【実施例】
【0043】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0044】
<アクリル樹脂溶液1〜5の調製>
(アクリル樹脂溶液1)
攪拌機、温度計、還流冷却器等が備わった反応容器に、酢酸ブチル27質量部を仕込み、加熱撹拌し、120℃に達してから、下記のモノマー混合物1を3時間かけて滴下した。滴下終了後、120℃を保持したまま、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.2質量部と酢酸ブチル2質量部との混合物である追加触媒溶液を1時間かけて滴下した。滴下後の溶液に対して更に120℃で1時間撹拌を続けた後、冷却した。冷却後の溶液に酢酸ブチル12質量部を加えて希釈し、固形分濃度61.1質量%のアクリル樹脂溶液1を得た。得られたアクリル樹脂溶液1中のアクリル樹脂は、重量平均分子量(Mw)が9,800であり、酸価が10.5mgKOH/gであった。
・モノマー混合物1:スチレン3質量部、メチルメタクリレート14質量部、n−ブチルメタクリレート22質量部、t−ブチルメタクリレート9質量部、メタクリル酸1質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート7質量部、ブタンジオールモノアクリレート5質量部、及び重合開始剤として2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル3質量部
【0045】
(アクリル樹脂溶液2)
攪拌機、温度計、還流冷却器等が備わった反応容器に、酢酸ブチル27質量部を仕込み、加熱撹拌し、120℃に達してから、下記のモノマー混合物2を3時間かけて滴下した。滴下終了後、120℃を保持したまま、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.2質量部と酢酸ブチル2質量部との混合物である追加触媒溶液を1時間かけて滴下した。滴下後の溶液に対して更に120℃で1時間撹拌を続けた後、冷却した。冷却後の溶液に酢酸ブチル12質量部を加えて希釈し、固形分濃度61.2質量%のアクリル樹脂溶液2を得た。得られたアクリル樹脂溶液2中のアクリル樹脂は、重量平均分子量(Mw)が5,000であり、酸価が10.1mgKOH/gであった。
・モノマー混合物2:スチレン3質量部、メチルメタクリレート14質量部、n−ブチルメタクリレート22質量部、t−ブチルメタクリレート9質量部、メタクリル酸1質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート7質量部、ブタンジオールモノアクリレート5質量部、及び重合開始剤として2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル4質量部
【0046】
(アクリル樹脂溶液3)
攪拌機、温度計、還流冷却器等が備わった反応容器に、酢酸ブチル27質量部を仕込み、加熱撹拌し、100℃に達してから、下記のモノマー混合物3を3時間かけて滴下した。滴下終了後、100℃を保持したまま、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.2質量部と酢酸ブチル2質量部との混合物である追加触媒溶液を1時間かけて滴下した。滴下後の溶液に対して更に100℃で1時間撹拌を続けた後、冷却した。冷却後の溶液に酢酸ブチル12質量部を加えて希釈し、固形分濃度60.0質量%のアクリル樹脂溶液3を得た。得られたアクリル樹脂溶液3中のアクリル樹脂は、重量平均分子量(Mw)が58,000であり、酸価が10.6mgKOH/gであった。
・モノマー混合物3:スチレン3質量部、メチルメタクリレート14質量部、n−ブチルメタクリレート22質量部、t−ブチルメタクリレート9質量部、メタクリル酸1質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート7質量部、ブタンジオールモノアクリレート5質量部、及び重合開始剤として2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.3質量部
【0047】
(アクリル樹脂溶液4)
