(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エンジンと電動モータとを組み合わせた動力源を備えるハイブリッド車両の冷凍冷蔵車両であって、冷凍機用コンプレッサの駆動源としてエンジンの回転動力を利用するものにおいて、
停車中にエンジンを停止させるアイドルストップ機能を備えると共に、
冷凍冷蔵室内の温度が目標温度より所定温度高い上限温度を越えている状態では、冷凍機用コンプレッサを駆動させてアイドルストップの実行を禁止する状態にし、
冷凍機用コンプレッサの駆動中であっても、一旦冷凍冷蔵室内の温度が目標温度より所定に低い下限温度以下となった後、冷凍冷蔵室内の温度が目標温度より所定温度高い上限温度を越えた場合には、冷凍機用コンプレッサの駆動を停止してアイドルストップの実行を許可する状態にすることを特徴とするハイブリッド車両の冷凍冷蔵車両。
エンジンと電動モータとを組み合わせた動力源を備えるハイブリッド車両の冷凍冷蔵車両であって、冷凍機用コンプレッサの駆動源としてエンジンの回転動力を利用するものにおいて、
停車中にエンジンを停止させるアイドルストップ機能を備えると共に、
冷凍冷蔵室内の温度が目標温度より所定温度高い上限温度を越えている状態では、冷凍機用コンプレッサを駆動させてアイドルストップの実行を禁止する状態にし、
冷凍機用コンプレッサの駆動中であっても、冷凍冷蔵室内の温度が目標温度より所定温度高い上限温度を越えている状態から上限温度以下となった場合、及び、一旦冷凍冷蔵室内の温度が目標温度より所定に低い下限温度以下となった後、冷凍冷蔵室内の温度が目標温度より所定温度高い上限温度を越えた場合には、冷凍機用コンプレッサの駆動を停止してアイドルストップの実行を許可する状態にすることを特徴とするハイブリッド車両の冷凍冷蔵車両。
【背景技術】
【0002】
内燃機関等の燃焼機関(エンジン)と電動モータとを組み合わせた動力源を備えるハイブリッド車両(HV:Hybrid Vehicle)を、冷却機能(冷蔵或いは/及び冷凍機能)を有する冷凍冷蔵室を備えた冷凍冷蔵車として利用する場合、冷凍機用コンプレッサの駆動源としては内燃機関(エンジン)の回転動力を利用しているものがある。
【0003】
この一方、ハイブリッド車両の冷凍冷蔵車においても、環境保護、燃費向上を図るなどの観点から、停車中にエンジンを停止させる所謂アイドルストップ機能が備えられる。
【0004】
従来は、かかるアイドルストップ機構付きのハイブリッド車両の冷凍冷蔵車両においては、アイドルストップさせるか否かを、車両が停止中か否かの判断とは別に、冷凍冷蔵室内の温度に応じて作動・停止される冷凍機用コンプレッサの作動状態に基づいて判断していた。
例えば、冷凍冷蔵室内の温度が所定の設定温度以下であれば、冷凍機用コンプレッサの作動は停止できるため、アイドルストップを実行してエンジンの運転を停止する一方、冷凍冷蔵室内の温度が所定の設定温度より高温であれば冷凍機用コンプレッサを作動させて室内温度を下げる必要があるため、アイドルストップの実行を許可することなくエンジンを運転する、といった制御を行っていた。
【0005】
すなわち、従来は、冷凍機用コンプレッサの駆動源として内燃機関(エンジン)の回転動力を利用しているものにおいては、冷凍機用コンプレッサの作動時にはアイドルストップを実行させることなく、冷凍機用コンプレッサの非作動時にアイドルストップの実行を許可するようにしていた。
【0006】
また、ハイブリッド車両の冷凍冷蔵車であっても電動コンプレッサにより冷凍機用コンプレッサを駆動するものが特許文献1などで提案されているが、特許文献1のものは、電動コンプレッサへの電力の供給源であるバッテリ残量に基づいてアイドルストップを実行させるか否かを判断している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、従来においては、ハイブリッド車両の冷凍冷蔵車であって冷凍機用コンプレッサの駆動源として内燃機関(エンジン)の回転動力を利用しているものは、冷凍機用コンプレッサの作動状態に応じてアイドルストップを実行するか否かを判断しており、アイドルストップの実施率(或いは実施頻度など)の低下につながっているといった実情があった。
