(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6573796
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】サービス運用システム、並びにサービス利用者の特定方法
(51)【国際特許分類】
H04M 3/493 20060101AFI20190902BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20190902BHJP
G06F 13/00 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
H04M3/493
H04M11/00 302
G06F13/00 510G
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-153754(P2015-153754)
(22)【出願日】2015年8月3日
(65)【公開番号】特開2017-34520(P2017-34520A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2018年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】512050922
【氏名又は名称】Keepdata株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134119
【弁理士】
【氏名又は名称】奥町 哲行
(72)【発明者】
【氏名】庄司 渉
(72)【発明者】
【氏名】高橋 信英
【審査官】
山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−540324(JP,A)
【文献】
特開2014−225131(JP,A)
【文献】
特開2004−350214(JP,A)
【文献】
特開2013−037699(JP,A)
【文献】
特開2013−106278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/00
19/00
G06Q 10/00−10/10
30/00−30/08
50/00−50/20
50/26−99/00
H04B 7/24− 7/26
H04M 1/00
1/24− 3/00
3/16− 3/20
3/38− 3/58
7/00− 7/16
11/00−11/10
99/00
H04W 4/00− 8/24
8/26−16/32
24/00−28/00
28/02−72/02
72/04−74/02
74/04−74/06
74/08−84/10
84/12−88/06
88/08−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービス利用者が所持する携帯機器と、サービス提供場所とその場所における周囲の環境情報が蓄積された環境情報データベースとを具備するサービス運用システムであって、
前記携帯機器は、当該機器が置かれた周囲の環境情報を検知するセンサーと、センサーによって取得された情報をセンサー取得情報として送信する送信機能とを有し、
前記携帯機器は静止状態を検出する機能を有し、当該機器が静止状態にあることを検出した状態で前記センサーが周囲の環境から取得した情報を前記センサー取得情報として送信し、
前記環境情報データベースに蓄積された環境情報と前記センサー取得情報とを照合して一致が検出されたサービス提供場所にいるサービス利用者に対してサービスを提供することを特徴とするサービス運用システム。
【請求項2】
前記携帯機器は種類の異なる複数のセンサーを有し、前記環境情報データベースには前記種類の異なる複数のセンサーに対応する環境情報が蓄積されており、前記複数のセンサーが取得した複数のセンサー取得情報と前記環境情報データベースの環境情報とを照合すようにしたことを特徴とする請求項1記載のサービス運用システム。
【請求項3】
前記携帯機器には当該機器固有の認証IDが付与され、この認証IDを用いてサービス提供の可否を決定することを特徴とする請求項1記載のサービス運用システム。
【請求項4】
選ばれた場所と、その場所の周囲の環境情報を関連付けて蓄積するステップと、
利用者の携帯機器に搭載されたセンサー機能および静止状態を検出する機能を使って、当該機器が静止状態にあることを検出した状態で当該機器の周囲の環境から環境情報を取得するステップと、
取得した環境情報と蓄積された環境情報とを照合するステップと、
前記取得した環境情報と蓄積された環境情報とが一致した場所を利用者がサービスを受ける場所として特定するステップとを
