特許第6573786号(P6573786)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6573786
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】リニア圧縮機及びリニアモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 33/16 20060101AFI20190902BHJP
   F04B 35/04 20060101ALI20190902BHJP
   H02K 41/03 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   H02K33/16 A
   F04B35/04
   H02K41/03 A
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-125497(P2015-125497)
(22)【出願日】2015年6月23日
(65)【公開番号】特開2016-25841(P2016-25841A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年6月19日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0091831
(32)【優先日】2014年7月21日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】502032105
【氏名又は名称】エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】ピョン チョンクク
(72)【発明者】
【氏名】ホン オンピョ
(72)【発明者】
【氏名】キム チヒョン
【審査官】 大島 等志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−110718(JP,A)
【文献】 特開2007−068373(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0058811(US,A1)
【文献】 特開2006−194236(JP,A)
【文献】 特表2003−523710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 33/16
H02K 41/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ステーターと、
前記第1ステーターの内側に離隔して配置される第2ステーターと、
前記第1ステーターと前記第2ステーターとの間に配置される永久磁石と、
を備え、
前記第1ステーターは、コイルが巻かれるボビンと、
前記ボビンを取り囲む複数のコアブロックユニットと、
を備え、
前記複数のコアブロックユニットのうち、一つ以上のコアブロックユニットにおいて、前記第2ステーターと対向する前記第1ステーターの第1面と、前記第2ステーターにおいて前記第1面と対向する第2面との間の距離は、前記第2ステーターの円周方向に可変し、
前記第2ステーターは、円筒状に形成され、円周方向に半径が一定であり、
前記第1ステーターの第1面は、前記第2面に沿うように湾曲して形成され
前記第1ステーターの第1面は、一端部である第1地点、他端部である第2地点、及び前記第1地点と第2地点との間の地点である第3地点を含み、
前記第3地点での前記第1面と第2面との間の距離は、前記第1地点及び前記第2地点の各々での第1面と第2面との間の距離より小さい、リニアモータ。
【請求項2】
前記第3地点は、前記第1面の中央部分であり、
前記第3地点での前記第1面と第2面との間の距離が最小である、請求項1に記載のリニアモータ。
【請求項3】
前記第3地点から前記第1地点または第2地点へ行くほど、前記第1面と第2面との間の距離は大きくなる、請求項2に記載のリニアモータ。
【請求項4】
前記複数のコアブロックユニットの第1面を延長して形成される形状は、非円形である、請求項1に記載のリニアモータ。
【請求項5】
前記複数のコアブロックユニットの各々は、第1コアブロックと第2コアブロックとを備え、
前記第1コアブロックと前記第2コアブロックとの和は、12個以下である、請求項1に記載のリニアモータ。
【請求項6】
前記ボビンにおいて隣接する二つのコアブロックユニット間の領域には、前記コイルの入力端が接続する入力端子部と、前記コイルの出力端が接続する出力端子部とが備えられる、請求項1に記載のリニアモータ。
【請求項7】
前記入力端子部と出力端子部とは、一体に形成される、請求項6に記載のリニアモータ。
【請求項8】
