特許第6573737号(P6573737)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6573737
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】エアロゾル吸引器用の電源ユニット
(51)【国際特許分類】
   A24F 47/00 20060101AFI20190902BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   A24F47/00
   H02J7/00 A
【請求項の数】18
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-35995(P2019-35995)
(22)【出願日】2019年2月28日
【審査請求日】2019年3月26日
(31)【優先権主張番号】62/793,551
(32)【優先日】2019年1月17日
(33)【優先権主張国】US
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成31年1月17日、日本たばこ産業株式会社の本社において記者会見を行い、「プルーム・テック・プラス」と称するエアロゾル吸引器について発表した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成31年1月17日、日本たばこ産業株式会社のウェブサイトにて、「プルーム・テック・プラス」と称するエアロゾル吸引器について公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成31年1月29日、日本たばこ産業株式会社が国内の複数の店舗にて、「プルーム・テック・プラス」と称するエアロゾル吸引器を販売した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成31年2月6日、日本たばこ産業株式会社が宮城県内の店舗にて、「プルーム・テック・プラス」と称するエアロゾル吸引器を販売した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成31年2月15日、日本たばこ産業株式会社が愛知県内の店舗にて、「プルーム・テック・プラス」と称するエアロゾル吸引器を販売した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成31年2月21日、日本たばこ産業株式会社が東京都内の店舗にて、「プルーム・テック・プラス」と称するエアロゾル吸引器を販売した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成31年1月17日、日本たばこ産業株式会社の本社にて「プルーム・テック・プラス」と称するエアロゾル吸引器の試供品を配布した。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】特許業務法人航栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤尾 剛志
【審査官】 下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】 特表2017−515493(JP,A)
【文献】 国際公開第2018/163262(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 − 7/12
H02J 7/34 − 7/36
A24F 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成源からエアロゾルを発生させるための負荷に放電可能な電源と、
抵抗器を有する第一回路基板と、
前記第一回路基板から離間し、且つ、前記第一回路基板と電気的に接続される第二回路基板と、を備え、
前記第二回路基板は、前記電源の放電と充電の少なくとも一方を制御可能に構成される制御装置と、入力される電力を前記電源の充電電力に変換する充電装置と、の少なくとも一方を有するエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【請求項2】
請求項1記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記充電装置と前記制御装置の少なくとも一方は、前記第二回路基板にのみ設けられているエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【請求項3】
請求項1又は2記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記第一回路基板は、外部電源が電気的に接続可能なコネクタを有し、
前記抵抗器は、前記コネクタに対して直列に接続されるエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記第二回路基板は、前記充電装置を備えるエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記抵抗器は、前記電源の充電時における前記第一回路基板と前記第二回路基板の発熱量が実質的に同一になる抵抗値を有するエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記第二回路基板は、前記充電装置を備え、
前記抵抗器は、前記電源の充電時における前記抵抗器の消費電力が、前記電源の充電時における前記充電装置の消費電力よりも大きくなる抵抗値を有するエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【請求項7】
請求項6記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記第二回路基板は、前記制御装置を更に備えるエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか1項記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記第二回路基板は、前記充電装置と前記制御装置を備え、
前記抵抗器は、前記電源の充電時における前記抵抗器の消費電力が、前記電源の充電時における前記充電装置と前記制御装置の消費電力の和と実質的に同一となる抵抗値を有するエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【請求項9】
請求項1から4のいずれか1項記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記第一回路基板は、外部電源が電気的に接続可能なコネクタを有し、
前記抵抗器は、前記外部電源が供給する電圧を、前記充電装置又は前記制御装置の最低動作保証電圧より大きい値まで降圧する抵抗値を有するエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【請求項10】
請求項1から4のいずれか1項記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記抵抗器は、1Ω以上1.38Ω以下の抵抗値を有するエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【請求項11】
