特許第6573637号(P6573637)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6573637特に熱的保護フェアリングのためのミサイル構造壁
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6573637
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】特に熱的保護フェアリングのためのミサイル構造壁
(51)【国際特許分類】
   F42B 10/46 20060101AFI20190902BHJP
【FI】
   F42B10/46
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-574358(P2016-574358)
(86)(22)【出願日】2015年6月10日
(65)【公表番号】特表2017-519180(P2017-519180A)
(43)【公表日】2017年7月13日
(86)【国際出願番号】FR2015000115
(87)【国際公開番号】WO2015197923
(87)【国際公開日】20151230
【審査請求日】2018年4月10日
(31)【優先権主張番号】14/01422
(32)【優先日】2014年6月25日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515147461
【氏名又は名称】エムベデア フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケルテレ、クレマン
【審査官】 諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06592981(US,B1)
【文献】 特開平09−033199(JP,A)
【文献】 米国特許第06091375(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0256329(US,A1)
【文献】 米国特許第06558785(US,B1)
【文献】 特表2007−511730(JP,A)
【文献】 特開平10−226582(JP,A)
【文献】 米国特許第05626951(US,A)
【文献】 米国特許第05413859(US,A)
【文献】 英国特許出願公開第02228142(GB,A)
【文献】 特開平09−093022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F42B 10/00−10/66
F42B 15/00−15/38
B64G 1/58
B64G 1/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミサイルの構造壁であって、前記壁(10)は外面(12)及び内面(13)を備える構造部分(11)を備え、
前記壁は、前記構造部分(11)の少なくとも一部(16)において、
− 前記構造部分(11)の前記外面(12)に少なくとも1つの熱的保護外部層(14)と、
− 前記構造部分(11)の前記内面(13)に少なくとも1つの熱的保護内部層(15)とを備え、
前記内部層(15)は前記外部層(14)の材料の2から20倍低い密度の前記材料から作製され
連結領域(18)において相互接続される少なくとも2つのシェル(3、4)を備え、前記外部層(14)は前記連結領域(18)内の前記外面(12)もカバーし、前記内部層(15)は前記内面(13)上の前記連結領域(18)を解放することを特徴とする、構造壁。
【請求項2】
前記外部層(14)は一体化された要素を備えるシリコーンベースの又は黒鉛ベースの材料を備えることを特徴とする、請求項1に記載の構造壁。
【請求項3】
前記外部層(14)は機械的保護も提供するように設計されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の構造壁。
【請求項4】
前記内部層(15)は繊維材料を備えることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の構造壁。
【請求項5】
前記構造部分(11)は金属材料、熱構造複合材料又はセラミック材料の内の1つの材料から作製されることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項項に記載の構造壁。
【請求項6】
前記構造部分(11)へ少なくとも1つの端部(19A)により連結された少なくとも1つの内部構成要素(19)を備え、前記内部構成要素(19)は前記内部層(15)に設けられた開口(21)を介して熱的保護インターフェース要素(20)により前記構造部分(11)の前記内面(13)に連結されることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか一項項に記載の構造壁。
