase synthesis of monodisperse silicananospheres with amines or ammonia catalyst and their controlled self-assembly.ACS Appl Mater Interfaces. 2011年;3巻(5号):1538〜44頁)。これは、Cy5カプセル化されたシリカ粒子をもたらし、その表面を、PEG−シラン(500g/モル)(Suzuki K、Ikari K、ImaiH. Synthesis of silica nanoparticles having a well-ordered mesostructured usinga double surfactant system. J Am Chem Soc.2004年;126巻(2号):462〜3頁)およびマレイミド−PEG−シラン(1:2.3:0.006のモル比PEG−シラン:TMOS:mal−PEG−シラン)での処理によって、さらに、マレイミド基でPEG化し、官能化した。48時間後、反応混合物を透析し、濾過し、ゲル濾過により精製した。ナノ粒子を、それぞれ直径、形態および全体的純度について蛍光相関分光法(FCS)、透過電子顕微鏡法(TEM)および分析的HPLCによって特徴付けした。得られたC’ドットは10nm未満の直径であり、狭い粒径分布を有していた(
図16A〜16D)。
【0097】
リンカー−薬物4および5(例えば、C’ドット−(Cy5)−PEG−Phe−Arg−dPEG
2APdMG(6)およびC’ドット−(Cy5)−PEG−Phe−Lys−PABC−APdMG(7))を取り込んだNDCを、Phe−Arg−dPEG
2APdMG(4)およびPhe−Lys−PABC−APdMG(5)をC’ドット−(Cy5)−PEG−malに加えて、構築物上の末端チオールを粒子上のマレイミド基と反応させることによって得た(スキーム2)。NDC生成物を単離した後、ゲル濾過により精製してNDC6および7を得、TEMおよびHLPCによって特徴付けした(
図16Aおよび
図16B)。分析的HPLCを、夾雑物の存在を評価し、また、粒子当たりの薬物分子の数または薬物と粒子の比(DPR)を決定するために使用した(表2)。ゲフィチニブ類似体の濃度は、348nmで容易に測定することができ、粒子濃度は、C’ドット内に包埋されたCy5のため、650nmで得ることができる。平均DPRは中程度であることが分かったが、NDCは、DPR推定値が1未満から15超の範囲にある測定可能な不均一性を示した。ゲフィチニブ類似体の不十分な溶解性のため予想されるように、NDCの沈殿は観察されなかった。FCSを、リンカー−薬物コンジュゲーションに起因した粒子サイズの変化を評価するために使用した。表2に示すように、NDCは、ベースのmal−C’ドットにわたって、最小の直径の増大を示した。
【0098】
以下の表2は、ナノ粒子特徴付けの概要を例示する。
【表2】
【0099】
経時的な酵素依存性薬物放出を、C’ドット−(Cy5)−PEG−Phe−Arg−dPEG
2APdMGおよびC’ドット−(Cy5)−PEG−Phe−Lys−PABC−APdMGについて測定して、in vitroでの薬物放出プロファイルを得た(
図6Aおよび6B)。トリプシンでの薬物放出を実証する代表的なHPLCデータを
図5Aおよび5Bに示す。NDC6および7は、トリプシンのための優れた基質であり、50%薬物放出を達成するのに、それぞれ44分間および6分間を必要とした(
図6A、表1)。カテプシンBの存在下で、放出動力学は、両方のNDCについて著しく遅く:薬物放出の50%は、NDC6について560分間、NDC7について510分間で達成された(
図6B、表1)。一緒にすると、データは、薬物構成成分の制御放出をもたらす、粒子表面上のリンカー−薬物構築物の接近可能性(accessibility)を実証している。
【0100】
NDCの安定性を、水性条件において、酸性および中性のpH(5.0および7.2)下、37℃で評価した。NDC6とNDC7はどちらも、HPLCで測定して、48時間で分解または薬物放出を示さなかった。in vivoで起こり得る逆マイケル反応またはチオール交換反応の可能性に起因した抗体薬物コンジュゲートからのリンカー薬物構築物の損失が観察されたため、チオール−マレイミドベースのコンジュゲーションの精査を招くこととなった。過剰なチオールの存在下でのNDCのin vitroでの安定性を評価するために、NDC7を、30mMのグルタチオン(gluthathione)で、37℃、pH7.2で48時間インキュベートした。リンカー−薬物の5%未満が、48時間後にCドットから分離された(表4)。
【0101】
以下の表3は、リンカー−薬物構築物についての薬物放出アッセイによって得られた半減期を例示する。
【表3】
【0102】
以下の表4は、NDC安定性データを例示する。
【表4】
【0103】
C’ドット−(Cy5)−PEG−Phe−Arg−dPEG
2APdMGおよびC’ドット−(Cy5)−PEG−Phe−Lys−PABC−APdMGの生物学的活性を、H1650細胞の処理、続く、EGFRにおけるホスホ−Tyr
168のウエスタンブロットによる検出によって評価し、ゲフィチニブと比較した。血清飢餓細胞を各化合物と18時間にわたってインキュベートし、次いでEGF刺激にかけた。ゲフィチニブ対照は、EGFRのTyr
168リン酸化の用量依存的減少を示し、1μMで完全に消失した(
図7)。NDC6および7も用量依存的阻害を示し;NDC6で処理された細胞は、10μMで検出可能なレベルのホスホ−Tyr
168を示した。対照的に、NDC7は良好な活性を示し、100nMでホスホ−Tyr
