特許第6573770号(P6573770)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 元旦ビューティ工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6573770-外装材、及び外装構造 図000002
  • 特許6573770-外装材、及び外装構造 図000003
  • 特許6573770-外装材、及び外装構造 図000004
  • 特許6573770-外装材、及び外装構造 図000005
  • 特許6573770-外装材、及び外装構造 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6573770
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】外装材、及び外装構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 1/18 20060101AFI20190902BHJP
【FI】
   E04D1/18 C
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-68102(P2015-68102)
(22)【出願日】2015年3月30日
(65)【公開番号】特開2016-188475(P2016-188475A)
(43)【公開日】2016年11月4日
【審査請求日】2017年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000165505
【氏名又は名称】元旦ビューティ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082669
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 賢三
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100095061
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 恭介
(72)【発明者】
【氏名】舩木 元旦
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−064731(JP,U)
【文献】 実公昭06−003745(JP,Y1)
【文献】 実開昭57−029613(JP,U)
【文献】 特開平04−062251(JP,A)
【文献】 特開平08−060808(JP,A)
【文献】 実開平04−030617(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 1/18
E04F 13/12
E04F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
面板部の周縁を表面側或いは裏面側に折曲して係合部、被係合部をそれぞれ成形してなる外装材にあって、
前記面板部は、水上側頂部及び対向する水下側角部が鈍角である横長の菱形であり水上側に位置して隣接する二辺には、表面側に折曲して被係合部が設けられ、水下側に位置して隣接する二辺には、裏面側に折曲して係合部が設けられ水上側頂部における前記被係合部及び水下側角部における前記係合部は、隣接する二辺に跨がって連続する鈍角状に形成されていることを特徴とする外装材。
【請求項2】
水上側頂部における被係合部は、折返し端縁の先端が平面視円弧状になるように切除されていることを特徴とする請求項1に記載の外装材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の外装材同士が相互に係合するように隣接させて敷設していることを特徴とする外装構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、菱葺き外装材等の外装材を浸水や漏水の恐れなく敷設することができる外装材、及び外装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に平葺きは、比較的小単位の外装材を重ねて葺いていく工法であり、通常の板金工具で施工でき、極めて多種の屋根に広く適用され、例えば神社・仏閣や住宅など木造建築の屋根を中心に広く適用されている。この平葺きに属する菱葺きは、外装材が菱形を呈するという意匠性に加え、裏面側に生成される結露の殆どを水下側の屋根材の表面側へ排出、流下させることができるため、下地材への水分の影響も少ないという構造的利点をも有している。
【0003】
このような菱葺きに関する構造としては、例えば特許文献1,2に記載の構造が知られていた。
