(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記移動経路更新部は、前記第2推定部により推定し更新された左右の第2延在方向のうち、前記所定の条件を満たしている第2延在方向のみを用いて前記移動予定経路を更新する、
請求項1記載の駐車支援装置。
前記移動経路更新部は、前記第2推定部により推定し更新された左右の第2延在方向のうち、双方の第2延在方向が前記所定の条件を満たしている場合に、二つの第2延在方向の平均値を用いて前記移動予定経路を更新する、
請求項1記載の駐車支援装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用、結果、および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や、派生的な効果のうちの少なくとも一つを得ることが可能である。
【0018】
本実施形態の車両1は、例えば、不図示の内燃機関を駆動源とする自動車、すなわち内燃機関自動車であってもよいし、不図示の電動機を駆動源とする自動車、すなわち電気自動車や燃料電池自動車等であってもよいし、それらの双方を駆動源とするハイブリッド自動車であってもよいし、他の駆動源を備えた自動車であってもよい。また、車両1は、種々の変速装置を搭載することができるし、内燃機関や電動機を駆動するのに必要な種々の装置、例えばシステムや部品等を搭載することができる。また、車両1における車輪3の駆動に関わる装置の方式や、数、レイアウト等は、種々に設定することができる。
【0019】
図1は、実施形態の車両の車室の一部が透視された状態が示された例示的な斜視図である。
図2は、実施形態の車両の例示的な平面図(俯瞰図)である。
図1に例示されるように、車体2は、不図示の乗員が乗車する車室2aを構成している。車室2a内には、乗員としてのドライバーの座席2bに臨む状態で、操舵部4や、加速操作部5、制動操作部6、変速操作部7等が設けられている。
操舵部4は、例えば、ダッシュボード24から突出したステアリングホイールであり、加速操作部5は、例えば、ドライバーの足下に位置されたアクセルペダルであり、制動操作部6は、例えば、ドライバーの足下に位置されたブレーキペダルであり、変速操作部7は、例えば、センターコンソールから突出したシフトレバーである。なお、操舵部4や、加速操作部5、制動操作部6、変速操作部7等は、これらには限定されない。
【0020】
また、車室2a内には、表示出力部としての表示装置8や、音声出力部としての音声出力装置9が設けられている。表示装置8は、例えば、LCD(liquid crystal display)や、OELD(organic electroluminescent display)等である。音声出力装置9は、例えば、スピーカである。また、表示装置8は、例えば、タッチパネル等、透明な操作入力部10で覆われている。乗員は、操作入力部10を介して表示装置8の表示画面に表示される画像を視認することができる。また、乗員は、表示装置8の表示画面に表示される画像に対応した位置において手指等で操作入力部10を触れたり押したり動かしたりして操作することで、操作入力を実行することができる。これら表示装置8や、音声出力装置9、操作入力部10等は、例えば、ダッシュボード24の車幅方向すなわち左右方向の中央部に位置されたモニタ装置11に設けられている。モニタ装置11は、スイッチや、ダイヤル、ジョイスティック、押しボタン等の不図示の操作入力部を有することができる。また、モニタ装置11とは異なる車室2a内の他の位置に不図示の音声出力装置を設けることができるし、モニタ装置11の音声出力装置9と他の音声出力装置から、音声を出力することができる。なお、モニタ装置11は、例えば、ナビゲーションシステムやオーディオシステムと兼用されうる。
また、車室2a内には、表示装置8とは別の表示装置12(
図3参照)が設けられている。
【0021】
図3は、実施形態の車両のダッシュボードの一例の車両後方からの視野での図である。
図3に例示されるように、表示装置12は、例えば、ダッシュボード24の計器盤部25に設けられ、計器盤部25の略中央で、速度表示部25aと回転数表示部25bとの間に位置されている。表示装置12の画面の大きさは、表示装置8の画面(
図1)の大きさよりも小さい。この表示装置12には、主として車両1の駐車支援に関する情報を示す画像が表示される。表示装置12で表示される情報量は、表示装置8で表示される情報量より少なくてもよい。表示装置12は、例えば、LCDや、OELD等である。なお、表示装置8に、表示装置12で表示される情報が表示されてもよい。
【0022】
また、