請求項10記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記抵抗値は1Ωであるエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記第一回路基板が最も近接する前記電源の面は、前記第二回路基板が最も近接する前記電源の面とは異なるエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか1項記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記第一回路基板は、前記電源の長手方向の一端側に設けられ、
前記第二回路基板は、前記電源の長手方向の他端側に設けられるエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【請求項14】
請求項1から11のいずれか1項記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記第一回路基板は、前記電源の長手方向の端部と短手方向の端部との一方に設けられ、
前記第二回路基板は、前記電源の長手方向の端部と短手方向の端部との他方に設けられるエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【請求項15】
請求項14記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記第一回路基板と前記第二回路基板のうちの発熱量が高い方は、前記電源の短手方向の端部に設けられるエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【請求項16】
エアロゾル生成源からエアロゾルを発生させるための負荷に放電可能な電源と、
第一回路基板と、
前記第一回路基板から離間し、且つ、前記第一回路基板と電気的に接続される第二回路基板と、を備え、
前記電源の充電時と放電時の少なくとも一方における前記第一回路基板と前記第二回路基板の各々の発熱量は、実質的に同一であるエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【請求項17】
エアロゾル生成源からエアロゾルを発生させるための負荷に放電可能な電源と、
第一回路基板と、
前記第一回路基板から離間し、且つ、前記第一回路基板と電気的に接続される第二回路基板と、を備え、
前記電源の充電時と放電時の少なくとも一方における前記第一回路基板が有する素子と前記第二回路基板が有する素子の各々の総消費電力は、実質的に同一であるエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【請求項18】
エアロゾル生成源からエアロゾルを発生させるための負荷に放電可能な電源と、
第一回路基板と、
前記第一回路基板から離間し、且つ、前記第一回路基板と電気的に接続される第二回路基板と、を備え、
前記電源の充電時と放電時の少なくとも一方における前記第一回路基板が前記電源に与える熱量と前記第二回路基板が前記電源に与える熱量の各々は、実質的に同一であるエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル吸引器用の電源ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル生成源と、このエアロゾル生成源からエアロゾルを発生させるための負荷と、この負荷に放電可能な電源と、この電源を制御する制御部と、を備えるエアロゾル吸引器が知られている(例えば、特許文献1−4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国実用新案登録206865186号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開104348214号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2017/0250552号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2015/0173124号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エアロゾル吸引器は頻繁に使用されるため、その電源の充放電は頻繁に行われ得る。そのため、この充放電時における電源の温度上昇や回路基板又は特定の回路素子への熱の集中をできる限り抑制することが求められる。特許文献1−4は、電源の温度上昇を抑制する方法について考慮していない。
【0005】
本発明の目的は、電源の温度上昇や回路基板又は特定の回路素子への熱の集中を抑制することのできるエアロゾル吸引器用の電源ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のエアロゾル吸引器用の電源ユニットは、エアロゾル生成源からエアロゾルを発生させるための負荷に放電可能な電源と、抵抗器を有する第一回路基板と、前記第一回路基板から離間し、且つ、前記第一回路基板と電気的に接続される第二回路基板と、を備え、前記第二回路基板は、前記電源の放電と充電の少なくとも一方を制御可能に構成される制御装置と、入力される電力を前記電源の充電電力に変換する充電装置と、の少なくとも一方を有するものである。
【0007】
本発明のエアロゾル吸引器用の電源ユニットは、エアロゾル生成源からエアロゾルを発生させるための負荷に放電可能な電源と、第一回路基板と、前記第一回路基板から離間し、且つ、前記第一回路基板と電気的に接続される第二回路基板と、を備え、前記電源の充電時と放電時の少なくとも一方における前記第一回路基板と前記第二回路基板の各々の発熱量は、実質的に同一であるものである。
【0008】
本発明のエアロゾル吸引器用の電源ユニットは、エアロゾル生成源からエアロゾルを発生させるための負荷に放電可能な電源と、第一回路基板と、前記第一回路基板から離間し、且つ、前記第一回路基板と電気的に接続される第二回路基板と、を備え、前記電源の充電時と放電時の少なくとも一方における前記第一回路基板が有する素子と前記第二回路基板が有する素子の各々の総消費電力は、実質的に同一であるものである。
【0009】
本発明のエアロゾル吸引器用の電源ユニットは、エアロゾル生成源からエアロゾルを発生させるための負荷に放電可能な電源と、第一回路基板と、前記第一回路基板から離間し、且つ、前記第一回路基板と電気的に接続される第二回路基板と、を備え、前記電源の充電時と放電時の少なくとも一方における前記第一回路基板が前記電源に与える熱量と前記第二回路基板が前記電源に与える熱量の各々は、実質的に同一であるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電源の温度上昇や回路基板又は特定の回路素子への熱の集中を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態の電源ユニットが装着されたエアロゾル吸引器の斜視図である。
図2図1のエアロゾル吸引器の他の斜視図である。
図3図1のエアロゾル吸引器の断面図である。
図4図1のエアロゾル吸引器における電源ユニットの斜視図である。
図5図1のエアロゾル吸引器における電源ユニット内の電源、第一回路基板、第二回路基板、及びFPC基板の斜視図である。
図6図1のエアロゾル吸引器における電源ユニットの要部構成を示すブロック図である。
図7図1のエアロゾル吸引器における電源ユニットの回路構成を示す模式図である。
