(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6573714
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】メンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接システム、メンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接装置のガイド固定構造、及びメンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接装置のガイド構造
(51)【国際特許分類】
B23K 9/00 20060101AFI20190902BHJP
B23K 9/02 20060101ALI20190902BHJP
B63B 25/16 20060101ALI20190902BHJP
B23K 37/02 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
B23K9/00 501L
B23K9/02 S
B63B25/16 103
B23K37/02 D
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-509571(P2018-509571)
(86)(22)【出願日】2016年4月27日
(65)【公表番号】特表2018-525231(P2018-525231A)
(43)【公表日】2018年9月6日
(86)【国際出願番号】KR2016004400
(87)【国際公開番号】WO2017034121
(87)【国際公開日】20170302
【審査請求日】2018年2月19日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0117941
(32)【優先日】2015年8月21日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517430897
【氏名又は名称】デウ シップビルディング アンド マリン エンジニアリング カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】パク,ソン ウ
(72)【発明者】
【氏名】カン,ジュン ギョ
【審査官】
奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開平6−269940(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2015−0067313(KR,A)
【文献】
特開平10−034384(JP,A)
【文献】
仏国特許出願公開第2983751(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/00−9/32
B23K 37/02
B63B 25/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1防壁であるコルゲートメンブレンシートを備える断熱層において、前記断熱層の長さ方向と幅方向のそれぞれにアンカーストリップが配置され、両アンカーストリップの交差部分に固定用溝を有する交差アンカーストリップが配置され、
前記固定用溝の内に垂直サポートが固定設置され、前記垂直サポートを連結する位置に溶接ガイドが設置され、自動溶接装置が前記溶接ガイドに沿って移動しながら互いに隣接する前記コルゲートメンブレンシートの角部分を溶接する
ことを特徴とするメンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接システム。
【請求項2】
前記自動溶接装置によって互い隣接する前記コルゲートメンブレンシートの角部分が重ね溶接方式で溶接されることを特徴とする請求項1に記載のメンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接システム。
【請求項3】
前記固定用溝に雌ネジが、前記垂直サポートの下端部に雄ネジがそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1に記載のメンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接システム。
【請求項4】
前記垂直サポートの下端部に、前記固定用溝の内に挿入回転した後に引っかかる形態の構造を有することを特徴とする請求項1に記載のメンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接システム。
【請求項5】
前記固定用溝は非貫通である形態を維持することを特徴とする請求項1に記載のメンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接システム。
【請求項6】
前記自動溶接装置は、
前記溶接ガイドが挿入されるレール部を有する溶接装置本体;
前記溶接装置本体の移動のために前記レール部に設置される移動ホイール;
前記溶接装置本体の上部で水平方向に回転可能に設置される水平方向回転体;
