特許第6573688号(P6573688)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6573688軸方向連結補助部を備える電気コネクタ組立体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6573688
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】軸方向連結補助部を備える電気コネクタ組立体
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/629 20060101AFI20190902BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20190902BHJP
   H01R 13/64 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   H01R13/629
   H01R13/639
   H01R13/64
【請求項の数】23
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-18761(P2018-18761)
(22)【出願日】2018年2月6日
(65)【公開番号】特開2018-129299(P2018-129299A)
(43)【公開日】2018年8月16日
【審査請求日】2018年2月6日
(31)【優先権主張番号】15/427,725
(32)【優先日】2017年2月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518405522
【氏名又は名称】アプティブ・テクノロジーズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 修
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・スコット・キャンベル
(72)【発明者】
【氏名】ウェスリー・ダブリュー・ウェバー,ジュニア
【審査官】 鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−253655(JP,A)
【文献】 特開2009−181719(JP,A)
【文献】 特開平10−106673(JP,A)
【文献】 特開2015−079657(JP,A)
【文献】 特表2015−501074(JP,A)
【文献】 特開平08−185927(JP,A)
【文献】 特表2009−503783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/56−13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタ(10)であって、該コネクタ(10)は、
案内スロット(16)を画定する第1の外面(14)を有する第1のハウジング(12)と、
第2の外面(20)を有する第2のハウジング(18)とを備えており、
前記第2のハウジング(18)は、前記第1のハウジング(12)に嵌合するように構成されており、前記第2のハウジング(18)は、前記第2の外面(20)から延びるピン(22)を含み、前記ピン(22)は、カム部(24)と案内部(26)とを画定しており、前記案内部(26)は、前記案内スロット(16)と係合するように構成されており、
前記コネクタ(10)は、また、
非嵌合位置(30)から嵌合位置(32)に移動可能な嵌合補助スライダ(28)を備えており、
前記嵌合補助スライダ(28)は、長手方向に摺動可能に前記第1の外面(14)の少なくとも一部に取り付けられており、また、前記第1の外面(14)の少なくとも一部を囲んでおり、前記嵌合補助スライダ(28)は、ラック歯(38)を有する歯車ラック(36)を含んでおり、
前記コネクタ(10)は、さらに、
前記第1の外面(14)に可動に取り付けられたカム歯車(40)を備えており、
