特許第6573692号(P6573692)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6573692
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】気動工具の信号発生器
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20190902BHJP
【FI】
   B25F5/00 F
   B25F5/00 B
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-40942(P2018-40942)
(22)【出願日】2018年3月7日
【審査請求日】2018年3月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】506424302
【氏名又は名称】亞柏士氣動工具股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】張新和
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 特表平09−507796(JP,A)
【文献】 実開昭63−166368(JP,U)
【文献】 特開平02−224980(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0306746(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
B25B 23/145
B25B 21/00
B25D 1/04
B23B 45/04
B24B 23/00
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気動工具の押しボタンと連通するように、該気動工具のチャンバーに取り付ける気動工具の信号発生器であって、
前記気動工具のチャンバーに取り付けられ、一端に開口が形成されると共に、他端に底部が設けられる連接通路を備えるチューブと、
前記チューブの連接通路に回動可能に設置され、軸方向に貫通する貫設穴が形成され、外周面に環状凹部が形成される、心軸と、
前記心軸の貫設穴に移動可能に挿設され、一端が気動工具の押しボタンに連接され、他端が密封蓋を介してチューブの底部を密封するように該チューブに貫設固定される、ピストンと、
前記心軸に回動可能に取り付けられ、信号ユニット及び空気案内ユニットを備え、該信号ユニットは、心軸の環状凹部に取り付けられ、内部にチューブの連接通路と連通する内部通路が形成され、該空気案内ユニットは、信号ユニットの内部通路と連通するように該信号ユニットの一端に取り付けられる、空気案内部材、を有し、
前記心軸はさらに、前記心軸の一端に形成される空気進入部と、他端に形成される空気排出部と、連接部を備え、該連接部は、前記空気排出部と前記空気進入部との間に設けられて前記空気排出部と前記空気進入部とを連接し、前記貫設穴は、前記心軸の軸方向に沿って前記空気排出部、前記空気進入部、前記連接部を貫通するように形成され、前記環状凹部は、前記空気排出部と前記空気進入部との間かつ前記連接部の周囲に形成され、前記信号ユニットは、前記心軸の前記空気進入部に結合され、
前記空気排出部の下側に組合凹部が形成され、前記空気案内部材は、前記組合凹部に取り付ける位置決め部材を備え、前記信号ユニットは、心軸の軸方向に沿って延出する固定端が凹設され、前記位置決め部材は、前記信号ユニットの前記固定端に結合されることを特徴とする、
気動工具の信号発生器。
【請求項2】
前記空気進入部に挿設穴及び案内通路が形成され、該案内通路は、挿設穴及びチューブの連接通路と連通するように形成され、前記信号ユニットは、一端を介して挿設穴に結合され、案内通路及びチューブの連接通路と連通することを特徴とする請求項に記載の気動工具の信号発生器。
【請求項3】
