特許第6573711号(P6573711)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6573711-排ガス浄化床下触媒及び触媒システム 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6573711
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】排ガス浄化床下触媒及び触媒システム
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/63 20060101AFI20190902BHJP
   B01J 35/04 20060101ALI20190902BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20190902BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20190902BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   B01J23/63 AZAB
   B01J35/04 301L
   B01D53/94 222
   B01D53/94 245
   B01D53/94 280
   F01N3/10 A
   F01N3/28 301Q
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-504402(P2018-504402)
(86)(22)【出願日】2017年2月28日
(86)【国際出願番号】JP2017007984
(87)【国際公開番号】WO2017154685
(87)【国際公開日】20170914
【審査請求日】2018年7月2日
(31)【優先権主張番号】特願2016-45608(P2016-45608)
(32)【優先日】2016年3月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000104607
【氏名又は名称】株式会社キャタラー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100170874
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122404
【弁理士】
【氏名又は名称】勝又 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】星野 将
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 伸
(72)【発明者】
【氏名】村脇 啓介
【審査官】 西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−220100(JP,A)
【文献】 特表2000−502602(JP,A)
【文献】 特開2015−085241(JP,A)
【文献】 特開2016−112489(JP,A)
【文献】 特開2011−125839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00−38/74
B01D 53/86−53/90
B01D 53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下層及び上層を有する触媒層を含み、
前記下層は、アルミナ及びCeOを含有し、下層における貴金属の含有量が下層質量に対して0.5質量%以下であり、
前記上層は、Rh、アルミナ、及びCeOを含有し、Rh以外の貴金属の含有量が上層に含有される貴金属の合計に対して1モル%以下であり、
前記下層及び上層に含有される合計のCeO量が14g/L〜30g/Lであり、
前記上層に含有されるCeO量が7g/L〜25g/Lであり
前記下層に含有されるCeO量が、前記上層に含有されるCeO量の20%以上であり、
前記触媒層が、基材上のコート層であり、
前記下層のコート長さが、ガス流れ方向に対して後方から基材長さの50%〜85%であり、
前記上層のコート長さが、ガス流れ方向に対して前方から基材長さの70%以上であり、かつ、
基材長さの15%〜50%の範囲で前記上層が基材上に直接コートされている領域を有することを特徴とする、
排ガス浄化床下触媒。
【請求項2】
前記上層が基材上に直接コートされている領域の長さが、基材長さの30%以上の範囲である、請求項1に記載の排ガス浄化床下触媒。
【請求項3】
前記上層が基材上に直接コートされている領域の長さが、基材長さの40%以下の範囲である、請求項1又は2に記載の排ガス浄化床下触媒。
【請求項4】
前記上層のコート長さが、ガス流れ方向に対して前方から基材長さの80%以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の排ガス浄化床下触媒。
【請求項5】
前記下層が、アルカリ土類金属の硫酸塩を更に含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の排ガス浄化床下触媒。
【請求項6】
前記下層における前記アルカリ土類金属の硫酸塩の含有量が、前記下層中のアルミナ及びCeOの合計質量に対して、5質量%以上100質量%以下である、請求項5に記載の排ガス浄化床下触媒。
【請求項7】
基材と、該基材上のPdを含むコート層と、を有する前段触媒、及び
請求項1〜6のいずれか一項に記載の床下触媒
から構成されることを特徴とする、
排ガス浄化触媒システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス浄化床下触媒及び触媒システムに関する。詳しくは、排ガス浄化触媒システムにおけるスイーパーとして機能する床下触媒、及び該床下触媒を用いる触媒システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の排ガスを処理する排ガス浄化触媒としては、無機酸化物に貴金属を担持させた三元触媒が知られている。三元触媒は、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NO)、及び一酸化炭素(CO)を同時に効率よく除去できる触媒として、広く用いられている。