図1及び
図2に例示されるように、車両1は、例えば、四輪自動車であり、左右二つの前輪3Fと、左右二つの後輪3Rとを有する。これら四つの車輪3は、いずれも転舵可能に構成されうる。
【0023】
図4は、実施形態の駐車支援システムの構成の例示的なブロック図である。
図4に例示されるように、車両1は、少なくとも二つの車輪3を操舵する操舵システム13を有している。操舵システム13は、アクチュエータ13aと、トルクセンサ13bとを有する。操舵システム13は、ECU14(electronic control unit)等によって電気的に制御されて、アクチュエータ13aを動作させる。操舵システム13は、例えば、電動パワーステアリングシステムや、SBW(steer by wire)システム等である。操舵システム13は、アクチュエータ13aによって操舵部4にトルク、すなわちアシストトルクを付加して操舵力を補ったり、アクチュエータ13aによって車輪3を転舵したりする。この場合、アクチュエータ13aは、一つの車輪3を転舵してもよいし、複数の車輪3を転舵してもよい。また、トルクセンサ13bは、例えば、ドライバーが操舵部4に与えるトルクを検出する。
【0024】
また、
図2に例示されるように、車体2には、複数の撮像部15として、例えば四つの撮像部15a〜15dが設けられている。撮像部15は、例えば、CCD(charge coupled device)やCIS(CMOS image sensor)等の撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。撮像部15は、所定のフレームレートで動画データを出力することができる。撮像部15は、それぞれ、広角レンズまたは魚眼レンズを有し、水平方向には例えば140°〜190°の範囲を撮影することができる。また、撮像部15の光軸は斜め下方に向けて設定されている。よって、撮像部15は、車両1が移動可能な路面や車両1が駐車可能な領域を含む車体2の周辺の外部の環境を逐次撮影し、撮像画像データとして出力する。
【0025】
撮像部15aは、例えば、車体2の後側の端部2eに位置され、リヤトランクのドア2hの下方の壁部に設けられている。撮像部15bは、例えば、車体2の右側の端部2fに位置され、右側のドアミラー2gに設けられている。撮像部15cは、例えば、車体2の前側、すなわち車両前後方向の前方側の端部2cに位置され、フロントバンパー等に設けられている。撮像部15dは、例えば、車体2の左側、すなわち車幅方向の左側の端部2dに位置され、左側の突出部としてのドアミラー2gに設けられている。ECU14は、複数の撮像部15で得られた画像データに基づいて演算処理や画像処理を実行し、より広い視野角の画像を生成したり、車両1を上方から見た仮想的な俯瞰画像を生成したりすることができる。なお、俯瞰画像は、平面画像とも称されうる。
【0026】
また、ECU14は、撮像部15の画像から、車両1の周辺の路面に示された区画線等を識別し、区画線等に示された駐車区画を検出(抽出)する。
【0027】
また、
図1及び
図2に例示されるように、車体2には、複数の測距部16,17として、例えば四つの測距部16a〜16dと、八つの測距部17a〜17hとが設けられている。測距部16,17は、例えば、超音波を発射してその反射波を捉えるソナーである。ソナーは、ソナーセンサ、あるいは超音波探知器とも称されうる。ECU14は、測距部16,17の検出結果により、車両1の周囲に位置された障害物等の物体の有無や当該物体までの距離を測定することができる。すなわち、測距部16,17は、物体を検出する検出部の一例である。なお、測距部17は、例えば、比較的近距離の物体の検出に用いられ、測距部16は、例えば、測距部17よりも遠い比較的長距離の物体の検出に用いられうる。また、測距部17は、例えば、車両1の前方および後方の物体の検出に用いられ、測距部16は、車両1の側方の物体の検出に用いられうる。
【0028】
また、
図4に例示されるように、駐車支援システム100では、ECU14や、モニタ装置11、操舵システム13、測距部16,17等の他、ブレーキシステム18、舵角センサ19、アクセルセンサ20、シフトセンサ21、車輪速センサ22等が、電気通信回線としての車内ネットワーク23を介して電気的に接続されている。
車内ネットワーク23は、例えば、CAN(controller area network)として構成されている。ECU14は、車内ネットワーク23を通じて制御信号を送ることで、操舵システム13、ブレーキシステム18等を制御することができる。また、ECU14は、車内ネットワーク23を介して、トルクセンサ13b、ブレーキセンサ18b、舵角センサ19、測距部16、測距部17、アクセルセンサ20、シフトセンサ21、車輪速センサ22等の検出結果や、操作入力部10等の操作信号等を、受け取ることができる。