有することを特徴とするサービス利用者の特定方法。
【請求項5】
前記利用者に関する情報を指定するステップと、
前記サービスを受ける場所として特定された場所にいる利用者の携帯機器に対して、前記利用者に関する情報に従ってサービスを提供するステップとを
含むことを特徴とする請求項4記載のサービス利用者の特定方法。
【請求項6】
前記利用者の携帯機器に認証IDを設定するステップを、さらに有することを特徴とする請求項4記載のサービス利用者の特定方法。
【請求項7】
携帯機器が取得した環境情報、利用者に関する前記情報、および前記認証IDとを用いて利用者に提供されるサービスと提供場所とを特定することを特徴とする請求項6記載のサービス利用者の特定方法。
【請求項8】
利用者にサービスを提供できる場所と、その周囲の環境情報とをデータベース化するステップと、
利用者の携帯機器に搭載されたセンサーを用いて当該機器が静止状態にあることを検出した状態で周囲の環境情報を取得するステップと、
利用者が所持する携帯機器の場所を所定の範囲に絞り込むステップと、
絞り込まれた範囲内で、前記データベース化された環境情報とセンサーが取得した情報とを照合して利用者の場所を特定するステップとを
有することを特徴とするサービス利用者の特定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サービス運用システムおよびサービス利用者の特定方法に関し、特に、携帯機器を所持している利用者に対してサービスを提供するための運用システムとその利用者の特定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット技術の進化と携帯端末の普及により、携帯端末を使って利用できるサービスの種類は多様化し、またサービスの運用方法も多岐に亘っている。しかしながら、従来のサービス運用システムは、サービス提供者にとっても、またサービス利用者にとっても、利便性がいいとは言い難いものであった。特に、サービス提供者は、多くの時間と費用をかけてサービスを運用するための環境の整備(サービス運用設備の拡充や提供装置の増設等)に追われ、一方、サービスを受けるユーザ(サービス利用者)はサービスの種類ごとにそれぞれ違った機器操作の習熟を強いられている。
【0003】
例えば、日本国内では比較的広く普及しているQRコード(登録商標、以下同じ)を例にとると、このコードを利用することで、飛行機のチケットレスサービスや店舗からのクーポンやポイントサービスを受けることができる。
【0004】
しかしながら、これらのサービスを受けるためには、サービス運用者は施設内の至る所にQRコードを設置しなければならない。更に、サービス利用者はQRコードの設置場所を探し出して、携帯端末のカメラ機能を用いてコードを撮影しなければならないという操作を強いられる。また、当然のことながら、携帯端末にはカメラ機能やNFC(Near Field Communication)機能が必要となる。
【0005】
従って、QRコードによるサービスを受けるためには、専用の携帯端末を持ち歩かなければならない。しかも、NFC機能のない携帯端末しか持っていない外国人旅行客等は、このQRコードによるサービスを受けることが出来ない。
【0006】
また、例えNFC機能を具備する携帯端末を準備したとしても、実際にサービスを受けるためには、QRコードが設置してある場所を探し出さなければならず、土地勘のない旅行客には極めて不便だといえる。さらに、やっと見つけたとしても、携帯端末のカメラ機能を作動させてコードにかざすという操作を強いられる。このように、従来のサービス運用システムは、サービス利用者に対してサービスを受けるための意図的な行動と機器操作を要請するもので、利用者にかかる負担が大きかった。
【0007】
この意図的な操作から利用者を解放し、利用者の恣意的な自然な振る舞いの中でサービスが運用できるような提案もなされている。例えば、特許文献1には、画像処理技術を用いてサービス利用者やその周りの環境を特定することで、利用者の意図的な操作や行動を要することなくサービスの運用が可能なサービス提供システムが開示されている。
【0008】