図8図7に示す充電ICの内部構成例を示す回路図である。
図9図7に示す電源の充電時において充電端子に入力される電圧の変化を示す図である。
図10】電源ユニット内の電源に対する第一回路基板と第二回路基板の配置の第一の変形例を示す模式図である。
図11】電源ユニット内の電源に対する第一回路基板と第二回路基板の配置の第二の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態のエアロゾル吸引器用の電源ユニットについて説明するが、先ず、電源ユニットが装着されたエアロゾル吸引器について、図1及び図2を参照しながら説明する。
【0013】
(エアロゾル吸引器)
エアロゾル吸引器1は、燃焼を伴わずに香味が付加されたエアロゾルを吸引するための器具であり、所定方向(以下、長手方向Aと呼ぶ)に沿って延びる棒形状を有する。エアロゾル吸引器1は、長手方向Aに沿って電源ユニット10と、第1カートリッジ20と、第2カートリッジ30と、がこの順に設けられている。第1カートリッジ20は、電源ユニット10に対して着脱可能である。第2カートリッジ30は、第1カートリッジ20に対して着脱可能である。言い換えると、第1カートリッジ20及び第2カートリッジ30は、それぞれ交換可能である。
【0014】
(電源ユニット)
本実施形態の電源ユニット10は、円筒状の電源ユニットケース11(図3及び図4参照)の内部に、充電端子43及び抵抗器43Rが形成された第一回路基板43S(図3図5、及び図7参照)と、電源12(図3図5−7参照)と、充電IC(Integrated Circuit)55、MCU(Micro Controller Unit)50、スイッチ19、及び各種センサ等が形成された第二回路基板50S(図3図5、及び図7参照)と、FPC(Flexible printed circuits)基板13S(図5及び図7参照)と、を収容する。電源12は、充電可能な二次電池、電気二重層キャパシタ等であり、好ましくは、リチウムイオン電池である。電源12の外形形状は、長手方向Aに沿って延びる円柱状又は角柱状等の柱状となっている。
【0015】
図4に示すように、電源ユニットケース11の長手方向Aの一端側(第1カートリッジ20側)に位置するトップ部11aには、放電端子41が設けられる。放電端子41は、トップ部11aの上面から第1カートリッジ20に向かって突出するように設けられ、第1カートリッジ20の負荷21と電気的に接続可能に構成される。また、トップ部11aの上面には、放電端子41の近傍に、第1カートリッジ20の負荷21に空気を供給する空気供給部42が設けられている。
【0016】
また、電源ユニットケース11の長手方向Aの他端側(第1カートリッジ20と反対側)に位置するボトム部11bには、外部電源と電気的に接続可能な充電端子43と、この充電端子43が実装された第一回路基板43Sとが設けられる。充電端子43は、ボトム部11bの側面に設けられ、例えば、USB端子、microUSB端子、及びLightning端子(登録商標)の少なくとも1つが接続可能なコネクタである。
【0017】
なお、充電端子43は、外部電源から送電される電力を非接触で受電可能な受電部であってもよい。このような場合、充電端子43(受電部)は、受電コイルから構成されていてもよい。非接触による電力伝送(Wireless Power Transfer)の方式は、電磁誘導型でもよいし、磁気共鳴型でもよい。また、充電端子43は、外部電源から送電される電力を無接点で受電可能な受電部であってもよい。別の一例として、充電端子43は、USB端子、microUSB端子、Lightning端子の少なくとも1つが接続可能であり、且つ上述した受電部を有していてもよい。
【0018】
図5に示すように、第一回路基板43Sは、電源12の長手方向Aの一端側(第1カートリッジ20側と反対側)の端部に隣接して配置されている。この端部の面が、第一回路基板43Sに最も近接する面を構成している。また、第二回路基板50Sは、電源12の長手方向Aの他端側(第1カートリッジ20側)の端部に隣接して配置されている。この端部の面が第二回路基板50Sに最も近接する面を構成している。このように、第一回路基板43Sと第二回路基板50Sは離間して配置されており、これらはFPC基板13Sによって電気的に接続されている。
【0019】
図4に示すように、電源ユニットケース11には、ユーザが操作可能な操作部14が、トップ部11aの側面に充電端子43とは反対側を向くように設けられる。より詳述すると、操作部14と充電端子43は、操作部14と充電端子43を結ぶ直線と長手方向Aにおける電源ユニット10の中心線の交点について点対称の関係にある。操作部14は、ボタン式のスイッチ、タッチパネル等から構成される。図3に示すように、操作部14の近傍には、パフ動作を検出する吸気センサ15が設けられている。
【0020】
図6及び図7に示す充電IC55は、外部電源から充電端子43に入力される電力を電源12の充電電力に変換し、電源12に供給する制御を行う。充電IC55は、入力電圧を降圧して出力するLDO(ロードロップアウトレギュレータ)によって構成されている。
【0021】
図6に示すように、MCU50は、パフ(吸気)動作を検出する吸気センサ15、電源12の電源電圧を測定する電圧センサ16、電源12の温度を測定するための温度センサ17等の各種センサ装置、操作部14、報知部45、及びパフ動作の回数又は負荷21への通電時間等を記憶するメモリー18に接続され、エアロゾル吸引器1の各種の制御を行う。MCU50は、具体的にはプロセッサである。
【0022】
また、電源ユニットケース11には、内部に外気を取り込む不図示の空気の取込口が設けられている。なお、空気取込口は、操作部14の周囲に設けられていてもよく、充電端子43の周囲に設けられていてもよい。
【0023】
(第1カートリッジ)
図3に示すように、第1カートリッジ20は、円筒状のカートリッジケース27の内部に、エアロゾル源22を貯留するリザーバ23と、エアロゾル源22を霧化する電気的な負荷21と、リザーバ23から負荷21へエアロゾル源を引き込むウィック24と、エアロゾル源22が霧化されることで発生したエアロゾルが第2カートリッジ30に向かって流れるエアロゾル流路25と、第2カートリッジ30の一部を収容するエンドキャップ26と、を備える。
【0024】
リザーバ23は、エアロゾル流路25の周囲を囲むように区画形成され、エアロゾル源22を貯留する。リザーバ23には、樹脂ウェブ又は綿等の多孔体が収容され、且つ、エアロゾル源22が多孔体に含浸されていてもよい。エアロゾル源22は、グリセリン、プロピレングリコール、又は水などの液体を含む。
【0025】
ウィック24は、リザーバ23から毛管現象を利用してエアロゾル源22を負荷21へ引き込む液保持部材であって、例えば、ガラス繊維や多孔質セラミックなどによって構成される。
【0026】
負荷21は、電源12から放電端子41を介して供給される電力によって、燃焼を伴わずにエアロゾル源22を霧化する。負荷21は、所定ピッチで巻き回される電熱線(コイル)によって構成されている。なお、負荷21は、エアロゾル源22を霧化してエアロゾルを発生可能な素子であればよく、例えば、発熱素子、又は超音波発生器である。発熱素子としては、発熱抵抗体、セラミックヒータ、及び誘導加熱式のヒータ等が挙げられる。
【0027】
エアロゾル流路25は、負荷21の下流側であって、電源ユニット10の中心線L上に設けられる。
【0028】
