(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6573718
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】マルチキャリアシナリオにおけるアップリンク電力割り当て技法のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
H04W 52/30 20090101AFI20190902BHJP
H04W 52/14 20090101ALI20190902BHJP
H04W 52/02 20090101ALI20190902BHJP
【FI】
H04W52/30
H04W52/14
H04W52/02 130
【請求項の数】24
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-516832(P2018-516832)
(86)(22)【出願日】2016年9月29日
(65)【公表番号】特表2018-536326(P2018-536326A)
(43)【公表日】2018年12月6日
(86)【国際出願番号】IB2016055842
(87)【国際公開番号】WO2017056040
(87)【国際公開日】20170406
【審査請求日】2018年4月20日
(31)【優先権主張番号】62/236,236
(32)【優先日】2015年10月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100161399
【弁理士】
【氏名又は名称】大戸 隆広
(74)【代理人】
【識別番号】100166660
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 晴人
(74)【代理人】
【識別番号】100170667
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩次
(74)【代理人】
【識別番号】100188879
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 未央子
(72)【発明者】
【氏名】メディナ アコスタ、ヘラルド アグニ
(72)【発明者】
【氏名】ラーソン、エリク
(72)【発明者】
【氏名】ホーガン、ビリー
(72)【発明者】
【氏名】アンデション、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】シ、ニアンシャン
【審査官】
野村 潔
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2015/116866(WO,A1)
【文献】
国際公開第2010/091417(WO,A1)
【文献】
特開2015−109714(JP,A)
【文献】
特開2014−064315(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/107360(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワーク内で動作するユーザ機器(UE)においてアップリンク(UL)電力割り当てを制御するための方法であって、
前記UEにおける使用のために、少なくとも第1のUL電力割り当て技法と第2のUL電力割り当て技法との間で電力割り当て技法を選択すること(400)と、
選択される前記電力割り当て技法を前記UEにおいて用いて、アップリンクデータが送信される少なくとも2つのキャリアの間で送信電力を割り当てることにより前記アップリンクデータを送信すること(402)と、
を含み、
前記UEがデュアルバンドデュアルセル高速アップリンクパケットアクセス(DB−DC−HSUPA)モードで動作しており且つ第2のキャリアがアクティブである場合において、サービンググラントが予め決定される閾値を下回るときに前記第2のUL電力割り当て技法が選択され、そうではないときに前記第1のUL電力割り当て技法が選択される、方法。
【請求項2】
通信ネットワーク内で動作するユーザ機器(UE)においてアップリンク(UL)電力割り当てを制御するための方法であって、
前記UEにおける使用のために、少なくとも第1のUL電力割り当て技法と第2のUL電力割り当て技法との間で電力割り当て技法を選択すること(400)と、
選択される前記電力割り当て技法を前記UEにおいて用いて、アップリンクデータが送信される少なくとも2つのキャリアの間で送信電力を割り当てることにより前記アップリンクデータを送信すること(402)と、
を含み、
前記UEがデュアルバンドデュアルセル高速アップリンクパケットアクセス(DB−DC−HSUPA)モードで動作しており且つ第2のキャリアがアクティブである場合において、サービンググラントが予め決定される閾値を下回り且つ前記UEが電力的に限られているときに前記第2のUL電力割り当て技法が選択され、そうではないときに前記第1のUL電力割り当て技法が選択される、方法。
【請求項3】
前記第1のUL電力割り当て技法は、専用物理制御チャネル(DPCCH)の品質及び各キャリアについてのサービンググラントに基づいて決定される、パラレルスプリット電力割り当て法である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2のUL電力割り当て技法は、最良のキャリアから最悪のキャリアへ順に各キャリアについてのサービンググラントまで電力が割り当てられる、電力センシティブ電力割り当て方式である、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
選択される前記電力割り当て技法に少なくとも部分的に基づいて、データ割り当て方式が選択される、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
選択すべき前記UL電力割り当て技法の選択肢は、前記通信ネットワークから受信される、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記UL電力割り当て技法の前記選択は、前記UEにおいて行われる、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記UL電力割り当て技法の前記選択は、ネットワークにより構成されるパラメータ、2つのキャリアの間の専用物理制御チャネル(DPCCH)電力レベルにおける差異の関数、一方又は双方のキャリアについての絶対DPCCH電力レベルの関数、前記2つのキャリアの間のサービンググラントにおける差異の関数、前記2つのキャリアについての絶対サービンググラントの関数、前記UEにおける電力ステータスの関数、及び、ULキャリアに対応するDLキャリアについての測定されるダウンリンク(DL)品質の関数、のうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に基づく、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記予め決定される閾値は、前記通信ネットワークにより決定され、少なくとも1つの無線リソース制御(RRC)メッセージを介して前記UEへ通信される、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
アップリンク(UL)電力割り当てが制御される通信ネットワーク内のユーザ機器(UE)(502)であって、
前記UEにおける使用のために、少なくとも第1のUL電力割り当て技法と第2のUL電力割り当て技法との間で電力割り当て技法を選択する、ように構成されるプロセッサ(506)、
を備え、
前記プロセッサ(506)は、選択される前記電力割り当て技法を前記UEにおいて用いて、アップリンクデータが送信される少なくとも2つのキャリアの間で送信電力を割り当てることにより前記アップリンクデータを送信するように構成され、
前記UEがデュアルバンドデュアルセル高速アップリンクパケットアクセス(DB−DC−HSUPA)モードで動作しており且つ第2のキャリアがアクティブである場合において、サービンググラントが予め決定される閾値を下回るときに前記第2のUL電力割り当て技法が選択され、そうではないときに前記第1のUL電力割り当て技法が選択される、ユーザ機器。
