特許第6573652号(P6573652)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6573652
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】電解洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   C25F 7/00 20060101AFI20190902BHJP
【FI】
   C25F7/00 K
   C25F7/00 T
【請求項の数】11
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-205994(P2017-205994)
(22)【出願日】2017年10月25日
(65)【公開番号】特開2019-77921(P2019-77921A)
(43)【公開日】2019年5月23日
【審査請求日】2018年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】517259173
【氏名又は名称】モベック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】冨田 和巨
【審査官】 萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−323399(JP,A)
【文献】 特開平07−331500(JP,A)
【文献】 特開2005−280280(JP,A)
【文献】 特開平11−138559(JP,A)
【文献】 特開2001−241000(JP,A)
【文献】 特開2016−102223(JP,A)
【文献】 特開2001−279499(JP,A)
【文献】 米国特許第06615852(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25F 7/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄対象物を載置するための載置部と、該載置部と電気的に接続された陰極と、陽極と、電解液を貯留する洗浄槽と、を備え、前記陽極が、前記載置部に対して前記洗浄槽の深さ方向で対向するように前記載置部の上に設置された状態で、前記陰極及び前記陽極間に通電して洗浄対象物を電解洗浄する電解洗浄装置であって、前記洗浄槽の内方には、前記載置部の周りに、前記陽極が退避するための陽極退避領域が形成され、前記陽極は、前記載置部に対して前記深さ方向で対向する対向位置と、前記陽極退避領域に位置することで前記載置部に対して前記深さ方向で非対向となる退避位置とに位置変更可能に構成されている電解洗浄装置。
【請求項2】
前記陽極は、前記陰極と通電する陽極本体と、該陽極本体を支持する支持棒とを備え、該支持棒は、前記退避位置で、起立した姿勢となるように配置されている、請求項1に記載の電解洗浄装置。
【請求項3】
前記載置部は、前記洗浄対象物を載置するための載置本体と、該載置本体から延出する延出部であって、前記洗浄槽の縁に引っ掛けるための引っ掛け部を有する延出部とを備え、前記陽極は、前記陰極と通電する陽極本体と、該陽極本体を支持する支持棒と、該支持棒が取り付けられた取付バーとを備え、前記取付バーの両端は、前記対向位置では、前記引っ掛け部に係止可能に構成され、前記退避位置では、前記洗浄槽の縁に対して係止可能に構成されている、請求項1又は2に記載の電解洗浄装置。
【請求項4】
前記載置部における前記陽極退避領域に面した側面部には、前記陽極が前記対向位置と前記退避位置とに位置変更する際に通過する開口が形成されている、請求項1〜3の何れか1項に記載の電解洗浄装置。
【請求項5】
前記陽極退避領域は、前記洗浄槽内に設置された前記載置部に対して、前記深さ方向に直交する横方向外方側に形成され、前記洗浄槽は、前記深さ方向及び前記横方向に直交する縦方向で対向する一対の縦対向縁を備え、前記載置部は、前記縦方向の一方及び他方に延出する一対の延出部を備え、前記延出部は、前記縦対向縁に引っ掛けられる引っ掛け部を備え、前記引っ掛け部には、持ち手となる取手部が形成されている、請求項1〜4の何れか1項に記載の電解洗浄装置。
【請求項6】
前記陽極は、前記対向位置と前記退避位置との間を移動可能に構成され、
前記載置部は、洗浄対象物を電解洗浄する洗浄位置と該洗浄位置よりも前記深さ方向における上方側の非洗浄位置との間を該深さ方向に移動可能に構成され、
前記陽極及び前記載置部のうちの少なくとも一方を移動させる駆動部をさらに備える、請求項1に記載の電解洗浄装置。
【請求項7】
前記駆動部は、前記陽極及び前記載置部を移動させるように構成されており、前記載置部を前記非洗浄位置から前記洗浄位置に下降させた後、前記陽極を前記対向位置に位置させる、請求項6に記載の電解洗浄装置。
【請求項8】
前記駆動部は、前記陽極及び前記載置部を移動させるように構成されており、前記陽極を前記対向位置から前記退避位置に移動させた後、前記載置部を前記非洗浄位置に位置させる、請求項6又は7に記載の電解洗浄装置。
【請求項9】
前記陽極に給電する陽極給電部と、前記対向位置に位置した陽極と前記陽極給電部とを電気的に接続する接続手段と、を備える、請求項6〜8の何れか1項に記載の電解洗浄装置。
【請求項10】
洗浄対象物を載置するための載置部と、該載置部と電気的に接続された陰極と、陽極と、電解液を貯留する洗浄槽と、を備え、前記陽極が、前記載置部に対して前記洗浄槽の深さ方向で対向するように前記載置部の上に設置された状態で、前記陰極及び前記陽極間に通電して洗浄対象物を電解洗浄する電解洗浄装置であって、前記洗浄槽の内方には、前記陽極の周りに、前記載置部が退避するための載置部退避領域が形成され、前記載置部は、前記陽極に対して前記深さ方向で対向する対向位置と、前記載置部退避領域に位置することで前記陽極に対して前記深さ方向で非対向となる退避位置とに位置変更可能に構成されている電解洗浄装置。
【請求項11】
洗浄対象物を載置するための載置部と、該載置部と電気的に接続された陰極と、陽極と、電解液を貯留する洗浄槽と、を備え、前記陽極が、前記載置部に対して前記洗浄槽の深さ方向で対向するように前記載置部の上に設置された状態で、前記陰極及び前記陽極間に通電して洗浄対象物を電解洗浄する電解洗浄装置であって、前記陽極と前記載置部とが前記深さ方向で互いに対向する対向状態と、前記陽極と前記載置部とが前記深さ方向で互いに非対向となる非対向状態とに切り替わるように、前記陽極及び前記載置部の位置が、前記洗浄槽の内方で変更可能に構成されている電解洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型等の洗浄対象物を洗浄するための電解洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、金型等の洗浄対象物に付着した樹脂汚れ等を落とすための電解洗浄装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の電解洗浄装置は、洗浄対象物を載置するための載置部を有する陰極と、陽極と、電解液を貯留するための洗浄槽と、を備え、前記陰極は、前記洗浄槽の縁に掛けられて該洗浄槽内に設置され、前記陽極は、該陽極を支持するための支持棒を介して前記陰極の上に吊り下げられている。この電解洗浄装置では、洗浄対象物が陰極の載置部に載置されているので、例えば、電解洗浄後に洗浄対象物を洗浄槽から取り出す際には、陰極ごと洗浄槽から取り出すことで、洗浄対象物を洗浄槽から容易に取り出すことができる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−331500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の電解洗浄装置では、陰極の上に陽極が吊り下げられているので、陽極が邪魔になって陰極を取り出すことができない。そのため、作業者は、陽極を洗浄槽から取り出して床や作業台等に置いて、陰極の取り出し作業を行う。洗浄槽から取り出された陽極は電解液で濡れているので、該陽極を床や作業台に置くと、床や作業台が電解液で濡れてしまう。
【0006】
電解液は、ぬめりを有するアルカリ性であり、電解液で濡れた床や作業台はすべりやすく危険である。そのため、作業者は、陽極の取り出し作業を行う度に、床や作業台に付着した電解液を拭き取らなければならない。大型の電解洗浄装置の場合には、陽極も大型化するので、電解液で濡れる範囲も広範囲となり、作業者にとって電解液の拭き取り作業は大きな負担となっていた。このように、陰極ごと洗浄対象物を取り出すように構成された電解洗浄装置には、陰極を取り出し易くしつつも、周囲を汚さないことが求められる。
