【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの目的は、特にこの欠点を解消する自動車側部ドアの摺動窓を受けるのに適したエラストマーランシールを提案することであり、窓は、窓に隣接するドアのフレームの鉛直縁部要素の外面と横方向に面一に搭載され、鉛直縁部要素は、フレームの直立部と、フレームを備える鉛直外側トリムとの中から選択され、シールは、少なくとも1つの上昇ストランドと、上部ストランドとを含み、少なくとも1つの上昇ストランドは、鉛直要素及び窓と接触して封止するように取り付けることができる軸方向外側枝部と、フレームに取り付けることができる軸方向内側枝部と、軸方向外側枝部を前記軸方向内側枝部に接続する接続枝部とを単一部品内に有し、シールは、窓の内面に固定された、窓を案内するための手段を鉛直方向摺動によって受けることが可能な溝を含む。
【0009】
この目的のために、本発明に係るランシールでは、溝が前記軸方向外側枝部上に形成され、同時に、鉛直要素の真向かいに見出されるのに適している。
【0010】
窓の案内手段を摺動するように受け入れるシールの前記少なくとも1つの上昇ストランドの(具体的には、このストランドの外側枝部内での)溝の形成は、溝が内側枝部内に形成された2つの前述の文献に示された従来技術とは異なり、この外側枝部の端部リップを窓の縁部にもたれて封止可能に当てるのに十分な軸方向Yの横方向空間を維持することを可能にすることに留意されたい。
【0011】
したがって、本発明の別の構成によれば、少なくとも1つの上昇ストランド内のシールの方向Yにおける横方向バルクの減少により、軸方向外側枝部は、溝を通過して、窓の鉛直縁部にもたれて封止接触して取り付けることができる可撓性のある外側端部領域を含み、それにより可撓性のある外側端部領域は、窓と前記鉛直要素との間の取り付け遊び又は間隙を隠すことができる。
【0012】
また、単一部品内に形成された少なくとも1つの上昇ストランド内において案内手段を直接摺動させる(すなわち、この摺動を生成するためにこのシール上に取り付けられたレールがない)ことにより、同時に、
− 窓の鉛直縁部にシールを封止可能に当てることにより前記鉛直要素の前記外面に対して面一に取り付けられた窓に対するこの改善されたシールを確実にし、これは(以下で概説されるように)長手方向Xにおいて窓の対応する鉛直縁部から突出する前記手段による窓の長手方向にオフセットされた案内によって可能となり、
− 前記少なくとも1つの上昇ストランドと前記案内手段の下の窓の内面との連続的な封止接触(これもまた以下を参照)を確実にすることが可能となる
ことに留意されたい。
【0013】
本発明の別の構成によれば、溝は、実質的に軸方向に延在することができ、また同時に、接続枝部と、軸方向外側枝部によって構成された、可撓性のある外側端部領域の下に位置する剛性のある支持領域(bearing zone)との間の少なくとも1つの剛性のある(リジッドな)エラストマー材料から形成され、この剛性のある支持領域は、軸方向内側に突出し、案内手段の軸方向外面上に封止可能に押圧することができる。
【0014】
有利なことには、可撓性のある外側端部領域は、外側シールリップを形成することによって剛性のある支持領域を延長することができ、この外側シールリップは、
− 軸方向外側に向けられ、かつ鉛直要素の鉛直縁部と接触して封止可能に取り付けることができる第1部分と、
− 軸方向内側に向けられ、かつ窓の鉛直縁部と接触して封止可能に取り付けることができる第2端部と
を含む。
【0015】
更に有利なことには、可撓性のある外側端部領域は、前述の米国特許出願公開第2006/0037249号明細書とは異なり、窓の外面と接触して取り付けることができない。
【0016】