攪拌機、温度計、還流冷却器等が備わった反応容器に、酢酸ブチル27質量部を仕込み、加熱撹拌し、120℃に達してから、下記のモノマー混合物4を3時間かけて滴下した。滴下終了後、120℃を保持したまま、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.2質量部と酢酸ブチル2質量部との混合物である追加触媒溶液を1時間かけて滴下した。滴下後の溶液に対して更に100℃で1時間撹拌を続けた後、冷却した。冷却後の溶液に酢酸ブチル12質量部を加えて希釈し、固形分濃度60.0質量%のアクリル樹脂溶液4を得た。得られたアクリル樹脂溶液4中のアクリル樹脂は、重量平均分子量(Mw)が10,000であり、酸価8.2mgKOH/gであった。
・モノマー混合物4:スチレン3質量部、メチルメタクリレート14質量部、n−ブチルメタクリレート22質量部、t−ブチルメタクリレート9質量部、メタクリル酸0.8質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート7質量部、ブタンジオールモノアクリレート5質量部、及び重合開始剤として2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル3質量部
【0048】
(アクリル樹脂溶液5)
攪拌機、温度計、還流冷却器等が備わった反応容器に、酢酸ブチル27質量部を仕込み、加熱撹拌し、120℃に達してから、下記のモノマー混合物5を3時間かけて滴下した。滴下終了後、120℃を保持したまま、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.2質量部と酢酸ブチル2質量部との混合物である追加触媒溶液を1時間かけて滴下した。滴下後の溶液に対して更に120℃で1時間撹拌を続けた後、冷却した。冷却後の溶液に酢酸ブチル12質量部を加えて希釈し、固形分濃度61.0質量%のアクリル樹脂溶液5を得た。得られたアクリル樹脂溶液5中のアクリル樹脂は、重量平均分子量(Mw)が10,000であり、酸価が12.2mgKOH/gであった。
・モノマー混合物5:スチレン3質量部、メチルメタクリレート14質量部、n−ブチルメタクリレート22質量部、t−ブチルメタクリレート9質量部、メタクリル酸1.2質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート7質量部、ブタンジオールモノアクリレート5質量部、及び重合開始剤として2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル3質量部
【0049】
<エナメル塗料組成物の調製:実施例1〜17、比較例4>
主剤成分については、表1〜3及び7に示す原料を混合し、公知の手法により着色剤を分散させることにより、主剤成分を調製した。また、硬化剤成分及び希釈剤成分については、表1〜3及び7に示す原料を混合して調製した。
次に、主剤成分及び硬化剤成分を使用する直前に混合し、エナメル塗料組成物を調製した。そして、該エナメル塗料組成物に希釈剤成分を加え、塗装に適するよう粘度調整を行った。
【0050】
<メタリック塗料組成物の調製:実施例18〜27、比較例5>
主剤成分については、表4及び7に示す原料を混合し、公知の手法によりメタリック顔料を分散させることにより、主剤成分を調製した。また、硬化剤成分及び希釈剤成分については、表4及び7に示す原料を混合して調製した。
次に、主剤成分及び硬化剤成分を使用する直前に混合し、メタリック塗料組成物を調製した。そして、該メタリック塗料組成物に希釈剤成分を加え、塗装に適するよう粘度調整を行った。
【0051】
<クリアー塗料組成物の調製:実施例28〜37、比較例1〜3及び6>
表5〜7に示す原料を混合し、主剤成分、硬化剤成分及び希釈剤成分をそれぞれ調製した。次に、主剤成分及び硬化剤成分を使用する直前に混合し、クリアー塗料組成物を調製した。そして、該クリアー塗料組成物に希釈剤成分を加え、塗装に適するよう粘度調整を行った。
【0052】
表中において商品名で示された原料の詳細を以下に説明する。
・着色剤
CR−95 (酸化チタン、石原産業製)
ラーベン5000ウルトラII (カーボンブラック、コロンビアン製)
クロモファインブルー5191D (フタロシアニン系顔料、大日精化製)
・有機溶剤
IPソルベント1620 (イソパラフィン系溶剤、出光興産製)
・表面調整剤
BYK333 (シリコーン系表面調整剤、ビッグケミージャパン製)
・硬化剤
スミジュールN3300 (ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体、住化バイエルウレタン製)