エンドキャップ26は、第2カートリッジ30の一部を収容するカートリッジ収容部26aと、エアロゾル流路25とカートリッジ収容部26aとを連通させる連通路26bと、を備える。
【0029】
(第2カートリッジ)
第2カートリッジ30は、香味源31を貯留する。第2カートリッジ30は、第1カートリッジ20側の端部が第1カートリッジ20のエンドキャップ26に設けられたカートリッジ収容部26aに着脱可能に収容される。第2カートリッジ30は、第1カートリッジ20側とは反対側の端部が、ユーザの吸口32となっている。なお、吸口32は、第2カートリッジ30と一体不可分に構成される場合に限らず、第2カートリッジ30と着脱可能に構成されてもよい。このように吸口32を電源ユニット10と第1カートリッジ20とは別体に構成することで、吸口32を衛生的に保つことができる。
【0030】
第2カートリッジ30は、負荷21によってエアロゾル源22が霧化されることで発生したエアロゾルを香味源31に通すことによってエアロゾルに香味を付与する。香味源31を構成する原料片としては、刻みたばこ、又は、たばこ原料を粒状に成形した成形体を用いることができる。香味源31は、たばこ以外の植物(例えば、ミント、漢方、ハーブ等)によって構成されてもよい。香味源31には、メントールなどの香料が付与されていてもよい。
【0031】
本実施形態のエアロゾル吸引器1では、エアロゾル源22と香味源31と負荷21とによって、香味が付加されたエアロゾルを発生させることができる。つまり、エアロゾル源22と香味源31は、エアロゾルを発生させるエアロゾル生成源を構成している。
【0032】
エアロゾル吸引器1におけるエアロゾル生成源は、ユーザが交換して使用する部分である。この部分は、例えば、1つの第1カートリッジ20と、1つ又は複数(例えば5つ)の第2カートリッジ30とが1セットとしてユーザに提供される。
【0033】
エアロゾル吸引器1に用いられるエアロゾル生成源の構成は、エアロゾル源22と香味源31とが別体になっている構成の他、エアロゾル源22と香味源31とが一体的に形成されている構成、香味源31が省略されて香味源31に含まれ得る物質がエアロゾル源22に付加された構成、香味源31の代わりに薬剤等がエアロゾル源22に付加された構成等であってもよい。
【0034】
このように構成されたエアロゾル吸引器1では、図3中の矢印Bで示すように、電源ユニットケース11に設けられた不図示の取込口から流入した空気が、空気供給部42から第1カートリッジ20の負荷21付近を通過する。負荷21は、ウィック24によってリザーバ23から引き込まれたエアロゾル源22を霧化する。霧化されて発生したエアロゾルは、取込口から流入した空気と共にエアロゾル流路25を流れ、連通路26bを介して第2カートリッジ30に供給される。第2カートリッジ30に供給されたエアロゾルは、香味源31を通過することで香味が付与され、吸口32に供給される。
【0035】
また、エアロゾル吸引器1には、各種情報を報知する報知部45が設けられている(図6参照)。報知部45は、発光素子によって構成されていてもよく、振動素子によって構成されていてもよく、音出力素子によって構成されていてもよい。報知部45は、発光素子、振動素子、及び音出力素子のうち、2以上の素子の組合せであってもよい。報知部45は、電源ユニット10、第1カートリッジ20、及び第2カートリッジ30のいずれに設けられてもよいが、電源ユニット10に設けられることが好ましい。例えば、操作部14の周囲が透光性を有し、LED等の発光素子によって発光するように構成される。
【0036】
(電気回路)
続いて、電源ユニット10の電気回路の詳細について図7及び図8を参照しながら説明する。
電源ユニット10は、電源12と、放電端子41を構成する正極側放電端子41a及び負極側放電端子41bと、充電端子43及び抵抗器43Rが形成された第一回路基板43Sと、充電IC55、MCU50、及びスイッチ19が形成された第二回路基板50Sと、第一回路基板43Sと第二回路基板50Sを電気的に接続するFPC基板13Sと、を備える。なお、図7に示した抵抗13は、FPC基板13Sに含まれる配線によって形成される配線抵抗を示している。
【0037】
抵抗器43Rは、抵抗素子又はトランジスタ等の抵抗値を持つ素子により構成されており、一端が充電端子43の入力端子INに接続されている。抵抗器43Rの充電端子43側と反対側の端部(他端)は、FPC基板13S内の配線を介して、充電IC55の入力端子INと電気的に接続されている。また、充電端子43のグランド端子GNDは、FPC基板13S内の配線を介して、負極側放電端子41bと電気的に接続されている。充電端子43のグランド端子GNDと負極側放電端子41bとを接続する配線には、電源12の負極側端子、充電IC55のグランド端子、及びMCU50のグランド端子が接続されている。
【0038】
充電IC55の出力端子OUTは、電源12の正極側端子に電気的に接続されている。電源12の正極側端子には、MCU50の入力端子INが接続されている。MCU50の出力端子OUTと正極側放電端子41aの間にはスイッチ19が配置されている。スイッチ19は、例えばMOSFET等の半導体素子により構成され、MCU50によって開閉制御される。
【0039】
図7に示した電源ユニット10の電気回路では、スイッチ19は電源12の正極側と正極側放電端子41aの間に設けられている。このような所謂プラスコントロールに代えて、スイッチ19は負極側放電端子41bと電源12の負極側に設けられるマイナスコントロールであってもよい。
【0040】
図8に示すように、充電IC55は、入力端子INと出力端子OUTの間に接続されたFET(電界効果トランジスタ)553と、入力端子INに並列に接続された抵抗550及び抵抗551の直列回路と、抵抗550及び抵抗551の接続点に非反転入力端子が接続され、FET553の出力に反転入力端子が接続されたコンパレータ552と、を備える。換言すれば、充電IC55は、入力端子INと出力端子OUTの間に接続されたリニアレギュレータを備える。FET553のゲート電圧は、FET553の出力電圧及び出力電流が目標値(ここでは、一般的なリチウムイオン電池の充電制御に用いられる4.2V、460mAを一例とする)となるように、コンパレータ552によって制御される。
【0041】
図8に示す構成の充電IC55では、FET553における電力損失を利用して入力電圧の降圧を行う。FET553における電力損失をΔWとし、充電IC55の入力電圧をVINとし、充電IC55の出力電圧をVOUTとし、充電IC55の出力電流をIOUTとし、コンパレータ552の非反転入力端子に入力されるバイアス電流をIB1とし、コンパレータ552の反転入力端子に入力されるバイアス電流をIB2とすると、以下の式(A)が成り立つ。
【0042】
ΔW=(VIN−VOUT)・IOUT+VOUT・(IB1+IB2) (A)
【0043】
ここで、式(A)の右辺第二項は、式(A)の右辺第一項よりも十分に小さいため、式(A)は下記の式(B)に近似できる。したがって、充電IC55は、入力された電力のうち、式(B)にて示されるΔWの電力を消費するものとみなすことができる。
【0044】
ΔW=(VIN−VOUT)・IOUT (B)
【0045】
(MCU)
MCU50は、図6に示すように、プログラムを実行することにより実現される機能ブロックとして、エアロゾル生成要求検出部51と、操作検出部52と、電力制御部53と、報知制御部54と、を備える。
【0046】