しかしながら、この従来の技術によれば、利用者とその周囲の環境をカメラで撮影して画像データとして取得する行為が必要である。そのため、利用者にとっては、サービスを受けるための意図的な操作から解放されたとはいえ、利用者の個人情報がサービス運用者によって簡単に取得されてしまうという欠点がある。更に、画像データを取得するための特別な設備を必要とし、かつ設備が設置された場所まで行かなければサービスが受けられないという不便さもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2014−160394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上のように、従来のサービス運用システムは、サービス提供者側にとってもサービス利用者側にとっても、多くの課題をかかえている。特に、サービスの受け付けやアナウンスのための人工的な設備設置、および、サービス利用者による意図的な行動と機器操作、更には、サービス利用のための専用の携帯端末機器の所持等の問題を、利用者本人の個人情報を取得することなく解決することは困難であった。
【0011】
この課題の解決を困難にしている要因としては、サービス利用者のいる場所を特定することが難しいということが挙げられる。そのため、サービスが利用出来る場所まで利用者を移動させるか、あるいは、利用者が立ち寄りそうな場所に専用の設備を設置する以外、有効な解決法はなかった。その結果、サービス提供者にとっては、専用設備の設置場所の確保と設置コストの増加を招き、一方、サービス利用者にとっては、設備設置場所までの移動と意図的な機器操作を強いられるという問題が生じていた訳である。
【0012】
なお、サービス利用者が持っている携帯端末機器には、いわゆるGPS(Global Positioning System)機能や、Wi-Fi(登録商標)のような無線LAN機能を搭載したものがある。そして、これらの機能を使うことで、携帯端末機器のある場所を推定することは可能である。しかしながら、これらの機能を使ったとしても、サービス利用者のいる正確な位置(場所)まで特定することは現状ではできない。特に、同じ建物内に複数の利用者がいる場合、それぞれの利用者に適したサービスを使い分けて運用することは極めて難しいといえる。例えば、同じ建物内の同じレストランの近接したテーブルに二人の利用者が座っていた場合、これらの利用者を区別することは現状のGPSや無線LANでは困難である。
【0013】
これを可能にするためには、さらに多くのGPS衛星を必要としたり、無線LAN用のアクセスポイントを増やしたりしなければならず、非常に多額の設備投資費用の投入を余儀なくされることになる。
【0014】
本発明は、上述した従来の課題に鑑みてなされたものであり、サービス運用のための専用の設備や場所を確保することなく、また、サービス利用者に意図的な行動や機器操作を強いることのないサービス運用システムとサービス利用者の特定方法を提供すること目的とする。
【0015】
更に、本発明の他の目的は、サービス利用者の個人情報を取得することなく各利用者の場所を特定して、利用者に適したサービスを提供することが可能なサービス運用システムと利用者の特定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様におけるサービス運用システムは、インターネット通信機能とセンサー機能を具備した携帯機器と、サービス提供場所における周囲環境からセンサーを使って予め収集した周囲環境情報が蓄積されたデータベースストレージと、サービス利用者の携帯機器に搭載されたセンサー機能を使って取得した取得情報とデータベースストレージに蓄積されている周囲環境情報とを比較照合する手段とを有し、この比較照合手段で取得情報との一致照合が確認された場所をサービス提供場所として特定し、その場所にいるサービス利用者に適したサービスを提供するようにしたことを特徴とする。
【0017】
本発明で使用可能な携帯機器としては、携帯電話やスマートフォン、タブレットPC,ノートPC等の携帯通信端末装置や携帯情報端末装置を初め、普段の生活用品として一般化しているハンズフリーの通信機器や、時計等のウェアラブルな情報機器であって、インターネット通信機能とセンサー機能を搭載しているものであればよい。
【0018】
また、センサーとしては、振動センサー、傾きセンサー、気圧センサー、方位センサー、磁気センサー、放射線センサー、匂い(臭い)センサー等、自然環境の状態を検知できるものであればよい。
本発明において、センサーを使用する理由は、場所を特定するための専用の装置や設備を使うことなく、携帯機器の周囲環境が有する固有の情報を検知するためである。すなわち、本発明の技術思想は、例えば、ビルの2階と3階とでは気圧が違うという自然環境、同じ室内に置かれているテーブルであっても、テーブル毎に傾きも違えば、振動や方位も違っており、全く同一の環境は存在しないという自然環境の特性を利用して、サービス利用者の居場所を特定するという新たな知見に基くものである。
【0019】