前記カム歯車(40)は、前記ラック歯(38)と係合する歯車歯(42)を有しており、それによって、前記嵌合補助スライダ(28)の前記非嵌合位置(30)から前記嵌合位置(32)への動きに応じて、前記カム歯車(40)が動き、前記カム歯車(40)は、前記ピン(22)の前記カム部(24)を受けるためのカムスロット(44)を画定しており、前記カムスロット(44)は、前記案内スロット(16)の一部を覆って前記ピン(22)の前記カム部(24)の移動経路(50)を部分的に遮る慣性戻り止め(48)を有する入口(46)を有しており、それによって、前記ピン(22)が前記慣性戻り止め(48)を通り過ぎて動かされるとき、コネクタハウジングが適切に配置されたことを示す振動フィードバック(52)が、組立者に与えられ、前記嵌合補助スライダ(28)を前記非嵌合位置(30)から前記嵌合位置(32)に動かすことが可能になり、
前記カム歯車(40)の前記カムスロット(44)は、さらに、終端(58)を画定しており、
前記カム歯車(40)は、さらに、前記第1のハウジング(12)の枢動ピン(62)に前記カム歯車(40)を可動に取り付けるように構成された枢動穴(60)を画定しており、
前記枢動穴(60)は、開口部(64)を画定しており、
前記枢動穴(60)の一部が、前記開口部(64)を介して、前記カムスロット(44)と連通していることを特徴とする、コネクタ(10)。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタ(10)において、
前記カム歯車(40)の前記歯車歯(42)は、曲線状経路(54)に沿って位置合わせされていることを特徴とする、コネクタ(10)。
【請求項3】
請求項1に記載のコネクタ(10)において、
前記カム歯車(40)が動かされるとき、前記ピン(22)は、前記終端(58)に軸方向に引き寄せられ、それによって、前記ピン(22)と前記枢動ピン(62)が、前記開口部(64)で、小間隔で離間することを特徴とする、コネクタ(10)。
【請求項4】
請求項3に記載のコネクタ(10)において、
前記ピン(22)と前記枢動ピン(62)が、前記開口部(64)で、0.7ミリメートル未満の間隔で並べられることを特徴とする、コネクタ(10)。
【請求項5】
請求項1に記載のコネクタ(10)において、
前記カム歯車(40)は、ロック用タブ(66)を含み、
前記第2のハウジング(18)が前記第1のハウジング(12)に係合されるとき、前記第2のハウジング(18)から延びるロック解除用リブ(68)が前記ロック用タブ(66)との係合を解除(70)するまで、前記ロック用タブ(66)は、前記カム歯車(40)および前記嵌合補助スライダ(28)の動きを防止するように構成されていることを特徴とする、コネクタ(10)。
【請求項6】
コネクタ(10)であって、該コネクタ(10)は、
案内スロット(16)を画定する第1の外面(14)を有する第1のハウジング(12)と、
第2の外面(20)を有する第2のハウジング(18)とを備えており、
前記第2のハウジング(18)は、前記第1のハウジング(12)に嵌合するように構成されており、前記第2のハウジング(18)は、前記第2の外面(20)から延びるピン(22)を含んでおり、前記ピン(22)は、カム部(24)および案内部(26)を画定しており、前記案内部(26)は、前記案内スロット(16)と係合するように構成されており、
前記コネクタ(10)は、また、
非嵌合位置(30)から嵌合位置(32)に移動可能な嵌合補助スライダ(28)を備えており、
前記嵌合補助スライダ(28)は、長手方向に摺動可能に前記第1の外面(14)の少なくとも一部に取り付けられており、また、前記第1の外面(14)の少なくとも一部を囲んでおり、前記嵌合補助スライダ(28)は、ラック歯(38)を有する歯車ラック(36)を含んでおり、
前記コネクタ(10)は、さらに、
前記第1の外面(14)に可動に取り付けられたカム歯車(40)を備えており、