エアロゾル生成要求検出部51は、吸気センサ15の出力結果に基づいてエアロゾル生成の要求を検出する。吸気センサ15は、吸口32を通じたユーザの吸引により生じた電源ユニット10内の圧力(内圧)変化の値を出力するよう構成されている。吸気センサ15は、例えば、不図示の取込口から吸口32に向けて吸引される空気の流量(すなわち、ユーザのパフ動作)に応じて変化する内圧に応じた出力値(例えば、電圧値又は電流値)を出力する圧力センサである。吸気センサ15は、コンデンサマイクロフォン等から構成されていてもよい。
【0047】
操作検出部52は、ユーザによる操作部14の操作を検出する。
【0048】
報知制御部54は、各種情報を報知するように報知部45を制御する。例えば、報知制御部54は、第2カートリッジ30の交換タイミングの検出に応じて、第2カートリッジ30の交換タイミングを報知するように報知部45を制御する。報知制御部54は、メモリー18に記憶されたパフ動作の回数又は負荷21への累積通電時間に基づいて、第2カートリッジ30の交換タイミングを検出し、報知する。報知制御部54は、第2カートリッジ30の交換タイミングの報知に限らず、第1カートリッジ20の交換タイミング、電源12の交換タイミング、電源12の充電タイミング等を報知してもよい。
【0049】
電力制御部53は、エアロゾル生成要求検出部51がエアロゾル生成の要求を検出した際に、放電端子41を介した電源12の放電を、スイッチ19のON/OFFによって制御する。電力制御部53は、負荷21によってエアロゾル源が霧化されることで生成されるエアロゾルの量が所望範囲に収まるように、言い換えると、電源12から負荷21に供給される電力量が一定範囲となるように制御する。
【0050】
具体的に説明すると、電力制御部53は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御によってスイッチ19のON/OFFを制御する。これに代えて、電力制御部53は、PFM(Pulse Frequency Modulation:パルス周波数変調)制御によってスイッチ19のオン/オフを制御してもよい。
【0051】
電力制御部53は、少なくとも電源12の放電制御を行うものであればよいが、電源12の充電制御を併せて行うものであってもよい。例えば、電力制御部53は、充電IC55が電源12を充電している状態において、エアロゾル生成の要求を検出した場合には、充電IC55による電源12の充電を停止させる制御を行ってから、電源12の放電制御を行ってもよい。また、電力制御部53は、充電IC55が電源12を充電している状態において、電源12の充電状態が所定状態に達した場合に、充電を終了させる制御を行ってもよい。
【0052】
(電源の充電動作)
以上のように構成されたエアロゾル吸引器1における電源12の充電時の動作について説明する。充電端子43に充電ケーブルが接続され、この充電ケーブルが外部電源に接続されると、電源12の充電が開始される。
【0053】
以下では、一例として、充電端子43の入力電圧を5.15Vとし、充電端子43の入力電流を500mAとし、抵抗器43Rの抵抗値を1Ωとし、FPC基板13Sの配線抵抗である抵抗13の抵抗値を24mΩとした場合の充電動作について説明する。
【0054】
充電端子43の入力端子INに500mAの電流が流れると、抵抗器43Rにおいては、500mA×1Ω=0.5Vの電圧降下が生じる。そのため、FPC基板13Sに入力される電圧は5.15−0.5=4.65Vとなる。また、FPC基板13Sにおいては、抵抗13(抵抗値=24mΩ)によって、500mA×24mΩ≒0.01Vの電圧降下が生じる。そのため、充電IC55に入力される入力電圧VINは、4.65−0.01=4.64Vとなる。そして、充電IC55においては、出力電圧VOUTが4.2Vとなるよう、0.44Vの降圧が行われる。
【0055】
図9は、電源12の充電時において充電端子43に入力される電圧の変化を示す図である。図9に示すように、第一回路基板43Sにおいては、抵抗器43Rによって0.5Vの電圧降下が生じるため、0.5V×500mA=0.25Wの電力が消費される。また、第二回路基板50Sにおいては、充電IC55において0.44Vの電圧降下が生じるため、0.44V×460mA≒0.20Wの電力が消費される。
【0056】
ここで、図7に示す回路構成において、第一回路基板43Sの抵抗器43Rが存在しない場合を比較例とすると、第一回路基板43Sにおいては電圧降下が生じないため、電力は消費されない。一方、第二回路基板50Sにおいては、(5.15−0.01)−4.2=0.94Vの電圧降下が生じるため、0.94V×460mA≒43.2Wの電力が消費されることになる。
【0057】
図7に示す電源ユニット10の構成によれば、上記の比較例の構成の充電IC55にて消費される電力の一部を、第二回路基板50Sから離れた位置にある第一回路基板43Sにて消費させることができる。つまり、電源ユニット10内において、離れた位置にある第一回路基板43Sと第二回路基板50Sがそれぞれ発熱して熱を分散することになる。このため、電源ユニット10内において発熱源が1箇所に集中している比較例と比べると、電源ユニット10内の熱の偏りを防いで、電源12の温度上昇を抑制することができる。したがって、電源12の劣化を抑制して機器の寿命を延ばすことができる。さらに、第二回路基板50Sばかりに発熱源が集中することが抑制されるため、充電IC55やMCU50などの第二回路基板50Sに設けられた素子を保護できる。なお、FPC基板13Sの抵抗13の抵抗値は配線抵抗であり、ごく僅かな値であるため、発熱量は無視できるほど小さく、この抵抗による電源12への熱的な影響は軽微である。
【0058】
このように、電源ユニット10内の熱の偏りを防ぐという観点から言うと、抵抗器43Rの抵抗値は、電源12の充電時における第一回路基板43Sと第二回路基板50Sの発熱量が実質的に同一になる値とすることが好ましい。2つの発熱量が実質的に同一とは、2つの発熱量の差が、それぞれの発熱量の10%以下(好ましくは5%以下)となっていることを言う。
【0059】
なお、第一回路基板43Sには発熱する素子として抵抗器43Rのみが設けられている。しかし、第二回路基板50Sには、充電IC55及びMCU50等の複数の発熱する素子が設けられている。そして、第二回路基板50Sにおいては、充電IC55及びMCU50による発熱量が多くを占める。
【0060】
そのため、抵抗器43Rの抵抗値を、電源12の充電時における抵抗器43Rの消費電力と、電源12の充電時における充電IC55及びMCU50の消費電力の和と、が実質的に同一となる値とする。このようにすることで、電源12の充電時における第一回路基板43Sと第二回路基板50Sの発熱量を実質的に同一にする構成を容易に実現することができる。なお、2つの消費電力が実質的に同一とは、2つの消費電力の差が、それぞれの消費電力の10%以下(好ましくは5%以下)となっていることを言う。
【0061】
更に、第二回路基板50Sにおいては、充電IC55の発熱量が最も大きい。そのため、抵抗器43Rの抵抗値は、電源12の充電時における抵抗器43Rの消費電力が、電源12の充電時における充電IC55の消費電力よりも大きくなる値としておくとよい。
【0062】
具体的には、抵抗器43Rの抵抗値をRとし、充電端子43から入力される電流をIINとし、充電端子43から入力される電圧をVBUSとし、抵抗13の抵抗値をRFPCとすると、以下の式(C)の関係が成り立つようにすればよい。式(C)を変形すると式(D)が得られるため、式(D)を満たすように、抵抗器43Rの抵抗値を決めておけばよい。このようにすることで、電源12の充電時における抵抗器43Rの消費電力を、電源12の充電時における充電IC55の消費電力よりも大きくすることができる。