前記信号ユニットは、心軸の軸方向に沿って延出する組立端が設けられ、該心軸の軸方向と垂直する方向に沿って延出する連接端が設けられ、前記信号ユニットは、組立端を介して心軸の挿設穴に結合されることを特徴とする請求項に記載の気動工具の信号発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に圧縮空気を用いて信号を発生することにより、気動工具を制御または調整するための信号発生器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6に示すように、既存の気動工具は、本体71と、駆動部材72と、押し部材73と、音消し部材74を有し、前記本体71は、収容空間711と、押し空間712と、空気進入通路713と、空気排出通路714を備え、該押し空間712は、水平方向からやや斜めに延出するように収容空間711の近傍に形成され、該空気進入通路713及び空気排出通路714はそれぞれ、押し空間712と連通するように形成され、前記駆動部材72は、収容空間711の内部に設置され、前記押し部材73は、押し空間712の内部に設置され、前記音消し部材74は、空気排出通路714と連通摺るように本体71の底部に取り付けられる。
【0003】
前記気動工具を使用する時、本体71がエアーコンプレッサー(図示せず)と連接して圧縮空気を空気進入通路713から進入して、押し部材73の制御により気動工具を駆動して駆動部材72を回転させ、これによれば、気動工具を稼動することができる。余分な圧縮空気を、駆動部材72から空気排出通路714にガイドして排出すると、圧縮空気の循環を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】台湾特許第I331071号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既存の気動工具は、主に圧縮空気を用いて部品全体を駆動することから、構成の設計に制限を有し、また、圧縮空気が配管または部品の設計により不安定な状態となりやすく、検知の信号としても精確率に劣ることから、既存の気動工具に、押し回数や、圧力などの数値を検知するための信号発生装置を装着することは非常に困難である。
【0006】
さらに、既存の気動工具は、電子部品を直接に利用して、押し回数や、空気圧力、圧力の信号などの数値を検知することができず、電子部品だけではなく、配線や、他の部品も必要であることから、装着手間が非常に複雑であると共に、気動工具の体積を増加しまうので、改良する必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる気動工具の信号発生器は、気動工具の押しボタンと連通するように、該気動工具のチャンバーに取り付けるものであり、前記気動工具のチャンバーに取り付けられ、一端に開口が形成されると共に、他端に底部が設けられる連接通路を備えるチューブと、前記チューブの連接通路に回動可能に設置され、軸方向に貫通する貫設穴が形成され、外周面に環状凹部が形成される、心軸と、前記心軸の貫設穴に移動可能に挿設され、一端が気動工具の押しボタンに連接され、他端が密封蓋を介してチューブの底部を密封するように該チューブに貫設固定される、ピストンと、前記心軸に回動可能に取り付けられ、信号ユニット及び空気案内ユニットを備え、該信号ユニットは、心軸の環状凹部に取り付けられ、内部にチューブの連接通路と連通する内部通路が形成され、該空気案内ユニットは、信号ユニットの内部通路と連通するように該信号ユニットの一端に取り付けられる、空気案内部材、を有する。
【0008】
かかる気動工具の信号発生器において、前記心軸はさらに、空気排出部と、空気進入部と、連接部を備え、該連接部は、空気排出部と空気進入部との間に設けられ、前記貫設穴は、心軸の軸方向に沿って空気排出部、空気進入部、連接部を貫通するように形成され、前記環状凹部は、空気排出部と空気進入部との間かつ連接部の周囲に形成され、前記信号ユニットは、心軸の空気進入部に結合されることが好ましい。
【0009】
かかる気動工具の信号発生器において、前記空気進入部に挿設穴及び案内通路が形成され、該案内通路は、挿設穴及びチューブの連接通路と連通するように形成され、前記信号ユニットは、一端を介して挿設穴に結合され、案内通路及びチューブの連接通路と連通することが好ましい。
【0010】
かかる気動工具の信号発生器において、前記信号ユニットは、心軸の軸方向に沿って延出する組立端が設けられ、該心軸の軸方向と垂直する方向に沿って延出する連接端が設けられ、前記信号ユニットは、組立端を介して心軸の挿設穴に結合されることが好ましい。
【0011】
かかる気動工具の信号発生器において、前記空気排出部の下側に組合凹部が形成され、前記空気案内部材は、組合凹部に取り付ける位置決め部材を備え、前記信号ユニットに、固定端が心軸の軸方向に沿って凹設され、前記位置決め部材は、信号ユニットの固定端に結合されることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る気動工具の信号発生器は、上述した構成を有するため、以下の効果を提供する。