【0003】
三元触媒に代表される排ガス浄化触媒における活性成分となる貴金属としては、酸化活性に優れ、主としてHC及びCOの浄化に寄与する白金(Pt)及びパラジウム(Pd)と、還元活性に優れ主としてNOの浄化に寄与するロジウム(Rh)と、が組み合わせて用いられることが多い。
【0004】
近年は、特にNOに対する規制が益々厳しくなっている。そのため、NOの浄化活性に優れるRhの重要性が増大してきている。Rhは、産出量が少なく、高価でもある。そのため、排ガス浄化触媒においても、Rhの使用量はできる限り削減することが望ましい。
【0005】
ところで、自動車の排ガス浄化触媒を排ガスの流路中に2個以上設置して、排ガス浄化を多段階で行う形式が多く採用されている。この場合、触媒中に含有される複数種の貴金属は、それぞれ、その触媒活性、耐久性等を考慮したうえで、多段階触媒のうちの最適の箇所に配置されることになる。このことによって、貴金属の効果的な使用態様を確保し、触媒システムトータルの排ガス浄化能の最適化を図るのである。
【0006】
このような多段階触媒は、排ガスの流路に対して、上流側に配置される前段触媒(スタートアップ触媒、以下「S/C触媒」)と下流側に配置される後段触媒(自動車の床下に配置されることが多いことから「床下触媒」とも称される。)との2段階とされることが多い。このような2段階の排ガス浄化触媒としては、例えば特許文献1〜3の技術が知られている。
【0007】
特許文献1では、上流側にRhと、Pd又はPtとを含む触媒層が配置され、下流側に貴金属としてRhのみを含む触媒層が配置された排ガス浄化触媒において、下流側触媒におけるRh量と該触媒層のコート長さとを規定することにより、A/F変動条件下で耐久後にもNO浄化性能が高く維持されると説明されている。
【0008】
特許文献2では、下流側に酸素吸蔵能を有する第1三元触媒が配置され、上流側にRhを含む第2三元触媒が配置された排ガス浄化触媒において、前記第2三元触媒の酸素吸蔵能を制限することにより、内燃機関の再始動時等において、燃費悪化の抑制とNO浄化性能とが両立されると説明されている。
【0009】
特許文献3では、上流側に貴金属としてRhのみを含む触媒が配置され、下流側に酸化活性を有する触媒が配置された排ガス浄化触媒を使用した場合に、触媒入りガスと触媒出ガスとを比較して噴射燃料値を変化させることにより、空燃比を最適化して高いNO浄化性能が得られると説明されている。
【0010】
更に、触媒における貴金属種をRhのみに限定した技術として、特許文献4が知られている。
【0011】
なお、従来、上記のような排ガス浄化触媒における触媒層は、それ自体は排ガス浄化能を持たない基材上、例えばコージェライト製ハニカム基材上に形成されていた。しかし近年、無機酸化物粒子から構成される基材に、貴金属が担持された排ガス浄化触媒が提案されている(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2012−096201号公報
【特許文献2】特開2008−240622号公報
【特許文献3】特開2006−205134号公報
【特許文献4】特開2009−255084号公報
【特許文献5】特開2015−85241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
排ガス浄化触媒を、特にターボ車における触媒排気システムにおいて使用する場合には、エンジンから触媒までの距離は自然吸気車に比べて遠くなる。従って、エンジン始動後、触媒温度が上昇するまでに一定の時間を要することとなる。そのため、このような場合に使用される触媒には、エンジン始動直後の排ガスをできるだけ早く浄化できる状態にするウォームアップ性能が求められる。また、2段階触媒における後段触媒(床下触媒)には、S/C触媒で浄化しきれなかった排ガス成分を浄化するスイーパー機能が求められる。
【0014】
上記ウォームアップ性能を向上するために、例えば、使用する貴金属のうちの多くをS/C触媒に配置することが考えられる。しかしそうすると、床下触媒に配置される貴金属量が必然的に少なくなるから、スイーパー性能は低下する。
【0015】
従来公知の触媒構成によると、ウォームアップ性能とスイーパー性能とが両立された触媒システムは知られていない。
【0016】
本発明は、上記の状況を改善しようとするものである。その目的は、必要最低限の貴金属種及び量によって高度のスイーパー性能を発現することができる床下触媒、及び該床下触媒を用いることによってウォームアップ性能とスイーパー性能とが両立された触媒システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、以下の構成によって上記の課題を達成するものである。
【0018】
[1] 下層及び上層を有する触媒層を含み、
前記下層は、アルミナ及びCeOを含有し、下層における貴金属の含有量が下層質量に対して0.5質量%以下であり、
前記上層は、Rh、アルミナ、及びCeOを含有し、Rh以外の貴金属の含有量が上層に含有される貴金属の合計に対して1モル%以下であり、
前記下層及び上層に含有される合計のCeO量が14g/L〜30g/Lであり、
前記上層に含有されるCeO量が7g/L〜25g/Lであり、そして
前記下層に含有されるCeO量が、前記上層に含有されるCeO量の20%以上であることを特徴とする、
排ガス浄化床下触媒。
【0019】
[2] 前記触媒層が、基材上のコート層である、[1]に記載の排ガス浄化床下触媒。
【0020】
[3] 前記下層のコート長さが、ガス流れ方向に対して後方から基材長さの50%以上であり、
前記上層のコート長さが、ガス流れ方向に対して前方から基材長さの70%以上である、