本発明に係るランシールの少なくとも1つの上昇ストランドは、ゴム及び/又は剛性がより高い又はより低い及び充填されていてもいなくてもよい熱可塑性エラストマー(TPE)のタイプとすることができるすべてのエラストマー材料(例えば、熱可塑性加硫物(TPV)又は他のTPE(例えば、非限定的な例としてTPS又はTPO))から製造することができる。以下でより詳細に説明するように、内側枝部、外側枝部及び接続枝部に対しては、(特に、内側枝部及び外側枝部を備えたシールリップ又は取り付けリップのために)それぞれ可撓性があり、(特に、内側枝部の主要部分、接続枝部及び外側枝部の前記溝のために)より剛性のある異なる領域を画定する複数のエラストマー材料が使用されることに留意されたい。
【0017】
本発明の別の好ましい構成によれば、剛性のある支持領域は、軸方向の梁部を含み、梁部はこれもまた軸方向である前記接続枝部と共に前記溝の縁部を形成し、溝は、案内手段の端部フックを摺動するように受け入れることができ、任意で耐摩耗コーティングによって覆われた底部を含む。このコーティングは、軸方向内側及び外側枝部を備えた様々なシールリップに使用されるものと同じ又は異なる、任意の既知の滑りやすい層から構成することができ、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)又は架橋ポリエチレン(PER)が非限定的な例として挙げられる。
【0018】
有利には、軸方向外側枝部は、案内手段と共に車の長手方向にオフセットした状態で協働して、長手方向及び更には車の軸方向の窓の摺動を同時に案内することができる。
【0019】
このオフセットされた案内のために、その鉛直方向の摺動時にこれらの2つの前述の水平方向X及びYにおける窓の同時のわずかな動作の振幅を、(特に、この長手方向Xの前方及び後方へ向かう動作(すなわち、典型的にはX+及びX−と略称される動作)の制御によって)合理的かつ非等方的に制御することが可能であり、これは前述の従来技術では一般的に不可能であったことに留意されたい。
【0020】
本発明によれば、有利なことには、窓の丸い縁部と鉛直要素の外面との間に存在する遊び又は間隙を制御することが可能であり、これにより、「プールキュー」型の望ましくない形状及び/又は窓の前縁部と後縁部との間に非常に異なる寸法を有するこのような遊びを有することを回避することができる。
【0021】
本発明の別の構成によれば、シールは、全体的に非対称なU字形状を有することができ、軸方向内側枝部は、案内手段から離れた窓の内面上に封止可能に取り付けることができ、案内手段が存在するにもかかわらず、窓の内面にわたる連続的な封止接触によって少なくとも1つの上昇ストランドを上部ストランドに接続する可撓性内側端部領域で終端を迎えることができる。
【0022】
少なくとも1つの上昇ストランドと、この面に固定された窓手段の下の窓の内面上の上部ストランドとの間のシールのこの連続的な接触は、同一平面内でのこれらのストランドの間の接続を可能にし、したがって少なくとも1つの上昇ストランドのための案内手段の、及び上部ストランドのための窓自体のシールの接触に関連するわずかな空間的オフセットを管理する必要がないことに留意されたい。実際に、そのようなオフセットは、窓上のランシールの封止欠陥を構成し、したがって、これは本発明によって回避される。
【0023】
有利なことには、可撓性内側端部領域は、ドアのフレームに取り付けることができる軸方向内側枝部の部分から接続枝部に向かって斜めに延びる内側シールリップを備えることができ、前記部分は、例えば、ドアフレームの内側トリム上に取り付けることを意図した凹部を備え、又は前記フレームに対して直接湾曲している。
【0024】
自動車の側部ドア用の本発明に係るシールモジュールは、ランシールと、シール内で摺動するように取り付けられたドアの窓と、窓の少なくとも1つの鉛直縁部近くの窓の内面に固定され、かつシール内に形成された溝内で直接長手方向にオフセットさせて摺動するように窓を案内することができる窓を案内するための手段とを備え、これによって窓は、窓に隣接するドアのフレームの鉛直縁部要素の外面と横方向に面一に取り付けることができ、この鉛直縁部要素は、フレームの直立部と、フレームを備えた鉛直外側トリムとのうちから選択される。