1.気動工具の押しボタンを押すと、気動工具に進入した圧縮空気の一部が、心軸の空気案内部材に流入して圧力信号を発生し、この圧力信号をカウンターや、圧力計などの部品に送信することにより、気動工具の押し回数または量を検知したり、トルクまたは圧力を調整したりする機能を提供する。
2.本発明は、既存の気動工具を使って信号を発生したり、伝送したりする機能を備えることから、他の電子部品や配線などを装着する必要がないので、構造が非常に簡単で、気動工具の体積及び重さが増加することもない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る気動工具の部分断面側面図である。
図2】本発明に係る気動工具の信号発生器の分解斜視図である。
図3】本発明に係る気動工具の信号発生器の断面図である。
図4】本発明に係る気動工具において、使用状態を示す部分拡大断面図である。
図5図4の部分拡大断面図である。
図6】既存の気動工具の部分断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る気動工具の信号発生器は、図1乃至図4に示すように、気動工具10の押しボタン12と連通するように、該気動工具10のチャンバー11に取り付けられ、チューブ20と、心軸30と、ピストン40と、空気案内部材50を有する。
【0015】
図1に示すように、前記気動工具10は、既存の気動工具であり、内部に斜め下方に延出するチャンバー11が形成され、該チャンバー11と連通する空気進入通路13及び空気排出通路14が形成される。
【0016】
図1及び図2に示すように、前記チューブ20は、気動工具10のチャンバー11に設置され、円筒状を呈し、一端に開口22が気動工具10の押しボタン12に向かって形成されると共に、他端に底部が設けられる連接通路21を備える。
前記チューブ20の外周面における開口22と反対する側に、2つの空気進入口23が間隔をおいて並列すると共に連接通路21と連通するように形成され、前記チューブ20の外周面における上下相対する両側にそれぞれ、連接通路21と連通する空気排出口24が形成される。前記チューブ20の外周面における開口22と空気排出口24との間に、制限溝部25が形成され、前記チューブ20における開口22と反対する側に、底部26が設けられ、該底部26に、連接通路21と連通するピン穴261が形成される。
【0017】
図1乃至図3に示すように、前記心軸30は、回動可能にチューブ20の連接通路21に設置され、円柱状を呈し、空気排出部31と、空気進入部32と、連接部33を備える。
該連接部33は、空気排出部31と空気進入部32との間に設けられ、前記心軸30の軸方向に沿って空気排出部31、空気進入部32、連接部33を貫通する貫設穴34が形成される。該空気排出部31と空気進入部32との間かつ連接部33の周囲に環状凹部35が形成され、該環状凹部35は、チューブ20の2つの空気排出口24に対応する。
【0018】
図2乃至図3に示すように、前記空気排出部31における制限溝部25に対応する箇所に、凹み部311が形成され、前記空気排出部31の下側に、円柱状の組合凹部312が形成され、前記空気進入部32における組合凹部312に対応する箇所に、挿設穴321及び、該挿設穴321と連通する案内通路322が形成される。前記空気進入部32における貫設穴34と連通する空気進入空間323が形成され、前記空気進入部32の上側に、該空気進入空間323と連通する空気流入穴324が形成される。該空気流入穴324は、チューブ20の2つの空気進入口23のいずれか1つと連通することにより、圧縮空気を案内することができる。
前記空気進入部32におけるピン穴261と対応する側に、案内溝部325が凹設される。前記心軸30の空気進入部32がチューブ20の底部26に当接するように組み合わされる。これによれば、ピン穴261からの圧縮空気が案内溝部325を介して案内通路322及び空気進入空間323に進入する。
【0019】
図1及び図2に示すように、前記ピストン40は、心軸30の貫設穴34に挿設され、一端が気動工具10の押しボタン12に連接され、他端が密封蓋41を介してチューブ20の底部を密封するように該チューブ20のピン穴261に貫設固定され、軸方向に沿って移動することにより、ピン穴261を密封して圧縮空気をチューブ20及び心軸30に流入することができなくなる。
