【実施例1】
【0027】
本発明の外装材1は、
図1に示す第1実施例に示すように面板部11の周縁を表面側或いは裏面側に折曲して係合部13、被係合部12をそれぞれ成形してなり、隣接する外装材1,1同士が相互に係合するように敷設するものである。
そして、少なくとも水上側に位置して隣接する二辺112,112には、表面側に折曲して被係合部12が設けられ、水下側に位置して隣接する二辺113,113には、裏面側に折曲して係合部13が設けられ、少なくとも水上側頂部111における前記被係合部12は、隣接する二辺112,112に跨がって連続状に形成されている。
【0028】
この第1実施例の外装材1は、
図1(a)に示すように両側方の角部115,116が切り込まれた厳密には略六角形状の面板部11を有する菱形外装材であり、
図2(a)に示す金属板材10をプレス加工等により成形されたものである。この
図2(a)にハッチング部分は、切り欠き予定部分101を示し、該部分101を打ち抜き加工した後、
図2(b)に示すように図面上方に位置する二辺については、表面側に折曲して二辺に跨って連続状の被係合部12を成形し、図面下方に位置する二辺については、裏面側に折曲して二辺に跨って連続状の係合部13を成形した。
【0029】
この外装材1は、
図3に示す外装構造では水上側頂部111が鈍角となるように取り付けられている。言い換えればこの面板部11は、水上側頂部111(及び対向する水下側角部114)が鈍角である横長の
菱形である。
前記被係合部12は、
図1(a),(e)に示すように水上側(図面では上側)に位置して隣接する二辺112,112に形成され、略一定幅に表面側に折曲されたものであるが、二辺112,112が交差する中央部分121が円弧状に切除され、折返し片が短く形成されている。この被係合部12は、水上側頂部111において前述のようにプレス加工により隣接する二辺112,112に跨がって連続状に形成した。また、円弧状の切除部分121には、突起ポイント状の位置決め部14が形成されている。
前記係合部13は、
図1(b),(f)に示すようにそれ以外の二辺113,113に形成され、略一定幅に裏面側に折曲されたものであるが、二辺113,113が交差する中央部分131が円弧状に切除され、折返し片が短く形成されている。この係合部13は、水下側角部114において前述のようにプレス加工により隣接する二辺113,113に跨がって連続状に形成した。
【0030】
この外装材1を取付保持する保持部材5は、後述する
図4及び
図5に示す第2実施例における保持部材5と共通するので、
図5(a)を用いて説明する。
この保持部材5は、図示しない下地又は支持部材に固定される固定部51と、外装材1の水上側頂部111を形成する二辺の被係合部12,12にそれぞれ係合する係止部52,52と、を有し、該係止部52,52に近接して前記外装材1の位置決め部14を目視可能な開口部53を備える。
【0031】
図4及び
図5に示す第2実施例では、外装材1Bは、被係合部12bが水上側頂部111bを形成する二辺に形成され、略一定幅に表面側に折曲され、二辺が交差する中央部分121が円弧状に切り欠かれている構成は前記第1実施例と全く同様であるが、その中央が水下側へ突出状に形成されて位置決め部14bとなっている。それ以外の外装材1Bの構成は前記第1実施例の外装材1と全く同様であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。
【0032】
この第2実施例には、外装材1Bを敷設する下地構造として、
図4(b)に示す構造を採用した。即ち断面略ハット型の支持部材2を所定間隔にて流れ方向に沿うように配設されている。この支持部材2は、頂面部21と、側面を形成する縦面部22,22と、該縦面部22,22の下端を外側へ折り曲げて形成した固定部23,23とからなる。なお、流れ方向とは、
図4(a)では図面の右上から左下方向に向かう方向を指し、この支持部材2の配設間隔には断熱材3が配設されている。
【0033】
また、前記支持部材2は、頂面部21に前記保持部材5を容易に取り付けるための構成が備えられている。即ち水下側縦片212と、水上側縦片213とがそれぞれ切り起こしにて設けられている。
なお、この第2実施例の保持部材5は、前述のように前記第1実施例と同様であり、略平坦状で略正方形状の固定部51と、その水下側に折返し基端が連続状に形成された係止部52,52と、該係止部52,52間に設けられる略扇状に切り欠かれた開口部53を備えるピース材であって、該開口部53の開口縁部の略中央には水下側へ突起状の合わせ部531が設けられた構成である。
また、前記固定部51には、図示しない固定具を打ち込むための孔511と、支持部材2Bに設けた水下側縦片212の挿通可能なスリット513と、水上側縦片213を係止可能な溝514と、が設けられ、溝514の略中央にはV字状の切り込みを形成して合わせ部512とした。
【0034】
前記支持部材2へ、前記外装材1B及び前記保持部材5を取り付ける際には、
図5(a)に示すように、支持部材2に対しておおよその位置に外装材1Bを配した状態で、
図5(b)に示すように保持部材5を水上側から臨ませ、支持部材2と外装材1Bとの間に差し込むように配し、その係止部52,52と外装材1Bの被係合部12b,12bとが係合するように組み合わせる。その際、保持材5の合わせ部512と外装材1Bの位置決め部14bとを一致させつつ組み合わせ、この状態で保持材5のスリット513に支持部材2の水下側縦片212を挿通させ、溝512に水上側縦片213を係止させる。
その後、
図5(c)に示すように縦片212,213を倒し込み(倒し片212',213')、支持部材2に保持部材5を取り付けることができる。
なお、保持部材5を支持部材2に対して取り付けた状態で、外装材1Bを水下側から配するようにしてもよい。
【0035】
このように保持部材5を用いた外装材1Bの取付作業(操作)は、保持部材5の開口部53から外装材1Bの水上側頂部111付近に設けた位置決め部14bを目視しながら位置調整を行って外装材1Bを適正位置に取り付けることができる。
詳しくは、保持部材5の開口部53から外装材1Bの位置決め部14bを目視しながら保持部材5に形成したV字状の切り込みである合わせ部512及び水下側の突起状の合わせ部531を直線上に並ぶように位置調整を行いつつ、外装材1Bを適正位置に取り付けることができる。
なお、このような取付作業は、位置決め部14bの形状構成が異なる第1実施例でも同様であるから、当然のことながら、同様に取り付けることができる。
また、これらの第1実施例や第2実施例では、保持部材5により外装材1,1Bを取付保持する構造であるため、外装材1,1Bにビス等の固着具などの孔を形成することがないため、雨水等の浸入を生ずる畏れがない構造となる。
【0036】
そして、前記外装材1,1Bは、水上側頂部111,111bにおける被係合部12,12bが、隣接する二辺112,112に跨がって連続状に形成されているので、確実に隣接する外装材1,1(又は1B,1B)同士を相互に係合でき、前記従来技術の突き合わせや折り重ねのように漏水や浸水を生ずることがなく、優れた防水性を有するものである。なお、外装材1,1Bの保持部材5による保持箇所は水上側頂部111,111bの一箇所であるが、確実に隣接する外装材1,1(又は1B,1B)同士が相互に係合するので、確実に固定することができる。したがって、優れた意匠性を有し、且つ構造的利点を備える菱葺き外装構造等を容易に且つ高い精度で施工することができる。