(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の場合、合成樹脂としてアクリル樹脂やエポキシ樹脂を使用した被覆材と比較すると発泡倍率が低く、所望の耐熱保護性能を得るには、まだ改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するために本発明者らは、特定のポリオール成分を含む被覆材が、優れた発泡性を有し、基材の耐熱保護性能を維持することができることを見出し、本発明の完成に至った。
【0007】
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.その被膜が温度上昇によって炭化断熱層を形成する被覆材であって、
前記被覆材は、樹脂成分(a)として、ポリオール成分(a1)及びポリイソシアネート成分(a2)を含み、
前記ポリオール成分(a1)が、分子量が5000以上のポリエーテルポリオールを含むことを特徴とする被覆材。
2.前記ポリオール成分(a1)を含む主剤、及び前記ポリイソシアネート成分(a2)を含む硬化剤を有することを特徴とする1.に記載の被覆材。
3.前記ポリイソシアネート成分(a2)が、ヘキサメチレンジイソシアネート及び/またはその誘導体を含むことを特徴とする1.または2.に記載の被覆材。
4.前記ポリイソシアネート成分(a2)が、ビウレット型ヘキサメチレンジイソシアネートを含むことを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の被覆材。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、その被膜が温度上昇によって炭化断熱層を形成する被覆材であって、上記被覆材は、樹脂成分(a)として特定のポリオール成分を含むことにより、火災等による温度上昇に際し、優れた発泡性を有し、耐熱保護性能を発揮し、基材の耐熱保護性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明をその実施の形態に基づき詳細に説明する。
【0010】
本発明は、その被膜が火災等の温度上昇(加熱)により炭化断熱層を形成するものであり、前記被覆材は、樹脂成分(a)として、ポリオール成分(a1)及びポリイソシアネート成分(a2)を含み、前記ポリオール成分(a1)が、分子量が5000以上のポリエーテルポリオールを含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の樹脂成分(a)は、ポリオール成分(a1)及びポリイソシアネート成分(a2)を含み、これらは反応して被膜を形成する成分である。本発明のポリオール成分は、ポリエーテルポリオール(a1)を含み、その分子量が5000以上(好ましくは6000以上15000以下、より好ましくは6500以上12000以下)である。このようなポリオール成分を使用することにより、被膜の温度上昇(好ましくは被膜表面温度が200℃以上、さらに好ましくは250℃以上)によって、優れた発泡性を有し、基材の耐熱保護性能を高めることができる。なお、本発明においてポリオール成分(a1)の分子量は、数平均分子量(Mn)であり、ポリスチレン重合体をリファレンスとして用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって求めた、いわゆるポリスチレン換算分子量である。
【0012】
上記ポリエーテルポリオールは、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール誘導体、ソルビトール、ネオペンチルグリコール等の多価アルコール類と、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドとの付加重合により得られるものである。本発明では、上記多価アルコール類と、エチレンオキサイド及び/またはプロピレンオキサイドとの付加重合により得られる重合体が好適であり、末端にエチレンオキサイド及び/またはプロピレンオキサイドが付加されたものがより好適である。さらに、上記のポリエーテルポリオールとして、活性水素原子を有する官能基が3つ以上(官能基数3以上)のポリエーテルポリオールを含むことが好ましい。この場合、硬化性に優れ、安定して被膜を形成することができるため本発明の効果が得られやすい。活性水素原子を有する官能基としては水酸基が好適である。
【0013】
このようなポリエーテルポリオールとしては、水酸基価が5〜40mgKOH/g(より好ましくは10〜30mgKOH/g)であることが好ましい。このようなポリオール成分を使用することにより、いっそう優れた発泡性を発揮し、基材の耐熱保護性能を高めることができる。
【0014】
また、上記ポリエーテルポリオールの含有量は、ポリオール成分(a1)の全量に対して、90重量%以上(より好ましくは95重量%以上)であることが好ましい。また、上記(a1)ポリオール成分が、ポリエーテルポリオールのみの態様も好適である。なお、上記ポリエーテルポリオール以外のポリオール成分としては、例えば、ポリエステルポリオール、ひまし油、ひまし油変性ポリオール、エポキシ変性ポリオール、シリコーン変性ポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリペンタジエンポリオール等が挙げられる。
【0015】