【0007】
なお、上記のように、陰極に洗浄対象物が載置され、陰極ごと洗浄対象物を取り出す場合に限られず、陰極に電気的に接続可能な載置部であって、洗浄対象物を載置するために準備された載置部ごと洗浄対象物を取り出す場合であっても、上記と同様の問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、周囲を汚さずに、且つ洗浄対象物を載置するための載置部を取り出し易い電解洗浄装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電解洗浄装置は、 洗浄対象物を載置するための載置部と、該載置部と電気的に接続された陰極と、陽極と、電解液を貯留する洗浄槽と、を備え、前記陽極が、前記載置部に対して前記洗浄槽の深さ方向で対向するように前記載置部の上に設置された状態で、前記陰極及び前記陽極間に通電して洗浄対象物を電解洗浄する電解洗浄装置であって、前記洗浄槽の内方には、前記載置部の周りに、前記陽極が退避するための陽極退避領域が形成され、前記陽極は、前記載置部に対して前記深さ方向で対向する対向位置と、前記陽極退避領域に位置することで前記載置部に対して前記深さ方向で非対向となる退避位置とに位置変更可能に構成されている。
【0010】
かかる構成によれば、洗浄槽には、載置部の周りに、陽極が退避するための陽極退避領域が形成され、陽極は、載置部に対して洗浄槽の深さ方向で対向する対向位置と、陽極退避領域に位置することで載置部に対して前記深さ方向で非対向となる退避位置とに位置変更可能に構成されている。そのため、陽極は、載置部に対して洗浄槽の深さ方向で対向した状態から、載置部に対して該深さ方向で対向しない状態に、洗浄槽の内方で位置変更することができる。従って、かかる構成によれば、陽極を対向位置から退避位置に位置変更させることで、洗浄槽内の電解液を洗浄槽の外に持ち出すことなく、載置部を容易に取り出すことができる。
【0011】
本発明の一態様として、前記陽極は、前記陰極と通電する陽極本体と、該陽極本体を支持する支持棒とを備え、該支持棒は、前記退避位置で、起立した姿勢となるように配置されていてもよい。
【0012】
かかる構成によれば、陽極は、退避位置で、支持棒が起立した姿勢となるように配置されているため、退避位置において支持棒が傾斜していたり、寝た姿勢となっていたりする場合に比べて、陽極に付着した電解液を、洗浄槽内の狭い範囲に落下させることができる。また、退避位置で支持棒が起立した姿勢となるように配置されていることで、電解液は、支持棒を伝い易くなるので、電解液を狭い範囲に落下させることができる。更に、退避位置で支持棒が起立した姿勢となるように配置されていることで、支持棒が洗浄槽から食み出し難く、洗浄槽の外側で液垂れが生じ難い。
【0013】
本発明の他態様として、前記載置部は、前記洗浄対象物を載置するための載置本体と、該載置本体から延出する延出部であって、前記洗浄槽の縁に引っ掛けるための引っ掛け部を有する延出部とを備え、前記陽極は、前記陰極と通電する陽極本体と、該陽極本体を支持する支持棒と、該支持棒が取り付けられた取付バーとを備え、前記取付バーの両端は、前記対向位置では、前記引っ掛け部に係止可能に構成され、前記退避位置では、前記洗浄槽の縁に対して係止可能に構成されていてもよい。
【0014】
かかる構成によれば、載置部は、洗浄対象物を載置するための載置本体と、該載置本体から延出する延出部であって、洗浄槽の縁に引っ掛けるための引っ掛け部を有する延出部とを備えているので、引っ掛け部を洗浄槽の縁に引っ掛けるだけで、延出部を介して載置本体が洗浄槽内に設置される。また、取付バーの両端は、対向位置では、載置部の引っ掛け部に対して係止可能に構成され、退避位置では、洗浄槽の縁に対して係止可能に構成されている。そのため、作業者は、陽極を載置部の引っ掛け部又は洗浄槽の縁に係止するだけで洗浄槽に設置できる。以上のように、かかる構成によれば、載置部を洗浄槽に設置しやすく、且つ対向位置と退避位置との間で陽極を移動させ易い。
【0015】
本発明の別の態様として、前記載置部における前記陽極退避領域に面した側面部には、前記陽極が前記対向位置と前記退避位置とに位置変更する際に通過する開口が形成されていてもよい。
【0016】
かかる構成によれば、陽極を対向位置と退避位置とに位置変更させる際に、該陽極に載置部の側面部に形成された開口を通過させることができるので、載置部と陽極とが干渉することなく、陽極の位置変更を行い易い。
【0017】
本発明の別の態様として、前記陽極退避領域は、前記洗浄槽内に設置された前記載置部に対して、前記深さ方向に直交する横方向外方側に形成され、前記洗浄槽は、前記深さ方向及び前記横方向に直交する縦方向で対向する一対の縦対向縁を備え、前記載置部は、前記縦方向の一方及び他方に延出する一対の延出部を備え、前記延出部は、前記縦対向縁に引っ掛けられる引っ掛け部を備え、前記引っ掛け部には、持ち手となる取手部が形成されていてもよい。
【0018】
かかる構成によれば、陽極退避領域が洗浄槽内に設置された載置部に対して、洗浄槽の深さ方向に直交する横方向外方側に形成されているので、陽極を対向位置と退避位置とに位置変更させる際には、該陽極を、洗浄槽の横方向に移動させる。ここで、載置部は、引っ掛け部が、洗浄槽の縁のうちの深さ方向及び横方向に直交する縦方向で対向する一対の縦対向縁に引っ掛けられることで洗浄槽内に設置されている。そのため、上記構成によれば、陽極の移動方向に引っ掛け部が位置しないので、陽極を移動させる際に引っ掛け部が邪魔になりにくく、陽極を移動させ易い。また、引っ掛け部は、対向する一対の縦対向縁に引っ掛けられるので、載置部を洗浄槽に対して安定して設置することができる。更に、引っ掛け部には取手部が設けられているので、作業者は、取手部を把持して載置部を容易に取り出すことができる。
【0019】
本発明の別の態様として、前記陽極は、前記対向位置と前記退避位置との間を移動可能に構成され、
前記載置部は、洗浄対象物を電解洗浄する洗浄位置と該洗浄位置よりも前記深さ方向における上方側の非洗浄位置との間を該深さ方向に移動可能に構成され、
前記陽極及び前記載置部のうちの少なくとも一方を移動させる駆動部をさらに備えていてもよい。
【0020】
かかる構成によれば、電解洗浄装置は、陽極及び載置部のうちの少なくとも一方を移動させる駆動部を備えているので、陽極及び載置部のうちの少なくとも一方を自動で移動させることができる。
【0021】
本発明の別の態様として、前記駆動部は、前記陽極及び前記載置部を移動させるように構成されており、前記載置部を前記非洗浄位置から前記洗浄位置に下降させた後、前記陽極を前記対向位置に位置させてもよい。
【0022】
かかる構成によれば、載置部を非洗浄位置から洗浄位置に下降させた後、陽極を対向位置に位置させる動作を自動で行うことができる。
【0023】
本発明の別の態様として、前記駆動部は、前記陽極及び前記載置部を移動させるように構成されており、前記陽極を前記対向位置から前記退避位置に移動させた後、前記載置部を前記非洗浄位置に位置させてもよい。
【0024】
かかる構成によれば、陽極を対向位置から退避位置に移動させた後、載置部を非洗浄位置に位置させる動作を自動で行うことができる。
【0025】
本発明の別の態様として、電解洗浄装置は、前記陽極に給電する陽極給電部と、前記対向位置に位置した陽極と前記陽極給電部とを電気的に接続する接続手段と、を備えていてもよい。
【0026】
かかる構成によれば、対向位置に位置した陽極と陽極給電部とを接続手段で確実に電気的接続することができる。
【0027】
本発明に係る電解洗浄装置は、洗浄対象物を載置するための載置部と、該載置部と電気的に接続された陰極と、陽極と、電解液を貯留する洗浄槽と、を備え、前記陽極が、前記載置部に対して前記洗浄槽の深さ方向で対向するように前記載置部の上に設置された状態で、前記陰極及び前記陽極間に通電して洗浄対象物を電解洗浄する電解洗浄装置であって、前記洗浄槽の内方には、前記陽極の周りに、前記載置部が退避するための載置部退避領域が形成され、前記載置部は、前記陽極に対して前記深さ方向で対向する対向位置と、前記載置部退避領域に位置することで前記陽極に対して前記深さ方向で非対向となる退避位置とに位置変更可能に構成されている。
【0028】
かかる構成によれば、洗浄槽には、陽極の周りに、載置部が退避するための載置部退避領域が形成され、載置部は、陽極に対して洗浄槽の深さ方向で対向する対向位置と、載置部退避領域に位置することで陽極に対して前記深さ方向で非対向となる退避位置とに位置変更可能に構成されている。そのため、載置部は、陽極に対して洗浄槽の深さ方向で対向した状態から、陽極に対して該深さ方向で対向しない状態に、洗浄槽の内方で位置変更することができる。従って、かかる構成によれば、載置部を対向位置から退避位置に位置変更することで、洗浄槽内の電解液を洗浄槽の外に持ち出すことなく、載置部を容易に取り出すことができる。