【0009】
冷凍冷蔵室の温度状態に大きな悪影響を与えない範囲内において現在以上にアイドルストップの実施率を高めることができれば、環境保護、燃費向上を図ることができ有益であり、市場においてもそのような要請が高い。
【0010】
本発明は、かかる実情に鑑みなされたもので、比較的簡単かつ低コストな構成でありながら、内燃機関等の燃焼機関(エンジン)と電動モータとを組み合わせた動力源を備えるハイブリッド車両の冷凍冷蔵車であって冷凍機用コンプレッサの駆動源として内燃機関(エンジン)の回転動力を利用するものにおいて、冷凍冷蔵室の冷却性能を所定に維持しながらアイドルストップの実施率を高めることができるハイブリッド車両の冷凍冷蔵車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るハイブリッド車両の冷凍冷蔵車両は、
エンジンと電動モータとを組み合わせた動力源を備えるハイブリッド車両の冷凍冷蔵車両であって、冷凍機用コンプレッサの駆動源としてエンジンの回転動力を利用するものにおいて、
停車中にエンジンを停止させるアイドルストップ機能を備えると共に、
冷凍冷蔵室内の温度が目標温度より所定温度高い上限温度を越えている状態では、冷凍機用コンプレッサを駆動させてアイドルストップの実行を禁止する状態にし、
冷凍機用コンプレッサの駆動中であっても、一旦冷凍冷蔵室内の温度が目標温度より所定に低い下限温度以下となった後、冷凍冷蔵室内の温度が目標温度より所定温度高い上限温度を越えた場合には、冷凍機用コンプレッサの駆動を停止してアイドルストップの実行を許可する状態にすることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るハイブリッド車両の冷凍冷蔵車両は、
エンジンと電動モータとを組み合わせた動力源を備えるハイブリッド車両の冷凍冷蔵車両であって、冷凍機用コンプレッサの駆動源としてエンジンの回転動力を利用するものにおいて、
停車中にエンジンを停止させるアイドルストップ機能を備えると共に、
冷凍冷蔵室内の温度が目標温度より所定温度高い上限温度を越えている状態では、冷凍機用コンプレッサを駆動させてアイドルストップの実行を禁止する状態にし、
冷凍機用コンプレッサの駆動中であっても、冷凍冷蔵室内の温度が目標温度より所定温度高い上限温度を越えている状態から上限温度以下となった場合、及び、一旦冷凍冷蔵室内の温度が目標温度より所定に低い下限温度以下となった後、冷凍冷蔵室内の温度が目標温度より所定温度高い上限温度を越えた場合には、冷凍機用コンプレッサの駆動を停止してアイドルストップの実行を許可する状態にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、比較的簡単かつ低コストな構成でありながら、内燃機関等の燃焼機関(エンジン)と電動モータとを組み合わせた動力源を備えるハイブリッド車両の冷凍冷蔵車であって冷凍機用コンプレッサの駆動源として内燃機関(エンジン)の回転動力を利用するものにおいて、冷凍冷蔵室の冷却性能を所定に維持しながらアイドルストップの実施率を高めることができるハイブリッド車両の冷凍冷蔵車両を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施の形態を、添付の図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態により、本発明が限定されるものではない。
【0017】
本発明の一実施の形態を、添付の図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る冷凍冷蔵車両1は、エンジン(内燃機関等の燃焼機関)10と電動モータ20とを組み合わせた動力源を備えるハイブリッド車両の冷凍冷蔵車であって、冷凍機用コンプレッサ(冷コン)100の駆動源としてエンジン10の回転動力を利用することができるように、例えば図示しない電磁クラッチ等を介して回転連結されている。
【0018】
なお、冷凍冷蔵車両1は、図示しないが、所定の冷却機能(冷蔵或いは/及び冷凍機能)を有する冷凍冷蔵室(貨物室)を備えて構成されている。
【0019】