【0029】
ECU14は、例えば、CPU14a(central processing unit)や、ROM14b(read only memory)、RAM14c(random access memory)、表示制御部14d、音声制御部14e、SSD14f(solid state drive、フラッシュメモリ)等を有している。CPU14aは、例えば、表示装置8,12で表示される画像に関連した画像処理や、車両1の移動目標位置の決定、車両1の移動経路の演算、物体との干渉の有無の判断、車両1の自動制御、自動制御の解除等の、各種の演算処理および制御を実行することができる。CPU14aは、ROM14b等の不揮発性の記憶装置にインストールされ記憶されたプログラムを読み出し、当該プログラムにしたがって演算処理を実行することができる。RAM14cは、CPU14aでの演算で用いられる各種のデータを一時的に記憶する。また、表示制御部14dは、ECU14での演算処理のうち、主として、撮像部15で得られた画像データを用いた画像処理や、表示装置8,12で表示される画像データの合成等を実行する。また、音声制御部14eは、ECU14での演算処理のうち、主として、音声出力装置9で出力される音声データの処理を実行する。また、SSD14fは、書き換え可能な不揮発性の記憶部であって、ECU14の電源がオフされた場合にあってもデータを記憶することができる。なお、CPU14aや、ROM14b、RAM14c等は、同一パッケージ内に集積されうる。また、ECU14は、CPU14aに替えて、DSP(digital signal processor)等の他の論理演算プロセッサや論理回路等が用いられる構成であってもよい。また、SSD14fに替えてHDD(hard disk drive)が設けられてもよいし、SSD14fやHDDは、ECU14とは別に設けられてもよい。
【0030】
ブレーキシステム18は、例えば、ブレーキのロックを抑制するABS(anti-lock brake system)や、コーナリング時の車両1の横滑りを抑制する横滑り防止装置(ESC:electronic stability control)、ブレーキ力を増強させる(ブレーキアシストを実行する)電動ブレーキシステム、BBW(brake by wire)等である。ブレーキシステム18は、アクチュエータ18aを介して、車輪3ひいては車両1に制動力を与える。また、ブレーキシステム18は、左右の車輪3の回転差などからブレーキのロックや、車輪3の空回り、横滑りの兆候等を検出して、各種制御を実行することができる。ブレーキセンサ18bは、例えば、制動操作部6の可動部の位置を検出するセンサである。ブレーキセンサ18bは、制動操作部6の可動部としてのブレーキペダルの位置を検出することができる。ブレーキセンサ18bは、変位センサを含む。
【0031】
舵角センサ19は、例えば、ステアリングホイール等の操舵部4の操舵量を検出するセンサである。舵角センサ19は、例えば、ホール素子などを用いて構成される。ECU14は、ドライバーによる操舵部4の操舵量や、自動操舵時の各車輪3の操舵量等を、舵角センサ19から取得して各種制御を実行する。なお、舵角センサ19は、操舵部4に含まれる回転部分の回転角度を検出する。舵角センサ19は、角度センサの一例である。
【0032】
アクセルセンサ20は、例えば、加速操作部5の可動部の位置を検出するセンサである。アクセルセンサ20は、加速操作部5の可動部としてのアクセルペダルの位置を検出することができる。アクセルセンサ20は、変位センサを含む。
【0033】
シフトセンサ21は、例えば、変速操作部7の可動部の位置を検出するセンサである。シフトセンサ21は、変速操作部7の可動部としての、レバーや、アーム、ボタン等の位置を検出することができる。シフトセンサ21は、変位センサを含んでもよいし、スイッチとして構成されてもよい。
【0034】
車輪速センサ22は、車輪3の回転量や単位時間当たりの回転数を検出するセンサである。車輪速センサ22は、検出した回転数を示す車輪速パルス数をセンサ値として出力する。車輪速センサ22は、例えば、ホール素子などを用いて構成されうる。ECU14は、車輪速センサ22から取得したセンサ値に基づいて車両1の移動量などを演算し、各種制御を実行する。なお、車輪速センサ22は、ブレーキシステム18に設けられている場合もある。その場合、ECU14は、車輪速センサ22の検出結果をブレーキシステム18を介して取得する。
【0035】