168は大幅に減少しており、1μMのNDC濃度で完全に消失している。時期尚早の薬物放出が起こり、ホスホ−Tyr
168EGFRの減少が観察され得る可能性があることを所与として、これらのアッセイで使用したNDCの安定性をモニターした。H1650細胞を18時間で処理するために使用したNDC6または7(10μM)を含む一定分量の媒体をHPLCで分析した。媒体中に遊離薬物が検出されず、NDCは損なわれていなかったので、両方の粒子はこれらの条件下で安定であることが証明された(表3)。NDC6および7に加えて、最終的なin vivoでの試験のための二次的画像化モダリティー(secondary imaging modality)の組み込みを検討した。Phe−Arg−dPEG
2−D−Tyr−アミノプロピル−dMGを有するリンカー−薬物構築物を、放射性標識を付着させるために、薬物構成成分でD−チロシン残基を取り込んで合成した(化合物23および24)。NDC C’ドット−(Cy5)−PEG−Phe−Arg−dPEG
2−D−Tyr−APdMGを調製し、
131Iを用いて、>90%の放射化学的純度で首尾よく放射性ヨウ化した(
図8)。
試薬:
【0104】
商業的供給源から購入した溶媒および試薬は、さらに精製することなく使用した。アセトニトリル、ジエチルエーテル、ジメチルホルムアミド(DMF)、酢酸エチル、ヘキサン、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、メタノール、塩化メチレン(DCM)およびトリフルオロ酢酸(TFA)は、Fisherから得た。ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、トリエチルアミン(TEA)、炭酸カリウム、N−(tert−ブチルオキシカルボニル)−アミノプロピルブロミド、(3−アミノプロピル)トリエトキシシラン(APTES)、(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン(MPTMS)、テトラメチルオルトケイ酸塩(TMOS)、ウシトリプシンは、Sigma−Aldrichから購入した。O−Des−モルホリノプロピルゲフィチニブは、Toronto Research Chemicals(TRC)から得た。2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)はGenescriptから購入した。クロロトリチル樹脂および保護されたアミノ酸(Fmoc−Arg−OH、Fmoc−Lys(Mtt)−OH、Fmoc−Phe−OH)は、EMD Chemicalsから得た。Fmoc−N−dPEG
2OH、Mmt−S−dPEG
8−OH、mal−dPEG
12−NHSは、Quanta Biosciencesから購入した。Cy5マレイミドおよびSuperdex200(分取グレード)はGE Life Sciencesから得た。DMSO−dおよびCDCl
3は、Cambridge Isotopesから購入した。固相合成は、Torviqからのポリプロピレンフリットシリンジ中で実施した。シリカ、TLCプレート、4g、12g、24gおよび40gのRediSep Rf順相カートリッジは、Teledyne ISCOから得た。
フラッシュクロマトグラフィー:
【0105】
順相(シリカゲル)精製は、4g、12g、24gおよび40gカートリッジを使用してTeledyne ISCO CombiFlash Rfで実施した。
分析的HPLC:
【0106】
試料は、5〜95%アセトニトリル水溶液(0.5%TFA)の直線勾配を使用して、1.2mL/分で10分間、C4またはC18のいずれか 4.6×50mm逆相XBridge分析的カラム(Waters)で、Waters Alliance HPLCシステムまたはAutopure LCMSシステム(2767サンプルマネージャ、2996フォトダイオードアレイ検出器、2420ELS検出器、Micromass ZQ、2525バイナリーグラジエントモジュール、カラムフルイディクスオーガナイザー、515HPLCポンプ、ポンプ制御モジュールII)で実行した。試料は、348nmまたは650nmのいずれかで分析した。
分取HPLC:
【0107】
試料は、5〜95%アセトニトリル水溶液(0.5%TFA)の直線勾配を使用して、20mL/分で30分間、C18 19×150mm逆相XBridge分取カラム(Waters)で、Waters分取システム(2996フォトダイオードアレイ検出器、2545バイナリーグラジエントモジュール)またはAutopure LCMSシステムのいずれかで精製した。試料は、220nmまたは348nmのいずれかで分析した。
核磁気共鳴(NMR);
【0108】
1H−NMRおよび
13C−NMRデータはBruker Ultrashield500Plusで得た。
トリプシンでの薬物放出アッセイ:
【0109】
アッセイは、25μMのNDC(例えば、6または7)または遊離リンカー−薬物(例えば3、4または5)および200nMトリプシンを用いて、25mMリン酸緩衝液(pH7.2)中、37℃で実施した。分析のため、70μLの分量を取り出し、指定された時間点(例えば、5、15、30、60、120分間またはそれ超)で、酸(HCl)でクエンチし、次いでHPLC/LCMSで実行した。NDCは水中、4℃で貯蔵した。トリプシンストック液は以下の通り調製した:1mgのトリプシンを1mL水に溶解し、一定分量にし、次いで直ちに急速冷凍し、−80℃で、最大で4週間貯蔵した。薬物放出アッセイの前に、酵素活性を、基質Z−Arg−Arg−パラ−ニトロ−アニリンを使用してテストした。遊離薬物%(