前記コイルの入力端は、前記入力端子部に挿入装着され、前記出力端は、前記出力端子部に挿入装着される、請求項6または7に記載のリニアモータ。
【請求項9】
シリンダーと、
前記シリンダーの内部から軸方向へ往復運動可能なピストンと、
前記ピストンに動力を提供するリニアモータと、を備え、
前記リニアモータは、
第1ステーターと、
前記第1ステーターの内側に離隔して配置される第2ステーターと、
前記第1ステーターと前記第2ステーターとの間に移動可能に配置される永久磁石と、を備え、
前記第1ステーターは、コイルが巻かれるボビンと、
前記ボビンを取り囲む複数のコアブロックユニットと、を備え、
前記複数のコアブロックユニットのうち、一つ以上のコアブロックユニットにおいて、前記第2ステーターと対向する面である前記第1ステーターの第1面と、前記第2ステーターにおいて前記第1面と対向する面である第2面との間の距離は、前記第2ステーターの円周方向に可変し、
前記第2ステーターは、円筒状に形成され、円周方向に半径が一定であり、
前記第1ステーターの第1面は、前記第2面に沿うように湾曲して形成され
前記第1ステーターの第1面は、一端部である第1地点、他端部である第2地点、及び前記第1地点と第2地点との間の地点である第3地点を含み、
前記第3地点での前記第1面と第2面との間の距離は、前記第1地点及び前記第2地点の各々での第1面と第2面との間の距離より小さい、リニア圧縮機。
【請求項10】
前記第3地点は、前記第1地点と前記第2地点との間の中央部分であり、
前記第3地点での前記第1面と第2面との間の距離が最小である、請求項9に記載のリニア圧縮機。
【請求項11】
前記第3地点から前記第1地点または第2地点へ行くほど、前記第1面と第2面との間の距離は大きくなる、請求項9または10に記載のリニア圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニア圧縮機及びリニアモータに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、圧縮機(Compressor)は、電気モータやタービンなどの動力発生装置から動力の伝達を受けて、空気や冷媒またはその他の多様な作動ガスを圧縮して圧力を高める機械装置であって、冷蔵庫とエアコンなどのような家電機器または産業全般にかけて広く使用されている。
【0003】
このような圧縮機を大きく分類すれば、ピストン(Piston)とシリンダー(Cylinder)との間に作動ガスが吸込及び吐き出される圧縮空間が形成されるようにして、ピストンがシリンダーの内部で直線往復運動しつつ冷媒を圧縮させる往復動式圧縮機(Reciprocating Compressor)、偏心回転されるローラ(Roller)とシリンダーとの間に作動ガスが吸込及び吐き出される圧縮空間が形成され、ローラがシリンダーの内壁に沿って偏心回転しつつ冷媒を圧縮させる回転式圧縮機(Rotary compressor)、及び旋回スクロール(Orbiting scroll)と固定スクロール(Fixed scroll)との間に作動ガスが吸込及び吐き出される圧縮空間が形成され、旋回スクロールが固定スクロールに沿って回転しつつ冷媒を圧縮させるスクロール式圧縮機(Scroll compressor)に区分されることができる。
【0004】
最近では、往復動式圧縮機の中で、特にピストンが往復直線運動するようにして運動転換による機械的な損失無しで圧縮効率を向上させることができ、簡単な構造から構成されるリニア圧縮機が多く開発されている。
【0005】
普通、リニア圧縮機は、密閉されたシェル内部でピストンがリニアモータによりシリンダーの内部で往復直線運動するように動きながら冷媒を吸込して圧縮させた後に吹き出させるように構成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本実施の形態は、リニア圧縮機及びリニアモータを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一側面によるリニアモータは、第1ステーターと、前記第1ステーターと離隔して配置される第2ステーターと、前記第1ステーターと前記第2ステーターとの間に配置される永久磁石とを備え、前記第1ステーターは、コイルが巻かれるボビンと、前記ボビンを取り囲む多数のコアブロックユニットとを備え、前記多数のコアブロックユニットのうち、一つ以上のコアブロックユニットにおいて前記第2ステーターと対向する第1面と、前記第2ステーターにおいて前記第1面と対向する第2面との間の距離は、前記第2ステーターの円周方向に可変する。
【0008】
他の側面によるリニアモータは、第1ステーターと、前記第1ステーターと離隔して配置される第2ステーターと、前記第1ステーターと前記第2ステーターとの間に配置される永久磁石とを備え、前記第1ステーターは、コイルが巻かれるボビンと、前記ボビンを取り囲む多数のコアブロックユニットとを備え、前記多数のコアブロックユニットのうち、一つ以上のコアブロックユニットにおいて前記第2ステーターと対向する第1面の曲率半径は、円周方向に可変する。
