特許第6573662号(P6573662)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6573662
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】家具又は家庭用器具用のヒンジ
(51)【国際特許分類】
   E05D 7/086 20060101AFI20190902BHJP
   E05D 3/14 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   E05D7/086
   E05D3/14 A
【請求項の数】9
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-512429(P2017-512429)
(86)(22)【出願日】2015年5月13日
(65)【公表番号】特表2017-519136(P2017-519136A)
(43)【公表日】2017年7月13日
(86)【国際出願番号】EP2015060684
(87)【国際公開番号】WO2015173349
(87)【国際公開日】20151119
【審査請求日】2018年2月26日
(31)【優先権主張番号】102014106908.0
(32)【優先日】2014年5月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503226235
【氏名又は名称】ヘティッヒ−オーエヌイー ゲーエムベーハー ウント ツェーオー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブッシュマン, アレクサンダー
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第02093361(EP,A1)
【文献】 国際公開第2010/022424(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/120117(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/063688(WO,A1)
【文献】 実開昭47−024716(JP,U)
【文献】 特表2011−517477(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/031250(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 1/00 − 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具又は家庭用器具用のヒンジ(4)であって、
側部(5)を有して、該側部上にヒンジ部(7)が少なくとも1つのガイドレバー(8)によって回転可能に取り付けられ、
回転可能な駆動要素(11)を有してバネによって開始位置に予め張力を架けられた減衰デバイスが配備され、
閉鎖減衰用の駆動要素(11)の第1の駆動領域(18)は、ヒンジ(4)の閉鎖時に駆動されるヒンジにおいて、
前記駆動要素(11)は開き減衰用に第2の駆動領域(20)を有しており
前記駆動要素(11)は閉鎖減衰時と開き減衰時で同じ方向に動かされる、ヒンジ(4)。
【請求項2】
前記駆動要素は、ヒンジ部(7)上にて軸(17)の回りを回転可能に取り付けられ、第1の駆動領域(18)を有する第1のアーム(19)と、第2の駆動領域(20)を有する第2のアーム(14)を有する、請求項に記載のヒンジ。
【請求項3】
前記第1のアーム(19)と第2のアーム(14)とは、回転軸(17)に対して少なくとも30°だけ互いに離れて配列された、請求項に記載のヒンジ。
【請求項4】
前記ガイドレバー(8)は閉鎖減衰時に駆動要素(11)の第1の駆動領域(18)に係合する第1の接触領域(22)を有し、前記ガイドレバー(8)は開き減衰時に駆動要素(11)の第2の駆動領域(20)に係合する第2の接触領域(21)を有する、請求項1乃至の何れかに記載のヒンジ。
【請求項5】
第2の接触領域(21)がヒンジ部(7)内にてガイドレバー(8)の軸(16)に隣接して、ガイドレバー(8)の片持ちレバー(15)上に配備された、請求項1乃至の何れかに記載のヒンジ。
【請求項6】