【請求項11】
アップリンク(UL)電力割り当てが制御される通信ネットワーク内のユーザ機器(UE)(502)であって、
前記UEにおける使用のために、少なくとも第1のUL電力割り当て技法と第2のUL電力割り当て技法との間で電力割り当て技法を選択する、ように構成されるプロセッサ(506)、
を備え、
前記プロセッサ(506)は、選択される前記電力割り当て技法を前記UEにおいて用いて、アップリンクデータが送信される少なくとも2つのキャリアの間で送信電力を割り当てることにより前記アップリンクデータを送信するように構成され、
前記UEがデュアルバンドデュアルセル高速アップリンクパケットアクセス(DB−DC−HSUPA)モードで動作しており且つ第2のキャリアがアクティブである場合において、サービンググラントが予め決定される閾値を下回り且つ前記UEが電力的に限られているときに前記第2のUL電力割り当て技法が選択され、そうではないときに前記第1のUL電力割り当て技法が選択される、ユーザ機器。
【請求項12】
前記第1のUL電力割り当て技法は、専用物理制御チャネル(DPCCH)の品質及び各キャリアについてのサービンググラントに基づいて決定される、パラレルスプリット電力割り当て法である、請求項10又は11に記載のユーザ機器。
【請求項13】
前記第2のUL電力割り当て技法は、最良のキャリアから最悪のキャリアへ順に各キャリアについてのサービンググラントまで電力が割り当てられる、電力センシティブ電力割り当て方式である、請求項10から12のいずれか1項に記載のユーザ機器。
【請求項14】
選択される前記電力割り当て技法に少なくとも部分的に基づいて、データ割り当て方式が選択される、請求項10から13のいずれか1項に記載のユーザ機器。
【請求項15】
選択すべき前記UL電力割り当て技法の選択肢は、前記通信ネットワークから受信される、請求項10から14のいずれか1項に記載のユーザ機器。
【請求項16】
前記UL電力割り当て技法の前記選択は、前記UEにおいて行われる、請求項10から15のいずれか1項に記載のユーザ機器。
【請求項17】
前記UL電力割り当て技法の前記選択は、ネットワークにより構成されるパラメータ、2つのキャリアの間の専用物理制御チャネル(DPCCH)電力レベルにおける差異の関数、一方又は双方のキャリアについての絶対DPCCH電力レベルの関数、前記2つのキャリアの間のサービンググラントにおける差異の関数、前記2つのキャリアについての絶対サービンググラントの関数、前記UEにおける電力ステータスの関数、及び、ULキャリアに対応するDLキャリアについての測定されるダウンリンク(DL)品質の関数、のうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に基づく、請求項10から15のいずれか1項に記載のユーザ機器。
【請求項18】
前記予め決定される閾値は、前記通信ネットワークにより決定され、少なくとも1つの無線リソース制御(RRC)メッセージを介して前記UEへ通信される、請求項10から17のいずれか1項に記載のユーザ機器。
【請求項19】
通信ネットワーク(512,514)内で動作するユーザ機器(UE)(502)において、
前記UEにおける使用のために、少なくとも第1のアップリンク(UL)電力割り当て技法と第2のUL電力割り当て技法との間で電力割り当て技法を選択すること(400)と、
選択される前記電力割り当て技法を前記UEにおいて用いて、アップリンクデータが送信される少なくとも2つのキャリアの間で送信電力を割り当てることにより前記アップリンクデータを送信すること(402)と、
により、UL電力割り当てを制御する、ように適合される装置であって、
前記UEがデュアルバンドデュアルセル高速アップリンクパケットアクセス(DB−DC−HSUPA)モードで動作しており且つ第2のキャリアがアクティブである場合において、サービンググラントが予め決定される閾値を下回るときに前記第2のUL電力割り当て技法が選択され、そうではないときに前記第1のUL電力割り当て技法が選択される、装置。
【請求項20】
通信ネットワーク(512,514)内で動作するユーザ機器(UE)(502)において、
前記UEにおける使用のために、少なくとも第1のアップリンク(UL)電力割り当て技法と第2のUL電力割り当て技法との間で電力割り当て技法を選択すること(400)と、
選択される前記電力割り当て技法を前記UEにおいて用いて、アップリンクデータが送信される少なくとも2つのキャリアの間で送信電力を割り当てることにより前記アップリンクデータを送信すること(402)と、
により、UL電力割り当てを制御する、ように適合される装置であって、
前記UEがデュアルバンドデュアルセル高速アップリンクパケットアクセス(DB−DC−HSUPA)モードで動作しており且つ第2のキャリアがアクティブである場合において、サービンググラントが予め決定される閾値を下回り且つ前記UEが電力的に限られているときに前記第2のUL電力割り当て技法が選択され、そうではないときに前記第1のUL電力割り当て技法が選択される、装置。
【請求項21】
少なくとも1つのプロセッサ上で実行された場合に、前記少なくとも1つのプロセッサに、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法を遂行させる命令、を含むコンピュータプログラム。
【請求項22】
請求項21に記載のコンピュータプログラムを収容するコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【請求項23】
ユーザ機器(UE)における使用のために、少なくとも第1のUL電力割り当て技法と第2のUL電力割り当て技法との間で電力割り当て技法を選択する(400)、ように構成される第1のモジュールと、
選択される前記電力割り当て技法を前記UEにおいて用いて、アップリンクデータが送信される少なくとも2つのキャリアの間で送信電力を割り当てることにより前記アップリンクデータを送信する(402)、ように構成される第2のモジュールと、
を含む装置であって、
前記UEがデュアルバンドデュアルセル高速アップリンクパケットアクセス(DB−DC−HSUPA)モードで動作しており且つ第2のキャリアがアクティブである場合において、サービンググラントが予め決定される閾値を下回るときに前記第2のUL電力割り当て技法が選択され、そうではないときに前記第1のUL電力割り当て技法が選択される、装置。
【請求項24】
ユーザ機器(UE)における使用のために、少なくとも第1のUL電力割り当て技法と第2のUL電力割り当て技法との間で電力割り当て技法を選択する(400)、ように構成される第1のモジュールと、
選択される前記電力割り当て技法を前記UEにおいて用いて、アップリンクデータが送信される少なくとも2つのキャリアの間で送信電力を割り当てることにより前記アップリンクデータを送信する(402)、ように構成される第2のモジュールと、
を含む装置であって、
前記UEがデュアルバンドデュアルセル高速アップリンクパケットアクセス(DB−DC−HSUPA)モードで動作しており且つ第2のキャリアがアクティブである場合において、サービンググラントが予め決定される閾値を下回り且つ前記UEが電力的に限られているときに前記第2のUL電力割り当て技法が選択され、そうではないときに前記第1のUL電力割り当て技法が選択される、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、2015年10月2日に提出された“On a Network Controlled UL Power Allocation Algorithm in Multicarrier Scenarios”と題された米国仮特許出願第62/236,236号に関連し及び同出願からの優先権を主張し、その開示は参照によりここに取り入れられる。
【0002】
[技術分野]
本発明は、概して、電力割り当てに関連し、より具体的には、ユーザ機器におけるアップリンク電力割り当てに関連する。
【背景技術】