なお、上述した各種センサやアクチュエータの構成や、配置、電気的な接続形態等は、一例であって、種々に設定(変更)することができる。
【0036】
本実施形態では、ECU14は、ハードウェアとソフトウェア(制御プログラム)が協働することにより、駐車支援装置としての機能の少なくとも一部を実現している。
図5は、ECUの機能構成ブロック図である。
ECU14は、
図5に示すように、検出部141、操作受付部142、目標位置決定部143や、移動経路決定部144、移動制御部145、出力情報決定部146、移動経路更新判定部147、駐車支援完了判定部148及び記憶部149として機能する。
【0037】
上記構成において、検出部141は、自車両である車両1の位置、他の車両、柱等の障害物や、駐車区画線等の枠線等を検出する。
操作受付部142は、操作部14gの操作入力による操作信号を取得する。ここで、操作部14gは、例えば、押しボタンやスイッチ等で構成され、操作信号を出力する。
【0038】
目標位置決定部143は、車両1の移動目標位置(駐車目標位置)を決定する。
移動経路決定部144は、車両1の移動目標位置への移動経路を決定する。
移動制御部145は、車両1が移動経路に沿って移動目標位置(駐車目標位置)へ移動するよう、車両1の各部を制御する。
【0039】
出力情報決定部146は、表示装置12,8や、音声出力装置9等で出力する情報や、当該情報の出力態様等を決定する。
移動経路更新判定部147は、他の車両、柱、壁等の障害物に関する新たな情報が取得できた場合に、移動経路決定部144に車両1の移動目標位置への移動経路を更新させるか否かを判定する。
【0040】
駐車支援完了判定部148は、所望の精度以上かつ駐車支援の完了に至るまでの時間を抑制するように駐車支援の完了を判定する。
記憶部149は、ECU14での演算で用いられるあるいはECU14での演算で算出されたデータを記憶する。
【0041】
次に実施形態の動作を説明する。
図6は、実施形態の概要処理フローチャートである。
まず、ECU14は、駐車可能領域検出(障害物検出)を行う(ステップS11)。
図7は、駐車可能領域検出の説明図である。
図8は、障害物の反射部の説明図である。
【0042】
具体的には、測距部16c、16dは、所定のサンプリングタイミングごとに他車両300、壁、柱などの構造物301(
図9参照)等の障害物までの距離を算出し、
図8に示すように、障害物の反射部S(音波等の反射点r1〜r12の集合)に対応するデータとして出力する。出力されたデータは、たとえば、出力周期毎にRAM14cに記憶される。
【0043】
そして、ECU14は、検出部141として機能し、測距部16c、16dの出力データに基づいて、車両1の左右両側方のいずれかに位置する駐車可能領域201(
図7及び
図9参照)をそれぞれ独立に検出する。
図7の例の場合は、駐車可能領域201が、車両1の左側方に位置する場合である。
ここでは、理解の容易のため、車両1の左側方における駐車可能領域201の検出方法について説明する。
【0044】
図9は、駐車可能領域の説明図である。
検出部141は、障害物に対応する出力データが第一の所定長さに相当する期間以上出力され、且つ、その後、車両1が駐車可能な領域として必要な最小幅に相当する第二の規定長さ以上の期間、障害物が存在しない(障害物までの距離が、車両の駐車に必要な車両前後方向の長さ以上の場合を含む)場合に対応する出力データが出力された場合、駐車可能領域201が存在すると判断する。
【0045】
より具体的には、車両1の進行方向DR1と、障害物の先端に沿った方向DR2とが平行ではなく交差するような場合には、
図9に示すように、構造物301が検出されて障害物に対応する出力データが第一の所定長さに相当する期間以上出力され、且つ、その後、構造物301が最後に検出された反射点rx1から、他車両300が初めて検出された反射点Rx2に至るまでに、車両1が駐車可能な領域として必要な最小幅に相当する第二の規定長さ以上の期間、障害物が存在しなかった場合に、駐車可能領域201が検出される。
【0046】
このとき、障害物である他の車両300及び構造物301の延在方向(面角度)は、車両1の進行方向に垂直なベクトルV1及びベクトルV2により示されるものとなり、実際の駐車可能領域201Aに対して所定角度曲がった状態で検出されることとなる。
【0047】
また、検出部141は、車両1の後方を撮像する撮像部15aの出力した撮像データに基づいて、地面、路面等の走行面に設けられた白線等の駐車区画線を検出する。より詳細には、検出部141は、車両1の後進過程や前進過程、停止時に撮像部15a〜15dにより出力された撮像データを用いてエッジ抽出を行うことで駐車区画線を検出している。