[2]に記載の床下触媒。
【0021】
[4] 前記下層のコート長さが、ガス流れ方向に対して後方から基材長さの50%〜85%であり、
基材長さの15%〜50%の範囲で前記上層が基材上に直接コートされている領域を有する、
[3]に記載の床下触媒。
【0022】
[5] 前記下層が基材の一部を構成し、前記上層が前記基材上のコート層である、[1]に記載の排ガス浄化床下触媒。
【0023】
[6] 前記上層のコート長さが、ガス流れ方向に対して前方から基材長さの70%以上である、[5]に記載の床下触媒。
【0024】
[7] 基材と、該基材上のPdを含むコート層と、を有する前段触媒、及び
[1]〜[6]のいずれか一項に記載の床下触媒
から構成されることを特徴とする、
排ガス浄化触媒システム。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、第1に、必要最低限の貴金属種及び量によって高度のスイーパー性能を発現することができる床下触媒が提供される。この床下触媒は、スイーパー性能を発揮するために必要な貴金属の種類及び量が少なくてよいから、S/C触媒により多くの貴金属を配置することを可能とする。
【0026】
従って本発明によって、第2に、S/C触媒と上記の床下触媒とを組み合わせた触媒システムが提供される。このシステムは、従来技術におけるよりも多くの種類及び量の貴金属をS/C触媒に配置することができるため、ウォームアップ性能とスイーパー性能とが両立されている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明の触媒システムの構成を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の床下触媒及び触媒システムについて、詳しく説明する。
【0029】
<床下触媒>
本発明の床下触媒は、下層及び上層を有する触媒層を含む。
【0030】
[基材]
本発明の床下触媒は、基材を有していてよい。本発明の床下触媒における触媒層は、これとは別の基材上のコート層として存在していてよく、又は触媒層のうちの下層が基材の一部を構成し、上層が該基材上のコート層として存在していてよい。
【0031】
本発明の床下触媒における基材としては、排ガス浄化用触媒の基材として一般に使用されているものを使用することができる。例えば、モノリスハニカム基材を挙げることができる。この基材は、床下触媒部分のみがモノリス構造となっていてもよいし、床下触媒と後述の前段触媒とを包含するモノリス構造であってもよい。
【0032】
基材を構成する材料としては、例えばコージェライト、SiC、ステンレス鋼、金属酸化物粒子等を挙げることができる。基材の容量は、例えば1L程度とすることができる。
【0033】
下層が基材の一部を構成する場合には、該基材が以下の下層の要件を満たしていればよい。
【0034】
[触媒層]
本発明の床下触媒における触媒層は下層及び上層を有する。
【0035】
前記下層は、アルミナ及びCeOを含有し、下層における貴金属の含有量が下層質量に対して1質量%以下であり、
前記上層は、Rh、アルミナ、及びCeOを含有し、Rh以外の貴金属の含有量が上層に含有される貴金属の合計に対して1質量%以下である。
【0036】
−下層−
本発明の床下触媒における触媒層の下層は、アルミナ及びCeOを含有する。しかしながらこの下層は貴金属を実質的に含有しない。下層が貴金属を実質的に含有しないとは、下層における貴金属の含有量が下層質量に対して0.5質量%以下であることを意味する。下層における基金属の含有量は、下層質量に対して、好ましくは0.3質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以下であり、更に好ましくは0.01質量%以下であり、特に好ましくは貴金属を含有しないことである。
【0037】
(アルミナ)
触媒層の下層に含有されるアルミナのBET比表面積は、10m/g以上であることが好ましく、50m/g以上であることがより好ましく、100m/g以上であることが更に好ましく;
1,000m/g以下であることが好ましく、500m/g以下であることがより好ましく、250m/g以下であることが更に好ましい。
【0038】
アルミナの平均粒子径は、0.001μm以上であることが好ましく、0.02μm以上であることがより好ましく、0.1μm以上であることが更に好ましく;
200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、25μm以下であることが更に好ましい。
【0039】
(CeO
上記CeOは、CeOの単独粒子として下層に含有されていてもよいし、Ce(セリウム)と他の金属元素とを含有する複合酸化物の粒子として下層に含有されていてもよい。CeOは複合酸化物の形態にあることが好ましい。他の金属元素としては、例えば、Zr(ジルコニウム)、希土類元素(ただし、Ceを除く。以下、Ceを除く希土類元素を総称するときに記号[Ln」を用いることがある。)等を挙げることができる。Ceを除く希土類元素としては、例えば、Y(イットリウム)、La(ランタン)、Pr(プラセオジム),Nd(ネオジム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユーロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Er(エルビウム)、Yb(イッテルビウム)、Lu(ルテチウム)等を挙げることができ、これらのうち、Y、La、Pr、Nd、及びEuから選択される1種以上が好ましい。
【0040】
上記複合酸化物としては、好ましくは、CeとZr(ジルコニウム)とを含有するセリア−ジルコニア複合酸化物(以下、「CZ系複合酸化物」)であることが好ましい。
【0041】
このCZ系複合酸化物は、
Zr及びCeと、Ceを除く希土類元素とを含む複合酸化物であることが好ましく;
Zr及びCeと、Y、La、Pr、Nd、及びEuから選択される1種以上の希土類元素と、を含む複合酸化物であることが好ましい。