本発明のポリイソシアネート成分(a2)としては、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(pure−MDI)、ポリメリックMDI、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添XDI、水添MDI等、あるいはこれらをアロファネート化、ビウレット化、2量化(ウレチジオン化)、3量化(イソシアヌレート化)、アダクト化、カルボジイミド化した誘導体;及び、これらをアルコール類、フェノール類、ε−カプロラクタム、オキシム類、活性メチレン化合物類等でブロックした、ブロックイソシアネート等が挙げられ、これから選ばれる1種または2種以上を用いることができる。
【0016】
本発明では、ポリイソシアネート成分(a2)として、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)及び/またはその誘導体(以下「HMDI類」ともいう。)を含むことが好ましい。上記HMDI類の含有量は、ポリイソシアネート成分(a2)の全量に対して、90重量%以上(より好ましくは95重量%以上)であることが好ましい。また、ポリイソシアネート成分(a2)が、HMDI類のみからなる態様も好適である。また、誘導体としては、ビウレット体、及び/またはイソシアヌレート体が好適である。このような場合、形成被膜の硬化性に優れ、温度上昇時にはより優れた発泡性を発揮し、基材の耐熱保護性を高めることができる。
【0017】
ポリオール成分(a1)とポリイソシアネート成分(a2)の混合は、ポリオール成分(a1)とポリイソシアネート成分(a2)のNCO/OH当量比で好ましくは0.6〜3.5(より好ましくは1〜2.5、さらに好ましくは1.1〜1.9)となるような比率で行う。このような場合、硬化性に優れ、所望の厚さで均一な被膜が形成可能であり、発泡性をよりいっそう高め、基材の耐熱保護性能を高めることができる。
【0018】
本発明では、ポリオール成分(a1)とポリイソシアネート成分(a2)の反応を促進する硬化触媒を併用することができる。硬化触媒とはイソシアネート基が反応して硬化するのを促進させる作用を有する物質である。硬化触媒としては、アミン系触媒、有機金属系触媒、及び無機系触媒等各種が挙げられる。例えば、アミン系触媒としては、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、及び、ヘキサメチレンジアミンもしくはこれらの誘導体または溶剤との混合物等が挙げられる。有機金属系触媒としては、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、及び酢酸カリウム等が挙げられる。無機系触媒としては、塩化スズ等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用でき、溶剤と混合して使用することもできる。
【0019】
さらに本発明の被覆材には、例えば、発泡剤(b)、炭化剤(c)、難燃剤(d)、及び充填材(e)等を含むことができる。
【0020】
発泡剤(b)としては、例えば、メラミン及びその誘導体、ジシアンジアミド及びその誘導体、アゾビステトラゾーム及びその誘導体、アゾジカーボンアミド、尿素、チオ尿素等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で使用することができる。発泡剤(b)の含有量は、上記樹脂成分(a)の固形分100重量部に対して、好ましくは10〜200重量部(より好ましくは20〜150重量部)である。なお、本発明の発泡剤(b)は、火災時等の温度上昇によって被膜に発泡作用を付与するものであり、具体的には、被膜表面の温度が好ましくは200℃以上となった場合に発泡作用を付与するものである。
【0021】
炭化剤(c)としては、例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、デンプン、カゼイン等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で使用することができる。本発明では、特にペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールが脱水冷却効果と炭化断熱層形成作用に優れている点で好ましい。炭化剤(c)の含有量は、上記(a)樹脂成分の固形分100重量部に対して、好ましくは10〜200重量部(より好ましくは20〜120重量部)である。なお、本発明の炭化剤(c)は、火災時等の温度上昇によって、上記樹脂成分(a)の炭化とともに脱水炭化することにより、炭化断熱層を形成する作用を付与するものである。
【0022】
難燃剤(d)としては、例えば、トリクレジルホスフェート、ジフェニルクレジルフォスフェート等の有機リン系化合物;塩素化ポリフェニル、塩素化ポリエチレン、塩化ジフェニル、塩化トリフェニル、塩素化パラフィン、五塩化脂肪酸エステル、パークロロペンタシクロデカン、塩素化ナフタレン、テトラクロル無水フタル酸等の塩素化合物;三酸化アンチモン、五塩化アンチモン等のアンチモン化合物;三塩化リン、五塩化リン、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、リン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸メレム、リン酸ホウ素、ポリリン酸ホウ素、リン酸アルミニウム、ポリリン酸アルミニウム等のリン化合物;その他ホウ酸亜鉛、ホウ酸ソーダ等の無機質化合物等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で使用することができる。本発明では、難燃剤(d)として、リン化合物を含むことが好ましい。難燃剤(d)の含有量は、上記樹脂成分(a)の固形分100重量部に対して、好ましくは100〜1000重量部(より好ましくは200〜800重量部)である。