特許文献1には、一つの外装材1Aの水下側の斜辺(下向きハゼ3A,3B)の交差角部(水下側角部)に下段側の屋根材との段差tにより生ずる隙間を閉塞する方形状の風防板4A,4Bを垂設し、該風防板4A,4Bの下部を下段側の屋根材1Cに当接する構造が記載されている(第3図)。なお、水上側の斜辺には、表面側へ折り返した上向きハゼ2A,2Bが形成されているが、これらが交差して形成する水上側頂部については、ハゼの折返し片が突き合わせられている(第1,2図)。
特許文献2には、金属製の面材11の水上側の二辺を表面側へ折り曲げて係合受部12を形成し、水下側の二辺を裏面側へ折り曲げて係合部16を形成した構造が記載され、水上側頂部は水上側の二辺の端部同士が折り重ねられて隅角止水部15を形成している(図1〜3)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平3−33856号公報
【特許文献2】実公平7−11219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1では、前述のように水上側頂部がハゼの折返し片を突き合わた構造であるから、当該部分に隙間ができやすく、屋根上に雨水が吹きつけられた場合にその隙間から裏面側に浸水する恐れがあった。
さらに、この特許文献1には明記されていないが、被係合部を吊子で固定する場合や、上段側の屋根材係合部を係合させる場合に、前記突き合わせ部が離反する恐れもあり、漏水につながる恐れがあった。
【0006】
また、前記特許文献2では、前述のように水上側頂部が被係合部の端部同士を折り重ねた構造であるから、前記特許文献1よりは裏面側への浸水は起きにくいが、板材が重ねられているため、毛細管現象による漏水の恐れがあった。
さらに、この特許文献2では、折り返した端部を更に折った折り重ねであるため、隅部の「つぶし」が不十分だと係合不良が起きやすくなったり、「つぶし」すぎると、被係合部の高さが低くなり、雨水の乗り越えが起きやすいものであった。
【0007】
そこで、本発明は、菱葺き外装材等の外装材を浸水や漏水の恐れなく敷設することができる外装材、及び外装構造を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記に鑑み提案されたものであって、面板部の周縁を表面側或いは裏面側に折曲して係合部、被係合部をそれぞれ成形してなる外装材にあって、前記面板部は、水上側頂部及び対向する水下側角部が鈍角である横長の菱形であり水上側に位置して隣接する二辺には、表面側に折曲して被係合部が設けられ、水下側に位置して隣接する二辺には、裏面側に折曲して係合部が設けられ水上側頂部における前記被係合部及び水下側角部における前記係合部は、隣接する二辺に跨がって連続する鈍角状に形成されていることを特徴とする菱形外装材を提案するものである。
【0009】
また、本発明は、前記外装材において、水上側頂部における被係合部は、折返し端縁の先端平面視円弧状になるように切除されていることを特徴とする外装材をも提案する。
【0010】
さらに、本発明は、前記外装材同士が相互に係合するように隣接させて敷設していることを特徴とする外装構造をも提案するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の外装材は、面板部が、水上側頂部及び対向する水下側角部が鈍角である横長の菱形であって、水上側頂部における被係合部及び水下側角部における前記係合部が、隣接する二辺に跨がって連続する鈍角状に形成されているので、確実に隣接する外装材同士を相互に係合でき、前記従来技術の突き合わせや折り重ねのように漏水や浸水を生ずることがなく、優れた防水性を有するものである。そして、優れた意匠性を有し、且つ構造的利点を備える菱葺き外装構造等を容易に且つ高い精度で施工することができる。
【0012】
また、水上側頂部における被係合部は、折返し端縁の先端平面視円弧状になるように切除されている場合、被係合部をプレス加工等により隣接する二辺に跨がって連続する鈍角状に形成するための加工時の歪みによる「しわ」を防ぎ、その結果、被係合部の高さ(厚み)を均一に仕上げることができ、吊子等の保持部材の係合を確実かつ均一に行うことができる。
【0013】
さらに、本発明の外装構造は、前記構成の外装材を用いるので、漏水や浸水などを生ずることがない防水性を有するものであって、優れた意匠性を有し、且つ構造的利点を備える菱葺き外装構造等を容易に且つ高い精度で施工したものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)本発明の第1実施例の外装材を示す平面図、(b)その背面(裏面)図、(c)その正面側、(d)その側面図、(e)A部の拡大平面図、(f)B部の拡大平面図、(g)C線における断面図、(h)D線における断面図である。