【0025】
本発明によれば、シールモジュールは、シールが上記で画定した通りであることを特徴とする。
【0026】
本発明の別の構成によれば、案内手段は、少なくとも1つの鉛直縁部の少なくとも1つの上部領域にわたって窓の内面から連続的に又は不連続に延びる少なくとも1つのスライドによって形成することができ、窓は鉛直縁部を備え、鉛直縁部は、有利には少なくとも1つのスライドによって覆われておらず、それにもたれてシールの軸方向外側枝部は、封止可能に当てられる。
【0027】
窓に固定された上述の、又は各々のスライドは、こうして単一の部品(連続的な場合)又はいくつかの鉛直方向に分離された部品(不連続の場合)内に、窓の高さの上半分のみに、又は代替的に、窓の上述の又は各々の前部又は後部の鉛直縁部に対してその高さ全体にわたって延在することができることに留意されたい。
【0028】
この案内により、その鉛直縁部の上部領域で上向きに摺動する間の窓の傾斜を回避することが可能になることにも留意されたい。
【0029】
有利なことには、少なくとも1つのスライドは、軸方向外側に湾曲し、かつ少なくとも1つの剛性のあるエラストマー材料で作られた溝内を摺動するフックで終端を迎え、これによって窓の動作の振幅は、車の軸方向及び長手方向に同時に溝内のフックの摺動によって制御される。
【0030】
上に示したように、窓の鉛直面内の摺動時における窓の短いX+及びX−動作の振幅を十分に制御することを可能にするのは、この剛性のある溝を含む少なくとも1つの上昇ストランドの外側枝部の関連する形状と組み合わされたスライドのこの湾曲した端部形状であることに留意されたい。
【0031】
更により有利なことには、少なくとも1つのスライドは、軸方向内側に延在し、少なくとも1つの鉛直縁部を過ぎて実質的に軸方向に延在してフックで終端を迎える脚部によって延長される少なくとも1つの鉛直縁部の下方の窓の内面に固定されるベースを含むことができる。
【0032】
上述の又は各々のスライドは、少なくとも1つの金属、プラスチック(例えば、熱可塑性プラスチック(例えば、ポリアミド))、又はプラスチックマトリックス複合材料から製造することができ、スライドは、接着又はオプションとして溶接又は同時注入(窓がプラスチック材料から作られている特定の場合)によって固定することができることに留意されたい。
【0033】
本発明の別の一観点によれば、モジュールは、鉛直要素を更に備え、鉛直要素の真向かいでフックと溝が摺動することによって協働する。更に、シールの軸方向外側枝部によって構成され、鉛直要素の鉛直縁部及び窓の鉛直縁部の両方に対して押し付けられる可撓性のある外側端部領域が、有利なことには、窓と鉛直要素との間の取り付け遊び又は間隙を隠すことができる。
【0034】
本発明の1つの例示的な実施形態によれば、フックを組み込んだ少なくとも1つのスライドは、少なくとも1つの鉛直縁部の実質的に全高にわたって延びている。
【0035】
有利なことには、シールの前記軸方向内側枝部は、案内手段から離れた窓の内面に封止可能に取り付けられ、少なくとも1つの上昇ストランドを上部ストランドに窓の内面にわたる連続的な封止接触によって接続することができる可撓性のある内側端部領域で終端を迎えることができ、前述の利点を有する。
【0036】
要約すると、本発明に係るこのシールモジュールを使用すると、窓の外面及び内面の両方において、少なくとも1つの上昇ストランド及び上部ストランドに対して連続的な封止を得ることが可能である。
【0037】
本発明の他の構成、利点及び詳細は、添付の図面を参照して説明される例示としてかつ非限定的に提供される本発明の一例の実施形態の以下の説明を読むことから明らかとなるであろう。