前記水平方向回転体の上部でX軸及びY軸の周りに回転可能に設置されるX軸Y軸回転体;
一端に前記X軸Y軸回転体が接続され、他端にトーチ及び溶接場を認知するセンサが設置される関節アーム;及び
前記移動ホイールを駆動させるホイール駆動部;
を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のメンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接システム。
【請求項7】
前記関節アームはヒンジで連結される2段関節で構成され、前記関節は伸縮可能な構造で構成されることを特徴とする請求項6に記載のメンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接システム。
【請求項8】
第1防壁であるコルゲートメンブレンシートを備える断熱層において、前記断熱層の長さ方向と幅方向のそれぞれにアンカーストリップが配置され、両アンカーストリップの交差部分に固定用溝を有する交差アンカーストリップが設置され、前記固定用溝に垂直サポートが固定設置され、前記垂直サポートに自動溶接装置の移動をガイドする溶接ガイドが設置されることを特徴とするメンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接装置のガイド固定構造。
【請求項9】
第1防壁であるコルゲートメンブレンシートを備える断熱層において、前記断熱層の長さ方向と幅方向のそれぞれにアンカーストリップが配置され、両アンカーストリップの交差部分に固定用溝を有する交差アンカーストリップが設置され、前記固定用溝に垂直サポートが固定設置され、前記垂直サポートに自動溶接装置の移動をガイドする溶接ガイドが設置され、前記溶接ガイドは前記断熱層の直上方で前記断熱層の長さ方向と幅方向に配置されることを特徴とするメンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシート自動溶接装置のガイド構造。
【請求項10】
前記固定用溝に雌ネジが、前記垂直サポートの下端部に雄ネジがそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項9に記載のメンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接装置のガイド構造。
【請求項11】
前記垂直サポートの下端部に、前記固定用溝の内に挿入回転した後に引っかかる形態の構造を有することを特徴とする請求項9に記載のメンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接装置のガイド構造。
【請求項12】
前記固定用溝は非貫通である形態を維持することを特徴とする請求項9に記載のメンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接装置のガイド構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接に関する。より具体的には、コルゲートメンブレンシートの溶接時、コルゲートメンブレンシートが設置される断熱パネルの上面に付着される長さ方向と幅方向のアンカーストリップの交差部分にて固定用溝を有する交差アンカーストリップを設置し、前記固定用溝を活用して自動溶接装置を支持して自動溶接装置の移動をガイドする溶接ガイドの設置が可能になることで、コルゲートメンブレンシートの自動溶接を安定的に行うことができる、メンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接システム、メンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接装置のガイド固定構造、及びメンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接装置のガイド構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、天然ガスは、陸上若しくは海上のガス配管を通じてガス状態で運搬されるか、又は液化された液化天然ガス(LNG)の状態でLNG輸送船に貯蔵され、遠距離輸送される。
【0003】
LNGは天然ガスを約−163℃の極低温に冷却して得られるものであり、ガス状態に比べて体積が約1/600まで減るため、海上を通じた遠距離輸送に非常に適している。
【0004】
LNGを積載して海上を運航して陸上需要先にLNGを荷役するためのLNG輸送船や、LNGを積載して海上を運航して陸上需要先に到着した後に貯蔵されたLNGを再気化させて天然ガスの状態で荷役するLNG RV(regasification vessel)などは、液化天然ガスの極低温に耐える貯蔵タンク(通常、「貨物倉」という)を備える。
【0005】
最近、LNG FPSO(floating、production、storage and offloading)やLNG FSRU(floating storage and regasification unit)などの浮遊式海洋構造物の需要が段々増加し、これらの浮遊式海洋構造物にも、LNG輸送船やLNG RVに設置された貯蔵タンクが備えられる。
【0006】