【0003】
スペクトルは、モバイルブロードバンド(MBB)の成功裏の使用を可能にするための、基本的かつ貴重なリソースである。特に帯域幅が限られているシナリオにおいて、ユーザにとって利用可能な帯域幅を増加させることにより、ユーザ体験を有意に改善することができる。WCDMA(wide band code division multiple access)システムについては、原理上、基礎であるWCDMA構造をより高いチップレート及び帯域幅で動作するように再定義することにより、ユーザ帯域幅の増加を達成できるかもしれない。そうしたアプローチは、常に利用可能ではない連続的なスペクトルを要するか、又はそのアプローチはレガシーのユーザ機器(UE)に適合しないはずである。
【0004】
従って、代替的なアプローチは、全てのUEによりアクセス可能な5MHzのWCDMAキャリアというコンセプトを保ちつつ、新たなUEが多重的なキャリアで同時に送受信を行うことをも可能にすることである。これが、マルチキャリア高速パケットアクセス(HSPA)の進化の基礎である。マルチキャリアのサポートは複数のリリースにわたってHSPA仕様に導入済みであり、現在のところ8つまでのダウンリンクキャリア及び2つまでのアップリンクキャリアがサポートされている。ダウンリンクキャリアは不連続であること(マルチバンド動作)が許容されている一方で、アップリンクキャリアは隣り合っていることが必要とされている(シングルバンド動作)。デュアルセル(DC)HSUPAというHSPAのアップリンクのマルチキャリアは、3GPP(Third Generation Partnership Project)仕様のリリース9において導入された。
【0005】
アップリンクにおけるシングルバンド動作は、典型的には、双方のキャリアのために1つの電力増幅器(PA)を使用することを可能にし、これが実装を単純化し及び安価にする。しかしながら、デュアルバンドケイパビリティは、フラグメント化したスペクトルを使用する事業者にとって魅力的である。デュアルバンドは、例えばLTE(long term evolution)といった他の技術へのスペクトルの転用(refarming)のために、将来より一層有益になるかもしれない。典型的な事業者は、低域(例えば、U900)に1つのキャリアを、高域(例えば、U2100)に1つ又は2つのキャリアを有し得る。よって、異なる複数の帯域内の2つのキャリアを効率的に運用できることは、将来のHSPA向けの成功裏のMBB体験を提供するために有益であるものと期待される。
【0006】
“HSPA Dual-Band UL carrier aggregation”と題された3GPP作業項目について、3GPPリリース13においてデュアルバンドデュアルセルHSUPA(DB−DC−HSUPA)向けのサポートを導入するという目的と共に、2014年12月に合意がなされた。マルチキャリアHSPAについてのコアな仕様のほとんどは、複数のセルが構成される対象の周波数帯域及びキャリアにとらわれない。但し、無線周波数(RF)の適合性要件(conformance requirements)は、各組み合わせに特に関係する値で更新される必要がある。アップリンクのマルチキャリア実装については、無線リソース管理(RRM)の影響及び変更にも対処する必要がある。例えば、アップリンク(UL)送信(Tx)電力割り当て及び拡張専用チャネルトランスポートフォーマットコンビネーション(E−TFC)の選択は、現在のところ、デュアルバンド動作にとって最適ではない。
【0007】
よって、マルチキャリアシナリオにおけるアップリンク電力割り当て技法に対する旧来のアプローチの上述した欠点を克服する方法及びシステムを提供するというニーズが存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
デュアルバンドデュアルセル高速アップリンクパケットアクセス(DB−DC−HSUPA)を使用するワイヤレスデバイスのために異なる複数のアップリンク電力割り当て技法を実装して、旧来の技法と比較して電力使用を改善することを、複数の実施形態が可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態によれば、通信ネットワーク内で動作するユーザ機器(UE)においてアップリンク(UL)電力割り当てを制御するための方法が存在し、上記方法は、上記UEにおける使用のために、少なくとも第1のUL電力割り当て技法と第2の電力割り当て技法との間で選択を行うことと、選択される上記電力割り当て技法を上記UEにおいて用いて、アップリンクデータが送信される少なくとも2つのキャリアの間で送信電力を割り当てることにより上記アップリンクデータを送信することと、を含む。
【0010】
一実施形態によれば、アップリンク(UL)電力割り当てが制御される通信ネットワーク内のユーザ機器(UE)が存在し、上記UEは、上記UEにおける使用のために、少なくとも第1のUL電力割り当て技法と第2のUL電力割り当て技法との間で選択を行う、ように構成されるプロセッサ、を含み;上記プロセッサは、選択される上記UL電力割り当て技法を上記UEにおいて用いて、アップリンクデータが送信される少なくとも2つのキャリアの間で送信電力を割り当てることにより上記アップリンクデータを送信する、ように構成される。
【0011】
一実施形態によれば、通信ネットワーク内で動作するユーザ機器(UE)において、上記UEにおける使用のために、少なくとも第1のアップリンク(UL)電力割り当て技法と第2の電力割り当て技法との間で選択を行うことと;選択される上記電力割り当て技法を上記UEにおいて用いて、アップリンクデータが送信される少なくとも2つのキャリアの間で送信電力を割り当てることにより上記アップリンクデータを送信することと、により、UL電力割り当てを制御する、ように適合される装置が存在する。
【0012】
一実施形態によれば、上記UEにおける使用のために、少なくとも第1のUL電力割り当て技法と第2の電力割り当て技法との間で選択を行う、ように構成される第1のモジュールと;選択される上記電力割り当て技法を上記UEにおいて用いて、アップリンクデータが送信される少なくとも2つのキャリアの間で送信電力を割り当てることにより上記アップリンクデータを送信する、ように構成される第2のモジュールと、を含む装置が存在する。
【0013】
一実施形態によれば、プロセッサにより実行された場合に、上記UEにおける使用のために、少なくとも第1のUL電力割り当て技法と第2の電力割り当て技法との間で選択を行うステップと;選択される上記電力割り当て技法を上記UEにおいて用いて、アップリンクデータが送信される少なくとも2つのキャリアの間で送信電力を割り当てることにより上記アップリンクデータを送信するステップと、を実行する非一時的なコンピュータ読取可能な媒体が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本明細書に取り入れられ及びその一部をなす添付図面は、1つ以上の実施形態を描いており、その説明と共にそれら実施形態を説明する。図面は以下の通りである:
【0015】
【
図1】一実施形態に係るデュアルバンドデュアルセル高速アップリンクパケットアクセス(DB−DC−HSUPA)を示している。
【
図2】一実施形態に係る、異なる複数のキャリア及び帯域にわたる送信電力に関する、パラレルスプリット電力割り当て及び電力センシティブ電力割り当て技法を示している。
【
図3】一実施形態に従って異なる複数の電力割り当て技法を実装する複数のユーザ機器(UE)を示している。
【
図4】一実施形態に係るアップリンク電力割り当てのための方法のフローチャートを示している。
【
図5】一実施形態に係るアップリンク電力割り当ての技法の実装に関連付けられる、ワイヤレスデバイス、ネットワークノード及びネットワークを示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の実施形態の説明は、添付図面を参照する。異なる図面内の同一の参照番号は、同一の又は類似の要素を識別する。以下の詳細な説明は、本発明を限定しない。代わりに、本発明のスコープは、添付の特許請求の範囲により定義される。次に議論される実施形態は、以下に説明される構成には限定されず、後に議論されるように、他の配置にも拡張され得る。