本発明の第2の態様においては、携帯機器が静止状態にあることを検出する検出手段を有し、静止状態にある携帯機器が周囲の環境から検知したセンサー情報(取得情報)をインターネットを介して比較照合手段に転送することを特徴とする。
【0020】
本発明の第3の態様においては、比較照合手段は種類の異なる複数のセンサー情報を組み合わせて照合することを特徴とする。
【0021】
本発明の第4の態様は、サービス運用システムが、さらに認証手段を有し、認証手段は、携帯機器に内蔵されたセンサーが周囲環境から検知したセンサー取得情報に付加して送られてくるその携帯機器の認証情報を判定してサービス提供の可否を決定することを特徴とする。
【0022】
本発明の第5の態様は、携帯機器に搭載されたセンサーが取得した環境情報を用いてサービス利用者の居場所を特定することを特徴とする方法である。
【0023】
本発明の第6の態様は、第5の態様で開示されたサービス利用者の特定方法において、利用者に関する基本情報をサービス利用者が設定するステップを含み、携帯機器の場所が特定された後、この基本情報を用いてサービス利用者が要求するサービスを提供することを特徴とする方法である。
【0024】
本発明の第7の態様は、認証手段が携帯機器に対してインターネットを介して当該携帯機器固有の認証IDを付与するステップを有することを特徴とする方法である。
【0025】
本発明の第8の態様は、上述した取得情報と基本情報と認証IDとを用いて、サービス利用者にサービスを提供することを特徴とする方法である。
【0026】
本発明の第9の態様は、GPS機能や無線LAN機能とセンサーが取得した取得情報の両方を用いてサービス利用者の居場所を特定することを特徴とする方法である。
【0027】
以上のように、サービス利用者が日常生活で容易に携帯可能な携帯機器に搭載されているセンサーを使って周囲環境から検知した情報(センサー取得情報)と、予め収集しておいたサービス提供場所の周囲環境に関する環境情報とを比較照合することで、携帯機器が現在置かれている場所を特定するようにしたことが、本発明者等によって初めて知見された新規な技術思想である。
【発明の効果】
【0028】
以下に、各請求項に記載された本発明によって奏することができる効果について説明する。
(1) 請求項1に記載された発明によれば、サービス利用者にサービスを提供するための特別な専用設備を要することなく、かつ利用者に意図的な行動や機器操作を強いることなく、利用者の自然な振る舞いの中でサービスを提供することが可能となる。
【0029】
(2) 請求項2記載の発明によれば、サービス利用者が所持している携帯機器が静止状態にある事を検出できるようになされているので、センサーの感度を損なうことなくより正確な環境情報を取得することができる。
【0030】
(3) 請求項3記載の発明によれば、種類の異なる複数のセンサー情報を使うことでより正確な場所の特定が可能となる。
【0031】
(4) 請求項4記載の発明によれば、個人情報を取得することなく所持している携帯機器の場所を特定できるという効果を奏することができる。
【0032】
(5) 請求項5記載の発明によれば、何等特別な設備や装置を必要とすることなくサービス利用者の居場所を自由に特定できるという効果が得られる。
【0033】
(6) 請求項6記載の発明によれば、サービス利用者が設定した基本情報に従って、利用者に適した(利用者が希望する)サービスを提供することが可能である。
【0034】
(7) 請求項7記載の発明によれば、携帯機器の認証IDを付与することで、所持者の個人情報を取得することなく、居場所の特定やサービスの提供が可能となる。
【0035】
(8) 請求項8記載の発明によれば、携帯機器の認証IDと利用者に関する基本情報と周囲環境から取得したセンサー情報とを用いて、個々の利用者にカスタマイズされた質の高いサービスを高セキュリティ環境下で提供することができる。
【0036】
(9) 請求項9記載の発明によれば、GPSや無線LANを使ってエリアを絞り込んだ状態で携帯機器のある場所を特定することが出来るので、比較照合に要する作業を大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の第1の実施形態におけるサービス運用システムの機能ブロック図。
【
図2】本発明の第1の実施形態における携帯機器の内部主要機能ブロック図。
【
図3】本発明の第1の実施形態におけるクラウドシステムの機能ブロック図。
【
図4】本発明の第1の実施形態において取り扱われる情報の種類を示すテーブル図。
【
図5】本発明の第1の実施形態における環境情報データベースに蓄積された情報のテーブル図。
【