【0029】
本発明に係る電解洗浄装置は、洗浄対象物を載置するための載置部と、該載置部と電気的に接続された陰極と、陽極と、電解液を貯留する洗浄槽と、を備え、前記陽極が、前記載置部に対して前記洗浄槽の深さ方向で対向するように前記載置部の上に設置された状態で、前記陰極及び前記陽極間に通電して洗浄対象物を電解洗浄する電解洗浄装置であって、前記陽極と前記載置部とが前記深さ方向で互いに対向する対向状態と、前記陽極と前記載置部とが前記深さ方向で互いに非対向となる非対向状態とに切り替わるように、前記陽極及び前記載置部の位置が、前記洗浄槽の内方で変更可能に構成されている。
【0030】
かかる構成によれば、電解洗浄装置は、陽極と載置部とが洗浄槽の深さ方向で互いに対向する対向状態と、陽極と載置部とが前記深さ方向で互いに非対向となる非対向状態とに切り替わるように、陽極及び載置部の位置が、洗浄槽の内方で変更可能に構成されている。そのため、陽極及び載置部は、洗浄槽の深さ方向で互いに対向した状態から、該深さ方向で互いに対向しない状態に、洗浄槽の内方で位置変更することができる。従って、かかる構成によれば、洗浄槽内の電解液を洗浄槽の外に持ち出すことなく、載置部を容易に取り出すことができる。
【発明の効果】
【0031】
以上より、本発明によれば、周囲を汚さずに、且つ洗浄対象物を載置するための載置部を取り出し易い電解洗浄装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る電解洗浄装置の外観図である。
図2図2は、同実施形態に係る電解洗浄装置の陰極の斜視図である。
図3図3は、同実施形態に係る電解洗浄装置の平面図である。
図4図4は、同実施形態に係る電解洗浄装置の正面図である。
図5図5は、本発明の第2実施形態に係る電解洗浄装置の外観図である。
図6図6は、第2実施形態に係る電解洗浄装置の平面図である。
図7図7は、第2実施形態に係る電解洗浄装置の正面図である。
図8図8は、本発明の第3実施形態に係る電解洗浄装置の外観図であって、洗浄対象物の洗浄中の外観図である。
図9図9は、同実施形態に係る電解洗浄装置の外観図であって、洗浄対象物の洗浄後の外観図である。
図10図10は、第1実施形態の第1変形例に係る正面図である。
図11図11は、第2実施形態の変形例に係る正面図である。
図12図12は、第1実施形態の第2変形例に係る外観図である。
図13図13は、第1実施形態の第2変形例に係る正面図である。
図14図14は、陽極の変形例である。
図15図15は、載置部と載置部接続手段との接続構造を説明するための拡大図であって、(a)は、載置部を一対の片の間に挿入している途中の状態の図、(b)は、一対の片の間に挿入された載置部が載置部接続手段に固定された状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の第1実施形態に係る電解洗浄装置について、図面を参照しつつ説明する。
【0034】
図1に示すように、電解洗浄装置1は、洗浄対象物Wを載置するための載置部2と、該載置部2と電気的に接続された陰極3と、陽極4と、電解液Lを貯留する洗浄槽5と、超音波振動を発生させる超音波振動子6と、洗浄槽5に対して隣り合うように配置された作業台7とを備える。電解洗浄装置1は、電気分解によって洗浄対象物Wの表面に気泡を発生させ、洗浄対象物Wの表面に付着した樹脂汚れを剥離するものである。本実施形態の電解洗浄装置1は、電解洗浄と超音波振動との相乗効果によって洗浄対象物Wの汚れを剥離するものである。本実施形態では、洗浄対象物Wとして金型Wを洗浄する場合について説明する。金型Wとしては、例えば、Feや鋼、ステンレス鋼、Ni、Ti、又は希金属によって形成された金型Wや、金属と樹脂とを一体化させることによって形成された樹脂製の金型W等が挙げられる。
【0035】
図2に示すように、本実施形態の載置部2は、金型Wを載置するための載置本体21と、該載置本体21から延出する延出部22とを有する。載置部2は、洗浄槽5の縁51に引っ掛けられることによって、載置本体21が洗浄槽5内に位置するように、洗浄槽5に対して設置される。電解洗浄は、金型Wが載置本体21に載置され、載置部2と金型Wとが接触した状態で実施される。しかしながら、電解洗浄は、導体等を介して載置部2と金型Wとが電気的に接続され、電解洗浄の効果を発揮できる態様であれば、載置部2と金型Wとが非接触状態で実施されてもよい。
【0036】
載置本体21は、金型Wを載置するベース部211と、該ベース部211を囲む枠部212とを備える。本実施形態の載置本体21は、矩形の板状に形成されている。具体的には、載置本体21は、長辺及び短辺を有する長方形の板状に形成されている。図1に示すように、載置本体21は、両面のうちの一方の面が上方を向くように洗浄槽5内に設置され、金型Wは、上面に載置される。以下、図2に示すように、載置本体21における対向する一対の辺が延びる方向を縦方向、該縦方向に直交する方向を横方向とする。また、金型Wが載置される側を上側とする。本実施形態では、載置本体21の長辺が延びる方向を縦方向、短辺が延びる方向を横方向とする。
【0037】
ベース部211は、板状に形成されている。ベース部211には、厚み方向に貫通する複数の貫通孔Hが形成されている。本実施形態のベース部211は、例えば、ステンレス製の薄板にパンチング加工が施された板状部材である。
【0038】
延出部22は、載置部2の側面部20を構成する本体部22aと、洗浄槽5の縁51に引っ掛けるための引っ掛け部22bであって、作業者の持ち手となる取手部22cを有する引っ掛け部22bとを備える。延出部22は、載置本体21から上方に向かって延出している。また、延出部22は、載置本体21の端縁から延出している。具体的には、延出部22は、載置本体21の枠部212に、溶着、溶接等の接続手段によって接続されている。
【0039】
延出部22は、載置本体21の横方向で対向する一対の端縁を避けた位置に設けられている。本実施形態では、延出部22は、載置本体21の横方向に延びる端縁から延出している。具体的には、延出部22は、載置本体21の縦方向で対向する一対の端縁(短辺側における一対の端縁)から延出している。
【0040】
本実施形態の延出部22は、載置本体21に対して縦方向の一方及び他方に延出するように該載置本体21から延出している。具体的には、延出部22は、載置本体21に対して外方へ傾斜するように該載置本体21から延出している。本実施形態の延出部22は、枠状に形成されている。具体的には、延出部22は、長尺な部材を組み合わせることによって形成されている。
【0041】
延出部22は、長手方向における両端部のうちの一端部が同方向に折り曲げられた折り曲げ部220を有する一対の長尺部221と、折り曲げ部220よりも一端側で、一対の長尺部221の一端部同士を繋ぐ繋ぎ部222とを有する。延出部22は、一対の長尺部221の他端部が載置本体21の端縁に接続されることで、載置本体21と一体的に形成されている。以下、一対の長尺部221を単に長尺部221と称する場合がある。
【0042】
長尺部221は薄板状の部材によって形成されている。長尺部221は、折り曲げ部220を介して一端側に位置する第1長尺部221aと、折り曲げ部220を介して他端側に位置する第2長尺部221bとを有する。長尺部221は、第1長尺部221aが第2長尺部221bに対して傾斜するように折り曲げられている。本実施形態では、長尺部221は、第2長尺部221bの長さが第1長尺部221aの長さよりも十分長くなるように折り曲げられた状態となっている。
【0043】
繋ぎ部222は、コの字状の部材によって形成されている。繋ぎ部222は、両端部が第1長尺部221aの上面に接続されることで、一対の長尺部221同士を繋いでいる。即ち、繋ぎ部222は、第1長尺部221aに対して上方に突出するように該第1長尺部221aに接続されている。
【0044】
即ち、本実施形態の延出部22は、本体部22aとしての第2長尺部221bと、引っ掛け部22bとしての第1長尺部221aと、取手部22cとしての繋ぎ部222とを有する。延出部22は、第1長尺部221aが載置本体21の外方を向き(外方に向かって延び)、且つ第1長尺部221aが載置本体21の端縁よりも外側に位置するように該載置本体21に接続されている。
【0045】