【0017】
本明細書を通じての“1つの実施形態(one embodiment)”又は“一実施形態(an embodiment)”への言及は、一実施形態との関連において説明される具体的な特徴、構造又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。よって、本明細書を通じた多様な場所での“1つの実施形態において”又は“一実施形態において”とのフレーズの出現は、必ずしもそれら全てが同じ実施形態へ言及しているわけではない。さらに、1つ以上の実施形態において、具体的な特徴、構造又は特性がいかなる適切なやり方で組み合わせられてもよい。
【0018】
背景技術において説明したように、マルチキャリアシナリオにおいて、アップリンク電力割り当て技法の旧来のアプローチに関連付けられる問題が存在する。一実施形態によれば、それら問題は、多様な電力割り当て技法を実装することにより対処される。
【0019】
図1は、ここで説明される電力割り当て技法を実装可能な、デュアルバンドデュアルセル高速アップリンクパケットアクセス(DB−DC−HSUPA)を示している。
図1において、ユーザ機器(UE)100は、アップリンクデータをノードB102へ通信し、ノードB102は、一方でネットワーク104と通信関係にある。
図1ではノードB102が示され及び記述されているものの、理解されるべきこととして、いくつかのネットワークでは、ここで説明される実施形態のサポートの下に、ノードBと同様の機能を実行する、例えばeNB又は他の形式の基地局など、他のタイプのノードが使用され得るはずである。UE100からノードB102へのアップリンク通信は、周波数帯域Xを用いる第1のキャリア108及び第2の周波数帯域Yを用いる第2のキャリア110を含む、HSUPA通信106として示されており、それら周波数帯域X及びYは、異なる周波数レンジにおいて運用されている。周波数帯域X及びYは、連続的であってもよく又は不連続であってもよい。次に、電力割り当て技法について説明する。まず、多様な電力割り当て技法を使用可能なデュアルバンドについての実施形態の説明に先立って、シングルバンドでのデュアルセル高速アップリンクパケットアクセス(DC−HSUPA)についての電力割り当てを説明する。
【0020】
シングルバンドDC−HSUPAについての電力割り当ては、専用物理制御チャネル(DPCCH)の品質及び各キャリアについてのサービンググラントに基づいて計算される。より具体的には、周波数iへの電力割り当てP
iは、式(1)に示したように計算される:
【0022】
ここで、P
remaining,sは、スケジューリングされない送信についての電力が一旦考慮に入れられた後のスケジューリングされる送信のための残余の電力であり、P
DPCCH,target,iは、3GPP(3
rd Generation Partnership Project)TS(technical specification)25.133:“Requirements for support of radio resource management (FDD)”において定義されている通りのフィルタリング後のDPCCH電力であり、SGiは、周波数i上のサービンググラント(SG)である。この電力割り当て技法を、ここでは“パラレルスプリット”電力割り当て技法という。
【0023】
よって、シングルバンドDC−HSUPAについて2つのキャリア間の電力割り当てを左右することになるのは、それら2つのキャリアについてのDPCCH品質及びサービンググラントの積の間の割合である。この電力割り当て方式の1つの示唆は、双方のキャリアが有するSGが等しい場合にキャリアの品質に反比例する形で電力が割り当てられることであり、これは、より劣悪な品質(即ち、最高のDPCCH電力)を有するキャリアが優先され最大の電力を与えられることを意味する。これは、例えば2つのDPCCH間で電力に格段の差異のある電力の限られたシナリオにおいては望ましくないかもしれず、それらシナリオでは、より良好な品質を有するキャリアを優先する方が明らかによいはずである。
【0024】
具体的には、式(1)に関して上で説明したパラレルスプリット電力割り当て技法は、あるデュアルバンドシナリオにとって準最適となることがあるであろう。例えばU900上の低域及び例えばU2100上の高域でのデュアルバンド動作について、異なる帯域間のパスロスの差異が、例えば10dBのオーダで顕著となり得る。実践において、これが意味するのは、ほとんどのケースで、ノードBからの所与のUEの距離について、高周波数(例えば、U2100)キャリア上よりも低周波数(例えば、U900)キャリア上での送信の方が、同一のビット数につきより少ない電力しかかからない。高周波数キャリアへより多くの電力を割り当て得る式(1)のパラレルスプリット電力割り当て方式は、よって、UE送信電力の観点で不必要かつ高価なビットをもたらしかねない。
【0025】
既存のパラレルスプリット電力割り当て方式に伴う、デュアルバンド動作へ適用される際の上述した問題に対処するために、いわゆる電力センシティブ(即ち、貪欲フィリング)電力割り当て法を代替策として使用することができる。この電力センシティブ電力割り当て法が、式(2)を基準として以下で説明される。
if(P
DPCCH,target,1<P
DPCCH,target,2)
{P
1=min(P
DPCCH,target,1SG
1,P
remaining,s),P
2=P
remaining,s−P
1}
else
{P
2=min(P
DPCCH,target,2SG
2,P
remaining,s),P
1=P
remaining,s−P
2} (2)
【0026】
この電力割り当て方式の狙いは、最良のキャリア(即ち、最も低いDPCCH電力を伴うキャリア)を優先することである。まず最良のキャリアにサービンググラントが許容するまで電力が割り当てられ、次いで残余の電力があればそれが二次的なキャリアへサービンググラントを考慮に入れて与えられるという形で、順次的なやり方で電力が割り当てられる。
【0027】
一実施形態に従って、
図2は、UE100上でデュアルバンドデュアルセルモードで動作する場合の、送信電力に関するパラレルスプリット電力割り当て及び電力センシティブ(又は貪欲フィリング)電力割り当て方式の作用のいくつかを示している。
図2において、パラレルスプリット電力割り当て方式200を用いるUEは、アップリンクTxP
A204により表される電力量を用いて低周波数キャリア202上で送信を行うことができ、及びアップリンクTxP
B208により表される電力量を用いて高周波数キャリア206上で送信を行うことができる。パラレルスプリット電力割り当て技法200については、アップリンクTxP
Bは、前に言及した理由のために、ブロック210に示したように、アップリンクTxP
Aよりも大きくなり得る。電力センシティブ電力割り当て技法212を用いるUEは、アップリンクTxP
C214により表される電力量を用いて低周波数キャリア202上で送信を行うことができ、及びアップリンクTxP
D216により表される電力を用いて高周波数キャリア206上で送信を行うことができる。電力センシティブ電力割り当て技法212については、ブロック218に示したように、アップリンクTxP
CがアップリンクTxP
Dよりも大きくなり得る。このように、高周波数キャリア206と低周波数キャリア202との間の周波数ギャップのサイズに依存して、電力センシティブ技法が、送信されるビットに対して潜在的により効率的に電力を割り当てるであろう。
【0028】
電力効率が重要である一方で、効率的なシステム運用のための他の観点は、適切な負荷分散である。即ち、ネットワークは、(マルチキャリア対応型のUE及びマルチキャリア非対応型のUEの双方について)全ての利用可能なキャリアにわたってトラフィックが適切な形で分散することを確実にする必要がある。しかしながら、電力センシティブ電力割り当