図2】(a)本発明の第1実施例の外装材を成形する以前の板材を示す平面図、(b)成形後の板材(外装材)を示す平面図である。
図3】第1実施例の外装材を用いた外装構造の施工途中の状態を示す平面図である。
図4】(a)第2実施例の外装材を用いた外装構造の施工途中の状態を示す斜視図、(b)その下地構造を示す断面図である。
図5】(a)第2実施例の外装材を保持部材を用いて支持部材に取り付ける状態を示し、取付以前の保持部材、外装材、支持部材を示す斜視図、(b)支持部材に対し、位置調整しつつ保持部材及び外装材を配設した状態を示す斜視図、(c)支持部材に保持部材及び外装材が取り付けられた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の外装材(A)は、面板部(a-1)の周縁を表面側或いは裏面側に折曲して係合部(a-3)、被係合部(a-2)をそれぞれ成形してなり、前記面板部は、水上側頂部及び対向する水下側角部が鈍角である横長の菱形であり水上側に位置して隣接する二辺には、表面側に折曲して被係合部(a-2)が設けられ、水下側に位置して隣接する二辺には、裏面側に折曲して係合部(a-3)が設けられ水上側頂部における前記被係合部及び水下側角部における前記係合部は、隣接する二辺に跨がって連続する鈍角状に形成されているものである。
【0016】
前述のように外装材(A)は、隣接する外装材同士が相互に係合するものであれば、後述する図示実施例のように菱形外装材でもよいし、それ以外の矩形状(菱形以外の平行四辺形等)でもよく、水上側頂部が形成される六角形等の多角形状でもよい。素材についても、金属材でも合成樹脂系材料でもよく、特に限定するものではない。
【0017】
面板部(a-1)は、この外装材(A)が図示実施例のように菱形外装材の場合には菱形に成形され、それ以外の矩形状の場合や六角形等の多角形状に形成される外装材の場合にもそれに応じた形状に成形される。矩形状を例にすると、敷設状態の面板部(a-1)の水上側頂部を挟んだ二辺を表面側に折り返して被係合部(a-2)とし、他の二片を裏面側に折り返して係合部(a-3)とする。
【0018】
被係合部(a-2)は、前述のように少なくとも水上側に位置して隣接する二辺に形成されるものであって、面板部の水上側端縁を表面側に折曲した構成である。そして、水上側頂部における被係合部は、プレス加工等により隣接する二辺に跨がって連続状に形成されている。
【0019】
係合部(a-3)は、前述のように少なくとも水下側に位置して隣接する二辺に形成されるものであって、面板部の水下側端縁を裏面側に折曲した構成である。水下側角部における係合部は、係合部の端縁同士が突き合わせ状でも重合状でもよいが、前記水上側頂部における被係合部と同様にプレス加工等により隣接する二辺に跨がって連続状に形成されていることが望ましい。
なお、これらの被係合部(a-2)及び係合部(a-3)は、隣接する外装材同士が相互に係合するものであるから、係合可能であれば適宜に形成できる。
【0020】
なお、この外装材には、水上側頂部周辺に位置決め部を設けてもよい。この位置決め部は、二辺の被係合部(a-2)の内側隅部や二辺の被係合部(a-2)の外側角部であれば新たに加工を必要としないが、被係合部(a-2)や面板部(a-1)に円、線等の突部を設ける加工を行うようにしてもよい。なお、面板部(a-1)に突部を設ける場合、次工程である次段の外装材を敷設する位置決めを兼用するものでもよい。
【0021】
前記外装材を敷設する下地は、例えば比較的傾斜が緩やかな屋根下地でもよいし、縦面等の壁面下地でもよい。後述する図示実施例では流れ方向又はそれと直交する方向に連続する支持部材(垂木)を用い、該支持部材間に野地材等の断熱材を配した構造であるが、特にこの構成を限定するものではなく、支持部材の使用も特に限定するものではなく、例えば野地材上に直接外装材を敷設するものでもよい。
また、外装材の取付に際しても、ビス等の固着具を打ち込んで直接的に固定するようにしてもよいし、各種の保持部材を下地や支持部材に固定し、この保持部材により外装材を保持して取り付けるものでもよい。
【0022】
前述のように支持部材や保持部材は、前述のように必ずしも用いることなく敷設することもできる部材であり、以下の構成のものを用いることができる。
【0023】
支持部材は、後述する図示実施例のように比較的傾斜が緩やかな屋根下地や縦面等の壁面下地等の下地上に等間隔にて複数配設されるものでもよいし、流れ方向に沿うものでも、流れ方向に交わる(略直角状)ものでもよく、その配設方向は任意に設定できる。