LNG FPSOは、生産した天然ガスを海上で直接液化させて貯蔵タンク内に貯蔵し、必要に応じて前記貯蔵タンク内に貯蔵されたLNGをLNG輸送船に移し載せるために使用される浮遊式海洋構造物である。
【0007】
LNG FSRUは、陸上から遠く離れた海上でLNG輸送船から荷役されるLNGを貯蔵タンクに貯蔵した後、必要に応じてLNGを気化させて陸上需要先に供給する浮遊式海洋構造物である。
【0008】
このように、LNGなどの液体貨物を海上で輸送又は保管するLNG輸送船、LNG RV、LNG FPSO、LNG FSRUなどの海上構造物内にはLNGを極低温状態で貯蔵する貯蔵タンクが設置される。
【0009】
貯蔵タンクは、貨物の荷重が断熱材に直接的に作用するか否かによって、独立タンク型(independent tank)とメンブレン型(membrane type)に分類される。
【0010】
通常、メンブレン型貯蔵タンクは、GTT NO96型とTGZ MarkIII型に分けられ、独立型の貯蔵タンクはMOSS型とIHI−SPB型に分けられる。
【0011】
メンブレン型貯蔵タンクは、特殊金属板の種類によって断熱材及び構造が異なり、GTT NO96型はインバー鋼(invar、鉄とニッケルが主成分の合金であり、熱膨張率が非常に小さい)製の薄板を利用し、MARK III型はステンレス鋼製の薄板を利用する。
【0012】
GTT NO96型の貯蔵タンクは、0.5〜1.5mmの厚さのインバー鋼からなる第1防壁及び第2防壁と、プライウッドボックス(plywood box)と、パーライト(perlite)等からなる第1絶縁壁及び第2断熱壁が船体の内部で交互に積層されて設置される。
【0013】
GTT NO96型は、第1防壁及び第2防壁がほぼ同様の液密性と強度を有するため、第1防壁の漏洩があった場合、第2防壁のみで相当長い時間にわたって貨物を安全に保持することができる。
【0014】
GTT NO96型の断熱システムは、インバー鋼(36%ニッケル鋼)、パーライト及びプライウッドから形成された断熱ボックスが2層で積層して構成される。プライウッドは断熱ボックスの材料である。
【0015】
従来の液化天然ガス運搬船の貨物倉における断熱層構造の下記の図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、従来の液化ガス運搬船の貨物倉を示す斜視図である。
図2は、従来の液化ガス運搬船の貨物倉における断熱層構造を示す断面図である。
図3は、互いに隣接するコルゲートメンブレンシートの角部分の溶接を示す平面図である。
【0017】
図1及び
図2に示したように、従来の液化ガス運搬船の貨物倉における断熱層構造は、第2断熱パネル(secondary insulation panel)10、第1断熱パネル(first insulation panel)20、フラットジョイント(flat joint)30、トップブリッジパネル(top bridge panel)40、コルゲートメンブレンシート(corrugation membrane sheet)50を含む複数の単位断熱パネルアセンブリ(unit insulation panel assemble)1が連続配置される。
【0018】
第2断熱パネル10は、エポキシマスチック(epoxy mastic)3及びスタッドボルト(stud bolt)11によってタンク内壁(inner hull)2に固定設置される。
【0019】
単位断熱パネルアセンブリ1を連続配置したときに向かい合う第2断熱パネル10の間の空間にフラットジョイント30が設置され、前記空間が密閉され、2次断熱機能を得る。
【0020】
第2断熱パネル10は、強化ポリウレタンフォーム(reinforced−polyurethane foam)で形成され、その上面にリジッドトリプレックス(第2防壁)(rigid triplex,RSB:rigid secondary barrier)12が設置される。
【0021】
第1断熱パネル20は、ソーイングライン(sawing line)21、アンカーストリップ(anchor strip)23、熱保護板(thermal protection)24を備え、第2断熱パネル10の上部に設置される。
【0022】
単位断熱パネルアセンブリ1を連続配置したときに向かい合う第1断熱パネル20の間の空間にトップブリッジパネル40が設置され、前記空間が密閉され、1次断熱機能を得る。
【0023】
第1断熱パネル20は、強化ポリウレタンフォームで形成され、上部にプライウッドを備えることができる。固定ベースサポート22は第1断熱パネル20に複数形成される。
【0024】
アンカーストリップ23は、ステンレス鋼(stainless steel)製であり、リベットRで第1断熱パネル20に固定される。
【0025】
アンカーストリップ23は、断熱層の長さ方向に配置されるアンカーストリップ23aと、断熱層の幅方向に配置されるアンカーストリップ23bとから構成される。
【0026】
フラットジョイント30は、単位断熱パネルアセンブリ1を連続配置するときに向かい合う第2断熱パネル10の間の空間に設置され、2次断熱機能を得る。フラットジョイント30はグラスウールから形成される。
【0027】