て方式は、最良のキャリアを優先し、従って最良のキャリアへトラフィックの大部分を移すことを強いることで、望ましくない負荷分散をもたらしかねない。パラレルスプリット電力技法では、ネットワークは、異なるUEのグループに異なるキャリアをプライマリキャリアとして持たせること、及び適切なグラントスケジューリングにより、効率的な負荷分散を達成することができる。
【0029】
このように、パラレルスプリット電力割り当て技法200及び電力センシティブ電力割り当て技法212の双方が、強みと弱みとを有している。従って、ここで説明される実施形態のいくつかによれば、UEは、当該2つ(又はそれ以上)の異なる電力割り当て技法のいずれかを用いるように構成され得る。これは、例えばUEか又はネットワークかのいずれかにより、任意の所与の送信について、どちらの電力割り当てを使用すべきかに関する決定を下さなければならないことを意味する。一方では、UEは、UE側の電力状況(即ち、利用可能な残余の電力)についてネットワークよりも良好な知識を有するため、概して、より素早く且つより良好な決定を行うことができる。他方では、ネットワークは、ネットワーク全体の負荷状況を認識しているノードであり、従って負荷分散をハンドリングするために最もよく適している。よって、多様な実施形態によれば、負荷分散及び電力割り当て技法の選択のために、ノードの多様な組み合わせ(例えば、ネットワーク、ノードB及びUE)が、電力割り当て技法の選択の仕組みに対し多様な貢献をなし得る。
【0030】
一実施形態によれば、ネットワーク制御型の動作と共に、レガシーのパラレルスプリット電力技法及び電力センシティブ(貪欲フィリング)電力割り当て技法の双方を包含するフレームワークがここで開示される。これが、次のことを可能にする:(1)パラレル技法と貪欲フィリング(GF)技法との間で選択を行う能力を有すること;及び、(2)ネットワークがGFを用いる場合、GFの適用を−GFから最も恩恵を受けるはずの電力の限られたUEなど−UEのサブセットへ制限する能力を有すること。
図3においてこの一例を見ることができ、
図3では、ノードB306と通信関係にある複数のUE(UE1 300、UE2 302…UEn 304)が存在し、ノードB306は、一方ではネットワーク308と通信関係にある。この例では、UEのサブセット、例えばUE1 300及びUE2 302が、GF電力割り当て技法の使用から恩恵を受けるUEのサブセットとなることができ、それに対して、他のUE、例えばUEn 304は、パラレルスプリット電力割り当て技法の使用から恩恵を受け得る。
【0031】
一実施形態によれば、UEは、自身の保留中の送信に適用すべき電力割り当て技法を選択するための仕組みとして、ある基準(例えば、合計スループット)を最大化するための仮説検証を行う。この仮説検証手続において、UEは、電力割り当て技法ごとに1回として2回の異なる電力割り当て及びE−TFC選択の計算を行い、そして、基準関数を最大化する選択肢を選択する。E−TFCの選択は後により詳細に説明される。追加的なネットワーク制御が望ましい場合、どの仮説が許容されるかを制限する追加的な制約が追加され得る。例えば、UEに2つの電力割り当て技法のうちの一方又は他方を使用することを強制することになる追加的な制約を構成することができる。限定ではないものの、例は次を含む:(1)パラレル電力割り当て技法、GF電力割り当て技法又は双方の技法をE−TFC選択手続において使用すべきかを指し示すネットワーク構成パラメータ;及び、(2)どの技法を仮説検証にふくめるべきかの選択肢は、より広く1つ又は複数の入力パラメータの関数であり得る。そうしたパラメータの使用を説明する具体的な実施形態が以下に説明される。
【0032】
それら入力パラメータのいくつかの例は、限定ではないものの、次を含む:(1)2つのキャリアについてのDPCCH電力レベルにおける差異の関数;(2)その差異が十分に大きい(閾値を上回る)場合にはGFを使用し、そうでなければパラレルスプリット電力技法を使用する;(3)及び/又は、一方若しくは双方のキャリアについての絶対DPCCH電力レベルの関数、及び/又は、キャリア間のSGにおける差異の関数;(4)及び/又は、2つのキャリアについての絶対SGの関数;(5)及び/又は、UE側での電力ステータスの関数(例えば、電力が限られていればGF);(6)及び/又は、アップリンク(UL)キャリアに対応するダウンリンク(DL)キャリアについての測定されるダウンリンク品質の関数。例えば、長期的な共通パイロットチャネル(CPICH)品質(信号対雑音比(SINR)又は信号対干渉及び雑音比(SINR))がキャリアの一方について有意に良好である場合にはUEはGF技法を適用し、そうでない場合にはUEはパラレルスプリット電力技法を適用することができる。
【0033】
一実施形態によれば、SGが、どの電力割り当て技法を使用すべきかを判定するための要因であってもよい。例えば、UEがDB−DC−HSUPAモードで動作しており且つセカンダリキャリアがアクティブ化される場合において、低域キャリア(例えば、U900)上のサービンググラントSG
iが閾値αを下回るときは、UEは貪欲フィリング技法を使用するものとし、そうでないときは、UEはパラレルスプリット電力技法を使用する。UEにおいてこの方式を実装するための様々な手段を想起することができる。例えば、UEがDB−DC−HSUPAを用いており且つセカンダリキャリアがアクティブ化される場合に、電力割り当て方式を選択するために、次のロジックがUEにおいて実装可能である。
【0035】
一実施形態によれば、閾値αは、仕様内でハードコーディングされ、動的なL1パラメータであり、準静的な無線リソース制御(RRC)パラメータであり、又は、NBAP(Node B application part)/RNSAP(radio network subsystem application part)パラメータであり得る。ネットワークによりUEへシグナリングされる場合、αは、UEによる電力割り当て技法の選択にネットワークが影響を与えることのできる手段として上で言及した制約又はパラメータの一例を表す。追加的に、このアプローチは、例えばSG値に基づいて、αを非常に大きい値に設定することによりUEにGF技法を常に使用することを強制し、及びα=0に設定することによりパラレルスプリット電力技法を常に使用することを強制する選択肢を、ネットワークに提供する。
【0036】
一実施形態によれば、利用可能な電力量もまた、UEについて使用すべき電力割り当て技法の選択肢を判定するための要因であり得る。例えば、UEがDB−DC−HSUPAモードで動作しており且つセカンダリキャリアがアクティブ化される場合において、低域キャリア(例えば、U900)上のサービンググラントSG
iが閾値αを下回り且つUEの電力が限られているときは、UEは貪欲フィリングアルゴリズムを使用し、そうでないときは、パラレルスプリット電力技法を使用するものとする。
【0037】
アップリンク電力の限界を、様々な手法で定義することができる。1つの例は、UEがパラレル電力スプリット技法を用いて自身の最大許容電力で送信を行っている場合でさえも、各キャリア上のサービンググラントの一方又は双方に従って全てのE−TFCを送信できるほど十分な残余の電力を有しない、ということであり得る。言い換えると、一方又は双方のキャリア上で何らかのE−TFCが制限されている(3GPP 25.133により定義されている通り)。そうした電力の限界は、UEがシングルPAアーキテクチャを使用しているか又はデュアルPAアーキテクチャを使用しているかに関わらず生じ得る。現行の仕様25.133では、最大UE送信機電力は、式(3)に示した通り、次のように定義されている:
最大UE送信機電力=MIN{最大許容UL送信電力,PMAX} (3)
ここで、最大許容UL送信電力は、UTRAN(Universal Terrestrial Radio Access Network)により設定され、3GPP TS25.331:“RRC Protocol Specification”において定義されており、PMAXは、UE電力クラスにより定義される通りのUEの名目最大送信電力であって、3GPP TS25.101:“UE Radio transmission and reception (FDD)”のテーブル6.1において仕様化されている。
【0038】