【0042】
本発明の床下触媒におけるCeOは、下記の組成のCZ系複合酸化物に含有される形態で触媒層の下層に含まれることが好ましい。以下における各金属元素の割合は、該CZ系複合酸化物の全質量を100質量%としたときの酸化物換算値である。
Ce:CeO換算値として1質量%以上90質量%以下
Zr:ZrO換算値として90質量%以下
Ceを除く希土類元素:Ln換算値として1質量%以上20質量%以下
【0043】
ただし、上記において、ZrO換算のZrの含有量とCeO換算のCeの含有量との合計は、CZ系複合酸化物の全質量を100質量%としたときに、80質量%以上である。
【0044】
CZ系複合酸化物の全質量を100質量%としたときの、上記CeO換算のCeの含有量は、5質量%以上がより好ましく、15質量%以上が更に好ましく、特に好ましくは25質量%以上であり;
80質量%以下がより好ましく、70質量%以下が更に好ましく、特に好ましくは60質量%以下である。
【0045】
CZ系複合酸化物の全質量を100質量%としたときの、上記ZrO換算のZrの含有量は、2質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましく、特に好ましくは20質量%以上であり;
85質量%以下がより好ましく、75質量%以下が更に好ましく、特に好ましくは60質量%以下である。
【0046】
CZ系複合酸化物の全質量を100質量%としたときの、上記Ln換算のCeを除く希土類元素の含有量は、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましく、特に好ましくは8質量%以上であり;
18質量%以下がより好ましく、15質量%以下が更に好ましく、特に好ましくは12質量%以下である。
【0047】
触媒層の下層に含有されるCeO粒子又はCZ系複合酸化物粒子のBET比表面積は、10m/g以上であることが好ましく、50m/g以上であることがより好ましく、100m/g以上であることが更に好ましく;
1,000m/g以下であることが好ましく、500m/g以下であることがより好ましく、250m/g以下であることが更に好ましい。
【0048】
触媒層の下層に含有されるCeO粒子又はCZ系複合酸化物粒子の平均粒子径は、0.001μm以上であることが好ましく、0.02μm以上であることがより好ましく、0.1μm以上であることが更に好ましく;
200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、25μm以下であることが更に好ましい。
【0049】
(下層におけるアルミナとCeOとの使用割合)
本発明の床下触媒における触媒層の下層中の、アルミナとCeOとの使用割合としては、これらの合計に対するアルミナの質量割合として、例えば5質量%以上であることができ、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが更に好ましく、40質量%以上であることが特に好ましく;
例えば95質量%以下であることができ、90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることが更に好ましく、75質量%以下であることが特に好ましい。下層におけるアルミナの割合をこの範囲に設定することにより、下層に有意量のCeOが分配配置されることが担保される。そしてこのことにより、上層のRhのNO浄化性能を維持しつつ、Rhの触媒活性の維持(又は回復)に必要な雰囲気緩和性を確保することができ、好ましい。
【0050】
CeOが複合酸化物に含まれる形態で下層に含有される場合、上記のアルミナとCeOとの使用割合を算出する場合のCeOの質量としては、該複合酸化物の質量を採用する。
【0051】
(その他の成分)
本発明の床下触媒における触媒層の下層は、技術上の必要に応じて、上記のアルミナ及びCeO以外の成分を含有していてもよい。このようなその他の成分としては、例えば、バインダー、遷移金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、希土類化合物等を挙げることができる。
【0052】
上記バインダーは、成分同士の間、及び各成分と基材又は他の層との間を接着して、本発明の床下触媒における触媒層に機械的強度を付与する機能を有する。このようなバインダーとしては、例えば、アルミナゾル、ジルコニアゾル、シリカゾル、チタニアゾル等を挙げることができる。
【0053】
本発明の床下触媒中の触媒層の下層におけるバインダーの使用割合は、下層の全質量を100質量%としたときに、20質量%以下とすることが好ましく、10質量%以下とすることがより好ましい。この値の下限値は任意であるが、例えば0.5質量%以上とすることができる。
【0054】
上記遷移金属としては、例えば、ニッケル、銅、マンガン、鉄、コバルト亜鉛等を挙げることができる。これらのうち、ニッケルを併用すると、硫化水素の生成を抑制する効果が得られる。アルカリ金属化合物としては、例えば、カリウム化合物、リチウム化合物等が挙げられ;アルカリ土類金属化合物としては、例えば、カルシウム化合物、バリウム化合物、ストロンチウム化合物等が挙げられ;希土類化合物としては、例えば、酸化ランタン、酸化プラセオジム、酸化ネオジム等が挙げられる。これらは、得られる触媒の耐熱性を向上する効果がある。
【0055】
本発明の床下触媒中の触媒層の下層は、上記のうち、アルカリ土類金属の硫酸塩を含有することが、上層Rhの酸化物状態の安定化が抑制される観点から好ましい。アルカリ土類金属の硫酸塩としては、硫酸バリウム及び硫酸ストロンチウムから選択して使用することが好ましい。下層におけるアルカリ土類金属硫酸塩の含有量は、アルミナとCeOとの合計質量に対して、5質量%以上とすることが好ましく、10質量%以上とすることがより好ましく、15質量%以上とすることが更に好ましく;
100質量%以下とすることが好ましく、50質量%以下とすることがより好ましく、30質量%以下とすることが更に好ましい。