前記カム歯車(40)は、前記ラック歯(38)と係合する歯車歯(42)を有しており、それによって、前記嵌合補助スライダ(28)の前記非嵌合位置(30)から前記嵌合位置(32)への動きに応じて前記カム歯車(40)が動き、前記カム歯車(40)は、前記ピン(22)の前記カム部(24)を受けるためのカムスロット(44)を画定しており、前記カムスロット(44)は、入口(46)および終端(58)を有しており、前記カム歯車(40)は、さらに、前記第1のハウジング(12)の枢動ピン(62)に前記カム歯車(40)を可動に取り付けるように構成された枢動穴(60)を画定しており、前記枢動穴(60)は、開口部(64)を画定しており、前記枢動穴(60)の一部は、前記開口部(64)を介して、前記カムスロット(44)と連通しており、前記嵌合補助スライダ(28)が前記非嵌合位置(30)から前記嵌合位置(32)に動かされるとき、前記ピン(22)が、軸方向に前記終端(58)に引き寄せられ、それによって、前記第2のハウジング(18)が前記第1のハウジング(12)と嵌合され、その結果、前記ピン(22)と前記枢動ピン(62)が、前記開口部(64)で0.7ミリメートル未満の間隔で並べられることを特徴とする、コネクタ(10)。
【請求項7】
請求項6に記載のコネクタ(10)において、
前記カム歯車(40)の前記歯車歯(42)は、曲線状経路(54)に沿って位置合わせされていることを特徴とする、コネクタ(10)。
【請求項8】
請求項6に記載のコネクタ(10)において、
前記カム歯車(40)は、ロック用タブ(66)を含み、
前記第2のハウジング(18)が前記第1のハウジング(12)に嵌合されるとき、前記第2のハウジング(18)から延びるロック解除用リブ(68)が、前記ロック用タブ(66)との係合を解除(70)するまで、前記ロック用タブ(66)は、前記カム歯車(40)の動きを防止するように構成されていることを特徴とする、コネクタ(10)。
【請求項9】
コネクタ(10)であって、該コネクタ(10)は、
案内スロット(16)を画定する第1のハウジング(12)と、
前記第1のハウジング(12)に嵌合するように構成された第2のハウジング(18)とを備えており、
前記第2のハウジング(18)は、前記案内スロット(16)と係合するように構成されたピン(22)を含んでおり、
前記コネクタ(10)は、また、
非嵌合位置(30)から嵌合位置(32)に移動可能な嵌合補助スライダ(28)を備えており、
前記嵌合補助スライダ(28)は、前記第1のハウジング(12)に摺動可能に取り付けられており、前記嵌合補助スライダ(28)は、歯車ラック(36)を含んでおり、
前記コネクタ(10)は、さらに、
前記第1のハウジング(12)に可動に取り付けられたカム歯車(40)を備えており、前記カム歯車(40)は、前記歯車ラック(36)に係合し、それによって、前記嵌合補助スライダ(28)の動きに応じて前記カム歯車(40)が動き、
前記カム歯車(40)は、前記ピン(22)を受けるためのカムスロット(44)を画定しており、
前記カムスロット(44)は、前記案内スロット(16)の上に配置された慣性戻り止め(48)を有する入口(46)を有しており、
前記カム歯車(40)の前記カムスロット(44)は、終端(58)をさらに画定しており、
前記カム歯車(40)は、前記第1のハウジング(12)の枢動ピン(62)に前記カム歯車(40)を可動に取り付けるように構成された枢動穴(60)をさらに画定しており、
前記枢動穴(60)は、開口部(64)を画定しており、
前記枢動穴(60)の一部が、前記開口部(64)を介して、前記カムスロット(44)と連通して
いることを特徴とする、コネクタ(10)。
【請求項10】
請求項に記載のコネクタ(10)において、
前記ピン(22)が前記慣性戻り止め(48)を通り過ぎて動かされるとき、組立者に振動フィードバック(52)が与えられ、前記嵌合補助スライダ(28)を前記非嵌合位置(30)から前記嵌合位置(32)に動かすことが可能になることを特徴とする、コネクタ(10)。
【請求項11】
請求項に記載のコネクタ(10)において、
前記ピン(22)が前記慣性戻り止め(48)を通り過ぎて動かされるとき、前記慣性戻り止め(48)が偏向し、定位置に戻ることを特徴とする、コネクタ(10)。
【請求項12】
請求項に記載のコネクタ(10)において、
前記歯車ラック(36)は、ラック歯(38)を有することを特徴とする、コネクタ(10)。
【請求項13】
請求項に記載のコネクタ(10)において、
前記カム歯車(40)は、曲線状経路(54)に沿って位置合わせされる歯車歯(42)を含むことを特徴とする、コネクタ(10)。
【請求項14】
請求項に記載のコネクタ(10)において、