UEにおいてこの技法を実装するための様々な手段を実装することができる。例えば、UEがDB−DC−HSUPAを用いており且つセカンダリキャリアがアクティブ化される場合に、次を実装可能である。
【0040】
一実施形態によれば、閾値αは、仕様内でハードコーディングされ、動的なL1パラメータであり、又は、準静的なRRC、NBAP/RNSAPパラメータであり得る。このアプローチは、アップリンク電力が限られているときにαを非常に大きい値に設定することによりUEにGFを常に使用することを強制し、及びα=0に設定することによりパラレルスプリット電力技法を常に使用することを強制する選択肢を、ネットワークに提供する。
【0041】
なお、パラレルスプリット電力技法の適用を試行する際に電力が限られているUEは、GF電力技法を適用する際に依然として電力が限られているかもしれない。しかしながら、一実施形態によれば、一方のキャリアが電力の観点で他方よりも格段に安価である(即ち、キャリアのうちの一方のためにより少ないDPCCH電力しか要しない)、電力の限られているシナリオにおいて、GF方式は、送信されるビット量の観点でより効率的であろう。
【0042】
一実施形態によれば、電力割り当て技法を選択するための上述した方法を、様々な手法で制御することができる。より具体的には、上記技法の選択を制御するためのパラメータをいかに設定すべきか、及びUEとネットワークとの間の通信をいかにハンドリングすべきかを、様々な形で行うことができる。いくつかの例が次に説明される。
【0043】
上述したように、このアプローチの動作を制御するためのパラメータは、仕様内へハードコーディングされ、動的なL1パラメータであり、準静的なRRC、NBAP/RNSAPパラメータであり、又は、それらの組み合わせであり得る。例えば、ネットワークは、セットアップ又は再構成の期間中に、パラレルスプリット電力割り当て技法又は貪欲フィリング電力割り当て技法のいずれかを適用するように、RRCシグナリングを介してUEへ、及びNBAPシグナリングを介してノードBへ指し示してもよい。また、ネットワークは、L1指令(L1 orders)(例えば、HS−SCCH(shared control channel for HS-DSCH)指令)の手段により、何らかのパラメータの値を動的に変更することができる。他の実施形態によれば、UEは、例えばGF技法を使用すべきか又はパラレルスプリット電力技法を使用すべきかなど、何らかのパラメータをどのように設定すべきかを自律的に決定する。
【0044】
他の実施形態によれば、UEは、異なる電力割り当て方式を選択するために使用されるある基準が達せられ、よってパラメータのいくつかを変更するようにネットワークへ要求すること、例えば電力割り当て技法を変更することを要求することを、例えばRRC又はモビリティ制御情報(MCI)を介して、ネットワークへ指し示してもよい。UEによる自律的な決定が許容される場合、UEがネットワークへ自身のアクションについて動的に通知することが有益であり得る。例えば、UEからネットワークへ送信される、GFアルゴリズムが採用されるか又はパラレルスプリットアルゴリズムが採用されるかに関するL1標識が存在してもよい。L1シグナリングが高コスト過ぎるか又は複雑過ぎると見なされる場合でさえ、UEは、ネットワークへ技法の認識を提供するために、現時点で使用中の電力方式を、例えばRRC又はMCIを介してやはりネットワークへ指し示すことができる。この種類の半動的なシグナリングが使用される場合、ピンポン効果を回避するために、どの程度の頻度で電力選択技法を変更することをUEが許容されるかに関して何らかの制限を課すことが有益であり得る。よって、いくつかのシナリオでは、高過ぎる頻度で電力技法を変更することは望ましくない可能性がある。
【0045】
電力割り当て技法の選択と共に、複数の実施形態は、データ割り当てをも考慮する。拡張専用チャネルトランスポートフォーマットコンビネーション(E−TFC)選択手続は、電力割り当て(上述)及びデータ割り当てからなる。現行のDC−HSUPAデータ割り当て方式は、セカンダリキャリアから開始する順次型である。即ち、電力割り当て方式の結果を所与として、データがまずセカンダリキャリアへ割り当てられ、その後プライマリキャリアへ割り当てられる。一実施形態によれば、電力センシティブ方式あるいは貪欲フィリング技法が最良のキャリアを優先することから、その電力割り当て技法を使用する際には、データ割り当て方式を変更して、まず最良のキャリアにデータを割り当て、その後に残りのキャリアへ割り当てることが有益であり得る。そのうえ、現行のDC−HSUPA方式では、スケジューリングされないデータは常にプライマリキャリア上で送信される。一実施形態によれば、UE送信のために電力センシティブ方式が選択される場合、データ割り当て方式を、スケジューリングされないデータを最良のキャリアへ常にマッピングするように変更することができる。代替的に、再送が行われるべきか、又はデータのために新たな送信ウィンドウが使用されるべきかを、UEが決定することができる。
【0046】
E−TFC選択オプションの変更は、“安定した”動作モードに到達する前にシステム内に(望ましくない)過渡的な振る舞いを生じさせるかもしれない。ネットワークが動作を制御中であるならば、ネットワークは、ロバスト且つ良好に振る舞うネットワークが維持されるように変更が行われることを保証することもできる。選択肢のいくつかがUEにより採られるために残される場合、UEに制限を課すことが有益であるかもしれない:例えば、一実施形態によれば、UEは、x個(xは整数)の送信時間インターバル(TTI)ごとに又は制限される周期的な時間ピリオド内に一度だけ、電力選択技法の振る舞いを変更することを許容される。望まれる通りに、他の選択の振る舞いを使用することもできる。
【0047】
E−TFC選択技法の変更は、E−TFC選択手続における他のコンポーネント(例えば、再送)にも影響し得る。一実施形態によれば、再送は、今日の現行の仕様(3GPP TS25.133,25.321)の通りにハンドリングされることができ、即ち、再送は、常に電力の割り当てにおいて優先され、GF技法が使用されるか又はパラレルスプリット電力技法が使用されるかに関わらず、同じ手法で電力分割が行われる(例えば、次の段落において以下に抜粋される3GPP TS25.133からのリファレンステキスト参照)。
【0048】
具体的には、UEが1つよりも多くのアクティブ化されたアップリンク周波数を有し、1つのアクティブ化アップリンク周波数において1回の再送を要する場合、UEは、再送を要する対象のアクティブ化アップリンク周波数へ割り当てられた電力Pallocated,xを用いて、及び、再送を要する対象ではないアクティブ化アップリンク周波数へ割り当てられた電力Pallocated,y上で、E−TFC選択のために利用可能な正規化残余電力マージンを推定するものとされ、これらが式(4)及び式(5)により定義されている。
Pallocated,y
=PMax−PHS-DPCCH−ΣiPDPCCH,target,i−PE-DPCCH,x−PE-DPDCH,x (4)
Pallocated,x=PE-DPCCH,x+PE-DPDCH,x (5)
【0049】
一実施形態によれば、UEが再送を“無視”し及びその時点で採用されている電力割り当て方式に従って優先制御を行えばネットワーク性能を改善できるような状況が存在し得ることから、多様な最適化を想起することができる。例えば、より低品質なキャリア上で再送信号を送信することが最良のキャリア上で新たなデータを送信するよりも(電力の観点で)顕著に高価となる場合、又は、UEが電力に限界があるようになりより劣悪なキャリア上での再送を受容するには電力が顕著に不足している場合(このケースでは再送はまた別の再送を引き起こすことになると予期される)には、再送を無視することが望ましいかもしれない。
【0050】
ここで開示される実施形態のほとんどは、2つよりも多くの電力割り当て技法へ適用されるように一般化されることができる。上述した実施形態を様々な手法で組み合わせることもできる。
【0051】
