【実施例1】
【0024】
本発明の外装構造に用いる外装材1は、
図1及び
図2に示す第1実施例に示すように面板部11の周縁を表面側或いは裏面側に折曲して係合部13、被係合部12をそれぞれ成形してなり、隣接する外装材1,1同士が相互に係合するように敷設するものである。そして、少なくとも水上側に位置して隣接する二辺112,112には、表面側に折曲して被係合部12が設けられる。また、前記外装材1の被係合部12には、折返し端縁が(部分的に)切除された平面視段差状の係止受部14が設けられる。
前記外装材1を取付保持する保持材2には、前記係止受部14に係合される係止部22が設けられる。
【0025】
この第1実施例の外装材1は、
図2(b)に示すように水上側頂部111が鈍角となるように取り付けられている菱形外装材であって、言い換えればこの外装材1の面板部11は、水上側頂部111(及び対向する水下側角部114)が鈍角である横長の菱型形である。
前記被係合部12は、水上側(図面では上側)に位置して略一定幅に表面側に折曲された略逆V字状であり、隣接する二辺112,112に跨がって連続状に形成され、水上側頂部111には、折返し片が一部切除された平面視段差状の係止受部14が設けられている。また、この折返し片が交差する中央部分を位置決め部15とした。なお、図中、115,116は側方角部を指す。
前記係合部13は、水下側(図面では下側)に位置して略一定幅に裏面側に折曲された略V字状であり、同図には詳細には示していないが、前記被係合部12と同様に隣接する二辺113,113に跨がって連続状に形成されている。
【0026】
また、この第1実施例の下地は、
図1(a),(b)では、水流れ方向に連続する支持部材であって、この支持部材3の配設間隔には断熱材4が配設されて
図2(c)に示される下地構造を形成している。前記支持部材3(下地)は、上面を形成する頂面部31と、側面を形成する縦面部32,32と、該縦面部32,32の下端を外側へ折り曲げて形成した固定部33,33とからなる断面略ハット状であり、前記頂面部31に前記外装材1の水上側頂部111を取付保持する保持材2が固定される。また、前記頂面部31には、それぞれ切り起こしにて水下側縦片312と、水上側縦片313とが設けられている。
一方、
図1(c),(d)における下地は、略平坦状の下地材3Bを敷設した構造であり、保持材2をビス3xにて固定している。
【0027】
この外装材1を取付保持する保持材2は、
図1(a)に示すように前記支持部材3の頂面部31に固定される固定部21(211は固定具用の孔)と、前記外装材1の係止受部14に係合する係止部22と、を有し、該係止部22の略中央には、前記外装材1の位置決め部15と平面視略重ね状に位置調整を行うための合わせ部23が設けられている。
また、前記固定部21には、前記固定具用の孔211の水下側に、支持部材3の水下側縦片312の挿通可能なスリット213が設けられ、この固定部21の水上側端縁には、前記支持部材3の水上側縦片313を係止可能な溝214と、が設けられ、該溝214の略中央にはV字状の切り込みを形成して合わせ部212が設けられている。
【0028】
そして、
図1(a),(b)では、下地としての支持部材3に外装材1を取り付ける。一方、
図1(c),(d)では、下地としての下地材3Bに外装材1を取り付ける。
この第1実施例では、前述のように保持材2を用いて外装材1を取り付ける構成であるから、保持材2を固定すると共に外装材1の水上側頂部111を保持させて取り付ける。
なお、
図1(a),(b)では、保持材2のスリット213に支持部材3の水下側縦片312を挿通させ、溝212に水上側縦片313を係止させ、その後、縦片312,313を倒し込むことにより、支持部材3に保持材2を取り付けることができ、適正位置に保持材2を取り付けることができる。一方、
図1(c),(d)では、下地材3Bに保持材2を固定するには、孔211に固定具2xを打ち込んで固定するが、下地3Bに対し、合わせ部23,212を結ぶ直線が流れ方向に平行になるように配設することにより、適正な向きに保持材2を取り付けることができる。
このように保持材2を下地3,3Bに固定する際には、外装材1の位置決め部15と保持材2の合わせ部23とが平面視略重ね状になるように位置調整を行うことにより、容易に且つ適正位置に外装材1を取り付けることができる。