また、この支持部材は、断面略ハット状、Z状、帯板状(プレート状)等であってもよく、保持部材を用いる場合には、この保持部材を取付可能であればその構成は特に限定するものではない。例えばこの支持部材と保持部材とは、ビス等の固着具で固定するものであっても、支持部材に設けた爪片等によって保持部材を取り付けるものでもよい。
【0024】
保持部材は、下地又は前記支持部材に固定されるものであり、後述する図示実施例のように、下地又は支持部字材に固定する固定部と外装材の被係合部に係合する係止部とを備える部材であり、位置調整を行う(=外装材の位置決め部を見る)ための開口部を有することが好ましく、固定部の水上側又は開口部の縁部に合わせ部を設けることが更に好ましい。
【0025】
そして、前記構成の本発明の外装材(A)は、少なくとも水上側頂部における前記被係合部(a-2)が、隣接する二辺に跨がって連続状に形成されているので、確実に隣接する外装材同士を相互に係合でき、優れた防水性を有するものである。したがって、優れた意匠性を有し、且つ構造的利点を備える菱葺き外装構造を容易に且つ高い精度で施工できるものである。
【0026】
また、特に水上側頂部における被係合部は、折返し端縁が円弧状に切除されている場合には、前述の被係合部をプレス加工等により隣接する二辺に跨がって連続状に形成するための加工時の歪みによる「しわ」を防ぎ、その結果、被係合部の高さ(厚み)を均一に仕上げることができ、吊子等の保持部材の係合を確実かつ均一に行うことができる。
【実施例1】
【0027】
本発明の外装材1は、図1に示す第1実施例に示すように面板部11の周縁を表面側或いは裏面側に折曲して係合部13、被係合部12をそれぞれ成形してなり、隣接する外装材1,1同士が相互に係合するように敷設するものである。
そして、少なくとも水上側に位置して隣接する二辺112,112には、表面側に折曲して被係合部12が設けられ、水下側に位置して隣接する二辺113,113には、裏面側に折曲して係合部13が設けられ、少なくとも水上側頂部111における前記被係合部12は、隣接する二辺112,112に跨がって連続状に形成されている。
【0028】
この第1実施例の外装材1は、図1(a)に示すように両側方の角部115,116が切り込まれた厳密には略六角形状の面板部11を有する菱形外装材であり、図2(a)に示す金属板材10をプレス加工等により成形されたものである。この図2(a)にハッチング部分は、切り欠き予定部分101を示し、該部分101を打ち抜き加工した後、図2(b)に示すように図面上方に位置する二辺については、表面側に折曲して二辺に跨って連続状の被係合部12を成形し、図面下方に位置する二辺については、裏面側に折曲して二辺に跨って連続状の係合部13を成形した。
【0029】
この外装材1は、図3に示す外装構造では水上側頂部111が鈍角となるように取り付けられている。言い換えればこの面板部11は、水上側頂部111(及び対向する水下側角部114)が鈍角である横長の菱形である。
前記被係合部12は、図1(a),(e)に示すように水上側(図面では上側)に位置して隣接する二辺112,112に形成され、略一定幅に表面側に折曲されたものであるが、二辺112,112が交差する中央部分121が円弧状に切除され、折返し片が短く形成されている。この被係合部12は、水上側頂部111において前述のようにプレス加工により隣接する二辺112,112に跨がって連続状に形成した。また、円弧状の切除部分121には、突起ポイント状の位置決め部14が形成されている。
前記係合部13は、図1(b),(f)に示すようにそれ以外の二辺113,113に形成され、略一定幅に裏面側に折曲されたものであるが、二辺113,113が交差する中央部分131が円弧状に切除され、折返し片が短く形成されている。この係合部13は、水下側角部114において前述のようにプレス加工により隣接する二辺113,113に跨がって連続状に形成した。
【0030】
この外装材1を取付保持する保持部材5は、後述する図4及び図5に示す第2実施例における保持部材5と共通するので、図5(a)を用いて説明する。
この保持部材5は、図示しない下地又は支持部材に固定される固定部51と、外装材1の水上側頂部111を形成する二辺の被係合部12,12にそれぞれ係合する係止部52,52と、を有し、該係止部52,52に近接して前記外装材1の位置決め部14を目視可能な開口部53を備える。
【0031】
図4及び図5に示す第2実施例では、外装材1Bは、被係合部12bが水上側頂部111bを形成する二辺に形成され、略一定幅に表面側に折曲され、二辺が交差する中央部分121が円弧状に切り欠かれている構成は前記第1実施例と全く同様であるが、その中央が水下側へ突出状に形成されて位置決め部14bとなっている。それ以外の外装材1Bの構成は前記第1実施例の外装材1と全く同様であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。