図6】本発明の第2の実施形態におけるサービス利用者の場所を特定する方法を説明するための形態機器の処理フローを示す図。
【
図7】本発明の第2の実施形態におけるクラウドシステムでの処理フローを示す図。
【
図8】本発明の第3の実施形態におけるサービス運用システムとGPSとを組み合わせた機能ブロック図。
【
図9】本発明の第3の実施形態におけるクラウドシステムの機能ブロック図。
【
図10】本発明の第3の実施形態における環境情報データベースに蓄積された情報のテーブル図。
【
図11】本発明の第3の実施形態におけるアプリ起動から場所の特定に至るまでの処理フロー図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に本発明の実施の形態について図を参照して説明するが、この説明によって特許請求の範囲に記載された発明が何等制限されるものではないことに留意されたい。さらに、図示された各ブロックは、発明の実施に必要な機能を例示的に示したものであり、各ブロックをハードウェア、もしくはソフトウェア、あるいはそれらの複合体で構成することができることは当業者であれば容易に理解出来る事である。また、図に示されている実線もしくは破線の矢印線は、説明に必要な情報の伝達方向と経路に主眼を置いて記載されたものであり、各矢印線の始点と終点を配線で直接接続することを意図したものではないことに留意されたい。
【実施例1】
【0039】
図1は、本発明の実施例1に係るサービス運用システム10の機能ブロック図である。本システムは、サービス利用者1が所持している携帯機器2と、携帯機器2とインターネット通信が可能なクラウドシステム4と、クラウドシステム4からの指示に従ってサービス利用者にサービスを提供するサービス提供者5を有する。
【0040】
利用者が所持している携帯機器2は、
図2に示すように少なくともインターネット通信部20とセンサー部21を搭載した電子機器であれば、例えばスマートフォンのような携帯端末でもよい。センサー部21は、機器に搭載可能なセンサーであって、周囲の環境情報を検知できるものであれば、振動センサー、気圧センサー、傾き検出センサー、方位センサー、放射線センサー、磁気センサー等が使用可能であるが、勿論これらに限定されるものではない。
【0041】
クラウドシステム4は、
図3の主要内部機能ブロック図に示されるように、環境情報が蓄積されているデータベース40、インターネットを介して携帯機器から送られてくるセンサー取得情報の保存が可能なセンサー情報取得部41、このセンサー情報取得部41に保存されたセンサー情報と環境情報データベース40に蓄積されている環境情報とを比較照合する照合部42、サービス利用者に関する基本情報が格納された基本情報データベース45、サービス利用者に関するアイテム情報が格納されたアイテム情報データベース46、携帯機器の認証を司る認証部43、およびサービス利用者に対するサービスを指示するサービス提供部44を含む。
【0042】
ここで、環境情報データベース40には、サービスが提供される場所でセンサーを使って予め採取された周囲の環境情報が、例えば
図5に示されるようなテーブル形式で蓄積されている。
図5の例では、複数の計測場所P1〜Pnにおいて、それぞれn個のセンサーを使って計測された環境情報A1〜Nnが各計測場所と関連付けて記憶されている。
【0043】
複数の計測場所とは、例えばレストラン内に配置された各テーブル毎やホテル内の客室毎、あるいは、同じビル内で階が異なるフロア、もしくは、あるエリア内で位置が異なる複数の地点、更には、地域を限定することなくサービスが提供される複数の場所を意味するものである。
【0044】
また、n個のセンサーとは、同じ種類のセンサーであって型番が異なるn個のセンサー、あるいは、それぞれ種類が異なるn個のセンサー、もしくは、それらを合わせたセンサー群を意味する。
【0045】
図4には、サービス利用者にサービスを提供するために用いられる情報の種類を表わすテーブル図が開示されている。ここで、認証IDとは、利用者が所持する携帯機器を認証するために使われるIDを指し、サービスを希望する利用者がクラウドシステム4に利用要求を伝えると、クラウドシステム4が当該携帯機器に対して付与するIDあって、例えばシリアル番号のような情報でも良い。これは、利用者から個人情報を取得することを避けるために使用されるIDである。
【0046】
基本情報とは、サービスを希望する利用者が携帯機器を使って入力する情報であり、例えば、性別、年齢、国籍、サービスを希望する期間やエリア、滞在日数や滞在エリア等の一般情報を意味し、
図3の基本情報データベース45に格納されている。また、アイテム情報とは、同様に利用者が入力する情報であって、例えば、購入したチケットの内容、旅行日程、宿泊するホテルの名称や観光ルートのような利用者固有の情報を意味し、