図1に示すように、エンジン10の車両駆動用の回転出力は、クラッチ機構30を介して電動モータ20に連結され、電動モータ20の回転出力はトランスミッション40、ディファレンシャル装置50を介して所定に減速されて、左右の駆動輪60(
図1では右側のみ表示)に伝達されるようになっている。
【0020】
ここで、本実施の形態では、従来のような冷凍機用コンプレッサの動作状態(ON・OFF信号)に基づいてアイドルストップの実行を許可するか否かを判断することに代えて以下のような制御を実行する。
【0021】
なお、アイドルストップとは、冷凍冷蔵車両1が停車中(例えば、走行中に信号停止などにより一定時間停車しているような状態)やモータ走行中において、従来、エンジン10がアイドル運転されていたような状態において、車両1が再発進(再始動)されるまでの間、燃費改善や環境保護などのために、エンジン10の運転を停止する(燃料の供給を停止する)制御である。
【0022】
すなわち、本実施の形態に係るエンジンコントロールユニット200においては、冷凍冷蔵室(冷凍機)の設定温度(ドライバー(運転者)等により設定された温度)を基準として、冷凍冷蔵室内の温度がある閾値内(所定の温度範囲内)にあり、かつ、冷凍冷蔵室の温度と外気温度との差が小さい場合は、冷凍機用コンプレッサ100の駆動を停止(エンジン10の運転を停止)しても延いてはアイドルストップを実行しても、冷凍冷蔵室には急激な温度上昇は起きないと判断して、冷凍機用コンプレッサ100の駆動を停止(エンジン10の運転を停止)する、延いてはアイドルストップの実行を許可するといった制御を行う。
上記ではアイドルストップの実行を許可するか否かの判断は車両側(その一例としてエンジンコントロールユニット)が行うものとして説明しているが、これに限定されるものではなく、架装装置側のコントロールユニットが冷凍冷蔵室内等の温度を検出してアイドルストップの実行を許可するか否かの判断を行う構成とすることもできる。
【0023】
なお、外気温度としては、具体的には、例えば、外気温度センサにより取得される外気温、或いは吸気温センサによりインテーク温度(エンジン10の吸気温度)を用いることができる。
【0024】
ところで、従来は、
図5に示すように、ドライバー等により設定される設定温度(目標温度)Tt(冷凍冷蔵室内目標温度)より所定に低い下限温度T2まで冷凍冷蔵室内の温度が低下するように、冷凍機用コンプレッサ100を駆動する(
図5の破線A1、A2参照)。この冷凍機用コンプレッサ100を駆動している間は、冷凍機用コンプレッサ100の駆動維持を優先して、アイドルストップの実行を許可しない状態(アイドルストップ実行禁止状態)とする。
【0025】
そして、下限温度T2まで冷凍冷蔵室内の温度が低下したら、
図5のS1点にて、冷凍機用コンプレッサ100の駆動を停止してアイドルストップの実行を許可する状態(アイドルストップ実行許可状態)とする(
図5の実線B1を参照)。
【0026】
上述のように、S1点にて、冷凍機用コンプレッサ100の駆動を停止し、この停止状態(アイドルストップ実行許可状態)を維持すると、その後、
図5のS2点にて、冷凍冷蔵室内の温度が上昇して設定温度Ttから所定温度高い上限温度T1を越えるため、このS2点にて、再び冷凍機用コンプレッサ100を駆動すると共に、アイドルストップの実行を許可しない状態(アイドルストップ実行禁止状態)とする(
図5の破線C1を参照)。
【0027】
その後、下限温度T2まで冷凍冷蔵室内の温度が低下するように、冷凍機用コンプレッサ100の駆動を継続して、アイドルストップの実行を許可しない状態(アイドルストップ実行禁止状態)を維持する(
図5の破線A2参照)。
【0028】
このため、従来は、
図5の破線B1の間だけ、アイドルストップの実行を許可する状態(アイドルストップ実行許可状態)になるため、アイドルストップの実施率が低かった。
【0029】
これに対して、本実施の形態では、
図2に示すように、
冷凍機用コンプレッサ100を駆動して冷凍冷蔵室内の温度を低下させるが(
図2の破線X1参照。破線X1はアイドルストップ実行禁止状態)、冷凍冷蔵室内の温度が設定温度(目標温度)Tt(冷凍冷蔵室内目標温度)より所定温度高い上限温度T1以下となった時点(