記カム歯車(40)が動かされるとき、前記ピン(22)が、前記終端(58)に軸方向に引き寄せられ、それによって、前記ピン(22)と前記枢動ピン(62)が、前記開口部(64)で、0.7ミリメートル未満の間隔で並べられることを特徴とする、コネクタ(10)。
【請求項15】
請求項に記載のコネクタ(10)において、
前記カム歯車(40)は、ロック用タブ(66)を含み、
前記第2のハウジング(18)が前記第1のハウジング(12)に嵌合されるとき、前記第2のハウジング(18)から延びるロック解除用リブ(68)が、前記ロック用タブ(66)との係合を解除(70)するまで、前記ロック用タブ(66)は、前記カム歯車(40)および前記嵌合補助スライダ(28)の動きを防止するように構成されていることを特徴とする、コネクタ(10)。
【請求項16】
請求項に記載のコネクタ(10)において、
前記慣性戻り止め(48)は、前記案内スロット(16)の一部を覆い、前記ピン(22)の移動経路(50)を部分的に遮ることを特徴とする、コネクタ(10)。
【請求項17】
コネクタ(10)であって、該コネクタ(10)は、
案内スロット(16)を画定する第1のハウジング(12)と、
前記第1のハウジング(12)に嵌合するように構成された第2のハウジング(18)とを備えており、
前記第2のハウジング(18)は、前記案内スロット(16)と係合するように構成されたピン(22)を含んでおり、
前記コネクタ(10)は、また、
非嵌合位置(30)から嵌合位置(32)に移動可能な嵌合補助スライダ(28)を備えており、
前記嵌合補助スライダ(28)は、前記第1のハウジング(12)に摺動可能に取り付けられており、前記嵌合補助スライダ(28)は、歯車ラック(36)を含んでおり、
前記コネクタ(10)は、さらに、
前記第1のハウジング(12)に可動に取り付けられたカム歯車(40)を備えており、
前記カム歯車(40)は前記歯車ラック(36)と係合し、それによって、前記嵌合補助スライダ(28)の動きに応じて前記カム歯車(40)が動き、
前記カム歯車(40)は、前記ピン(22)を受けるためのカムスロット(44)を画定しており、
前記カムスロット(44)は、入口(46)および終端(58)を有しており、
前記カム歯車(40)は、前記第1のハウジング(12)の枢動ピン(62)に、前記カム歯車(40)を可動に取り付けるように構成された枢動穴(60)をさらに画定しており、
前記嵌合補助スライダ(28)が、前記非嵌合位置(30)から前記嵌合位置(32)に動かされるとき、前記ピン(22)が、前記終端(58)に軸方向に引き寄せられ、
前記枢動穴(60)は、開口部(64)を画定しており、
前記枢動穴(60)の一部が、前記開口部(64)を介して、前記カムスロット(44)と連通していることを特徴とする、コネクタ(10)。
【請求項18】
請求項17に記載のコネクタ(10)において、
前記ピン(22)が前記終端(58)に軸方向に引き寄せられるとき、前記ピン(22)と前記枢動ピン(62)が、前記開口部(64)で、0.7ミリメートル未満の間隔で並べられることを特徴とする、コネクタ(10)。
【請求項19】
請求項17に記載のコネクタ(10)において、
前記歯車ラック(36)が、ラック歯(38)を有することを特徴とする、コネクタ(10)。
【請求項20】
請求項17に記載のコネクタ(10)において、
前記カム歯車(40)が、曲線状経路(54)に沿って位置合わせされる歯車歯(42)を含むことを特徴とする、コネクタ(10)。
【請求項21】
請求項17に記載のコネクタ(10)において、
前記カム歯車(40)は、ロック用タブ(66)を含み、
前記第2のハウジング(18)が前記第1のハウジング(12)に嵌合されるとき、前記第2のハウジング(18)から延びるロック解除用リブ(68)が、前記ロック用タブ(66)との係合を解除(70)するまで、前記ロック用タブ(66)は、前記カム歯車(40)の動きを防止するように構成されていることを特徴とする、コネクタ(10)。
【請求項22】
ワイヤハーネスであって、該ワイヤハーネスは、
配線束と、
第1のハウジング(12)、第2のハウジング(18)、嵌合補助スライダ(28)、およびカム歯車(40)を有するコネクタ(10)とを備えており、
前記第1のハウジング(12)は、案内スロット(16)を画定しており、
前記第2のハウジング(18)は、前記第1のハウジング(12)に嵌合するように構成されており、