ここで対処される実施形態は、2つのキャリア(例えば、U900帯域及びU2100帯域)間で有意に異なるパスロス特性が生じ得る、DB−DC−HSUPAの文脈において説明されている。しかしながら、一実施形態によれば、その解決策は、DC−HSUPAのケース(即ち、双方のキャリアが同一の周波数帯域内にある)に等しく良好に適用されることができる。2つのキャリアが同一の周波数帯域内にあるとしても、それらの間に品質における有意な差異が存在するかもしれない。例えば、アンテナ又は(異なるキャリアに異なるPAが使用されている場合)PAのうちの一方が、(構造により又は障害物により)他方よりも非常に劣悪であるかもしれず、またシャドウイング又は小規模フェージングがそれら2つのキャリアについて相違し得る。これら作用は、むしろ静的であり又はより動的であり得る。
【0052】
上記実施形態を、例えば
図4の実施形態に示したように一般化することもできる。一実施形態によれば、通信ネットワークにおいて動作するユーザ機器(UE)においてアップリンク(UL)電力割り当てを制御するための方法が存在する。その方法は、ステップ400において、UEにおける使用のために、少なくとも第1のUL電力割り当て技法と第2の電力割り当て技法との間で選択を行うことと、ステップ402において、選択された電力割り当て技法をUEにおいて用いて、アップリンクデータが送信される少なくとも2つのキャリアの間で送信電力を割り当てることにより上記アップリンクデータを送信することと、を含む。
【0053】
図5は、上述した多様な実施形態を実装可能な、ネットワーク512、ネットワークノード514(例えば、ノードB又は基地局)、及びワイヤレスデバイス502(例えば、UE)のより詳細な様子を含むワイヤレスネットワークを示している。簡明さのために、
図5は、ネットワーク512、ネットワークノード514及び522、並びにワイヤレスデバイス502のみを描いている。ネットワークノード514は、プロセッサ516、ストレージ518(例えば、メモリ)、通信インタフェース520及びアンテナ524を含む。同様に、ワイヤレスデバイス502は、プロセッサ506、ストレージ504(例えば、メモリ)、通信インタフェース508及びアンテナ510を含む。これらコンポーネントは、ワイヤレスネットワーク内のワイヤレス接続を提供するといった、ネットワークノード及び/又はワイヤレスデバイスの機能性を提供する目的で、互いに協働し得る。様々な実施形態において、ワイヤレスネットワークは、アップリンク電力割り当て技法に関連付けられる、ここで説明した実施形態のサポートにおいて、有線か無線かを問わない接続を介して、データ及び/又は信号の通信を促進し若しくは当該通信に参加し得る、いかなる数の有線若しくは無線ネットワーク、ネットワークノード、基地局、コントローラ、ワイヤレスデバイス、中継局、及び/又は任意の他のコンポーネントを含んでもよい。
【0054】
ネットワーク512は、1つ以上のIPネットワーク、PSTN(public switched telephone networks)、パケットデータネットワーク、光ネットワーク、WAN(wide area networks)、LAN(local area networks)、WLAN(wireless local area networks)、有線ネットワーク、ワイヤレスネットワーク、メトロポリタンエリアネットワーク、及びデバイス間の通信を可能にする他のネットワーク、を含んでもよい。
【0055】
上述したように、ネットワークノード514は、プロセッサ516、ストレージ518、通信インタフェース520及びアンテナ524を含む。これらコンポーネントは、より大きな単一のボックスの中に配置された単一のボックスとして描かれている。しかしながら、実際には、ネットワークノードは、1つに描かれたコンポーネントを形成する複数の別個の物理的なコンポーネントを含んでもよい(例えば、通信インタフェース520は、有線接続用の回線を連結するための端子と、無線接続用の無線送受信機とを含んでもよい)。他の例として、ネットワークノード514は、複数の異なる物理的に別個のコンポーネントがネットワークノード515の機能性を提供するようにインタラクションする、仮想的なネットワークノードであってもよい(例えば、プロセッサ502は、ネットワークノード514の個別のインスタンスについての異なる機能を各プロセッサが担当する形で、3つの別個の筐体内に配置される3つの別個のプロセッサを含んでもよい)。
【0056】
一実施形態によれば、ネットワークノード514は、複数の物理的に別個のコンポーネントからなってもよく(例えば、ノードBコンポーネント及び無線ネットワークコントローラ(RNC)コンポーネント、基地送受信局(BTS)コンポーネント及び基地局コントローラ(BSC)コンポーネント、など)、その各々が自身のそれぞれのプロセッサ、ストレージ及びインタフェースコンポーネントを有し得る。ネットワークノード514が複数の別個のコンポーネント(例えば、BTS及びBSCコンポーネント)を含むあるシナリオにおいて、それら別個のコンポーネントのうちの1つ以上が、複数のネットワークノードの間で共有されてもよい。例えば、単一のRNCが複数のノードBを制御してもよい。そうしたシナリオにおいて、一意なノードB及びBSCの各ペアが、別個のネットワークノードであってもよい。いくつかの実施形態において、ネットワークノード514は、複数の無線アクセス技術(RAT)をサポートするように構成されてもよい。そうした実施形態において、いくつかのコンポーネントが冗長化されてもよく(例えば、異なる複数のRAT向けの別個のストレージ516)、いくつかのコンポーネントが再利用されてもよい(例えば、同一のアンテナ524がそれらRATにより共有されてもよい)。
【0057】
プロセッサ518は、単独か若しくはストレージ516といった他のネットワークノード514のコンポーネントと連携するかのいずれかで、ネットワークノード514の機能性を提供するように動作可能な、マイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、中央処理ユニット、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、又は、任意の他の適したコンピューティングデバイス、リソース、若しくは、ハードウェア、ソフトウェア及び/若しくはエンコードされたロジックの組み合わせ、のうちの1つ以上の組み合わせであってよい。例えば、プロセッサ518は、ストレージ516内に記憶される命令を実行してもよい。そうした機能性は、ワイヤレスデバイス502などのワイヤレスデバイスへ、ここで開示した特徴又は恩恵のいずれかを含む、ここで議論した多様なワイヤレス機能を提供することを含む。
【0058】
ストレージ516は、限定ではないが、永続的ストレージ、ソリッドステートメモリ。遠隔マウント型のメモリ、磁気メディア、光学メディア、RAM(random access memory)、ROM(read-only memory)、リムーバブルメディア、又は任意の他の適切なローカル若しくはリモートのメモリコンポーネントを含む、任意の形式の揮発性又は不揮発性のコンピュータ読取可能なメモリを含んでよい。ストレージ51
6は、ネットワークノード514により利用される、ソフトウェア若しくはエンコードされたロジックを含む、任意の適した命令、データ又は情報をも記憶してよい。ストレージ516は、プロセッサ518により行われる任意の計算の結果及び/又はインタフェース520を介して受信される任意のデータを記憶するために使用されてもよい。
【0059】
ネットワークノード514は、ネットワークノード514、ネットワーク512及び/又はワイヤレスデバイス502の間でのシグナリング及び/又はデータの有線通信又は無線通信において使用され得るインタフェース520をも含む。例えば、インタフェース520は、ネットワークノード514が有線接続上でネットワーク512との間でデータを送受信することを可能にするために必要とされ得るいかなるフォーマット化、符号化又は変換をも実行してよい。インタフェース520は、アンテナ524へ連結され又はアンテナ524の一部であり得る、無線送信機及び/又は受信機をも含んでもよい。無線機は、無線接続を介して他のネットワークノードへ又はワイヤレスデバイスへ送出されるべきデジタルデータを受け付け得る。無線機は、そのデジタルデータを適切なチャネル及び帯域幅パラメータを有する無線信号へ変換し得る。そして、無線信号は、アンテナ524を介して適切な受信者(例えば、ワイヤレスデバイス502)へ送信され得る。