トップブリッジパネル40は、第2断熱パネル10の上部とフラットジョイント30の上部に設置されたフレキシブルトリプレックス(flexible triplex)13の上部に付着される。
【0028】
コルゲートメンブレンシート50は、アンカーストリップ23によって、第1断熱パネル20とトップブリッジパネル40の上部に固定される。
【0029】
コルゲートメンブレンシート50は、上面と下面に凹凸のエンボス形状を有することができる。
【0030】
上述のように構成される従来の液化ガス運搬船における断熱層構造に関しては、約−163℃の極低温の液化ガスを海上で移送するので、液化ガス運搬船の貨物倉の設計には断熱性能、構造性能、気密性などの様々な高度技術が必要である。その中でメンブレン型液化ガス運搬船の貨物倉は、液化ガスの気密のために上部断熱パネル20の上部にコルゲートメンブレンシート50を溶接して気密性を維持する。
【0031】
また、
図3に示すように、従来の液化ガス運搬船の貨物倉における断熱層構造では、互いに隣接するコルゲートメンブレンシート51〜54の溶接時には、アンカーストリップに点溶接(仮溶接)でコルゲートメンブレンシート51〜54を一時固定した後、隣接するコルゲートメンブレンシート51〜54の角部分を互いに重ねた状態で重ね溶接方式(overlap)で溶接して気密を維持する。
【0032】
しかし、コルゲートメンブレンシート51〜54を溶接するための自動溶接機を固定する固定構造はこれまでにほとんどなく、固定構造がある場合にはコルゲートメンブレンシート51〜54を自動溶接する時に自動溶接装置の固定が脆弱であり、特に貨物倉の上部と側面部の溶接時に自動溶接装置の自重で固定が不安定となり、作業性と安定性に問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
本発明は、前述した問題点を解決するためになされたものであり、コルゲートメンブレンシートの溶接時、コルゲートメンブレンシートが設置される断熱パネルの上面に付着される長さ方向と幅方向のアンカーストリップの交差部分にて固定用溝を有する交差アンカーストリップを設置し、前記固定用溝を活用して自動溶接装置を支持して自動溶接装置の移動をガイドする溶接ガイドの設置が可能になることで、コルゲートメンブレンシートの自動溶接を安定的に行うことができる、メンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接システム、メンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接装置のガイド固定構造、及びメンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接装置のガイド構造を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0034】
本発明は、メンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接システム、メンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接装置のガイド固定構造、及びメンブレン型液化ガス貨物倉のコルゲートメンブレンシートの自動溶接装置のガイド構造を提供する。
【0035】
本発明のメンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接システムは、第1防壁であるコルゲートメンブレンシートを備える断熱層において、前記断熱層の長さ方向と幅方向のそれぞれにアンカーストリップが配置され、両アンカーストリップの交差部分に固定用溝を有する交差アンカーストリップが配置され、前記固定用溝の中に垂直サポートが固定設置され、前記垂直サポートを連結する位置に溶接ガイドが設置され、自動溶接装置が前記溶接ガイドに沿って移動しながら互いに隣接する前記コルゲートメンブレンシートの角部分を重ね溶接方式で溶接する。
【0036】
前記自動溶接装置は、前記溶接ガイドが挿入されるレール部を有する溶接装置本体;前記溶接装置本体の移動のために前記レール部に設置される移動ホイール;前記溶接装置本体の上部で水平方向に回転可能に設置される水平方向回転体;前記水平方向回転体の上部でX軸及びY軸の周りに回転可能に設置されるX軸Y軸回転体;一端に前記X軸Y軸回転体が接続され、他端にトーチ及び溶接場を認知するセンサが設置される関節アーム;及び前記移動ホイールを駆動させるホイール駆動部を備える。
【0037】
前記関節アームはヒンジで連結される2段関節で構成され、前記関節は伸縮可能な構造で構成される。
【0038】
前記自動溶接装置によって互いに隣接する前記コルゲートメンブレンシートの角部分は重ね溶接方式で溶接される。
【0039】
また、本発明のメンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接装置のガイド固定構造は、第1防壁であるコルゲートメンブレンシートを備える断熱層において、前記断熱層の長さ方向と幅方向のそれぞれにアンカーストリップが配置され、両アンカーストリップの交差部分に固定用溝を有する交差アンカーストリップが設置され、前記固定用溝に垂直サポートが固定設置され、前記垂直サポートに自動溶接装置の移動をガイドする溶接ガイドが設置される。
【0040】