【0063】
R・IIN>{VBUS−(R+RFPC)・IIN−VOUT}・IOUT 式(C)
R>(VBUS−VOUT−RFPC・IIN)・IOUT/(IIN+IOUT)・IIN 式(D)
【0064】
また、このようにすることで、電源12の充電時における抵抗器43Rの消費電力と、電源12の充電時における充電IC55及びMCU50の消費電力の和とを等しくする構成や、電源12の充電時における第一回路基板43Sと第二回路基板50Sの発熱量を実質的に同一にする構成を容易に実現することができる。
【0065】
なお、充電IC55には、電源12の充電電圧の目標値である4.2Vを出力するために最低限必要な入力電圧が、最低動作保証電圧として定められている。このため、充電IC55に入力される電圧がこの最低動作保証電圧を下回らないように、抵抗器43Rの抵抗値の上限値を決めておく必要がある。つまり、抵抗器43Rは、外部電源が供給する電圧を、充電IC55の最低動作保証電圧より大きい値まで降圧する抵抗値を有するものとする必要がある。
【0066】
一般的に使用される充電IC55の最低動作保証電圧を例えば4.45Vとすると、充電端子43に入力される電圧(上記の例では5.15V)から、FPC基板13Sの抵抗13による降下電圧(上記の例では0.01V)と上記の最低動作保証電圧とを減算した電圧値(=0.69V)を、充電端子43の入力電流(上記の例では500mA)にて除算した値(=1.38Ω)が、抵抗器43Rの抵抗値の上限値となる。
【0067】
また、上述した各種の電圧、電流、抵抗値の設計においては、抵抗器43Rの抵抗値を1Ω以上1.38Ωの範囲にすることで、電源ユニット10内における熱のバランスを最適化して、電源12の温度上昇を抑制することができる。
【0068】
なお、電源12の電源電圧がMCU50の最低動作保証電圧を下回っている状態においては、MCU50が、外部電源からの電力供給を受けて動作する場合も考えられる。この場合には、抵抗器43Rは、外部電源が供給する電圧を、充電IC55の最低動作保証電圧より大きく、且つ、MCU50の最低動作保証電圧より大きい値まで降圧する抵抗値を有するものしておけばよい。
【0069】
第一回路基板43Sから電源12までの距離と、第二回路基板50Sから電源12までの距離がほぼ同じであれば、上述したように、第一回路基板43Sと第二回路基板50Sの各々の充電時における発熱量を実質的に同一にすることで、第一回路基板43Sと第二回路基板50Sの各々が電源12に与える熱量を実質的に同一にすることができる。
【0070】
しかし、電源ユニット10内の各種部材の配置の制約等によって、第一回路基板43Sから電源12までの距離と、第二回路基板50Sから電源12までの距離が同じにできない場合もある。このような場合には、この2つの距離の差を考慮して、第一回路基板43Sと第二回路基板50Sの各々の充電時における発熱量を決めておくことが好ましい。
【0071】
例えば、第一回路基板43Sから電源12までの距離の二乗で第一回路基板43Sの充電時の消費電力(又は発熱量)を割った値を、第一回路基板43Sの充電時における電源12に与える熱量と定義する。また、第二回路基板50Sから電源12までの距離の二乗で第二回路基板50Sの充電時の消費電力(又は発熱量)を割った値を、第二回路基板50Sの充電時における電源12に与える熱量と定義する。このように定義した場合、抵抗器43Rの抵抗値は、これら2つの熱量が実質的に同一になる値にしておく。これにより、第一回路基板43Sと第二回路基板50Sの各々から電源12に同程度に熱量が加わることとなり、電源ユニット10内の熱の偏りを防いで、電源12の温度上昇を抑制することができる。
【0072】
充電IC55がリニアレギュレータに代えてスイッチングレギュレータを用いる場合は、充電時におけるスイッチングレギュレータの損失に基づき、抵抗器43Rの抵抗値を設定すればよい。スイッチングレギュレータの損失としては、遷移損失、導通損失、スイッチング損失などが挙げられる。
【0073】
ここまでは、抵抗器43Rの抵抗値を、電源12の充電時における2つのパラメータ(発熱量、消費電力、熱量)を近づけることのできる値とする例を示した。エアロゾル吸引器1においては、電源12を充電しながら、電源12の放電を行うことも可能である。
【0074】
そこで、抵抗器43Rの抵抗値は、電源12の充電と放電の両方を同時に行う場合に、第一回路基板43Sと第二回路基板50Sの各々の発熱量又は消費電力が実質的に同一になるような値としたり、第一回路基板43Sが電源12に与える熱量と第二回路基板50Sが電源12に与える熱量とが実質的に同一になるような値としたりしてもよい。
【0075】
また、エアロゾル吸引器1においては、外部電源と充電IC55が接続されている状態にて、電源12の充電は行わずに電源12の放電のみを行うことも可能である。そこで、抵抗器43Rの抵抗値は、電源12の放電を行う場合に、第一回路基板43Sと第二回路基板50Sの各々の発熱量又は消費電力が実質的に同一になるような値としたり、第一回路基板43Sが電源12に与える熱量と第二回路基板50Sが電源12に与える熱量とが実質的に同一になるような値としたりしてもよい。
【0076】
図10は、電源ユニット10内の電源12に対する第一回路基板43Sと第二回路基板50Sの配置の第一の変形例を示す模式図である。図10は、電源12と第一回路基板43Sと第二回路基板50Sを、電源ユニット10の長手方向Aに垂直な方向から見た図である。図10の例では、第二回路基板50Sが、電源12の短手方向における一方の端部に隣接して配置された点が、図5とは異なる。なお、図10において、第一回路基板43Sと第二回路基板50Sの位置は逆であってもよい。図10に示す配置例であっても、図5と同様に、熱源となる第一回路基板43S及び第二回路基板50Sが、電源12の異なる面に近接して配置される構成となる。このため、電源12への局所的な加熱を抑制することが可能である。
【0077】
なお、第一回路基板43Sと第二回路基板50Sとで充電時における発熱量に差がある場合には、図10に示す配置例において、充電時における発熱量の大きい回路基板を、図10における第二回路基板50Sの位置に配置することが好ましい。このようにすることで、電源12の広い面で発熱量の大きい回路基板の発熱を受けられる。従って、電源12への局所的な加熱を抑制して、電源12の寿命を延ばすことができる。
【0078】
図11は、電源ユニット10内の電源12に対する第一回路基板43Sと第二回路基板50Sの配置の第二の変形例を示す模式図である。図11は、電源12と第一回路基板43Sと第二回路基板50Sを、電源ユニット10の長手方向Aに垂直な方向から見た図である。図11の例では、第一回路基板43Sが、電源12の短手方向における他方の端部に隣接して配置された点が、図10とは異なる。図11に示す配置例であっても、図5と同様に、熱源となる第一回路基板43S及び第二回路基板50Sが、電源12の異なる面に近接して配置される構成となる。このため、電源12への局所的な加熱を抑制することが可能である。電源12への局所的な加熱を抑制する観点からは、第一回路基板43Sと第二回路基板50Sが、電源ユニット10の長手方向においてオフセットして配置されることが好ましい。
【0079】