図3およびS3)は、遊離薬物の量を、リンカー−薬物構築物またはNDCのためにロードされた薬物の初期量で除したものである。遊離薬物の量は、348nmでの放出された薬物に対応するHPLCピークの面積により決定される。ロードされた薬物の量は、酵素処理前のリンカー−薬物構築物またはNDCについての348nmでのHPLCピークの面積である。C’ドット−(Cy5)−PEG−malは348nmでバックグラウンド吸光度を有するため、NDCについてのバックグラウンドサブトラクションが必要である。すべての緩衝液および溶液は、超純水(18MΩ−cmの抵抗率)を使用して調製した。
カテプシンBでの薬物放出アッセイ:
【0110】
アッセイは、25mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)中、37℃で、25μM NDC(例えば、6または7)または遊離リンカー−薬物(例えば、3、4または5)および200nMカテプシンBを用いて実施した。DTTは、このアッセイには使用しなかった。分析のために、70μLの分量を取り出し、指定された時間点(例えば、5、15、30、60、120分間またはそれ超)で、酸(HCl)でクエンチし、次いでHPLC/LCMSで実行した。NDCは水中、4℃で貯蔵した。カテプシンBストック液は以下の通り調製した:1mgのカテプシンBを1mLの50mM酢酸ナトリウムおよび2.5mM EDTAに溶解し、一定分量にし、次いで直ちに急速冷凍し、−80℃で数週間貯蔵した。薬物放出アッセイの前に、酵素活性を、基質Z−Arg−Arg−パラ−ニトロ−アニリンを使用してテストした。遊離薬物%(
図4A、4B、6Aおよび6B)は、上記段落で説明したように、遊離薬物の量を、リンカー−薬物構築物またはNDCのためにロードされた薬物の初期量で除したものである。すべての緩衝液および溶液は、超純水(18MΩ−cmの抵抗率)を使用して調製した。
NDC安定性アッセイ:
【0111】
アッセイは、25mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)または50mMリン酸緩衝液(pH7.2)中、7.5μM NDC(例えば、6または7)を用いて実施し、37℃で最大で48時間インキュベートした。リン酸緩衝液(pH7.2)中で10mMグルタチオン(還元型)も評価した。次いで20μLの一定分量をHPLCで分析した。1つの実験について、H1650細胞を、無血清DEM中で、10μM NDCで18時間処理(以下のホスホEGFRアッセイを参照されたい)した後、媒体を回収し、HPLCで分析した。
H1650細胞でのホスホEGFRアッセイ:
【0112】
H1650細胞を、2mlの10%FBS DEM培地を含む6ウェルプレート中で播種し(150万個の細胞)、24時間成長させた。細胞を1mLの無血清DEM培地で洗浄し、次いでゲフィチニブまたはNDCで、指示濃度で終夜(18時間)インキュベートした。次いで、細胞を50ng/mL EGFで5分間処理し、次いで1mLのPBSで洗浄した。トリプシン(0.5ml、0.25%)を各ウェルに加え、細胞が脱離するまで(約5分間)インキュベートした。1mLの10%FBS DEM培地をウェルに加え、細胞を、10mLの10%FBS DEM培地を含有した15mL円錐管に移した。細胞を、4℃、3000rpmで5分間遠心沈殿させた。細胞ペレットを1mLの冷PBSで洗浄し、1.5mLチューブに移し、遠心沈殿させた。PBSをデカントし、70μLのRIPA(プロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤を含有する)をペレットに加え、すり混ぜ(titurated)、氷上で10分間インキュベートした。チューブを、4℃で、最高速度で10分間回転させた。溶解物を新しい1.5mlチューブに移し、−80℃で貯蔵した。タンパク質濃度を、ブラッドフォードアッセイによって決定した。ウエスタンブロットを、Novex8%トリス−グリシンゲル(1.5mm×15ウェル)、トリス−グリシンSDSランニング緩衝液、NuPAGEトランスファー緩衝液、1×TBS洗浄緩衝液中の0.1%Tween−20、およびブロッキング緩衝液としての洗浄緩衝液中の5%乳汁を使用して、Life Technologies装置で実行した。一次抗体は以下のようにして適用した:抗リン酸化−EGFR(pEGFR、Tyr
1068)(1:1000希釈;Cell Signaling)、抗EGFR(D38B1)(1:5000希釈;Cell Signaling)、モノクローナル抗β−アクチンクローンAC−15(1:5000希釈;Sigma−Aldrich)。適用された二次抗体は、ヤギ抗マウスIgG−HRP(1:10000希釈;Santa Cruz Biotechnology)およびヤギ抗ウサギIgG−HRP(1:5000希釈;Santa Cruz Biotechnology)であった。
O−des−モルホリノ−ゲフィチニブ、dMGの調製(
図12(スキーム3)の8):
【0113】
化合物は商業的に得た。
【0114】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 9.69 (s, 1H), 9.47 (s, 1H), 8.48 (s, 1H), 8.22 (dd, J = 6.9, 2.7Hz, 1H), 7.84 (ddd, J = 9.1, 4.4, 2.7 Hz, 1H), 7.78 (s, 1H), 7.41 (t, J = 9.1Hz, 1H), 7.22 (s, 1H), 3.98 (s, 3H).