さらに、本発明のメンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接装置のガイド構造は、第1防壁であるコルゲートメンブレンシートを備える断熱層において、前記断熱層の長さ方向と幅方向のそれぞれにアンカーストリップが配置され、両アンカーストリップの交差部分に固定用溝を有する交差アンカーストリップが設置され、前記固定用溝に垂直サポートが固定設置され、前記垂直サポートに自動溶接装置の移動をガイドする溶接ガイドが設置され、前記溶接ガイドは前記断熱層の直上方で前記断熱
層の長さ方向と幅方向に配置される。
【発明の効果】
【0041】
本発明のコルゲートメンブレンシートの自動溶接システムは、1次断熱層又は2次断熱層の上部にコルゲートメンブレンシートを設置する場合の両方に適用することができる。
【0042】
また、従来のアンカーストリップ構造から交差アンカーストリップのみを代替すれば安定的な自動溶接の溶接ガイド経路を形成することができ、メンブレン型液化ガス貨物倉の断熱システムの設置位置に関係なく同じ自動溶接条件を実現することができる。
【0043】
さらに、溶接ガイドの着脱が容易であり、交差アンカーストリップの中心部分は、別の仕上げ処理がなくても防壁(barrier)の役割をすることができ、また、断熱層及びメンブレンを設置した後、その上部に追加断熱層を設置する時に固定溝を垂直サポートの固定点として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】従来の液化ガス運搬船の貨物倉を示す斜視図である。
【
図2】従来の液化ガス運搬船の貨物倉における断熱層構造を示す断面図である。
【
図3】従来の互いに隣接するコルゲートメンブレンシートの角部分の溶接を示す平面図である。
【
図4】本発明に係るメンブレン型液化ガス貨物倉を示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る交差アンカーストリップを示す斜視図である。
【
図7】本発明の他の実施形態に係る交差アンカーストリップを示す斜視図である。
【
図9】本発明の他の実施形態に係る交差アンカーストリップを示す斜視図である。
【
図10】本発明に係る溶接ガイドの一実施形態とその設置を示す斜視図である。
【
図11】本発明に係る溶接ガイドの他の実施形態とその設置を示す斜視図である。
【
図14】互いに隣接するコルゲートメンブレンシートの角部分の溶接を示し、交差アンカーストリップの中央部に設置された垂直サポートが干渉しないことを示す平面図である。
【
図15】本発明に係る自動溶接装置の設置の一実施形態を示す斜視図である。
【
図16】本発明に係る自動溶接装置の一実施形態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明のメンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接システムは、第1防壁であるコルゲートメンブレンシートを備える断熱層において、前記断熱層の長さ方向と幅方向のそれぞれにアンカーストリップが配置され、両アンカーストリップの交差部分に固定用溝を有する交差アンカーストリップが配置され、前記固定用溝の中に垂直サポートが固定設置され、前記垂直サポートを連結する位置に溶接ガイドが設置され、自動溶接装置が前記溶接ガイドに沿って移動しながら互いに隣接する前記コルゲートメンブレンシートの角部分を重ね溶接方式で溶接する。
【0046】
前記自動溶接装置は、前記溶接ガイドが挿入されるレール部を有する溶接装置本体;前記溶接装置本体の移動のために前記レール部に設置される移動ホイール;前記溶接装置本体の上部で水平方向に回転可能に設置される水平方向回転体;前記水平方向回転体の上部でX軸及びY軸の周りに回転可能に設置されるX軸Y軸回転体;一端に前記X軸Y軸回転体が接続され、他端にトーチ及び溶接場を認知するセンサが設置される関節アーム;及び前記移動ホイールを駆動させるホイール駆動部を備える。
【0047】
前記関節アームはヒンジで連結される2段関節で構成され、前記関節は伸縮可能な構造で構成される。
【0048】
前記自動溶接装置によって互いに隣接する前記コルゲートメンブレンシートの角部分は重ね溶接方式で溶接される。
【0049】
以下、添付図面を参照して本発明に係るメンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接システム、メンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接装置のガイド固定構造、及びメンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接装置のガイド構造について詳細に説明する。
【0050】
図4は、本発明に係るメンブレン型液化ガス貨物倉を示す斜視図である。
図5は、本発明の一実施形態に係る交差アンカーストリップを示す斜視図である。
図6は、
図5のA−A線の断面図である。
図7は、本発明の他の実施形態に係る交差アンカーストリップを示す斜視図である。
図8は、
図7のB−B線の断面図である。
図9は、本発明の他の実施形態に係る交差アンカーストリップを示す斜視図である。
【0051】
メンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接システムは、第2断熱パネル、第2防壁、第1断熱パネル、及び第1防壁であるコルゲートメンブレンシートを備える2次断熱層への適用、又は第1断熱パネル及び第1防壁であるコルゲートメンブレンシートを備える1次断熱層への適用が可能である。
【0052】
例えば、メンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接システムは、コルゲートメンブレンシートを溶接する時に、コルゲートメンブレンシート110(111〜114,
図10参照)が設置される第1断熱パネル20の上面にその長さ方向と幅方向に付着されるアンカーストリップ121,122の交差部分に固定用溝123aを有する交差アンカーストリップ123を設置し、固定用溝123aを活用し、自動溶接装置200(
図15参照)を支持し、移動をガイドする溶接ガイド140(
図10参照)の設置を可能にする。こうすることによって、コルゲートメンブレンシート110(111〜114)の自動溶接を安定的に行うことができる。
【0053】
このように、メンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接システムでは、断熱層の長さ方向にアンカーストリップ121が配置され、前記断熱層の幅方向にアンカーストリップ122が配置され、アンカーストリップ121,122が交差する部分に固定用溝123aを有する交差アンカーストリップ123が配置される。
【0054】
交差アンカーストリップ123の中心部には固定用溝123aが形成され、交差アンカーストリップ123の周縁部には第1断熱パネル20の上面に交差アンカーストリップ123をリベットR(
図6参照)で固定するための固定ホール123bが形成されている。
【0055】
交差アンカーストリップ123は、
図5及び
図6に示すように、前記断熱層の長さ方向に配置されるアンカーストリップ121と前記断熱増の幅方向に配置されるアンカーストリップ122とに向かい合い接するように配置することも、また、
図7及び
図8に示すように、段差をつけて互いに重ね合わせて配置することもできる。
【0056】
図9に示すように、段差は、一方向又は両方向に形成可能であり、図示してないが、アンカーストリップ121,122により形成することも可能である。
【0057】
図10は、本発明に係る溶接ガイドの一実施形態とその設置を示す斜視図である。
図11は、本発明に係る溶接ガイドの他の実施形態とその設置を示す斜視図である。
【0058】
図10及び
図11に示すように、固定用溝123aの中に自動溶接支持台の役割をする垂直サポート130が設置され、垂直サポート130を連結する位置に溶接ガイド140が設置される。
【0060】
図12に示すように、固定用溝123aに雌ネジを、垂直サポート130(
図10参照)の下端部に雄ネジをそれぞれ形成し、締結する構造を採用するか、
図13に示すように、垂直サポート130(
図10参照)の下端部に、固定用溝123a内に挿入回転した後に引っかかる形態(push−and−flip)の構造を採用することができる。いずれの構造においても、固定用溝123aが貫通しない形態を維持して液化ガスの漏洩を防止する。
【0061】
図14は、互いに隣接するコルゲートメンブレンシートの角部分の溶接を示し、交差アンカーストリップの中央部に設置された垂直サポートが干渉しないことを示す平面図である。
図15は、本発明に係る自動溶接装置の設置の一実施形態を示す斜視図である。
【0062】
図14及び
図15に示すように、自動溶接装置200が溶接ガイド140に沿って移動しながら互いに隣接するコルゲートメンブレンシート110(111〜114)の角部分を重ね溶接方式で溶接する。
【0063】
コルゲートメンブレンシート110(111〜114)は一般的に四角形であり、4つの頂点は予め面取りされた形態であるため、互い隣接するコルゲートメンブレンシート110(111〜114)の角部分が重ね溶接方式で溶接されても交差アンカーストリップ123の中央部に設置される垂直サポート130は干渉しない。
【0064】
面取りされた4つの頂点は交差アンカーストリップ123と溶接され、交差アンカーストリップ123の固定用溝123aは非貫通であるため、コルゲートメンブレンシート110(111〜114)が交差アンカーストリップ123の中心部を覆わなくてもコルゲートメンブレンシート110(111〜114)と同じ防壁(barrier)形態を維持することができる。また、交差アンカーストリップ123の固定用溝123aは溶接後に別の措置をしなくても良く、追加断熱層を設置する時に垂直サポートの固定点として活用することができる。
【0065】
図16は、本発明に係る自動溶接装置の一実施形態を示す側面図である。
【0066】
図16を参照して、自動溶接装置200は、溶接装置本体210、移動ホイール220、水平方向回転体230、X軸Y軸回転体240、関節アーム250、及びホイール駆動部260を備える。
【0067】
溶接装置本体210は、溶接ガイド140が挿入されるレール部211を有する。レール部211は四角形のチャネル形状で構成することができる。
【0068】