【請求項7】
前記インターフェース要素(20)は前記外部層(14)と同じ材料から作製されることを特徴とする、請求項に記載の構造壁。
【請求項8】
前記外部層及び内部層(14、15)は前記構造部分(11)の全体に亘って配置されることを特徴とする請求項1からまでのいずれか一項項に記載の構造壁。
【請求項9】
前記外部層及び内部層(14、15)は前記構造部分(11)の一部のみに配置されることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか一項項に記載の構造壁。
【請求項10】
前記構造部分(11)は熱構造複合材料又はセラミック材料の内の1つの材料から作製されることを特徴とする、請求項に記載の構造壁。
【請求項11】
前記ミサイル(1)の前部に取り付けられることを意図された保護フェアリング(2)の前記壁(10)であることを特徴とする。請求項1から1までのいずれか一項項に記載の構造壁。
【請求項12】
請求項1から1までのいずれか一項項に特定された構造壁を備えることを特徴とするミサイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はミサイルの構造壁に関する。
【背景技術】
【0002】
この構造壁はより詳細には、これに限らないが、ミサイルの前方に取り付けられるよう意図されたミサイルの熱的保護フェアリングであり、前記壁はこの種類の保護フェアリングの観点からより詳細に記載される。しかし、本発明は特にその構造体に関するミサイルの異なる壁部分、即ち著しい熱的又は空気熱力学流に曝される任意の構造壁に適用され得る。
【0003】
更に、本発明は少なくとも1つの放出可能な推進段及び推進段の前部に配置された最終ビークルを備えるミサイルに特に適用可能である。一般に、この種類の最終ビークルは、例えば自動誘導装置の一部を形成し、温度感知する可能性があるセンサを備える。
【0004】
よって本発明はより詳細には、それに限らないが、大気圏内に留まる飛行範囲を有し、その動力学的性能により最終ビークルが極超音速で運ばれることが可能になるミサイルに適用できる。これらの高速において、ミサイルの表面温度は空気熱力学流の効果の下で摂氏数百度に達する可能性があり、このことは、当該構造体及び電子装置、並びに特に搭載されたセンサの耐性及び動作に対して有害なものになり得る。このため、保護フェアリングを提供することが必要となる。
【0005】
ミサイルの著しい動的及び動力学的能力により、保護フェアリングは高温のみならず、著しい機械的圧力にも耐えられ得る必要がある。更に、フェアリングの内部に配置されてフェアリングを開くよう意図された少なくとも1つの装置も、前記装置が留められたフェアリングにより伝達され得る熱流から保護されなければならない。
【0006】
解決策は、フェアリングの内側、特に最終ビークルを熱的保護するだけでなく、フェアリング(構造部分)の構造材料を比較的低温に保つ(その結果前記材料がその機械的特徴を損失しない)ために、外側にあるフェアリング壁の構造部分を幅広くて厚い熱的保護層でカバーすることにある。
【0007】
しかし、この種類の厚い層は熱的保護特徴及び機械的保護特徴も有する必要があるという事実のため、前記層は大きな質量を有し、これはミサイルの性能に有害である。
【0008】
更に、米国特許第5979826号は保護層を備える、特にミサイルのための構造壁を開示する。
【0009】
本発明は、上述の欠点を修正することを意図した、特にミサイルの保護フェアリングであるミサイルの構造壁に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5979826号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のため、本発明によると、前記構造壁は外面及び内面を有する構造部分を含み、構造壁は構造部分の少なくとも一部において、
− 構造部分の外面に少なくとも1つの熱的保護外部層と、
− 構造部分の内面に少なくとも1つの熱的保護内部層とを含み、
内部層は外部層の材料の2から20倍低い密度の材料から作製されることを特徴とする。
従って、本発明により、
− 機械的保護を提供するように有利に設計され高い密度を有する外部層は、少ない厚さを有する結果として少ない質量を有し、
− 内部層は外部層の厚さの減少により生じる熱的保護の減少を補償することを可能にし、よって構造部分から壁の内側の装置への有害な熱伝達を防止するか、又は少なくとも著しく減らすことができる。例えば、熱的保護フェアリングの壁の場合、本発明は最終ビークルのセンサ又は保護フェアリングを開いて最終ビークルを放出させるための装置への有害な熱伝達を減少させることができる。
【0012】
従って、この新しい壁の構造は、その内部が熱的(外部層及び内部層の組合せによって)及び機械的(構造部分により、及び外部層が機械的強度に貢献する結果により)に保護されるミサイルの性能を低下させない。