【0048】
駐車可能領域201が検出されると、続いて、ECU14は、操作受付部142として機能し、操作部14gを介して駐車支援モードへの移行指示がなされたか否かを判別する(ステップS12)。
【0049】
ステップS12の判別において、未だ操作部14gを介して駐車支援モードへの移行指示がなされていない場合には(ステップS12;No)、再び新たな駐車可能領域の検出処理に移行し(ステップS11)、実効的に待機状態となる。
【0050】
一方、ステップS12の判別において、操作部14gを介して駐車支援モードへの移行指示がなされた場合には(ステップS12;Yes)、ECU14は、目標位置決定部143として機能し、車両1の移動目標位置(駐車目標位置)200を決定する(ステップS13)。
【0051】
図10は、移動経路の設定例の説明図である。
この移動目標位置200には、
図10に示すように、車両1の後輪3Rの回転軸AX状であって、二つの後輪3Rの中点位置を第1駐車支援完了判定用位置PX1に設定し、この第1駐車支援完了判定用位置PX1が駐車可能領域201の所定の位置に移動するように移動経路設定に用いることとなる。
【0052】
すなわち、ECU14は、移動経路決定部144として機能し、第1駐車支援完了判定用位置PX1が、車両1の移動目標位置200内に設定された第2駐車支援完了判定用位置PX2から所定距離範囲内となるように移動経路RT0を設定する(ステップS14)。
【0053】
図10においては、説明の簡略化のため、操舵部4としてのステアリングホイールの切り返し位置が一カ所の移動経路である場合について説明する。
【0054】
図10の移動経路RT0は、車両1の駐車支援制御処理開始時の初期位置P1から、操舵部4としてのステアリングホイールを右に所定量切って、前進し、操舵部4としてのステアリングホイールの切り返し位置P2に向かい、切り返し位置P2で制動操作部6としてのブレーキを踏んで、停車し、ギアを後進(バック)にチェンジし、操舵部4としてのステアリングホイールを左に切りつつ、移動目標位置200に向かう構成となっている。
【0055】
移動経路RT0を決定したECU14は、駐車支援制御処理に移行する(ステップS15)。
【0056】
図11は、駐車支援制御処理の処理フローチャートである。
まず、ECU14は、移動制御部145として機能し、車両1が移動経路に沿って移動目標位置である駐車目標位置へ移動するよう、車両1の各部を制御するために、自動操舵を行う自動操舵モードを開始する(ステップS21)。
【0057】
この自動操舵モードにおいて、ドライバーは、操舵部4の操作、具体的には、ステアリングホイールの操作を行う必要は無い。また、駐車支援制御処理時の車両1の前進駆動力及び後進駆動力は、加速操作部5の操作であるアクセルペダルの踏み込み操作を行うことなく、エンジンの駆動力が伝達されるクリーピングを利用している。
【0058】
したがって、ドライバーは、表示装置12の表示に従って、制動操作部6としてのブレーキペダル及び変速操作部7としてのシフトレバーの操作を行うだけとなる。
続いて、移動制御部145は、移動目標位置到達を判断する基準を設定するための判断基準設定パラメータn=1に設定する(ステップS22)。
【0059】
本実施形態では、判断基準設定パラメータは、第1基準及び第2基準に相当するn=1,2の2種類が設定されている。
【0060】
ここで、第1基準と第2基準とを比較すると、第1基準の方が第2基準よりも全体として厳しい基準となっている。より詳細には、第1基準及び第2基準は、平面視した場合に、車両1の前後方向に沿い、かつ、第1駐車支援完了判定用位置PX1を通る直線と、移動目標位置200における障害物の延在方向に沿った直線と、のなす角度、第1駐車支援完了判定用位置PX1と第2駐車支援完了判定用位置PX2の車両1の左右方向(横方向)におけるずれ量、第1駐車支援完了判定用位置PX1と第2駐車支援完了判定用位置PX2の車両1の前後方向(縦方向)におけるずれ量並びに前輪3Fの舵角がそれぞれ第1基準の方が第2基準よりも全体として厳しくなるように設定されている。
【0061】
具体的には、例えば、第1基準においては、平面視した場合に、車両1の前後方向に沿い、かつ、第1駐車支援完了判定用位置PX1を通る直線と、移動目標位置200における障害物の延在方向に沿った直線と、のなす角度が0.75°、第1駐車支援完了判定用位置PX1と第2駐車支援完了判定用位置PX2の車両1の左右方向(横方向)におけるずれ量が30mm、第1駐車支援完了判定用位置PX1と第2駐車支援完了判定用位置PX2の車両1の前後方向(縦方向)におけるずれ量が300mm並びに前輪3Fの舵角が20°となっている。