移動ホイール220は、溶接装置本体210の移動のためにレール部211に設置され、ホイール駆動部260は移動ホイール220を駆動させる。ホイール駆動部260はモータを備える。
【0069】
水平方向回転体230は、垂直軸231を中心に水平方向に回転ができるように溶接装置本体210の上部に設置される。
【0070】
X軸Y軸回転体240は、水平方向回転体230の上部にX軸及びY軸の周りに回転可能に設置される。
【0071】
関節アーム250の一端はX軸Y軸回転体240に連結され、関節アーム250の他端にはトーチ270と溶接場を認知するセンサ280が設置される。
【0072】
関節アーム250はヒンジ251で連結される2段関節で構成され、各関節は伸縮可能な構造で構成することができる。その一例として、二重管構造が例示される。
【0073】
なお、
図16には示してないが、関節アーム250は、溶接場の位置及び溶接姿勢に応じてトーチ270を動かす多自由度回転関節構造で構成され、電源装置などを備える。
【0074】
メンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接装置のガイド固定構造では、第1防壁であるコルゲートメンブレンシート110(111〜114)を備える断熱層において、前記断熱層の長さ方向と幅方向に配置されるアンカーストリップ121,122の交差部分に固定用溝123aを有する交差アンカーストリップ123が設置され、固定用溝123aには自動溶接支持台の役割をする垂直サポート130が固定設置され、垂直サポート130には自動溶接装置200の移動をガイドする溶接ガイド140が設置される。溶接ガイド140は垂直サポート130に一体に形成することもできる。
【0075】
また、メンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接装置のガイド構造では、第1防壁であるコルゲートメンブレンシート110(111〜114)を備える断熱層において、前記断熱層の長さ方向と幅方向に配置されるアンカーストリップ121,122の交差部分に固定用溝123aを有する交差アンカーストリップ123が設置され、固定用溝123aには垂直サポート130が固定設置され、垂直サポート130には自動溶接装置200の移動をガイドする溶接ガイド140が設置され、溶接ガイド140は、前記断熱層の直上方で前記断熱層の長さ方向と幅方向に配置される。
【0076】
前出の通りのメンブレン型液化ガス貨物倉におけるコルゲートメンブレンシートの自動溶接システムでは、交差アンカーストリップ123の固定用溝123a内に垂直サポート130の下端部を固定し、垂直サポート130の上端部は溶接ガイド140を支持する。自動溶接装置200を溶接ガイド140に設置し、溶接ガイド140に沿って自動溶接装置200を移動させながら第1防壁であるコルゲートメンブレンシート110(111〜114)の角部分を溶接する。
【0077】
コルゲートメンブレンシート110(111〜114)は、一般的に四角形態であり、4つの頂点は予め面取りされた形態であり、互いに隣接するコルゲートメンブレンシート110(111〜114)の角部分が重ね溶接方式で溶接されても交差アンカーストリップ123の中央部に設置される垂直サポート130は干渉しない。
【0078】
面取りされた4つの頂点は交差アンカーストリップ123と溶接され、交差アンカーストリップ123の固定用溝123aは非貫通であるため、コルゲートメンブレンシート110(111〜114)が交差アンカーストリップ123の中心部を覆わなくてコルゲートメンブレンシート110(111〜114)と同じ防壁(barrier)形態を維持することができる。交差アンカーストリップ123の固定用溝123aは溶接後に別の措置がなくても防壁機能を維持する。
【0079】
自動溶接装置200は、ホイール駆動部260を駆動させて移動ホイール220を回転させると、移動ホイール220と溶接ガイド140の摩擦接触によって移動する。自動溶接装置200では、関節アーム250はヒンジ251で連結される2段又は多関節であり、X軸方向、Y軸方向、水平方向に回転可能である。また、センサ280は溶接場を認知し、トーチ270を用いて溶接作業を行うことができる。ここで、X軸、Y軸とは、例えば、
図16の紙面に垂直な方向、平行な方向として設定することができる。X軸及びY軸の周りの回転のためにユニバーサルジョイント構造を採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上説明したように、本発明のコルゲートメンブレンシートの自動溶接システムは、1次断熱層はもちろん、2次断熱層の上部にコルゲートメンブレンシートを設置する場合にも適用することができる。
【0081】
また、従来のアンカーストリップ構造から交差アンカーストリップのみを交換すれば、安定的な自動溶接の溶接ガイド経路を形成することができ、液化ガス貨物倉の断熱システムの設置位置に関係なく同じ自動溶接条件を実現することができる。
【0082】
また、溶接ガイドの着脱が容易であり、交差アンカーストリップの中心部分は、別の仕上げ処理がなくても防壁(barrier)の役割をすることができ、また、断熱層及びメンブレンの設置後、その上部に追加断熱層を設置する時に固定溝を垂直サポートの固定点として使用することができる。