【0056】
(下層の量)
下層が基材上のコート層である場合、この下層の量は、基材容量1L当たりの下層の質量として、10g/L以上とすることが好ましく、25g/L以上とすることがより好ましく、50g/L以上とすることが更に好ましく、特に75g/L以上とすることが好ましく;
1,000g/L以下とすることが好ましく、500g/L以下とすることがより好ましく、300g/L以下とすることが更に好ましく、特に200g/L以下とすることが好ましい。
【0057】
−上層−
本発明の床下触媒における触媒層の上層は、Rh、アルミナ、及びCeOを含有し、Rh以外の貴金属の含有量が上層に含有される貴金属の合計に対して1モル%以下である。アルミナ及びCeOを含有し、これら以外に貴金属としてRhのみを含有する。
【0058】
この上層は、排ガス浄化触媒に通常使用される、Rh以外の貴金属、典型的にはPd及びPt、を実質的に含有しない。Rh以外の貴金属を「実質的に含有しない」とは、これらの貴金属元素の含有量が、上層に含有される前記金属の1モル%以下であることをいい、好ましくは0.5モル%以下、より好ましくは0.1モル%以下、更に好ましくは0.05モル%以下の場合である。0モル%であることが最も好ましい。
【0059】
(アルミナ及びCeO
上層に含有されるアルミナ及びCeOとしては、下層に含有されるアルミナ及びCeOとして上記に説明したのと同様のものを好ましく使用することができる。
【0060】
(上層におけるアルミナとCeOとの使用割合)
本発明の床下触媒における触媒層の上層中の、アルミナとCeOとの使用割合としては、これらの合計に対するアルミナの質量割合として、例えば5質量%以上であることができ、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが特に好ましく;
例えば90質量%以下であることができ、80質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることが特に好ましい。上層におけるアルミナの割合をこの範囲に設定することにより、上層に有意量のCeOが存在することとなる。このことにより、Rhの高いNO除去性能を維持しつつ、雰囲気緩和効果を発現することができることとなり、好ましい。
【0061】
CeOが複合酸化物に含まれる形態で上層に含有される場合、上記のアルミナとCeOとの使用割合を算出する場合のCeOの質量としては、該複合酸化物の質量を採用する。
【0062】
(Rh)
本発明の床下触媒における触媒層の上層は、上記のアルミナとCeOとともに、Rhを含有する。このRhは、アルミナ及びCeOのうちの少なくとも一方に担持されている。
【0063】
Rhは、粒子状で存在することが好ましい。この場合、Rh粒子の平均粒子径は、0.001nm以上であることが好ましく、0.01nm以上であることがより好ましく、0.1nm以上であることが更に好ましく;
250nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、25nm以下であることが更に好ましい。
【0064】
本発明の床下触媒中の上層におけるRhの含有量(担持量)は、アルミナ及びCeOの合計の質量に対して、0.001質量%以上であることが好ましく、0.005質量%以上であることがより好ましく、0.01質量%以上であることが更に好ましく、0.05質量%以上であることが特に好ましく;
5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましく、0.5質量%以下であることが特に好ましい。本発明の床下触媒は、その上層に含有されるRh量を、0.5質量%以下、更には0.3質量%以下、特に0.1質量%以下に制限した場合でも、高度のスイーパー性能を発現することができるとの利点を有する。
【0065】
(その他の成分)
本発明の床下触媒における触媒層の上層は、技術上の必要に応じて、上記のアルミナ、CeO、及びRh以外の成分を含有していてもよい。ここで使用可能なその他の成分は、下層におけるその他の成分として上記した成分と同様である。
【0066】
(上層の量)
上層の量は、基材容量1L当たりの上層質量として、10g/L以上とすることが好ましく、25g/L以上とすることがより好ましく、50g/L以上とすることが更に好ましく、特に75g/L以上とすることが好ましく;
1,000g/L以下とすることが好ましく、500g/L以下とすることがより好ましく、300g/L以下とすることが更に好ましく、特に200g/L以下とすることが好ましい。
【0067】
[下層及び上層の構成]
(CeOの総量)
本発明の床下触媒において、前記下層及び上層に含有されるCeO量の合計は、14g/L〜30g/Lである。この範囲の量とすることにより、Rhの高いNO浄化性能と良好な雰囲気緩和性を両立することができる。この値は、好ましくは16g/L以上であり、より好ましくは18g/L以上であり、更に好ましくは20g/L以上であり;
好ましくは28g/L以下であり、より好ましくは27g/L以下であり、更に好ましくは26g/L以下である。
【0068】
CeOが複合酸化物に含まれる形態で触媒層に含有される場合、上記のCeO量とは、該複合酸化物に含まれるCe原子の量の酸化物換算値である。
【0069】
(CeOの分配)
本発明の排ガス浄化触媒に含有されるCeOは、上層及び下層に分配されて含有される。CeOを上下層に分配して配置することにより、上層に存在するRhの還元性能を損なうことなく、雰囲気の緩和を実現することができるのである。
【0070】
上述の合計量から成るCeOのうち、上層には7g/L〜25g/Lが含有される。一般に、貴金属と近接して存在するCeOは、低温領域においても酸素貯蔵能を発現する。従って、Rhとともに上層に含有されるCeOは、7g/L以上あれば十分なウォームアップ性能が発現する。一方で、上層に含有されるCeOが25g/L以下であれば、Rhの還元性能を損なうことがない。上層のCeO含量は、好ましくは8g/L以上であり、より好ましくは10g/L以上であり、更に好ましくは12.5g/L以上であり;