【0062】
これに対し、第2基準においては、平面視した場合に、車両1の前後方向に沿い、かつ、第1駐車支援完了判定用位置PX1を通る直線と、移動目標位置200における障害物の延在方向に沿った直線と、のなす角度が1.5°、第1駐車支援完了判定用位置PX1と第2駐車支援完了判定用位置PX2の車両1の左右方向(横方向)におけるずれ量が75mm、第1駐車支援完了判定用位置PX1と第2駐車支援完了判定用位置PX2の車両1の前後方向(縦方向)におけるずれ量が300mm並びに前輪3Fの舵角が20°となっている。
【0063】
次にECU14は、検出部141として機能し、自車位置を検出する(ステップS23)。
具体的には、ECU14による自車位置の検出は、舵角センサ19により検出された操舵部4の操舵量及び車輪速センサ22により検出された車速に基づいて初期位置P1からの移動量である距離及び方向を算出して検出することとなる。
【0064】
これにより、ECU14は、設定経路と自車位置との比較を行い(ステップS24)、出力情報決定部146として、車両の状態情報及びドライバーに対する操作指示を決定し、表示装置12に表示する(ステップS25)。
【0065】
図12は、駐車支援制御処理開始時の表示例の説明図である。
表示装置12の表示画面は、大別すると、駐車支援に関する各種情報を表示する駐車支援情報表示領域12Aと、予め選択された各種情報を表示する選択情報表示領域12Bと、オドメータあるいはトリップメータの情報を表示可能な走行距離情報表示領域12Cと、を備えている。
【0066】
駐車支援情報表示領域12Aは、駐車支援(Intelligent Parking Assist:IPA)が作動している場合にその旨を表示する駐車支援表示領域12A1、自動操舵モード中に自動操舵モードであることを示すシンボルが表示される自動操舵シンボル表示領域12A2と、ドライバーに対する操作指示を表示する操作指示表示領域12A3と、測距部16、17により車両1の周囲の所定距離範囲内に障害物が位置している場合に当該障害物の位置する方向を表す障害物表示領域12A4と、を備えている。
【0067】
上記構成において、
図12に示すように、操作指示表示領域12A3には、制動操作部6としてのブレーキの操作指示を行う際に点灯状態とされる制動操作シンボル12A31が表示され、操舵部4としてのステアリングホイールの切り返し位置までの距離の目安、あるいは、移動目標位置までの距離の目安を全点灯状態から段階的に消灯状態に移行して表示する距離目安シンボル12A32が表示され、ドライバーへの指示内容を表示する指示表示領域12A33が表示される。
【0068】
すなわち、
図12の場合においては、駐車支援が作動し、自動操舵モードで有り、操舵部4としてのステアリングホイールの切り返し位置P2、あるいは、移動目標位置200に対応する駐車目標位置P3までの距離がまだ100%近く残っており、ドライバーに対して、制動操作部6としてのブレーキペダルの踏み込みを止めて、クリーピングによる前進を行うようにという指示内容が表示されている。
【0069】
続いてECU14は、移動制御部145として機能し、自車位置が移動目標位置200に至ったか否かを判別する(ステップS26)。
具体的には、ECU14は、第1駐車支援完了判定用位置PX1が第2駐車支援完了判定用位置PX2に至り、上述した第1基準に相当する基準を満たしているか否かを判別することとなる。
【0070】
ステップS26の判別において、未だ自車位置が目標位置としての移動目標位置200に至っていないと判別された場合には(ステップS26;No)、ECU14は、移動経路更新判定部147として機能し、移動目標位置200において自車である車両1の左右方向に位置する、障害物の延在方向(配置方向)である第2延在方向を推定する(ステップS27)。
【0071】
ここで、障害物の延在方向としては、
図9の例の場合には、他の車両300及び構造物301の
図9中、上下方向である。そして、この障害物の延在方向が確実に推定されることにより、実際の駐車可能領域が、
図9に示す駐車可能領域201ではなく、駐車可能領域201Aであることがわかるようになるのである。
【0072】
ここで、障害物の延在方向の推定処理について説明する。
図13は、障害物の延在方向の推定処理フローチャートである。
まず、ECU14は、移動経路更新判定部147として機能し、測距部16a及び測距部16bの出力に基づいて、障害物の延在方向である第2延在方向を算出する。
【0073】
本実施形態においては、第2延在方向の算出には、直線近似を用いており、例えば、測距部16a及び測距部16bの反射点の測定結果が1mあたり4個は必要であり、かつ、それらの偏差が所定偏差内に収まっている場合にのみ、第2延在方向が算出できるものとして説明する。