図2のS11点参照)で、アイドルストップの実行を許可する状態(アイドルストップ実行許可状態)とする(
図2の点線X2を参照)。
【0030】
すなわち、冷凍冷蔵室内の温度が、上限温度T1以下となった場合には、アイドルストップの実行により冷凍機用コンプレッサ100の駆動を停止しても、それまでの冷却により冷凍冷蔵室内の温度は更に低下する傾向或いは急激に上昇する傾向とはならない。従って、本実施の形態では、アイドルストップの実行によりエンジン10延いては冷凍機用コンプレッサ100の駆動が停止されても、冷凍冷蔵室内の温度が急激に上昇するようなことにはならないため、アイドルストップの実行の要請があれば、冷凍機用コンプレッサ100の駆動中であっても、冷凍機用コンプレッサ100の駆動を停止してアイドルストップの実行を許可する状態とする(
図2の点線X2を参照)。
【0031】
冷凍冷蔵車両1が所定車速以上で走行中であるなど、アイドルストップが実行されない場合、冷凍機用コンプレッサ100の駆動を継続して(
図2の点線X2参照)、冷凍冷蔵室内の温度が設定温度Tt(冷凍冷蔵室内目標温度)より所定温度低い下限温度T2以下となった時点(
図2のS12点参照)で、冷凍機用コンプレッサ100の駆動を停止してアイドルストップの実行を許可する状態を維持する(
図2の実線X3を参照)。
【0032】
図2のS12点にて、冷凍機用コンプレッサ100の駆動を停止し、この停止状態を維持すると、その後、冷凍冷蔵室内の温度が上昇し、
図2のS13点にて、設定温度Ttから所定温度高い上限温度T1を越えるため、このS13点にて、再び冷凍機用コンプレッサ100を駆動する。しかし、冷凍冷蔵室内の温度が上限温度T1に近い状態では、アイドルストップが実行されて冷凍機用コンプレッサ100の駆動が停止されても、冷凍冷蔵室内の温度が急激に上昇するようなことにはないため、アイドルストップの実行の要請があれば、冷凍機用コンプレッサ100の駆動中であっても、冷凍機用コンプレッサ100の駆動を停止してアイドルストップの実行を許可する状態(アイドルストップ実行許可状態)とする(
図2の点線X4を参照)。
【0033】
その後、アイドルストップ実行許可状態にて、冷凍冷蔵室内の温度が下限温度T2まで低下するように、冷凍機用コンプレッサ100を駆動するが、この間、アイドルストップの実行の要請があって冷凍機用コンプレッサ100の駆動を停止したとしても、冷凍冷蔵室内の温度が急激に上昇するようなことにはならないため、アイドルストップの実行の要請があれば、冷凍機用コンプレッサ100の駆動中であっても、冷凍機用コンプレッサ100の駆動を停止してアイドルストップの実行を許可する状態とする(
図2の点線X2を参照)。
【0034】
このように、本実施の形態では、
図2の(X1→)X2→X3→X4→X2→X3→X4→・・・のサイクルを繰り返すことになる。そして、X2,X3,X4はアイドルストップの実行を許可する状態であるから、X3に相当する
図5のB1の区間だけアイドルストップの実行を許可していた従来に比べて、冷凍冷蔵室の冷却を所定に維持しながらアイドルストップの実施率を高めることができる。
【0035】
すなわち、本実施の形態では、冷凍機用コンプレッサ100の駆動中であっても、冷凍冷蔵室内の温度が設定温度Tt(冷凍冷蔵室内目標温度)より所定温度高い上限温度T1以下となった場合及び、一旦冷凍冷蔵室内の温度が下限温度T2以下となった場合には冷凍冷蔵室内の温度が上限温度T1となって冷凍機用コンプレッサ100が駆動される状況においても、冷凍機用コンプレッサ100の駆動を停止しても冷凍冷蔵室内の温度は急激に上昇しないという知見に基づいて、アイドルストップの実行を許可する状態(アイドルストップ実行許可状態)とする制御を行うようになっている。
【0036】
本実施の形態では、
図4の曲線X(冷凍冷蔵室内の温度変化を示す曲線)と冷凍冷蔵室内の上限温度T1(直線)の2つの交点XA、XBの間が、冷凍機用コンプレッサ100の駆動を停止してアイドルストップの実行を許可する状態(アイドルストップ実行許可状態)となる。
【0037】