好ましくは22.5g/L以下であり、より好ましくは20g/L以下であり、更に好ましくは17.5g/L以下である。
【0071】
上述の合計量から成るCeOのうち、下層には、上層に含有されるCeO量の20%以上が含有される。下層のCeO量が上層CeO量の20%以上であることにより、Rhの還元性能を向上することができる。下層のCeO量は、上層CeO量に対して、25%以上であることが好ましく、30%以上であることが好ましく、特に好ましくは40%以上であり;
80%以下であることが好ましく、70%以下であることが好ましく、特に好ましくは60%以下である。
【0072】
(触媒層の長さ)
触媒層における下層が、基材上のコート層である場合、この下層は、基材長さ(ガス流れ方向に対する基材の長さ)の全部に形成されていてもよいし、基材長さのうちの一部にのみ形成されていてもよい。上層は、基材長さの全部に形成されていてもよいし、基材長さのうちの一部にのみ形成されていてもよい。
【0073】
上記において、基材長さの全部とは、基材上において、触媒層を形成すべき領域として予定されている部分の長さを意味し、触媒層を外気から遮断するためのフタの部分、触媒システムを排気経路に繋ぎ込むためのジョイント部分等の、通常は触媒層形成に関らない部分を含む長さではない。
【0074】
以下、上層及び下層を有する触媒層が、これとは別の基材上のコート層である場合と、下層が基材の一部を構成し、上層が該基材上のコート層として存在する場合と、に分けて、上層及び下層のコート長さについて説明する。
【0075】
−触媒層が基材上のコート層である場合−
この場合、上層及び下層それぞれの機能を有効に発現するために、下層のコート長さは基材長さの50%以上とすることが好ましく、上層のコート長さは基材長さの70%以上とすることが好ましい。
【0076】
本発明の好ましい態様では、触媒層における下層のコート長さをガス流れ方向に対して後方から基材長さの100%未満の値として前方に下層が形成されない領域を残すとともに、上層を前方からコートすることにより、基材の前方に、下層を有さずに上層のみが形成された領域を具備することが好ましい。基材上に下層を有さずに上層のみを有する領域を触媒の前方に配置するのは、以下の理由による。
【0077】
下層を有さない領域では、上層に含有されるRh当たりのCeOの量が相対的に少ない。そうすると、例えば燃料遮断後の再加速時等において、少ない還元剤によってRhを活性な還元状態に戻すことができることとなる。従って、そのような領域を触媒の前方に配置することが、本発明の床下触媒のスイーパー性能をより向上する観点から好ましいのである。
【0078】
上記の観点から、下層のコート長さは、ガス流れ方向に対して後方から基材長さの50%以上とすることが好ましく、60%以上とすることがより好ましく、70%以上とすることが更に好ましい。この値の上限値は任意であるが、好ましくは85%以下とすることである。
【0079】
上層のコート長さは、上記のとおり、ガス流れ方向に対して前方から基材長さの70%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上であり、更に好ましくは90%以上であり、特に好ましくは90%以上であり、100%であってもよい。
【0080】
基材上に下層を有さず、上層が基材上に直接コートされている領域の長さは、基材の長さに対して、15%以上とすることが好ましく、30%以上とすることがより好ましく;
50%以下とすることが好ましく、40%以下とすることがより好ましい。
【0081】
―下層が基材の一部を構成し、且つ上層が基材上のコート層として存在する場合―
この場合、上層のコート長さは、ガス流れ方向に対して前方から基材長さの70%以上とすることができる。
【0082】
[床下触媒の製造方法]
本発明の床下触媒は、上記のような触媒層を有するものである限り、どのような方法によって製造されたものであってもよい。本発明の床下触媒の製造方法としては、以下のいずれかの方法を例示することができる。
【0083】
(第1の製造方法)
基材を準備すること、並びに
該基材上に、アルミナ及びCeOを含有する下層と、Rh、アルミナ、及びCeOを含有する上層とを順次に形成して触媒層とすること
を含む方法。
【0084】
(第2の製造方法)
アルミナ及びCeOを含む原料混合物を焼成して、下層である基材を形成すること、並びに
前記基材上に、Rh、アルミナ、及びCeOを含有する上層を形成して、下層である基材及び上層を有する触媒層とすること
を含む方法。
【0085】
本発明の第1の製造方法によると、基材上に触媒層を有する床下触媒が得られる。第2の製造法によると、下層が基材の一部を構成し、該基材上に上層を有する床下触媒が得られる。
【0086】
上記いずれの方法においても、下層における貴金属の含有量、上層におけるRh以外の貴金属の含有量、並びに下層及び上層のそれぞれに含有されるCeO量は、得られる床下触媒が本発明所定の範囲内となるように調節されてよい。
【0087】
以下、上記第1及び第2の製造方法について順次に説明する。
【0088】
1.第1の製造方法
第1の製造方法における基材としては、床下触媒が有すべき所望の基材を選択して用いることができる。例えば上述したような、コージェライト、金属酸化物粒子等から構成されるモノリスハニカム基材である。
【0089】
下層及び上層の形成は、それぞれ、下層用又は上層用のスラリーを調製し、該スラリーを、基材上、又は該基材上に形成された下層上に塗布し、必要に応じて乾燥した後、焼成する方法により、行うことができる。
【0090】
(下層の形成)
基体上に下層を形成するために用いる下層用スラリーは、アルミナ及びCeO、並びに必要に応じて使用されるその他の成分(特にアルカリ土類金属の硫酸塩)を、所望の割合で含有する。上記CeOは、これが下層に含有される形態に応じて、例えばCZ系複合酸化物の形態として、スラリーに含有されていてよい。下層用スラリーの溶媒は例えば水である。