【0060】
アンテナ524は、データ及び/又は信号をワイヤレスに送受信可能ないかなるタイプのアンテナであってもよい。いくつかの実施形態において、アンテナ524は、例えば2GHz及び66GHzの間の無線信号を送信/受信するように動作可能な、1つ以上の全方向型アンテナ、セクタアンテナ又はパネルアンテナを含んでもよい。全方向型アンテナは、任意の方向の無線信号を送信/受信するために使用されてよく、セクタアンテナは、特定のエリア内のデバイスから無線信号を送信/受信するために使用されてよく、パネルアンテナは、相対的に直線的に無線信号を送信/受信するために使用される見通し線アンテナであってもよい。
【0061】
ワイヤレスデバイス502は、ネットワークノード514及び522並びに/又は他のワイヤレスデバイス502といったネットワークノードとの間でワイヤレスにデータ及び/又は信号を送受信することのできる、いかなるタイプのワイヤレスエンドポイント、移動局、モバイルフォン、ワイヤレスローカルループフォン、スマートフォン、ユーザ機器、デスクトップコンピュータ、PDA、セルフォン、タブレット、ラップトップ、VoIPフォン又はハンドセットであってもよい。ワイヤレスデバイス502は、プロセッサ506、ストレージ504(例えば、メモリ)、通信インタフェース508及びアンテナ510を含む。ネットワークノード514と同様、ワイヤレスデバイス502のコンポーネントは、より大きな単一のボックスの中に配置された単一のボックスとして描かれているが、しかしながら、実際には、ワイヤレスデバイスは、1つに描かれたコンポーネントを形成する複数の別個の物理的なコンポーネントを含んでもよい(例えば、ストレージ504は、各々が総合的なストレージ容量の一部を表す、複数の離散マイクロチップを含んでもよい)。
【0062】
プロセッサ506は、単独か若しくはストレージ504といった他のワイヤレスデバイス502のコンポーネントと連携するかのいずれかで、ワイヤレスデバイス502の機能性を提供するように動作可能な、マイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、中央処理ユニット、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、又は、任意の他の適したコンピューティングデバイス、リソース、若しくは、ハードウェア、ソフトウェア及び/若しくはエンコードされたロジックの組み合わせ、のうちの1つ以上の組み合わせであってよい。そうした機能性は、ここで開示した特徴又は恩恵のいずれかを含む、ここで議論した多様なワイヤレス機能を提供することを含み得る。
【0063】
ストレージ504は、限定ではないが、永続的ストレージ、ソリッドステートメモリ。遠隔マウント型のメモリ、磁気メディア、光学メディア、RAM(random access memory)、ROM(read-only memory)、リムーバブルメディア、又は任意の他の適切なローカル若しくはリモートのメモリコンポーネントを含む、任意の形式の揮発性又は不揮発性のメモリを含んでよい。ストレージ504は、ワイヤレスデバイス502により利用される、ソフトウェア若しくはエンコードされたロジックを含む、任意の適したデータ、命令又は情報をも記憶してよい。ストレージ504は、プロセッサ506により行われる任意の計算の結果及び/又はインタフェース508を介して受信される任意のデータを記憶するために使用されてもよい。
【0064】
インタフェース508は、ワイヤレスデバイス502とネットワークノード514及び522との間でのシグナリング及び/又はデータの無線通信において使用され得る。例えば、インタフェース508は、ワイヤレスデバイス502が無線接続上でネットワークノード514との間でデータを送受信することを可能にするために必要とされ得るいかなるフォーマット化、符号化又は変換をも実行してよい。インタフェース508は、アンテナ510へ連結され又はアンテナ510の一部であり得る、無線送信機及び/又は受信機をも含んでもよい。無線機は、無線接続を介してネットワークノード514へ送出されるべきデジタルデータを受け付け得る。無線機は、そのデジタルデータを適切なチャネル及び帯域幅パラメータを有する無線信号へ変換し得る。そして、無線信号は、アンテナ510を介してネットワークノード514へ送信され得る。
【0065】
アンテナ510は、データ及び/又は信号をワイヤレスに送受信可能ないかなるタイプのアンテナであってもよい。いくつかの実施形態において、アンテナ510は、2GHz及び66GHzの間の無線信号を送信/受信するように動作可能な、1つ以上の全方向型アンテナ、セクタアンテナ又はパネルアンテナを含んでもよい。簡明さのために、アンテナ510は、ワイヤレス信号が使用される範囲でインタフェース508の一部であると見なされてもよい。
【0066】
実施形態は、DB−DC−HSUPA動作について、パラレルスプリット電力割り当て技法、E−TFC選択方式及び電力センシティブ電力割り当て技法の組み合わせを可能にする。これが、いつ一方の又は他方の方式を動作させるべきかのネットワーク制御を提供し、DB−DC−HSUPAを実装するための柔軟な移行パスを促進する。追加的に、実施形態は、ネットワークが負荷分散を達成するための制御を提供することを可能にしながら、異なる複数の電力割り当て技法の、UE電力に最も良く適した使用を可能にする。
【0067】
ここで説明したいかなるステップも、何らかの実施形態の例示に過ぎない。全ての実施形態が開示した全てのステップを包含することも、ここで描き又は説明した正確な順序でそれらステップを実行することも要件ではない。さらに、いくつかの実施形態がここで例示しておらず又は説明していないステップを含んでもよく、それらはここで開示したステップの1つ以上に本来備わるステップを含む。開示した実施形態は、所望のアップリンク電力割り当て技法を選択し及び使用する、方法及びデバイスを提供する。理解されるべきこととして、上記説明は本発明を限定することを意図されていない。逆に、上記実施形態は、本発明の思想及びスコープに含まれる変形例、修正例及び均等物をカバーするものと意図される。さらに、実施形態の詳細な説明において、特許請求される発明の包括的な理解を提供する目的で、多数の特定の詳細が説示されている。しかしながら、当業者は、そうした具体的な詳細が無くとも多様な実施形態を実践し得ることを理解するはずである。
【0068】
また、当業者により認識されるように、上記実施形態は、全体としてハードウェアの実施形態の形式をとってもよく、又はハードウェア及びソフトウェアの側面を組み合わせた実施形態の形式をとってもよい。さらに、例えば所望のアップリンク電力割り当て技法を実装する上記実施形態は、コンピュータ読取可能な記憶媒体に記憶される、当該媒体内で具現化されるコンピュータ読取可能な命令を有する、コンピュータプログラムプロダクトを用いて実装されることができる。RAM、ハードディスク、CD−ROM、DVD(digital versatile disc)、光学記憶デバイス、又はフロッピーディスク若しくは磁気テープといった磁気記憶デバイスを含む、いかなる適したコンピュータ読取可能な媒体が利用されてもよい。コンピュータ読取可能な媒体の他の非限定的な例は、フラッシュ型メモリ又は他の既知のメモリを含む。
【0069】
実施形態の特徴及び要素がそれら実施形態において具体的な組み合わせで説明されているものの、各特徴又は要素は、それら実施形態の他の特徴及び要素無しで単独で使用されることができ、又は、ここで開示した他の特徴及び要素があっても無くても多様な組み合わせで使用されることができる。本出願において提供されている方法及びフローチャートは、具体的にプログラミングされたコンピュータ又はプロセッサによる実行のためにコンピュータ読取可能な記憶媒体において有形に具現化された、コンピュータプログラム、ソフトウェア又はファームウェアで実装されてもよい。