図4より、XA−XBの区間の長さは、従来のアイドルストップの実行を許可する状態(アイドルストップ実行許可状態)とする区間Xa−Xbに比べて大幅に拡張できることがわかる。すなわち、本実施の形態によれば、従来に対して、アイドルストップの実施率を高めることができる。
【0038】
このように、本実施の形態によれば、比較的簡単かつ低コストな構成でありながら、内燃機関等の燃焼機関(エンジン)と電動モータとを組み合わせた動力源を備えるハイブリッド車両の冷凍冷蔵車であって冷凍機用コンプレッサの駆動源として内燃機関(エンジン)の回転動力を利用するものにおいて、冷凍冷蔵室の冷却性能を所定に維持しながらアイドルストップの実施率を高めることができる。
【0039】
ここで、外気温度と、冷凍冷蔵室内の設定温度(目標温度)Ttと、の偏差の大きさに応じて、冷凍冷蔵室内の温度変化に影響が生じる。
すなわち、外気温度と、冷凍冷蔵室内の設定温度(目標温度)Ttと、の偏差が基準値付近である場合(例えば春や秋など)は、冷凍冷蔵室内の温度は、上述した
図4の曲線Xのように変化することになるが、外気温度と、冷凍冷蔵室内の設定温度(目標温度)Ttと、の偏差が基準値より大きい場合(夏などのように外気温が比較的高い場合)には、冷凍冷蔵室内の温度は、
図4の曲線Yに示すように変化することになる。
【0040】
また、外気温度と、冷凍冷蔵室内の設定温度(目標温度)Ttと、の偏差が基準値より小さい場合(冬などのように外気温が比較的低い場合)には、冷凍冷蔵室内の温度は、
図4の曲線Zに示すように変化することになる。
【0041】
このため、冷凍冷蔵室内の温度が設定温度Tt(冷凍冷蔵室内目標温度)より所定温度高い上限温度T1(ある一定の値)を閾値として、冷凍機用コンプレッサ100の駆動を停止してアイドルストップの実行を許可する状態(アイドルストップ実行許可状態)か否かを判断する場合、
図4に示したように、曲線Yの場合は、基準の曲線Xよりアイドルストップ実行許可状態期間が短くなり(アイドルストップ実施率(実施頻度)が下がり)、曲線Zの場合は、基準の曲線Xよりアイドルストップ実行許可状態期間が長くなる(アイドルストップ実施率(実施頻度)が高まる)ことになる。
【0042】
しかし、前記上限温度T1(閾値)を一定の値でなく、外気温度に応じて変更するようにすれば、冷凍冷蔵室内の温度を過剰に冷却したり、冷却不足になることを抑制しながら、冷凍機用コンプレッサ100の駆動を停止してアイドルストップの実行を許可する状態(アイドルストップ実行許可状態)とする期間(頻度)を適切に設定することが可能となる(冷凍冷蔵室内の冷却性能とアイドルストップの実施率の両立を図ることができる)。
【0043】
このようなことから、本実施の形態では、冷凍機用コンプレッサ100の駆動を停止してアイドルストップの実行を許可する状態(アイドルストップ実行許可状態)か否かを判断する上限温度T1(閾値)を、外気温度に応じて変更する構成を採用することができる。
【0044】
詳細には、外気温度と、冷凍冷蔵室内の設定温度(目標温度)Ttと、の偏差が基準値より小さい場合(冬などのように外気温が比較的低い場合)には、
図3に示すように、
冷凍機用コンプレッサ100を駆動して冷凍冷蔵室内の温度を低下させるが(
図3の破線x1参照)、冷凍冷蔵室内の温度が設定温度Tt(冷凍冷蔵室内目標温度)より第1の所定温度だけ高い第1の上限温度T1(前記上限温度)より更に第2の所定温度だけ高い第2の上限温度T11以下となった時点(
図3のs11点参照)で、アイドルストップの実行を許可する状態(アイドルストップ実行許可状態)とする(
図3の点線y1を参照)。
【0045】
その後、冷凍機用コンプレッサ100が駆動されて(
図3の点線x2参照)、冷凍冷蔵室内の温度が設定温度Tt(冷凍冷蔵室内目標温度)より所定温度低い下限温度T2以下となった時点(
図3のs12点参照)で、冷凍機用コンプレッサ100の駆動を停止してアイドルストップの実行を許可する状態を維持する(
図3の実線x3を参照)。
【0046】
図3のs12点にて、冷凍機用コンプレッサ100の駆動を停止し、この停止状態を維持すると、その後、冷凍冷蔵室内の温度が上昇し、