【0091】
スラリーの塗布方法としては、例えば、ディップ法、流し込み法等の公知の方法を制限なく採用することができる。スラリーの塗布後、必要に応じて乾燥工程を行ってもよい。この工程は、例えば60〜300℃、好ましくは120〜250℃の温度において、例えば5〜120分、好ましくは10〜60分加熱する方法によることができる。
【0092】
焼成における加熱温度は、例えば300℃を越え1,000℃以下とすることができ、好ましくは400℃〜1,000℃である。加熱時間は、例えば0.1〜10時間とすることができ、好ましくは0.5〜5時間である。
【0093】
(上層の形成)
基材上、又は該基材上に形成された下層上に上層を形成するために用いる上層用スラリーは、アルミナ及びCeOの他にRh前駆体を含有し、更に、必要に応じて使用されるその他の成分を含有する。上層用スラリーにおけるCeOの形態については、下層用スラリーの場合と同様である。上層用スラリーの溶媒は例えば水である。
【0094】
Rh前駆体としては、水溶性のRh塩を好適に使用することができる。具体的には、例えば、硝酸ロジウム、塩化ロジウム、塩化ロジウムナトリウム、塩化ロジウム五アミン、カルボニルアセチルロジウム等を挙げることができるが、水溶性の観点から、硝酸ロジウムが好ましい。
【0095】
本発明における上層の形成は、上記の上層用スラリーを使用する以外は、下層の形成と同様にして行うことができる。
【0096】
2.第2の製造方法
第2の製造方法における、下層である基材の形成は、基材を構成する金属酸化物粒子の一部又は全部として、アルミナ及びCeOを含む酸化物粒子を用い、これらを原料として、例えば特許文献5に記載の方法に準じて行うことができる。
【0097】
この場合、該基材は、具体的には例えば、本発明所定のアルミナ及びCeOを含む酸化物粒子に、水及びバインダーを加えて得られる原料混合物を焼成することにより、得ることができる。原料混合物は、混錬した後に、所定の形状に押出成形されてよく、焼成に先立って乾燥を行ってもよい。
【0098】
得られた基材上に、次いで、Rh、アルミナ、及びCeOを含有する上層を形成する。基材上への上層の形成は、上記第1の製造方法における上層の形成と同様に行われてよい。
【0099】
以上の操作により、下層である基材及び上層を有する、本発明の床下触媒が得られる。
【0100】
[本発明の床下触媒の利点]
以上説明してきたような本発明の床下触媒は、基材上に、貴金属としてRhのみが配置された上層と、Rhを有さない下層とを有し、酸素貯蔵排出能を有するOSC材としてのCeOを上層と下層とに分割配置したものである。このような構成により、Rhの還元反応性が向上されているから、少ない量のRhによっても極めて高いスイーパー性能を示す。
【0101】
従って、本発明の床下触媒は、活性貴金属としてPdを含有する前段触媒と組み合わせた排ガス浄化触媒システムとして、好適に適用することができる。
【0102】
<排ガス浄化触媒システム>
本発明の排ガス浄化触媒システムは、
基材と、該基材上のPdを含むコート層と、を有する前段触媒、及び
上記に説明した本発明の床下触媒
から構成されることが好ましい。
【0103】
[前段触媒]
本発明の排ガス浄化触媒システムにおける前段触媒は、上記のとおり、基材と、該基材上のPdを含むコート層と、を有することが好ましい。このコート層は、Pdの他に、担体粒子及び必要に応じてその他の成分を含有することができる。
【0104】
上記担体粒子としては、金属酸化物粒子を好適に使用することができる。具体的には、例えば、アルミナ、チタニア、希土類元素の酸化物、CZ(セリア−ジルコニア複合酸化物)等、及びこれらの混合物等から成る粒子を挙げることができる。
【0105】
前段触媒における上記その他の成分としては、例えば、バインダー、遷移金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、希土類化合物等を挙げることができる。これらのうち、アルカリ土類金属の硫酸塩を含有することが好適である。
【0106】
このような前段触媒は、所望の成分又はその前駆体を用いて、公知の方法によって製造することができる。
【0107】
[本発明の排ガス浄化触媒システムの利点]
本発明の排ガス浄化触媒システムは、活性貴金属としてPdを含有する前段触媒と、少ない量のRhによって極めて高いスイーパー性能を示す本発明の床下触媒と、を具備する。本発明の床下触媒に配置される貴金属(Rh)量は、極めて少なくてもよいから、その分、前段触媒に多くの貴金属を配置することができることとなる。
【0108】
本発明の排ガス浄化触媒システムは、以上のような構成をとることによって、ウォームアップ性能とスイーパー性能とを、ともに高度なレベルで発現することができるのである。
【実施例】
【0109】
以下の触媒調製例における基材としては、容量:1Lのモノリスハニカム基材を使用した。
【0110】
<スタートアップ触媒の調製>
調製例F1
(1)触媒F1P(下層コート品)の調製
CeO/ZrO/La/Nd=20/70/5/5(質量比)の組成を有するCZ複合酸化物50g(CeO換算10g)、Al:50g、硫酸バリウム(酸化物換算値として20g)、及び硝酸パラジウム(Pd金属換算値として3g)をイオン交換水:300gに混合し、ボールミルを用いて湿式粉砕して、下層用スラリーを得た。このスラリーを、モノリスハニカム基材上に、該基材全長の100%(100mm)の領域に固形物換算値として123gコートし、250℃において1時間乾燥した後、500℃において1時間焼成することにより、触媒F1P(下層コート品)を調製した。
【0111】
(2)触媒F1(上層コート品)の調製
次に、上記と同じ組成のCZ複合酸化物:75g(CeO換算15g)、Al:25g、及び硝酸ロジウム(Rh金属換算値として0.1g)をイオン交換水:300gに混合し、ボールミルを用いて湿式粉砕して、上層用スラリーを得た。このスラリーを、上記触媒F1P上に、該触媒全長の100%(100mm)の領域に固形物換算値として100.1gコートし、250℃において1時間乾燥した後、500℃において1時間焼成することにより、触媒F1(上層コート品)を調製した。