以上の説明では、充電IC55が電源ユニットケース11に内蔵される構成を前提としたが、本発明の思想は、この構成以外にも適用可能である。例えば、図7に示す電源ユニット10において、充電端子43に接続される充電ケーブル内に充電IC55が内蔵され、電源12の充放電の制御をMCU50が行う構成であってもよい。この構成においても、充電端子43に直列に接続された抵抗器43Rがあることで、充放電制御を行うMCU50の動作による第二回路基板50Sの発熱と、第一回路基板43Sにおける発熱とが生じる。これにより、電源12の局所的な加熱を防いで、電源12の寿命を延ばすことができる。
【0080】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0081】
(1)
エアロゾル生成源からエアロゾルを発生させるための負荷(負荷21)に放電可能な電源(電源12)と、
抵抗器(43R)を有する第一回路基板(第一回路基板43S)と、
前記第一回路基板から離間し、且つ、前記第一回路基板と電気的に接続される第二回路基板(第二回路基板50S)と、を備え、
前記第二回路基板は、前記電源の放電と充電の少なくとも一方を制御可能に構成される制御装置(MCU50)と、入力される電力を前記電源の充電電力に変換する充電装置(充電IC55)と、の少なくとも一方を有するエアロゾル吸引器(エアロゾル吸引器1)用の電源ユニット(電源ユニット10)。
【0082】
(1)によれば、第一回路基板と第二回路基板に通電された場合に、第一回路基板と第二回路基板の各々が発熱するため、電源ユニット内の熱の偏りを防いで、電源の温度上昇を抑制することができる。したがって、電源の劣化を抑制して機器の寿命を延ばすことができる。併せて、特定の回路基板又は回路素子への熱の集中を抑制できる。この結果、電源を新品のものと交換することなく使用できる期間を最大化できるという省エネルギー効果を有する。
【0083】
(2)
(1)記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記充電装置と前記制御装置の少なくとも一方は、前記第二回路基板にのみ設けられているエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0084】
(2)によれば、発熱量が大きくなりやすい充電装置と制御装置の少なくとも一方が第二回路基板のみに設けられているため、第二回路基板の発熱が大きくなりやすい。この構成においても、第一回路基板と第二回路基板の各々が発熱するため、電源ユニット内の熱の偏りを防いで、電源の温度上昇を抑制することができる。
【0085】
(3)
(1)又は(2)記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記第一回路基板は、外部電源が電気的に接続可能なコネクタ(充電端子43)を有し、
前記抵抗器は、前記コネクタに対して直列に接続されるエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0086】
(3)によれば、コネクタから入力される電圧を抵抗器によって降下させた状態にて第二回路基板に供給可能となる。このため、第二回路基板における発熱を抑制することが可能となる。これにより、第二回路基板に設けられる充電装置又は制御装置、その他の素子を熱から保護することができる。
【0087】
(4)
(1)から(3)のいずれか1つに記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記第二回路基板は、前記充電装置を備えるエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0088】
(4)によれば、第二回路基板が充電装置を備えるため、第二回路基板の発熱が大きくなりやすい。この構成においては、充電装置において消費すべき電力を、第一回路基板の抵抗器によって消費することで、充電装置の発熱を抑制することが可能となる。この結果、第二回路基板の発熱を抑制することができる。
【0089】
(5)
(1)から(4)のいずれか1つに記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記抵抗器は、前記電源の充電時における前記第一回路基板と前記第二回路基板の発熱量が実質的に同一になる抵抗値を有するエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0090】
(5)によれば、抵抗器によって第一回路基板と第二回路基板の発熱量が同程度になるため、電源ユニット内の熱の偏りを防いで、電源の温度上昇を抑制することができる。
【0091】
(6)
(1)から(4)のいずれか1つに記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記第二回路基板は、前記充電装置を備え、
前記抵抗器は、前記電源の充電時における前記抵抗器の消費電力が、前記電源の充電時における前記充電装置の消費電力よりも大きくなる抵抗値を有するエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0092】
(6)によれば、電源の充電時における充電装置の消費電力を小さくできるため、充電装置に起因する第二回路基板の発熱を減らすことができる。また、充電装置の消費電力が小さくできる分、第二回路基板に電力を消費する他の素子を設けた場合でも、第一回路基板と第二回路基板とで発熱のバランスを保つことができ、電源ユニット内の熱の偏りを防ぐことができる。また、第二回路基板に設けられる他の素子が熱によるダメージを受けにくくなる。
【0093】
(7)
(6)記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記第二回路基板は、前記制御装置を更に備えるエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0094】
(7)によれば、制御装置が発熱する場合でも、第一回路基板と第二回路基板とで発熱のバランスを保つことができ、電源ユニット内の熱の偏りを防ぐことができる。また、制御装置が熱によるダメージを受けにくくなる。
【0095】
(8)
(1)から(4)のいずれか1つに記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記第二回路基板は、前記充電装置と前記制御装置を備え、
前記抵抗器は、前記電源の充電時における前記抵抗器の消費電力が、前記電源の充電時における前記充電装置と前記制御装置の消費電力の和と実質的に同一となる抵抗値を有するエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0096】
(8)によれば、抵抗器の消費電力と充電装置及び制御装置の消費電力とが等しくなるため、第一回路基板と第二回路基板とで発熱のバランスを保つことができ、電源ユニット内の熱の偏りを防ぐことができる。
【0097】
(9)
(1)から(4)のいずれか1つに記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記第一回路基板は、外部電源が電気的に接続可能なコネクタ(充電端子43)を有し、
前記抵抗器は、前記外部電源が供給する電圧を、前記充電装置又は前記制御装置の最低動作保証電圧より大きい値まで降圧する抵抗値を有するエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0098】