【0013】
更に、少ない質量を有する熱的保護内部層の材料の大変低い密度により、フェアリングの壁は少なくとも3つの層(外部層、構造部分、内部層)を有して製造され、その全体質量は、構造部分に加えて厚い(及び重い)外側保護部を備える上述の種類のフェアリングよりずっと少ない。よって、より効果的なアセンブリが製造される。
【0014】
従って、本発明の文脈において、構造部分の比較的低い温度に達することを求める代わりに、ずっと薄い外部層を提供することにより構造部分の高温が許容され、同時に装置の悪影響の開始を内部層により防止する。
【0015】
好ましい実施例において、
− 外部層は一体化された要素(繊維、織物等)を有するシリコーンベースの又は黒鉛ベースの材料を含み、及び/又は、
− 内部層は繊維材料を含み、及び/又は、
− 構造部分は金属材料、熱構造複合材料又はセラミック材料の内の1つの材料から作製される。
【0016】
更に、特定の実施例において、好ましくは保護フェアリングの構造壁は、連結(又は接合)領域で相互接続される少なくとも2つのシェルを含み、外部層は前記連結領域内の前記外面もカバーし、内部層は前記内面で前記連結領域を解放する。
【0017】
従って、構造壁は外部の(連結領域内の)自由端をカバーする熱的保護を含み、これは構造壁の密封を保持するのに貢献する。熱的保護外部層は、例えばフェアリングが放出又は開かれてシェルが分離する時に連結領域で破断される。
【0018】
更に、好ましくは保護フェアリングの構造壁は、少なくとも1つの端部において構造壁に連結された例えば点火装置アクチュエータ等の少なくとも1つの内部構成要素を有利に含む。内部構成要素は、内部層に設けられた開口を介して、熱的保護インターフェース要素により構造部分の内面に連結される。インターフェース要素は好ましくは外部層と同じ材料で作製される。
【0019】
尚、例えば点火装置アクチュエータ等の内部構成要素が壁(特にフェアリングの壁)の構造部分に直接連結されることは適切ではない。その理由は、温度(例えば200℃超)が点火装置アクチュエータの動作を損なう、又は前記アクチュエータが不適切な時間に動作することを引き起こしさえする可能性があるためである。
【0020】
更に、第1の実施例において、前記外部層及び内部層は前記構造部分の全体に亘って配置され、これは保護フェアリングを例えば包括的な方法で保護することを可能にする。
【0021】
更に、第2の実施例において、前記外部層及び内部層は構造部分の一部(好ましくは保護フェアリングの場合、前端)のみに配置され、これは構造壁の質量を減少可能にし、一方、例えば保護フェアリングのノーズ等の最も熱い領域も保護する。この第2の実施例において、構造部分は有利には高い熱的保護を提供する熱構造複合材料又はセラミック材料から作製される。
【0022】
従って特定の実施例では、構造壁はミサイルの前部に取り付けられるよう意図された熱的保護フェアリングの壁である。
【0023】
本発明は構造壁、特に上記のような保護フェアリングを含むミサイルにも関する。
【0024】
添付の図面は本発明がどのように実施されるかについて明確な理解を与えるであろう。これらの図面において、同一の参照符号は同じ要素を指し示す。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明による保護フェアリングが適用された実例としてのミサイルが、ミサイルに嵌合された位置にあることを概略的に示す図である。
図2】本発明による保護フェアリングが適用された実例としてのミサイルが、放出された又は開いた位置にあることを概略的に示す図である。
図3】保護フェアリング壁の一部の概略断面図である。
図4A】概略的に示された平面により、構造部分の前端を切った図である。
図4B図4Aに概略的に示された平面における実例としてのシェル接続領域の図である。
図5】熱的保護インターフェース要素の配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は図1及び図2に概略的に示されるミサイル1に関し、ミサイル1の構造壁10に関する。
【0027】
この構造壁は特に熱的のみならず機械的にも保護される必要があるミサイル1の任意の壁部分に対応可能である。好ましいが制限しない方法で、本発明は保護フェアリング2の壁10を参照して以下に説明される。
【0028】
この保護フェアリング2は(前記ミサイル1の移動方向Fにおいて)ミサイル1の前面に配置される。この保護フェアリング2は、この場合図1及び図2に示される実例における2つのシェル3及び4である複数のシェル3及び4を備える。
【0029】
図1及び図2において、本発明は、長手軸X−Xを有し、少なくとも1つの放出可能な推進段5を(後方に)備え、この推進段5の前方に(移動方向Fにおいて)配置された最終ビークル6を備えるミサイル1に適用される。
【0030】