前記開き減衰は、最大の開き位置の前の少なくとも10°の角度範囲に亘る、請求項1乃至の何れかに記載のヒンジ。
【請求項7】
前記減衰デバイスは、回転ダンパを備える、請求項1乃至の何れかに記載のヒンジ。
【請求項8】
前記ヒンジ部(7)内にカップ形の容器(10)が形成され、該容器内に回転可能な駆動要素(11)が配置される、請求項1乃至の何れかに記載のヒンジ。
【請求項9】
前記開き減衰は、最大の開き位置の前の少なくとも20°の角度範囲に亘る、請求項1乃至5の何れかに記載のヒンジ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具又は家庭用器具用の側部を有するヒンジに関し、ヒンジ部が少なくとも1つのガイドレバーによって回転可能に取り付けられ、回転可能な駆動要素を有してバネによって開始位置に予め張力を架けられた減衰デバイスが配備され、閉鎖減衰用の駆動要素の第1の駆動領域はヒンジの閉鎖時に駆動される。
【背景技術】
【0002】
国際公開2009/124332号は、ヒンジ用の減衰デバイスを開示し、回転ダンパ上で作動する回転可能な駆動要素がヒンジカップ上に配備されている。駆動要素は減衰完了後に、次の減衰ストローク用に開始位置に動かされ、駆動要素の回復ストロークは減衰力を変えることが出来るように設定可能である。減衰力はこのように閉鎖減衰用に設定される。しかし、ドアの素早い開き動作時にヒンジが高負荷を受け、損傷に帰するとの問題が存在する。
【0003】
従って、本発明の目的は、ドアが閉鎖動作時及び開き動作時の両方にてドアが減速される家具又は家庭用器具用のヒンジを提供することにある。
【発明の概要】
【0004】
この目的は請求項1の特徴を有するヒンジを備えて達成される。
本発明に従ったヒンジは、回転可能な駆動要素を有する減衰デバイスを備え、閉鎖減衰用の駆動要素の第1の駆動領域は、ヒンジの閉鎖時に駆動され、駆動要素は開き減衰用に第2の駆動領域を有する。減衰デバイスは、このように開き減衰と閉鎖減衰の両方に用いられる。特に、ドアの素早い動作時に、閉方向及び開方向に減速が実行され、大きな打撃ノイズを避け、ドアの素早い動作による損傷のリスクを減じる。
【0005】
駆動要素は、閉鎖減衰時と開き減衰時にて同じ方向に動かされるのが好ましい。開き減衰と閉鎖減衰について同じ減衰機構が用いられ得て、駆動要素は2つの動作の間にて、開始位置にバネによって予め張力が架けられている。これにより、生産を著しく高価にする2つの別個の減衰デバイスが配備されることを避ける。
【0006】
1つの好ましい実施形態に従って、駆動要素はヒンジ部の軸の周りに回転可能に取り付けられ、第1の駆動領域を有する第1のアームと第2の駆動領域を有する第2のアームを有する。第1のアームと第2のアームとは、駆動要素の回転軸に対して少なくとも30°、好ましくはこの場合少なくとも90°だけ互いに離れて配列されている。従って、駆動要素は2つのアームレバーとして構成され、各場合において異なるアーム上に駆動領域を有している。駆動要素はまた成形部分として構成されるが、駆動領域は配備されない。
【0007】
ガイドレバーは、閉鎖減衰時に駆動要素の第1駆動領域と係合する第1の接触領域を有するのが好ましい。ガイドレバーは更に、開き減衰時に駆動要素の第2駆動領域と係合する第2の接触領域を有する。この場合、接触領域はガイドレバー上にて互いに離れており、特に第2の接触領域はヒンジ部のガイドレバーの軸に隣接してガイドレバーの片持ちレバー上に配置される。
【0008】
効果的な開き減衰の為に、開き減衰は最大の開き位置の前に少なくとも10°の角度範囲で動作し、特に少なくとも20°の角度範囲で動作する。例えば、この場合、最大の開き位置は80°と120°の間であり最大の開き位置の位置により、ヒンジの開き減衰が始まる。少なくとも20°に亘る減衰は、最大の開き位置の前の十分な減速を確実にする。
【0009】
コンパクトな構成について、減衰デバイスは回転ダンパを備えることが出来る。勿論、駆動要素は例えば摩擦ダンパ又は線形ダンパのような他のタイプのダンパに連結することも可能である。
1つの有利な実施形態において、カップ形の容器がヒンジ部に形成され、該容器内に回転可能な駆動要素が配置される。特に開き減衰及び閉鎖減衰用のコンパクトな構成がこのように帰結する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明は添付の図面を参照して、例示的な実施形態に基づいて以下により詳細に説明される。