【0074】
図14は、車両の後端が移動目標位置に至った直後の説明図である。
まず、ECU14は、自車の左右方向のそれぞれの障害物延在方向である第2延在方向の算出処理を行う(ステップS41)。
図14に示すように、車両1の後端が移動目標位置200に至った直後においては、測距部16a及び測距部16bの測定結果としては、測距部16aの測定結果である反射点r21及び反射点r22の2個しか得られておらず、上記算出基準を満たしていないので、第2延在方向を算出することはできない。
【0075】
この結果、ステップS42の判別において、第2延在方向が算出できなかったと判別され(ステップS42;No)、処理をステップS28に移行することとなり、ステップS28の判定において、所定の条件を満たしている第2延在方向は存在しないと判定されで(ステップS28;No)、移動経路更新判定部147として機能するECUは、移動経路の更新の必要はないと判定する。この結果、ECU14は、
図10に示した移動経路RT0を更新することなく、移動経路RT0に従って処理を継続するために、再びステップS23に移行することとなる。
【0076】
図15は、車両が移動経路に従って後端が移動目標位置に大きく入り込んだ場合の説明図である。
ECU14は、継続して障害物の第2延在方向の算出処理を行っており(ステップS41)、この時点にいたると、測距部16a及び測距部16bの測定結果としては、測距部16aの測定結果である反射点r21〜r25の5個及び測距部16bの測定結果である反射点r31〜r32の2個が得られており、測距部16aの測定結果は上記算出基準を満たしているが、測距部16bの測定結果は、上記算出基準を満たしていないものとする。
【0077】
この結果、ECU14は、第2延在方向を算出できたので(ステップS42;Yes)、ECU14は、推定された自車(車両1)の左右方向双方の障害物の第2延在方向が所定の条件を満たしているか否かを判別する(ステップS43)。
【0078】
すなわち、自車(車両1)の左方向の障害物の第2延在方向に関し、反射点の測定結果が1mあたり4個以上あるとともにそれらの偏差が所定偏差内に収まっており、かつ、自車(車両1)の右方向の障害物の第2延在方向に関し、反射点の測定結果が1mあたり4個以上あるとともにそれらの偏差が所定偏差内に収まっているか否かを判別する。すなわち、得られた第2延在方向が所定の精度(信頼度)を満たしているか否かを判別する。
【0079】
この場合には、自車(車両1)の右方向の障害物の第2延在方向に関し、反射点の測定結果が1mあたり2個しかないので、推定された自車(車両1)の左右方向双方の障害物の第2延在方向が所定の条件を満たしていないと判定される(ステップS43;No)。
【0080】
この結果、ECU14は、推定された自車(車両1)の左方向の障害物の第2延在方向が所定の条件を満たしているか否かを判別する(ステップS45)。
【0081】
自車(車両1)の左方向の障害物の第2延在方向に関し、反射点の測定結果が1mあたり4個以上あるとともにそれらの偏差が所定偏差内に収まっているので(ステップS45;Yes)、ECU14は、自車(車両1)の左方向の障害物の第2延在方向を障害物の延在方向として採用し(ステップS46)、処理をステップS28に移行する。
【0082】
以上の説明は、推定された自車(車両1)の左方向の障害物の第2延在方向が所定の条件を満たしている場合であったが、推定された自車(車両1)の左方向の障害物の第2延在方向が所定の条件を満たしていない場合には(ステップS43;No)、同様にECU14は、推定された自車(車両1)の右方向の障害物の第2延在方向が所定の条件を満たしている場合であるので(ステップS45;No)、ECU14は、自車(車両1)の右方向の障害物の第2延在方向を障害物の延在方向として採用し(ステップS47)、処理をステップS28に移行することとなる。
【0083】
続いてECU14は、ステップS28の判定において、所定の条件を満たしている第2延在方向が存在しているので(ステップS28;Yes)、第2延在方向が検出されたとして延在方向検出フラグをオフにし、検出基準を記憶する(ステップS29)。
この場合において、記憶する検出基準とは、左右方向のいずれか(あるいは双方)の第2延在方向が検出されたかについての情報である。
【0084】
上述したように、延在方向検出フラグがオフになると、移動経路の更新が必要ということを表しているので、ECU14は、