13C-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 155.83, 153.91, 151.89, 146.73, 146.20, 122.74, 121.69, 116.50,116.33, 109.51, 107.18, 105.25, 55.92.C
15H
11ClFN
3O
2(正確な質量319.1)についてのESI−MS(m/z):[M+H]
+計算値320.1、実測値320.2。
N−(tert−ブチルオキシカルボニル)−アミノプロピル−dMGの合成(
図12(スキーム3)の9):
【0115】
500mgの化合物8を、100mLの無水DMFに溶解した。K
2CO
3(mg、mmol)を溶液に加えた。反応を60℃で16時間進行させ、TLCおよび/またはHPLCでチェックした。溶媒を真空中で除去し、褐色油状物を得、これを、DCM〜DCM中の20%MeOHの直線勾配を使用して、24gのRediSep Rf順相カートリッジでフラッシュ精製した。最終生成物を、白色固体(312mg、62%収率)として単離した。
【0116】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 9.57 (s, 1H), 8.49 (s, 1H), 8.12 (dd, J = 6.8, 2.7 Hz, 1H), 7.81(m, 1H), 7.44 (t, J = 9.1 Hz, 1H), 7.20 (s, 1H), 6.92 (t, J = 5.7 Hz, 1H), 4.17(t, J = 6.0 Hz, 2H), 3.95 (s, 3H), 3.15 (q, J = 6.5 Hz, 2H), 1.95 (p, J = 6.5Hz, 2H), 1.38 (s, 9H).
13C-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 156.01, 155.59, 154.39, 152.61, 146.92, 123.40, 122.29, 118.62,116.54, 116.37, 107.23, 102.59, 77.51, 66.69, 55.84, 37.22, 35.75, 28.95,28.22.C
23H
26ClFN
4O
4(正確な質量476.2)についてのESI−MS(m/z):[M+H]
+計算値477.2、実測値477.3。
アミノプロピル−O−des−モルホリノ−ゲフィチニブ、APdMGの調製(
図1Aおよび
図12(スキーム3)の1):
【0117】
化合物9(100mg、0.21mmol)を1mL TFA:水(9:1)で30分間処理した。TFA:水を真空中で除去し、薄黄色油状物を得た。油状物をジエチルエーテルで洗浄し、次いで水:アセトニトリル(1:1)の溶液に溶解し、凍結させ、凍結乾燥した。黄褐色固体を得た(TFA塩、98mg、95%収率)。
【0118】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 10.73 (s, 1H), 8.80 (s, 1H), 8.03 (s, 1H), 8.05 - 8.00 (m, 1H),7.88 (s, 3H), 7.72 (ddd, J = 9.0, 4.3, 2.6 Hz, 1H), 7.54 (t, J = 9.0 Hz, 1H),7.35 (s, 1H), 4.27 (t, J = 5.9 Hz, 2H), 4.00 (s, 3H), 3.04 (p, J = 6.7, 6.3 Hz,2H), 2.13 (dt, J = 12.2, 6.0 Hz, 2H).
13C-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 158.02, 148.80, 116.96, 116.79, 107.60, 103.66, 66.17, 56.42,36.39, 26.59.C
18H
18ClFN
4O
2(正確な質量376.1)についてのESI−MS(m/z):[M+H]
+計算値377.1、実測値377.2。
9−フルオレニルメトキシカルボニル−N−アミド−dPEG
2−アミノプロピル−dMG、Fmoc−dPEG
2APdMGの調製(
図13(スキーム4)の10):
【0119】
DMF(500μL)中にdPEG
2APdMG2(25mg、0.05mmol、TFA塩)およびFmoc−N−アミド−dPEG
2−COOH(20mg、0.05mmol)を含有する溶液を調製した。DIEA(19mg、0.15mmol、26μL)、続いて、DMF(100μL)中のHATU(19mg、0.05mmol)の溶液を加えた。反応を室温で30分間進行させ、完了をLCMSで決定した。真空中で体積を減少させ、酢酸エチルおよび酢酸エチル中の10%メタノールの勾配を使用してシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。画分を集め、プールし、溶媒を真空中で除去した。単離された生成物は白色固体(84%収率)であった。
【0120】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 9.55 (d, J = 10.7 Hz, 1H), 8.51 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 8.18 - 8.07(m, 1H), 7.96 (t, J = 5.5 Hz, 1H), 7.87 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 7.83 - 7.76 (m,2H), 7.67 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 7.49 - 7.36 (m, 3H), 7.31 (td, J = 7.5, 1.2 Hz,3H), 7.21 (s, 1H), 4.28 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 4.24 - 4.10 (m, 3H), 3.94 (s, 3H),3.60 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 3.46 (s, 4H), 3.36 (t, J = 6.0 Hz, 2H), 3.27 (q, J =6.6 Hz, 2H), 3.10 (q, J = 5.9 Hz, 2H), 2.32 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 1.97 (p, J =6.5 Hz, 2H).