以上のように、載置部2は、延出部22が枠部212から延出することでベース部211を囲むように配置されており、カゴ形状を成している。即ち、載置本体21は、載置部2の底部を構成し、延出部22は、載置部2の側面部20を構成している。載置部2は、延出部22が載置本体21の横方向で対向する一対の端縁を避けた位置に設けられると共に、載置本体21の横方向に延びる端縁に接続されているので、横方向で対向する一対の側面部20のうちの少なくとも一方の側面部20が開口するように構成されている。本実施形態では、延出部22が載置本体21の縦方向で対向する一対の端縁(短辺側における一対の端縁)から延出しているので、横方向で対向する一対の側面部20のうちの両側の側面部20が開口している。
【0046】
図1に示すように、載置部2は、引っ掛け部22bを洗浄槽5の縁51に引っ掛けることによって洗浄槽5に設置される。本実施形態では、載置部2は、洗浄槽5に設置された状態で、載置本体21及び延出部22の本体部22aが洗浄槽5内に位置し、延出部22の引っ掛け部22b及び取手部22cが洗浄槽5の外側に位置した状態となる。載置部2は、洗浄槽5に設置された状態で、載置本体21が洗浄槽5の底部から浮いた状態(載置本体21と洗浄槽5の底部とが離間した状態)となる。
【0047】
陰極3は、金型Wと電気的に接続される部分である。陰極3は、図示しない陰極給電部に対して、電気的に接続されている。本実施形態の陰極3は、導電性を有する金属材料によって形成されている。陰極3は、例えば、ステンレス鋼材によって形成されている。陰極3には、電解液Lの種類や、陽極4の材料との関係で、電気分解に適した種々の金属材料が採用され得る。本実施形態では、載置部2が陰極給電部に接続され、載置部2自身が陰極3となっている。そのため、以下、載置部2のことを陰極3と称する場合がある。
【0048】
図1に示すように、陽極4は、陰極3と通電する陽極本体41と、該陽極本体41を支持する支持部42と、該支持部42が取り付けられた取付バー43と、支持部42を取付バー43に対して取り付けるための取付手段44とを備える。陽極4は、図示しない陽極給電部に対して電気的に接続されている。図1は、陽極4と陽極給電部との接続手段について図示するものではないが、陽極4には、リード線を介して陽極給電部と接続されているタイプ、及びリード線を介さずに陽極給電部と接続されているタイプ(コードレスタイプ)の双方のタイプが含まれる。本実施形態では、陽極4が1つ設けられている。
【0049】
陽極本体41は、円盤状の金属で形成されている。本実施形態の陽極本体41は、長円形状に形成されている。陽極本体41は、例えば、鉄鋼材(SS400)によって形成されている。電解液L中に金属イオンが蓄積すると、電解液L中のイオン化傾向が低い金属イオンが該金属イオンよりもイオン化傾向が高い金型Wに係る金属と置換したり、電解液L中の金属イオンが析出したりする可能性が高まるため、これを防止する観点からは、陽極本体41の材料として、Pt,Pd,Ir,Ru等の白金族金属が採用され得る。又は、陽極本体41は、これらの合金を用いて形成されることが好ましい。陽極本体41は、TiをPt,Pd,Ir,Ru、若しくはこれらの合金によって被覆して形成されたものであってもよい。
【0050】
支持部42は、陽極本体41と電気的に接続される支持棒421と、陽極本体41及び支持棒421を被覆する陽極設置部422とを有する。支持棒421は、導体で形成されており、陽極本体41と電気的に接続可能に構成されている。支持棒421は、ストレートに形成された棒状部材である。支持棒421には、後述する蝶ネジBに形成された雌ネジ部と螺合する雄ネジ部421aが形成されている。陽極設置部422は、樹脂等の絶縁性を有する材料で形成されている。陽極設置部422は、陽極本体41が洗浄槽5に対して開放されるように陽極本体41を被覆している(図4も参照)。
【0051】
取付バー43は、長手方向における両端を洗浄槽5の縁51に係止可能に構成されている。本実施形態では、取付バー43は、少なくとも後述する洗浄槽5の縦方向の長さよりも長く形成されている。取付バー43は、導電性を有する金属材料によって形成されている。取付バー43には、支持棒421を挿通するための挿通孔が長手方向に沿って複数形成されている。本実施形態では、取付バー43には、挿通孔が5つ形成されている。
【0052】
支持部42は、支持棒421が取付バー43の挿通孔に挿通され、該支持棒421の端部から嵌め込まれた蝶ネジBの雌ネジ部と、支持棒421の雄ネジ部421aとが螺合することによって、取付バー43に取り付けられている(支持されている)。即ち、蝶ネジBの雌ネジ部、及び支持棒421の雄ネジ部421aによって、支持部42を取付バー43に対して取り付けるための取付手段44を構成している。本実施形態では、取付手段44は、支持棒421を軸方向に移動可能に構成されており、陽極本体41の位置調整手段としても機能している。
【0053】
陽極4は、取付バー43を介して一方側に陽極本体41が位置するように、支持部42が取付バー43に取り付けられることで構成されている。陽極4は、陽極本体41が、支持部42及び取付バー43を介して陽極給電部に接続されることで、陽極給電部と電気的に接続されている。
【0054】
陽極4は、取付バー43の両端を洗浄槽5の縁51、又は陰極3の引っ掛け部22bに係止することで、洗浄槽5に設置される。本実施形態では、陽極4は、取付バー43の長手方向と洗浄槽5の縦方向とが一致するように、洗浄槽5に設置される。
【0055】
図1に示すように、洗浄槽5は、有底筒状に形成されている。本実施形態では、陰極3又は陽極4を係止するための係止縁9が洗浄槽5の縁51に沿って設けられている。本実施形態では、洗浄槽5の説明にあたって、深さ方向に直交する2方向のうちの一方を横方向とし、他方を縦方向とする。本実施形態の洗浄槽5は、長方形状に開口した直方体状の槽である。以下、本実施形態では、洗浄槽5の長手方向を横方向、短手方向を縦方向とする。また、洗浄槽5の開口側を上方、洗浄槽5の底部側を下方とする。
【0056】
洗浄槽5の縁51は、縦方向で対向する一対の縦対向縁511と、横方向で対向する一対の横対向縁512とを有する。本実施形態では、洗浄槽5の縁51には、陽極4を載置するための載置台8が設けられている。載置台8は、陽極4の取付バー43の両端を係止するための凹部81と、該凹部81を支持する胴部82とを有する。本実施形態では、載置台8は、縦対向縁511に設けられ、洗浄槽5の開口を介して縦方向で対向するように一対設けられている。また、本実施形態の載置台8では、凹部81の底部が繋ぎ部222の上面と略同じ高さとなるように、胴部82の高さが調整されている。
【0057】
係止縁9は、洗浄槽5の縁51に沿って固定されている。係止縁9は、洗浄槽5の開口面積と略同面積で開口した、例えばジュラコン(登録商標)等の樹脂製の枠状部材である。係止縁9は、洗浄槽5の縁51の一対の縦対向縁511に対応する一対の縦係止縁91と、一対の横対向縁512に対応する一対の横係止縁92とを有する。本実施形態では、載置台8は、縦係止縁91に設けられている。
【0058】
洗浄槽5には、該洗浄槽5内に設置された陰極3の周りに、陽極4が退避するための陽極退避領域Pが形成されている。本実施形態では、陽極退避領域Pは、該洗浄槽5内に設置された陰極3に対して、横方向外方に形成されている。具体的には、陽極退避領域Pは、陰極3の横方向における両側面部20のうちの一方の側面部20に形成されている。
【0059】
超音波振動子6は、陰極3の下に設置されている。作業台7は、洗浄槽5に隣接して設けられている。本実施形態の作業台7は、横方向における洗浄槽5の一方側に設けられている。具体的には、作業台7は、陽極退避領域P側に設けられている。
【0060】
本実施形態に係る電解洗浄装置1の説明は以上である。以下、金型Wを電解洗浄する際の陰極3と陽極4との位置関係、陽極4を移動させる手順、及び陰極3を洗浄槽5から取り出す際の陰極3と陽極4との位置関係について説明する。
【0061】
まず、本実施形態の電解洗浄装置1で、金型Wを電解洗浄する際の陰極3と陽極4との位置関係について説明する。
【0062】
図1に示すように、陰極3は、電解洗浄時には横方向における洗浄槽5の一方側に寄せられた状態で洗浄槽5に設置されている。陽極4は、陰極3に対して洗浄槽5の深さ方向で対向するように陰極3の上に設置されている(図4も参照)。本実施形態では、陽極4の取付バー43の両端が陰極3の取手部22cに係止されることで、陽極4は、陽極本体41及び支持部42が取付バー43から吊り下げられた状態で洗浄槽5に設置されている。ここで、陽極4と陰極3との直接的な接触を避けるため、取手部22cは、例えば、絶縁性を有する材料で形成されているか、又は絶縁性の被膜が施されている。そのため、陽極4の取付バー43の両端が陰極3の取手部22cに係止されても、陽極4と陰極3とが接触してショートすること、及びノイズが発生すること等、陽極4と陰極3とが接触することにより生じ得る不具合を防止している。電解洗浄装置1は、陰極3及び陽極4が電解液Lに浸漬された状態で陰極3及び陽極4間に通電されることで、金型Wの電解洗浄を行う。このように、陽極4が陰極3に対して深さ方向で対向する対向位置Xに位置した状態で、電解洗浄が実施される。