一般的に、この種類の飛行する最終ビークル6は少なくとも1つのセンサ8を特に備える。センサ8は前部に配置され、例えば自動誘導装置の一部を形成し、温度感知する可能性がある。任意の標準タイプであり得る推進段5及び最終ビークル6は、以下の説明において更に記載されない。
【0031】
通常、この種類のミサイル1の推進段5は、発砲から目標物(ミサイル1により無効化されなければならない)が閉じられるまでの前記ミサイル1の推進を意図する。飛行の最終段階は、例えば目標物の検知の助けになることを意図する光電センサ等の搭載されたセンサ8から生じる情報を特に使用する最終ビークル6により自律的に完了される。これを行うため、最終ビークル6はこの最終飛行を実行するのに必要な全ての標準手段(更に説明しない)を備える。最終段階が開始される前に、保護フェアリング2は放出され(又は少なくとも開放され)、(飛行する)最終ビークル6を解放するために例えば回動により異なるシェル3及び4を分離させた後、最終ビークル6はミサイル1の残りから分離される。
【0032】
図1の状況において、保護フェアリング2は動作(又は保護)位置においてミサイル1に取り付けられる。保護フェアリング2内に取り付けられる最終ビークル6は破線で表される。
【0033】
更に、図2に示される状況において、シェル3及び4は、保護フェアリング2を開放又は放出する段階の間、矢印α1及びα2のそれぞれにより示されるように、図2に図式的に表されるヒンジ(又は回転)要素7により例えば回動されることにより分離する途中である。保護フェアリング2を開放又は放出する段階は最終ビークル6を解放し、最終ビークル6は例えば適切な排出手段(図示せず)を使用してミサイル1から排出され得る。
【0034】
本発明はより具体的には、これに限らないが、大気圏内に留まる飛行範囲を有し、最終ビークル6が極超音速で運ばれるようにする動力学的性能を有するミサイル1に適用可能である。これらの高速において、ミサイル1の表面温度は、構造体、電子装置及び特に搭載されたセンサの耐性及び性能を可能にすることに有効な保護フェアリング2の提供が必要となる空気熱力学流の効果の下で摂氏数百度に達し得る。
【0035】
少なくとも部分的に、好ましくは完全に最終ビークル6をカバーするためにミサイル1の前面に取り付けられるよう意図された保護フェアリング2は、図3に示されるような構造部分(又は層)11を有する壁10を備える。図3は(例えば図4Aに示される平面Pにおいて)軸X−Xに沿った壁10の一部の断面図である。
【0036】
この構造部分11はミサイル1(又はミサイル1の長手軸X−X)の外側及び内側のそれぞれについて規定された外面12及び内面13を有する。
【0037】
本発明によると、壁10は更に、少なくとも構造部分11の前端(又は一部)16に以下のものを備える。
− 構造部分11の外面12に熱的保護外部層14と、
− 構造部分11の内面13に熱的保護内部層15。
【0038】
更に、本発明によると、内部層15は外部層14の材料の密度の2から20倍低い密度を有する材料で作製される。
【0039】
従って、壁10は、構造部分11に加えて、熱的保護内部層15と組み合わされる熱的保護外部層14を備える。より詳しくは、以下のものを備える。
− 機械的保護も提供するように設計されこの目的で高い密度を有する外部層14は、少ない厚さE1を有する結果として少ない質量を有し、
− 内部層15は外部層14の厚さの減少により生じる熱的保護の減少を補償することを可能にし、よって構造部分11から保護フェアリング2の内側の装置、及び特に最終ビークル6のセンサ8への有害な熱伝達を防止するか、又は少なくとも著しく減らすことができる。
【0040】
従って、壁10の構造は、その内部17が(外部層14及び内部層15の組合せによって)熱的保護されるミサイル1の性能を低下させない。壁10は構造部分11により機械的にも保護され、外部層14もこの機械的保護に貢献する。
【0041】
更に、少ない質量を有する熱的保護内部層15の材料の大変低い密度により、少なくとも3つの層(外部層14、構造部分11、内部層15)を有する保護フェアリング2の壁10は厚くて重い通常の外部保護手段を備えるフェアリングの全体質量よりもずっと少ない全体質量を有する。それゆえ、より軽い保護フェアリング2及びより効果的なミサイル1が製造される。
【0042】
従って、本発明の文脈において、構造部分11の比較的低い温度に達することを求める代わりに、ずっと薄い外部層14を提供することにより構造部分11の高温が許容され、同時に付随する装置の悪影響を内部層15により防止する。
【0043】
更に、特に図3及び図4Bに示される特定の実施例において、外部層14は内部層15の厚さE2より少ない、減少した厚さE1を有する。
【0044】
特定の実施例において、
− 外部層14は短繊維(炭素、ガラス、シリカ、アラミド)又は織物(炭素、ガラス、シリカ、アラミド)を含み得るシリコーンベースの材料を備える。前記外部層はまた黒鉛、フェノール樹脂又は他の標準材料から作製され得る、また、