13C-NMR (500 MHz, CDCl
3): δ 170.08, 143.85, 127.54, 126.98, 125.10, 120.05, 102.60, 69.42,69.04, 66.78, 66.58, 55.87, 46.69, 40.01, 39.94, 39.85, 39.77, 39.68, 39.60,39.51, 39.43, 39.35, 39.25, 39.18, 39.07, 39.01, 36.16, 35.69, 28.67, 0.08.C
40H
41ClFN
5O
7(正確な質量757.27)についてのESI−MS(m/z):[M+H]
+計算値758.3、実測値758.4。
アミノ−dPEG
2−アミノプロピル−dMG、dPEG
2APdMGの調製(
図1Aおよび
図13(スキーム4)の2):
【0121】
化合物10(10mg、0.013mmol)を、DMF(1mL)中の30%ピペリジンに溶解し、室温で15分間反応させた。溶媒を真空中で除去し、水/アセトニトリルに溶解し、逆相(C18)HPLCで精製した。生成物を白色粉末(7mg、80%収率)として回収した。
【0122】
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 10.66 (s, 1H), 8.78 (s, 1H), 8.05 - 7.97 (m, 3H), 7.80 (s, 3H),7.72 (ddd, J = 9.0, 4.3, 2.6 Hz, 1H), 7.54 (t, J = 9.1 Hz, 1H), 7.32 (s, 1H),4.20 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 4.00 (s, 3H), 3.65 - 3.48 (m, 7H), 3.27 (q, J = 6.6Hz, 2H), 2.96 (q, J = 5.5 Hz, 2H), 2.34 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 1.98 (t, J = 6.5Hz, 2H).
13C-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ116.96, 69.55, 69.29, 66.73, 66.61, 56.38, 38.57, 36.03, 35.63, 28.58.C
25H
31ClFN
5O
5(正確な質量535.20)についてのESI−MS(m/z):[M+H]
+計算値536.2、実測値536.3。
Boc−N−アミノ−(dPEG
2)
3−Phe−Arg(Pbf)−OHの調製(
図14(スキーム5)の11):
【0123】
クロロトリチル樹脂(100mg、0.1mmol、1mmol/g)をフリットシリンジ反応容器に移し、2mL無水DCM中に10分間懸濁させた。溶媒を分注し、無水DCM中のDIEAの溶液、続いて無水DCM中のFmoc−Arg(Pbf)−OH(97.5mg、1.5当量)の溶液をシリンジ中に抜き取り;40分間撹拌した。溶液を分注し、樹脂を2分間、DCMで2×、次いでDMFで2×洗浄した。標準的な固相ペプチド合成手順を実施して最終ペプチドを得た。手短に言えば、Fmoc脱保護を、30%ピペリジン/DMF(1mL)を使用して樹脂を、2×、10分間洗浄して遂行した。これに、4×、それぞれ2分間のDMF(1mL)洗浄が続いた。カップリング反応を、次の順番でシリンジに加えられた、3当量過剰の保護されたアミノ酸(2mL DMF中)、9当量過剰のDIEA(120mg、0.9mmol、160μL、1mL DMF中)、3当量過剰のHATU(mmol、mg、μL、2mL DMF中)を使用して室温で実施し、1時間振とうさせた。これに、4×、それぞれ2分間のDMF(1mL)洗浄が続いた。Fmoc−Phe(116mg)、続いてFmoc−N−dPEG
2−OHの3つの残基(120mg)を加えた。配列、最終Fmoc脱保護および洗浄が完了した後、2mLのDMF中のBOC無水物(mmol、mg)およびDIEA(mmol、mg、μL)を使用してN末端アミンをキャップした。ペプチド−樹脂をDMF(1mL、2分間、2×)、次いでDCM(1mL、2分間、4×)で洗浄した。次いで、DCM(2mL)中の50%HFIPをシリンジに加え、室温で1時間振とうさせることによって、保護されたペプチド生成物を樹脂から切り離した。次いで粗製ペプチドを逆相HPLCで精製した。C
54H
86N
8O
17S(正確な質量1150.56)についてのESI−MS(m/z):[M+H]
+計算値1151.6、実測値1151.7。
Boc−N−アミド−(dPEG
2)
3−Phe−Arg(Pbf)−APdMGの調製(
図14(スキーム5)の12):
【0124】
DMF(1mL)中に化合物11(23mg、0.02mmol、1当量)およびAPdMG1(9mg、0.024mmol、1.2当量)を含有する溶液を調製した。続いて、このDIEA(10mg、0.08mmol、14μL、4当量)にHATU(9mg、0.024mmol、1.2当量)を加えた。反応をHPLCでモニターし、30分間以内で完了した。溶媒を真空中で除去し、次いでDCM中に再懸濁させた。DCM溶液を水4×で洗浄し、次いで蒸発させて黄褐色油状物を得た。C
72H
102ClFN
12O
18S(正確な質量1508.68)についてのESI−MS(m/z):[M+H]
+計算値1509.7、実測値1509.7;[M+2H]
2+計算値755.4、実測値755.0。
Boc−N−アミド−(dPEG
2)
3−Phe−Arg(Pbf)−dPEG
2APdMGの調製(
図14(スキーム5)の13):
【0125】
DMF(1mL)中に化合物11(30mg、0.026mmol、1当量)およびdPEG
2APdMG2(18mg、0.034mmol、1.3当量)を含有する溶液を調製した。続いて、このDIEA(14mg、0.1mmol、18μL、4当量)に、HATU(13mg、0.034mmol、1.3当量)を加えた。反応をHPLCでモニターし、30分間以内で完了した。溶媒を真空中で除去し、次いでDCM中に再懸濁させた。DCM溶液を水4×で洗浄し、次いで蒸発させて黄褐色油状物を得た。C
79H
115ClFN