【0029】
このように施工される第1実施例の外装構造は、外装材1に設けた平面視段差状の係止受部14に保持材2の係止部22を係合する構成であるため、係止部22の先端が被係合部12の折返し端縁から水下側へ突出することがなく、隣接する外装材1を係合させる際にその係合深さが不均一となることがなく、外装材1,1同士の係合状態を均一に且つ確実に行うことができる。したがって、優れた意匠性を有し、且つ構造的利点を備える(菱葺き)外装構造を容易に且つ高い精度で施工することができる。
【0030】
図3(a),(b)に示す第2実施例では、同じ保持材2を用い、外装材1Bは、前記第1実施例と同様の菱形外装材であるが、係止受部14が設けられる中央部分16は円弧状に切除され、折返し片が短く形成され、その中央に水下側へ突出する位置決め部15bが形成されている点が相違するだけで、その他の構成は前記第1実施例における外装材1と同様であるから図面に同一符号を付して説明を省略する。
【0031】
この第2実施例では、前記第1実施例における
図1(c),(d)の態様と同様に施工することができ、外装材1Bの位置決め部15bと保持材2の合わせ部23とを重ねるように位置調整すればよい。
【0032】
この第2実施例の外装構造でも、外装材1Bに設けた平面視段差状の係止受部14に保持材2の係止部22を係合する構成であるため、係止部22の先端が被係合部12の折返し端縁から水下側へ突出することがなく、隣接する外装材1Bを係合させる際にその係合深さが不均一となることがなく、外装材1B,1B同士の係合状態を均一に且つ確実に行うことができる。
【0033】
図3(c)に示す外装構造は、被係合部12の水上側斜辺の一辺112に係止受部14"を設けた態様であって、当該部分に取り付ける保持材2Cは、下地材3Bへの固定部21cと前記係止受部14"に係合する係止部22cを有する構成である。
この態様でも、係止部22"の先端が被係合部12の折返し端縁から水下側へ突出することがなく、隣接する外装材1を係合させる際にその係合深さが不均一となることがなく、外装材1",1同士の係合状態を均一に且つ確実に行うことができる。
但し、他の実施例のように係止受部14が外装材1の水上側頂部に設けられ、該係止受部14を保持材2で係合保持するので、一枚の外装材1を一つの保持材2にて取付保持できるが、この態様では、二箇所以上に係止受部14"(図示以外の箇所に少なくとも一箇所)を設けてそれぞれを保持材2Cにて取付保持することが好ましい。
【0034】
図4(a)は、第3実施例の外装材1Cと、軒端に配設される平面視三角形状の軒端用外装材6との組み付け状態を示し、前記第1実施例における保持材2を用いて取り付けた構造である。
この第3実施例における外装材1Cは、
図4(c)に示すように中央部分16が円弧状に切除され、折返し片が短く形成されている構成は、前記第2実施例における外装材1Bと同様であるが、その中央に水下側へ突出する位置決め部15bが形成されていない点が相違する構成であり、その他の構成は前記第1実施例における外装材1と同様であるから図面に同一符号を付して説明を省略する。
また、軒端用外装材6は、軒端に配設される平面視三角形状であって、略三角形状の面板部61の水上側に位置して隣接する二辺には、前記菱形外装材である外装材1と同様に被係合部62が設けられ、隣接する外装材1の係合部13が係合する点でも同様である。また、この軒端用外装材6にも、前記外装材1と同様に被係合部62に折返し端縁が切除された平面視段差状の係止受部64が形成され、該係止受部64に保持材2の係止部22が係合している。
【0035】
この第3実施例の外装構造でも、外装材1Cに設けた平面視段差状の係止受部14に保持材2の係止部22を係合する構成であるため、係止部22の先端が被係合部12の折返し端縁から水下側へ突出することがなく、隣接する外装材1Cを係合させる際にその係合深さが不均一となることがなく、外装材1C,1C同士の係合状態を均一に且つ確実に行うことができる。
なお、この第3実施例では、外装材1Cに位置決め部を設けていないが、水上側頂部111の先端を位置決め部として用いることができ、保持材2の合わせ部23から水流れ方向に平行な直線状にこの位置決め部が位置するように位置調整すればよい。