【0009】
さらに他の側面によるリニア圧縮機は、シリンダーと、前記シリンダーの内部から軸方向へ往復運動可能なピストンと、前記ピストンに動力を提供するリニアモータとを備え、前記リニアモータは、第1ステーターと、前記第1ステーターと離隔して配置される第2ステーターと、前記第1ステーターと前記第2ステーターとの間に移動可能に配置される永久磁石とを備え、前記第1ステーターは、コイルが巻かれるボビンと、前記ボビンを取り囲む多数のコアブロックユニットとを備え、前記多数のコアブロックユニットのうち、一つ以上のコアブロックユニットにおいて前記第2ステーターを対向する面の第1面と、前記第2ステーターにおいて前記第2面と対向する面である第2面との間の距離は、前記第2ステーターの円周方向に可変する。
【0010】
一つ以上の実施の形態について、添付図面及び以下において詳細に説明される。他の特徴は、詳細な説明及び図面、請求の範囲により明らかになるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】は、本発明の一実施の形態によるリニア圧縮機の構成を示す断面図である。
図2】本発明の一実施の形態によるリニアモータを概略的に示す断面図である。
図3】本発明の一実施の形態によるリニアモータの斜視図である。
図4】本発明の一実施の形態によるリニアモータの平面図である。
図5】本発明の一実施の形態によるボビンとコアブロックユニットとを示す図である。
図6a】従来の第1ステーターと第2ステーターとの間の配置関係を示す図である。
図6b図6aにおいてコアブロックユニットの大きさを増加させる場合の問題点を示す図である。
図6c図2のA−Aに沿った断面図である。
図7】本発明の他の実施の形態によるリニア圧縮機を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施の形態を添付した図面を参照して詳細に説明する。下記で本発明を説明するに当たって、関連した公知の機能又は構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不明確にする恐れがあると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。そして、後述する用語は、本発明での機能を考慮して定義された用語であり、これは、ユーザー、操作者の意図又は慣例などによって変わりうる。したがって、その定義は、本明細書全般にわたる内容に基づいて行わなければならない。
【0013】
図1は、本発明の一実施の形態によるリニア圧縮機の構成を示す断面図で、図2は、本発明の一実施の形態によるリニアモータを概略的に示す断面図である。
【0014】
図1及び図2に示すように、本発明の一実施の形態によるリニア圧縮機100は、略円筒状のシェル101、シェル101の一方に結合される第1カバー102、及び他方に結合される第2カバー103を備えることができる。
【0015】
一例として、リニア圧縮機100は、横方向に横たわった状態で製品に設置されることができ、第1カバー102は、シェル101の右側に、第2カバー103は、シェル101の左側に位置できる。
【0016】
広い意味で、第1カバー102と第2カバー103とは、シェル101の一構成として理解されることができる。
【0017】
リニア圧縮機100は、シェル101の内部に提供されるシリンダー120と、シリンダー120の内部で往復直線運動するピストン130、及びピストン130に駆動力を付与するリニアモータ200をさらに備えることができる。
【0018】
リニアモータ200が駆動すると、ピストン130は、高速で往復運動できる。本実施の形態によるリニア圧縮機100の運転周波数は、略100Hzを形成する。
【0019】
詳細に、リニア圧縮機100は、冷媒が流入する吸い込み部104、及びシリンダー120の内部で圧縮された冷媒が排出する吐出部105をさらに備えることができる。
【0020】
吸い込み部104は、第1カバー102に結合され、吐出部105は、第2カバー103に結合されることができる。
【0021】
吸い込み部104を介して吸い込まれた冷媒は、吸い込みマフラー150を経てピストン130の内部に流動する。冷媒が吸い込みマフラー150を通過する過程において騷音が低減されることができる。吸い込みマフラー150は、第1マフラー151と、第1マフラー151と結合される第2マフラー153とを備えることができる。吸い込みマフラー150の少なくとも一部分は、ピストン130の内部に位置できる。
【0022】