13O
21S(正確な質量1667.77)についてのESI−MS(m/z):[M+2H]
2+計算値834.9、実測値834.7。
H
2N−(dPEG
2)
3−Phe−Arg−APdMGの調製(スキーム6の14):
【0126】
TFA/水(9:1、1mL)を化合物12(前のステップから約0.02mmol)に加え、室温で1時間放置した。反応物を蒸発させ、次いでACN/水に溶解し、凍結させ、凍結乾燥して黄褐色固体を得た。粗製物を逆相HPLCで精製した。最終生成物を白色固体(14mg)として得た。C
54H
78ClFN
12O
13(正確な質量1156.55)についてのESI−MS(m/z):[M+H]
+計算値1157.6、実測値1157.8;[M+2H]
2+計算値579.3、実測値579.1。
H
2N−(dPEG
2)
3−Phe−Arg−(dPEG
2)−APdMGの調製(
図14(スキーム5)の15):
【0127】
TFA/水(9:1、1mL)を化合物13(前のステップから約0.026mmol)に加え、室温で1時間放置した。反応物を蒸発させ、次いでACN/水に溶解し、凍結させ、凍結乾燥して黄褐色固体を得た。粗製物を逆相HPLCで精製した。最終生成物を白色固体(24mg)として得た。C
61H
91ClFN
13O
16(正確な質量1315.64)についてのESI−MS(m/z):[M+H]
+計算値1316.7、実測値1316.5;[M+2H]
2+計算値658.6、実測値658.5。
S−アセチル−メルカプトアセトアミド−(dPEG
2)
3−Phe−Arg−APdMGの調製(
図14(スキーム5)の16):
【0128】
DMF(200μL)中に化合物14(5mg、0.004mmol、1当量)およびDIEA(1.5mg、0.012mmol、2μL、3当量)を含有する溶液を調製した。次いで、DMF(100μL)中のSAMA−OPfp(2mg、0.006mmol、1.5当量)を溶液に加え、1時間反応させた。溶媒を真空中で除去し、次いで逆相HPLCで精製した。3mgの白色固体を回収した。C
61H
91ClFN
13O
16(正確な質量1315.64)についてのESI−MS(m/z):[M+H]
+計算値1316.7、実測値1316.5;[M+2H]
2+計算値658.6、実測値658.5。
S−アセチル−メルカプトアセトアミド−(dPEG
2)
3−Phe−Arg−dPEG
2APdMGの調製(
図14(スキーム5)の17):
【0129】
DMF(200μL)中に化合物15(5mg、0.004mmol、1当量)およびDIEA(1.5mg、0.012mmol、2μL、3当量)を含有する溶液を調製した。次いで、DMF(100μL)中のSAMA−OPfp(2mg、0.006mmol、1.5当量)を溶液に加え、1時間反応させた。溶媒を真空中で除去し、次いで逆相HPLCで精製した。3mgの白色固体を回収した。C
65H
95ClFN
13O
18S(正確な質量1431.63)についてのESI−MS(m/z):[M+2H]
2+計算値716.8、実測値716.7。
メルカプトアセトアミド−(dPEG
2)
3−Phe−Arg−APdMG、Phe−Arg−APdMGの調製(
図1Bおよび
図14(スキーム5)の3):
【0130】
このステップを、使用する直前に実施した。1mgの化合物16を、100μLの水/MeOH(1:1)に溶解し、それに、2μLの1N NaOHを加えた。15分後、2uLの1M HClを加えて中和した。溶液を直接使用した。C
56H
80ClFN
12O
14S(正確な質量1230.53)についてのESI−MS(m/z):[M+H]
+計算値1231.5、実測値1231.4;[M+2H]
2+計算値616.3、実測値616.3。
メルカプトアセトアミド−(dPEG
2)
3−Phe−Arg−dPEG
2APdMG、Phe−Arg−dPEG
2APdMGの調製(
図1Cおよび
図14(スキーム5)の4):
【0131】
このステップを、使用する直前に実施した。1mgの化合物17を、100μLの水/MeOH(1:1)に溶解し、それに、2μLの1N NaOHを加えた。15分後、2uLの1M HClを加えて中和した。溶液を直接使用した。C
63H
93ClFN
13O
17S(正確な質量1389.62)についてのESI−MS(m/z):[M+H]
+計算値1390.6、実測値1390.5;[M+2H]
2+計算値695.8、実測値695.7。
Fmoc−Lys(Mtt)−PABOHの調製(
図15(スキーム6)の18):
【0132】
DMF(5mL)中のFmoc−Lys(Mtt)−OH(748mg、1.2mmol、1当量)およびパラ−アミノベンジルアルコール(300mg、2.4mmol、2当量)の溶液を調製した。DIEA(465mg、3.6mmol、630μL、3当量)、続いてDMF(2mL)中のHATU(502mg、1.3mmol、1.1当量)の溶液を加えた。HPLC/LCMSで決定して、反応は30分以内に完了した。溶媒を真空中で部分的に除去し、酢酸エチル/水で抽出した。酢酸エチル層を水で4×洗浄し、次いで蒸発させてオレンジ色固体を得た。粗製物を、ヘキサンおよび酢酸エチルの直線勾配を使用して、40gのRediSep Rf順相カートリッジで精製した。最終生成物を、白色固体(850mg、97%収率)として単離した。
【0133】
1H-NMR (500 MHz, CDCl
3): δ 7.96 (s, 1H), 7.73 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 7.54 (d, J = 7.5 Hz, 2H),7.47 - 7.41 (m, 6H), 7.39 - 7.20 (m, 12H), 7.18 - 7.11 (m, 2H), 7.05 (d, J =7.9 Hz, 2H), 5.29 (s, 1H), 4.63 (s, 1H), 4.44 (d, J = 6.4 Hz, 2H), 2.28 (s,3H), 2.11 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 1.88 (s, 1H), 1.58 (s, 5H), 1.51 (s, 1H), 1.38(s, 2H).