【0063】
図3及び図4の2点鎖線で示すように、対向位置Xでは、電解洗浄装置1を平面視した場合に、陽極4と陰極3とが深さ方向で重なっている。具体的には、対向位置Xでは、陽極4の陽極本体41と、陰極3の載置本体21とが深さ方向で重なっている。また、陽極4は、対向位置Xで、支持棒421が起立した姿勢となるように配置されている。具体的には、陽極4は、対向位置Xで、支持棒421の軸方向が深さ方向に沿うように配置されている。
【0064】
次に、陽極4を移動させる手順について説明する。
【0065】
電解洗浄終了後、作業者は、陽極4の取付バー43の両端を把持して、陽極4が引っ掛け部22bから軽く浮く程度に陽極4を持ち上げる。続いて、作業者は、図3に示すように、陽極4が陽極退避領域Pの上方に位置するように、陽極4を横方向に移動させる(図3の矢印の方向)。作業者は、陽極本体41が電解液Lに浸かった状態となるように、陽極4を移動させる。その際、陽極4は、陰極3の側面部20に形成された開口Rを通過するので、作業者は、陽極4を少し持ち上げるだけで陽極4を簡単に移動させることができ、且つ陽極4と陰極3とが接触する虞もない。作業者は、陽極4の取付バー43の両端を洗浄槽5の縁51に係止して、陽極4を陽極退避領域Pに位置させる。具体的には、作業者は、陽極4の取付バー43の両端を載置台8に係止して、陽極4を陽極退避領域Pに位置させる。陽極4を移動させる作業は、陽極4に対して給電した状態、若しくは陽極4への給電を停止した状態の何れの状態で行ってもよい。また、陽極4を移動させる作業は、陽極4にリード線が繋がっている場合には、リード線が繋がった状態で行い、コードレスタイプの陽極4に対しては、陽極4と陽極給電部との固定を解除してから行う。
【0066】
陽極4の移動中に陽極4が陰極3に接触しないように、例えば、陰極3における陰極給電部との接点部分以外の部分(陽極4に対して露出した部分)は被覆されている。または、作業者は、陽極4を樹脂製の係止縁9上で移動させる。
【0067】
次に、陰極3を洗浄槽5から取り出す際の陰極3と陽極4との位置関係について説明する。
【0068】
図3及び図4の実線で示すように、陽極4は、陽極退避領域Pに位置することで陰極3に対して深さ方向で非対向となる退避位置Yに位置した状態となる。退避位置Yでは、電解洗浄装置1を平面視した場合に、陽極4と陰極3とが横方向で離間している。具体的には、退避位置Yでは、陽極4の陽極本体41は、陰極3を介さずに、洗浄槽5の底部に対向している。陽極4は、退避位置Yで、支持棒421が起立した姿勢となるように配置されている。具体的には、陽極4は、退避位置Yで、支持棒421の軸方向が深さ方向に沿うように配置されている。
【0069】
第1実施形態に係る電解洗浄装置1の説明は以上である。続いて、第2実施形態に係る電解洗浄装置1について図面を参照しつつ説明する。尚、第1実施形態と共通する部分については、説明を繰り返さない。
【0070】
図5図7に示すように、第2実施形態では、陽極4が2つ設けられている。2つの陽極4は、横方向で隣り合うように洗浄槽5に設置されている。陽極退避領域Pは、2つの陽極4を位置させるスペースを備えている。本実施形態では、陽極退避領域Pは、横方向における陰極3の両側に形成されている。即ち、陽極退避領域Pは、横方向における陰極3の両側面部20のうちの一方の側面部20側に形成された第1陽極退避領域P1と、他方の側面部20側に形成された第2陽極退避領域P2とを有する。本実施形態の電解洗浄装置1は、2つの陽極4のうちの一方の陽極4を、該一方の陽極4に近い第1陽極退避領域P1に位置させて、他方の陽極4を該他方の陽極4に近い第2陽極退避領域P2に位置させるように構成されている。即ち、本実施形態では、図6に示すように、2つの陽極4を横方向における反対方向(図6の矢印の方向)に向けて移動させる。
【0071】
続いて、第3実施形態に係る電解洗浄装置1について図面を参照しつつ説明する。尚、第1実施形態及び第2実施形態と共通する部分については、説明を繰り返さない。
【0072】
図8及び図9に示すように、第3実施形態の電解洗浄装置1は、陽極4が2つ設けられている点で第2実施形態と共通し、陽極4及び載置部2の少なくとも一方が自動で移動するように構成されている点で第1実施形態及び第2実施形態とは異なる。陽極4は、対向位置Xと退避位置Yとの間を移動可能に構成されている。また、載置部2は、洗浄対象物Wを電解洗浄する洗浄位置Cと該洗浄位置Cよりも洗浄槽5の深さ方向における上方側の非洗浄位置Fとの間を該深さ方向に移動可能に構成されている。電解洗浄装置1は、陽極4及び載置部2のうちの少なくとも一方を移動させる駆動部100と、陽極4に給電する陽極給電部110と、陰極3としての載置部2に給電する陰極給電部(図示しない)と、対向位置Xに位置した陽極4と陽極給電部110とを電気的に接続する接続手段120と、陽極4及び載置部2の駆動を制御する制御部130とをさらに備えている。図示するものではないが、本実施形態の電解洗浄装置1は、超音波振動子を備えていてもよい。
【0073】
本実施形態では、駆動部100は、陽極4及び載置部2を移動させるように構成されている。駆動部100は、載置部2を非洗浄位置Fから洗浄位置Cに下降させた後、陽極4を対向位置Xに位置させる。また、駆動部100は、陽極4を対向位置Xから退避位置Yに移動させた後、載置部2を非洗浄位置Fに位置させる。本実施形態の駆動部100は、陽極4及び載置部2を別個の駆動部100で移動させる。そのため、駆動部100は、陽極4を移動させる第1駆動部(図示しない)と、載置部2を移動させる第2駆動部300とを備える。しかしながら、陽極4及び載置部2の移動のタイミングをずらす等の制御上の工夫により陽極4及び載置部2を1つの駆動部100で移動させることもできる。この場合、駆動部100の数を削減でき、コスト的に有利となる。
【0074】
洗浄位置Cでは、金型Wは電解液Lに浸っている。洗浄位置Cでは、載置本体21が電解液Lに浸かり、且つ陽極4が載置部2に干渉せずに(接触せずに)対向位置Xに位置している。非洗浄位置Fでは、金型Wは電解液Lの液面よりも上に位置している(電解液Lに浸かっていない)。非洗浄位置Fでは、載置本体21は、電解液Lの液面から出た状態となっており、係止縁9と略同じ高さに位置している。
【0075】
第1駆動部は、陽極4の取付バー43に連結された第1連結部(図示しない)と、該第1連結部を駆動する第1本体部(図示しない)とを備える。第1連結部は、例えばタイミングベルトである。また、第1本体部は、例えばモーターである。上記の場合では、陽極4及びモーターがタイミングベルトを介して連結されることによって、モーターの回転力が陽極4に伝達され、陽極4が移動するようになっている。
【0076】
陽極4は、横方向に移動する。本実施形態では、陽極4は、係止縁9上をスライド移動する。具体的には、陽極4は、取付バー43の両端部が、係止縁9のうちの一対の縦係止縁91のそれぞれに載置され、係止縁9の上面をスライド移動するようになっている。そのため、縦係止縁91は、取付バー43の端部がスライド移動するためのレールである。本実施形態の係止縁9は、ジュラコン(登録商標)で形成されている。
【0077】
第2駆動部300は載置部2に連結され、第2駆動部300が深さ方向に上下動することによって載置部2が洗浄位置Cと非洗浄位置Fとの間を移動する。第2駆動部300は、載置部2に連結された第2連結部310と、該第2連結部310を上下動させるためのモーター320とを備える。第2駆動部300は、洗浄槽5を介して縦方向に一対設けられ、各第2駆動部300は、載置部2の延出部22に連結されている。一対の第2駆動部300は、深さ方向で同じ高さに位置した状態で同じタイミング及び同じ速度で上下動することで、載置部2の水平姿勢を維持したまま(載置本体21が水平に保たれた状態で)載置部2を上下動させる。第2駆動部300は、洗浄槽5の外側に設置されている。具体的には、第2連結部310は、洗浄槽5の外側面と装置本体10の内側面との間に設置されている。また、モーター320は、洗浄槽5の底面よりも下方側に設置されている。
【0078】
第2連結部310は、載置部2が掛止されることによって該載置部2に連結されている。第2連結部310は、載置部2の引っ掛け部22bが掛止される掛止部311と、掛止部311を深さ方向に上下動させるように直線の移動力に変換されたモーター320の回転力によって上下動する移動部312と、掛止部311と移動部312とを連結する中間部313とを有する。