ピストン130は、略円筒状のピストン本体131及びピストン本体131から半径方向に延びるピストンフランジ部132を備えることができる。
【0023】
ピストン本体131は、シリンダー120の内部で往復運動し、ピストンフランジ部132は、シリンダー120の外側で往復運動できる。
【0024】
ピストン130は、非磁性体アルミニウム素材(アルミニウムまたはアルミニウム合金)から構成されることができる。ピストン130がアルミニウム素材から構成されることによって、リニアモータ200から発生した磁束がピストン130に伝達されて、ピストン130の外部に漏れる現象を防止できる。そして、ピストン130は、制約的ではないが、鍛造方法によって形成されることができる。
【0025】
一方、シリンダー120は、非磁性体アルミニウム素材(アルミニウムまたはアルミニウム合金)から構成されることができる。そして、シリンダー120とピストン130との素材構成比、すなわち種類及び成分比は、同一でありうる。
【0026】
シリンダー120がアルミニウム素材から構成されることによって、リニアモータ200から発生した磁束がシリンダー120に伝達されてシリンダー120の外部に漏れる現象を防止できる。そして、シリンダー120は、制約的ではないが、圧出棒加工方法によって形成されることができる。
【0027】
そして、ピストン130とシリンダー120とが同じ素材(アルミニウム)から構成されることによって、熱膨張係数が互いに同じになる。リニア圧縮機100が運転する間、シェル100の内部は、高温(約100℃)の環境が造成されるが、ピストン130とシリンダー120との熱膨張係数が同一なので、ピストン130とシリンダー120とは、同じ量だけ熱変形できる。
【0028】
結局、ピストン130とシリンダー120とが互いに異なる大きさまたは方向に熱変形することで、ピストン130が運動する間にシリンダー120と干渉が発生するのを防止できる。
【0029】
シリンダー120は、吸い込みマフラー150の少なくとも一部分と、ピストン130の少なくとも一部分を収容することができる。
【0030】
シリンダー120の内部には、ピストン130によって冷媒が圧縮される圧縮空間Pが形成されることができる。そして、ピストン130の前方部には、圧縮空間Pに冷媒を流入させる吸込孔133が形成され、吸込孔133の前方には、吸込孔133を選択的に開放する吸込バルブ135が提供される。吸込バルブ135の略中心部には、所定の締結部材が結合される締結孔が形成されることができる。
【0031】
圧縮空間Pの前方には、圧縮空間Pから排出した冷媒の吐出空間または吐出流路を形成する吐出カバー160、及び吐出カバー160に結合され、圧縮空間Pで圧縮された冷媒を選択的に排出させるための吐出バルブアセンブリー161、162、163が提供されることができる。
【0032】
吐出バルブアセンブリー161、162、163は、圧縮空間Pの圧力が吐出圧力以上になると開放されて、冷媒を吐出カバー160の吐出空間に流入させる吐出バルブ161、吐出バルブ161と吐出カバー160との間に提供されて軸方向に弾性力を付与するバルブスプリング162、及びバルブスプリング162の変形量を制限するストッパー163を備えることができる。
【0033】
ここで、圧縮空間Pは、吸込バルブ135と吐出バルブ161との間に形成される空間である。そして、吸込バルブ135は、圧縮空間Pの一方に配置され、吐出バルブ161は、圧縮空間Pの他方、すなわち吸込バルブ135の反対側に配置されることができる。そして、吐出バルブ161は、シリンダー120の前端部に動き可能に配置されることができる。
【0034】
そして、「軸方向」とは、ピストン130が往復運動する方向または「永久磁石」が往復運動する方向と理解されることができる。
【0035】
そして、「軸方向」の中で、吸い込み部104から吐出部105に向かう方向、すなわち冷媒が流動する方向を「前方」といい、その反対方向を「後方」と定義する。
【0036】
これに対し、「半径方向」とは、ピストン130が往復運動する方向に垂直な方向と理解されることができる。
【0037】
ストッパー163は、吐出カバー160に固着され、バルブスプリング162は、ストッパー163の後方に固着されることができる。そして、吐出バルブ161は、バルブスプリング162に結合され、吐出バルブ161の後方部または後面は、シリンダー120の前面に支持されるように位置する。
【0038】
バルブスプリング162は、一例として板スプリング(plate spring)を備えることができる。
【0039】
ピストン130がシリンダー120の内部で往復直線運動する過程において、圧縮空間Pの圧力が吐出圧力より低く、吸込圧力以下になると、吸込バルブ135が開放されて、冷媒は、圧縮空間Pに吸込まれる。これに対し、圧縮空間Pの圧力が吸込圧力以上になると、吸込バルブ135が閉じられた状態で圧縮空間Pの冷媒が圧縮される。