前記第2のハウジング(18)は、前記案内スロット(16)と係合するように構成されたピン(22)を含んでおり、
前記嵌合補助スライダ(28)は、非嵌合位置(30)から嵌合位置(32)に移動可能であり、
前記嵌合補助スライダ(28)は、前記第1のハウジング(12)に摺動可能に取り付けられており、
前記嵌合補助スライダ(28)は、歯車ラック(36)を含んでおり、
前記カム歯車(40)は、前記第1のハウジング(12)に可動に取り付けられており、
前記カム歯車(40)は、前記歯車ラック(36)と係合し、それによって、前記嵌合補助スライダ(28)の動きに応じて前記カム歯車(40)が動き、
前記カム歯車(40)は、前記ピン(22)を受けるためのカムスロット(44)を画定しており、
前記カムスロット(44)は、前記案内スロット(16)の上に配置された慣性戻り止め(48)を有する入口(46)を有し、それによって、前記ピン(22)が前記慣性戻り止め(48)を通り過ぎて動かされるとき、組立者に振動フィードバック(52)が与えられ、前記嵌合補助スライダ(28)を前記非嵌合位置(30)から前記嵌合位置(32)に動かすことが可能になり、
前記カム歯車(40)の前記カムスロット(44)は、終端(58)をさらに画定しており、
前記カム歯車(40)は、前記第1のハウジング(12)の枢動ピン(62)に、前記カム歯車(40)を可動に取り付けるように構成された枢動穴(60)をさらに画定しており、
前記枢動穴(60)は、開口部(64)を画定しており、
前記枢動穴(60)の一部が、前記開口部(64)を介して、前記カムスロット(44)と連通しており、
前記嵌合補助スライダ(28)が、前記非嵌合位置(30)から前記嵌合位置(32)に動かされるとき、前記ピン(22)が、前記終端(58)に軸方向に引き寄せられることを特徴とする、ワイヤハーネス。
【請求項23】
請求項22に記載のワイヤハーネスにおいて、
前記カム歯車(40)は、ロック用タブ(66)を含んでおり、
前記ロック用タブ(66)は、前記カム歯車(40)および前記嵌合補助スライダ(28)の動きを防止するように構成されており、
前記第2のハウジング(18)が前記第1のハウジング(12)に嵌合されるとき、前記ロック用タブ(66)との係合を解除(70)するロック解除用リブ(68)を、前記第2のハウジング(18)が含むことを特徴とする、ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、概してコネクタに関し、より詳細には、嵌合補助構造を有する電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]自動車用途で使用される電気コネクタにおける嵌合補助構造を用いることが知られており、特に自動車用途においては、車載される電気部品が増加したことにより、1システム当たりに、より多くの数のインプット/アウトプット(I/O)接続が必要とされている。一体型のレバー機構を利用するコネクタは、通常、このレバー補助機構を閉じる前に、コネクタをあらかじめ位置決めすることを必要とする。これらの連結システムは、人間工学的な配慮に欠けており、嵌合時に受ける損傷および/または嵌合ミスも発生しやすいので、この多段階式の嵌合工程は、組立者にとって煩わしい。さらに、これらのシステムは、嵌合中にツールおよび/またはレバー運動を必要とするので、追加的なアプリケーションパッケージ用の空間が必要であり、コネクタ内に配置できる端子の総数が少なくなる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
[0003]一実施形態によれば、コネクタが提供される。このコネクタは、案内スロットを画定する第1の外面を有する第1のハウジングを有する。このコネクタは、第2の外面を有する第2のハウジングも含む。この第2のハウジングは、第1のハウジングに嵌合するように構成され、この第2のハウジングは、この第2の外面から延びるピンを含む。このピンは、カム部および案内部を画定し、この案内部は、案内スロットと係合するように構成される。このコネクタは、非嵌合位置から嵌合位置に移動可能な嵌合補助スライダ(嵌合補助摺動部)も含む。この嵌合補助スライダは、長手方向に摺動可能に第1の外面の少なくとも一部に取り付けられ、かつそれを囲む。