【0079】
掛止部311は、横方向に延びる棒状部材である。移動部312は、深さ方向に延びる棒状部材である。移動部312は、モーター320の回転力が、例えばラック・アンド・ピニオン等のギアを用いた動力伝達手段によって上下の直線の移動力に変換され、該移動力を受けて深さ方向に移動する。そして、中間部313は、深さ方向に延び、掛止部311に連結された第1の部分313aと、横方向に延び、移動部312に連結された第2の部分313bとを備える。本実施形態では、第1の部分313aは一対設けられ、掛止部311の両端部と第2の部分313bの両端部とを接続している。また、第1の部分313aは、深さ方向で、第2の部分313bを貫通し、第2の部分313bよりも下方側に延びている。
【0080】
陽極給電部110は、陽極4の取付バー43に給電する。陽極給電部110は、接続手段120に接続されている。陽極給電部110は、接続手段120に接続された取付バー43に給電する。陽極給電部110は、後述する接点部121の下面に接続されている。
【0081】
接続手段120は、陽極4との電気的接点となる接点部121と、陽極4が対向位置Xに位置したことを検知する検知部(図示しない)と、陽極4と接点部121とを接続するための接続部122とを有する。本実施形態の接続手段120は、コの字状の金属部材によって形成されており、深さ方向で離間した一対の片を有する。深さ方向における下方側の下片が接点部121として機能し、上方側の上片の上面に接続部122が設けられている。一対の片は、退避位置Y側を向いて開口しており、退避位置Yから対向位置Xに移動する陽極4の取付バー43の端部は、一対の片の間に受け入れられる。
【0082】
検知部は、例えば、陽極4の位置を検出可能なリミットスイッチ、ラインセンサー等、陽極4が対向位置Xに位置していることを検出可能なセンサーである。接続部122は、対向位置Xに位置した陽極4を接点部121に対して押し付けることで陽極4と接点部121とを接続する。接続部122は、例えばエアシリンダである。
【0083】
以下、本実施形態の電解洗浄装置1の動作について説明する。
【0084】
電解洗浄装置1の起動前は、載置部2が洗浄位置Cに位置し、陽極4は対向位置Xに位置している。作業者は、電解液Lを洗浄槽5に注ぐ等の所定の準備の後、制御盤に設けられたスイッチ等の入力手段を介して電解洗浄装置1を起動する。作業者は、載置部2を非洗浄位置Fまで上昇させる。図9は、洗浄対象物Wの洗浄後の外観図を示したものであるが、洗浄前の状態の外観図でもある。図9に示すように、載置部2が非洗浄位置Fに位置し、陽極4が退避位置Yに位置している状態で、金型Wを載置本体21に載置する。
【0085】
作業者が洗浄を開始させるための操作を行う(例えば、スタートボタンを押す)と、載置部2が下降し始める。載置部2が洗浄位置Cまで下降すると(図8参照)、陽極4が退避位置Yから対向位置Xへ移動し始め、対向位置Xで停止する。本実施形態では、載置部2が完全に洗浄位置Cに位置した後に陽極4の移動が開始するが、載置部2と陽極4とが干渉しなければ(接触しなければ)、載置部2の下降途中に陽極4の移動を開始させ、洗浄開始までの時間の短縮を図ることもできる。
【0086】
陽極4が対向位置Xに位置したことを検知部が検知すると、制御部は、接続部122へエアーを供給し、陽極4を接点部121に当接させる。陽極4が接点部121に当接すると、陽極給電部110から陽極4に給電が開始される。そうすると、洗浄可能な状態となり、自動的に洗浄が開始される。
【0087】
所定時間経過し、洗浄が終了すると、制御部は、陽極給電部110から陽極4への給電を停止する。制御部は、接続部122へのエアーの供給を停止して、陽極4と接点部121との接続を解除する。陽極4が接点部121に対してフリーな状態となると、制御部は、陽極4を対向位置Xから退避位置Yへ移動させる。陽極4が退避位置Yに移動すると、載置部2が洗浄位置Cから上昇を開始する。本実施形態では、陽極4が完全に退避位置Yに位置した後に載置部2の上昇が開始するが、載置部2と陽極4とが干渉しなければ(接触しなければ)、陽極4の移動途中に載置部2の上昇を開始させ、洗浄後の時間の短縮を図ることもできる。
【0088】
以下、本実施形態の作用についてまとめる。本実施形態の電解洗浄装置1によれば、洗浄槽5には、載置部2としての陰極3の周りに、陽極4が退避するための陽極退避領域Pが形成され、陽極4は、陰極3に対して洗浄槽5の深さ方向で対向する対向位置Xと、陽極退避領域Pに位置することで陰極3に対して前記深さ方向で非対向となる退避位置Yとに位置変更可能に構成されている。そのため、陽極4は、陰極3に対して洗浄槽5の深さ方向で対向した状態から、陰極3に対して該深さ方向で対向しない状態に、洗浄槽5の内方で位置変更することができる。従って、かかる構成によれば、陽極4を対向位置Xから退避位置Yに位置変更することで、洗浄槽5内の電解液Lを洗浄槽5の外に持ち出すことなく、陰極3を容易に取り出すことができる。
【0089】
また、上記実施形態では、陽極4は、退避位置Yで、支持棒421が起立した姿勢となるように配置されているため、退避位置Yにおいて支持棒421が傾斜していたり、寝た姿勢となっていたりする場合に比べて、陽極4に付着した電解液Lを、洗浄槽5内の狭い範囲に落下させることができる。また、退避位置Yで支持棒421が起立した姿勢となるように配置されていることで、電解液Lは、支持棒421を伝い易くなるので、電解液Lを狭い範囲に落下させることができる。更に、退避位置Yで支持棒421が起立した姿勢となるように配置されていることで、支持棒421が洗浄槽5から食み出し難く、洗浄槽5の外側で液垂れが生じ難い。
【0090】
また、上記実施形態では、陰極3は、洗浄対象物Wを載置するための載置本体21と、該載置本体21から延出する延出部22であって、洗浄槽5の縁51に引っ掛けるための引っ掛け部22bを有する延出部22とを備えているので、引っ掛け部22bを洗浄槽5の縁51に引っ掛けるだけで、延出部22を介して載置本体21が洗浄槽5内に設置される。また、取付バー43の両端は、対向位置Xでは、陰極3の引っ掛け部22bに対して係止可能に構成され、退避位置Yでは、洗浄槽5の縁51に対して係止可能に構成されている。そのため、作業者は、陽極4を陰極3の引っ掛け部22b又は洗浄槽5の縁51に係止するだけで洗浄槽5に設置できる。以上のように、かかる構成によれば、陰極3を洗浄槽5に設置しやすく、且つ対向位置Xと退避位置Yとの間で陽極4を移動させ易い。
【0091】
また、上記実施形態では、陽極4を対向位置Xと退避位置Yとに位置変更させる際に、該陽極4に陰極3の側面部20に形成された開口Rを通過させることができるので、陰極3と陽極4とが干渉することなく、陽極4の位置変更を行い易い。
【0092】
また、上記実施形態では、陽極退避領域Pが洗浄槽5内に設置された陰極3に対して、洗浄槽5の深さ方向に直交する横方向外方側に形成されているので、陽極4を対向位置Xと退避位置Yとに位置変更させる際には、該陽極4を、洗浄槽5の横方向に移動させる。ここで、陰極3は、引っ掛け部22bが、洗浄槽5の縁51のうちの深さ方向及び横方向に直交する縦方向で対向する一対の縦対向縁511に引っ掛けられることで洗浄槽5内に設置されている。そのため、上記構成によれば、陽極4の移動方向に引っ掛け部22bが位置しないので、陽極4を移動させる際に引っ掛け部22bが邪魔になりにくく、陽極4を移動させ易い。また、引っ掛け部22bは、対向する一対の縦対向縁511に引っ掛けられるので、陰極3を洗浄槽5に対して安定して設置することができる。更に、引っ掛け部22bには取手部22cが設けられているので、作業者は、取手部22cを把持して陰極3を容易に取り出すことができる。
【0093】
例えば、大型の金型Wを洗浄する場合に使用される大型の陰極3については、該陰極3をホイスト等の吊り上げ手段で吊りながら洗浄槽5から取り出す。洗浄槽5を閉鎖するための蓋に陽極4が固定された電解洗浄装置1であって、蓋の開放と共に陽極4が洗浄槽5から取り出されるタイプの電解洗浄装置1を使用して大型の金型Wを洗浄する場合には、陽極4が洗浄槽5の上に露出しているので、陰極3を吊り上げる際に該陰極3が揺れて陽極4にぶつかってしまうという問題がある。上記実施形態では、退避位置Yで、陽極本体41及び支持棒421が洗浄槽5内に位置しているので、陰極3を取り出す際に、該陰極3が揺れても陽極4にぶつかり難く、陰極3を安全に取り出すことができる。尚、大型の金型Wを直接取り出す際にも同様に、安全に金型Wを取り出すことができる。
【0094】