【0040】
一方、圧縮空間Pの圧力が吐出圧力以上になると、バルブスプリング162が変形して吐出バルブ161を開放させ、冷媒は、圧縮空間Pから吐き出されて、吐出カバー160の吐出空間に排出する。
【0041】
そして、吐出カバー160の吐出空間を流動する冷媒は、ループパイプ165に流入する。ループパイプ165は、吐出カバー160に結合されて吐出部105に延び、吐出空間の圧縮冷媒を吐出部105にガイドする。一例として、ループパイプ178は、所定の方向に巻かれた形状を有して丸く延び、吐出部105に結合される。
【0042】
リニア圧縮機100は、シリンダー120の外側に結合されるフレーム110をさらに備えることができる。フレーム110は、シリンダー120を固定させる構成であって、別の締結部材によってシリンダー120に締結されることができる。フレーム110は、シリンダー120を取り囲むように配置される。すなわち、シリンダー120は、フレーム110の内側に収容されることができる。そして、吐出カバー160は、フレーム110の前面に結合されることができる。
【0043】
一方、開放された吐出バルブ161を介して排出した高圧のガス冷媒のうち、少なくとも一部のガス冷媒は、シリンダー120とフレーム110とが結合された部分の空間を介してシリンダー120の外周面側に流動できる。
【0044】
そして、冷媒は、シリンダー120に形成されたノズル部123を介してシリンダー120の内部に流入する。流入した冷媒は、ピストン130とシリンダー120との間の空間に流動して、ピストン130の外周面がシリンダー120の内周面から離隔されるようにすることができる。したがって、流入した冷媒は、ピストン130が往復運動する間にシリンダー120との摩擦を減少させる「ガスベアリング」として機能できる。
【0045】
リニアモータ200は、シリンダー120を取り囲むように配置される第1ステーター(stator)210、第1ステーター210と離隔して配置される第2ステーター250、及び第1ステーター210と第2ステーター250との間の空間に位置する永久磁石260を備えることができる。
【0046】
本明細書において、第1ステーター210と第2ステーター250のうちの何れか一つは、アウターステーター(outer stator)であり、残りの一つは、インナーステーター(inner stator)でありうる。
【0047】
図1には、一例として第1ステーター210がアウターステーターで、第2ステーター250がインナーステーターであることが示される。
【0048】
永久磁石260は、第1ステーター210及び第2ステーター250との相互電磁気力によって直線往復運動できる。そして、永久磁石260は、1個の極を有する単一磁石から構成されるか、または3個の極を有する磁石から構成されることができる。そして、永久磁石260は、第2ステーター250の外側に複数提供されることができる。
【0049】
永久磁石260は、接続部材138によってピストン130に結合されることができる。詳細に、接続部材138は、ピストンフランジ部132に結合されて永久磁石260に向かって折り曲げて延びることができる。永久磁石260が往復運動することによって、ピストン130は、接続部材138によって、永久磁石260と共に軸方向に往復運動できる。
【0050】
そして、リニアモータ200は、永久磁石260を接続部材138に固定する固定部材262をさらに備えることができる。固定部材262は、ガラス繊維または炭素繊維と樹脂(resin)が混合されて構成されることができる。固定部材262は、永久磁石260の内側及び外側を取り囲むように提供されて、永久磁石260と接続部材138との結合状態を堅く維持させることができる。
【0051】
第1ステーター210は、コイル巻線体240、246、及びコイル巻線体240、246の円周方向に一定間隔で設置される多数のコアブロックユニット211を備えることができる。
【0052】
そして、多数のコアブロックユニット211の各々は、第1コアブロック212と第2コアブロック213を備えることができる。
【0053】
各コアブロック212、213は、複数のラミーネーション(lamination)が円周方向に積層されて構成され、コイル巻線体240、246を取り囲むように配置されることができる。
【0054】
コイル巻線体240、246は、ボビン240及びボビン240の円周方向に巻線されたコイル246を備えることができる。コイル246の断面は、多角形の形状を有することができ、一例として六角形の形状を有することができる。
【0055】
また、第1ステーター210は、コイル巻線体240、246と多数のコアブロックユニット211との間に配置される絶縁層248を備えることができる。
【0056】