【0032】
この第2実施例には、外装材1Bを敷設する下地構造として、図4(b)に示す構造を採用した。即ち断面略ハット型の支持部材2を所定間隔にて流れ方向に沿うように配設されている。この支持部材2は、頂面部21と、側面を形成する縦面部22,22と、該縦面部22,22の下端を外側へ折り曲げて形成した固定部23,23とからなる。なお、流れ方向とは、図4(a)では図面の右上から左下方向に向かう方向を指し、この支持部材2の配設間隔には断熱材3が配設されている。
【0033】
また、前記支持部材2は、頂面部21に前記保持部材5を容易に取り付けるための構成が備えられている。即ち水下側縦片212と、水上側縦片213とがそれぞれ切り起こしにて設けられている。
なお、この第2実施例の保持部材5は、前述のように前記第1実施例と同様であり、略平坦状で略正方形状の固定部51と、その水下側に折返し基端が連続状に形成された係止部52,52と、該係止部52,52間に設けられる略扇状に切り欠かれた開口部53を備えるピース材であって、該開口部53の開口縁部の略中央には水下側へ突起状の合わせ部531が設けられた構成である。
また、前記固定部51には、図示しない固定具を打ち込むための孔511と、支持部材2Bに設けた水下側縦片212の挿通可能なスリット513と、水上側縦片213を係止可能な溝514と、が設けられ、溝514の略中央にはV字状の切り込みを形成して合わせ部512とした。
【0034】
前記支持部材2へ、前記外装材1B及び前記保持部材5を取り付ける際には、図5(a)に示すように、支持部材2に対しておおよその位置に外装材1Bを配した状態で、図5(b)に示すように保持部材5を水上側から臨ませ、支持部材2と外装材1Bとの間に差し込むように配し、その係止部52,52と外装材1Bの被係合部12b,12bとが係合するように組み合わせる。その際、保持材5の合わせ部512と外装材1Bの位置決め部14bとを一致させつつ組み合わせ、この状態で保持材5のスリット513に支持部材2の水下側縦片212を挿通させ、溝512に水上側縦片213を係止させる。
その後、図5(c)に示すように縦片212,213を倒し込み(倒し片212',213')、支持部材2に保持部材5を取り付けることができる。
なお、保持部材5を支持部材2に対して取り付けた状態で、外装材1Bを水下側から配するようにしてもよい。
【0035】
このように保持部材5を用いた外装材1Bの取付作業(操作)は、保持部材5の開口部53から外装材1Bの水上側頂部111付近に設けた位置決め部14bを目視しながら位置調整を行って外装材1Bを適正位置に取り付けることができる。
詳しくは、保持部材5の開口部53から外装材1Bの位置決め部14bを目視しながら保持部材5に形成したV字状の切り込みである合わせ部512及び水下側の突起状の合わせ部531を直線上に並ぶように位置調整を行いつつ、外装材1Bを適正位置に取り付けることができる。
なお、このような取付作業は、位置決め部14bの形状構成が異なる第1実施例でも同様であるから、当然のことながら、同様に取り付けることができる。
また、これらの第1実施例や第2実施例では、保持部材5により外装材1,1Bを取付保持する構造であるため、外装材1,1Bにビス等の固着具などの孔を形成することがないため、雨水等の浸入を生ずる畏れがない構造となる。
【0036】
そして、前記外装材1,1Bは、水上側頂部111,111bにおける被係合部12,12bが、隣接する二辺112,112に跨がって連続状に形成されているので、確実に隣接する外装材1,1(又は1B,1B)同士を相互に係合でき、前記従来技術の突き合わせや折り重ねのように漏水や浸水を生ずることがなく、優れた防水性を有するものである。なお、外装材1,1Bの保持部材5による保持箇所は水上側頂部111,111bの一箇所であるが、確実に隣接する外装材1,1(又は1B,1B)同士が相互に係合するので、確実に固定することができる。したがって、優れた意匠性を有し、且つ構造的利点を備える菱葺き外装構造等を容易に且つ高い精度で施工することができる。
【符号の説明】
【0037】
1,1B 外装材
11 面板部
111,111b 水上側頂部
112,113 辺
114 水下側角部
115,116 側方角部
12 被係合部
121 中央部分(円弧状の切除部分)
13 係合部
131 中央部分(円弧状の切除部分)
14,14b 位置決め部
2 支持部材
21 頂面部
211 孔
212,213 縦片
212',213' 倒し片
22 縦面部
23 固定部
3 断熱材
5 保持材
51 固定部
511 孔
512 合わせ部(切り込み)
513 スリット
514 溝
52 係止部
53 開口部
531 合わせ部(突起)
図1
図2
図3
図4
図5