上記実施形態では、ベース部211に貫通孔Hが形成されていることで、電解液Lが載置本体21の下方側から上方側、又は上方側から下方側に自由に抜けることができるので、載置本体21と金型Wとの間や、載置本体21の下面側等に電解液Lが滞留するのが防止される。また、ベース部211に貫通孔Hが形成されていることで、陰極3を持ち上げた際に液切りをすることができるので、洗浄槽5の外に電解液Lを持ち出すことなく陰極洗浄用の水洗槽等に陰極3を移動させることができる。また、液切りができることで、電解液Lを洗浄槽5内に戻すことができるので、洗浄槽5内の電解液Lが減るのを防止することもできる。
【0095】
上記実施形態では、繋ぎ部222は、第1長尺部221aに対して上方に突出するように該第1長尺部221aに接続されている。そのため、陰極3が洗浄槽5の縁51に載置されても、洗浄槽5の縁51と繋ぎ部222との間に開口が形成されるので、作業者が繋ぎ部222を把持し易くなっている。
【0096】
上記実施形態の載置台8では、凹部81の底部が繋ぎ部222の上面と略同じ高さとなるように、胴部82の高さが調整されている。このように胴部82の高さを調整することで、対向位置Xと退避位置Yとで陽極4の高さを略等しくして、退避位置Yで陽極4が電解液Lに浸かるようにすると共に、陽極本体41が洗浄槽5の底に当たるのを防止している。
【0097】
上記実施形態では、陽極退避領域Pが作業台7側に形成されているので、作業台7の反対側に陰極洗浄用の水洗槽を設置した際に、陽極4が邪魔にならずに、陰極3を水洗槽に移動させやすい。
【0098】
上記実施形態では、電解洗浄装置1は、陽極4及び載置部2のうちの少なくとも一方を移動させる駆動部100を備えているので、陽極4及び載置部2のうちの少なくとも一方を自動で移動させることができる。そのため、作業者が陽極4及び載置部2のうちの少なくとも一方を手作業により移動させずに済むので、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0099】
上記実施形態では、駆動部100は、陽極4及び載置部2を移動させるように構成されており、載置部2を非洗浄位置Fから洗浄位置Cに下降させた後、陽極4を対向位置Xに位置させる。かかる構成によれば、載置部2を非洗浄位置Fから洗浄位置Cに下降させた後、陽極4を対向位置Xに位置させる動作を自動で行うことができる。
【0100】
また、上記実施形態では、陽極4を対向位置Xから退避位置Yに移動させた後、載置部2を非洗浄位置Fに位置させる。かかる構成によれば、陽極4を対向位置Xから退避位置Yに移動させた後、載置部2を非洗浄位置Fに位置させる動作を自動で行うことができる。
【0101】
上記実施形態では、電解洗浄装置1は、陽極4に給電する陽極給電部110と、対向位置Xに位置した陽極4と陽極給電部110とを電気的に接続する接続手段120と、を備えている。かかる構成によれば、対向位置Xに位置した陽極4と陽極給電部110とを接続手段120で確実に電気的接続することができる。
【0102】
尚、本発明の電解洗浄装置1は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0103】
上記実施形態では、陽極4が移動することによって、陽極4を退避位置Yに位置させる場合について説明したがこれに限定されるものではない。即ち、載置部2が移動することによって、載置部2を退避位置Yに位置させてもよい。
【0104】
具体的には、電解洗浄装置1は、洗浄対象物Wを載置するための載置部2と、該載置部2と電気的に接続された陰極3と、陽極4と、電解液Lを貯留する洗浄槽5と、を備え、前記陽極4が、前記載置部2に対して前記洗浄槽5の深さ方向で対向するように前記載置部2の上に設置された状態で、前記陰極3及び前記陽極4間に通電して洗浄対象物Wを電解洗浄する電解洗浄装置1であって、前記洗浄槽5には、前記陽極4の周りに、前記載置部2が退避するための載置部退避領域が形成され、前記載置部2は、前記陽極4に対して前記深さ方向で対向する対向位置と、前記載置部退避領域に位置することで前記陽極4に対して前記深さ方向で非対向となる退避位置とに位置変更可能に構成されていてもよい。
【0105】
かかる構成によれば、洗浄槽5には、陽極4の周りに、載置部2が退避するための載置部退避領域が形成され、載置部2は、陽極4に対して洗浄槽5の深さ方向で対向する対向位置と、載置部退避領域に位置することで陽極4に対して前記深さ方向で非対向となる退避位置とに位置変更可能に構成されている。そのため、載置部2は、陽極4に対して洗浄槽5の深さ方向で対向した状態から、陽極4に対して該深さ方向で対向しない状態に、洗浄槽5の内方で位置変更することができる。従って、かかる構成によれば、載置部2を対向位置から退避位置に位置変更することで、洗浄槽5内の電解液Lを洗浄槽5の外に持ち出すことなく、載置部2を容易に取り出すことができる。
【0106】
また、陽極4及び載置部2の双方を移動させることによって、載置部2と陽極4とを非対向状態にしてもよい。
【0107】
具体的には、電解洗浄装置1は、洗浄対象物Wを載置するための載置部2と、該載置部2と電気的に接続された陰極3と、陽極4と、電解液Lを貯留する洗浄槽5と、を備え、前記陽極4が、前記載置部2に対して前記洗浄槽5の深さ方向で対向するように前記載置部2の上に設置された状態で、前記陰極3及び前記陽極4間に通電して洗浄対象物Wを電解洗浄する電解洗浄装置1であって、前記陽極4と前記載置部2とが前記深さ方向で互いに対向する対向状態と、前記陽極4と前記載置部2とが前記深さ方向で互いに非対向となる非対向状態とに切り替わるように、前記陽極4及び前記載置部2の位置が、前記洗浄槽5の内方で変更可能に構成されていてもよい。
【0108】
かかる構成によれば、電解洗浄装置1は、陽極4と載置部2とが洗浄槽5の深さ方向で互いに対向する対向状態と、陽極4と載置部2とが前記深さ方向で互いに非対向となる非対向状態とに切り替わるように、陽極4及び載置部2の位置が、洗浄槽5の内方で変更可能に構成されている。そのため、陽極4及び載置部2は、洗浄槽5の深さ方向で互いに対向した状態から、該深さ方向で互いに対向しない状態に、洗浄槽5の内方で位置変更することができる。従って、かかる構成によれば、洗浄槽5内の電解液Lを洗浄槽5の外に持ち出すことなく、載置部2を容易に取り出すことができる。
【0109】
尚、上記のように、載置部2を移動させる場合、及び陽極4及び載置部2を移動させる場合について、載置部2自身が陰極3であってもよい。
【0110】
上記実施形態では特に言及するものではないが、図10に示すように、洗浄槽5内に、該洗浄槽5を区画するための仕切Vが設けられていてもよい。図10は、第1実施形態の洗浄槽5に仕切Vが設けられた状態である。また、図11は、第2実施形態の洗浄槽5に仕切Vが設けられた状態である。
【0111】
仕切Vは、洗浄槽5を、陰極3を設置する陰極設置領域Qと、陽極退避領域Pとに区画している。本実施形態の仕切Vは、縦方向に沿って設けられている。仕切Vは、洗浄槽5を陰極設置領域Qと陽極退避領域Pとに完全に仕切るものであってもよいし、陽極4を退避させる位置の目安となるように陽極退避領域Pを明確にする目的で、洗浄槽5を部分的に仕切るものであってもよい。仕切Vは、例えば、金属材料であってもよいし、樹脂製の材料であってもよい。
【0112】
また、上記実施形態では、凹部81の底部が繋ぎ部222の上面と略同じ高さとなるように、胴部82の高さが調整されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。図12に示すように、凹部81の底部が繋ぎ部222の上面よりも高い位置に位置するように、胴部82の高さが調整されていてもよい。この場合、図13に示すように、陽極4を退避位置Yに移動させることで、陽極本体41は電解液Lから出た状態となる。この場合、陽極4を退避位置Yに移動させると同時に電流を停止させることができるので、陽極4を移動させると同時に電解洗浄を止めたい場合等に有効である。また、退避位置Yで、陽極本体41が電解液Lに浸けられた状態としてもよい。この場合、陽極4が載置台8に載置された状態で、陽極本体41が電解液Lに浸漬するように、胴部82の高さが調整されていてもよい。
【0113】
上記実施形態では特に言及するものではないが、図14に示すように、陽極4が複数設けられている場合には、陽極4に、隣り合う陽極4同士を繋ぐ把持部40が設けられていてもよい。陽極4に把持部40が設けられていることで、複数の陽極4を一度に移動させることができ、作業者の作業負担を軽減することができる。この場合、陽極退避領域Pは、第1実施形態と同様に、陰極3の横方向における両側面部20のうちの一方の側面部20に形成されている。