絶縁層248は、絶縁シートであるか、またはプラスチック材質が射出によって形成されることができる。絶縁シートは、一例としてポリエチレンテレフタルレート(polyethylene terephthalate)材質から形成されることができる。
【0057】
コアブロックユニット211において第2ステーター250と対向する面の内周面214(または「第1面」といえる)と、第2ステーター250においてコアブロックユニット211の内周面214と対向する面の外周面251(または「第2面」といえる)とは離隔して、空隙(air gap)が形成される。
【0058】
空隙は、コアブロックユニット211から発生する磁束と永久磁石260の磁束とが会う部分であって、磁束の相互作用によって永久磁石260に対した推力が形成されることができる。
【0059】
永久磁石260は、空隙内で往復運動しなければならないので、永久磁石260の厚さは、空隙の大きさGより小さく形成されることができる。
【0060】
空隙の大きさGは、軸方向に全体的に均一でありうる。すなわち、図2において第2ステーター250の外周面251とコアブロックユニット211の内周面214aとの間の距離は、軸方向に一定である。
【0061】
本明細書において空隙の大きさGは、コアブロックユニット211の内周面214aと第2ステーター250の外周面251との間の距離である。
【0062】
そして、コアブロックユニット211は、コイルカバー部217を備え、コイルカバー部217は、ボビン240またはボビン240に巻かれるコイル246と離隔することができる。そして、コイルカバー部217とコイル246との間に絶縁層248が位置できる。
【0063】
一方、リニア圧縮機100は、ピストン130を支持するサポーター137、及びサポーター137の一側に離隔して配置されサポーター137にスプリング結合されるバックカバー170をさらに備えることができる。
【0064】
サポーター137は、所定の締結部材によって、ピストンフランジ部132及び接続部材138に結合されることができる。
【0065】
バックカバー170の前方には、吸込ガイド部155が結合される。吸込ガイド部155は、吸い込み部104を介して吸い込まれた冷媒が吸い込みマフラー150に流入するように案内する。
【0066】
リニア圧縮機100は、ピストン130が共振運動できるように、各固有振動数の調節された多数のスプリング176をさらに備えることができる。
【0067】
多数のスプリング176は、サポーター137とステーターカバー270との間に支持される第1スプリング、及びサポーター137とバックカバー170との間に支持される第2スプリングを備えることができる。
【0068】
リニア圧縮機100は、シェル101の両側に提供されて、圧縮機100の内部部品がシェル101に支持されるようにする板スプリング172、174をさらに備えることができる。
【0069】
板スプリング172、174は、第1カバー102に結合される第1板スプリング172、及び第2カバー103に結合される第2板スプリング174を備えることができる。一例として、第1板スプリング172は、シェル101と第1カバー102とが結合される部分に挟まれることができ、第2板スプリング174は、シェル101と第2カバー103とが結合される部分に挟まれるように配置されることができる。
【0070】
図3は、本発明の一実施の形態によるリニアモータの斜視図で、図4は、本発明の一実施の形態によるリニアモータの平面図であり、図5は、本発明の一実施の形態によるボビンとコアブロックユニットとを示す図である。
【0071】
図2ないし図5に示すように、本実施の形態の第1ステーター210は、6個以下のコアブロックユニット211を備えることができる。図3には、一例として第1ステーター210が6個のコアブロックユニット211を備えることが開示される。
【0072】
そして、第1ステーター210は、12個以下のコアブロック212、213を備えることができる。すなわち、第1コアブロックが6個以下に備えられることができ、第2コアブロックが6個以下に備えられることができる。
【0073】
本実施の形態では、第1ステーター210が一例として12個のコアブロックを備えることについて説明するようにする。
【0074】
多数のコアブロックユニット211の個数が減ることに伴って、各コアブロックユニット211の間の空間の間隔が増加できる。したがって、ボビン240において、隣接する二つのコアブロックユニットの間にコイルの入力端と出力端とが接続できる二つの端子部242、243が備えられることができる。二つの端子部242、243は、入力端子部242と出力端子部243とを備えることができる。
【0075】
入力端は、入力端子部242に挿入装着されることができ、出力端は、出力端子部243に挿入装着されることができる。
【0076】