(9)によれば、抵抗器による電圧降下は、最低動作保証電圧を下回らない範囲で行われる。このため、充電装置又は制御装置には最低動作保証電圧が入力可能となり、充電装置又は制御装置を充分に機能させることができる。
【0099】
(10)
(1)から(4)のいずれか1つに記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記抵抗器は、1Ω以上1.38Ω以下の抵抗値を有するエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0100】
(10)によれば、一般的に使用される充電装置又は制御装置を想定した実験的及び解析的に求めた抵抗値の具体的な条件であるため、電源ユニット内の熱の偏りを防ぐことができる。
【0101】
(11)
(10)記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記抵抗値は1Ωであるエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0102】
(11)によれば、小型化と低コスト化が可能となる。
【0103】
(12)
(1)から(11)のいずれか1つに記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記第一回路基板が最も近接する前記電源の面は、前記第二回路基板が最も近接する前記電源の面とは異なるエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0104】
(12)によれば、電源の局所的な加熱を抑制することができる。
【0105】
(13)
(1)から(11)のいずれか1つに記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記第一回路基板は、前記電源の長手方向の一端側に設けられ、
前記第二回路基板は、前記電源の長手方向の他端側に設けられるエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0106】
(13)によれば、電源の局所的な加熱を抑制することができる。
【0107】
(14)
(1)から(11)のいずれか1つに記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記第一回路基板は、前記電源の長手方向の端部と短手方向の端部との一方に設けられ、
前記第二回路基板は、前記電源の長手方向の端部と短手方向の端部との他方に設けられるエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0108】
(14)によれば、電源の局所的な加熱を抑制することができる。
【0109】
(15)
(14)記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記第一回路基板と前記第二回路基板のうちの発熱量が高い方は、前記電源の短手方向の端部に設けられるエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0110】
(15)によれば、電源の局所的な加熱を抑制することができる。
【0111】
(16)
エアロゾル生成源からエアロゾルを発生させるための負荷(負荷21)に放電可能な電源(電源12)と、
第一回路基板(第一回路基板43S)と、
前記第一回路基板から離間し、且つ、前記第一回路基板と電気的に接続される第二回路基板(第二回路基板50S)と、を備え、
前記電源の充電時と放電時の少なくとも一方における前記第一回路基板と前記第二回路基板の各々の発熱量は、実質的に同一であるエアロゾル吸引器(エアロゾル吸引器1)用の電源ユニット(電源ユニット10)。
【0112】
(16)によれば、第一回路基板と第二回路基板に通電された場合に、第一回路基板と第二回路基板の各々が同程度に発熱するため、電源ユニット内の熱の偏りを防いで、電源の温度上昇を抑制することができる。したがって、電源の劣化を抑制して機器の寿命を延ばすことができる。併せて、特定の回路基板又は回路素子への熱の集中を抑制できる。この結果、電源を新品のものと交換することなく使用できる期間を最大化できるという省エネルギー効果を有する。
【0113】
(17)
エアロゾル生成源からエアロゾルを発生させるための負荷(負荷21)に放電可能な電源(電源12)と、
第一回路基板(第一回路基板43S)と、
前記第一回路基板から離間し、且つ、前記第一回路基板と電気的に接続される第二回路基板(第二回路基板50S)と、を備え、
前記電源の充電時と放電時の少なくとも一方における前記第一回路基板が有する素子と前記第二回路基板が有する素子の各々の総消費電力は、実質的に同一であるエアロゾル吸引器(エアロゾル吸引器1)用の電源ユニット(電源ユニット10)。
【0114】
(17)によれば、第一回路基板と第二回路基板に通電された場合に、第一回路基板と第二回路基板の各々が同程度に電力を消費して発熱するため、電源ユニット内の熱の偏りを防いで、電源の温度上昇を抑制することができる。したがって、電源の劣化を抑制して機器の寿命を延ばすことができる。併せて、特定の回路基板又は回路素子への熱の集中を抑制できる。この結果、電源を新品のものと交換することなく使用できる期間を最大化できるという省エネルギー効果を有する。
【0115】
(18)
エアロゾル生成源からエアロゾルを発生させるための負荷(負荷21)に放電可能な電源(電源12)と、
第一回路基板(第一回路基板43S)と、
前記第一回路基板から離間し、且つ、前記第一回路基板と電気的に接続される第二回路基板(第二回路基板50S)と、を備え、
前記電源の充電時と放電時の少なくとも一方における前記第一回路基板が前記電源に与える熱量と前記第二回路基板が前記電源に与える熱量の各々は、実質的に同一であるエアロゾル吸引器(エアロゾル吸引器1)用の電源ユニット(電源ユニット10)。
【0116】
(18)によれば、第一回路基板と第二回路基板に通電された場合に、第一回路基板と第二回路基板の各々から電源に同程度に熱量が加わるため、電源ユニット内の熱の偏りを防いで、電源の温度上昇を抑制することができる。したがって、電源の劣化を抑制して機器の寿命を延ばすことができる。併せて、特定の回路基板又は回路素子への熱の集中を抑制できる。この結果、電源を新品のものと交換することなく使用できる期間を最大化できるという省エネルギー効果を有する。
【符号の説明】
【0117】
1 エアロゾル吸引器
10 電源ユニット
12 電源
20 第1カートリッジ
21 負荷
22 エアロゾル源
31 香味源
30 第2カートリッジ
43R 抵抗器
43S 第一回路基板
50 MCU
50S 第二回路基板
【要約】
【課題】電源の温度上昇を抑制することのできるエアロゾル吸引器用の電源ユニットを提供する。
【解決手段】エアロゾル吸引器1は、エアロゾル生成源からエアロゾルを発生させるための負荷21に放電可能な電源12と、抵抗器43Rを有する第一回路基板43Sと、第一回路基板43Sから離間し、且つ、第一回路基板43Sと電気的に接続される第二回路基板50Sと、を備え、第二回路基板50Sは、電源12の放電を制御するMUC50と、入力される電力を電源12の充電電力に変換する充電IC55と、を有する。
【選択図】図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11