図1図1は、本発明に従った2つのヒンジを備えた家具要素を示す。
図2A図2Aは、図1のヒンジの側面を示す。
図2B図2Bは、図1のヒンジの側面を示す。
図3図2のヒンジの詳細な図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
家具の要素1は、キャビネット形の家具本体2を備え、該家具本体上にドア3が回転可能に取り付けられる。2つのヒンジ4はこの目的から家具本体2の側壁上に配備される。
各ヒンジ4は側部5を備え、該側部5は取付け板6を介して家具本体2上に固定される。ヒンジ部7が2つの離れたガイドレバー8を介して側部5に回転可能に取り付けられる。回転可能なドア3はヒンジ部7上に保持される。
【0012】
ヒンジ4の1つは図2A及び図2Bに詳細に示される。1つのガイドレバー8は側部5上の軸9の回りを回転可能に取り付けられる。反対側では、ガイドレバー8はヒンジ部7上で回転可能に配置され、回転可能な駆動要素11が配置されたカップ形の容器10がヒンジ部7に形成されている。駆動要素11がホルダ12上に配置され、回転ダンパを有する。駆動要素11はこの場合、回転可能に取り付けられ、開始位置に予め張力を架けられる。ヒンジ4が閉鎖位置に動くと、駆動要素11上の第1の駆動領域18がガイドレバー8上の接触領域22に係合して、駆動要素11は回転し、従って閉鎖動作は減衰され及び/又は減速される。減衰が完了してドア3が開いた後に、駆動要素11はバネによって開始位置に再び予め張力を架けられ、次の減衰ストロークに備えて移動可能である。
【0013】
スイッチ13がホルダ12上に配備されて、該スイッチによって駆動要素11の回復ストロークは公知の方法で設定可能である。
【0014】
閉鎖減衰に加えて、ヒンジ4上で開き減衰が実行され、この目的から図3に示すように、第2の駆動領域20が駆動要素11上に配備される。駆動要素11は2つのアームレバーとして基本的に構成され、第1の駆動領域18が配備された第1のアーム19を有する。更に、第2のアーム14が配備されて、該第2のアーム14は駆動要素11の回転軸17に対して第1のアーム19に関して90°以上離れて整列され、第2の駆動領域20がその上に配備される。
【0015】
ガイドレバー8がヒンジ部7上の軸16の回りに回転可能に取り付けられ、軸16と軸9の間の領域に接触領域22を有して、閉鎖動作時に駆動要素11を動かす。更に、片持ちレバー15がガイドレバー8上にてヒンジ部7上の軸16に隣接して形成され、片持ちレバーはガイドレバー8から角度を以て突出し、片持ちレバー上に第2の接触領域21が配備され、該第2の接触領域21は開き動作時に駆動要素11上の駆動領域20に係合する。ヒンジが更に開き方向に動かされると、ガイドレバー8は点線位置8’に回転され、駆動要素11は図3の反時計方向に点線で示すように回転される。第1のアーム19’及び第2のアーム14’は従って、ヒンジ4が所定の開き位置に配置されると、軸17の回りに回転される。同じ減衰デバイスを用いて、閉鎖減衰と開き減衰の両方が生じる。
【0016】
開き減衰は、最大の開き位置の前の少なくとも10°の角度範囲で少なくとも生じ、特に開き減衰は最大の開き位置の前で、20°と30°の範囲で開始するのが好ましい。ドア3が開き減衰の後に、閉鎖位置に戻されると、先ず片持ちレバー15が駆動要素11の第2のアーム14との係合を解除し、駆動要素11はバネの戻り力によって開始位置に動かされる。ガイドレバー8の第1の接触領域22は第1のアーム19上の第1の駆動領域18に続いて係合するのみである。
【0017】
示された実施形態において、回転ダンパは駆動要素11の動きを減衰するのに用いられる。勿論、回転ダンパに代えて摩擦ダンパ又は線形ダンパを用いることも可能である。
更に、減衰デバイスは、駆動要素11の減衰ストロークを設定することが出来るように調整機構を有し得る。
【符号の説明】
【0018】
1 家具の要素
2 家具本体
3 ドア
4 ヒンジ
5 側部
6 取付け板
7 ヒンジ部
8、8’ ガイドレバー
9 軸
10 容器
11 駆動要素
12 ホルダ
13 スイッチ
14、14’アーム
15 片持ちレバー
16 軸
17 軸
18 駆動領域
19、19’アーム
20 駆動領域
21 接触領域
22 接触領域
図1
図2A
図2B
図3