【0023】
充填剤(e)としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、粘土、クレー、シラス、マイカ、珪砂、珪石粉、石英粉、硫酸バリウム等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で使用することができる。充填剤(e)の含有量は、上記樹脂成分(a)の固形分100重量部に対して、好ましくは3〜200重量部(より好ましくは5〜150重量部)である。
【0024】
さらに、本発明では、上記成分に加えて金属水和物(f)を含むこともできる。金属水和物(f)は、温度上昇時に、脱水反応等による吸熱性を示すものであり、上記充填剤(e)とは異なるものである。このような金属水和物(f)としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。また、金属水和物(f)の平均粒子径は、好ましくは0.1〜20μm(より好ましくは0.2〜15μm、さらに好ましくは0.3〜8μm、最も好ましくは0.4〜3μm)である。金属水和物(f)の含有量は、上記樹脂成分(a)の固形分100重量部に対して、好ましくは1〜200重量部(より好ましくは10〜100重量部、さらに好ましくは25〜80重量部)である。
【0025】
本発明では、充填剤(e)と金属水和物(f)を併用することが好ましく、この場合、充填剤(e)と金属水和物(f)は重量比1:9〜9:1(より好ましくは2:8〜8:2)とすることが好ましい。この場合、発泡性、特に高温下における炭化断熱層の収縮等を抑制し、安定した炭化断熱層を形成することができるため、本発明の効果を高めることができる。なお、平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置によって測定される 。
【0026】
その他、添加剤としては、本発明の効果を著しく阻害しないものであればよく、例えば、顔料、繊維、湿潤剤、可塑剤、滑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、増粘剤、レベリング剤、分散剤、消泡剤、架橋剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、希釈溶媒等が挙げられる。
【0027】
本発明の被覆材は、上記ポリオール成分(a1)を含む主剤、及び上記ポリイソシアネート成分(a2)を含む硬化剤を有する2液型の被覆材であることが好ましい。すなわち、流通時には主剤と、硬化剤とを、それぞれ別のパッケージに保存した状態とし、使用時(塗付時)にこれらを混合すればよい。この場合、上記発泡剤(b)、上記炭化剤(c)、上記難燃剤(d)、及び上記充填剤(e)(さらには、上記金属水和物(f)、硬化触媒)はそれぞれ、主剤と硬化剤の少なくとも一方に混合すればよいが、本発明では主剤に混合することが好ましい。また、主剤と硬化剤の混合時に、各成分を添加することもできる。
【0028】
本発明の被覆材は、建築物・土木構築物等の構造物の表面被覆に適用する発泡性耐火被覆材として好適なものである。具体的には、壁、柱、床、梁、屋根、階段、天井、戸等の各種基材に施工することができる。適用可能な基材としては、例えば、コンクリート、モルタル、サイディングボード、押出成形板、石膏ボード、パーライト板、煉瓦、プラスチック、木材、金属、鉄骨(鋼材)、ガラス、磁器タイル等が挙げられる。これら基材は、その表面に、既に被膜が形成されたもの、何らかの下地処理(防錆処理、難燃処理等)が施されたもの、壁紙が貼り付けられたもの等であってもよい。
【0029】
本発明の被覆材を基材に塗付する際には、例えば、スプレー、ローラー、刷毛、こて等の塗付具を使用して、1工程ないし数工程塗り重ねて塗付すれば良いが、1工程あたりの乾燥膜厚が好ましくは400μm以上(より好ましくは500〜5000μm)となるように塗付する。これにより、少ない塗工工程で、厚膜を形成することができる。最終的に形成される被膜厚は、所望の機能性、適用部位等により適宜設定すれば良いが、好ましくは0.4〜5mm程度である。
【0030】
本発明では、上記被覆材により形成される被膜を保護するために、必要に応じてさらに上塗材を塗付することもできる。このような上塗材は、公知の被覆材を塗付することによって形成することができる。上塗材としては、例えばアクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、アクリルシリコン樹脂系、フッ素樹脂系等の被覆材を用いることができる。上塗材の塗付は、公知の塗付方法によれば良く、例えば、スプレー、ローラー、刷毛等の塗装器具を使用することができる。
【実施例】
【0031】
以下に実施例を示して、本発明の特徴をより明確にする。但し、本発明はこの範囲には限定されない。
【0032】
(被覆材1〜15)