図15に示すように、再び目標位置決定部143として機能し、車両1の移動目標位置(駐車目標位置)である新たな第2駐車支援完了判定用位置PX2Aを決定する(ステップS30)。
【0085】
さらにECU14は、移動経路決定部144として機能し、車両1の移動目標位置への新たな移動経路RT1を決定する(ステップS31)。
そして、ECU14は、再び処理をステップS23に移行し、以下同様の処理を繰り返すこととなる。
【0086】
そして、ECU14は、移動制御部145として機能し、自車位置が移動目標位置200に至ったか否かを判別し、第1駐車支援完了判定用位置PX1が第2駐車支援完了判定用位置PX2に至り、上述した第1基準に相当する基準を満たしている場合には(ステップS26;Yes)、自車位置が目標位置としての移動目標位置200に到達しているとして、切り返し処理フラグに基づいて、車両をより正しい位置に整列させるべく、切り返し処理を行ったか否か、すなわち、切り返し処理フラグがオフであるか否かを判別する(ステップS32)。
【0087】
ここで、切り返し処理を行う理由について説明する。
移動経路RT1に従って、第1基準に相当する基準を満たしていたとしても、ドライバーであるユーザにとっては、満足の得られる駐車結果とは限らない。そこで、そのようなユーザにとって、より満足の得られる駐車結果となるように、切り返し処理を行うのである。
【0088】
そして、ECU14は、切り返し処理を行うか否かをユーザに確認する画面を表示装置12に表示する(ステップS34)。
そして、ECU14は、ユーザが切り返し処理を必要としているか否かを判別する(ステップS35)。
【0089】
図16は、切り返し処理の説明図である。
ステップS35の判別において、ユーザが切り返し処理を行うことが必要ではないとした場合には(ステップS35;No)、処理をステップS33に移行する。
【0090】
ステップS35の判別において、ユーザが切り返し処理を行うことが必要であるという確認をした場合には(ステップS35;Yes)、ECU14は、移動経路決定部144として機能して、
図16に示すように、切り返し経路RT2を設定し、移動目標位置到達を判断する基準を設定するための判断基準設定パラメータn=2に設定し、切り返し処理フラグをオフにする(ステップS36)。
【0091】
ここで、切り返し処理フラグをオフにするのは、切り返し処理を繰り返し行っても必ずしも良い状態で駐車できるとは限らないからであり、経験的に1回の切り返し処理で、ある程度満足できる駐車位置にすることができるからである。
【0092】
続いて、ECU14は、再び処理をステップS23に移行し、以下同様の処理を繰り返し、切り返し経路RT2に従って移動した結果、ステップS26の判別において、第2の基準で移動目標位置に到達した場合には(ステップS26;Yes)、切り返し処理フラグに基づいて、切り返し処理を行ったか否かを判別することとなる(ステップS32)。
【0093】
この場合には、切り返し処理フラグがオフであるので(ステップS32;Yes)、自動操舵モードを解除し(ステップS33)、駐車支援処理の終了を表示装置12の指示表示領域12A33に表示して駐車支援処理を終了する。
【0094】
以上の説明のように、本実施形態によれば、駐車支援を行う場合に、駐車空間に隣接している障害物が車両ではない場合が多々あっても、障害物の延在方向(面角度)が正しく検知できた障害物を基準として駐車支援を行うため、確実に駐車支援を行うことができる。
【0095】
さらに障害物の延在方向(面角度)が正しく検知できていない場合には、目標位置へ到達したか否かの判断基準(上述した第1基準)を障害物の延在方向(面角度)が正しく検知できている場合(上述した第2基準)と比較して厳しくしているので、より確実に所望の駐車位置に導くことができる。
【0096】
さらにまた、切り返し処理の回数を抑制しているので、より迅速に駐車を完了させることができる。
【0097】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0098】
例えば、以上の説明においては、片側が構造物などの障害物の延在方向(面角度)が正しく推定できない場合を説明したが、両側が構造物などの障害物の延在方向(面角度)が正しく推定できない場合であっても、同様に適用が可能である。この場合には、両障害物について推定した延在方向の平均をとるようにすればよい。
また、両側が車両であるように双方の障害物の延在方向(面角度)が正しく推定できる場合にも、両障害物について推定した延在方向の平均をとるようにすればよい。
以上の説明においては、切り返し処理回数を1回に制限していたが、2回以上であっても適宜回数を制限すれば同様に迅速に駐車支援を完了することができる。