13C-NMR (500 MHz, CDCl
3): δ 146.36, 143.22, 141.32, 135.70, 128.57, 128.52, 128.49, 127.79,127.74, 127.12, 126.14, 124.92, 120.16, 120.02, 77.27, 77.02, 76.76, 70.62,64.92, 60.41, 47.16, 43.30, 30.57, 23.43, 21.07, 20.93, 14.21, 0.01.C
48H
47N
3O
4(正確な質量729.36)についてのESI−MS(m/z):[M+H]
+計算値730.4、実測値730.2。
Fmoc−Phe−Lys(Mtt)−PABOHの調製(
図15(スキーム6)の19):
【0134】
Fmoc基を、9mLのDMF中の30%ピペリジンを使用して10分間、Fmoc−Lys(Mtt)−PABOH18(425mg、0.6mmol、1当量)から除去した。溶媒を真空中で除去し、得られた油状物を10mLのDMFに再懸濁させた。DMF(5mL)中のFmoc−Lys(Mtt)−OH(748mg、1.2mmol、1当量)およびパラ−アミノベンジルアルコール(300mg、2.4mmol、2当量)の溶液を調製した。DIEA(465mg、3.6mmol、630μL、3当量)、続いてDMF(2mL)中のHATU(502mg、1.3mmol、1.1当量)の溶液を加えた。HPLC/LCMSで決定して、反応は30分以内に完了した。溶媒を真空中で部分的に除去し、酢酸エチル/水で抽出した。酢酸エチル層を水で4×洗浄し、次いで蒸発させてオレンジ色固体を得た。粗製物を、ヘキサンおよび酢酸エチルの直線勾配を使用して、40gのRediSep Rf順相カートリッジで精製した。最終生成物を、白色固体(850mg、97%収率)として単離した。
【0135】
1H-NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 8.20 (s, 1H), 7.73 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 7.50 (s, 2H), 7.48 - 7.34(m, 8H), 7.34 - 7.20 (m, 11H), 7.20 - 7.07 (m, 7H), 7.04 (d, J = 8.1 Hz, 2H),6.28 (s, 1H), 5.22 (s, 1H), 4.62 (s, 2H), 4.43 (dd, J = 10.7, 6.7 Hz, 1H), 4.32(d, J = 11.5 Hz, 1H), 3.05 (s, 2H), 2.27 (s, 3H), 2.11 - 2.02 (m, 2H), 1.89 (s,1H), 1.46 (d, J = 6.3 Hz, 1H), 1.26 (s, 2H).
13C-NMR (500 MHz, CDCl
3)δ 146.35, 141.31, 136.97, 135.70, 129.10, 128.93,128.57, 128.50, 127.82, 127.74, 127.71, 127.39, 127.12, 126.14, 124.91, 124.84,120.10, 120.04, 77.28, 77.23, 77.02, 76.77, 70.60, 67.15, 64.96, 54.06, 47.08,43.35, 31.30, 30.60, 23.52, 20.93.C
57H
56N
4O
5(正確な質量876.43)についてのESI−MS(m/z):[M+H]
+計算値877.4、実測値877.3。
Fmoc−Phe−Lys(Mtt)−PABC−APdMGの調製(
図15(スキーム6)の21):
【0136】
化合物19(420mg、0.5mmol、1当量)を、無水DCM(20mL)に溶解した。ピリジン(216mg、2.7mmol、5.4当量)、続いて無水DCM中の4−ニトロフェニルクロロホルメート(180mg、0.9mmol、1.8当量)の溶液を加えた。反応を室温で2時間進行させ、次いでHPLCおよびTLCでチェックした。溶媒を真空中で除去し、次いで、ヘキサンおよび酢酸エチルの直線勾配を使用して24gのRediSep Rf順相カートリッジで精製した。生成物Fmoc−Phe−Lys(Mtt)−PABC−pNP(20)を、黄色固体(360mg、70%収率)として単離した。Fmoc−Phe−Lys(Mtt)−PABC−pNP(50mg、0.05mmol、1当量)を、無水DCM(3mL)に溶解した。次いで、無水DCM中のAPdMG1(25mg、0.05mmol、TFA塩、1当量)のDIEA(65mg、0.5mmol、90μL、10当量)との溶液をFmoc−Phe−Lys(Mtt)−PABC−pNPに加えた。反応を室温で4時間進行させ、次いでHPLCおよびTLCでチェックした。溶媒を真空中で除去し、粗製物を、ヘキサンおよび酢酸エチルの直線勾配を用いて、4gのRediSep Rf順相カートリッジで精製した。最終生成物を、黄色固体(38mg、60%収率)として単離した。C
76H
72ClFN
8O
8(正確な質量1278.51)についてのESI−MS(m/z):[M+H]
+計算値1279.5、実測値1279.4;[M+2H]
2+計算値640.3、実測値640.3。
Mmt−S−dPEG
8−Phe−Lys(Mtt)−pABC−dMGの調製(