【0114】
上記実施形態では、洗浄対象物Wとして金型Wを洗浄する場合について説明したが、これに限定されるものではない。洗浄対象物Wは、電気分解によって溶出しない金属で形成されたものであればよく、金属板や、金属製の配管等であってもよい。
【0115】
上記実施形態では、載置部2自身が陰極3である場合について説明したが、これに限定されるものではない。載置部2と陰極3とは、別体で構成されていてもよい。この場合、電解洗浄を行うために、載置部2と陰極3とを電気的に接続する接続手段を有していてもよい。
【0116】
上記実施形態では、作業者が陽極4を持ち上げて、陽極4を移動させる場合について説明したが、これに限定されるものではない。作業者は、洗浄槽5の縁51に対して陽極4を接触させながら、陽極4をスライド移動させてもよい。
【0117】
第1実施形態では、陽極4が1つ設けられている場合、第2実施形態では、陽極4が2つ設けられている場合について説明したが、陽極4は3つ以上設けられていてもよい。また、陽極退避領域Pが陰極3に対して横方向外方に形成されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。陽極退避領域Pは、陰極3の縦方向外方に形成されていてもよく、陰極3を囲むように形成されていてもよい。
【0118】
上記実施形態では特に言及するものではないが、陽極4は、退避位置Yで陽極本体41が電解液Lに浸かった状態となるのが好ましい。電解洗浄に伴って陽極本体41の温度が50℃から60℃にまで上昇するので、陽極本体41が電解液Lから取り出された状態で放置されると、陽極本体41の表面には、冷却に伴って電解液Lの結晶が析出してしまう。また、陽極本体41に鉄の成分が含まれていると、陽極本体41が錆びてしまう。そのため、例えば、載置台8の胴部82は、陽極本体41の浸漬深さに応じて高さを調整可能に構成され、退避位置Yで、陽極本体41が電解液Lに浸かるようにしてもよい。このようにすることで、金型Wの大きさに応じて支持棒421の位置が調整されていても、胴部82の高さを陽極本体41が電解液Lに浸かる高さに調整すればよいので、全ての支持棒421の位置調整を行う必要が無く、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0119】
上記実施形態では、延出部22が枠状に形成され、陰極3の側面部20に開口Rが形成されている場合について説明したが、陰極3の形状は上記実施形態に限定されるものではない。陰極3は、例えば、延出部22が板状に形成されたものや、四方が塞がったものであってもよい。
【0120】
上記実施形態では、駆動部100は、陽極4及び載置部2を移動させる場合について説明したがこれに限定されるものではない。駆動部100は、陽極4及び載置部2のうちの一方のみを移動させてもよい。
【0121】
上記実施形態では特に言及するものではないが、図9に示すように、電解洗浄装置1は、洗浄位置Cに位置した陰極3としての載置部2と陰極給電部とを電気的に接続する載置部接続手段140をさらに備えていてもよい。載置部接続手段140の構成は、接続手段120の構成と同様であり、例えば、載置部2との電気的接点となる接点部と、載置部2が洗浄位置Cに位置したことを検知する検知部(図示しない)と、載置部2と接点部とを接続するための接続部とを有していてもよい。載置部接続手段140は、コの字状の金属部材によって形成されており、横方向で離間した一対の片141を有する。横方向における一方側の片141aが接点部として機能し、他方側の片141bの側面に接続部が設けられていてもよい。一対の片141は、上方側を向いて開口しており、載置部2が洗浄位置Cまで下降すると、例えば引っ掛け部22bの一部が一対の片の間に受け入れられてもよい。
【0122】
また、図15(a)及び(b)に示すように、載置部接続手段140は、間隔をあけて対向する一対の片141と、該一対の片141の間に設置され、載置部2に接触する板状の接触片142と、該接触片142を一対の片141間の内方に向けて付勢する付勢手段143と、接触片142を載置部2に対して接触固定させる固定部144とを備えていてもよい。一対の片141は、それぞれ板状に形成されており、一端部同士が接続されている。一対の片141は、他端部同士の間隔が一端部同士の間隔よりも広い、略V字状の形状を成している。載置部2が一対の片141の間に挿入されていない状態では、接触片142は、付勢手段143によって一対の片141の内方(図15(a)の矢印の方向)に向けて付勢されている。図15(a)に示すように、一対の片141の間に他端部側から載置部2、例えば、引っ掛け部22bの一部が挿入されると、引っ掛け部22bの角部Sが接触片142及び一対の片141のうちの一方の片141aに接触する。この状態では、接触片142が付勢手段143によって載置部2側に向けて付勢されているので、接触片142は、載置部2に対して押し付けられた状態となっている。尚、付勢手段143は、バネである。
【0123】
接触片142は付勢手段143によって載置部2側に向けて付勢されており、且つV字形状によって一対の片141同士の間隔が一端部側に向かうにつれて狭くなっている。そのため、一対の片141の間に引っ掛け部22bの一部が挿入された状態で載置部2を更に押し込んでいくと、載置部2は、角部Sを接触片142及び一対の片141のうちの一方の片141aに対して摺動させながら一対の片141の間を一端側へ向けて進んでいく。この時、例えば載置部2、接触片142、及び一方の片141aがステンレスで形成されている場合、載置部2と接触片142との摺動、及び載置部2と一方の片141aとの摺動によってステンレスの表面に形成された不動態皮膜が剥がれ(削られ)、載置部2と接触片142及び一方の片141aとが確実に電気的に接続される。この場合、摺動部分に付着した汚れや電解液Lの結晶も摺動する際に除去できるため、載置部2と接触片142及び一方の片141aとがより確実に電気的に接続される。
【0124】
図15(b)に示すように、作業者は、載置部2を一対の片141に対して十分に押し込んだ後、固定部144を自動又は手動により接触片142に押し付け、該接触片142と載置部2とを面接触させる。該固定部144による固定操作によって、接触片142及び一方の片141aと載置部2とが、摺動により不動態皮膜が除去された部分同士で接触し、確実に電気的に接触される。以上のような載置部2と載置部接続手段140との摺動による接続構造は、陽極4と接続手段120との接続構造にも採用し得る。
【0125】
上記実施形態では特に言及するものではないが、図8及び図9に示すように、陽極4は、把持部40を備えていてもよい。陽極4が把持部40を備えることで、作業者は、陽極4を自動で移動させるか手動で移動させるかを状況に応じて適宜選択することができる。
【0126】
上記実施形態では特に言及するものではないが、載置本体21は、延出部22に対して取り外し可能に構成されていてもよい。そして、作業者は、載置部2が非洗浄位置Fまで上昇した際に、金型Wを載せた載置本体21を延出部22に対して固定してもよい。この場合、載置部2は、載置本体21を設置するための設置台を有していてもよい、
【0127】
上記実施形態では特に言及するものではないが、第3実施形態に係る電解洗浄装置1においても、図10及び図11に示す電解洗浄装置1と同様に、洗浄槽5内に、該洗浄槽5を区画するための仕切Vが設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0128】
1…電解洗浄装置、2…載置部、20…側面部、21…載置本体、211…ベース部、212…枠部、22…延出部、22a…本体部、22b…引っ掛け部、22c…取手部、220…折り曲げ部、221…長尺部、221a…第1長尺部、221b…第2長尺部、222…繋ぎ部、3…陰極、4…陽極、41…陽極本体、42…支持部、421…支持棒、422…陽極設置部、43…取付バー、44…取付手段、5…洗浄槽、51…洗浄槽の縁、511…縦対向縁、512…横対向縁、6…超音波振動子、7…作業台、8…載置台、81…凹部、82…胴部、9…係止縁、91…縦係止縁、92…横係止縁、100…駆動部、110…陽極給電部、120…接続手段、121…接点部、122…接続部、130…制御部、140…載置部接続手段、300…第2駆動部、310…第2連結部、311…掛止部、312…移動部、313…中間部、320…モーター、B…蝶ネジ、C…洗浄位置、F…非洗浄位置、L…電解液、P…陽極退避領域、Q…陰極設置領域、R…開口、V…仕切、W…金型(洗浄対象物)、X…対向位置、Y…退避位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15