この場合、二つの端子部242、243にぞれぞれの入力端と出力端とを接続させることができるので、作業性が向上し、コイルの入力端と出力端とに接続する電線が整理されるという長所がある。
【0077】
仮に、ボビンにおいて、隣接する二つのコアブロックユニットの間の領域に入力端子部が形成され、隣接する他の二つのコアブロックユニットの間の領域に出力端子部が形成される場合、作業者は、入力端を入力端子部に接続した後に第1ステーターを回転させた後、出力端を出力端子部に結合させなければならないので、作業時間及び工程が増加し、入力端及び出力端に接続するための電源ターミナルもまた二つ備えらなければならないので、絶縁ターミナル構造が複雑であるという問題がある。
【0078】
二つの端子部242、243は、一体化して形成されることができる。すなわち、二つの端子部242、243が一つのボディーに備えられるものの、入力端と出力端とが別に接続されるように構成されることができる。
【0079】
本実施の形態において各端子部に入力端及び出力端が結合される構造は、公知の構造によって具現化されることができるので、詳細な説明は省略する。
【0080】
他の例として、各端子部242、243に入力端と出力端とが接続されずに、各端子部242、243を貫通した状態で図示されていないターミナルに接続されても良い。
【0081】
ボビン240において直径の最も大きな部分をボビン240の外周面244と定義することができる。
【0082】
そして、ボビン240の外周面244がコアブロックユニット211のコイルカバー部217と最も近く位置できる。
【0083】
図6aは、従来のコアブロックユニット、ボビン及びインナーステーター間の配置関係を示す図であり、図6bは、図6aにおいてコアブロックユニットの大きさを増加させる場合の問題点を示す図であり、図6cは、図2のA−Aに沿った断面図である。
【0084】
図6aに示すように、従来のコアブロックユニットが16個のコアブロックを有する場合、コアブロックユニットの内周面とインナーステーター(第2ステーター)の外周面との間の空隙の大きさは、リニアモータの半径方向に均一である。
【0085】
また、ボビンの外周面(ボビンにおいて直径が最も大きな部分である)と、コアブロックユニットにおいてコイルをカバーする部分(以下、コイルカバー部とする)は、相互干渉を防止するために一定の間隔で離隔される。
【0086】
図6aのような構造において、コアブロックの個数を減らす場合、一つのコアブロック自体の面積が増加されなければならない。すなわち、各コアブロックは、複数のラミーネーションが円周方向に積層されて構成されるので、一つのコアブロックの面積が増加されるためには、積層されるラミーネーションの個数が増加されることができる。
【0087】
図6bのように、コアブロックユニットの内周面と第2ステーター(インナーステーター)の外周面との間の空隙の大きさがリニアモータの円周方向に均一になるようにした状態でコアブロックユニットの面積を増加させる場合、コアブロックユニットのコイルカバー部とボビンの外周面との間に干渉が発生する。
【0088】
この場合、ボビンとコアブロックユニット(コイルカバー部)との干渉を防止するためには、ボビンのサイズを減らさなければならないが、ボビンのサイズが減る場合、ボビンに巻線されるコイルの巻線回数が減るという問題がある。
【0089】
しかしながら、本発明の場合、図6cのようにコアブロックユニット211の内周面214aと第2ステーター250の外周面251との間の距離をリニアモータの円周方向に不均一に形成する場合、コアブロックユニット211の大きさが増加されても、コアブロックユニット211のコイルカバー部217とボビン240との間の干渉が防止されることができる。
【0090】
すなわち、コアブロックユニット211の内周面214aと第2ステーター250の外周面との間の距離は、第2ステーター250の円周方向に可変する。
【0091】
具体的に、本実施の形態においてコアブロックユニット211の内周面214aは、円周方向に一端部である第1地点214と、他端部である第2地点215と、第1地点214と第2地点215との間の第3地点216を有することができる。
【0092】
第3地点216でのコアブロックユニット211の内周面214aと第2ステーター250の外周面251との間の空隙の大きさG3(または距離)は、第1地点214でのコアブロックユニット211の内周面214aと第2ステーター250の外周面251との間の空隙の大きさG1(または距離)及び第2地点215でのコアブロックユニット211の内周面214aと第2ステーター250の外周面251との間の空隙の大きさG2(または距離)より小さい。
【0093】
このとき、第3地点216は、第1地点214と第2地点215との間の中央部分でありうる。すなわち、第3地点216は、コアブロックユニット211の内周面214aの円周方向への中心でありうる。