この嵌合補助スライダは、ラック歯を有する歯車ラック(ギヤラック)も含む。このコネクタは、第1の外面に可動に取り付けられたカム歯車(カムギヤ)も含む。このカム歯車は、ラック歯と係合する歯車歯(ギヤ歯)を有し、その結果、嵌合補助スライダの非嵌合位置から嵌合位置への動きに応じて、このカム歯車が動く。このカム歯車は、ピンのカム部を受けるためのカムスロットを画定する。このカムスロットは、案内スロットの一部を覆ってピンのカム部の移動経路を部分的に遮る、慣性戻り止め(慣性ディテント)を有する入口を有する。ピンが、慣性戻り止めを通り過ぎて動かされると、コネクタハウジングが適切に配置されたことを示す振動フィードバックが組立者に与えられ、嵌合補助スライダを非嵌合位置から嵌合位置に動かすことが可能になる。
【0004】
[0004]他の実施形態では、コネクタが提供される。このコネクタは、案内スロットを画定する第1の外面を有する第1のハウジングを有する。このコネクタは、第2の外面を有する第2のハウジングも含む。この第2のハウジングは、第1のハウジングに嵌合するように構成され、この第2のハウジングは、第2の外面から延びるピンを含む。このピンは、カム部および案内部を画定し、この案内部は、案内スロットと係合するように構成される。このコネクタは、非嵌合位置から嵌合位置に移動可能な嵌合補助スライダ(嵌合補助摺動部)も含む。この嵌合補助スライダは、長手方向に摺動可能に第1の外面の少なくとも一部に取り付けられ、かつそれを囲む。この嵌合補助スライダは、ラック歯を有する歯車ラックも含む。このコネクタは、第1の外面に可動に取り付けられたカム歯車も含む。このカム歯車は、ラック歯と係合する歯車歯を有し、その結果、カム歯車が、嵌合補助スライダの非嵌合位置から嵌合位置への動きに応じて動く。このカム歯車は、ピンのカム部を受けるためのカムスロットを画定する。このカムスロットは、入口および終端(ストッパー)を有する。このカム歯車は、第1のハウジングの枢動ピンにカム歯車を可動に取り付けるように構成された枢動穴を、さらに画定する。この枢動穴は、開口部を画定し、この枢動穴の一部は、カムスロットと連通している。嵌合補助スライダが非嵌合位置から嵌合位置に動かされるとき、ピンは、軸方向に終端(ストッパー)に引き寄せられ、それによって、第2のハウジングが第1のハウジングに嵌合し、その結果、ピンと枢動ピンは、前記開口部で、0.7ミリメートル未満の間隔で並ぶ。
【0005】
[0005]さらに別の実施形態では、コネクタが提供される。このコネクタは、案内スロットを画定する第1の外面を有する第1のハウジングを含む。このコネクタは、第2の外面を有する第2のハウジングも含み、この第2のハウジングは、第1のハウジングに嵌合するように構成される。第2のハウジングは、第2の外面から延びるピンを含む。このピンは、カム部および案内部を画定し、この案内部は、案内スロットと係合するように構成される。このコネクタは、非嵌合位置から嵌合位置に移動可能な嵌合補助スライダも含む。この嵌合補助スライダは、長手方向に摺動可能に第1の外面の少なくとも一部に取り付けられ、かつそれを囲む。この嵌合補助スライダは、ラック歯を有する歯車ラックを含む。このコネクタは、第1の外面に可動に取り付けられたカム歯車も含む。このカム歯車は、ラック歯と係合する歯車歯を有し、その結果、嵌合補助スライダの非嵌合位置から嵌合位置への動きに応じて、このカム歯車が動く。このカム歯車は、ピンのカム部を受けるためのカムスロットを画定する。このカム歯車は、第2のハウジングが第1のハウジングと嵌合されるとき、第2のハウジングから延びるロック解除用リブがロック用タブとの係合を解除するまで、カム歯車および嵌合補助スライダが動かないようにするように構成された、このロック用タブを含む。
【0006】
[0006]さらなる特徴および利点は、非限定的な例を挙げるためだけに添付図面を参照して示される、好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明を読めば、より明らかになろう。
【0007】
[0007]本発明は、ここで添付図面を参照して、例として説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】[0008]一実施形態による、嵌合補助スライダを有するコネクタを示す図である。