表1に示す配合に従い、(a1)成分、(b)成分〜(i)成分を常法により混合し主剤を調製した。次いで、(a2)成分を混合し被覆材1〜15を得た。なお、原料としては以下のものを使用した。
【0033】
・ポリオール成分(a1)
(a1−1):ポリエーテルポリオール(グリセリンを開始剤としたエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドの重合体、数平均分子量10000、官能基数3、水酸基価17mgKOH/g、末端エチレンオキサイド付加)
(a1−2):ポリエーテルポリオール(グリセリンを開始剤としたエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドとの重合体、数平均分子量7000、官能基数3、水酸基価24mgKOH/g、末端エチレンオキサイド付加)
(a1−3)ポリエーテルポリオール(グリセリンを開始剤としたエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドの重合体、数平均分子量6000、官能基数3、水酸基価28mgKOH/g、末端エチレンオキサイド付加)
(a1−4):ポリエーテルポリオール(プロピレングリコールを開始剤としたエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドの重合体、数平均分子量5000、官能基数2、水酸基価33mgKOH/g、末端エチレンオキサイド付加)
(a1−5):ポリエーテルポリオール(プロピレングリコールを開始剤としたプロピレンオキサイドの重合体、数平均分子量5500、官能基数2、水酸基価21mgKOH/g、末端プロピレンオキサイド付加)
(a1−6):ポリエーテルポリオール(グリセリンを開始剤としたプロピレンオキサイドとの重合体、数平均分子量4000、官能基数3、水酸基価43mgKOH/g、末端プロピレンオキサイド付加)
(a1−7):ポリエステルポリオール(フタル酸を開始剤とするポリエステルポリオール、数平均分子量560、官能基数2、水酸基価200mgKOH/g)
【0034】
・ポリイソシアネート成分(a2)
(a2−1)ビウレット型ヘキサメチレンジイソシアネート
(a2−2)イソシアヌレート型ヘキサメチレンジイソシアネート
(a2−3)ポリメリックMDI
【0035】
・発泡剤(b):メラミン
・炭化剤(c):ジペンタエリスリトール
・難燃剤(d):ポリリン酸アンモニウム
・充填剤(e):酸化チタン
・金属水和物(f)
(f−1)水酸化アルミニウム(平均粒子径:1μm)
(f−2)水酸化アルミニウム(平均粒子径:4μm)
(f−3)水酸化アルミニウム(平均粒子径:10μm)
・硬化触媒(g):無機系硬化触媒
・添加剤1:分散剤、消泡剤等
・添加剤2:可塑剤、希釈溶剤
【0036】
(実施例1〜13、比較例1〜2)
予めさび止め塗装した鋼板(縦150mm×横70mm×厚さ1.6mm)の全面に被覆材をスプレーで塗付(乾燥膜厚1.5mm)し、常温(25℃)で7日間養生させたものを試験体とし、以下の評価を実施した。
<硬化性評価>
形成被膜の硬化性(タックの有無)を指触試験にて評価した。評価基準は、以下の通りである。
A:タックがなく硬化性良好
B:ややタックが残存
C:かなりタックが残存
D:硬化不良
【0037】
<耐熱性評価1>
ISO 5660−1 コーンカロリーメーター法に基づき、電気ヒーター(CONEIII、株式会社東洋精機製)を用いて、試験体表面に50kW/m
2の輻射熱を15分間放射したときの発泡倍率、及び鋼板裏面温度を測定した。各評価基準は以下の通りである。また、結果は表1に示す。
(発泡倍率)
AA:発泡倍率35倍超
A:発泡倍率25倍超35倍以下
B:発泡倍率20倍超25倍以下
C:発泡倍率15倍超20倍以下
D:発泡倍率15倍以下
(裏面温度)
AA:430℃未満
A:430℃以上470℃未満
B:470℃以上500℃未満
C:500℃以上550℃未満
D:550℃超
(緻密性)
発泡倍率を測定した試験体を切断し、その断面における炭化断熱層の緻密性を目視にて確認した。評価基準は、緻密性が高いものを「A」、緻密性が低いものを「D」とする4段階評価(優:A>B>C>D:劣)とした。
【0038】
【表1】
【0039】
実施例1〜13は、発泡性に優れ裏面温度の上昇も十分に抑制でき、形成された炭化断熱層の緻密性においても良好であり、耐熱保護性能を十分に発揮できるものであった。一方、比較例1、2は、発泡性が不十分であり、耐熱保護性能を得ることはできなかった。
【0040】
(実施例14〜18)
さらに、被覆材1、10〜13について、上記と同様の試験体を作成し、以下の評価を実施した。
<耐熱性評価2>
ISO 5660−1 コーンカロリーメーター法に基づき、電気ヒーター(CONEIII、株式会社東洋精機製)を用いて、試験体表面に50kW/m
2の輻射熱を25分間放射したときの発泡倍率、及び鋼板裏面温度、緻密性を測定した。各評価基準は上記耐熱性評価1と同様である。また、結果は表2に示す
【0041】
【表2】
【0042】
実施例14〜18は、加熱試験を延長した高温下においても、安定して炭化断熱層を形成し、炭化断熱層の収縮を抑制することが可能であり、十分な耐熱保護性能を発揮できるものであった。実施例15、16(特に、実施例15)では、加熱試験を延長した場合において、炭化断熱層の収縮が抑制され、よりいっそう優れた耐熱保護性能を発揮できるものであった。