【0094】
そして、第3地点216でのコアブロックユニット211の内周面214aと第2ステーター250の外周面251との間の空隙の大きさG3は、最小でありうる。
【0095】
そして、第3地点216から第1地点214または第2地点215へ行くほど、コアブロックユニット211と第2ステーター250との間の空隙の大きさは大きくなることができる。すなわち、第1地点214と第2地点215での空隙の大きさが最大で、第1地点214と第2地点215から互いに近づく方向へ行くほど空隙の大きさが小さくなることができる。
【0096】
上述のようなコアブロックユニット211の形態によれば、コアブロックユニット211の内周面214aの半径は一定でなく、円周方向に可変する。したがって、リニアモータ全体で各コアブロックユニット211の内周面214aを円周方向に接続する線は、非原型である。また、コアブロックユニット211の内周面の曲率半径は、円周方向に可変する。
【0097】
このとき、第1地点214と第2地点215でのコアブロックユニット211の内周面の曲率半径が最小で、第3地点216でのコアブロックユニット211の内周面の曲率半径は最大である。
【0098】
そして、第1地点214と第2地点215から第3地点216へ行くほど、コアブロックユニット211の内周面の曲率半径は大きくなることができる。
【0099】
本実施の形態によれば、第1ステーターと第2ステーターとの間の空隙の大きさを円周方向に不均一に形成することによって、第1ステーターを形成するコアブロックの個数(またはコアブロックユニットの個数)を減らすことができるので、コアブロックの各々を製造するための費用及び時間が減少し、コアブロックをボビンに結合させるための工程が減るという長所がある。
【0100】
また、コアブロックの個数を減らしても、ボビンの大きさを一定にすることができるので、コイルの巻線回数が減ることが防止されることができる。
【0101】
また、第1ステーターと第2ステーターとの間で永久磁石が円周方向に動こうとするモーメントが発生できるが、本発明の場合、各コアブロックユニットにおいて中央部分の空隙の大きさが最小であるから、各コアブロックユニットの中央において永久磁石が最も大きな力を受けるので、永久磁石が円周方向に動こうとするモーメントが最小化されることができる。
【0102】
以上、アウターステーターである第1ステーターの構造について説明したが、これとは異なり、インナーステーターが上述した第1ステーターと同じ構造で形成されても良いことを明らかにする。
【0103】
また、本発明の思想は、コアブロックユニットの個数に制限がなく、コアブロックユニットの個数を減らしながらボビンの大きさを維持させるための技術にも採用されうることを明らかにする。
【0104】
図7は、本発明の他の実施の形態によるリニア圧縮機を概略的に示す図である。
【0105】
本実施の形態は、リニアモータの構造に対しては、以前の実施の形態と同一であり、ただし、ピストンとシリンダーとの間の潤滑方式において差がある。したがって、以下では、本実施の形態の特徴的な部分についてのみ説明する。
【0106】
図7に示すように、本実施の形態によるリニア圧縮機300は、シリンダー320、ピストン330、リニアモータ400、及びオイル供給装置360を備えることができる。
【0107】
リニア圧縮機300の外形を形成するシェルには、所定のオイルが保存されることができる。そして、シェルの下部には、オイルをポンピングするオイル供給装置360が提供されうる。オイル供給装置360は、ピストン330が往復直線運動することによって発生する振動によって作動して、オイルを上方へポンピングできる。
【0108】
リニア圧縮機300は、オイル供給装置360からオイルの流動をガイドするオイル供給管365をさらに備えることができる。オイル供給管365は、オイル供給装置360からシリンダー320とピストン330との間の空間まで延びることができる。
【0109】
オイル供給装置360からポンピングされたオイルは、オイル供給管365を経てシリンダー320とピストン330との間の空間へ供給されて、冷却及び潤滑作用を行う。
【0110】
以上、本発明は、限定された実施形態と図面により説明されたが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明が属する分野における通常の知識を有した者であればこのような記載から多様な修正及び変形が可能である。したがって、本発明の範囲は、説明された実施形態に限定されてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等なものによって定められねばならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図7