図2】[0009]図2Aは、本発明による、図1のコネクタの、非嵌合位置にある嵌合補助スライダの透視図である。[0010]図2Bは、嵌合補助スライダが嵌合位置にある、本発明による図2Aのコネクタを示す図である。
図3】[0011]図3Aは、一実施形態によるカム歯車を示す図である。[0012]図3Bは、従来技術による、従来技術のカム歯車を示す図である。
図4】[0013]図4Aは、一実施形態によるカム歯車を示す図である。[0014]図4Bは、従来技術による、従来技術のカム歯車を示す図である。
図5】[0015]図5Aは、一実施形態による、ロック用タブを有するコネクタを示す図である。[0016]図5Bは、本発明によるロック用タブを有する、図5Aのコネクタを示す図である。
図6】[0017]一実施形態によるカム歯車を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0018]図1は、嵌合補助装置を有するコネクタ10の非限定的な例を示す。コネクタ10は、案内スロット16を画定する第1の外面14を有する第1のハウジング12を含む。第1のハウジング12は、ワイヤハーネスまたは他の電気的構成要素に連結することができる線材束(図示せず)に付くことができる、複数の電気端子(図示せず)を有することができる。第1のハウジング12は、電線(図示せず)用の電線シールおよびストレインリリーフも含むことができる。
【0010】
[0019]コネクタ10は、第2の外面20を有する第2のハウジング18も含み、第2のハウジング18は、第1のハウジング12に着脱可能に嵌合するように構成される。第2のハウジング18は、ワイヤハーネスまたは他の電気的構成要素(図示せず)に連結することができる線材束に付くことができる、第1のハウジング12の電気端子に嵌合するように構成された、対応する複数の電気端子(図示せず)も有することができる。第2のハウジング18は、電線用の電線シールおよび歪み解放部(ストレインリリーフ)と、外周シール(図示せず)を含んでもよく、これにより、第1のハウジング12とのシールを形成することもできる。第2のハウジング18は、第2の外面20から延びるピン22を含む。ピン22は、カム部24と案内部26の両方を画定する。ピン22の案内部26は、第1のハウジング12の案内スロット16と係合し、この案内スロット16に沿って摺動して、第1のハウジング12と第2のハウジング18が、嵌合する前に適切に位置合せされていることを確実とするように構成される。
【0011】
[0020]コネクタ10は、非嵌合位置30(図2A参照)から嵌合位置32(図2B参照)に移動可能な、嵌合補助スライダ(嵌合補助摺動部)28(図1参照)も含む。
[0021]図2Aに示されるように、嵌合補助スライダ28は、長手方向に摺動可能に第1の外面14に取り付けられ、コネクタ10の長手方向軸34に平行な方向に動くように構成されている。嵌合補助スライダ28は、第1の外面14の一部を囲み、カム歯車40と係合するように構成されたラック歯38を有する歯車ラック36を含む。
【0012】
[0022]図2Aに示されるように、コネクタ10は、第1の外面14に回転可能に取り付けられたカム歯車40も含む。カム歯車40は、ラック歯38と係合する歯車歯42を有し、その結果、嵌合補助スライダ28の非嵌合位置30から嵌合位置32への動きに応じて、カム歯車40が動く。カム歯車40は、ピン22のカム部24を受けるためのカムスロット44(図3A参照)を画定する。カムスロット44は、慣性戻り止め(慣性ディテント)48を含む入口46を有する。慣性戻り止め48は、案内スロット16の上に延びることによって案内スロット16の一部を覆い、ピン22のカム部24の移動経路50を部分的に遮る。ピン22が慣性戻り止め48を通り過ぎて動かされると、コネクタハウジングが適切に配置されたことを示す振動フィードバック52が、組立者に与えられる。コネクタハウジングが適切に配置されることにより、嵌合補助スライダ28を非嵌合位置30から嵌合位置32へ動かすことが可能になる。振動フィードバック52は、組立者への可聴フィードバックおよび/または触覚フィードバックとして現れてもよい。