図3のアイテム情報データベース46に格納されている。ここで、基本情報は、不特定多数の人に同様のサービスを同様の場所で提供するために使用され、アイテム情報は、その人に適したサービスを適した場所で提供するために使用される。
【0047】
センサー情報とは、例えば、携帯機器が置かれたテーブルや台座の振動情報や気圧情報、あるいは、テーブルや台座の傾き具合を示す情報、周囲から放出されている放射線情報等、携帯機器に内蔵されているセンサーを使って周囲の環境から検知できる情報のことである。センサー情報は、単独で使うこともできれば、複数のセンサー情報を組み合わせて使うことも出来る。
【0048】
次に、実施例1の動作について
図1〜
図5を参照して説明する。ここには、3つのセンサーを使用した例が開示されている。まず、サービス利用者1が所持している携帯機器2をテーブル3の上に置くと、携帯機器2に内蔵されている振動センサー、傾きセンサー、気圧センサーが起動して、周囲の環境からテーブルの振動、傾き、そして気圧の状態を検知する。
【0049】
ここで、利用者1が携帯機器2をテーブル3に置く行為は、意図的であっても恣意的であっても構わない。意図的であれば、その場所に置けばサービスが受けられることを予め知っているか、あるいは、近くに告知(もしくはアナウンス)されている場合であり、恣意的であれば、何も知らずにただ置いただけのことである。しかしながら、この行為により、携帯機器2のセンサーは自動的に周囲の環境から情報を取得し、取得した環境情報がクラウドシステム4に送られる。送られた情報は、センサー情報取得部41に保存される。
【0050】
なお、携帯機器2がテーブル3の上に置かれたか否かの検知は、ソフトウェアで静止状態か否かをチェックすることで実現できる。すなわち、センサーが検知した情報が、所定時間の間、静止と認められる情報の範囲内にあるか否かをモニタリングすればよい。これは、決められた時間間隔で検出処理を継続して実行するようにセンサー制御用のプログラムを設定しておけば、センサーによる検出情報(データ)が予め定められた期間、定められた情報の範囲内に収まっているか否かをモニタリングすることで容易に判定することができる。
【0051】
静止状態が確認された後、センサーが取得した情報をクラウドシステム4に送り、環境情報データベース40に蓄積されている環境情報と比較照合して、一致する情報が見つかれば、照合部42は認証部43に一致信号を送る。一致信号を受け付けた認証部43は、基本情報データベース45から認証IDを受け取り、これと携帯機器2からセンサー取得情報に付加して送られてきた認証IDとを比較して同一IDであればサービス提供部44に通知する。
【0052】
通知を受けたサービス提供部44は、認証IDに関連付けて記憶されているアイテム情報データベース46を参照して、当該認証IDに該当するアイテム情報があれば、そのアイテム情報が示すサービスがサービス提供部44から発信される。
【0053】
これら一連の動作を具体的なサービス事例を用いてより詳細に説明する。
【0054】
一例として、NFC通信機能を持たない携帯機器を所持している外国人観光客(サービス利用者)が、ビルの3階にあるレストランで食事を注文するケースを例にして説明する。利用者がレストランに入店して空いているテーブルに着席し、テーブルの上に携帯機器を置くと、携帯機器のセンサー情報が所定の時間予め決められた範囲内にあることがセンサー制御プログラムによって検出される。この後、センサーが取得した振動、気圧、傾きに関する情報が、携帯機器の認証IDと共にクラウドシステム4に送られる。
【0055】
送られた各センサー取得情報は、
図5に示した環境情報データベース内の情報と比較照合される。その結果、振動、気圧、傾きの各センサー取得情報が、
図5のA3、B3、C3と一致した場合、場所P3が特定される。この場所P3が、ビル3階のレストランの4番テーブルを示していれば、次にIDの認証が実行される。上記各センサー取得情報と共に携帯機器から送られてきた認証IDは基本情報データベースに事前登録されている認証IDであることが確認されると、サービス利用者本人が3階のレストランの4番テーブルにいることを特定することができる。更に、認証IDに関連付けて基本情報として登録されている国籍が米国となっていれば、サービス提供部44は、場所P3の携帯機器に対して当該レストラン用の英語の食事メニューを送信する。この結果、利用者は、特別な要求や行動、機器操作を行うことなく、居ながらにして自分の携帯機器で母国語の食事メニューを見ることができる。
【0056】