デュラネートTPA100 (ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体、旭化成ケミカルズ製)
・メタリック顔料
7640NS (アルミニウム顔料分散液、固形分65質量%、分散溶媒:ミネラルスピリット及び芳香族系炭化水素、東洋アルミニウム製)
・セルロース樹脂
H1/2 (ニトロセルロース約70質量%、イソプロピルアルコール約30質量%、太平化学製)
【0053】
<評価>
1.基材の作製
自動車用の防錆鋼板として用いられる亜鉛系めっき鋼板表面に、カチオン電着塗膜(膜厚20μm)と、アクリル樹脂系サーフェーサー層(20〜30μm)をこの順に積層させて、基材を作製した。
【0054】
2.塗装作業性
「1.基材の作製」にて作製された基材上に、乾燥膜厚が40〜50μmとなるように塗料組成物(実施例1〜37、比較例1〜6)をエアスプレーにて塗装し、その後、塗膜を60℃にて30分乾燥させ、下記評価基準に従って塗装作業性を評価した。
〇:スプレー直後に塗料が基材上で均一に濡れ広がり、塗装作業性は良好であった。
×:スプレー直後の塗料は基材上で十分に濡れ広がらず、塗装作業性が悪かった。
【0055】
3.乾燥性
「1.基材の作製」にて作製された基材上に、乾燥膜厚が40〜50μmとなるように塗料組成物(実施例1〜37、比較例1〜6)をエアスプレーにて塗装し、塗膜を温度60℃にて10分間乾燥させ、下記評価基準に従って乾燥性を評価した。
○:塗膜を指先で軽く触れた際、指先に塗料が付着しなかった。
×:塗膜を指先で軽く触れた際、指先に塗料が付着した。
【0056】
4.塗膜外観
「1.基材の作製」にて作製された基材上に、乾燥膜厚が40〜50μmとなるように塗料組成物(実施例1〜37、比較例1〜6)をエアスプレーにて塗装し、塗膜を温度60℃にて1時間乾燥させ、塗装板を作製した。下記評価基準に従って塗装板の塗膜外観を評価した。
○:平滑な塗膜が得られた。
×:平滑な塗膜が得られなかった。
【0057】
5.ポットライフ
まず、塗料組成物(実施例1〜37、比較例1〜6)を調製後すぐに塗装に用いるのではなく40℃にて2時間放置した。次に、「1.基材の作製」にて作製された基材上に、乾燥膜厚が40〜50μmとなるように塗料組成物(実施例1〜37、比較例1〜6)をエアスプレーにて塗装し、塗膜を温度60℃にて1時間乾燥させ、塗装板を作製した。また、放置の条件を40℃×2時間30分に変更した以外は同様にして塗装板を作製した。下記評価基準に従ってポットライフを評価した。
◎:放置の条件が40℃×2時間30分であっても、スプレー直後に塗料が基材上で均一に濡れ広がり、塗装作業性は良好であり、平滑な塗膜が得られた。
○:放置の条件が40℃×2時間である場合、スプレー直後に塗料が基材上で均一に濡れ広がり、塗装作業性は良好であり、平滑な塗膜が得られた。しかしながら、放置の条件が40℃×2時間30分では、塗料の粘度が高くなり、塗装時にスプレーガンに詰まるか又は、塗装できたとしても、ブツブツ状態で塗装されて、平滑な塗膜が得られなかった。
×:どちらの放置条件においても、塗料の粘度が高く、塗装時にスプレーガンに詰まるか又は、塗装できたとしても、ブツブツ状態で塗装されて、平滑な塗膜が得られなかった。
【0058】
6.戻りムラ
(実施例38)
「1.基材の作製」にて作製された基材上に、乾燥膜厚が20〜30μmとなるように実施例18のメタリック塗料組成物をエアスプレーにて塗装し、塗膜を温度60℃にて15分乾燥させて、メタリック層を備える塗装板を作製した。次に、塗装板を室温(20〜25℃)まで冷却し、メタリック層上に、乾燥膜厚が30〜40μmとなるように実施例28のクリアー塗料組成物をエアスプレーにて塗装し、塗膜を温度60℃にて15分乾燥させて、メタリック層上にクリアー層を備える塗装板を作製した。下記評価基準に従って戻りムラを評価した。
○:良好なメタリック外観を示し、戻りムラが起こらなかった。
×:メタリック外観に顕著なむらが見られ、戻りムラが起きた。
(実施例39〜56)
メタリック塗料組成物及びクリアー塗料組成物を表8に示す組み合わせに変更した以外は、実施例38と同様の塗装方法により塗装板を作製し、実施例38と同じ評価基準に従って戻りムラを評価した。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
【表6】
【0065】
【表7】
【0066】
【表8】