【0112】
調製例F2
上記調製例F1の「(1)触媒F1P(下層コート品)の調製」において、硝酸パラジウムの使用量をPd金属換算値として2gとし、コート量を122gとした以外は調製例F1と同様の手順により、触媒F2を調製した。
【0113】
<後段触媒(床下触媒)の調製>
調製例R1(比較調製例)
上記調製例F1の「(1)触媒F1P(下層コート品)の調製」において、硝酸パラジウムの使用量をPd金属換算値として1g(コート後の下層質量に対して0.83質量%に相当)とし、コート量を121gとした以外は調製例F1と同様の手順により、触媒R1を調製した。
【0114】
調製例R2(比較調製例)
CeO/ZrO/La/Nd=20/70/5/5(質量比)の組成を有するCZ複合酸化物:125g(CeO換算25g)、Al:75g、硫酸バリウム(酸化物換算値として20g)、及び硝酸ロジウム(Rh金属換算値として0.1g)をイオン交換水:300gに混合し、ボールミルを用いて湿式粉砕して、スラリーを得た。このスラリーを、モノリスハニカム基材上に、該基材全長の100%の(100mm)の領域に固形物換算値として220.1gコートし、250℃において1時間乾燥した後、500℃において1時間焼成することにより、触媒R2(単層コート品)を調製した。
【0115】
調製例R3〜R13
下層用スラリー及び上層用スラリーの組成及びコート量、並びに両層のコート長さを、それぞれ、表1に記載のとおりとした他は上記調製例F1と同様にして、触媒R3〜R13を調製した。調製例R4、R7、及びR9は比較調製例である。
【0116】
【表1】
【0117】
<触媒の評価>
(1)先ず、本発明の排ガス浄化触媒の典型的な一例について、その効果の実証実験を行った。
【0118】
[実施例1]
図1に示したモノリスハニカム触媒システムの前段に触媒F1を、後段に触媒R3を、それぞれ装着した。触媒床(1インチ)の内温を1,000℃に設定し、燃料増量及び燃料遮断によって空燃費を11〜∞(無限大)の範囲内で一定周期で変化させながら、15万km走行相当分の耐久を行った。
【0119】
上記耐久後の触媒システムを、ターボチャージャーを搭載した排気量1.6Lの実機車両に取り付け、シャシーダイナモメータ上でNEDCモード走行を行い、HC及びNOの排出量(mg/km)を計測した。その結果を表2に示した。
【0120】
[比較例1及び2]
前段触媒及び後段触媒を、それぞれ、表2に記載のとおりとした他は上記実施例1と同様に触媒の評価を行った。評価結果は表2に示した。
【0121】
【表2】
【0122】
表2における実施例1と、下層に有意量の貴金属(Pd)を含有する比較例1及び単層構成の比較例2との比較により、触媒システムにおける後段触媒として本発明の床下触媒を使用することにより、NO除去性能が向上することが検証された。これは、酸素貯蔵排出能を有するOSC材としてのCeOを、Rhを含有する上層と、貴金属を実質的に含有しない下層とに分割したことにより、Rhの還元反応性を向上したことに起因するものと推察される。
【0123】
実施例1と比較例1との比較からは、更に、本発明の床下触媒により、NO除去性能を高いレベルに維持しつつ、HC除去性能が向上されたことが理解される。本発明の触媒におけるCeOの量及び配置により、床下触媒としてのNO除去性能はPd不存在下でも発現することが可能になるとともに、床下触媒において不要となったPdを前段触媒に配置することにより、HC除去性能が向上したものと推察される。
【0124】
(2)次に、下層及び上層にそれぞれ含有されるCeO量の影響を調べた。
【0125】
[実施例2〜4及び比較例3〜5]
前段触媒及び後段触媒を、それぞれ、表3に記載のとおりとした他は上記実施例1と同様に触媒の評価を行った。評価結果は、実施例1の結果とともに表3に示した。
【0126】
【表3】
【0127】
上記表3における実施例1〜4と比較例3及び5とを比較すると、両層合計のCeO量としては、14g/L以上30g/L以下の範囲が良好な結果を与えることが分かった。この合計CeO量が前記範囲を外れると、NO除去性能が低下する。これは、合計CeO量が不足すると雰囲気緩和が不十分となり、合計CeO量が過大であるとRhの還元反応が阻害されるためであると考えられる。
【0128】
しかしながら、比較例4を参照すると、合計CeO量が上記の範囲内であっても下層のCeO量が不足すると、NO除去性能に劣ることが分かった。これは、下層CeO量が不十分であるため、OSC材を両層に分割することによるRhの還元促進が十分に発揮されないためであると考えられる。下層CeO量は上層CeO量の20%以上とすることが好ましい。
【0129】
(3)次に、基材上に上層が単層となる領域を設定することの効果を検証した。
【0130】
[実施例5〜8]
前段触媒及び後段触媒を、それぞれ、表4に記載のとおりとした他は上記実施例1と同様に触媒のを行った。評価結果は、実施例1の結果とともに表4に示した。
【0131】
【表4】
【0132】
実施例1と実施例7とを比較すると、下層のコート長さを80%として、全長の20%の長さにわたって上層が単層となる領域を設定することにより、NO除去性能が更に向上した。これは、部分的にCeO量が少なくなったためにRhの還元反応が優先的に進行する部分が生成し、一方で両層合計のCeO量が同等であることから、2層部分において十分な雰囲気緩和が実現されたためであると考えられる。ただし、上層が単層となる領域の長さが大きい場合(実施例8)、及び上層自体の長さが短い場合(実施例5及び6)には、上層が単層となる領域を設定することの効果は発現せず、NO除去性能の更なる向上は見られない。これは、ガス量の多い部分における浄化が不十分になるためであると考えられる。このような見地から、上層が単層となる領域の長さは基材長さの50%以下とすることが好ましく、上層の長さは基材長さの70%以上とすることが好ましい。
図1