外部のばねによって、また好ましくはコネクタ10の構成要素(図3A)の固有の屈曲から生じる内部のばね力によって、ピン22が慣性戻り止め48を通り過ぎて動かされるとき、慣性戻り止め48は、カム歯車40を屈曲させることによって偏向し、定位置(ホームポジション、原点位置)(特に図示せず)に戻ることができる。従来技術では、組立者がコネクタハウジング同士を位置合わせし(すなわち、整合させ)、次いでカム歯車40を回転させてカムスロット44にピン22を収める必要があり、これは煩わしく、人間工学的に不利な工程であるので、慣性戻り止め48は、従来技術(図3B)より有益である。図3Aは、カム歯車40の歯車歯42が、曲線状経路54に沿って位置合わせされている(すなわち、整合されている)一実施形態を示す。歯車歯42は、図6に示されるように、直線状経路56に沿って位置合わせされてもよい(整合されてもよい)。
【0013】
[0023]コネクタ10は、カム歯車40も含むことができ、カム歯車40は、さらに、終端(ストッパー)58と、枢動穴60(図3A)とを画定している。枢動穴60は、第1のハウジング12から延びる枢動ピン62にカム歯車40を可動に取り付けるように構成されている。枢動穴60は、開口部64をさらに画定しており、枢動穴60の一部は、カムスロット44と連通している。図4Aに示されるように、カム歯車40が動かされるとき、ピン22は、軸方向に終端58に引き寄せられ、その結果、ピン22と枢動ピン62は、開口部64で、0.7ミリメートル未満の間隔で並べられる(すなわち、ピン22と枢動ピン62は、開口部64で、0.7ミリメートルよりも小さい間隔で離間する)。これにより、嵌合するハウジングの軸方向の変位量が、図4Bに示される従来技術に比べて22%増加する。
【0014】
[0024]図5Aおよび図5Bに示されるように、コネクタ10は、ロック用タブ66を含むカム歯車40も含むことができる。ロック用タブ66は、第2のハウジング18が第1のハウジング12に嵌合されるとき、第2のハウジング18から延びるロック解除用リブ68がロック用タブ66との係合を解除70されるまで、カム歯車40および嵌合補助スライダ28が動かないように、構成されている。ロック用タブ66を設けたので、より効果的となっている。というのは、ロック用タブ66により、組立者が、嵌合補助スライダ28を動かすことなく、第1のハウジング12を第2のハウジング18に適切に位置合わせする(整合させる)ことができ、それによってカムスロット44の入口46が適切な位置に保たれてピン22を受け入れることができるからである。
【0015】
[0025]本明細書で示される例は、電気コネクタシステムを対象とする。しかし、光ケーブルまたは電線と光ケーブルの両方を含むハイブリッド接続に使用するように構成された、コネクタシステムの他の実施形態が想定されてもよい。空気配管または液圧(油圧)配管を連結するように構成された、コネクタシステムのさらに他の実施形態が想定されてもよい。
【0016】
[0026]したがって、嵌合補助構造を含むコネクタ10が提供される。コネクタ10は、従来技術のコネクタに対し改善されている。というのは、触覚フィードバックおよび/または可聴フィードバックでもよい、コネクタハウジングが適切に配置されたことを示す振動フィードバック52が、組立者に与えられるからである。また、コネクタ10は、従来技術のコネクタと比較して、嵌合するハウジングの軸方向の変位量を増加させることもできる。
【0017】
[0027]本発明は、その好ましい実施形態の観点から説明されてきたが、本発明はそれに限定されるものではなく、むしろ、後に続く特許請求の範囲に記載の範囲のみに限定されるものである。
【符号の説明】
【0018】
10 コネクタ
12 第1のハウジング
14 第1の外面
16 案内スロット
18 第2のハウジング
20 第2の外面
22 ピン
24 カム部
26 案内部
28 嵌合補助スライダ
30 非嵌合位置
32 嵌合位置
34 長手方向軸
36 歯車ラック
38 ラック歯
40 カム歯車
42 歯車歯
44 カムスロット
46 入口
48 慣性戻り止め(慣性ディテント)
50 移動経路
52 振動フィードバック
54 曲線状経路
56 直線状経路
58 終端(ストッパー)
60 枢動穴
62 枢動ピン
64 開口部
66 ロック用タブ
68 ロック解除用リブ
70 解除
図1
図2
図3
図4
図5
図6