図15(スキーム6)の22):
【0137】
18mgの化合物21(0.014mmol、1当量)を、2mLのDMF中の30%ピペリジンで脱保護した。5分後、HPLC/LCMSにより、反応が完了していることを確認し、溶媒を真空中で除去した。得られた油状物を、DMF(0.5mL)に溶解し、それに、Mmt−S−dPEG
8−COOH(13mg、0.017mmol、1.2当量)およびDIEA(9mg、0.070mmol、13μL、5当量)を加えた。DMF(200μL)中のHATU(6mg、0.014mmol、1.2当量)の溶液を調製し、反応物に加えた。1時間後、HPLC/LCMSにより、反応は完了していると見なされ、溶媒を真空中で除去した。残留した油状物を、DCM〜DCM中の10%MeOHの直線勾配を使用して、4gのRediSep Rf順相カートリッジでフラッシュ精製した。最終生成物を、白色固体(23mg、92%収率)として単離した。C
100H
114ClFN
8O
16S(正確な質量1768.77)についてのESI−MS(m/z):[M+2H]
2+計算値885.9、実測値886.0。
HS−dPEG
8−Phe−Lys−PABC−アミノプロピル−dMGの調製(
図15(スキーム6)の5):
【0138】
10mgの化合物22(5.6μmol)を、2mLのDCM中の0.5%TFA/5%TISで2時間処理し、次いでHPLC/LCMSでチェックして、脱保護の完了を確認した。溶液を真空中で除去し、次いで冷エーテルで3×洗浄した。白色固体を、水/アセトニトリル(1:1)に溶解し、凍結させ、凍結乾燥した。得られた白色固体を、さらに精製することなく使用した(6mg、86%収率)。C
60H
82ClFN
8O
15S(正確な質量1240.53)についてのESI−MS(m/z):[M+H]
+計算値1241.5、実測値1241.6;[M+2H]
2+計算値621.3、実測値621.3。
C’ドット−(Cy5)−PEG−マレイミドの調製:
【0139】
マレイミドおよびNHSエステル官能化ポリエチレングリコール(mal−dPEG
12−NHS)を、DMSO中、アミノシラン(APTES)でコンジュゲートした(モル比mal−PEG−NHS:APTES:DMSO 1:0.9:60)。反応混合物を、窒素下、室温で48時間放置してシラン官能化されたmal−dPEG(mal−dPEG−APTES)を生成した。マレイミド官能化Cy5(mal−Cy5)を、DMSO中で、チオール−シラン(MPTMS)と反応させた(モル比Cy5:MPTMS:DMOS 1:25:1150)。反応物を、窒素下、室温で24時間放置してシラン官能化Cy5(Cy5−MPTMS)を生成した。次いで、TMOSおよびCy5−MPTMSを、水酸化アンモニウム(ammonia hydroxide)溶液(約pH8)に滴定した(モル比TMOS:Cy5:NH3:H2O 1:0.001:0.44:1215)。溶液を、600rpmで、室温で24時間撹拌して、均一なCy5カプセル化されたシリカナノ粒子を形成させた。次いで、mal−dPEG−APTESおよびシラン官能化ポリエチレングリコール(PEG−シラン、MWおよそ500、Gelest)を合成溶液に加えて、粒子をペグ化し、表面官能化させた(PEG−シラン:TMOS:mal−PEG−APTES 1:2.3:0.006)。溶液を600rpm、室温で24時間撹拌し、次いで、撹拌なしで、80℃でさらに24時間インキュベートした。溶液を、2000mLの脱イオン水中で2日間透析し(10k MWCO)、200nmシリンジフィルターで濾過し、最後にクロマトグラフィーで精製(Superdex200)して、所望のmal−C’ドットを得た。
C’ドット−(Cy5)−PEG−Phe−Arg−dPEG
2−Gly−D−Tyr−APdMGの調製:
【0140】
化合物6を得るために使用したのと同じ全般的合成戦略を使用した。リンカー−薬物構築物Phe−Arg−dPEG
2−Gly−D−Tyr−APdMG(23)を合成した。(C
74H
105ClFN
15O
20S(正確な質量1609.71)についてのESI−MS(m/z):[M+2H]
2+計算値805.9、実測値805.6)。この構築物を、NDC6および7について説明したように、C’ドット−(Cy5)−PEG−malに付着させた。
C’ドット−(Cy5)−PEG−Phe−Lys−PABC−Gly−D−Tyr−APdMGの調製:
【0141】
化合物7を得るために使用したのと同じ全般的合成戦略を使用した。リンカー−薬物構築物Phe−Lys−PABC−Gly−D−Tyr−APdMG(24)を合成した。(C
71H
94ClFN
10O
18S(正確な質量1460.61)についてのESI−MS(m/z):[M+H]
+計算値1461.6、実測値1461.3;[M+2H]
2+計算値731.3、実測値731.5)。この構築物を、NDC6および7について説明したように、C’ドット−(Cy5)−PEG−malに付着させた。
C’ドット−(Cy5)−PEG−Phe−Arg−dPEG
2−Gly−D−Tyr−アミノプロピル−APdMGの放射性ヨウ素化物の調製:
【0142】
放射性ヨウ素化を、Iodogenプロトコールを使用して、C’ドット−(Cy5)−PEG−Phe−Arg−dPEG
2−Gly−D−Tyr−APdMGで実施した。ヨウ素化反応物をPD10カラムで精製し、次いでGPC(Superdex)で分析した。