また、利用者がそのレストランの無料食事サービスを受けられる権利を有している場合、その権利を示す無料チケットの情報を
図4のアイテム情報としてアイテム情報データベース46に登録しておけば、サービス提供部44から無料チケットが利用者の携帯機器に送信される。利用者は、店員に携帯機器を提示するだけで無料のチケットレス食事サービスを受けることができる。
【0057】
以上のように、サービス提供の為の専用設備や専用携帯機器を使うことなく、かつ意図的な行動や機器操作を必要とすることなく希望するサービスを利用者に提供することができる。
【0058】
なお、実施例1では、気圧センサーでビルの階数を特定し、振動センサーと傾きセンサーでレストランの位置とテーブルの場所を特定する例を説明したが、指定されたビルの同じ階のフロアで共通に提供されるサービス、例えば同一階にあるデパートの売り場情報等を利用者に提供するのであれば、1種類のセンサー(例えば、気圧センサー)だけで場所を特定することも可能である。
【実施例2】
【0059】
図6および
図7は、本発明によりサービス利用者の居場所を特定する方法を実施例2として説明するためのフローチャートである。携帯機器を所持しているサービス利用者は、自分の携帯機器にサービス提供アプリケーションプログラム(以下、アプリと略す)をインストールする(ステップA)。次に、初期設定として、インストールしたプログラムに従って基本情報やアイテム情報を入力する(ステップB)。
【0060】
入力された基本情報とアイテム情報はインターネットを介してサービス運用システムに送られ、サービス運用システムからその機器固有の認証IDを受け取る(ステップC)。
【0061】
初期設定が完了し、インストールしたアプリを起動させる(ステップD)と、携帯機器に搭載されているセンサーが周囲の環境情報を決められた時間間隔で取得して機器が静止状態にあるか否かの判定を実行する(ステップE)。上述したとおり、センサーが取得した情報が所定の期間、定められた範囲内に収まっていることが確認出来た時、機器は静止状態にあると判定される。
【0062】
機器の静止状態が確認されると、その時にセンサーが収集した周囲の環境情報がセンサー取得情報として確定され、サービス要求信号としてインターネットを介してサービス運用システムに送信される(ステップF)。この時、センサー取得情報に付加されて認証IDも同時に送信される。
【0063】
図7において、携帯機器からセンサー取得情報と認証IDを受け取ったサービス運用システムは、これらの情報を保存し(ステップG)、環境情報データベースに蓄積されている環境情報と比較照合される(ステップH)。なお、環境情報データベースとしては、サービスの多様化と共に蓄積される環境情報も増加していくため、増設可能なスケールアウト型のストレージサーバを用いる方が好ましい。また、センサー取得情報と環境情報との比較照合処理は、情報処理分野で使用されている各種データ照合技術を使用することができるが、取り扱う情報量が多い場合には、本発明者等が以前に特許出願した特開2004−62567号公報や特開2009−93405号公報記載の技術を適用して高速検索・照合することも可能である。
【0064】
ステップHの実行により、携帯機器から送られてきたセンサー取得情報と一致する環境情報が見つかると、その環境情報が収集された場所が、利用者が現在サービスを要求している(もしくは、利用者にサービスを提供できる)場所として特定される(ステップI)。このように、本実施例によれば、利用者が現在いる場所を特定するのに、何等特別な設備や専用の装置を使うことなく、かつ、利用者にカメラの撮影やや赤外線通信の操作等を強いることなく、容易に場所の特定が可能なことが理解できる。
【0065】
さらに、ステップIで特定された場所にいる利用者が、本発明のサービス運用システムに対してサービス要求をしたかどうかは、以前にサービス利用者の携帯機器に送信した認証IDと比較照合のために送られてきた認証IDとを比較することで(ステップJ)、個人情報を取得することなく本人の認証ができる。
【0066】
以上の処理で、利用者のいる場所の特定と本人であることの確認が取れると、次は、どのようなサービスを提供するかのメニュー選定ステップKへと進む。このスッテプでは、大きく2つの処理がなされる。1つ目は基本情報を参照した一般サービスであり、2つ目はアイテム情報を参照したカスタマーサービスである。
【0067】