図3のs13点にて、第2の上限温度T11を越えるため、このs13点にて、再び冷凍機用コンプレッサ100を駆動する。しかし、冷凍冷蔵室内の温度が上限温度に近い状態では、アイドルストップが実行されて冷凍機用コンプレッサ100の駆動が停止されても、冷凍冷蔵室内の温度が急激に上昇するようなことにはないため、アイドルストップの実行の要請があれば、冷凍機用コンプレッサ100の駆動中であっても、冷凍機用コンプレッサ100の駆動を停止してアイドルストップの実行を許可する状態(アイドルストップ実行許可状態)とする(
図3の点線x4を参照)。
【0047】
その後、アイドルストップ実行許可状態にて、冷凍冷蔵室内の温度が下限温度T2まで低下するように、冷凍機用コンプレッサ100を駆動するが、この間、アイドルストップの実行の要請があって冷凍機用コンプレッサ100の駆動を停止したとしても、冷凍冷蔵室内の温度が急激に上昇するようなことにはならないため、アイドルストップの実行の要請があれば、冷凍機用コンプレッサ100の駆動中であっても、冷凍機用コンプレッサ100の駆動を停止してアイドルストップの実行を許可する状態とする(
図3の点線x2を参照)。
【0048】
なお、外気温度と、冷凍冷蔵室内の目標温度と、の偏差の大きさに応じて、第2の上限温度T11を変更する構成とすることができる。
また、外気温度と、冷凍冷蔵室内の設定温度(目標温度)Ttと、の偏差が基準値より大きい場合(夏などのように外気温が比較的高い場合)には、
図3に示すように、第2の上限温度T11を設定温度(目標温度)Ttより低い温度(T12)に設定することも可能である。
【0049】
本実施の形態では、
図3の(x1→)x2→x3→x4→x2→x3→x4→・・・のサイクルを繰り返すことになる。そして、x2,x3,x4はアイドルストップの実行を許可する状態であるから、従来に比べて、冷凍冷蔵室の冷却を所定に維持しながらアイドルストップの実施率を高めることができると共に、外気温度と、冷凍冷蔵室内の目標温度と、の偏差の大きさに応じて、アイドルストップの実行を許可する状態(アイドルストップ実行許可状態)とするか否かを判断する基準値(冷凍冷蔵室内の上限温度)を変更する構成としたので、冷凍冷蔵室内を過剰に冷却したり、冷却不足になることを抑制しながら、冷凍機用コンプレッサ100の駆動を停止してアイドルストップの実行を許可する状態(アイドルストップ実行許可状態)とする期間(頻度)を適切に設定することが可能となる(冷凍冷蔵室内の冷却性能とアイドルストップの実施率の両立を図ることができる)。
【0050】
このように、本実施の形態によれば、比較的簡単かつ低コストな構成でありながら、内燃機関等の燃焼機関(エンジン)と電動モータとを組み合わせた動力源を備えるハイブリッド車両の冷凍冷蔵車であって冷凍機用コンプレッサの駆動源として内燃機関(エンジン)の回転動力を利用するものにおいて、より一層きめ細かく、冷凍冷蔵室の冷却性能を所定に維持しながらアイドルストップの実施率を高めることができる。
【0051】
なお、本実施の形態では、ドライバー等により設定される設定温度(目標温度)Tt(冷凍冷蔵室内目標温度)より所定に低い下限温度T2を設ける場合を例示したが、下限温度T2を省略して、
図2〜
図4において下限温度T2を設定温度(目標温度)Tt(=T2)として扱うことも可能である。
【0052】
また、本実施の形態では、下限温度T2を一定の値として説明したが、これに限らず、外気温度と、冷凍冷蔵室内の目標温度と、の偏差の大きさに応じて、下限温度T2を変更する構成とすることも可能である。例えば、一例として、冷凍冷蔵室内の目標温度が一定で外気温度が高い場合には下限温度T2を低めに設定し、外気温度が低い場合には下限温度T2を高めに設定するような構成とすることができる。
【0053】
なお、本実施の形態では、外気温度と、冷凍冷蔵室内の目標温度と、の偏差の大きさに応じて、上限温度T1や下限温度T2を変更する構成としたが、これに限らず、例えば、冷凍冷蔵室内の目標温度が予め設定されているような場合には、外気温度に応じて、上限温度T1や下限温度T2を変更する構成とすることも可能である。
【0054】
以上で説明した各実施の形態は、本発明を説明するための例示に過ぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることは可能である。