【0020】
図2及び図3に示すように、前記空気案内部材50は、心軸30に回動可能に取り付けられ、位置決め部材51と、信号ユニット52と、空気案内ユニット53を備える。
該位置決め部材51は、組合凹部312に対応して密着するように、該組合凹部312に取り付けられ、ボルトであることが好ましい。該信号ユニット52は、位置決め部材51と同軸に空気進入部32の挿設穴321に取り付けられ、T字形の円柱体であり、心軸30の軸方向に沿って固定端521が凹設され、該固定端521と反対する端に組立端522が設けられ、該固定端521及び組立端522の間に、心軸30の軸方向と垂直する方向に沿って延出する連接端523が設けられ、該固定端521に、位置決め部材51と同軸の固定穴524が形成され、該組立端522及び連接端523の内部に、L字形の通路が形成されるが、該通路が固定端521の内部通路525と連通しない。
【0021】
該内部通路525における組立端522の一端が案内通路322と連通し、該信号ユニット52の組立端522が挿設穴321に結合され、該位置決め部材51が挿設穴321に設置されて固定穴524に螺合され、これによれば、信号ユニット52を環状凹部35に位置させる。
前記位置決め部材51により信号ユニット52を挿設穴321に移動して空気案内部材50の配置位置を調整する。前記空気案内ユニット53は、細長状の管体であり、一端が連接端523の内部通路525に挿設され、他段が気動工具10の空気排出通路14に延出する。
【0022】
本発明に係る気動工具の信号発生器の使用方法は、図3乃至図5に示すように、気動工具10は、圧縮空気を用いて稼動し、押しボタン12を押すと、ピストン40をチューブ20及び心軸30に沿って移動させ、ピストン40の密封蓋41がチューブ20から離れる。この時、圧縮空気が空気進入通路13からチャンバー11に進入して、一部の圧縮空気が案内溝部325に沿って案内通路322に進入して、信号ユニット52の内部通路525を通って空気案内ユニット53に進入する。この時、該一部の圧縮空気が空気案内ユニット53に進入して圧力信号を生じることから、気動工具10は、カウンターや、圧力計などの圧力信号を受信して気動工具10の作動状態を制御可能な装置を組み合せて、押し回数または量を計算したり、トルクまたは圧力を調整したりする機能を提供する。
例えば、気動工具10の押しボタン12を一回押すと、圧縮空気を空気案内部材50により送入して一回の圧力信号を生じると共に、カウンターも一回とカウントする。したがって、使用者が圧縮空気を用いて押し回数を計算することができ、他の電子部品または電子配線を設置する必要はないため、気動工具の体積及び重量も増加することはない。つまり、気動工具は、元々の構成を用いて、信号を生じて伝送することができる。
【符号の説明】
【0023】
10 気動工具
11 チャンバー
12 押しボタン
13 空気進入通路
14 空気排出通路
20 チューブ
21 連接通路
22 開口
30 心軸
31 空気排出部
312 組合凹部
32 空気進入部
321 挿設穴
322 案内通路
33 連接部
35 環状凹部
34 貫設穴
40 ピストン
41 密封蓋
52 信号ユニット
50 空気案内部材
52 信号ユニット
521 固定端
522 組立端
523 連接端
53 空気案内ユニット
【要約】
【課題】特に圧縮空気を用いて信号を発生することにより、気動工具を制御または調整するための信号発生器を提供する。
【解決手段】本発明にかかる気動工具の信号発生器は、気動工具の押しボタンと連通するようにチャンバーに取り付けられ、チューブと、心軸と、ピストンと、空気案内部材を有し、該チューブは、気動工具のチャンバーに取り付けられ、該心軸は、チューブに回動可能に設置され、該ピストンは、一端が気動工具の押しボタンに連接されると共に、他端がチューブの底部を密封するように心軸に移動可能に挿設され、該空気案内部材は、心軸に回動可能に取り付けられ、これによれば、気動工具の押しボタンを押すと、気動工具に進入した圧縮空気の一部が、心軸の空気案内部材に流入して圧力信号を発生し、この圧力信号をカウンターや、圧力計などの部品に送信することにより、気動工具の押し回数または量を検知することができる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6