一般サービスとしては、例えば、基本情報の国籍に基いた母国語サービスや、観光エリア情報に基いたルート案内サービス、あるいはクーポン、ポイントの自動付与サービス、年齢情報に基いたお薦めスポットサービス等の提供が可能である。また、カスタマーサービスとしては、基本情報とアイテム情報とを参照して、ホテルや空港、アミューズメント施設等でのチケットレスチェックインサービスや、ルームキーを使わずに携帯機器を使っての入退サービス、病院や公共施設の予約サービス等、利用者本人に特化したサービスを提供することができるようになる。
【実施例3】
【0068】
次に、本発明の実施例3について説明する。
図1に示した実施例1のサービス運用システム10にGPSや無線LAN等の場所検索技術を組み合わせることで、センサー取得情報と環境情報の比較照合を簡易化することが可能である。
図8には、本発明のサービス運用システム10とGPS6とを組み合わせた例が開示されている。
【0069】
サービス利用者1が所持している携帯機器2の位置をGPS6を使って検索し、クラウドシステム4に送ることで、利用者の大凡の居場所をGPS6で測定することができる。GPS6で測定された位置情報は、
図9に示すクラウドシステムのエリア絞り込み部47に送られる。
【0070】
エリア絞り込み部47は、サービス提供エリアを複数に分割したグループ情報を有しており、GPS6から送られてきた位置情報に基いて、どのグループに属するかを判定し、選ばれたグループを選択するグループ選択信号を
図9の環境情報データベース40に送る。
【0071】
環境情報データベース40では、
図10に示すように、計測場所とそこで収集された環境情報(センサー1〜Nの情報)がエリアグループ毎に分類されており、エリア絞り込み部47から送られてきたグループ選択信号によって分類されたエリアグループの1つが選択される。
【0072】
図11を参照して、実施例3において、利用者が携帯機器のアプリを起動してからその携帯機器がどこにあるかの場所を特定するまでの一例を、その流れに沿って説明する。
図6に示す認証IDを取得した後、利用者が所持している携帯機器のアプリを起動すると(ステップL)、静止状態が判定される(ステップM)。静止が確認されると、GPS探索処理が実行され、大凡の位置が判明すると、
図9に示すクラウドシステム4のエリア絞り込み部47に転送される(ステップN)。その間に、携帯機器に搭載されたセンサーが周囲の環境情報を取得してクラウドシステム4のセンサー情報取得部41に送信する。
【0073】
クラウドシステム4では、送られてきたGPS情報に基いてエリア絞り込み部47が
図10のエリアグループを選定する(ステップP)。この結果、照合部42は、ステップPで選定されたエリアグループ(例えば、グループG1)に分類されている環境情報(P1〜N3)との照合を行えばよいことになる(ステップR)。照合の結果、センサー取得情報と一致する環境情報があれば、それが利用者にサービスを提供する場所として特定される(ステップS)。
【0074】
なお、このGPS例では、GPS探索の後センサー取得情報を送信するようにしているが、これらの順序は逆であっても構わない。要は、クラウドシステムがGPS情報とセンサー取得情報の両方を使って照合処理の簡易化を図ることを説明したものである。
【0075】
このようにすれば、携帯機器2から送られてきたセンサー取得情報と大量に収集された環境情報とを逐一比較することなく、選択されたエリア内での比較照合で利用者の場所を特定することが可能となる。この結果、比較照合処理に要する時間を大幅に短縮することができ、より迅速なサービスを提供することが可能となる。
【0076】
実施例3では、エリアを絞り込む手段としてGPSを利用した例を示したが、GPS以外の例えば無線LANのような位置探索技術を用いることも勿論可能である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上説明したように、本発明によれば、携帯機器に搭載されたセンサーで周囲の環境情報を取得し、これをクラウドシステムに送信するだけで、利用者の居場所を特定することができる。従って、移動中の利用者の居場所の確認や、同じ建物内にいる複数の利用者の区別、さらには、複数の利用者に対して共通のサービスを提供したり、特定の利用者に対して特定のサービスを提供する分野において、広く本発明を利用することが可能である。
【符号の説明】
【0078】
1・・・サービス利用者
2・・・携帯機器
3・・・テーブル(台座)
4・・・クラウドシステム
5・・・サービス提供者
6・・・GPS
10・・・サービス運用システム
20・・・インターネット通信部
21・・・センサー部
40・・・環境情報データベース
41・・・センサー情報取得部
42・・・照合部
43・・・認証部
44・・・サービス提供部
45・・・基本情報データベース
46・・・アイテム情報データベース
47・・・エリア絞り込み部