− 内部層15は例えば石英ウール、石英フェルト、ケイ酸マグネシウムファイバ、RCF(耐火セラミック繊維)、ケイ酸アルミニウムファイバ、多結晶ファイバ等の繊維材料を備える。内部層15は拘束繊維により補完され得るか、又は複数の絶縁体を備える挟み込み材料を備え得る。
【0045】
内部層15のためのそのような材料は熱的保護外部材料に比べてかなりの利点、即ち0.5より小さい密度(外部層14の上述の材料の密度よりおよそ2から20倍少ない)を有する。反対に、内部層15のためのこれらの材料は機械的強度を有さないが、それらは保護フェアリング2の内部で使用されるためこれは問題ではない。
【0046】
更に、構造部分11は以下の材料の1つから作製され得る。
− 例えば高性能スチール(X4、X5等)又はチタン合金(例えばTi6AI4V)等の金属材料、又は
− 特にCMC(セラミックマトリックス複合物)タイプの熱構造複合材料、又は
− セラミック材料(炭化ケイ素等)。
【0047】
更に、特定の実施例において、部分的な図である図4Bに示されるように、図4Aに示される横断面Pの矢印Gの方向において、2つのシェル3及び4が連結領域18等の連結(又は接合)領域で相互接続される。この特定の実施例において、
− 外部層14は(構造部分の2つの径方向端部22により画定される)連結領域18内の前記外面12もカバーする、及び
− 内部層15は径方向端部22で停止することにより、前記内面13で連結領域18を解放する。
【0048】
従って、保護フェアリング2は外部16の(連結領域18内の)自由端をカバーする熱的保護を備え、これはフェアリングの密封を保持するのに貢献する。熱的保護外部層14は、保護フェアリング2が放出又は開かれてシェル3及び4が分離する時に連結領域18で破断される。
【0049】
この解決策は、この部分が、(フェアリングが除去される前に、搭載された装置及び特にセンサ8を有害な方法で加熱可能な)空気熱力学流内に放置すると思われる連結領域18内の開口になることを防止する。
【0050】
特定の実施例(図示せず)では、2つの隣接するシェルの内部層の内部カバーが提供され得る。更に、この状態において、外部層はその破断を容易にするため前もって切断されても良い。
【0051】
更に、保護フェアリング2は例えば点火装置アクチュエータ、又は少なくとも1つの端部19Aにより構造部分11に連結されたある種類の電子装置等の少なくとも1つの内部構成要素19を備える。図5に示されるように、内部構成要素19は、内部層15に設けられた開口21を介して、特に単一の平面の形態で、熱的保護インターフェース要素20により構造部分11の内面13に連結される。
【0052】
好ましい実施例において、インターフェース要素20は例えばシリコーン材料等の外部層14と同じ材料から作製される。インターフェース要素20は、窒化珪素、ムライト、ジルコン等の絶縁セラミック材料から作製されても良い。
【0053】
特定の実施例において、保護フェアリング2はこの種類の複数の内部構成要素19を備える。
【0054】
尚、例えば点火装置アクチュエータ等の内部構成要素19が保護フェアリング2の構造部分11に直接連結されることは適切ではない。その理由は、温度が点火装置アクチュエータの動作を損なう、又は前記アクチュエータが不適切な時間に動作することを引き起こしさえする可能性があるためである。
【0055】
更に、第1の実施例において、前記外部層14及び内部層15は前記構造部分11の全体に亘って配置され、これはフェアリング2の全体を包括的な方法で保護することを可能にする。
【0056】
更に、第2の実施例において、前記外部層14及び内部層15は構造部分11の前部又は端部のノーズ部分のみに配置され、これは保護フェアリング2の質量を減少可能にし、一方最も熱い領域も保護する。この第2の実施例において、構造部分11は好ましくは高い熱的保護を提供するセラミックマトリックス複合材料から作製され、よって特に層14及び15が設けられていない部分を熱的に保護する。
【0057】
従って、本発明の文脈において、構造材料(構造部分11)がより高温で機能するためにより薄い熱的保護外部層14が使用される。外部層はその特性において僅かな損失を受けるが、これは限定的である。反対に、内部層13は(数百度まで)熱くなるため、内部17を保護するため、特に最終ビークル6を輻射及び対流効果から保護するため熱的保護内部層15によりカバーされる。
【0058】
従って、保護フェアリング2は構造、搭載された装置及び特に最終ビークル6のセンサ8に有害な熱伝達を防止する内部熱的保護を有する。本発明は保護フェアリング2が備えられた如何なる種類のミサイルにも適用され得る。従って、特に前記発明はミサイルの範囲及び前記ミサイルが段を備えるかどうかにより限定されず、前記発明は飛行高度に依存しない。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5